中国で台頭する「BATH」とは?GAFAを脅かす巨大IT企業群を徹底解説!

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はじめに

IT企業やベンチャー企業に興味がある方は「BATH」という言葉を、聞いたことがあるのではないでしょうか。

業界内では非常に有名な言葉ではありますが、実際どんな意味なのかご存じない方もいるかもしれません。

現在就活中あるいはこれから就活をされる予定の方で、今後IT業界に身を置くつもりであれば知っておくべきです。

そこで今回はBATHについてご紹介いたします。

どういった言葉なのかご存じない方は、ぜひとも参考にしてみてください。

BATHとは

そもそも「BATH」が何かというと、世界的に有名な中国を代表するIT企業の頭文字群のことです。

その内訳がBaidu(バイドゥ)・Alibaba(アリババ)や、Tencent(テンセント)・HUAWEI(ファーウェイ)なのでBATHです。

HUAWEIはスマートフォンのメーカーとして、日本でも認識されているでしょう。

どの企業も中国におけるTOPのIT企業で、アメリカにおける有名IT企業4つの総称「GAFA」に迫る勢いで成長をしています。

IT業界の人間であれば知っていて当然といっても過言ではありません。

しかし語源だけ知っていても、それぞれの企業を知らなければ、理解していることにはならないでしょう。

まずはどのような企業であるのかを知るところからはじめましょう。

Baidu(百度・バイドゥ)

中国国内でも最大規模の検索サービスを提供している企業です。

日本ではGoogleがもっとも有名かもしれませんが、Baiduもそれに勝るとも劣らない勢いで成長しています。

検索サービスのほかにも、Googleの提供するサービスと類似のサービスを提供しているのです。

中国では独自の「グレートファイアウォール」という、ネット検閲システムが存在しています。

その影響で海外のネットワークには容易に接続ができない状態になっています。

そのため、中国国内ではGoogleよりもBaiduの需要が高いのです。

またマップに関しては、Google MapよりもBaidu Mapのほうが詳細な情報を確認できます。

スマートフォン向け文字入力アプリである「Simeji」を提供しているのもBaiduです。

Alibaba(阿里巴巴・アリババ)

ジャック・マー(馬雲)氏によって1999年に創業された、中国国内で幅広く事業展開をしている企業です。

メインはオンライン通販事業で、その規模は中国最大手となります。

特にBtoB ECでは中国のみならず、世界でもトップクラスのシェアを誇っているほどです。

いわゆる中国版Amazonともいわれています。

また、独自の電子決済サービスであるAlipay(アリペイ)を提供しています。

そのほかのクラウドサービスや、国際間の越境トレードなども手がけているのが特徴です。

日本では知名度が低いかもしれません。

しかし取引額だけで見れば、Alibabaグループ全体ではAmazonよりも大きな金額が取り引きされているほどです。

Tencent(騰訊・テンセント)

広東省深セン市に本社を構える、中国国内でSNSやオンラインゲームなどを提供している企業となります。

ゲームの売上高はソニーなどの名だたる競合企業を抑えて、世界でもトップとなっているほどの大企業です。

日本では現時点ではあまり知名度がないかもしれません。

しかしeスポーツの業界ではかなりの優位性があり、知らない人はいないほどです。

ゲームと同時にQQ(テンセントキューキュー)やWeChat(ウィーチャット)などのSNSも運営しているのが特徴です。

アプリにおいてMAU(マンスリーアクティブユーザー)で1位がWeChat、2位がQQとなっています。

そのシェア率の高さを理解できることでしょう。

ほかにもハリウッド映画へ進出しているなど、エンターテイメントの世界において幅広く進出を果たしています。

HUAWEI(華為・ファーウェイ)

