はじめに
社内でしたいことができない、これ以上のキャリアアップを見込めないといったことでお悩みの際、転職が頭をよぎることでしょう。
このとき、新たな価値の創造にまい進し、うまくいけば刺激的な仕事と十分な収入を得られるベンチャー企業は、転職先としてよく検討されます。
未経験から挑戦する方もしばしばいるものの、飛び込む前にしておきたい相応の準備や心構えなどがあります。
今回は未経験でベンチャー企業へと転職する際に知っておくべきことをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ベンチャーに未経験転職は可能？
ベンチャー企業は少数精鋭で事業をしていることも多いです。
そもそも未経験で入れるのか不安に感じられやすいものの、関連するキャリアがなくとも転職自体はできます。
成長を続けているベンチャー企業は人手を欲しており、採用対象者に未経験者も含めていることも多いです。
実績もネームバリューも豊富な大企業なら就職・転職の希望者が多く、人材の質を高めるため、転職者には経験を求めることがよくあります。
しかしベンチャー企業はまだまだ発展途上であり、世間的な知名度は一般的に高くないです。
創業してからの年数がまだ短いことも多く、求人を出しても多数の応募がくるとは限りません。
それゆえに募集のハードルが下がり、未経験者も可とされやすいのです。
ただ、転職希望者には経験がやはり求められることもあるので、募集要項を必ず確認し、未経験を可とする求人を選んでください。
ベンチャーに未経験転職した際の苦労とは？
転職活動をしている際、採用はゴールのように感じられるものの、実際には新たなスタートにほかなりません。
入社後には前職と大きく異なる環境に置かれやすく、さまざまな苦労をするものです。
まるで新卒時代に戻ったかのような苦労がある一方、中途採用者独特の状況に直面することもあります。
いずれにしても、ベンチャー企業へと転職した際によくある苦労について、早い段階で押さえておくほうがミスマッチを防げます。
以下にご紹介するようなポイントは、転職前の段階で確認しておくとよいでしょう。
社内で使われている用語がわからない
ビジネスの現場では、一般社会だと使われない独特の業界用語がよく使われます。
長くその業界にいる方にとっては馴染み深い言葉である一方、ほかの分野から来た方にとっては外国語のように意味不明なものです。
特にIT業界のエンジニアとして採用された際には、飛び交う専門用語も多く、なんの話をしているのか理解できないことがよくあります。
上司や先輩たちの話の内容をつかめないといった経験は、新卒時代に多くの方が経験していることでしょう。
未経験でベンチャー企業へと転職すると、右も左もわからなかった新卒当時の状況へと戻りやすく、社内で行っている業務の理解や遂行にはもちろんのこと、上司や同僚とのコミュニケーションにも苦労しやすいです。
新卒採用が優遇されがち
未経験でベンチャー企業へと転職すると、新卒組と同じく右も左もわからない状況に置かれやすいものの、社内での立場まで同じではありません。
実力ではあまり差がなかったとしても、新卒と中途それぞれの社員はしっかり区別されることが多いのです。
現在の実力は今一つだったとしても、将来性を期待してさまざまな仕事を任されやすいのは、一般的に新卒社員です。
年齢も特に若く、総じてフレッシュな雰囲気をもっている新卒社員は、今後を見込んで次々と仕事を与えられます。
一方の転職組は、まだ20代だったとしても新卒社員に比べるとすでに年長者であり、将来性よりは即戦力を期待されます。
同じ未経験なら新卒社員のほうがどうしても優遇されやすく、転職者は伸びしろを期待して仕事を任される機会は限られやすいです。
仕事の流れをつかみにくい
ベンチャー企業は、大手企業ほどの人員や予算には恵まれていないケースが大半であり、仕事の流れも独特です。
未開拓の分野へと挑戦していることも多い関係で、業務を効率的に進める方法がまだ確立していないこともよくあります。
同業他社に比べても独自性の高い環境に置かれやすいので、社内で行っている仕事の流れをなかなかつかめないことが多いです。
何がどうなって利益につながっているのかがわからないと、業務フローのなかで重要な部分を判断できず、よい結果につながらないなど、さまざまな問題が起こります。
入社前のイメージ通りには業務が進まず、苦労のほうが大きくて充足感をなかなか得られないものです。
