- グループディスカッションの基本的な流れと評価ポイント
- 効果的なフィードバックを行うための具体的な手法と例
- フィードバックを受ける際の姿勢や改善に役立つ練習方法
- ディスカッション全体を成功に導くための具体的な行動案
- 就職活動でグループディスカッションを控えている学生
- フィードバックをより建設的に行いたい社会人やリーダー
- チームのコミュニケーションを良くしたいと考えている人
- 自己評価を高め、グループでの貢献度を上げたい人
はじめに
グループディスカッションにおいては、参加者がお互いにフィードバックを行う時間があります。
これはただ形式的なものではなく、周囲をしっかり観察できているか、考えをうまく言語化できるかなど、様々な要素を見られる重要なポイントです。
どのようにフィードバックをすれば良い印象を与えられるか、よりディスカッションのクオリティを高められるのかについて紹介するため、ぜひ参考にしてください。
【グループディスカッションのフィードバック例】グループディスカッションとは?
- 課題解決型
- ディベート型
- 選択型
- 自由討論型
グループディスカッションのフィードバックについて理解する前に、グループディスカッションとは何なのかについて理解しておかなければなりません。
基本的な流れと評価ポイントについて紹介した後、代表的な4つのタイプを紹介するため、参考にしてください。
また、グループディスカッションについての知識が十分にある方はこの部分を読み飛ばしても構いません。
基本的な流れと評価ポイント
グループディスカッションはテーマに基づいて議論を進め、制限時間内に結論を出すことが目的です。
評価ポイントとしては論理的な意見展開や他者との協調、役割分担の遂行、議論の進行管理が挙げられます。
まず、テーマが提示された際にはチーム全体で内容を共有し、議論の方向性を確認します。
その後、役割を分担しながら話し合いを進め、時間配分を意識して結論に向けた議論を展開するという流れです。
評価において特に注目されるのは、グループ全体の成果にどれだけ貢献したかという点です。
発言が多ければ良いわけではなく、他者の意見を取り入れながら論理的に自分の考えを述べることが求められます。
また、進行役やタイムキーパーとしてグループ全体をまとめる役割も重要です。
時間配分や結論の具体性が評価の鍵となるため、的確な判断と発言が必要です。
課題解決型
課題解決型のグループディスカッションは提示された課題に対して解決策を導き出す形式です。
企業の採用試験では頻繁に採用される形式であり、論理的思考力や問題解決能力が求められる場面が多いです。
この形式の特徴はテーマの背景を深く理解し、現状の課題を分析した上で具体的な解決策を議論する点にあります。
議論の初めには課題の背景やゴールを共有することが重要です。
「売上を2倍にするには」や「食品ロスを減らすにはどうすれば良いか」といったテーマが提示された場合、まず現状の売上や食品ロスの具体的な状況を把握する必要があります。
背景や現状を正確に理解しないまま議論を進めると、解決策が現実性を欠くものになりかねません。
このように、課題解決型のテーマは企業の具体的な問題や時事問題が多いため、事前に幅広い知識を蓄えておくことが大切です。
「売り上げを2倍にするには」
「食品ロスを減らすにはどうすればいいか」
ディベート型
ディベート型のグループディスカッションは対立する2つの意見に基づいて議論を展開する形式です。
この形式の目的は自分の意見を強く主張するだけではなく、他者の意見を正しく理解し、互いに納得できる結論に至るまで建設的に議論を進めることにあります。
採用試験では論理的な思考力だけでなく、柔軟なコミュニケーション能力が評価されることを覚えておきましょう。
テーマ例としては「旅行に行くなら北海道と沖縄どちらが良いか」や「飲食店の全面禁煙に賛成か反対か」などが挙げられます。
これらのテーマは参加者の意見が分かれるため、議論が白熱しやすい特徴があります。
そのため、感情的にならず、冷静に議論を進める能力が求められます。
「どちらの立場が優れているか」だけではなく、議論全体を通じて新しい視点や合意点を見つけることが大切です。
「旅行に行くなら北海道と沖縄どちらが良いか」
「飲食店の全面禁煙に賛成か反対か」
選択型
選択型のグループディスカッションは複数の選択肢から1つを選ぶために議論を行う形式です。
この形式の目的は与えられた選択肢を比較検討し、全員が納得できる結論を導き出すことです。
