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・会計事務所について
・会計事務所に盛り込むべきポイント
・会計事務所に向いている人の特徴
・会計事務所への就職を目指している人
・自分の志望動機が不安な人
・例文を見て参考にしたい人
目次[目次を全て表示する]
会計事務所に就職するためには志望動機の準備が大切
志望動機と自己PRは就活において最も重要な項目の1つであり、特に質の高いものを提出する必要があります。
もちろん、会計事務所を目指す場合でも同様です。
そこで今回は会計事務所の主な業務内容について紹介した後に、志望動機作成のコツなどについて詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
会計事務所の主な仕事内容
まずは会計事務所の主な仕事内容について紹介します。
会計事務所にあなたが就職した場合は以下の4つの業務を任される可能性が高いでしょう。
特に興味がある項目があれば、志望動機や自己PRに盛り込み、その業務に自分の経験がどう活かせるかについて触れると、より良い印象を与えられます。
- 会計処理と決算書作成
- 税務申告と税務相談
- 経営・財務に関するコンサルティング
- 監査証明業務とその他付随業務
会計処理と決算書作成
会計事務所の最も基本的な業務の1つとして、会計処理と決算書の作成が挙げられます。
クライアントから預かった取引のデータをもとに記帳を正確に行い、月次や年次での試算表や損益計算書、貸借対照表といった財務諸表を作成します。
これにより、企業の財務状態や経営成績が明確になり、経営者が適切な判断を行うための重要な情報を提供できるのです。
特に中小企業では社内に専門知識を持つ人物が少ない場合が多く、会計事務所のサポートが経営の土台を支える役割を果たしています。
数字の正確さが問われるため、ミスのない処理や柔軟な対応が不可欠であり、責任感と注意力が問われる業務です。
帳簿の整理や仕訳から始まり、決算期には税務申告にも関わるため、繁忙期には集中力も必要とされます。
税務申告と税務相談
会計事務所では決算書に基づいた税務申告業務も大きな役割を担っています。
法人税、所得税、消費税など各種税目に対応した申告書の作成と提出を行い、クライアントが税務上の義務を適切に果たせるようにサポートします。
税法は頻繁に改正されるため、常に最新の知識を保ちつつ正確な処理を行うことが大切です。
また、節税対策の提案や税務調査に備えたアドバイス、相続や事業承継に関する相談対応なども行います。
これらは経営に直結する重要なテーマであるため、クライアントからの信頼が不可欠です。
特に中小企業では税務の知識が不足しているところが多いため、会計事務所の分かりやすい説明や実務対応が大きな支えになります。
経営・財務に関するコンサルティング
会計データの分析を通じて企業の経営や財務に関する助言を行うのも、会計事務所の最も重要な役割の1つです。
資金繰りの見直しから経営計画の立案支援、銀行融資を受けるための資料作成、会社設立時の手続きサポートなど、経営のあらゆる段階での課題解決をサポートします。
特に数字に裏付けられた提案は経営判断の根拠として重視され、会計のプロとしての信頼を築くことにもつながるものです。
また、クライアント企業ごとに置かれている状況は異なるため、個別のニーズに応じた対応も求められます。
こうしたサポートは短期的な利益の向上だけでなく、中長期的な企業の成長にもつながるため、顧問契約を通じて長期にわたる信頼関係を築ける点も特徴です。
監査証明業務とその他付随業務
会計事務所の中には公認会計士が所属している場合もあり、そうした事務所では監査証明業務も行われています。
これは企業が作成した財務諸表が会計基準に準拠して適切に作成されているかを、第三者の視点で検証する業務です。
上場企業や一定の規模以上の会社にとっては信頼性を担保する上で欠かせない手続きであり、非常に厳格な姿勢が不可欠です。
また、監査に限らず、給与の計算や社会保険手続きといった業務を会計事務所が代行するケースもあります。
こうした業務は一見補助的に思われがちではありますが、クライアントの日常的な事務の負担を軽減し、本業に集中する環境を整えるという意味で大きな価値を持っています。
会計事務所の現状
就活においては、自分がこれから就職するかもしれない会社や業界についての理解も深めておく必要があります。
会計事務所の現状を理解する上では、以下の4つの項目を理解しておかなければなりません。
