はじめに
人と関わることが好きで「将来はコミュニケーション力を活かした仕事に就きたい」と、漠然と考えている方は多いでしょう。
営業職やマーケティング職などさまざまな職種はありますが、ダイレクトに顧客に携われるのは接客業でしょう。
就活に向けて早期に準備できることはないかと調べているうちに、長期インターンの募集要項を目にしたことはありませんか。
今回は接客業の長期インターンについて、メリットやデメリットをふまえて、くわしく説明していきましょう。
接客業の長期インターンとバイトは別物!
長期インターンとは、6ヶ月前後の長期にわたり、企業に在籍し、実務に有給で就業することを指します。
学生のうちから実務経験を積めるため、長期インターンは年々人気が高くなっています。
したがって「アルバイトと変わらないのではないか」と思う学生も少なくはないでしょう。
有給で働くという点は同じですが、アルバイトと長期インターンの業務は本質的に異なるのです。
アルバイトは、マニュアル通りに応答するという比較的単純な作業が中心となります。
しかし、長期インターンは社員と同じ立場で実務を経験します。
大きな責任をともないますが、就職活動前に学生でありながらも給与を得ながらビジネスの経験を積め、スキルアップできるのは非常に貴重な機会と言えるでしょう。
接客業の長期インターンに参加するメリット
アルバイトよりさらに踏み込んだ立場で実務に携われる長期インターンは、年々注目が高まり、現在人気企業では倍率が数十倍になるケースがあるほどです。
アルバイトとして選択する学生が多い接客業は、就活の本命としての人気は高くありませんが、社員の責任ある立場として従事することで学べることや、身につくスキルはたくさんあることをご存じでしょうか。
接客業の長期インターンに参加したいという方に向けて、参加することで得られるメリットを3つ紹介します。
コミュニケーション能力がつく
接客業の長期インターンをして得られる一番のメリットは、コミュニケーション力が身につくことです。
社会人でも就活生でもコミュニケーション能力は必須です。
しかし、コミュニケーション能力が果たしてどんなものか、言語化できる人は少ないかもしれません。
就活におけるコミュニケーション能力は「相手の表現したいことを適切に理解し、自分の考えを余すことなく伝え、相手に理解してもらうこと」を指します。
ただ人懐っこいことを指すわけではないので注意しましょう。
接客業のインターンで、社員の立場でお客様の満足度を向上させるためにどうすれば良いか、改善点を探しほかの社員に伝えながら模索していく中で、社会人としてのコミュニケーション力の土台が築かれていくでしょう。
接客以外の経験ができる
接客以外の社員の行う業務に携われるのも、接客業の長期インターンに参加するメリットであり、アルバイトとの一番の違いでもあります。
長期インターンの接客業では、店舗の売り上げや、顧客満足度を向上させるための経営を練ることも業務に含まれます。
そのため、アルバイトではお客様との接客がメインになるでしょう。
しかしそれだけではなく、受発注の管理やマーケティング 戦略を考える場に関われるのも大きな魅力です。
今までのデータを分析して需要を推測し、現場の声を聞きながら数字を伸ばしていく経験は、今後接客業だけでなく、さまざまな職種で役に立ちます。
将来的に起業したいと考えている学生にとっても、至近距離で1つの店舗の運営をする姿が見られるのはとても参考になるでしょう。
就活で使える
長期インターンの経験自体が、就活本番でアピール材料になるのもメリットと言えるでしょう。
学生時代に頑張ったこと、いわゆるガクチカでインターンの経験も、長期インターンで身についたコミュニケーション能力や接客能力もエピソードとして活用できます。
ガクチカはアルバイトや部活、ゼミの内容が多くパターン化しているため、面接官も「またか」と聞き飽きているケースも多々見受けられます。
しかし「接客業の長期インターンに参加した」という、あまり見受けられないエピソードは新鮮に映り、印象に強く残るでしょう。
また、先ほども述べたように長期インターンで経験した経営やマーケティングを通して、店舗の成長のために社員の立場で切磋琢磨した経験は、どのような職種においても重宝されます。
アピールする際は売り上げや目標など、具体的な数字を用いて説明すると、より強くインパクトを残せるでしょう。
接客業の長期インターンに参加するデメリット
接客業の長期インターンなどさまざまな経験の中でスキルを磨け、さらに経験自体が就活でガクチカとして使えるとメリットは多いですが、デメリットも当然存在します。
長期インターンは6ヶ月前後という決して短くない期間、責任のある立場で従事します。
そしてアルバイトのように、簡単に辞めることは難しいでしょう。
限りある学生期間の多くを費やすため、後悔をすることにならないよう、メリットだけではなくデメリットも十分考慮したうえで参加するか否か決めましょう。
多忙になる
まず、スケジュールが多忙になることを覚悟しなければなりません。
自分の都合に合わせて月や週ごとにシフトを調整できるアルバイトと異なり、長期インターンは週3日以上の出社が義務付けられている企業も多く見受けられます。
必然的に講義の合間を縫って出社することが多くなるため、大学生活は慌ただしくなるでしょう。
時間的に問題がないように見えても、キャンパスからオフィスまでの公共交通機関を使った移動や、気持ちの切り替えなど心身共に想像以上の負担がかかるものです。
当然、学業や遊びにさける時間が減ってしまうため、プライベートの時間を削ってインターン中心の生活になることは、学生時代を過ごすうえでデメリットと捉えられるかもしれません。