テーマ例としては「働く上で重要なことは」「大学生活で一番大事なことは」などが挙げられます。
参加者の価値観や経験に基づいて意見が分かれることが多く、議論が活発になることが期待されます。
選択型のテーマは日常生活や職場での判断に近い内容が多いため、具体的な経験や考えを交えて議論を進め、より良い評価を獲得しましょう。
「働く上で重要なことは」
「大学生活で一番大事なことは」
自由討論型
自由討論型のグループディスカッションは結論が明確に定められていない抽象的なテーマをもとに進める形式です。
この形式の目的は自由に意見を交わしながら、多様な視点を共有し、最終的にグループとしての意見をまとめることです。
採用試験では発言力だけでなく、柔軟な思考力や協調性が評価されます。
テーマ例としては「無人島に1つだけ物を持って行くなら何が良いか」「働く意味とは」などが挙げられます。
これらのテーマは正解が存在しないため、自由な発想と論理的な議論のバランスが求められます。
「無人島に持っていく物」というテーマではサバイバルの観点から「ナイフ」や「水」などが提案される一方で、快適性を重視した「本」や「毛布」といった選択肢も考えられます。
このようなテーマではそれぞれの選択肢の背景や目的を深掘りしながら議論を進めることが重要です。
議論を進める中で結論が出ない場合もありますが、その過程が評価の対象となります。
「無人島に1つだけ物を持って行くなら何が良いか」
「働く意味とは」
【グループディスカッションのフィードバック例】フィードバックについて
- フィードバックの役割
- フィードバックのメリット
続いて、グループディスカッションにおけるフィードバックの役割とメリットを紹介します。
それぞれをしっかりと理解しておくことで、より質の高いフィードバックができるようになるはずです。
フィードバックの役割
フィードバックはグループディスカッションの結果を振り返り、参加者全員が自分の行動を理解し、次回以降の改善につなげるために行います。
これには成功した要素を賞賛し、改善が必要な部分を具体的に指摘する役割があります。
適切なフィードバックは議論の質を高めるだけでなく、参加者の成長を促進し、モチベーションを向上させる効果も期待できるものです。
フィードバックを行う際には議論全体の流れを振り返りながら、個々の貢献度を評価することが大切です。
進行役が時間管理をうまく行い、全員が均等に発言できるよう促した場合にはそのリーダーシップを具体的に称賛しますしょう。
一方で、意見の衝突が解消されないまま議論が進行した場合には、どのタイミングで解決策を提示すべきだったのかを具体的に指摘することが求められます。
フィードバックのメリット
フィードバックのメリットは議論をより良い方向に進められることです。
さらに、ポジティブなフィードバックを与えることで、参加者のモチベーションを向上させる効果があります。
あるメンバーが議論の中で的確な意見を述べたならば、その発言がどのように議論を進展させたかを具体的に評価することで、自己肯定感が高まります。
また、改善点を議論することも大切です。
適宜、改善点を挙げることで、その後のディスカッションがさらにスムーズに進むこともあります。
【グループディスカッションのフィードバック例】フィードバックを行う際の基本ルール
- ポジティブと改善点のバランス
- 批判ではなく指導を意識
それでは、フィードバックを行う際に覚えておかなければならない基本ルールを紹介します。
以下の2点を全く理解せずに取り組んでしまうと、質の高いフィードバックができないだけでなく、周囲から反感を買う可能性もあります。
必ず以下のルールは覚えておきましょう。
ポジティブと改善点のバランス
フィードバックの基本はポジティブな点を強調しつつ、具体的な改善点を伝えることです。
ポジティブな点を最初に伝えることで、受け手の自信を高め、前向きな気持ちを持たせることができます。
その後に改善点を示すことで、次回の行動につながる具体的なアドバイスを提供できます。
このバランスを保つことで、受け手がフィードバックを積極的に受け入れてくれるでしょう。
また、ポジティブなフィードバックと改善点を同時に伝える際には、具体的な行動や事例を交えることが重要です。
「〇〇のリーダーシップは素晴らしかった」という評価だけでなく「リーダーとして全員の意見を引き出していたのが印象的だった」などと具体性を持たせることで、受け手の自信とモチベーションをさらに高められます。