就活では今後の業界の流れなどについて聞かれることも多いため、ぜひ覚えておきましょう。
- 深刻化する人手不足と高齢化
- テクノロジー活用とDX化
- 付加価値業務(コンサルティング)へのシフト
- クライアントニーズの高度化・多様化
深刻化する人手不足と高齢化
会計事務所では税理士や公認会計士といった有資格者に加えて、補助スタッフの確保が年々難しくなってきています。
特に若手の人材の採用は困難であり、業界全体で人手不足が深刻化してしまっているのです。
高齢化も進行しており、ベテラン層の退職が増える中で、後継者が育っていないことも大きな課題です。
このような状況の中、採用活動は都市部を中心に激化しており、魅力ある職場環境や柔軟な働き方を打ち出せる事務所が優位に立つ傾向にあります。
一方、採用した後の人材の定着にも課題があり、教育体制の不備や業務の属人化が離職の原因となるケースもあります。
したがって、効率的な業務設計と共に、若手が成長できる環境づくりが急務とされているのです。
テクノロジー活用とDX化
近年の会計業界ではクラウド会計ソフトの普及により、日常的な記帳業務や経費処理が大幅に自動化されています。
freeeやマネーフォワードクラウドといったツールは広く導入されており、業務の効率化に貢献しています。
さらに、RPAやAI技術を活用することで、入力作業やチェック業務の精度が向上し、人手不足の課題にも対応しているのも見逃せません。
従来は手作業で行われていた多くの工程が省略可能となったことで、限られた人員でも多くの案件を処理できるようになってきました。
また、DXの推進は事務所内の情報共有や業務フローの見直しにもつながり、若手スタッフの育成やリモートワークへの対応といった面でも効果を発揮しています。
付加価値業務(コンサルティング)へのシフト
テクノロジーの発展により、記帳代行や申告書の作成といった定型業務は自動化されつつあります。
その結果、これらの業務の価値は下がり、価格も下がり、差別化が難しくなってしまいました。
こうした背景から、多くの会計事務所では経営支援や財務戦略の立案といったコンサル系の業務へとシフトする動きが進んでいます。
企業の成長を支えるパートナーとしての役割が強まり、求められる知識やスキルも多岐にわたるようになりました。
財務分析力や経営知識に加えて、クライアントとの継続的でスムーズなコミュニケーションも重視されています。
今後はただ作業を請け負うだけでなく、経営課題を共有し、具体的な改善策を提案できる専門家としての価値が問われる時代になっていくでしょう。
クライアントニーズの高度化・多様化
クライアントが会計事務所に求めるものは、従来の会計処理や税務申告の正確さだけではなくなってきています。
経営改善につながる具体的なアドバイスや、社内の業務フローの見直しを含むDXの支援、将来の事業承継に備えた長期的な計画づくりなど、様々なニーズが顕在化しています。
特に中小企業では経営者が1人で多くの問題を抱えることも多く、信頼できる相談相手としての会計事務所への期待が高まっているのです。
こうしたニーズに応えるためには会計や税務の知識はもちろん、業界動向への理解や経営全体を見通す視点が必要とされます。
変化に柔軟に対応できる姿勢と、高度な専門性を両立させた事務所が、これからの時代、選ばれていくと言えるでしょう。
会計事務所のやりがい
続いて、会計事務所で働くにあたってのやりがいについて紹介します。
以下の4つは、あなたがどのような会計事務所に就職したとしても感じられる可能性が高いやりがいです。
志望動機に書ける項目や就活の軸が見つかるかもしれませんから、ぜひじっくり読んでみてください。
- 学んだ知識を活かせる場面が業務以外にもある
- 実務を通じた知識・スキルの習得と成長
- 正確性・几帳面さが求められ、達成感が得やすい
- 会社や組織の基盤を支える重要性を感じられる
学んだ知識を活かせる場面が業務以外にもある
会計事務所で得られる知識は業務上のスキルだけでなく、私生活や人生設計にも役立つものが豊富です。
税金、保険、年金、相続など、学校ではなかなか教えてもらえない分野についての理解が日々の業務を通じて深まり、自分自身の生活にも応用できます。
将来的に独立や副業を考える際にも、数字に強いことは大きな武器になるでしょう。
このように、仕事での成長がそのまま自分の人生に返ってくる感覚を持てる点が、この仕事の大きな魅力です。
専門職ではありますが、実生活に密接に関わる知識を深められることは長く働く上でのモチベーション維持につながるでしょう。
