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- 電通の業務内容
- 電通の強み
- 他の広告代理店との違い
- 電通に興味がある人
- 電通を第一志望にしている人
- 大手広告代理店で働きたい人
目次[目次を全て表示する]
電通ってなんの会社?
電通は就活生から人気の企業ではあり、「超」がつくほどの大企業とは聞くものの、どのような業務を行っているのか、何の会社なのか知らない人も多いはずです。
そこでこの記事では基本情報、日本最大の広告代理店である理由、職種や求める人物像について詳しく紹介するため、参考にしてみてください。
・ビジネスモデル
・平均年収
・市場規模
・就職難易度
電通の基本情報
社名:株式会社電通 (英文社名:DENTSU INC.)
創業:1901年(明治34年)7月1日
代表取締役:佐野傑(さのたけし)、永井聖士(ながいきよし)
本社所在地:〒105-7001 東京都港区東新橋1-8-1
資本金:100億円
従業員数:5,283人(2024年12月末日)
事業内容:顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供に加え、デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発、最適なお客様体験のデザイン、マーケティング基盤そのものの変革、さらには顧客の事業変革などを支援しています。
また、マーケティング領域を超えて進化させた多様なケイパビリティを掛け合わせ、顧客と社会の持続的成長に貢献する統合ソリューションを提供していきます。
日本最大の広告代理店である理由
電通が日本最大の広告代理店と呼ばれる背景には売上高の規模と取引先企業の数、そして広告の取り扱い領域の広さがあります。
長年にわたり国内広告業界の売上ランキングで首位を維持しており、企業が広告戦略を考える際に、真っ先に名前が挙がる存在です。
テレビや新聞、ラジオ、雑誌といった伝統的なメディアに加えて、インターネット広告やSNSプロモーション、イベント企画、ブランディング戦略といった分野にも力を入れており、広告に関わるあらゆる分野をカバーしています。
このように、電通は圧倒的な規模で影響力を持っており、日本有数の大企業の1つとも言えるほどの広告代理店です。
電通の強み・弱みをSWOT分析
電通を企業研究するうえで、SWOT分析は全体像を把握するのに役立ちます。
ここでは強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つの視点から、電通の特徴を整理します。
就活で志望動機や面接回答を考える際の参考にもなると思います。
2024年の日本広告市場は総広告費7兆6,730億円(前年比+4.9%)で過去最高を更新。
ネット広告費も2兆9,611億円に拡大し、特に動画広告は+23%(8,439億円)、SNS広告は初の1兆円超え(1兆80億円)を記録しました。
国内事業が成長する一方で、国際事業では2,101億円の減損が発生し、グローバル再建の動きが加速しています。
それでは四つの観点から電通を分析していきましょう。
Strengths(強み)
動画広告が前年比+23%、SNS広告が1兆円を超えて拡大する中、電通は「AX/BX/CX/DX」の四変革を統合して提供できる体制を強化しており、販促DXの実践例や顧客データの統合システムなど、具体的な成功事例も増えています。
例えば日用消費財クライアントに対するAIを用いた販促キャンペーンで、購買証明をリアルタイムに取得・活用してブランドファンを拡大した事例などがあります。
国内市場の拡大と統合提案力が電通の強みと言えることでしょう。
Weaknesses(弱み)
海外ではEMEAで1,530億円、米州で571億円ののれん減損を認め、APAC(日本除く)地域は引き続きマイナス成長。
海外比率が高くなる中で、買収によるリスク・統合後のマネジメント、為替や金利変動など外部要因の影響が収益性を大きく揺るがす要素になっています。
また、2024年度は海外事業で利益を圧迫されたため、グローバルでの事業ポートフォリオの見直しが必要となっています。
国際事業の現存と収益性低下が課題となっているようです。
