はじめに
近年、転職のエントリーや必要事項の記入といった手続きは、インターネット上だけで完結させている企業も増えています。
しかし、封筒を用いた紙の書類提出を必須としている企業は少なくありません。
そういった企業にエントリーする際、封筒の選択ミスや提出方法の間違いは、大きなマイナスポイントとなってしまうでしょう。
そこで今回は、封筒の選び方と書くべき内容、提出する際の注意点について解説します。
封筒を用いた書類提出について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
封筒の選び方
書類を提出する際に使われる封筒の色や形式は、ある程度セオリーが決まっているため、それを押さえておけば封筒選びでそれほど悩むことはありません。
一方、セオリーから外れた奇抜な封筒を用いると、たとえ中身の書類がしっかり書けていても、悪い印象を与えてしまう可能性があります。
以下の形式に当てはまる封筒は比較的手に入りやすいので、あらかじめ準備しておきましょう。
念のため、書き損じなどで余分に消費することも想定し、少し多めに購入しておくことをおすすめします。
白色がおすすめ
あまりに派手すぎる色の封筒は、転職の書類を提出する用途としては相応しくありません。
一般的にビジネスで使われる白、水色、茶色の3つから選択すると良いでしょう。
通常使用されることの多い茶封筒はクラフト紙でできており、ビジネスシーンでは実用的な書類の送付にしばしば用いられます。
一方、ケント紙や白クラフト紙で作られた白封筒は、より改まった丁寧な印象を与える封筒です。
なかには、白封筒を使用しているかどうかをビジネスマナーの判断材料としている企業も存在しています。
多くの企業では、茶色や水色の封筒を使用したことが直接選考に影響することはありませんが、迷った場合は白を選ぶのがおすすめです。
白封筒は郵便局や文具店など幅広い場所で販売されているので、多めの数を用意しておきましょう。
サイズは「角形2号」
封筒は、基本的に角形2号を選んでおけば問題ありません。
角形2号は縦332mm、横240mmの封筒であり、これはA4サイズの書類がクリアファイルに入れた状態でもきれいに入る大きさです。
履歴書などの重要書類はあまり小さく折り曲げるべきではなく、これ以上大きい封筒を選ぶ必要性も薄いため、基本的にはこの大きさがベストになります。
郵送する場合は定形外郵便の規格になるので、間違えないようにしましょう。
封筒を直接持参する場合は、封筒が折れ曲がらないような大きめの鞄を選ぶことも大切です。
正しい封筒の書き方
続いて、封筒の宛先の書き方について確認していきましょう。
記載するべき内容は郵送か、手渡しで提出するかによって異なります。
いずれの場合でも、字が大きく乱れている、また記載内容に過不足がある場合は、人事担当者に悪印象を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。
宛先は、基本的にボールペンを使って縦書きで記入しましょう。
封筒に大きな文字を書き慣れていない場合、書き損じたり封筒が汚れてしまったりすることも多いため、予備の封筒を用意しておくことをおすすめします。
郵送するとき
まずは、封筒を郵送して提出する際の書き方について解説します。
住所や宛先が間違っていると、スムーズに企業に届かず起原に間に合わなくなってしまう場合もあるため、誤字脱字には注意しましょう。
また、字の丁寧さやレイアウトに気を配ることも重要です。
手渡しする場合に比べて記述する内容が多いため、文字の配置や大きさのバランスを考えなくてはいけません。
定規を使って文字が曲がらないように工夫し、予備の封筒などを使ってしっかり練習も重ねると良いでしょう。
住所
送付先の住所は、封筒の一番右側に記載します。
目的の企業に書類を届けるためには特に重要な情報なので、企業のホームページなどでしっかり確認し、ミスがないようにしましょう。