実務を通じた知識・スキルの習得と成長
会計事務所での業務を通じて身につくスキルや知識は非常に幅広く、実務に直結しているからこそ成長を実感しやすい点が大きな魅力です。
簿記や会計ソフトの操作方法に始まり、仕訳の考え方や月次・年次決算の流れ、消費税・法人税などの税法に関する基礎知識も、処理を経験しながら習得していきます。
実務では制度の変更や新しい会計基準にも対応しなければならない場面が多く、学びを止めずアップデートし続ける姿勢が不可欠です。
こうした学びの積み重ねにより、当初は先輩の指示を受けて進めていた業務でも、自分の力で考えて対応できるようになり、仕事への自信と達成感が増していくことでしょう。
正確性・几帳面さが求められ、達成感が得やすい
会計事務所で求められる重要な資質の1つとして、正確性が挙げられます。
業務の大半が数字を扱うため、少しのミスが後々の大きなトラブルにつながることがあり、1円の誤差も見逃せないという姿勢が求められます。
毎日の伝票入力や帳簿の照合、仕訳内容の確認など、細かな作業を繰り返す中で、集中力と注意力を保ち続けなければなりません。
作業の性質上、面倒、または大変だと感じることもありますが、すべての数字が正しく整った瞬間の達成感や、締め処理がスムーズに完了した時の安心感は非常に大きなものです。
特に納期が厳しい申告業務などが無事に終わった時は、チーム内での連携や個人の努力が成果としてはっきり現れるため、大きなやりがいを感じられます。
会社や組織の基盤を支える重要性を感じられる
会計や経理業務は企業の見えないところで組織運営を支える、非常に重要な存在です。
給与計算が正しく行われなければ社員の信頼を失い、請求の処理や支払い対応にミスがあれば取引先との関係にも影響が出てしまいます。
このように、会計業務は正確かつ円滑に遂行されているからこそ、企業全体の活動が問題なく進んでいるのです。
会計事務所はその裏側をサポートする存在として、日常的に企業の根幹に関わることができます。
自分の仕事が直接見える形で評価されることは少ないかもしれません。
しかし、だからこそ、誰かの役に立っているという確かな手応えを得られる時の喜びは大きなものと言えるでしょう。
会計事務所の代表企業例
続いて、会計事務所の代表的な企業を4つ紹介します。
もちろん、以下の4つ以外の企業を目指す人も多いでしょうが、大手がどのような取り組みをしていて、何を得意としているのかを理解しておけば、就活に活かせる情報が見つかるかもしれません。
デロイトトーマツ
デロイトトーマツグループは世界四大会計事務所(Big4)の一角を占めるプロフェッショナルファームです。
日本では約2万1,000名の社員を擁し、Big4の中で最大規模を誇ります。
1968年の設立以来、監査や税務だけでなく、経営戦略やITなど幅広いコンサルティングサービスへ事業領域を拡大してきました。
近年はDX支援など新たな分野にも注力しており、常に時代のニーズに応えるサービスを提供しています。
社内ではチームワークとイノベーションを重視する文化が根付いており、国内外のスタートアップから大企業まで、多様なクライアントに対するチャレンジングなプロジェクトに若手のうちから取り組むことができます。
グローバルな環境で幅広い経験を積みたい方にとって非常に魅力的なフィールドと言えるでしょう。
従業員数:約21,000名(国内)
時価総額:非上場
資本金:約12億円
主力事業:監査・保証、税務、コンサルティング
PwC
PwCJapanグループは世界157カ国に展開するPwCの日本におけるメンバーファームで、四大監査法人の1つです。
2006年に新設された比較的新しい組織ですが、監査・保証業務に加えてM&A支援などサービス領域を広げ、急速な成長を遂げてきました。
日本国内のメンバーは約1万2,700名に上り、多種多様な専門性を持つプロフェッショナルが在籍しています。
比較的新しい組織であることから社内にはベンチャーマインドも根付いており、変化を恐れずチャレンジする風土があります。
世界を舞台にビジネス課題の解決に挑みたい方には魅力的な選択肢となるでしょう。
従業員数:約12,700名(国内)
時価総額:非上場
資本金:10億円
主力事業:監査・保証
EY
EYJapanは世界150カ国以上に展開するEYの日本における拠点で、四大監査法人の一角を担っています。
2000年に現行の監査法人体制が発足して以来、日本を代表する監査法人として多くの企業の監査・アシュアランス業務を手掛けてきました。
