はじめに
就活生のなかには、内定が決まっても、内定式がないと聞いて不安に感じることがあるかもしれません。
企業が内定式を開催しないのには理由があり、その企業側の意図を理解しなければなりません。
そこで、ここから先では、同期とのつながりを深める方法や、内定式がないからこそできる準備について詳しく紹介します。
内定式がない企業は多い?
内定式がない企業に対して、不安を感じる学生もいるかもしれません。
しかし近年は、内定式を実施しない企業が増加傾向にあります。
理由は企業ごとに異なるものの、オンライン対応や多様な採用活動の一環として、内定式を行わないことが一般化しつつあるからです。
内定式がないからといって、その企業が特別な問題を抱えているわけではありません。
むしろ、柔軟な働き方や効率的な採用を重視している場合も多いのです。
内定式がない企業の割合
内定式は、企業との最初の重要な接点となる場ですが、実は内定式を実施しない企業も少なくありません。
調査によると、全体のおよそ30%の企業が内定式を行っていないといわれています。
しかし、この割合は、業界や企業の規模によって大きく異なります。
スタートアップや中小企業では内定式を行わないケースが多い一方、大企業や伝統的な業界では、しっかりとした内定式が設けられるというのが一般的です。
このように、企業ごとの違いがあることをあらかじめ理解し、柔軟に対応することが重要です。
近年はオンライン開催も増えている
新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が内定式をオンラインで開催するようになりました。
オンラインによる内定式は、移動する手間が省けるため、遠方に住む学生にとっては便利です。
また、自宅などリラックスした環境で参加できることはメリットですが、対面ならではの緊張感や、直接コミュニケーションをとる機会が少ないと感じる人もいるかもしれません。
オンライン開催の増加は、企業の柔軟性を示す一方、新しい形式に慣れる準備が必要になるでしょう。
企業が内定式を実施する目的
そもそも内定式は、内定者に対して、企業が正式な仲間として迎え入れる重要なイベントです。
就活の終わりを示す節目でもあり、内定者同士や企業との信頼関係を深める機会でもあります。
たとえば、実際に働く社員と交流する場を設けることにより、入社してからのスムーズな適応や、長期的なキャリア形成につながることもあるでしょう。
また、会社のビジョンや方針を共有し、社会人としての意識を高めてもらう狙いもあります。
内定者の入社意欲を高めるため
この場を通じて、企業は自社のビジョンやミッションを内定者に直接伝えられます。
ビジョンとは、企業が将来に向けてどのような理想の姿を目指すのかを示すもので、長期的な目標や企業の夢といえるでしょう。
一方のミッションは、企業が現在果たすべき使命や役割を表し、企業が存在する理由やどのような価値を提供するのかを具体的に定めたものです。
それらを伝えることにより、内定者は自分が将来働く企業の方向性を理解し、そこでどのような役割を果たすべきかをイメージできるようになります。
さらに、同じく内定を得た仲間との交流も促進されるため、入社後のチームワークの土台が築かれることも期待されます。
このように、内定者のモチベーションを向上させ、円滑な入社プロセスを進めるために、欠かせない機会となっているのです。
内定者同士の関係構築を促すため
目的のもうひとつは、内定者同士の関係構築を促すことにあります。
内定者たちは、同じ職場で働くことになる仲間として、初めて顔を合わせる場です。
これから共に働くチームの一員として、意識を高める機会といえます。
企業の方針や価値観が共有されるだけでなく、内定者同士が直接対話をする最初のチャンスでもあります。
そこから協力関係や信頼関係が生まれ、将来のチームワークの基盤を築くきっかけになるでしょう。
これにより、内定者たちは新たな環境での不安を軽減し、スムーズに業務に取り組む準備ができるようにもなるのです。
このように、内定式は単なる形式的なイベントにとどまらず、内定者同士の結束力を高めて、職場での成功へとつながる重要なプロセスでもあるのです。
企業風土を体感してもらうため
企業の風土や働く環境を体感してもらうことも、式を実施する目的のひとつです。
内定式は新たな一員として迎え入れる内定者に対し、会社の文化や価値観を具体的に感じてもらう貴重な機会です。
このイベントを通じて、内定者は上司や先輩社員、同僚となる仲間たちと初めて直接顔を合わせ、実際にコミュニケーションをとります。
また、企業のビジョンや目指す方向性、仕事に対する姿勢などが明確に伝わることにより、今後の働き方に対する期待感やモチベーションを高められるでしょう。