Opportunities(機会)
電通デジタル等が手がけるデータクリーンルームを用いた指名検索数リフト分析や、動画広告の可視化など成功事例が出てきており、これらはクライアントに成果を示しやすく、顧客接点の最適化やユーザーデータを一元管理するDX推進チーム(国内グループで約4000人規模)も動き出しています。
さらに、UI/UX企業の買収やミツエーリンクスの完全子会社化によるUX設計力の強化など、成長分野への投資も実行に移されています。
このように動画・SNS・DX投資が成長機会を広げています。
Threats(脅威)
アクセンチュアなどコンサルティング会社は、戦略・デザイン・IT実装まで広告以外の領域での提案力を強化しており、広告代理店だけではなく、ビジネスモデルの変革能力も問われている。
さらに、技術側ではAI戦略「AI for Growth」や販促DX、データ分析・可視化の取り組みが競争差別化要素となっており、これらをどう迅速に取り込むかが鍵。
消費者プライバシー規制やクッキー廃止などの規制リスクも、データ活用を主軸とする電通にとって脅威です。
競合他社
電通の競合他社は大きく分けて以下の3つと言えるでしょう。
先ほどそれぞれの違いについて詳しく紹介した博報堂はもちろん、ADKとサイバーエージェントが最大のライバルと言えます。
これらの競合他社がどのような業務を行っているのか確認してみてください。
場合によってはこれらの企業にもエントリーしてみても良いでしょう。
- 博報堂
- ADK
- サイバーエージェント
博報堂
博報堂は国内広告代理店で電通に次ぐ規模を持ち、マーケティング、クリエイティブ、PR、コンサルティングなど統合コミュニケーションサービスを提供しています。
クリエイティブ力は国内外で高く評価されており、数多くの賞を受賞しています。
また「生活者発想」「パートナー主義」という独自の哲学を持ち、人々を自主性ある「生活者」として捉え、深く洞察することで新しい価値創造を目指しているのも特徴です。
CMやグラフィックなどの表現力に強みがあり、ブランドづくりや企業の世界観設計を得意としています。
また、社風が比較的自由でフラットなのも魅力です。
大手企業ですが、若手にも裁量が与えられやすく、自らアイデアを形にしたい人にとって魅力的な環境と言えるでしょう。
ADK
ADKは電通・博報堂に次ぐ国内第3位の総合広告代理店です。
最大の強みはコンテンツプロデュース力で、東映アニメーションとの長年の関係性を活かし「ドラゴンボール」「ワンピース」などのIPを通じたプロモーション展開が得意です。
企画・製作から商品化、広告活用、イベント展開まで幅広い領域を統合し、コンテンツ価値の最大化を図っています。
この分野で国内外に独自の地位を築き、グローバル展開にも力を入れています。
穏やかで論理性を重視する社風で、落ち着いた雰囲気の中で誠実な人柄が評価される環境です。
フットワークの軽さと柔軟な発想を活かし、クライアントに寄り添う提案ができる点も魅力と言えます。
電通や博報堂に比べると組織は小規模ですが、その分、機動力とチームワークで独自の存在感を発揮しています。
サイバーエージェント
サイバーエージェントはインターネット広告市場で国内トップクラスのシェアを持つ、デジタル領域特化型の総合代理店です。
インターネット広告代理店として国内トップクラスの規模を持ち、ABEMAなどのメディア事業やゲーム事業も順調に成長しています。
テクノロジーとスピード感ある事業展開が特徴で、自社メディアやゲームのノウハウを広告事業にも活かせる点が他社にない強みです。
ABEMAなど自社プロダクトで得た反応を広告提案に反映できるなど、広告と開発が連動した提案力があります。
ベンチャー気質が強く、若手に大きな裁量を与える文化が特徴です。
新卒社員が子会社の責任者を務める例もあり、挑戦を支援する風土が整っています。
「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」というセルフ・リーダーシップを重視し、社員の成長意欲が事業拡大の原動力となっています。
競合他社との違い
続いて、電通の業界での立ち位置について紹介します。
