ベンチャーキャピタル(VC)とは?メリット・デメリットや重要用語を解説

ベンチャーキャピタル(VC)とは?メリット・デメリットや重要用語を解説

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ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルは高い成長が見込まれる未上場の新興企業に対して資金を提供する投資会社やファンドのことを指します。

銀行の融資とは異なり原則として返済の義務がない資金を出資という形で提供しその見返りとして企業の株式を受け取ります。

投資した企業が成長して株式公開や他社への売却を果たした際にその保有している株式を市場で売却することで出資額と売却額の差額から大きな利益を得ることを目的としています。

資金面だけでなく経営の助言や人材の紹介など企業価値を高めるための様々な支援を伴走しながら行うのが大きな特徴です。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリット

最大の利点は返済義務や利息の支払いがない資金を大規模に調達できることです。

これにより手元の資金繰りに悩むことなく大胆な事業投資や優秀な人材の採用に資源を集中させることができます。

また豊富な投資経験を持つ担当者から経営戦略の助言や事業提携先の紹介など事業を成長させるための強力な後押しを受けられる点も魅力的です。

さらに厳しい審査を通過して著名な投資家から出資を受けたという事実自体が企業の社会的信用を高め優秀な人材の採用や新しい顧客の開拓を有利に進めるための強力な武器となります。

ベンチャーキャピタルから出縁を受けるデメリット

出資と引き換えに自社の株式の一部を渡すため創業者の持ち株比率が下がり経営に対する支配力が弱まることが最大の懸念点です。

投資家は利益を回収するために株式公開や事業売却といった明確な結果をあらかじめ定めた期限内に強く求めてくるため短期的な成長を急がされるプレッシャーが常に付きまといます。

また経営方針を巡って投資家と創業者の間で意見の対立が生じた場合最悪のケースでは取締役会を通じて創業者が自らの会社から追い出されてしまう経営権の喪失という重大なリスクも孕んでいます。

ベンチャーキャピタルが出資する企業を選ぶ際のポイント

投資家は出資した資金を何倍にも増やして回収するという至上命題を抱えているため企業の将来性や経営体制を極めてシビアな目線で評価します。

IPOの可能性がある

投資家が利益を得るための最も理想的な出口戦略が株式公開であるため上場企業の厳しい審査基準を満たせるだけの体制構築が可能かを見極めます。

企業のガバナンスが機能しているか法令遵守の意識は高いかなど単に売上を伸ばすだけでなく社会の公器としてふさわしい組織へと成長できる潜在能力があるかを厳しくチェックし上場というゴールから逆算して投資の可否を判断します。

参入する市場が急成長しており事業の成長性が見込める

どれだけ優れた商品であっても参入する市場の規模が小さかったり衰退していたりすれば大きな売上は見込めません。

そのため社会のデジタル化や環境問題への対応など今後数年間で爆発的に拡大することが確実視されている巨大な市場をターゲットにしているかが重要視されます。

時代の大きな波に乗り市場全体の成長という強力な追い風を受けて事業を急速に拡大できる見込みがあるかを徹底的に分析します。

事業戦略・財務戦略が明瞭である

調達した資金をいつまでに何に使いどのような道筋で利益を生み出すのかという計画が具体的かつ論理的に描かれているかが問われます。

単なる思いつきではなく競合他社の動向や顧客の獲得単価などを緻密に計算し絵に描いた餅ではない現実的な成長ストーリーが構築されているかを確認します。

さらに将来的な追加の資金調達も見据えた隙のない財務戦略を持っているかが評価の大きな分かれ目となります。

経営陣や従業員に魅力がある

事業計画がどれほど完璧でもそれを実行するのは人間であるため経営者の情熱や困難を乗り越える精神力が最終的な投資の決め手となることが多々あります。

変化の激しい市場環境の中で当初の計画が頓挫した際にも諦めずに柔軟に方向転換できるだけの知的な粘り強さがあるか。

そして優秀なエンジニアや営業担当者を惹きつけ同じ目標に向かってチームを牽引できる人間的な魅力やリーダーシップが備わっているかを深く観察します。

独自の技術を有している

他社が簡単に真似できない強固な特許技術や長年の研究に裏打ちされた独自のノウハウを持っている企業は激しい価格競争に巻き込まれることなく市場で優位な立場を築くことができます。

大手企業が豊富な資金力に物を言わせて同じ市場に参入してきたとしても決して脅かされることのない圧倒的な技術的な障壁を築けているかどうかが企業の永続的な価値を左右する最も重要な要素として高く評価されます。

ベンチャーキャピタルの種類

資金の出どころや組織の成り立ちによっていくつかの系統に分類されそれぞれ得意とする投資領域や支援のスタイルが異なります。

金融機関系ベンチャーキャピタル

銀行や証券会社や保険会社などの巨大な金融グループが母体となって設立された投資会社です。

親会社が持つ圧倒的な資金力と全国に広がる顧客ネットワークを活用した手厚い営業支援が強みであり将来的に親会社の証券部門での株式公開の主幹事獲得を見据えて投資を行うケースが多く見られます。