「〇〇の姿勢は良かったが、△△を工夫するとさらに良くなる」
批判ではなく指導を意識
フィードバックでは批判的な表現を避け、建設的で指導的な姿勢を意識することが大切です。
否定的な言葉や抽象的な表現は受け手に負の感情を与えやすく、改善への意欲を削いでしまうことがあります。
そのため、改善点を伝える際には具体的な行動を提案し、相手がどのように改善すれば良いかを理解しやすくすることが大切です。
発言が少ない参加者に対して「もっと発言すべきだった」と批判するのではなく「次回は議論が停滞しそうな場面で自分の考えを述べると、議論全体の進行に貢献できる」といった具体的な提案を示しましょう。
このアプローチにより、相手は改善の方向性をポジティブに受け止められます。
×「発言が少なかった」
⚪︎「次回はこのタイミングで発言してみてはどうか」
【グループディスカッションのフィードバック例】効果的なフィードバックの具体例7選
- 成果を褒める例
- 改善点を指摘する例
続いて、グループディスカッションのフィードバックにおける効果的な例を7つ紹介します。
成果を褒める例を2つ、改善点を指摘する例を5つ、それぞれ紹介するため、ぜひ参考にしてください。
成果を褒める例
まずは、成果を褒める例について紹介します。
具体的な成果をを上げて評価することで他の参加者にも貢献の基準が明確に示されます。
また、ポジティブなフィードバックはチームの指揮向上にもつながるでしょう。
チームのまとめ役としての貢献
議論の中でまとめ役を務めたメンバーへのフィードバックは個人の貢献度を明確に評価するだけでなく、他のメンバーにもその役割の重要性を理解させる意味があります。
上記の例文ではAさんが整理役を引き受けたことで議論が円滑に進み、全員の意見を反映した結論が得られた点を具体的に評価しています。
こうした具体的なフィードバックは受け手が自分の行動を理解しやすくなるだけでなく、チーム全体の学びにもつながります。
独創的なアイデアの提示
独創的なアイデアを提示したメンバーへのフィードバックは、その提案が議論全体にどのような影響を与えたかを明示することが重要です。
上記の例文ではBさんの新しい視点が議論をさらに深めるきっかけになり、チームの方向性に影響を与えた点を具体的に評価しています。
こうした評価を行うことで、受け手が自分の行動に自信を持ち、さらに積極的に独自の意見を発信する意欲を持つようになります。
改善点を指摘する例
続いて、改善点を指摘する例についても紹介します。
改善点を指摘する際は、具体的かつ実行可能な改善を示すことが重要です。
曖昧な表現ではなく、具体的な行動例を挙げることで次回の改善につながります。
また、あまりきつい言い方をしすぎると周りのモチベーションを下げてしまう可能性もあるため、的確かつ相手が納得できる「優しい言い方」を心がけてください。
発言のタイミングについての改善
ディスカッションでは発言の内容だけでなく、そのタイミングも重要な要素となります。
Cさんの意見が参考になるものであったことをまず伝え、その価値を認める姿勢を示すことが大切です。
その上で、タイミングの問題点に触れ「議論と重なった場面」を具体的に指摘することで、改善の方向性を明確にします。
このようなアプローチを取ることで、受け手は自身の発言の価値を実感しつつ、次回の行動を具体的にイメージできます。
意見の具体性を向上
ディスカッションでは意見の具体性が説得力を左右します。
Dさんの意見が議論の流れに適していたことを最初に伝え、その価値を認めることで、受け手の自信を高めることができます。
その後に「具体例が少なくてイメージがつかみにくかった」と指摘し、改善点を明確に示します。
具体例を交える重要性を伝える際には「次回は自身の経験や実際のデータを加えることで、より分かりやすい意見を提供できる」といった提案を行うと、より効果的です。
相手は次回以降、事例を用いた発言の準備を意識するようになるでしょう。
議論の方向性への集中
議論が進む中でテーマから外れた発言が出ることは珍しくありません。
そのような場合、発言の価値を否定せず、テーマへの集中を促すフィードバックが必要です。
Eさんの発言が「面白い視点」であったことをまず評価し、受け手の努力を認めることで前向きな姿勢を保たせます。
その上で「テーマから少しずれていた」と具体的に指摘し、改善の余地を示しましょう。
テーマに沿った発言を促すためには「議論の前提を意識し、他の参加者と方向性を共有することを意識する」といったアドバイスが重要です。