EY新日本には約6,300名の職員が在籍し、グループ全体ではコンサルティングや税務部門も含め1万人規模のプロフェッショナル集団となっています。
社内はチームワークを重んじる穏やかな社風で、先輩からのサポートも厚く、若手も安心して成長できる環境です。
社会に貢献しながらグローバルに成長したいと思っている人におすすめできます。
従業員数:約6,300名(国内)
時価総額:非上場
資本金:約12億円
主力事業:監査・保証、税務、コンサルティング
KPMG
KPMGジャパンはKPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームで、四大監査法人の1つです。
約7,000名の職員を擁するあずさ監査法人を中心に、税務やアドバイザリー部門を含めたKPMGジャパン全体では1万人を超えるプロフェッショナルが在籍しています。
監査・保証業務において数多くの国内大手企業から信頼を獲得しており、金融業や製造業などの分野で豊富な実績があります。
社内はチームワークを大切にする文化が根付いており、また、じっくりと専門性を磨きながらキャリアを積める点も魅力です。
研修制度も充実しており、資格取得支援などプロフェッショナルとして成長できる環境が整っています。
専門スキルを高めつつグローバルに活躍したい方におすすめです。
従業員数:約7,000名(国内)
時価総額:非上場
資本金:30億円
主力事業:監査・保証、税務、コンサルティング
会計事務所への就活で有利になる資格一覧
続いて、会計事務所への就活で有利になる資格一覧を紹介します。
以下の4つの資格はいずれも、会計事務所を目指す上で取得しておくと他の就活生に大きく差をつけられるものです。
- 日商簿記検定(特に2級以上、1級は非常に有利)
- 税理士
- 公認会計士
- MOS(特にExcel)
ぜひ気になるものがあれば、今から学習を開始し、取得に向けて取り組んでください。
日商簿記検定(特に2級以上、1級は非常に有利)
日商簿記は比較的取得しやすく、かつ持っておくと非常に就活で有利になる可能性が高いため、ぜひチャレンジしてほしいものの1つです。
特に2級以上を取得している場合、会計・簿記に関する基本的な理解があることを証明でき、実務を円滑にこなせる素地があるとみなされるでしょう。
また、1級を取得していれば、連結会計や原価計算など高度な分野にも対応できると評価され、大手の事務所や専門性の高いポジションでも即戦力として期待してもらえます。
試験範囲は日々の業務で直結する場面が多く、実践力と理論の両方を備えた人物であることを示す手段になるでしょう。
また、認知度が高く、難易度も一定以上であることから、他の業界や企業を目指す時の就活にも役立てられます。
税理士
税理士は非常に難しい資格として有名であり、行政書士などとは異なり、受験に必要な資格が存在する上、合格率が約15%なので、かなり難しい資格であると言わざるを得ません。
税法や会計学など実務に直結する専門的な知識を体系的に学び、難易度の高い国家試験に挑戦する姿勢自体が意欲と努力の証明になります。
特に、税務業務に特化した会計事務所であれば、たとえ1科目合格するだけでも他の応募者との差別化が図れます。
また、在学中に複数科目に合格している場合は、非常に優秀な人物であると思ってもらえるでしょう。
取得しておけば、会計事務所で経験を積んだ後に独立も視野に入れられるため、将来は自由に働きたいと考えている方にもおすすめです。
公認会計士
またもや難しい資格の登場ですが、公認会計士も会計や監査における最高峰の国家資格であり「資格取得を目指して学習をしている」という事実だけでも高い評価を受けられます。
誰でも受験はできるため、税理士より難易度は低いかと思われがちですが、その分合格率が約7〜11%であるため、税理士と並んで難しい資格であることは間違いありません。
合格していれば理想的ですが「目指して勉強している」と話すだけでも、知識・論理的思考力・根気強さを持っていると評価してもらえるでしょう。
知識の広さと深さに加えて、クライアントへの説明力や状況分析力も求められるため、総合的な能力の証明になるでしょう。
もちろん、この公認会計士として独立も目指せるため、税理士資格と同様、将来は独立したい人もぜひ合格を目指してみてください。
MOS(特にExcel)
会計事務所の実務ではExcelのスキルが毎日のように使われます。
表計算、データの整理だけでなく、関数やピボットテーブル、条件付き書式などの機能を使いこなせば、業務効率が大きく向上するでしょう。
特にMOSの資格はこれらの操作を体系的に学び、実務における即戦力があるとアピールできる証明にもなります。