日本でも有数の大企業ということで、広告業界の中でも圧倒的な立ち位置を占めていることはなんとなく分かるかもしれませんが、具体的な数値について理解を深めておきましょう。
どの程度のシェアがあり、売上規模はどの程度なのか「二大巨頭」と言われる博報堂とはどのような違いがあるのかなどについて詳しく紹介するため、参考にしてください。
- 電通のシェアと売り上げ規模
- 電通と博報堂の違い
- 海外展開とグローバルでの存在感
電通のシェアと売上規模
電通は日本国内の広告業界において、圧倒的なシェアと売上規模を誇っています。
テレビ、新聞、ラジオ、雑誌といったマスメディア広告の分野においては長年にわたり他社を大きく引き離す形で業界トップの地位を維持しています。
特に大手企業との長期的な取引関係が多く、年間の広告予算が大きいクライアントとのつながりによって安定した売上基盤を構築しているのが特徴です。
また、広告主との間に強固な信頼関係を築いているため、年間を通じた多様なプロモーションを任されることも珍しくありません。
さらに、電通グループは国内市場だけでなく海外市場においても存在感を高めており、2023年時点で世界145カ国以上に拠点を持ち、グローバルでの売上は約1兆円に達しています。
こうした数字は日本発の広告代理店としては極めて稀であり、世界的な規模で事業を展開している証です。
電通と博報堂の違い
電通と博報堂はいずれも日本を代表する広告代理店ではありますが、それぞれ異なる強みや社風があります。
電通は営業力やメディアの仕入力に優れており、広告枠の確保やクライアントとの関係構築において非常に高い成果を上げてきました。
クライアントのニーズに即応し、大規模なプロジェクトを短期間で実現できる環境が整っていることも特徴です。
一方、博報堂は企画やアイデアに重点を置いた広告戦略に定評があります。
独創的なキャンペーンやブランド構築の提案力が強く、特にクリエイティブ面での評価が高いです。
また、企業文化の面でも違いが見られ、電通が成果主義やスピードを重視する合理的な社風を持つのに対して、博報堂は個人の自由な発想や柔軟な働き方を尊重する傾向があります。
海外展開とグローバルでの存在感
電通は日本国内における影響力だけでなく、グローバル市場での展開にも注力しています。
その転機となったのが、2012年に英国の大手広告会社Aegisグループを買収したことです。
この買収によって海外での事業展開が一気に加速し「電通インターナショナル」というブランドの下で欧州や北米、アジア地域を中心に事業を拡大してきました。
電通は現地の企業と連携しつつ、現地の文化や市場に適応したマーケティングや広告展開を行うことで、世界中のクライアントに価値を提供しています。
このように、日本の企業ではありますが、グローバルのネットワークを活かして世界規模のプロジェクトを運用できる体制を整えているのも大きな特徴です。
事業内容
続いて、電通の事業内容について紹介します。
大きく分けて以下の4つの事業を行っているのが電通であり、いずれも高い能力が求められます。
それぞれの内容を理解するのは少し難しいかもしれませんが、電通への理解を深めるためには欠かせない部分です。
少しでも理解できるよう噛み砕いて説明するので、ぜひ読んでみてください。
- AX(アドバタイジングトランスフォーメーション)
- BX(ビジネストランスフォーメーション)
- CX(カスタマー・エクスペリエンストランスフォーメーション)
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
AX(アドバタイジングトランスフォーメーション)
AX(アドバタイジングトランスフォーメーション)は電通が展開する広告領域の変革を示す概念であり、ただの広告の制作・出稿ではなく、企業の経営や事業全体の成長戦略に深く関わるソリューションとして位置づけられています。
顧客接点やメディアの多様化が進む中、従来の広告手法だけでは十分な成果を得ることが難しくなっており、企業はコミュニケーション戦略そのものを再構築する必要に迫られています。
こうした背景に対し、電通のAXはマーケティング、データ分析、クリエイティブ、テクノロジーの知見を掛け合わせながら、広告という枠を超えて事業全体の成果につながる統合的なソリューションを提供しているのです。