豊富な資金を背景に比較的安定した成長が見込める企業への投資を好む傾向があります。

政府系ベンチャーキャピタル

国の産業競争力の強化や革新的な技術の育成といった公共の利益を目的として政府や公的機関の資金を基に運営されている投資組織です。

民間企業だけではリスクが高すぎて投資が難しい宇宙開発や新素材の研究といった莫大な費用と時間がかかるディープテック領域に対して長期的な視点で粘り強く資金を供給し日本の未来を支える次世代産業を育成するという重要な使命を担っています。

大学系ベンチャーキャピタル

東京大学や京都大学といった主要な研究機関に関連して設立され大学の研究室で生まれた最先端の科学技術を社会に実装するための投資に特化した組織です。

教授や学生が持つ画期的な特許技術をビジネスの形に落とし込むための初期段階での資金提供と経営チームの組成を強力に支援しアカデミアの知を経済的な価値へと変換する橋渡しとして日本のイノベーションの源流を支えています。

事業会社系ベンチャーキャピタル

本業を持つ一般の企業が自社の事業との相乗効果を狙って新興企業に投資を行うために設立した組織です。

純粋な金銭的利益だけでなく投資先が持つ新しい技術やアイデアを自社のサービスに取り入れたり共同で新規事業を立ち上げたりといった戦略的な目的を強く持っています。

投資先の企業にとっては大企業の巨大な顧客基盤や販売網をすぐに活用できるという非常に大きなメリットがあります。

地域系ベンチャーキャピタル

地方銀行や地元の有力企業などが資金を出し合い特定の地域に根ざした企業の育成や地方創生を目的として活動する投資会社です。

都市部に集中しがちな投資資金を地方の有望な企業に供給し雇用を創出して地域経済を活性化させる役割を担っています。

その土地ならではの伝統産業の革新や地域の課題解決に取り組む企業に対して地元に密着したきめ細かい経営支援を行っているのが特徴です。

海外系ベンチャーキャピタル

アメリカのシリコンバレーや中国などを拠点とする世界規模の巨大な投資ファンドが日本の市場に参入して設立した組織です。

数千億円規模という圧倒的な資金力を持ち世界中の成功事例を知り尽くした独自のネットワークと経営ノウハウを提供できるのが最大の強みです。

世界市場での成功を目指すスケールの大きな企業に対して巨額の資金を投じグローバル企業へと一気に引き上げる力を持っています。

独立系ベンチャーキャピタル

金融機関や事業会社などの親会社を持たず独自の理念を持つ個人の投資家たちが集まって資金を集め設立した独立した投資ファンドです。

親会社の意向に縛られることなくパートナー自身の独自の目利き力と信念に基づいた非常に柔軟で機動力のある投資判断ができるのが特徴です。

創業直後の最もリスクの高い段階から経営陣の懐深くに入り込み二人三脚で泥臭く事業を作り上げていくスタイルを得意としています。

ベンチャーキャピタルに関連する重要用語

投資の世界では特有の専門用語が日常的に飛び交うためそれぞれの言葉の正確な意味と文脈を理解しておくことが円滑な資金調達の第一歩となります。

投資フェーズとラウンド

企業の成長段階や資金を調達するタイミングを示す言葉でありそれぞれの段階によって必要となる資金の額や投資家から求められる成果の基準が大きく異なります。

プレシード

会社を設立する前や設立した直後のアイデアしか存在しない最も初期の段階を指します。

製品も売上もなく経営者の熱意や構想だけが頼りの状態であり主に製品のプロトタイプを開発するための最初の少額の資金を集めるフェーズです。

シード

試作品が完成しそれが本当に顧客に受け入れられるか市場の反応を検証し始める種まきの段階です。

事業の方向性を模索するための調査費用や初期のシステム開発費などを調達する時期であり事業の失敗リスクが非常に高いフェーズです。

アーリー

製品やサービスが正式に市場に投入され少数の顧客から売上が立ち始めた初期の成長段階です。

本格的な営業活動やマーケティングを開始して事業の基盤を固めるための資金を調達する時期であり少しずつビジネスの形が見え始めます。

ミドル

事業の仕組みが確立し顧客数や売上が急速に伸びていく事業拡大の真っ只中にある段階です。

競合他社に勝つための大規模な広告宣伝や全国展開に向けた支店の開設そして人員の大幅な増強など事業を一気にスケールさせるための巨額の資金が必要になります。

レイター

事業が完全に軌道に乗り組織体制も成熟して株式公開や事業売却が現実的な目標として目前に迫っている最終段階です。

さらなるシェアの拡大や新しい事業の立ち上げそして上場に向けた社内管理体制の強化などのための仕上げの資金調達を行います。

シリーズA

シード期を抜けて製品の市場適合性が確認された後に行われる本格的な最初の資金調達ラウンドです。

数千万円から数億円規模の資金を集め事業の土台を強固にしていく段階でありここから本格的なベンチャーキャピタルの参入が始まります。

シリーズB

事業の成功モデルが確立しさらなる成長のために数億円から十億円規模の資金を集めるラウンドです。

大規模なマーケティング施策の展開や優秀な経営幹部の採用など事業を次の次元へと引き上げるための重要な投資が行われます。

シリーズC

事業が黒字化し安定的な成長軌道に乗った段階で新規市場への参入や海外展開そして他社の買収など多角的な事業拡大を行うために数十億円規模の大型の資金調達を実施するラウンドです。