会計ソフトとの連携や報告資料の作成を行うことが多いため、Excelスキルの高い人材は非常に重宝されます。
WordやPowerPointなど、他のOffice系ソフトの活用力も評価対象となる場面がありますが、まずはExcelにおける実務処理能力が重要です。
可能であればMOSの合格、時間が無い人はExcelに特化して勉強しましょう。
会計事務所の志望動機に盛り込むべき4つのポイント
続いて、会計事務所の志望動機に盛り込むべきポイントを4つ紹介します。
以下のポイントが含まれているか含まれていないかで、志望動機のクオリティは大きく異なります。
何度も話しているように、志望動機は自己PRと並んで最も重要な項目の1つですから、以下のポイントを意識した上で、クオリティの高いものを提出しましょう。
- なぜ「会計事務所」という仕事を選んだのか
- なぜその事務所を選んだのか
- これまでの経験や強みをどう活かせるか
- 入所後にどのように貢献・成長したいか
なぜ「会計事務所」という仕事を選んだのか
数ある職業の中で会計事務所の仕事を選ぶ理由を明確にすることは、志望動機に説得力を持たせる上で欠かせません。
会計や税務の分野は専門性が高いため、企業や個人の経済活動を根本から支える重要な役割を担っています。
したがって、なぜ会計事務所を選ぶのか、自分の価値観や適性と結びつけて伝えることが大切です。
「安定していること」や「将来性があること」など、様々な魅力が存在しますが、どの業界や企業でも享受できる可能性が高いメリットを選ぶのではなく、会計事務所「ならでは」のやりがい、成長できる要素などを選ぶようにしましょう。
なぜその事務所を選んだのか
会計事務所が多くある中で、なぜ特定の事務所を選ぶのかを言語化することは採用担当者にやる気を判断してもらう上で非常に重要です。
規模や知名度だけでなく、その事務所ならではの特徴に焦点を当てて、具体的な評価ポイントを提示することが大切です。
企業理念や業務方針、クライアント層、教育制度、企業文化など様々な側面から共感した点を整理することが求められます。
その際、自分自身の考え方や価値観と接点がある部分を具体的に把握し、自分がその環境でどのように成長できるか、どう貢献できるかを描くことに注力しましょう。
また、事務所が発信している情報や説明会、見学会などを通じて得た印象を言語化することで、理解の深さと志望度の高さが伝わるようになります。
これまでの経験や強みをどう活かせるか
志望動機を説得力あるものにするためには、自分がこれまでに積み上げてきた経験や強みが会計事務所の仕事にどのように活かせるかを客観的に説明することが不可欠です。
資格取得、アルバイトや課外活動などを通じて得たスキルや姿勢の中から特に業務と関連性が高いと考えられるものを選び出し、その背景や過程を整理しましょう。
また、その経験が会計処理やクライアント対応にどう活かされるかを論理的に考察しておくことも大切です。
「このような環境で、このように貢献できる」という形で、経験と職務内容とのつながりを具体的に構造立てて表現すると、良い印象を与えられます。
入所後にどのように貢献・成長したいか
志望動機の最後の要素として重要なのが、入所後の展望です。
採用する側は「この人は入所したらどのように働き、どのように事務所に貢献してくれるのか」を知りたいと考えています。
したがって、明確な成長意欲と共に、それを通じてどのような価値を提供したいのかを具体的に説明する必要があるのです。
ここでは、受け身ではなく能動的な姿勢を示すことを心がけましょう。
また、公式サイトなどに書かれている「どのような人物が求められているか」に沿って作成すれば、しっかりと企業研究を行っていることも同時に伝えられます。
会計事務所が求める人物像
会計事務所がどのような人物像を求めているのかについても理解を深めておきましょう。
相手がどのような就活生を理想としているかを理解しておけば、志望動機でアピールできるエピソードを思い出せるかもしれません。
自分が会計事務所に向いている人物であることをアピールするために、ぜひ確認しておいてください。
- 高い誠実性と倫理観がある人
- 正確性・緻密さと丁寧さを持ち合わせている人
- 知的好奇心と学習意欲がある人
- 協調性とチームワークを大切にできる人
高い誠実性と倫理観がある人
会計事務所では企業や個人の経済活動に関する機密性の高い情報を取り扱います。
財務諸表の内容、取引先との契約、資産状況、税務に関する申告情報など、公開されていない重要なデータを扱う場面が多いのです。