住所は都道府県から始まり、市区町村・番地・建物・階数までを、企業名や名前より小さめの文字で記載します。
住所の数字はアラビア数字でも漢数字でも問題ありませんが、漢数字で読み間違えが発生しやすい住所であれば、アラビア数字を使用するのがおすすめです。
文字が小さすぎても見栄えが悪いので、住所の文字数とのバランスを考えて大きさを決めましょう。
封筒の上から下まですべてのスペースを使うのではなく、適度な部分で改行することも大切です。
また、住所の右上には郵便番号を横書きで記載します。
封筒によっては専用の枠が用意されているので、それを利用しましょう。
会社・部署・宛先の人物
宛先の会社名は住所の隣、中央のやや右に記載します。
この際に重要なのは、(株)といった略称を使わないことです。
略称で呼ぶのが一般的な企業にエントリーする場合はミスが起こりやすいため、ホームページなどで正式名称をチェックしておきましょう。
企業名の後には、宛先の個人名や部署を記載します。
宛先が個人の場合は、やや小さめに所属する部署名を書いた後に大きめの文字で「○○様」、部署宛ての場合は大きめの文字で「○○人事部御中」などと書きましょう。
なお、「御中」は企業や部署に送るときだけに用いる敬称であり、個人宛ての場合は「○○人事部御中○○様」のように敬称を重複させる必要はありません。
また、人名には普段あまり馴染みがない漢字が使われることも多いので、書き間違いがないように事前に確認しておきましょう。
履歴書在中
履歴書を提出する場合は、封筒の左下に縦書きで「履歴書在中」と記載し、周囲を長方形で囲みましょう。
ただし、ここだけは赤色のペンを用いるのが一般的です。
こうすることですぐに中身が履歴書だとわかり、迅速に担当者まで届けてもらいやすくなります。
なお、職務経歴書やポートフォリオなど、履歴書と送付状以外の書類を同封している場合は、「応募書類在中」と書くのがより相応しい表記です。
また、最初から「履歴書在中」と印刷されている封筒や、専用のスタンプを用いても問題ありません。
自分の住所・名前・郵便番号
封筒の表に住所と宛名を書き終わったら、次は裏面の左下に自身の住所と名前を縦書き、郵便番号を横書きで記載します。
こちらも文字や配置のバランスは、表に書いたものとあまり違いはありません。
ただし、全体の高さが封筒の中央をやや超える程度に小さくまとめ、住所と名前は一番下の文字の高さをそろえると見栄えが良くなります。
また、書類を入れてふたを閉めた後は、中央の綴じ目に〆マークを書いておきましょう。
さらに、封筒の左上に投函日を記載しておくとより丁寧な印象になります。
手渡しするとき
次は、面接や説明会などで、人事担当者に直接手渡す封筒の書き方について解説します。
手渡しの場合、住所や企業名などの宛先表記は必要ありません。
直接自身で手渡すことになるため、誤字や字の乱れで企業に届かないといった心配も不要です。
一方、書類の作成から手渡しまでに人の手がまったく介在しないため、汚れや折れ曲がりといった不備はすべて自分の責任になってしまいます。
人事担当者は封筒の状態など細かい部分もしっかり選考材料として見ているため、可能な限りきれいな状態で手渡せるように準備をしておくと良いでしょう。
表面は「履歴書在中」とだけ書く
手渡しで封筒を提出する場合、住所や名前などの宛先は必要ないため、表に記載する内容は「履歴書在中」だけになります。
記載する色や位置は、郵送する場合と同じで問題ありません。
赤色のペンを使い左下に記載し、周囲を長方形の枠で囲みましょう。
表に書く内容はこれだけなので、郵送する封筒に比べると寂しい印象を受けるかもしれません。
しかし、逆にビジネスマナーを理解していないという印象を人事担当者に与えてしまう場合もあるので、不要な情報を書くのは控えましょう。
裏面に郵便番号・住所・氏名
裏面の左下には、郵送の場合と同様に自身の住所(郵便番号)と氏名を記載します。