ブランドの持続的な成長や、消費者との関係構築を軸に、顧客企業の経営課題を広告を通じて解決へと導くのがAXの基本的な考え方です。
企業の広告活動を戦略的に進化させ、売上やブランド価値の向上に貢献するという点で、従来の広告代理店の役割とは一線を画しています。
BX(ビジネストランスフォーメーション)
電通のBX事業は企業の持続的成長を支えるために既存事業の再構築や新規事業の創出、さらには企業文化や組織そのものの変革までを一体で支援する領域です。
戦略提案にとどまらず、企業内に根づく価値観や従業員の行動変容にまで踏み込み、組織全体を巻き込んだ変革を目指します。
企業が見落としがちな強みや資産に新たな意味を与え、それを市場機会へと転換するプロデュース力を発揮しているのが強みです。
また、社内のサイロ化(組織やシステム、データなどが孤立し、連携が取れていない状態)を防ぎながら事業部門と基盤部門の連携を強化する仕組みを構築することで、企業全体の熱量を高め、変革を定着させていきます。
300人以上の専門人材が在籍し、戦略設計から実行までを一貫して伴走できる体制も整っているのも特徴です。
CX(カスタマー・エクスペリエンストランスフォーメーション)
CX事業では顧客とのあらゆる接点を横断的にとらえ、広告や販売チャネル、アフターサービスなどを含めた顧客体験全体の最適化を目指しています。
電通は顧客の人生に寄り添うような体験設計を重視し「商品を売る」ことだけでなく「ブランドに愛着を持ってもらう」ことに重きを置いています。
したがって、「感性を活かすクリエイティブ力と論理的なデータ分析力の両立が強みであり、顧客のインサイトを深く理解したうえでのパーパスドリブンな体験設計が可能です。
また、CXにおいては「カスタマーインテリジェンス」の考え方が中心に据えられており、CRMやデータ活用を手段としつつ、ブランドの存在意義や顧客の欲求に根ざした体験の創出を支援します。
結果として、LTVやロイヤルティの向上といった成果につながるCXを企業と共に構築しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
DX事業では「生活者起点のマーケティングDX」という独自の視点から、企業の新サービス開発とマーケティング基盤の構築を二本柱として支援しています。
顧客視点を出発点に、従来のオフライン中心の発想に縛られず、サービスの構想・設計・提供までを一貫して手がけるのが特徴です。
具体的にはデータを活用して生活者の行動や感情を可視化し、それをもとにした体験の再設計を行います。
また、識別子制限が進む中でも適切な許諾を得たうえでのデータ活用体制を整え、信頼に基づくマーケティングを実現しています。
加えて、Always On型のマーケティングを実行するため、分析から戦略・施策実行・クリエイティブ制作までを一体化したチーム体制を構築しているのも特徴です。
企業の内製化支援や人材育成にも注力し、実行力と成果直結型の支援を行っているのが、電通のDX事業を支える大きな強みと言えるでしょう。
職種
電通の職種にはどのようなものがあるのでしょうか。
もちろん他にも職種はありますが、新卒として任される、あるいは数年後に担う可能性の高い職種としては以下の6つが代表的です。
どのような業務を行うのか確認し、どの職種を希望して応募するのか考えてみてください。
- ビジネスプロデュース
- ストラテジー
- クリエイティブ
- メディア&コンテンツ
- グローバルビジネス
- ビジネス/デジタル/トランスフォーメーション
ビジネスプロデュース
電通のビジネスプロデュース職はプロジェクト全体の司令塔として活躍するポジションです。
クライアント企業の課題を起点に、新たなビジネス機会やコミュニケーション戦略を立案し、プロジェクトを推進します。
「プロジェクトの司令塔として、ビジネスを開拓・推進する。チーム全員を束ね、誰も見たことがない景色を目指す。」という考えのもと、社内外の専門チームを率いて前例のないゴールを目指す役割を担います。
クライアントと密にコミュニケーションを取りながら課題を把握し、社内のストラテジー、クリエイティブ、メディアなど各分野のプロフェッショナルに加え、必要に応じて外部パートナーも結集し、解決策を形にしていきます。