企業としても内定者の不安を和らげ、入社後のミスマッチを防ぐための重要なステップとしても、位置付けられています。
したがって、内定式はただ慣習や儀礼として行われているのではなく、企業文化の共有と信頼関係の構築において、非常に重要な役割を果たしているのです。
入社前の重要事項を伝達するため
入社前に必要な情報を伝えることも、式を開催することの大きな目的です。
入社後の具体的なスケジュールや業務内容、職場環境の説明、さらには入社までに必要な手続きや準備事項が共有されます。
それらは企業により異なるものの、雇用契約書など提出しなければならない書類、給与の振込先となる銀行口座の指定、あるいはそのために口座を開設しなければならないこともあるでしょう。
これらにより、内定者は入社までに何を準備すべきかを明確に把握し、スムーズなスタートを切るための基盤を築けるのです。
加えて、内定者同士や企業の担当者と顔を合わせる機会にもなるため、コミュニケーションを図り、会社への帰属意識やモチベーションを高める場ともなります。
結果として、内定者が不安を解消し、入社に向けた心構えを整えるために、重要な役割を果たしているのです。
入社前の不安を解消するため
同じ内定者同士が顔を合わせて交流することにより、入社前に仲間意識が芽生えることだけが重要なポイントではありません。
会社のビジョンや事業内容、今後の展望などを説明されることが多く、内定者が自分の働く環境や役割をより具体的に理解する機会となります。
そのなかで、質疑応答や懸念点への対応を通じて、内定者は自分の疑問が解消され、会社に対する信頼感や安心感を深められます。
たとえば、実際にどのようなプロジェクトに携わるのか、担当業務の範囲や役割について質問があがることもあるでしょう。
あるいは、職場におけるコミュニケーションスタイルについて、新人としてどう溶け込めるのかを知りたい内定者もいるはずです。
入社する前に不安だったことが解消されることで、自信をもって準備を進められるようになります。
内定式がない会社の特徴
入社する前にありがちな不安を解消して、意欲を高めるなどのメリットがある一方で、式そのものを開催しない企業も少なくありません。
その多くは柔軟で現代的な企業文化をもっており、形式的なイベントよりも、業務開始に向けた実務的な準備やスムーズなオンボーディングを重視する傾向があります。
また、少人数の企業やスタートアップでは、内定式を省略することで効率性を高め、リソースをより重要な業務に集中させる場合もあるでしょう。
採用人数が少ない企業
そもそも採用する人数がそれほど多くない企業では、一人ひとりに対して個別に対応できます。
そのため、全体を集めて、内定者同士が顔を合わせるような式を行う必要性が低くなることが多いです。
とくに、中小企業やベンチャー企業など、少人数採用を行う企業では、採用担当者が直接内定者とコミュニケーションをとれる場合がほとんどです。
したがって、必要な情報を伝える機会を設けられるため、形式ばった内定式を行わずにすむといった背景もあるでしょう。
また、企業側としても、内定式を開催するためには会場を手配しなければならず、さらに式を進行するためのプログラムを作成しなければなりません。
そのような準備や運営する手間、コストが削減できる点も、内定式を実施しない理由のひとつとしてあげられるでしょう。
大量採用の企業
採用する人数が多い企業においても、全員を集めて内定式を行うことが難しい場合があります。
式を行うには、会場を予約して必要な設備を整えなければならないなど、運営にかかるコストがかかるからです。
とくに、数百人規模の内定者を抱える企業では、円滑に運営するための負担が重くなってしまいかねません。
そのため、こうした企業では、内定式を行わないケースもみられます。
また、企業が全国規模で採用を行う場合においては、内定者が遠方に住んでいることもあり、移動にかかる時間や費用を考慮して、内定式を省略することもあるでしょう。
しかし、近年ではテクノロジーの発展に伴い、オンラインで内定式を行う企業が増えてきつつあります。
これにより、運営負担やコストを軽減しつつ、内定者との交流の場を提供する動きが広がっています。
スタートアップ企業
スタートアップ企業では、組織の規模やリソースの制約によって、内定式を実施しないことがよくみられます。
設立から間もない段階にあるスタートアップは、人員や予算が限られています。
そのため、大規模なイベントや公式なセレモニーに、コストをかける余裕がないという事情もあるかもしれません。
また、柔軟で迅速な成長を目指しているため、正式な手続きを省略することも少なくありません。
そのかわり、入社予定者と個別に面談することにより、カジュアルなオリエンテーションを行うケースもあるでしょう。
たとえば、オフィスツアーやランチミーティング、少人数での座談会などを通じて、社員同士の距離を縮めてフラットな関係性を築く傾向もあります。