また、周囲の期待にうまく応えられず、社内で肩身が狭いといった悩みに直面することも多いです。
ベンチャーに未経験で転職する際に気をつけること
先述のような苦労もあり、ベンチャー企業への転職を後悔する方もいらっしゃいます。
そのなかには、そもそもベンチャー企業の実態をよく知らず、イメージで判断していたことが原因であるケースもしばしば見られます。
また、未経験でもよいとはいえ、新卒の募集に応募するわけではないので、転職者として求められることがある点にも注意が必要です。
苦労して行った転職が失敗に終わらないよう、未経験の方にとって重要なポイントはしっかり押さえておきましょう。
具体的には何に気をつけるべきか、以下にご紹介します。
ベンチャーならやりたいことができるわけではない
発展途上の企業であるために、重要な仕事に挑戦できたり、若くして役員に昇格できたりするイメージはよくもたれます。
しかしベンチャー企業ならどんなことでもできるわけではありません。
しかも、自身のしたいことが実現できるとも限らないのです。
その会社が行っている事業や、基本的な経営方針にそぐわないことは、たとえベンチャー企業でもやりづらいものです。
また、社内で与えられる裁量は、自身の能力やコミット量に左右されます。
前職で鍛えた能力を活かし、利益に大きく貢献できる方なら、社内での自由度も比較的高いです。
しかし新卒社員と同じくあまり戦力になれないなら、希望する事業や業務を自由に行える環境はあまり得られません。
ベンチャー企業では夢がかなう、自己実現ができるといったイメージが先行しやすいものの、誰もが好きなことを自由にできるわけではない点に、十分に注意が必要です。
離職率が高い企業には気をつける
転職前に気になる離職率は、ベンチャー企業でも同じく見ておく必要があります。
創業されてまだ日の浅い企業でも、そのほかの会社と同じような労務問題を抱えているケースはよく見られます。
むしろ、できたばかりの会社であるゆえに、労働環境が十分に整備されておらず、コンプライアンス違反が見られることも比較的よくあるのです。
このことは労働者側にも知られていることであり、大企業とは異なる環境で働くことも多少は覚悟のうえで飛び込む方は多いです。
それでも離職率が高いベンチャー企業は、社員にとって看過できない大きな問題がある会社、いわゆるブラック企業の可能性もあります。
離職率はその会社の実態のすべてを表すのではないものの、よい職場かどうかを見極める1つの指標になるので、応募前には見ておくとよいでしょう。
働き方の変化がある
先述したように、ベンチャー企業は労働環境がまだ十分に整備されておらず、業務にあたり社員に重い負担がかかっていることもよくあります。
法令の定めより、労働時間が長かったり、勤務日数が多かったりするのはよくある例です。
また、研修などの教育の場を社内に設け、新卒を含めた未経験の社員を戦力として育てるのも一般的でしょう。
しかし、ベンチャー企業にはそこまでの余裕がないことも多いです。
その関係で研修はもちろんのこと、上司や先輩社員によるサポートもないなか、未経験の仕事を任されることもよくあります。
このようにベンチャー企業では、働きやすい社内環境やコンプライアンスに注意している企業では経験しない環境に置かれやすいです。
結果、転職前とは働き方がどうしても変わりやすいことは、十分に承知しておきたいポイントです。
何ができるかを問われる
新卒社員は将来性を見込んで本人の意欲や人柄などを基準に採用されるものの、転職者は基本的にビジネススキルを求められます。
以前勤めていたのがたとえ有名企業でも、面接などの場でチェックされているのはあくまで本人ができることです。
できることが少なかったり、その企業で現在求められているスキルとは異なったりすると、あまり採用されません。
また、新たな人員の加入により、新規事業を始められる可能性もあるので、社内でやりたいことを採用にあたって問われることもあります。
もちろん漠然とした夢のことではなく、自身のスキルやその会社の事業と関係があり、社内で実現できる内容であるのが望ましいです。
たとえ未経験を可とされていても、中途採用に応募する以上はこのようなことも問われるので、面接で答えられるようにしっかり準備しておきましょう。
未経験転職の前に準備すべきこと
転職を成功させるためにも、これまでご紹介してきたベンチャー企業で直面しやすい問題や環境をふまえ、相応の準備をしておきたいところでしょう。