多岐にわたる関係者をまとめ上げる調整力や、困難な状況でもプロジェクトを前進させる推進力が不可欠です。
ストラテジー
ストラテジー職は市場環境や生活者(消費者)を綿密に分析し、広告・マーケティングにおける最適な戦略を立案する役割です。
「市場やターゲットを分析し戦略を立てる。
課題解決のための仮説を立て、チームを導いてゆく。」と公式サイトに書かれている通り、データやリサーチに基づいて仮説を構築し、プロジェクトの方向性を示す司令塔の一翼を担います。
具体的な業務としては消費者のインサイトの調査、市場トレンドや競合状況の分析を行い、それらの知見をもとにコミュニケーション戦略やプロモーション施策のプランニングを行います。
膨大な情報から本質的な課題を見抜く分析力や、仮説を構築して検証する論理的思考が不可欠です。
クリエイティブ
クリエイティブ職は人々の心を動かす広告のアイデアや表現を生み出す仕事です。
「人の心を動かすために、企画や表現をつくる。今までにないアイデアを考え、実現し続ける。」という言葉が示すように、斬新で魅力的な発想を形にすることで、商品やサービスのメッセージを効果的に伝えていきます。
コピーライターやアートディレクターなどの職種があり、チームでコンセプトを練り上げ、テレビCMやWeb動画、グラフィック広告、SNSキャンペーンなど様々なクリエイティブ制作に携わります。
企画立案から制作ディレクションまで関わり、時には撮影現場やデザイン制作の指揮をとることもあり、常に「どうすれば人々の心に響くか」を追求する日々です。
固定観念にとらわれず新しいアイデアを考え出す創造性はもちろん、考えたアイデアを具体的な形に落とし込む実現力が求められます。
メディア&コンテンツ
メディア&コンテンツ職は広告のアイデアを世の中とつなぎ、生活者との効果的な接点を生み出す役割を担います。
公式サイトに「アイデアと世の中をつなぎ、接点を生み出す。メッセージやコンテンツが伝わる設計をデザインする。スポーツやエンターテインメントに関わる開発も担う。」とある通り、広告を出稿するだけでなく、どのメディアでどのように伝えればターゲットに響くかを設計し、必要に応じて新しいコンテンツや体験を創り出すのがこの職種です。
テレビ・新聞・雑誌・ラジオといった従来型メディアから、SNS・Web広告・インフルエンサーマーケティングなどのデジタル領域まで、最適なメディアミックスをプランニングします。
論理的にターゲットのメディア接触状況を分析し、計画的にプランを練る力と、斬新なコンテンツや企画で人々を惹きつける発想力の両方が求められます。
グローバルビジネス
グローバルビジネス職は言葉や文化の壁を越えて国際舞台でビジネスを創出する役割です。
電通の世界約120か国に及ぶネットワークを活用し、海外市場での新たなビジネスチャンスを切り拓いていきます。
「言葉や文化の壁を超え、ビジネスをつくる。世界約120ヵ国で、新しい市場を開拓する。」という説明に表れているように、グローバルな視野でマーケティング戦略を立案・実行し、クライアント企業の海外展開や外国企業の日本市場進出を支援します。
海外の支社やパートナー企業と連携して国境を越えた広告キャンペーンを展開したり、各国の文化や消費者嗜好に合わせたブランディング施策を提案したりするのが仕事です。
語学力は基本ですが、それ以上に異文化への理解と適応力、コミュニケーション力が重要です。
ビジネス/デジタル/トランスフォーメーション
ビジネス/デジタルトランスフォーメーション(BX/DX)職はクライアント企業の事業そのものを共に創り変え、新たな価値を生み出すことを目指す役割です。
「事業共創やイノベーションを生み出す。広告は1つの手段として捉え、様々な視点で事業レイヤーから変革を生む。」というコンセプトが示すように、広告施策にとどまらず、クライアントのビジネスモデルやサービス開発、組織改革にまで踏み込み、包括的な変革を提案・推進します。
データ分析やテクノロジーを活用したデジタル戦略の立案、新規事業の企画やPoC(実証実験)の実施、他企業とのアライアンスによる新サービス創出など、多岐にわたるプロジェクトを手掛けます。