「次回はテーマに関連する具体的な事例や解決策を考えると、議論がさらに進展する」といった形で、提案の方向性を示すと良いでしょう。
相手の意見へのリアクション
議論において、相手の意見に対するリアクションは相互理解を深め、議論をスムーズに進める上で重要です。
Fさんが控えめな態度を取ったことで、他の参加者が意見の方向性をつかみづらくなったことを具体的に指摘し、その改善を促す内容としましょう。
「相づちや短いコメント」といった具体的な行動を提案することで、受け手は次回以降に実践すべきことをイメージしやすくなります。
さらに、リアクションが議論に与える良い影響についても説明すると、受け手の理解が深まります。
「他の意見に対して賛同や反論を示すことで、議論が活発になり、全員の発言がより有意義なものになる」といった内容を加えると良いでしょう。
表現力の工夫
議論において話し方や表現力は相手に自分の意見を伝える際に大きな影響を与えます。
Gさんの話し方が「わかりやすい」というポジティブな評価を先に伝えた上で、声のトーンに改善の余地がある点を指摘します。
この順序を守ることで、受け手のモチベーションを損なうことなく改善を促せます。
フィードバックには具体的なアドバイスを含めることが重要です。
「重要な部分で声に強弱をつける」や「内容によってトーンを調整する」といった提案を伝えることで、次回以降の議論で取り入れやすくなります。
【グループディスカッションのフィードバック例】グループディスカッションの改善に向けた実践法
- フィードバックを受ける姿勢
- 練習時の工夫
- 就活エージェントの利用
続いて、フィードバックをグループディスカッションの改善に向けてどのように実践するのかについて詳しく紹介します。
以下の3点はいずれも効果的な対策であるため、ぜひ取り組んでみてください。
フィードバックを受ける姿勢
フィードバックは個人の成長を促す貴重な機会として受け止めるべきです。
指摘を受けた際に否定的な態度を取ると、自身の成長を妨げるだけでなく、周囲にも良くない印象を与える可能性が高いでしょう。
フィードバックの内容が厳しいものであっても、それを自身の行動を見直すための重要なアドバイスと捉えることが求められます。
改善案を受け入れる姿勢を持ち、それを具体的な行動に反映させることが大切です。
「どの部分を改善すれば良いのか」「次回のディスカッションでどのように活かすのか」という点を明確にすることで、次回の成果につながります。
さらに、聞き手としての姿勢も重要です。
面接官も見ていることですし、腹が立つこともあるでしょうが、グッと堪えて、聞く姿勢を大切にしましょう。
練習時の工夫
グループディスカッションの練習では実際の選考を想定した環境を再現することがおすすめです。
試験官役を設けてフィードバックを行う形式を採用すると、議論の進め方や役割分担に関する改善点が明確になります。
また、ディスカッションに制限時間を設定することで時間内に結論を出す練習を積むことができます。
また、練習中には役割分担を明確にし、それぞれの役割を意識しながら議論を進めることが重要です。
リーダー役やタイムキーパー役、意見をまとめる役割などを設定し、全員が自分の責任を果たせるよう努めます。
これにより、ディスカッションの進行がスムーズになり、本番さながらの練習になるはずです。
就活エージェントの利用
フィードバックのクオリティを高めるために就活エージェントに相談するのも選択肢の1つです。
就活エージェントと聞くと、ESの添削や面接の練習相手、企業の紹介などの役割が思い浮かぶかもしれませんが、グループディスカッションのサポートも、当然行ってくれます。
弊社が提供している「ジョブコミット」というサービスではグループディスカッションやWebテストなど、多くの就活生の方が苦手としている選考の対策方法なども詳しくお伝えするため、参考になる部分が多いはずです。
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まとめ
今回はグループディスカッションにおいてフィードバックがどのような役割を果たすのか、どのようなフィードバックをすればさらにグループディスカッションを良いものにでき、周囲からも高い評価を得ることができるのかについて紹介しました。
グループディスカッションにおいて、フィードバックは欠かせない役割を果たします。
ぜひ本記事を参考に、質の高いフィードバックができるようになっておきましょう。