日本でもスマートフォンが販売されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

世界のスマホ市場においてTOP3に入るほどの規模である企業となります。

特徴としては低価格であることがあげられます。

そのため発展途上国で特に普及しやすい製品となるわけです。

iPhoneの人気が高い日本では、まだ一部ユーザーの間にしか浸透していない状態といえるでしょう。

しかし中国共産党との距離感が近いことから、情報の抜き取りをしているのではという疑惑がかけられています。

先進国においては伸び悩んでいるというのが現状です。

2020年にはアメリカ政府によって、安全保障上の脅威に関する規制対象とされてしまいました。

先行きについては不透明な状態なのが現状です。

BATHの急成長の秘密

世界中の企業のうち、中国国内に存在している4つの企業がここまでの成長を遂げているのは、珍しいことです。

それにはいくつかの理由が存在しています。

急成長の秘密を知れば、BATHのことをより深く理解できるようになるでしょう。

その理由としては、以下の3つがあげられます。

経済特区・深センに拠点をもっている

BATHは本社、あるいは大きな拠点がすべて深セン市に存在しています。

深セン市は中国初の経済特区に制定されています。

「アジアのシリコンバレー」と呼ばれるまでに成長している世界最先端都市です。

特徴の1つに、研究に対するインセンティブがあげられます。

補助金や研究金というインセンティブが高く、研究しやすい環境であるわけです。

それをベースに新たなテクノロジーやサービスを研究するなら、深セン市という認識が高まっています。

深セン市を起点として、ITテクノロジーの発展する土壌ができあがっているのです。

当然BATHは最先端でなければなりません。

必然的に拠点を深セン市に構えることになり、成長を遂げます。

アメリカの後追いから独自開発へのスタイルの変化

ITなどのテクノロジーにおいて、一昔前まではアメリカが最先端でした。

世界各国が最先端のテクノロジーやサービスを生み出すアメリカの模倣をすることで、成長をしていきました。

それは技術力の差があったことなどが要因として考えられます。

しかし近年では、アメリカに勝るとも劣らない技術力が、中国に備わってきたのです。

そうすると模倣ではなく、独自開発へとスタイルが変化します。

技術力を最大限に活かし、オリジナリティあふれる製品やサービスを開発するようになったのです。

その結果イノベーションに重きを置くような事業内容に変化しました。

これによって中国はアメリカの後追いではなく、反対に世界各国から追われる側の立場に変わりました。

人材の多様性

人材の多様性も急成長の大きな秘密の1つです。

中国の有名大学に在籍していた優秀な人材が卒業後、BATHをはじめとする企業へ就職することになります。

また成長する過程で給与水準が向上し、海外から優秀な人材が流入するようになったのです。

この2つの要素が組み合わさり、企業力が格段に上昇しました。

それを実現できたのも、深セン市の環境あってのことです。

海外からの移住者やほかの地区から引っ越してきた人を、疎外することなく受け入れる温かい環境があるのです。

つまり、多くの人材が集まってきやすくなっています。

人が人を集めるという流れができあがっているので、優秀な人材が企業や技術を成長させているのです。

BATHと合わせて知っておきたい企業

BATHの凄さについて理解できたのではないでしょうか。

そのうえで外してはならない、世界における有名企業がいくつか存在しています。

BATHと同じくIT業界で知らない人はいないといえるほどの、大企業ばかりです。

さまざまな機会で説明ができるくらいに、しっかりと理解しておきましょう。

アメリカの大手IT企業群「GAFA」

BATHと同じく企業名の頭文字を取った企業群に「GAFA」というものが存在しています。

GAFAというのはGoogle・Apple、Facebook・Amazonの4社の総称です。

世界中でも非常に有名な存在ですが、各社についてご紹介していきましょう。

Google(グーグル)

もはや知らない人はいないといっても過言ではないほどの有名企業です。

1998年にラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの2名によって設立されました。

もともとはインターネットの検索エンジンサービスを、メインとして提供しておりました。

現在ではそれに留まらず、Gmailなど数多くのクラウドサービスを提供しているのです。

またPixelというスマートフォンも製造・販売するなど、幅広い分野においても拡大しています。

動画投稿サービスであるYouTubeもGoogleの子会社の1つです。

現代において我々の生活の一部に、深く根づいたサービスを提供しているのがGoogleです。

Apple(アップル)

PCやモバイルデバイスをメインとしたソフトウェアの大手メーカーです。

PCにおいてMacOSという独自OSを開発し、マイクロソフト社のOSであるWindowsと双璧をなす存在となっています。

我々の生活においては、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスが身近な存在です。

そのデザイン性や機能性から、世界中の人気を集めています。

そのほかにもiCloudというクラウドサービスも展開しています。

日本ではスマートフォンのシェアとして圧倒的にiPhoneが高いため、広く認知されている企業といえるでしょう。

Facebook(フェイスブック)