したがって、会計業務に従事する者には情報を漏らさず、誤って第三者に伝えることのないよう、強い倫理観が求められます。
また、金額に関わる判断や処理を行う際にも、自分の都合や他人の意向に流されることなく、常に中立かつ公正な姿勢で業務を進めなければなりません。
そして、依頼された内容が明らかに税法違反に当たる場合には毅然と断る姿勢も重要です。
職業倫理を日常的に意識し「正しくある」ことを自らの軸として持っているかどうかが、この業界で働く上での前提となります。
正確性・緻密さと丁寧さを持ち合わせている人
会計事務所で求められる最も基本的な能力の1つとして、数字の正確性と細部への意識が挙げられます。
伝票の処理や帳簿の作成、税務申告書の作成など、どの業務においてもミスは許されません。
作業は地味であっても、毎日積み重ねていく中で緻密に対応する力が求められます。
また、会計処理には多くの法的な基準が関わるため、それらを確認して進める視線も必要です。
曖昧なまま作業を進めず、理解できるまで確認する慎重さと、根拠を述べる習慣が必要とされます。
知的好奇心と学習意欲がある人
会計や税務の業界では常に最新の情報をキャッチアップし続ける姿勢が必要です。
法律や制度は目まぐるしい勢いで見直され、税制改正や会計基準の変更は毎日のように発生します。
加えて、クラウド会計、AI、RPAといった新しい技術が現場に導入されるスピードは非常に早く、業務のやり方そのものが変わっていくことも少なくありません。
こうした変化に対応するためには、日々の実務を通じて学び続けることが当たり前と考える姿勢が不可欠です。
知識を得ることに前向きであることはもちろん、新しいことに対して柔軟に対応し、進んで情報を取りに行くことができるかが重要になります。
事務所で働く中で得られる実務的な知識に加えて、積極的に学び理解を深める努力ができる人こそが、業務の質を高める存在として、長く信頼されていくでしょう。
協調性とチームワークを大切にできる人
会計事務所の業務は個人の作業能力だけでは完結しないことが多いです。
上司や先輩との進捗の確認、チームでの情報共有、報告、相談などを丁寧に行うことが欠かせません。
また、税理士や公認会計士が行う申告や監査業務では複数のスタッフが役割を分担しながら一連の流れをこなしていくため、連携の質が仕事の質に直結します。
よって、自分の担当分だけに集中するのではなく、全体の流れや他のメンバーの動きを意識しながら行動できることが求められるのです。
さらに、クライアントとのやり取りにおいても、相手の意向や状況を把握しながら丁寧に対応する力が求められます。
1人で完結しない業務が多いからこそ、周囲と良好な関係を築き、柔軟に役割を果たす力が重視されます。
会計事務所の志望動機作成時の注意点
続いて、会計事務所の志望動機を作成する際に気をつけておかなければならないポイントを3つ紹介します。
以下の3点を全く意識せずに志望動機を作成してしまうと、マイナスな印象を与えてしまう可能性があります。
ぜひ、理解した上で志望動機を作成してください。
- 内容が抽象的・一般的すぎる
- 「学びたい」「成長したい」という受け身の姿勢が強すぎる
- 自身の経験や強みと、事務所の業務内容が結びついていない
内容が抽象的・一般的すぎる
志望動機を作成する際に「社会に貢献したい」「会計に興味がある」といった表現だけにとどめてしまうと、採用担当者に強い印象が与えられません。
このような言い回しは誰でも言えるものであり、本人の価値観や経験、志望先との関係が何も見えてこないからです。
特に「なぜその事務所を選んだのか」が曖昧な場合「他のどの事務所でも良いのではないか?」と思われてしまうでしょう。
自分の考え方や目標が志望先のどの点と結びついているのかを深掘りして、その理由に必然性があると伝えることが重要です。
興味や関心を抱いたきっかけや、そこに至る過程、事務所の方針や実務内容への共感点などを織り交ぜることで、説得力が生まれます。
「学びたい」「成長したい」という受け身の姿勢が強すぎる
就活の中で成長意欲をアピールすること自体は重要ですが、表現の仕方によっては受け身の印象を与えてしまうことも少なくありません。
特に会計事務所のように、ある程度早い段階で戦力として活躍することが前提とされる業界では「何を学びたいか」以上に「どのように貢献できるか」「どのような価値を提供する意識を持っているか」が重視されます。
自分が持っている知識やスキルを踏まえ、それを活かして業務にどう関われるのか、具体的な視点で伝えることが求められるのです。