シリーズD

株式公開を目前に控えた企業が上場前の最終的な財務基盤の強化や圧倒的な市場シェアを獲得するための最後の一押しとして行う資金調達ラウンドです。

ここまで到達できる企業はごく一握りのエリートに限られます。

ブリッジラウンド

予定していた次の資金調達ラウンドまでの間に計画の遅れなどの理由で手元の資金が底をつきそうになった際につなぎとして短期的に行われる資金調達のことです。

事業の継続を担保するための緊急避難的な意味合いを持ちます。

ダウンラウンド

前回資金調達を行った時よりも企業の評価額が下がってしまった状態で新たな資金調達を行う厳しい状況を指します。

業績の悪化や市場環境の冷え込みが原因であり既存の株主の持ち分が大きく希薄化するため企業にとって非常に苦しい決断となります。

アップラウンド

事業が順調に成長し前回の調達時よりも企業の評価額が高くなった状態で新たな資金調達を行う理想的な状況です。

企業の価値が着実に上がっていることを市場に対して証明でき従業員のモチベーション向上や新たな優秀な人材の獲得にもつながります。

フラットラウンド

前回の資金調達時と全く同じ評価額のままで新たな資金調達を行う状態を指します。

事業の成長が停滞していることを意味するため投資家からは厳しい目で見られますがダウンラウンドを避けるための苦肉の策として用いられることがあります。

ファンドの構造と関係者

投資資金を集めて運用するベンチャーキャピタルという組織の裏側には資金の出し手と運用者という明確な役割分担が存在します。

ジェネラルパートナー

投資ファンドを設立し実際に投資先の企業を探して投資判断を下し経営支援を行う無限責任組合員のことを指します。

ファンドの運用に関するすべての権限と責任を持ち投資が失敗してファンドが借金を背負った場合には自分の資産を投げ打ってでも返済する重い責任を負います。

GP

ジェネラルパートナーをアルファベットで省略した呼称でありベンチャーキャピタルの業界では日常的にこの略称が使われます。

実質的にベンチャーキャピタルという組織を運営している主体そのものを意味する言葉として用いられます。

リミテッドパートナー

ファンドに対して資金を提供する投資家のことで有限責任組合員と呼ばれます。

年金基金や大企業あるいは裕福な個人などが該当し出資した金額以上の損失を被ることはありませんがファンドの具体的な運用方針に対して口を出す権限は持っていません。

LP

リミテッドパートナーをアルファベットで省略した呼称です。

ベンチャーキャピタルは自らの資金だけでなくこのLPから集めた巨額の資金を預かって運用しているため彼らに対して高い利回りを返して報告する大きな責任を負っています。

リード投資家

一つの資金調達ラウンドにおいて最も多くの金額を出資し他の投資家たちを牽引して契約条件の交渉などを主導する中心的な役割を担う投資家のことです。

投資先企業に対する発言権も最も大きく取締役を派遣するなど経営に深く関与します。

フォロー投資家

リード投資家が決定した企業価値や契約条件に同意しそれに追随する形で少額の出資を行う投資家のことです。

交渉の手間を省きながら有望な企業に投資できる利点がありますが経営に対する影響力はリード投資家よりも小さくなります。

エンジェル投資家

創業して間もない最もリスクの高い時期の企業に対して自分個人の資産から数百万円程度の資金を提供する富裕層の個人のことです。

かつて自分も起業して成功した経験を持つ人が多く後進を育てるという支援の意味合いを強く持って出資を行います。

コーポレートベンチャーキャピタル

本業のビジネスを持つ事業会社が自社の戦略的な目的のために自らの資金で直接的に新興企業へ投資を行うための専門組織です。

純粋な投資利益よりも新しい技術の獲得や本業とのシナジー効果の創出というオープンイノベーションの推進を主目的としています。

CVC

コーポレートベンチャーキャピタルをアルファベットで省略した呼称です。

大企業の経営資源とベンチャーの機動力を掛け合わせる手法として近年多くの日本企業がCVCを設立し積極的な投資活動を展開して業界の活性化に貢献しています。

インキュベーター

起業のアイデア段階や創業直後のチームに対してオフィススペースの提供や経営の基礎知識の指導などを行い事業が卵から孵化するのを支援する組織です。

資金提供よりも環境整備や教育的な側面に重きを置いているのが特徴です。

アクセラレーター

すでに動き始めている初期段階の企業に対して数ヶ月の短期間で集中的な指導や資金提供を行い事業の成長速度を劇的に加速させるためのプログラムを提供する組織です。

最後に投資家向けの実績発表会を開催して次の資金調達につなげる橋渡しを行います。

アナリスト

ベンチャーキャピタルの中で最も若手の役職であり主に業界の動向調査や投資候補となる企業の財務分析そして市場規模のデータ収集などの基礎的な分析業務を担います。

パートナーが投資判断を下すための正確な材料を揃える重要な裏方の役割です。