複雑な課題に対しても俯瞰的に捉え、本質を見抜く戦略眼と、新しい技術やビジネスモデルに興味を持ち、それらを積極的に学んで取り入れていく姿勢が重要です。
求める人物像
続いて、電通の求める人物像について紹介します。
これらはいずれも公式サイトに記載されているものであり、合致している項目が多いほど電通に向いていると言えるでしょう。
一つひとつ自分に当てはまる部分は何か、どの程度電通に合っているかを考えながら読んでみてください。
- 多様性を尊重し、共創できる人
- 前例にとらわれず、革新的なアイデアを生み出せる人
- 社会課題に対して高い関心を持ち、持続可能な未来を志向する人
- 高い倫理観と誠実さを持ち、信頼を築ける人
- 変化に柔軟に対応し、自己成長を続けられる人
多様性を尊重し、共創できる人
電通は多様な価値観や文化的背景を持つ人々と協働しながら新たな価値を共創できる人材を重視しています。
企業の存在意義(パーパス)でも「多様な視点を持つ人々とつながり、かつてないアイデアやソリューションを生み出す」と明言されており、この思想が事業全体の根幹にあります。
社内外の様々なメンバーとチームを組み、それぞれの違いを尊重しながら意見を交わすことで、これまでにない発想や提案が生まれるという考え方です。
グローバル化が進む中で、こうした多様性を活かす力はますます重要となり、国際プロジェクトにおいてもリーダーシップを発揮できるでしょう。
前例にとらわれず、革新的なアイデアを生み出せる人
電通では急速に変化する社会や市場の中で、これまでの常識や成功パターンにとらわれずに新しいアイデアを創出できる人が求められています。
企業理念にも「かつてないアイデアとソリューションで未来を創造する」と掲げられており、革新性や挑戦的な姿勢が評価される文化が根付いています。
「迷ったら、面白い方へ」というバリューも象徴的で、失敗を恐れず意味ある挑戦を重ねることが奨励されているのです。
型破りなアイデアでチームに刺激を与え、既存の枠を壊して新たな価値を構築する人が重要な役割を担います。
発想力に自信のある人は、ぜひ積極的にアピールしましょう。
社会課題に対して高い関心を持ち、持続可能な未来を志向する人
電通は「B2B2S(Business to Business to Society)」という理念を掲げ、クライアント支援にとどまらず、その先にある社会の持続的発展を見据えた事業展開を進めています。
したがって、社会全体の動きや課題にアンテナを張り、自分ごととして捉えられる姿勢が不可欠です。
気候変動、格差、地域衰退といった社会的テーマに対して深い理解を持ち、そうした課題に対して自ら考え、提案できる力が求められます。
さらに、その関心を単なる知識にとどめず「企業を通じて社会を変える」という意志を持ち、行動に移せる人材こそが、電通にフィットすると言えます。
時代や市場の変化を捉えるセンスに加えて、自らの仕事の先にある社会的な意義や責任を意識できるかどうかが、電通を目指すうえで非常に重要な資質と言えるでしょう。
高い倫理観と誠実さを持ち、信頼を築ける人
電通が掲げる理念の中で「インテグリティ(誠実さ)」は特に重要な価値の1つとされています。
広告やマーケティングの分野では企業と生活者の間に立ち、ブランドの価値を社会に届けるという責任ある立場が求められます。
そのため、情報の取り扱いや表現の正確性において、常に高い倫理観を持ち、正しい判断ができる人材が欠かせません。
加えて、AIやデータを活用したコミュニケーションが増加するなかで、データの信頼性や透明性に対する配慮もより重要になっています。
また、電通は多様な専門性を持つチームでの協働を重視しており、誠実な態度や敬意あるコミュニケーションは社内の信頼構築にも欠かせない資質です。
一人ひとりの誠実な行動が、クライアントだけでなく社会との長期的な信頼につながっていくという意識を持てる人こそが、電通にふさわしい人材だと言えます。
変化に柔軟に対応し、自己成長を続けられる人
電通は社会構造の変化やテクノロジーの進化、そして顧客ニーズの多様化に対応するため、組織や事業の変革を積極的に進めています。
その中で求められているのが、現状維持にとどまらず、変化を前向きに捉えて自己変革を遂げられる人材です。
