はじめに
広告業界は就活生の間で、長きにわたり、人気の業界の一つです。
広告業界には知名度の高い大手企業も多いです。
大手志向の就活生も多い中、成長目覚ましいベンチャーに目を向ける人や気になっている人も増えてきました。
もっとも、ベンチャーは将来性に不安があるとの向きもあります。
そんな中、将来的にも有望で人気の業界でもあるのが広告ベンチャーです。
どのような業界で、どのような事業を展開しているのか、有名な広告ベンチャーについても見ていきましょう。
【広告ベンチャー】広告ベンチャーとは
広告業界にはテレビ、新聞、ラジオ、雑誌の4大メディアをはじめ、交通広告や屋外看板などの伝統的なメディアがあります。
こうした古くからあるメディアではなく、主にインターネット広告の分野で、これまでにない広告関連サービスを提供するのが、広告ベンチャーです。
学生の皆さんも、日頃からパソコンやタブレット、スマホでWebサイトやブログ、SNSやECサイトを見ていると、さまざまな場所に広告が表示されるのを見ると思います。
こうしたネット広告の配信を行ったり、広告を出すスペースを提供したり、管理したり、そのサイトやメルマガを見るユーザーにぴったりな広告を表示する仕組みを作っているのが広告ベンチャーです。
【広告ベンチャー】広告ベンチャーの主な事業内容
広告ベンチャーは従来にはないサービスを提供する企業を指しますが、インターネットの世界は日々進化や変化を続けており、これからも、どんどん新たなサービスを提供する企業が登場するかもしれません。
現在のところ、広告ベンチャーを大きく分けるとネット広告代理店、メディアレップ、アドテクノロジーに分類できます。
それぞれの事業内容について、見ていきましょう。
ネット広告代理店
広告代理店というと、テレビ局と広告主をつないでテレビCMを制作することや雑誌や新聞広告を担う広告代理店がイメージされると思いますが、ネット広告代理店はネット広告に特化しています。
インターネット上には各種Webサイトやブログ、SNS、ECサイトやメルマガなど、数えきれないほどの広告枠を提供するメディアが存在しています。
広告主から依頼を受け、広告の作成から、適切なメディアの選定、メディアへの掲載や配信依頼を行う仲介役がネット広告代理店です。
メディアレップ
メディアレップはメディアと広告代理店の間を取り持つような役割を果たす、広告ベンチャーです。
多様化するメディアの中から、広告主の広告に適した最適なメディアを選ぶのは広告代理店にとっても難しい作業です。
一方、無数にあるメディアは良質な広告で広告枠を埋めて広告料を取りたいというニーズがあります。
メディアレップは広告代理店から依頼された広告を、最適なメディアに割り振る役割を果たしているのです。
アドテクノロジー
アドテクノロジーとはネット広告におけるさまざまな技術やシステムの総称です。
テレビCMや新聞広告などが視聴者や購読者に向けて、不特定多数に時間帯や紙面の枠を取って一定期間配信するスタイルで、莫大な費用もかかります。
これに対してネット広告は低コストな分、より多くの場所にターゲットを絞って配信しないと、広告を目にしてもらうことさえできません。
広告主にマッチした場所やターゲット向けに最適なタイミングで表示できる技術やメディアが機会を逃さず、効率的に広告枠を埋められる仕組みを開発している企業です。
【広告ベンチャー】広告ベンチャーのメリット
インターネット広告は日々スマホで見る機会も多く、その提供の仕組みや儲かる仕組みに興味を抱いている方も多いのではないでしょうか。
おもしろそう、チャレンジしてみたいと思う反面、ベンチャーという点で、経営面などの不安があり、踏み切れない方もいるかもしれません。
ここでは、広告ベンチャーに就職して仕事をしていくメリットについてご紹介しますので、検討材料にしてください。
ネット広告業界が成長産業である
ネット広告業界は何より、成長産業である点が一番のメリットです。
4大メディアは視聴者や購読者が減少傾向にあり、勢いが落ちています。
学生さんの多くも、テレビは持っていない、スマホでネットの情報を見られることや動画を見られれば十分という方も多いことでしょう。
新聞も就活のために経済新聞程度は読んでいても、紙面ではなく、デジタル版を利用している方が多いはずです。
ライフスタイルの変化により、これからますます4大メディアへの需要は減り、ネット広告へのシフトが進んでいくことが期待されています。
マス広告が年々市場規模を縮小しているのに対し、インターネット広告費用は右肩上がりです。
影響力が大きくなるため、活躍できるフィールドが広くなるのもメリットです。
専門的なスキルが身につく
インターネット広告の世界では、サイトごとのユーザーの分析やデジタルマーケティングをはじめ、アドテクノロジーの開発などにおいても、専門的な技術やノウハウが必要となります。
経験を積むことで、専門的なスキルが身につくのがメリットです。
広告ベンチャーは全体的に若手の人材が多く、年齢や経験を問わず、渡される権限や裁量が大きいのも魅力です。
大手企業に比べて、若いうちから大きな仕事をガンガン任されて、進めることができるため、他業界の同世代に比べて、圧倒的に速いスピードで高い水準のスキルが身につきます。
それを活かして新たなアイディアやテクノロジーを開発できる、チャンスもあるのです。
【広告ベンチャー】広告ベンチャーのデメリット
では、広告ベンチャーに就職して働くデメリットはどんな点でしょうか。
一つには激務になりがちなこと、もう一つは意外に競合が多く、売上を伸ばすのが大変で、ノルマなどが課せられる職種もある点が挙げられます。
