はじめに
転職すると決めたとき、「まずは履歴書を用意しよう」と考える方は多いでしょう。
しかし、いざ取り組み始めると「この書き方で良いのだろうか」と不安になったり、どうしたら企業の目に留まる履歴書が作れるのか悩んでしまったりするかもしれません。
そこで今回は、転職活動で履歴書を書く際の要点について詳しく解説します。
【転職の履歴書の書き方】企業が見ているポイント
中途採用の場合は、履歴書とともに職務経歴書の提出を求められる場合がほとんどです。
そのため、あなたのこれまでの経験や持っているスキルについては、職務経歴書で説明することになります。
では、企業は履歴書のどんなところを見て、どのようなことを読み取ろうとしているのでしょうか。
まずは、履歴書作成において重要なポイントをいくつか挙げていきます。
それらを満たす履歴書を作り、採用担当者の心を掴むようにしてください。
企業が知りたいことを答えられているか
企業は、履歴書に記載された「当社で具体的に何がしたいのか?」「何ができるのか?」「入社したいと考える理由」などの内容から、あなたが自社の採用ニーズにマッチした人材なのかを見極めようとしています。
そのため、志望動機にはその答えとなる内容を盛り込む必要があります。
履歴書は、ただ事実を羅列するのではなく、企業はどんなことを知りたいのかということを把握したうえで、それらを的確に書き表すことが大切なのです。
もちろん、履歴書は単なる提出書類ではなく、選考における判断材料のひとつです。
提出した時点で、採用・不採用のふるい分けは始まっているのだということを念頭に置き、見る人の立場になって作成するよう心がけましょう。
論理的に伝えられているか
業種や役職を問わず、すべての社会人が身に付けるべきスキルのひとつが論理的思考力です。
打ち合わせや会議、日々のコミュニケーション、営業現場など、社会人はさまざまな場面で意見を主張することが求められます。
それを相手に無理やり押しつけるのではなく、納得感を持って受け止めてもらうためには、「論理的に考えて伝える」ということを心がけなくてはなりません。
企業は履歴書を通して、あなたが論理的に自分の意見を伝える力を持っているかどうかを見ています。
特に志望動機と自己PRは、まさにあなた自身のことをアピールする絶好のチャンスです。
物事をわかりやすく整理し、筋道の通った主張をすることができれば、論理的思考力を持った候補者として採用担当者の評価も高くなるでしょう。
志望意欲があるか
履歴書において、特に力を注いで書かなければならない項目は志望動機と自己PRです。
採用担当者は、この2つの項目から志望意欲の程度を測り、より志望意欲の高い候補者を採用したいと考えています。
転職理由が現在の勤務先への不満といったネガティブなものであっても、自分のスキルや経験を活かしてキャリアアップを図りたいなど、前向きな内容に書き換えてアピール度を高めましょう。
入社後の配属や待遇の要望ばかり書かれていると、「本気でこの会社を志望したのか?」という不信感を抱かせてしまうので注意が必要です。
また、細かい条件を提示しすぎると「労働条件に不満を持って、また辞めてしまうのではないか」という印象を与えるおそれもあるため気をつけましょう。
どんな人物か
企業は年齢や学歴、顔写真や経験企業など、履歴書のあらゆる情報から、あなたがどんな人なのかを判断します。
また、人柄も加味したうえで、採用の合否を決めていることがほとんどです。
たとえば、顔写真から仕事の意欲や性格といった人物像をイメージする採用担当者もいますので、撮影の際は好印象を与える表情、服装に気を配りましょう。
また、「書類に書かれた文章は丁寧か」「わかりやすく丁寧に作成しているか」という点も企業は見ています。
書類に不備が多い候補者は、SPIなどの適性検査や性格検査でも「慎重性に欠ける」などの診断結果が出ることが多いため、書類選考で落とされてしまう可能性があるのです。
文章にはその人の性格が出るものなので、悪い印象を与える表現などがないことを必ず確認しましょう。
【転職の履歴書の書き方】履歴書作成のポイント
企業の採用担当者は、応募者が書いた履歴書からさまざまなことを見定めようとします。
裏を返せば、採用担当者にとってわかりにくい履歴書は、選考に通らない可能性が高いということになってしまいます。
では、具体的にどのように書いていけば次のステップに進めるのでしょうか。