このような企業文化は、形式よりも実践を重視し、スピード感をもった意思決定を行うスタートアップならではの特徴といえるでしょう。
内定者インターンを実施している企業
内定者インターンを実施している企業では、そもそも内定式を行わないケースがみられます。
通常の内定式では、正式な内定通知を行い、企業と内定者との初めての顔合わせや企業文化の共有が行われます。
ところが、内定者インターンを導入している企業では、このようなイベントを設けるかわりに、インターン期間を通じて内定者との関係構築を図ることが多いです。
インターン期間中に、内定者は実際の業務に参加し、企業文化やチームとのフィット感を実感できるため、企業にとっても内定者にとってもお互いの理解が深まるメリットがあります。
また、企業は内定者のスキルや適性をさらに確認できる機会を得られるため、インターンを重視する企業では、内定式を省略することが多く見受けられるのです。
企業が内定式を実施しない理由
近年、一部の企業が内定式を実施しない理由として、採用活動の多様化や労働環境の変化があげられます。
とくに、内定辞退や労働市場の流動性が高まるなか、形式的なイベントよりも、実質的なコミュニケーションや研修に注力する企業が増えているのです。
また、内定式の準備や運営にかかるコストを削減し、効率的な採用プロセスを優先する動きもみられます。
これらの要因により、内定式そのものの廃止や規模の縮小が進んでいるのです。
会社の慣例として実施していないため
一部の企業では、内定式を行わないという慣例が長年続いていることがあります。
これは、企業の文化や伝統に基づくものであり、必ずしも内定者への配慮が不足しているわけではありません。
かわりに、内定者とのコミュニケーションやエンゲージメントを図るため、別の方法でイベントを実施することが一般的です。
たとえば、内定者向けの研修や懇親会を通じて、会社の理念や業務内容を伝える機会を設けることが多くあります。
会社が社会にどのような価値を提供し、どのような影響を与えているかを把握することで、働くモチベーションにつなげているのです。
そうした機会は、単なる情報提供にとどまらず、内定者が会社に対する理解を深めて、安心して入社できるようサポートする重要なプロセスといえるでしょう。
入社式が内定式を兼ねているため
入社式が内定者との初顔合わせや、会社説明の場を兼ねて行われることがあるため、内定式を実施していないという企業も少なくありません。
これにはいくつかの理由があり、まず内定式と入社式を別々に行うことでのコストや、時間の負担を軽減できます。
また、内定者が正式に入社するまでの期間に、ほかの企業に就職してしまう可能性がないとはいえません。
そのような事情もあって、内定式の実施に慎重になる企業もあるでしょう。
そのため、入社時にすべての手続きをまとめて行うことが効率的であり、入社式を通じて、一度に会社の方針や組織について説明することが可能となります。
内定式を行わず、入社式が内定者との初めての交流の場を兼ねるケースは、とくにコストや効率を重視する企業で増加しています。
コスト削減のため
企業が内定式を実施しない理由として、開催するのにかかるコストを削減したいという事情があるでしょう。
参加する人数によっては、ホテルやホールなどの大きな会場を手配しなければならず、その会場費だけではなく、交通費などが重くのしかかります。
さらに、運営スタッフを配置しなければならないなど人件費までかかるため、その負担を軽減したいと考える企業が増えているのです。
とくに規模の大きな内定式では、参加者数も多く、費用が膨らむ傾向があります。
そのぶんのコストを削減して、ほかの分野に活用するほうが効率的だと判断することもめずらしくありません。
こうした費用の削減により、企業は新入社員向けの研修や教育に予算を振り向け、より実践的なスキルを育成することに力を入れられます。
このように、内定式を実施しないことで、企業は長期的な人材育成に向けた戦略を進める場合が多いのです。
内定式がない場合でも同期と仲良くなる方法
就職活動の終盤になれば、内定式が行われる企業が多いなか、開催されないケースも決してめずらしくありません。
そのような場合においても、同期とのつながりを築くことが重要なことにかわりありません。
積極的に関わりをもつことで、職場でのチームワークや信頼関係が深まるきっかけになるからです。
ここからは、内定式がない場合でも、同期と仲良くなるための具体的な方法や心構えを紹介します。
新しい環境にスムーズに馴染むためのヒントにしてみてください。
オープンチャットに参加する
同期と仲良くなる方法として、オープンチャットに参加することは、効果的なもののひとつです。