SNS先駆けともいえる存在の、Facebookの運営をしている企業です。

マーク・ザッカーバーグとその友人によって2004年に創業されました。

創業当時はハーバード大学のごく一部に限定されたサービスでした。

しかし爆発的に広まり、最終的には13歳以上であれば誰でも利用できるサービスとなっています。

日本でも非常に人気のある動画・写真投稿SNSの「Instagram」を運営しているのもFacebookです。

インターネット上で個人のつながりを促進するサービスの提供をしている最大手です。

Amazon(アマゾン)

世界最大級のECサイトを運営している企業です。

日本では楽天などの国内ECサイトもありますが、やはりシェアとしては圧倒的にAmazonに軍配があがります。

またECサイトの運営以外にもデータセンター事業にも注力しています。

クラウドサーバーのAWSなどのさまざまなサービスを展開しているのです。

物流における数多くのイノベーション実績もあり、代表的なものがロボット物流です。

人間的に管理しやすいという従来の方法とは違うことが特徴といえます。

保管スペースなどを徹底的に最適化したうえで、ロボットによる商品ピックアップを可能にし、コストの最適化をはかりました。

BATHを猛追する次世代中国企業群「TMD」

中国を代表する企業群がBATHです。

しかし、現在ではそれを追うようにして次世代の企業群が誕生しています。

それが「TMD」です。

今後の中国企業を語るうえで外せない存在なので、どのような企業群なのかしっかりと把握しておくようにしましょう。

Touti ao(今日頭条・トウティアオ)

まずは「Touti ao(トウティアオ)」です。

今、中国で人気を集めているニュース配信アプリのことです。

AIを利用し、信憑性の高いニュースの配信を実現しているのがほかにない特徴となります。

またショートビデオなど自分で投稿することも可能で、コミュニケーションツールとしても活用されています。

運営元は若者を中心に人気を集めている「TikTok」を提供するByteDanceです。

Meituan(美団点評・メイトゥアン)

続いて「Meituan(メイトゥアン)」です。

もともとは大衆点評が運営していた中国大手の口コミ投稿サイトと、クーポンサービスを提供していた美団という2つのサービスでした。

これらが合併することで誕生したのがMeituanです。

食品デリバリーをはじめレストラン評価サイトの運営、ホテルやライドシェア・旅行・映画チケットの販売など、さまざまなサービスを提供しています。

中国における食品のネットデリバリーといえばここというほど、高いシェアを誇っているのです。

DiDi(滴滴出行、ディディ)

タクシーの配車サービスといえばUberが有名でしょう。

このDiDi(ディディ)は中国版Uberといえるタクシーの配車プラットフォームです。

AIを活用し、最適化したタクシー配車を実現しています。

日本でもサービスを開始しており、徐々に知名度を高めています。

タクシーに乗る側だけでなく、ドライバーにとっても便利な機能を搭載しているのが特徴です。

中国における都市交通を変化させたことから「中国最大級のユニコーン企業」とも呼ばれています。

またAppleやSoftBankから出資を受けているなど、世界的な立ち位置も誇っているのです。

BATHの今後

このようなBATHの今後ですが、手放しで期待できるかといえばそうでもありません。

近年ではアメリカと中国の間で発生した関税合戦は、記憶に新しいのではないでしょうか。

またアメリカが中国のデジタル戦略を警戒したことにはじまる、TikTokをめぐる一連の騒動による影響が少なからず生じています。

アメリカは政治的戦略として、脅しのような手法で取り引きを迫っています。

それに対し中国は囲い込みのデジタル戦略で、優位性を保とうとしており対立をしているのです。

BATH自体は着実に成長を続けている最中ではあります。

しかし今後も順調かどうかという点に関しては、このアメリカと中国の関係に注目する必要があるでしょう。

少なからず今後の米中関係の展開次第では、BATHの行く末が決定づけられることに間違いはありません。

まとめ

中国を代表する4大企業の企業群がBATHです。

世界的に有名なGAFAに迫る勢いで急成長を遂げているのです。

深セン市という最先端エリアにて優秀な人材がしのぎを削っているため、今後の成長にも期待ができます。

ただしアメリカと中国の今後の関係性によっては将来性が変わっていきます。

動向には注目するとよいでしょう。

今後IT業界で働くつもりの方や、就活をする際には身につけておくべき知識です。

ぜひとも今後の動向について注目をしていきましょう。

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