履歴書には、書くべき項目が多々あるので、大変そうだと感じるかもしれません。
次項でそれぞれ詳しく解説していきますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
日付は郵送日か提出日を書く
履歴書の日付は、 その履歴書を「応募先の企業に提出する日」を記入します。
つまり、郵送なら「郵便局に持ち込む日」「ポストに投函する日」、持参するのであれば「企業を訪問する日」を記入することになります。
このとき、履歴書を作成した日付を書かないように気をつけましょう。
年の記載方法については、和暦(令和○年)や西暦(20○○年)など、特にルールは決まっておらず、自分が書きやすい方を選んでOKです。
ただし、この項目に限らず履歴書全体で、必ずどちらかの表記に統一するようにしましょう。
学歴は高校入学から、職歴は時系列ごとに書く
学歴は、高校入学から最終学歴までを記入します。
最終学歴が中学校の場合、中学校卒業も記載します。
このとき、浪人、留年はあえて書く必要はありません。
また、職歴は時系列で、会社名は略さず正式名称で記入します。
企業の合併・買収などで社名が変わった場合は、当時の社名と現在の社名の両方を記載します。
会社名の横か次の行に業種と従業員数、簡単な職務内容を書いておくと親切です。
異動などで部署が変わっている場合は、その部署名と異動年月も記入しましょう。
顔写真は3ヶ月以内に撮影したものを使用する
履歴書を手にした採用担当者が、まずチェックするのが顔写真です。
強い印象を与える箇所だからこそ、面接時との差をなるべく減らすように心がけましょう。
写真は、提出日から3ヶ月以内を目安に撮影したものを使用します。
スピード写真ではなくスタジオで撮影したものの方が、印象は良くなります。
また、万が一剥がれた場合に備え、写真の裏に名前を記入しておきましょう。
履歴書を書き損じることもあるため、写真を貼る作業は最後にするのがおすすめです。
資格の記入は注意が必要
資格は、あなたの能力を証明してくれる重要なものです。
しかし、応募企業に関連性のない資格や免許が記入されていると、採用担当者はあなたの志向に疑問を持ってしまうかもしれません。
たくさんの資格を持っている場合は、応募条件などをしっかりと確認し、その職種で活かせるもののみ記入するようにしましょう。
取得時から資格の名称が変わっている場合は、取得時の資格名を記載します。
業務のために今後取得したいと考え、勉強しているものがあれば、それについても書きましょう。
趣味は好印象なものだけを書く
採用担当者は、趣味・特技欄からあなたの人柄を伺おうとするため、空欄にせず記入しましょう。
記載する内容は、単に興味があるものでもOKです。
カッコ書きなどで、具体的なエピソードを加えるのも良いでしょう。
ただし、採用担当者が懸念を抱くような趣味(パチンコや競馬など)は控えるのが無難です。
また、あまりにも趣味が多いと「趣味を優先する応募者なのではないか」と受け取られる可能性もあるので、ある程度絞り込んで書くようにしましょう。
志望動機は志望度の高さをアピールする
志望動機は、単になぜその会社、仕事を希望するのか、その理由を書けば良いというわけではありません。
「なぜ競合他社ではなく自社なのか」「自社の独自性や強みを理解しているか」という点を採用担当者は見ています。
自分のキャリアや志向と応募先での仕事内容とを結び付けて、入社したらどのような働き方ができるのか端的に書きましょう。
また、その会社、仕事を通じてどんな将来目標を実現したいと考えているのかなどを明確にし、志望度の高さを具体的に伝えることも大切です。
自己PRは得意な仕事をアピールする
自己PRは、「自分を採用すべき理由」「自分が入社した際に貢献できること」を自ら積極的に提示して、採用の判断を後押しするための項目です。
前職での実績や経験を、応募企業の人材像を踏まえてアピールしながら貢献していきたいという意欲を示しましょう。
昨対比・目標達成率・社内順位など、比較対象や難易度がわかる事実に対し、数字を交えて書くと説得力が高まります。
経験やスキルがない場合でも、忍耐力や積極性などの強みを「仕事でどう活かせるか」「どう貢献できるか」を説明することができれば、企業が求める自己PRが書けるでしょう。
【転職の履歴書の書き方】履歴書作成の注意点