新しい知識を積極的に吸収し、自分のスキルや考え方をアップデートし続ける姿勢は日々進化する広告・マーケティング業界で活躍するために欠かせません。
さらに、従来の枠にとらわれず、変化そのものを「チャンス」と捉え、柔軟に発想を転換できる力も必要です。
こうした学習意欲と適応力の高さこそが、電通の変革を支える原動力とされています。
働く環境
ここまで電通が大規模な企業であることや、どのような業務を行っているか、どのような人物が求められるかについて紹介しました。
しかし、肝心の働く環境が良くなければ応募するかどうか悩みどころです。
そこで、年収や福利厚生、残業時間、離職率、勤続年数など、皆さんが最も知りたいであろうことを詳しく紹介するため、参考にしてみてください。
- 年収
- 福利厚生
- 残業時間
- 離職率
- 勤続年数
- 選考
残業時間
電通は大手の広告代理店であり、一昔前には少しブラックな印象もある企業でしたが、近年は残業時間を減らし、ワークライフバランスを保つ取り組みをしています。
例えば、月平均所定外労働時間は2022年度第4四半期のデータによると月平均7.0時間です。
また、労働時間管理の取り組みとして午後10時から翌朝5時までの全館消灯と持ち帰り残業の禁止など、法令以上の配慮を行い、業務負荷の軽減を図っています。
「無理やり、長時間働かされるのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、システムとして過剰な残業ができないようになっているため、心配する必要はないでしょう。
離職率
電通の2024年度の全社離職率は6.4%となっており、厚生労働省が発表した全国一般労働者平均の15.4%と比較するとかなり低い水準にとどまっています。
広告業界は離職率が高い傾向がありますが、このような中で、電通のこの数値は注目に値するでしょう。
多忙な職場というイメージを持たれがちな企業ですが、社員が長く働き続けられる環境です。
また、新入社員、新卒入社3年目の社員に限っても2024年12月時点の離職率は20%であり、全国平均の34.9%と比較してもかなり低く抑えられています。
若手社員が早い段階で職場を離れる傾向が強まっている昨今、電通は新卒社員が定着しやすい企業であることがわかります。
勤続年数
電通の2023年度における正社員の平均勤続年数は15.8年となっており、非常に高い水準にあります。
一般企業の平均勤続年数はおよそ12年から13年程度とされている中で、電通はそれを大きく上回る数値を維持しています。
これは業界全体での変化や働き方の多様化が進む中でも、電通が長く働ける企業であることの証と言えるでしょう。
また、2023年12月時点の平均年齢は45.4歳です。
社員の年齢構成が若手から中堅、ベテランまで偏っておらず、幅広い層がバランスよく在籍していることを示しています。
広告業界では若手中心の組織編成を目指す企業も多い中、電通は豊富な経験を持つ人材も多く在籍し、長年の蓄積を活かした提案力や実行力と若手の勢いを組み合わせた力が組織の強みとなっています。
選考
電通では夏季と冬季にインターンシップを実施しており、選考直結型となっているのが大きな特徴です。
つまり、インターンシップで優秀だと評価された学生は早期選考に招待され、早ければ10月頃に内定が出るケースも少なくありません。
また、本選考は冬(11月頃)と春(3月頃)の年2回実施されます。
冬の選考に参加した場合でも春選考に再度エントリーすることも可能であるため、一度落とされてしまったからといって気を落とさず、入念に対策をして、もう一度応募してみるのも良いでしょう。
選考フローは個人によって異なる場合もありますし、年度によって多少流動的に変化する場合もありますが、概ねこのように進んでいきます。
とはいえ、最新の情報を参照したうえで進めることが大切ですから、自分自身でも一度公式サイトを開いてみてください。
採用難易度
皆さん想像できていることでしょうが、電通の採用は日本の企業の中でもトップクラスに難しいものです。
まず、応募者の数が非常に多く、採用される人数が少ないため倍率は非常に高く、インターンでも200倍、本選考では30倍ほどの倍率があると言われています。
また、選考では学力や学歴だけでなく、アイディアや論理的に考える力、人前で話す能力や共感力など、広告業界ならではの力が必要不可欠です。