アソシエイト

アナリストの上位にあたる役職で有望な起業家を自ら発掘して面談を行い投資の候補として社内の会議に提案する役割を担います。

また投資を実行した後の企業に対しても定期的に連絡をとり事業の進捗確認や採用の支援などの実務的なサポートを行います。

プリンシパル

ベンチャーキャピタルの中核を担う中堅からベテランの役職であり自らの裁量で投資案件を主導して企業の取締役会にも参加し経営戦略の策定に深く入り込みます。

将来的にはパートナーへの昇格が期待される非常に実力と経験が求められるポジションです。

パートナー

ファンドの最終的な投資判断を下す権限を持つ経営陣であり企業の買収や株式公開といった最も重要な出口戦略の局面で辣腕を振るいます。

投資家から資金を集めてくるファンドレイズの責任も担いその個人の実績と知名度がファンドの看板となります。

マネージングパートナー

複数のパートナーたちを束ねてベンチャーキャピタルという組織全体の経営方針を決定する最高責任者です。

ファンドの運用成績に対する最終的な重い責任を背負い業界全体に対する強い発言力と圧倒的な実績を持つカリスマ的な存在が就任します。

評価と契約交渉

資金の出し手と受け手の間では企業の価値をいくらと見積もりどのような条件で株式を譲渡するのかという非常にシビアで専門的な交渉が行われます。

バリュエーション

現在の事業の進捗や将来の成長性などを総合的に判断してその企業の全体としての価値が現在いくらであるかを金額で評価することです。

この金額に基づいて投資家が取得できる株式の割合が決定するため創業者と投資家の間で最も激しい交渉の的となります。

プレマネーバリュエーション

投資家から新たな資金が口座に振り込まれる直前の時点における企業の価値のことです。

創業者がこれまで事業を育ててきた実績そのものの純粋な価値を表しておりこの金額が高ければ高いほど創業者は少ない株式の放出で多くの資金を集めることができます。

ポストマネーバリュエーション

プレマネーバリュエーションの金額に対して今回投資家から調達した資金の金額を足し合わせた資金調達後の企業の総体的な価値のことです。

出資をした投資家はこのポストマネーの金額を基準にして自分が会社全体の何パーセントの株式を保有したかを計算します。

タームシート

本格的な投資契約書を作成する前に投資金額や企業の評価額そして役員の派遣の有無などの主要な条件だけを箇条書きでまとめた概要書です。

この書類に双方が合意のサインをすることで本格的な詳細調査や最終契約に向けた法務手続きへと進んでいきます。

デューデリジェンス

投資を実行する前にその企業が提出した財務データに嘘がないかビジネスモデルに欠陥はないか隠れた訴訟リスクはないかなどを専門家を交えて徹底的に調査する手続きです。

投資家が莫大な資金を投じる前の最終的な安全確認として極めて厳格に行われます。

キャップテーブル

企業が発行しているすべての株式について誰がどの種類の株式を何パーセント保有しているかを一覧で示した資本政策の構成表です。

今後の資金調達で創業者の持ち分がどう減っていくかをシミュレーションし健全な経営権を維持するための非常に重要な管理表となります。

ダイリューション

希薄化とも呼ばれ新たな資金調達のために企業が新しく株式を発行した結果として創業者が保有している株式の比率が相対的に低下してしまう現象のことです。

経営のコントロール権を失わないためにこの希薄化の割合を適切に計算して調整していく必要があります。

希薄化

前述のダイリューションの日本語訳です。

会社全体のパイが大きくなっても自分の取り分であるパイの切れ端の割合が小さくなってしまう状態を意味し過度な希薄化は起業家の経営に対するモチベーションを大きく削ぐ原因となるため慎重な資本政策が求められます。

アンチダイリューション

会社の業績が悪化して前回よりも低い評価額で資金調達を行わざるを得ないダウンラウンドに陥った際に過去に高い評価額で投資をしてくれた既存の投資家が不利にならないよう彼らの株式の持ち分を無償で増やして保護する契約上の取り決めのことです。

ドラッグアロング

将来会社を大企業などに売却する話が持ち上がった際に一部の少数株主が反対して売却が白紙にならないよう多数派の投資家の賛成があれば強制的に他のすべての株主も売却に同意したものとみなして会社を丸ごと売却できる強力な契約条項です。

みなし清算条項

企業が他社に買収されて経営陣が利益を得る際に通常の株式の割合通りに分配するのではなくリスクを取って資金を出してくれた投資家に対して優先して買収金額を分配し投資家の元本回収を強く保護するための重要な契約上の取り決めです。

タグアロング

創業者が自分の持っている株式だけをこっそり第三者に売却して利益を得て逃げ出そうとした際に投資家も創業者と同じ有利な条件で自分の株式をその第三者に買い取ってもらう権利を主張できる投資家保護のための契約条項です。