住所と氏名は縦書きで、郵便番号だけが横書きという点も郵送の場合と同じです。
人事担当者やほかのスタッフが混乱しないように、誰の応募書類かわかりやすい状態にしておきましょう。
ただし、詳しくは後述しますが、手渡しの場合はその場で履歴書を取り出すケースも多いため、基本的に封はしません。
そのため、綴じ目の〆マークも不要です。
また、手渡しなので投函日を記載する必要もありません。
封筒を郵送する際の注意点
次は、宛名などの記載を終えた封筒を、郵送で提出する際の注意点について解説します。
メールなどオンラインでのやり取りが普及している昨今、郵便で手紙や封筒を出す機会はあまり多くないかもしれません。
直前になってわからないことが発覚すると、準備が間に合わなくなる場合もあるので、定形外郵便の出し方、ポストや郵便局の位置などを事前にしっかり確認しておきましょう。
また、封筒を折り曲げない、汚さないといった基本的な注意も大切です。
封筒を出しに行く過程で雨に降られる、インクが乾いておらず封筒が汚れるといった事態が起こる可能性もあるので、最後まで油断せず余裕を持って郵送しましょう。
郵送の方法に不安がある方は、ポストに投函するのではなく郵便局を利用することをおすすめします。
締め切りと到着日を確認
履歴書を郵送する際に注意しなければいけないのは、締め切りと到着日の問題です。
書類提出の締め切りは、基本的に採用ページや個別の連絡で告知されますが、言及される日付には2つの種類が存在しています。
1つ目は、指定の日時までに必着という締め切りです。
この締め切りの場合は、文字どおりその日付までに相手の手元に届いていなければなりません。
場合によっては、日付だけでなく「○日18時まで」といったように、必着の時間が指定されている場合もあります。
郵便が届くのにかかる日数は、自身と企業の位置関係によって異なり、また天候や交通の状況によっても変動するため、必着が間に合うタイミングを見極めるのは困難です。
可能であれば締め切りより5日前には投函し、間に合わない可能性がある場合は速達を利用しましょう。
2つ目は、指定の日付の消印有効という締め切りです。
この締め切りの場合は、その日付までに郵便局で消印が押されていれば問題ありません。
ポストに投函していた場合は確認が翌日になる可能性もあるので、締め切りが近い場合は郵便局の窓口で手続きを行いましょう。
切手の貼り忘れ・料金不足に気をつける
封筒を郵送する際に注意が必要なもう1つのポイントは、切手の問題です。
普段郵便を利用しない方の場合は、まず切手を貼り忘れないことから注意しておきましょう。
そしていざ切手を貼ろうとすると、厄介なのは料金の計算です。
切手の料金が不足していると、差出人の住所に戻されるか、宛先の企業に料金不足の旨を告知したうえで届けられることになってしまいます。
再び郵送すると締め切りに間に合わなくなる可能性があるので、料金不足によるトラブルは回避するようにしましょう。
なお、必要な切手の料金は寸法・厚み・重量によって変わってきます。
履歴書などの書類数枚程度であれば、規定を超えることはほとんどありませんが、ポートフォリオなどを同封する場合は注意が必要です。
そのため、不安な場合は郵便局の窓口で提出することをおすすめします。
送付状を同封する
履歴書を郵送する際に忘れてはいけないのが、送付状の存在です。
送付状とは、誰が・何を・どのくらい送ったのかを示す書類であり、同時に履歴書という本題を見せる前の挨拶としての役目も持っています。
インターネット上ではサンプルやテンプレートが公開されているので、それらを活用して作成しましょう。
つまり、封筒は送付状と履歴書をクリアファイルに入れて送ることになります。
送付状は挨拶としての意味もあるため、履歴書の上に重ねてクリアファイルに入れましょう。
この際、それぞれの書類の向きをそろえ、下の書類が折れ曲がっていないことを確認するのも大切です。