選考の流れも長く、そして複雑で「もっとこうなると素敵だな」など独特な設問のESや複数回の面接があります。
就職人気ランキングでも毎年上位で、全国からレベルの高い学生が集まるため「あなたが就活で応募する企業の中で、最も選考が厳しい」と言っても過言ではないでしょう。
年収が高く、入社後に様々なキャリアのチャンスがあるのは魅力ですが、その分倍率が非常に高いため、なんとしても就職したいという方は全身全霊で対策する必要があります。
手がけた代表例
電通がこれまでどのような広告を手がけてきたのかについて、代表的なものを3つ紹介します。
もちろん他にも代表的なものはいくつもありますが、全て紹介していてはきりがないため、特に有名なものを3つ紹介します。
面接で「どの広告が印象に残っているか」と聞かれる可能性もあるため、特に代表的なものは押さえておきましょう。
- サントリーBOSSシリーズ:宇宙人ジョーンズのCM
- KDDI au三太郎シリーズ
- サントリー 人生には飲食店がいる。キャンペーン
サントリーBOSSシリーズ:宇宙人ジョーンズのCM
サントリーの缶コーヒー「BOSS」のCMシリーズでは、俳優トミー・リー・ジョーンズが宇宙人ジョーンズとして登場し、地球での様々な職業を体験する姿が描かれています。
このシリーズは、ユーモアと社会風刺を交えた内容で、多くの視聴者の共感を呼び、長年にわたり愛されるキャンペーンとなっています。
KDDI au三太郎シリーズ
KDDIの「au 三太郎」シリーズは、桃太郎、浦島太郎、金太郎といった日本の昔話のキャラクターを現代風にアレンジし、彼らの日常を描いたCMです。
桐谷健太さんが演じる浦島太郎が歌う「海の声」は特に人気を博し、YouTubeでの再生回数が8,800万回を超えるなど、CMの枠を超えたヒットとなりました。
サントリー 人生には飲食店がいる。キャンペーン
このキャンペーンは、飲食店の存在意義や人々とのつながりをテーマにした企業広告です。
特に「不思議な場所」篇は、第75回広告電通賞のフィルム広告部門で最高賞を受賞するなど、高い評価を受けました。映像を通じて、飲食店が持つ温かさや人間関係の大切さを伝えています。
電通ってきつい?
電通は「激務」というイメージを持たれがちですが、近年は働き方改革やDXの進展で環境が大きく変わってきています。
ここでは、電通で「きつい」と言われる背景と、それに伴う成長機会を整理します。
- 労働環境は昔より改善されているが、成果主義の側面は残る
- 求められるスキルが幅広く、キャッチアップが大変
- グローバル案件や大型プロジェクトで成長機会も大きい
労働環境は昔より改善されているが、成果主義の側面は残る
かつては長時間労働のイメージが強かった電通ですが、2019年以降の働き方改革で残業時間の上限設定・フレックスタイム・リモート勤務が整備され、2024年には月平均残業時間が30時間台前半まで減少しています。
一方で、広告主の期待に応える成果主義が根強く、プロジェクト納期や提案精度へのプレッシャーは依然として高いと言われます。
求められるスキルが幅広く、キャッチアップが大変
広告・マーケティングだけでなく、データ分析・DX・UXデザイン・AI活用など事業領域が拡大しており、入社後も学び続ける必要があります。
特に2025年以降はAI戦略「AI for Growth」が導入され、従来のクリエイティブ発想に加えデータリテラシーやデジタル技術への理解が必須になりつつあります。
グローバル案件や大型プロジェクトで成長機会も大きい
きつさの裏返しとして、海外拠点との連携やグローバルブランドのキャンペーンに関わるチャンスが豊富です。
英語を使った国際プロジェクトや、数億円規模の統合マーケティング提案など、若手から裁量権を持って挑戦できる環境は、大手広告代理店ならではの魅力です。
おわりに
今回は電通がどのような会社なのか、ありとあらゆる側面から解説しました。
事業内容や向いている人の特徴、そして、業界内でどのようなポジションなのかについて明確に理解できたことでしょう。
ぜひこの記事を読んで電通に興味が持てた方は、狭き門ではありますが、しっかりと対策を行ったうえでエントリーしてみてください。