リクィデーションプレファレンス

会社が清算されたり買収されたりして資産が分配される際に普通株を持つ創業者よりも先に優先株を持つ投資家が自分が投資した元本やあらかじめ決められた倍率の金額を優先して受け取ることができる強力な権利のことです。

残余財産優先分配権

前述のリクィデーションプレファレンスの日本語訳です。

会社が倒産の危機に陥り残ったわずかな財産を分ける際にも投資家が優先して回収できる仕組みでありリスクの高いベンチャー投資において投資家の資金を守るための最大の防波堤となります。

優先株

投資家がベンチャー企業に出資する際に通常の株式よりも配当や財産の分配において有利な条件が付与された特別な株式のことです。

高いリスクを背負って巨額の資金を提供するベンチャーキャピタルの投資においてはほぼ例外なくこの優先株が用いられます。

普通株

特別な権利や制限が付与されていない最も標準的な株式のことであり通常は創業者や従業員が保有するものです。

会社の業績が大きく伸びた際の恩恵は大きいですが会社が売却されたり倒産したりした際の資金の回収順位は投資家の持つ優先株よりも後回しにされます。

種類株式

普通株とは異なる権利内容を設定した株式の総称です。

経営に参加する権利である議決権を制限したり配当を優先的に受け取る権利を付けたりと企業の状況や投資家の要望に合わせてオーダーメイドで柔軟に権利を設計できるため資金調達の自由度を高めることができます。

転換社債

資金を貸し付ける借金という形で資金調達を行い一定の条件を満たせば後からその借金を株式に変換できる権利を持った社債のことです。

企業の評価額を今すぐ決めるのが難しい創業直後の段階で素早く資金を集める手段としてよく活用されます。

コンバーティブルエクイティ

転換社債のように借金として扱うのではなくあらかじめ将来の株式に変換されることを前提とした投資契約の形式です。

借金ではないため企業の貸借対照表を傷つけることなく迅速な資金調達が可能であり初期のスタートアップ投資で広く普及しています。

J-KISS

コンバーティブルエクイティの仕組みを日本の法律に合わせて使いやすく標準化した契約の雛形です。

専門の弁護士を雇って複雑な契約書をゼロから作成する時間と費用を大幅に削減できシード期の企業が迅速に資金を調達するための事実上の業界標準となっています。

SAFE

アメリカのシリコンバレーで開発されたコンバーティブルエクイティの代表的な契約手法です。

企業の評価額の決定を次回の大型資金調達の時まで先送りできるため起業家と投資家の双方が面倒な価格交渉を避けて事業の立ち上げに専念できる画期的な発明です。

ストックオプション

将来あらかじめ決められた安い価格で自社の株式を購入できる権利を従業員に付与する報酬制度です。

会社が成長して株価が上がれば大きな利益を得られるため手元に現金がないベンチャー企業が優秀な人材を採用し長く働いてもらうための強力なインセンティブとして活用します。

ベスティング条項

ストックオプションの権利や創業者の株式が一度にすべて与えられるのではなく会社に数年間勤務し続けることを条件に毎月少しずつ権利が確定していくという制約のことです。

主要メンバーが上場前に会社を辞めて持ち逃げすることを防ぐための安全装置です。

買取請求権

起業家が重大な契約違反を犯したり不正行為を行ったりして投資家からの信頼を著しく損なった場合に投資家が自分が保有する株式を起業家自身に買い取らせて資金を強制的に回収することを要求できる非常に厳格なペナルティ条項です。

拒否権

投資家が会社の経営のすべてに賛成するわけではないため他社の買収や新たな株式の発行など会社の運命を左右する重大な決定事項に限っては投資家の事前の承認がないと実行できないようにする経営への歯止めとなる権利です。

取締役指名権

巨額の資金を提供する投資家が企業活動を監視し経営戦略を一緒に策定するために自分たちの中から取締役を選んで投資先の企業へ派遣できる権利です。

これにより投資家は外部の株主としてではなく経営の内部から企業価値の向上に直接関与することができます。

ペイプレイ条項

会社が業績不振で資金繰りに窮し低い評価額で追加の資金調達を行わざるを得ないダウンラウンドの際に既存の投資家が追加で資金を出さなければその投資家が過去の契約で持っていた有利な権利を没収するという厳しい投資家間の取り決めです。

表明保証

投資契約を結ぶにあたって企業側が過去の財務データや特許の権利関係などに一切の嘘や隠し事がないことを投資家に対して誓い保証する条項です。

後になって重大な嘘が発覚した場合には損害賠償の対象となるため極めて重い法的責任を伴います。

誓約事項

投資を受けた企業が資金調達をした後に必ず守らなければならない約束事のリストです。

毎月の財務状況を正確に報告することや本来の目的以外に調達した資金を使わないことなどが定められており投資家が資金の使途を監視し適切な経営を担保するためのルールです。