ここまで述べてきたようなポイントが押さえられていても、履歴書を書くにあたり、気をつけなくてはならない基本的なことが見落とされていると、採用担当者の評価を得ることはできません。
社会人として、書類を作る際にも言われる注意点がいくつかあります。
「そんなこと知っている」「社会の常識だ」と思うところも多いかもしれませんが、そんな箇所にこそミスは発生しやすいものです。
ここまでの努力を台無しにしないためにも、以下の項目を確認してみてください。
誤字脱字をチェックする
当然のことですが、誤字や脱字がないように気をつけて記入しましょう。
誤字や脱字があると、社会人としての基礎的能力が低いという印象を与えてしまいます。
自分自身で何度も確認するのはもちろん大切ですが、第三者に確認してもらうと、自分では気づけなかったミスが発見される場合もあるので、ぜひ身近な方に依頼しましょう。
また、字の間違いだけでなく、文章は「である調」か「です・ます調」のどちらかで統一されているか、略語を使っていないかなどもきちんとチェックしましょう。
空欄をなくす
履歴書は自分をアピールするためのツールなので、埋められる欄はすべて記入するのが基本です。
とはいえ、何も資格や免許を保有していないので資格欄に書くことがないなど、記入すべきことがない項目は無理に記載する必要はありません。
記入すべき項目が記載されていれば、空欄があっても選考上不利になることはないのです。
ただ、空欄のままにしてしまうと、記入漏れだと誤解される場合があります。
書くべきことがない場合は、「特になし」と記入しましょう。
ボールペンなど消えないペンで書く
摩擦や熱で消えるタイプのペンは、一般的に、公的な書類には使えないことになっています。
不正の温床にもなるので、履歴書として認めていない企業が多いのです。
もし文字が消えてしまった場合は、脱字や記入漏れとして扱われてしまうので、履歴書はボールペンなど消えないペンで書くようにしてください。
また、ペンで書く前に鉛筆などで下書きをしておけば、書き損じるリスクを減らすことができますし、きれいに仕上げることができます。
学校名などは正式名称で記入する
履歴書は、求人に応募する際に企業側へ提出する「公的書類」です。
些細なことでも、記入ミスがあると内容の信憑性に欠けてしまいます。
自分の出身校や学科、学部などの名称は、履歴書を書く前によく確認し、略さず正式名称で記入しましょう。
たとえば、「高校」は略語なので、正しく「高等学校」と書きましょう。
大学は学部・学科・コース名など、記入漏れがないよう注意し、応募職種で活かせる専攻・研究テーマはさらに詳細に記入します。
【転職の履歴書の書き方】手書きとパソコン作成はどちらが良いか
応募先企業から指定がない場合、履歴書は手書きとパソコンのどちらで作成しても問題はありません。
中途採用の場合は、業務を通じて培ったスキル・経験・実績など、履歴書に書かれる内容そのものがより重視されるため、履歴書の作成方法が合否の決め手になることはほとんどないからです。
このとき、パソコンで作成すれば、間違いなく手書きよりも読みやすいものが作れますし、修正も簡単です。
パソコンスキルをアピールすることもできるので、特別な事情がない限りはパソコンを使って作るようにしましょう。
【転職の履歴書の書き方】エージェントに履歴書を添削してもらおう
自分の魅力を企業にしっかりと伝える履歴書が書けるようになるためには、何度か練習をする必要があります。
「まだ自信がない」「もっと良い書き方があるような気がする」と思う方は、転職エージェントに頼ってみるのがおすすめです。
企業研究や選考対策に役立つアドバイスを行い、就職に関する悩みを抱えている方を全面的にサポートしていきますので、興味がある方は転職成功のためにぜひ活用してみてください。
会員登録は無料で、以下のサイトから行えます。
まとめ
この記事を読んで、転職活動で履歴書を書く際に心がけるべきこと、注意すべきことなどが理解できたかと思います。
書くのが難しいと感じていた方も、そのハードルが少し低くなったのではないでしょうか。
今回の内容を頭に入れ、まずは一度履歴書を書いてみましょう。
ひと通り書けたら、身近な人や転職エージェントに見てもらい、改善できる箇所はしていくという作業が非常に大切です。
志望する企業や職種のため、第一関門である書類選考を確実に突破できる履歴書作りに励みましょう。