なお、職務経歴書やポートフォリオなど履歴書以外の書類も併せて提出する場合は、履歴書の下にそれらの書類を重ねて入れることになります。
送付状については以下の記事で詳しく解説していますので、不安な方はこちらもぜひチェックしてみてください。
封筒を手渡しするときの注意点
説明会や面接に参加した際など、封筒に入れた書類を人事担当者に直接渡すことになる場合があります。
そういったケースでは、到着日や切手といった郵送する際の注意点を気にする必要はありません。
一方、対面で相手にものを渡すという性質上、細かい動作やマナーが注意深く見られることになります。
事前に細かいマナーについてチェックし、必要であれば渡す際の流れを練習しておくと良いでしょう。
ただし、封筒を渡す際の流れは現場ごとに異なるため、臨機応変に対応することも大切です。
面接官に直接渡すときは封筒から出す
封筒を持参して渡す場合は、面接の直前に面接官に直接渡すケースと、企業の受付や説明会のスタッフに渡す場合の2つがあります。
前者の場合、すぐに履歴書を見る可能性が高いため、相手に余計な手間をかけさせないために、自分で封筒からクリアファイルを取り出して渡しましょう。
封筒の上にクリアファイルを重ね、「履歴書をお持ちいたしましたので、よろしくお願いいたします」といった一言を添えて手渡すと丁寧な印象になります。
基本的に、提出するタイミングは面接官から促されることになりますが、面接の終わりまで提出のタイミングがなかった場合は、自分から声をかけて確認しましょう。
一方、受付など面接官以外に渡す場合は、封筒からは取り出さずそのまま手渡します。
面接官に渡す場合と同様に、落ち着いて丁寧に渡しましょう。
クリアファイルに入れたまま面接官から見た際に正しい向きになるように渡す
もう1つの注意点は、書類を渡す際の向きです。
面接官から見やすいように、手前側を面接官に向けて、両手で差し出しましょう。
細かい部分ではありますが、こういった部分でビジネスマナーを見られている可能性があります。
また、スムーズに履歴書を渡すためには、封筒も取り出しやすい位置に持っておかなくてはいけません。
鞄の取り出しやすい位置に封筒を入れておく、あらかじめ封筒を鞄から取り出しておくといった工夫をすると良いでしょう。
ただし、鞄の外側は雨などの影響を受けやすい、折れやすいといったデメリットを持つ可能性があるので注意が必要です。
なお、封筒を持参して手渡す場合は、先述したように封は必要ありません。
誤って封をして、その場で破ることがないように注意してください。
履歴書のマナーや作り方が不安・面倒くさい人はエージェントの利用がおすすめ
ここまで解説してきたように、履歴書を封筒に入れる封筒の記載方法、提出方法には守らなければいけないさまざまなルールが存在します。
封筒を使った書類提出に慣れていない方は、1つの封筒を作成するのにも少なからぬ時間をかけることになるでしょう。
さらに、これはあくまで封筒に関するマナーであり、中身の履歴書についてはさらに時間をかけて作成しなくてはいけません。
履歴書作成や提出方法に不安がある場合は、転職エージェントに相談することをおすすめします。
単純に書類作成や封筒の準備にかける時間と手間が減らせるだけでなく、その分の時間を自己分析や企業研究などほかの作業に回すことも可能です。
履歴書の推敲や面接時のマナーなどについても相談可能なので、興味がある方はぜひ活用してみてください。
まとめ
封筒は、中身の書類よりも先に人事担当者が目にすることになる、あなたの第一印象です。
その封筒が折れ曲がっていたり、宛名の字が間違っていたりした場合、たとえ中身の履歴書がきちんと作成されていても悪印象は免れないでしょう。
中身に注力しているからこそ、外見にも手を抜かないことが大切なのです。
もちろん、字のきれいさも印象に影響します。
基本的には、字のうまさそのものよりビジネスマナーを理解しているかといった点が重視される傾向にありますが、余裕があれば字の練習をするのも良いでしょう。