ファンドの財務と指標

ベンチャーキャピタルが投資家から預かった資金をどれだけ効率よく運用しどれだけのリターンを生み出しているかを測るための専門的な指標が多数存在します。

キャピタルコール

ベンチャーキャピタルがファンドを設立した際に投資家から一括で資金を集めるのではなく実際に投資先が見つかって資金が必要になったタイミングでその都度投資家に対して資金の振り込みを要求する仕組みのことです。

コミットメント金額

投資家がベンチャーキャピタルのファンドに対して最終的にこれだけの金額を出資しますと約束した総額のことです。

この金額がそのままファンドの運用規模となりこの規模が大きいほど多くの企業に巨額の投資を行うことができます。

ドライパウダー

投資家から約束されたコミットメント金額のうちまだ実際の投資に使われておらずいつでも引き出して使える手元に残っている待機資金のことです。

この資金が豊富にあるファンドは市場環境が悪化した際にも有望な企業を安値で買い叩くなど機動的な投資が可能です。

管理報酬

ベンチャーキャピタルがファンドを運営していくためのオフィスの家賃やスタッフの給与そして調査費用などを賄うために投資家から毎年確実に受け取る固定の手数料のことです。

一般的にはファンド総額の二パーセント程度が設定されます。

マネジメントフィー

前述の管理報酬をアルファベットで表した呼称です。

投資の成果に関わらず毎年必ず発生する費用であるためファンドの規模が大きくなればなるほどベンチャーキャピタルの経営は安定しますが投資家からはより高い運用成績を求められるプレッシャーとなります。

成功報酬

ファンドが投資先の売却などで利益を上げた際にその利益の中から一定の割合をベンチャーキャピタルがボーナスとして受け取る報酬のことです。

この巨額の成功報酬を得ることこそがベンチャーキャピタルというビジネスの最大の醍醐味であり目的です。

キャリードインタレスト

前述の成功報酬を専門用語で表現した言葉です。

通常はファンドが生み出した全利益の二十パーセント程度が設定され優秀なパートナーたちはこの莫大なボーナスを獲得するために昼夜を問わず投資先の企業価値を高めるための支援に奔走します。

ハードルレート

ベンチャーキャピタルが成功報酬を受け取るための条件として最低限これ以上の利回りを達成しなければならないと設定された目標利回りのことです。

この基準を超えた利益を出して初めて投資家から優秀なファンドとして認められボーナスが支払われます。

キャッチアップ条項

ファンドの利益がハードルレートを超えた際にそれまで投資家に還元されていた利益の配分を後からベンチャーキャピタル側に有利に調整し最終的に全体の利益の二十パーセントを確実に成功報酬として受け取れるようにする契約上の巧妙な取り決めです。

マルチプル

ファンドに出資した元本が最終的に何倍になって返ってきたかを示す最もシンプルでわかりやすい指標です。

元本が二倍になれば二倍のマルチプルと呼ばれ投資家がファンドの絶対的な運用成績を直感的に評価するための重要な基準として用いられます。

内部収益率

投資した期間と回収したタイミングを考慮してファンドが一年あたりどれくらいの複利の利回りで運用されたかを示す複雑ですが極めて重要な財務指標です。

投資した資金を早く回収して高い利益を上げれば上げるほどこの数値は高くなります。

IRR

前述の内部収益率をアルファベットで省略した呼称です。

マルチプルと並んでファンドの成績を測る世界的な共通言語であり投資家がどのベンチャーキャピタルに資金を預けるかを決定する際の最も決定的な判断材料となる厳格な成績表です。

DPI

投資家がファンドに出資した元本のうちすでに現金として手元に返還された金額の割合を示す指標です。

紙の上の評価額ではなく実際に確定した利益がどれだけあるかを示すため投資家にとって最も安心感があり重視される非常に現実的な数値です。

RVPI

まだ売却されていない投資先の企業の現在の評価額がファンドの元本に対してどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。

将来的にどれくらいの利益が見込めるかという含み益の状態を表しており今後のファンドの成長ポテンシャルを測る目安となります。

TVPI

すでに現金として回収したDPIとまだ売却していない含み益であるRVPIを足し合わせたファンドの総合的な現在の成績を示す指標です。

ファンドの運用が始まって数年経過した時点で最終的な着地見込みを予測するための総合的な健康診断の数値として使われます。

トラックレコード

そのベンチャーキャピタルや担当パートナーが過去にどのような企業に投資していくらで売却してどれだけの利益を上げてきたかという過去の運用実績の履歴書です。

投資家が新しいファンドに出資する際の信用力を裏付ける最も強力な武器となります。

ヴィンテージイヤー

その投資ファンドが設立されて投資を開始した年数のことです。

ワインの生産年のように株式市場の好況や不況という設立された年の経済環境によってファンドの成績の出やすさが大きく変わるため同じ時期に設立されたファンド同士で成績を比較するために用いられます。

キャピタルゲイン

投資した企業の株式を上場時や他社への売却時に購入時の価格よりも高い価格で売り抜けた際に得られる売買差益のことです。

ベンチャー投資における利益のほぼすべてがこの売買差益であり配当などの地道な利益は全く期待されていません。

キーマン条項

ファンドの顔であり卓越した投資判断力を持つ特定の優秀なパートナーが病気や退職などでファンドの運用から外れてしまった場合に投資家が新たな資金の提供を強制的にストップできる権利です。