多くの経験ができない
次に1つの企業に長く従事するため、学生の身分でありながら、多様な経験をできないことがデメリットとしてあげられます。
大学卒業後就職すれば、責任あるポジションで社員として業務に携わるため、アルバイトのように簡単に離職や転職はできません。
そのため、学生時代は「やりたい」と思ったことをアルバイトで気軽に経験し、視野を広げられる非常に貴重な期間なのです。
しかし、長期インターンに参加すれば、決して短くない期間を1つの企業で拘束されることになります。
長期の旅行なども数ヶ月前から計画しなければ難しくなります。
「深く狭く」ではなく「浅く広く」で良いから、いろいろなアルバイトを経験したい、やりたいことを見つけていきたいという人には、長期インターンは適していないでしょう。
具体的な仕事内容
このように、接客業の長期インターンにはメリットとデメリットが混在します。
接客業はさまざまな業務に応用できる基本的なスキルを多く学べるため、参加する意義は十分にあります。
それでは、具体的にはどのような業務を担当するのでしょうか。
企業によって当然担当する業務の幅は異なりますが、一般的に接客業の長期インターンで課せられる業務を大きく2つに分けてまとめました。
参加するか否か迷っている方や、志望動機に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
接客
基本でありながらもっとも大切な業務は、実際にお客様の前で、接客を通してサービスを提供することです。
アルバイトでもできる簡単な業務ではないかと、軽く見てはいけません。
単にマニュアル通りの機械的な接客ではなく、顧客とのコミュニケーションを通して、ニーズの反映された丁寧な接客をすることになります。
接客はネットの口コミに反映されたり、売り上げを左右したりすることもあるため、店舗経営の礎ともなる非常に重要な業務です。
また、長期インターンでは新人アルバイトの接客の指導や教育も任せられることもあります。
企業の形態で求められる接客のスタイルやレベルは異なってきますが、基本的な礼儀を重んじた丁寧な接客が多くの企業で好まれるでしょう。
販促活動
接客業と並ぶ業務内容に、販促活動が含まれます。
販促活動とは販売促進活動の略称であり、商品がどうすれば売れるのか、その仕組みを考え実践する仕事です。
接客業においてはクーポンや割引き、キャンペーンなどの顧客向けサービスを開発する、または店頭のPOPや陳列・実演販売などの実践がメインとなります。
多様な商品やサービスが充実し、飽和状態となっている今、何かアクションを始めなければ、なかなかモノが売れない時代になりました。
そのため「買うきっかけ」を作る販促活動は競合の他企業と差別化をはかれます。
したがって、自社の商品が埋もれないようにするために、非常に重要視されています。
経営陣と同じ立場となり、自社製品の売り方や問題点などを考えることもあるでしょう。
これは、学生ではインターンでしか経験できない仕事です。
接客業の長期インターンに受かるコツ
接客や販促活動の経験は、接客業ではもちろん、他の業種・職種においても活かせます。
なぜなら顧客の意見を聞き入れ、利益が生み出せる仕組みを作り、実践していくサイクルは企業の経営の基本だからです。
しかし、ただなんとなく「良い経験が積めそうだから」と軽い気持ちでエントリーしても、採用担当者の目には留まらないでしょう。
接客業の長期インターンに挑戦したいと思った方に、書類選考や面接を突破して内定をつかむためのコツをお伝えします。
熱意を見せる
まず、熱意を見せることが何よりも重要です。
スキルが重視される中途採用と異なり、長期インターンでは実績より伸び代を重視する傾向があります。
学生のため、社会人に並んで即戦力となる能力がないのは当然ですし、企業も最初から期待していません。
長期インターンシップで重要視されるのは、経験値ではなく、社員と並んで店舗を成長させようという、やる気と熱意です。
自己PRや志望動機を、相手にどう受け取ってほしいかを考えて自分の言葉でつづり、面接では気持ちを上乗せして、笑顔でハキハキと伝えましょう。
「どうしてもこの企業で働きたい」という具体的な理由と、自分にやる気と伸び代があることを内容に盛り込むと非常に効果的です。
インターンシップに参加したい理由を明確にする
なぜ、長期インターンシップに参加するのか、その理由をしっかりと言語化できるようにしておきましょう。
面接でインターンに参加する理由は高確率で聞かれます。
そのとき、先ほども述べたように「なんとなく就活で活きそうだから」というぼんやりとした理由を述べてしまうと「うちじゃなくても良いのではないか」という印象を与え、好意的に映りません。
自己分析と企業研究を入念にして、自分が企業に何を求めているのか、なぜその企業なのかをはっきりさせて、参加の目的を伝えられる状態にしておきましょう。
「〜を学びたいから」「~に挑戦したい」というような成長意欲を見せられる理由はプラスに働きます。
前向きな姿勢で述べるように心がけてください。
まとめ
接客業の長期インターンについてさまざまな視点からまとめました。
長期インターンは社員と同じ立場で業務を行うため、学生では感じなかった責任に戸惑うこともあるでしょう。
しかし、アルバイトでは実感できない仕事のきびしさを通して、やりがいを感じながら、流通の仕組みなど世の中の流れを理解できる非常に貴重な機会と言えます。
将来は別の業界を目指している方にとっても、接客業は多くを学べる場所なのです。
就活が本格的にスタートする前の早い時期だからこそ、挑戦する価値は十分にあるでしょう。