LINEのオープンチャットは、LINE上で気軽にコミュニケーションをとれる場であり、内定者同士のつながりを深める絶好の機会を提供します。
もし直接顔を合わせる機会がなくても、オンラインを通じて同期と意見交換や情報共有ができるため、早い段階で信頼関係を築くことが可能です。
また、共通の興味や仕事に対する期待、不安を共有することで、自然と親近感が生まれ、仲間意識が芽生えることもあるでしょう。
さらに、自分から話しかけることに抵抗がある人にとっても、参加しやすい環境であるため、気軽に交流を始められるのが魅力です。
内定式がない場合でも、オープンチャットを積極的に活用して、同期との絆を深めていきましょう。
会社主催のイベントに参加する
オンラインでオープンチャットに参加するほかにも、会社が主催する懇親会や研修イベントがあれば、積極的に顔を出すとよいでしょう。
これらのイベントは、業務に関する知識やスキルを学ぶ場であるだけでなく、同じ立場の同期と自然に交流を深めるきっかけになるからです。
とくに懇親会は、カジュアルな雰囲気のなかで行われるため、仕事以外の話題で盛り上がれて、リラックスした環境で親睦を深められるでしょう。
また、研修イベントでは、共同作業を通じてお互いをサポートしあうことで、信頼関係が築かれることも多いです。
会社が提供するこうした機会を活用することで、内定式がなくても同期との良好な関係を築くことが可能なので、積極的に参加して同期とのつながりを大切にしましょう。
SNSを駆使してイベントを主催する
同期とのつながりを深めるためには、自ら積極的に動くことが重要です。
たとえば、SNSを活用して同期を集めるイベントを企画するといった取り組みも、有効な手段のひとつとなるでしょう。
非公式の集まりであっても、カジュアルな場でお互いを知る機会を設けることで、自然とコミュニケーションが生まれ、入社後もスムーズに関係を築けます。
オンライン飲み会や趣味を共有するイベントを主催するなど、気軽に参加できる形式ならば、より効果的かもしれません。
あるいは、得意分野や専門知識を共有する勉強会を開けば、お互いに学びあえて、職場でも活かせるスキルが身につくでしょう。
このように、同期との連帯感が強まれば、仕事の面でも協力しやすくなり、信頼関係が深まるきっかけとなるに違いありません。
内定式がない場合によくある質問
内定式は、会社の雰囲気がわかるだけでなく、同期と交流する機会でもあるため、それがなければ不安に思うこともあるでしょう。
入社するまでに必要な情報をどのように選べばよいのか、ほかの内定者との関係構築はどうすればいいのかという疑問もあるかもしれません。
そこで、内定式が開催されない場合においてよくある質問をまとめたので、参考にしてみてください。
会社の風土を知る方法を教えてください
まず、OBやOGを訪問することによって、実際にその会社で働いた経験がある人から話を聞くことが有効です。
現場のリアルな雰囲気や職場環境について、具体的なエピソードを得られることが多く、企業の文化や価値観を把握しやすくなるでしょう。
また、SNSやブログを活用し、現役社員がどのような発信をしているかをチェックするのも効果的です。
社員が発信する内容から、会社の雰囲気や働き方に関するヒントを得られることがあります。
さらに、企業が主催する説明会やインターンシップに参加することで、会社の理念や実際の業務プロセスについて、直接体験できるでしょう。
会社の制度や福利厚生の詳細はどうやって確認できますか?
たとえば、育児休暇や介護休暇といった制度、企業独自の取り組みを確認する方法はいくつかあります。
まず多くの場合は、内定者向けに配布される資料やガイドラインに詳細が記載されているので、これを確認するのが基本です。
また、質問や不明点がある場合は、人事部と個別に相談するのが有効でしょう。
直接連絡をとれば、具体的な内容や自分の状況に応じた説明を求められます。
さらに、企業の公式ウェブサイトや、内定者向けのポータルサイトも活用するとよいでしょう。
これらのオンラインリソースには、最新の制度情報、福利厚生に関する詳細が随時更新されていることが多いため、定期的に確認することが重要です。
まとめ
内定式がない場合でも、企業側にはコスト削減や業務効率化、あるいはオンライン化の促進など、さまざまな意図があることを理解しましょう。
しかし、同期とのつながりが重要なことにはかわりありません。
内定者同士の交流を自ら積極的に行うことで、入社後の不安を軽減して、チームワークを高められます。
オンラインコミュニティやSNSを活用し、連絡を取りあうことで、絆を深める機会を増やしましょう。
そうした自発的な行動が、キャリアのスタートをより充実したものにするでしょう。
なお、内定式に関する詳しい情報を知りたい方はぜひ以下の記事を参考にしてください。