特定の個人の手腕に大きく依存するベンチャー投資ならではの取り決めです。

スタートアップの事業指標と状態

ベンチャーキャピタルは出資を検討する際や投資した後の事業の健康状態を測るために企業の内部データを独自の指標で細かく分析します。

トラクション

顧客の登録者数や実際の売上高などその製品やサービスが市場のユーザーから確実に求められ事業が勢いよく前に進んでいることを証明する具体的な実績データのことです。

投資家を説得するための口先の計画ではない確固たる証拠となります。

ランウェイ

手元にある現金の残高と毎月の赤字額を計算して今のまま何もしなければあと何ヶ月で会社の資金が完全に底をついて倒産してしまうかを示す残り時間の指標です。

経営者は常にこの残り時間を意識しながら次の資金調達に奔走しなければなりません。

バーンレート

企業が一ヶ月あたりにどれくらいの現金を燃やして消費しているかを示す月間の赤字額のことです。

システム開発や広告宣伝に巨額の先行投資を行うベンチャー企業においてはこの現金の燃焼速度を適切にコントロールすることが資金ショートを防ぐ生命線となります。

プロダクトマーケットフィット

自分たちが開発した製品やサービスが特定の市場の熱狂的な課題を完璧に解決し顧客が自発的に買い求める状態に到達した奇跡的な瞬間のことです。

この状態に達するまで事業は常に迷走の危機にありここを突破して初めて企業は爆発的な成長軌道に乗ります。

PMF

前述のプロダクトマーケットフィットをアルファベットで省略した呼称でありベンチャー業界で最も多用される目標地点です。

PMFを達成する前はひたすら顧客の声を聞いて製品を改良し達成した後はアクセルを踏み込んで巨額の広告費を投じるという明確な行動の切り替え点となります。

ピボット

当初計画していたビジネスモデルや製品が顧客に受け入れられず行き詰まった際に会社を潰すのではなく残された資金を使って全く新しいターゲット層や別の事業へと大胆に方向転換を図る経営の軌道修正のことです。

多くの成功企業がこの苦渋の決断を乗り越えています。

ユニットエコノミクス

顧客一人あたりから得られる利益と顧客一人を獲得するためにかかった費用のバランスを示す顧客単位での採算性のことです。

全体の売上が赤字であってもこの一人あたりの採算性が黒字で健全であれば広告を踏めば踏むほど将来の利益が約束されることになります。

顧客獲得コスト

インターネット広告費や営業担当者の人件費などのマーケティング費用を新しく獲得した顧客の数で割った新規顧客一人の獲得にかかる費用のことです。

競合が激しくなるとこの費用が高騰し利益を圧迫するためいかに安く顧客を集められるかがマーケティングの腕の見せ所です。

CAC

前述の顧客獲得コストをアルファベットで省略した呼称です。

この数値を正確に把握していなければ無駄な広告費を垂れ流してあっという間に資金が底をつくためデータ分析を重視する現代のベンチャー経営において最も監視の目が光る重要指標の一つです。

顧客生涯価値

一人の顧客が自社のサービスを利用し始めてから解約して離脱するまでの全期間を通じて企業にどれだけの総利益をもたらしてくれるかを計算した指標です。

サブスクリプション型の継続課金ビジネスにおいては企業の真の価値を測る最強の指標として機能します。

LTV

前述の顧客生涯価値をアルファベットで省略した呼称です。

ベンチャー企業が多額の赤字を掘ってまで広告宣伝に資金を投じるのはこのLTVがCACを大きく上回っているという確信があるからでありこの二つの数値のバランスが事業の存続を決定づけます。

チャーンレート

毎月サービスを解約して離れていってしまう顧客の割合を示す解約率のことです。

どれだけ多くの新規顧客を莫大な広告費をかけて獲得してもこの解約率が高ければ穴の空いたバケツに水を注ぐようなものであり事業は絶対に成長しないため最優先で改善すべき悪しき指標です。

ユニコーン

設立から十年以内で未上場でありながら企業の評価額が十億ドルを超えた極めて希少で巨大な価値を持つ新興企業を神話の生き物に例えた呼称です。

世界中のベンチャーキャピタルがこのような歴史に名を残す巨大企業を発掘して投資することを究極の目標としています。

デカコーン

ユニコーン企業のさらに十倍にあたる百億ドルという想像を絶する評価額を誇る未上場の超巨大ベンチャー企業のことです。

市場の常識を根本から覆し世界経済の構造そのものを塗り替えるような圧倒的な影響力を持つ一握りのテクノロジー企業だけが到達できる領域です。

ゼブラ

ユニコーン企業のような極端な規模の拡大と利益の独占を目指すのではなく社会課題の解決や地域との共生そして持続可能な成長を重んじる新しい価値観を持った企業のことです。