「学ばせてほしい」ではなく「学びながらでも主体的に行動し、業務の中で価値を発揮しよう」とする姿勢を示しましょう。
自身の経験や強みと、事務所の業務内容が結びついていない
自分の強みや過去の経験を語る際にはそれがどのように志望先の業務に活かせるかを明確に関連付けなければなりません。
「ゼミで会計を学びました」「アルバイトで責任感を持って働きました」と述べるだけでは採用担当者はその経験がどのように影響するのか、あまりイメージできません。
重要なのは、その経験の中で何を得たのか、どのような力が身についたのかを具体的に言語化して、それが会計事務所の業務とどうリンクするかを示すことです。
志望先の業務内容や力を入れている取り組みなどについてしっかりと理解した上で、自分の経験がどのように活用できるか、納得感を持って説明できるようにしましょう。
会計事務所の志望動機例文8選
ここまで紹介した内容を踏まえた上で「会計事務所を目指す就活生」という前提で書かれた志望動機を紹介します。
あなたがどのような能力、もしくは経験をアピールするかによって最も参考にするべきものは変わりますが、いずれもこの記事の復習として活用できる例文です。
忙しい方は境遇が似ているものだけでも構いませんが、時間に余裕があれば、ぜひ8つの例文全て読んでみてください。
大学での学び(ゼミ)を基点にする場合
簿記資格取得の経験をアピールする場合
インターンシップ経験を基点にする場合
事務所の専門分野・特徴に惹かれた場合
「中小企業支援」への想いを語る場合
DX・テクノロジーへの関心をアピールする場合
コミュニケーション能力をアピールする場合
成長意欲と挑戦心をアピールする場合
NGな志望動機例文2選
「このような志望動機を提出しては、マイナスな印象を与えてしまう可能性が高い」と言える、NGな志望動機の例文も2つ紹介します。
なぜNGなのか、どうすれば改善できるのかについても詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてください。
内容が抽象的すぎる
常々、人の役に立つ仕事がしたいと幼少期から考えており、社会の基盤を支える会計の仕事に興味を持ちました。
貴所は業界でも非常に有名であり、多くのクライアントを抱えているため、働くことで成長でき、多くの人々に貢献できると考えています。
貴所で全力を尽くし、多くの人に貢献する所存です。
受け身の姿勢が強すぎる
貴所は研修制度が非常に充実しており、未経験の分野でも手厚く指導していただける点に大きな魅力を感じました。
入所後は毎日勉強に取り組み、1日も早く専門知識を吸収し、皆様のお役に立てるように努力しますので、ぜひ貴所で学ばせていただければと考えています。
木下恵利

確かに、どの企業も会計事務所も初日から既存の社員と同様に活躍してくれとは言いません。しかし、この文章のように「生徒」のような姿勢で「教えてもらうこと前提」で入所する人は、どの企業も求めていないことでしょう。受け身ではなく、自分から知識を取得しに行き「早い段階から貢献できる業務を探し、全力を尽くす」という姿勢が、就活においては不可欠なのです。
就活に困ったら就活エージェントに相談しよう
ここまで、会計事務所を目指している人向けに、まず会計事務所の業務内容を軽く紹介し、その後、志望動機の作成方法について詳しく紹介しました。
しかし、この記事を読んだだけで100点の志望動機を作れる人ばかりではないでしょう。
むしろ「理論はわかったけれども、実践が難しい」という人も多いはずです。
そんな方は就活エージェントを利用してみてください。
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まとめ
今回は会計事務所を目指している人のために、会計事務所の業務内容や今後どのように業界が動いていくか、どのような人物が求められるかなどについて詳しく紹介しました。
会計事務所は非常に安定しており、やりがいも多い仕事ですが、その分ライバルが多い応募先の1つでもあります。
ぜひこの記事を参考に質の高い志望動機を作成し、内定を掴み取ってください。

木下恵利
「人々の役に立つ」「社会の基盤を支える」といったことが、具体的にどういうことか全く分かりません。会計の仕事に興味を持ったきっかけや理由も書かれていませんし「業界でも有名であること」「多くのクライアントを抱えていること」は他の大手事務所にも当てはまることで、この事務所を選んだ理由になっていません。そのため、即落とされる、典型的な悪い例文と言えるでしょう。