十分な準備をしておくと、まず採用される確率を上げられます。
たとえ未経験とはいえ、十分な準備があれば面接などでしっかりアピールでき、話題になりやすいからです。
また、面接を通過して入社したあとにも、ビジネスの現場で力を発揮しやすくなり、中途採用者として評価されやすくなります。
そのためにも、以下のような知識や力をできるだけ事前につけておくとよいでしょう。
専門用語を覚えておく
何も知らないと意味不明な外国語も、単語を調べて意味がわかると日常的なコミュニケーションへと特に支障なく活用できます。
特定の業界で使われている専門用語も同様です。
意味を事前に押さえておけば特に困りません。
飛び込みたい業界で一般的に使われている専門用語を調べる方法には、まずは本があげられます。
初心者向けの参考書や入門書などがあれば参照し、基本的な業界用語はよく覚えておきましょう。
このほか、最近では動画サイトも勉強によく使われています。
大手サイトであるYouTubeなどで検索すると、興味のある業界の方による動画が見つかり、専門用語の意味や使い方を確認できることもあります。
特定の業界への転職者に向け、押さえるべき知識を案内する動画が見つかることもあるので、一度チェックしておくとよいでしょう。
ビジネスモデルを把握しておく
転職先で戦力となってしっかり働くには、ビジネスモデルの理解度も重要です。
仕事の流れがわかっていないと、効率よく動けなかったり、必要な準備が不足したりします。
また、自身の任された仕事が会社の利益へとどのようにつながるのかもわかっていないと、仕事の意義や重要度を適切に判断できず、周囲からの評価も得られにくいものです。
実際のビジネスモデルは会社によって異なるので、事前に把握するのは難しいものの、その業界で一般的なものは押さえておくのが望ましいでしょう。
業務に関する基本的な流れや構造がわかっていれば、入社後に仕事の全体像が把握しやすく、社内で適切な対応が取れます。
入社した会社のビジネスモデルに独特なところがあっても、基本をわかっていれば理解しやすいので、事前によく調べておくとよいでしょう。
基本的スキルを身につけておく
いくら未経験でもよいとはされていても、その仕事に就くにあたって最低限必要なスキルはあるものです。
たとえばIT系のベンチャー企業でエンジニアとして働きたいなら、基本的なプログラミングのスキルは欠かせません。
その業種や職種で必須のスキルがあまりに不足していると、入社後の負担はより重くなります。
先述のとおり、ベンチャー企業では教育を受けられる機会が限られやすく、入社後の研修はそれほど期待できないものです。
その会社の現場で求められるものの習得までは難しくとも、スキルの基本的な部分は事前に本やインターネットで調べて身につけておくとよいです。
そうすれば入社後に与えられる仕事にもついていきやすいうえ、現場で求められるスキルを少しでも早く習得できるので、必須スキルは事前に少しでも身につけておきましょう。
転職を成功させるために就活エージェントを利用しよう
未経験でもベンチャー企業へと転職できる可能性はあるものの、これまでの環境との違いなどもふまえると、決して簡単ではありません。
少しでも転職の成功率を上げるためにも、就活エージェントを利用するのがおすすめです。
就活エージェントは、人手を欲している企業と、仕事を求めている個人をつないでいます。
ミスマッチがないように、双方からよく話を聞き、適していると思われる企業や個人を引き合わせるのです。
求職者にとっては転職についてのよき相談相手でもあり、今回ご紹介したようなベンチャー企業特有の労働環境など、気になっていることを気軽にたずねられます。
自身の希望やスキルをふまえ、合っている企業も紹介されるので、転職先を個人で探すよりミスマッチの確率も下げられます。
ベンチャー企業に転職したいときにおすすめなので、ぜひ利用してみてください。
まとめ
未経験でもベンチャー企業へ転職できる可能性はあるものの、注意したいポイントは多いです。
すでに経営が軌道に乗っている大手企業とは違ってあらゆる面が発展途上であり、社員にとって負担が重い部分もあります。
さらに、発展途上の会社だからといって好きなことが自由にできるとは限らないうえ、やはり中途社員として実力が求められることにも注意が欠かせません。
想像とのギャップが大きく、入社からまもなく退職する事態に陥らないよう、必要な準備はしっかりと行い、就活エージェントなども活用するとよいでしょう。