黒と白が入り混じるシマウマのように利益と社会貢献の両立を目指す堅実な姿勢が評価されています。

死の谷

基礎研究が終わり試作品が完成したもののそれを実際の製品として世に出し事業を軌道に乗せるまでの間に直面する資金不足や市場の壁という極めて苦しい停滞期のことです。

多くの技術系ベンチャー企業がこの谷を越えられずに資金が尽きて倒産という悲しい結末を迎えます。

ダーウィンの海

死の谷を越えて製品を市場に投入した後に待ち受ける既存の大手企業との激しいシェア争いや価格競争といった過酷な生存競争の市場環境のことです。

優れた技術を持っているだけでなくマーケティングや営業の総合力がなければこの海を生き残ることはできません。

スウェットエクイティ

資金が乏しい創業期において起業家や初期のメンバーが現金を出資する代わりに無給や極めて低い給与で労働という汗を流しその対価として将来価値の上がる会社の株式を受け取るというベンチャー企業特有の熱い労働対価の形です。

出口戦略と資金回収

投資家が出資した資金を数倍の利益とともに現金化して回収するための最終的なゴール地点であり起業家にとっても大きな節目となります。

イグジット

ベンチャーキャピタルが投資先の株式を市場で売却し莫大な利益を確定させて投資プロジェクトを完了させる出口のことです。

何年もかけて事業を支援してきた成果が問われる真剣勝負の場でありこの出口を見据えてすべての事業戦略が逆算して組み立てられます。

新規株式公開

証券取引所の厳しい審査を通過し一般の投資家が誰でも自社の株式を売買できるように市場に株式を開放することです。

企業にとって最も華やかで社会的信用を得られる最大の目標でありベンチャーキャピタルにとっても最も大きな利益をもたらす理想的な出口です。

IPO

前述の新規株式公開をアルファベットで省略した呼称です。

上場を果たすことで企業は市場から永続的に巨額の資金を調達できる体制を手に入れ創業者は莫大な富と名声を得るという資本主義における一つの大きなアメリカンドリームの実現を意味します。

スパック

自らは具体的な事業を持たず将来有望な未上場企業を買収することだけを目的として先に証券取引所に上場して資金を集める空箱のような特殊な会社のことです。

通常の上場手続きよりも短期間で素早く上場できる抜け道として近年アメリカ市場を中心に猛烈な勢いで活用されています。

SPAC

前述のスパックをアルファベットで表した呼称です。

伝統的なIPOの複雑な審査プロセスを大幅に省略できる画期的な仕組みである反面実績のない企業が過大評価されて上場してしまうリスクも指摘されており市場のルールを大きく揺るがす存在となっています。

バイアウト

自社の事業や株式の大部分を大企業や他の投資ファンドに数十億円単位で丸ごと買い取ってもらうことで利益を確定させる出口戦略です。

上場のような厳しい管理体制を構築する手間がなく近年はIPOに代わる現実的で魅力的な出口として日本でも急激に件数が増加しています。

セカンダリーセール

上場や企業売却という最終的な出口を待たずに事業の途中でベンチャーキャピタルが保有している株式を別の投資ファンドなどに直接売却して現金化する手法です。

長期間資金が拘束されることを避けファンドの運用期限に合わせて確実に利益を確定させるための高度な回収技術です。

トレードセール

事業会社に対して自社のビジネスを丸ごと売却するバイアウトの手法の一つです。

買い手となる企業にとっては自分たちでゼロから新規事業を立ち上げるよりも時間を買うという意味合いが強く本業との相乗効果が期待できる場合には非常に高い金額で買収が行われます。

ロックアップ期間

企業が株式公開を果たした直後に大株主である経営陣やベンチャーキャピタルが保有している大量の株式を一斉に市場で売り払って株価が暴落するのを防ぐため上場から一定の期間は株式を売却してはならないという市場のルールに基づく強制的な待機期間のことです。

アーンアウト条項

企業を売却する際にその時点での金額を低く抑える代わりに買収された後数年間の業績が目標を達成した場合には追加で巨額のボーナスが支払われるという買収契約の条件です。

買い手のリスクを減らしつつ売り手の経営陣に引き続き事業を成長させるモチベーションを維持させる巧みな仕組みです。

カーブアウト

大企業が自社の事業の中で主力ではない特定の事業部門や子会社だけを切り出して独立した新しいベンチャー企業として設立させる手法です。

しがらみのない環境で外部から資金や人材を入れてスピード感を持って事業を成長させるためのオープンイノベーションの強力な選択肢となっています。

まとめ

ベンチャーキャピタルとそれを取り巻く専門用語は非常に多岐にわたり複雑に見えるかもしれません。

しかしこれらの用語の一つひとつにはリスクを背負って挑戦する起業家と巨額の資金を投じる投資家が互いの利益を守りつつ最大の成長を目指すための緻密なルールと知恵が詰まっています。

この言語を理解することは単なる知識の習得ではなく投資家と同じ目線に立ち事業をスケールさせるための強力な武器を手に入れることを意味します。

専門用語の壁を越え堂々と自らのビジョンを語ることで理想の投資家との素晴らしいパートナーシップを築き上げ事業の大きな飛躍へとつなげていただければと思います。

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