もっとも、激務になりがちなのは、広告ベンチャーに限ったことではなく、IT系や従来メディア向けの大手広告代理店でも、あり得ることです。
競合との競争に勝ちたいなら、広告ベンチャーの中でも力のある企業を選ぶことで解決できます。
激務になりがち
広告ベンチャーの中にもメガベンチャーに育った企業とまだ小さいながらも成長の軌道に乗ってきた企業などがあります。
まだ規模が小さく成長過程にある広告ベンチャーでは、案件が増え、業務量が増えていく一方で、そう簡単には人材を採用することや育成できないため、負担が大きくなりがちです。
一方、ある程度、人員規模が増えたメガベンチャーにおいては、その知名度や人気ゆえに案件がどんどん入ってきます。
裁量権が大きく、一人ひとりのクライアントに対する個人の責任が増えるため激務になりやすい傾向にあります。
プロジェクトを一人で企画から交渉、実行、検証まで任されることやクライアントの対応に追われて、残業や休日出勤も多くなるかもしれません。
競合が多い
広告ベンチャーはこれまでにないサービスを提供する企業なのであれば、競合なんておらず、独り勝ちなのではと思われるかもしれません。
ですが、最初は画期的なサービスとしてスタートダッシュが切れたとしても、一度、話題を集めたことや需要があるとわかれば、次々に似たようなサービスを提供する企業が現れてきます。
それが、生まれたての小さなベンチャー企業であればまだしも、他事業をメインにしている経営体力がある企業も、将来性の高いインターネット広告の世界にどんどん参入してきています。
大手総合広告代理店も子会社として会社を立ち上げることも増えており、中には技術のある広告ベンチャーをM&Aするようなケースも少なくありません。
将来的な成長可能性があるか、見極めることも大切です。
【広告ベンチャー】広告ベンチャーの具体企業例
インターネット広告業界の代表的な企業として、3つのベンチャー企業をご紹介します。
1社目はサイバーエージェントで、国内最大規模のブログサービスであるアメブロで台頭し、多彩なコンテンツを提供する新しいテレビの形であるアベマなども提供している知名度の高い企業です。
2社目はゲーム業界でも有名なグリーで、インターネットの力で社会課題を解決することで社会貢献することを掲げている企業です。
3社目は広告代理店として有名な博報堂DYメディアパートナーズと資本業務提携を2006年に締結したアイレップをご紹介します。
サイバーエージェント
インターネット広告事業は、1998年の創業以来、力を入れており、国内トップシェアを誇っているのです。
広告効果を最大化する長年の実績によって蓄積されてきた運用力と実力派のスタッフによるクリエイティブ力に加えて、AIを活用したアドテクノロジーなど総合的なソリューションを提供しています。
インターネット広告市場全体の市場成長を上回る成長率が強みで、インターネット広告事業分野における2021年1月~3月の四半期決算は広告効果の最大化を強みに、過去最高を更新しました。
売上高は前年比0.8%増806億円、営業利益は前年比7.6%増の72億円でした。
グリー
広告事業においては、インターネットを通じた広告やマーケティング事業をメインに、テクノロジーを活用したエージェンシー事業とマーケティングプロダクト事業など、総合的なソリューションを提供しています。
スマートフォン広告に特化したアドエージェンシーや分析に基づく企画提案力を駆使したクライアント企業のビジネスサポートなどが得意です。
マーケティングプロダクト事業では、メディア読者の行動解析を用いた興味関心データの生成や外部DMPとの連携を通じて読者基盤を構築し、広告主のブランド認知獲得の分析に定評があります。
2021年6月期第3四半期の売上高は42,820百万円で前年比10.2%のマイナスとなりましたが、営業利益は3,880百万円で前年比20.1%を打ち出しました。
アイレップ
広告やSEO対策を得意としていますが、力を入れているのは企業が抱える本質的な課題を見つけ出し、具体的な計画を示し、明確な数値目標を設定したうえで、有効な施策を提案し、実行をサポートすることです。
デジタルマーケティングの豊富なノウハウにもとづき、データ主導型のマーケティングにいち早く取り組み、データと感性を結びつけるクリエイティブにも力を入れています。
2016年9月期第3四半期の売上高は、直販案件、博報堂DYグループとの協業案件ともに大幅に伸び、前年同期比37.8%増の56,874百万円、営業利益は前年同期比289.2%増の1,424百万円と大幅増益となりました。
まとめ
広告ベンチャーとは、これまでにない新しいサービスを提供する成長意欲の貪欲な企業です。
大きく分けると、ネット広告代理店、メディアレップ、アドテクノロジー企業が代表的です。
広告ベンチャーに就職するメリットは以下のようなことが挙げられます。
・従来の4大メディアの市場規模が縮小傾向にあるのに対し、ネット広告業界が成長産業であること
・若いうちから一人ひとりに与えられる権限や裁量が大きく、成長スピードが速い
・専門的なスキルが身につくこと
一方、デメリットとしては以下の通りです。
・スタッフの人数の割に案件数が多く、裁量が大きい分、一人ひとりの責任が重く、激務になりがちなこと
・新たなサービスを提供しても追随してくる企業も多く、異業種からの参入組みや大手総合広告代理店の子会社なども入ってくるので、競合が多いこと
企業の将来性や経営体力などを見極めながら、判断するのがおすすめです。