博報堂ってなんの会社?
博報堂は単なる「広告会社」ではありません。
多くの方がイメージするテレビCM制作はもちろん行いますが、その活動は広告の枠を大きく超えています。
博報堂は、生活者の気持ちや社会の変化を深く読み解き、新しい商品やサービスを社会に送り出したり、企業のブランド戦略を一から構築したりします。
時には社会が抱える大きな課題の解決にまで深く関わることもあります。
まさに、広告という手段を飛び越え、人々の暮らしや社会全体に影響を与える「生活者発想のソリューションカンパニー」と呼ぶにふさわしい存在です。
広告業界のについて気になる方は以下の記事も見てみてください。
博報堂ってなんの会社?
- 博報堂の基本情報
- 「生活者発想」について
- 広告代理店=ただのCM会社ではない
博報堂の基本情報
株式会社博報堂は、1895年(明治28年)10月6日に創業し、1924年(大正13年)2月11日に設立された、長い歴史を持つ企業です。
現在の代表者は代表取締役社長の名倉 健司氏で、2023年4月1日現在の社員数は3,918名です。
本社は東京都港区赤坂の赤坂Bizタワーに位置しており、資本金は358億48百万円です。
博報堂は全国にグループ会社を展開しており、東北博報堂、新潟博報堂、中国四国博報堂、九州博報堂といった地域密着型の企業から、博報堂コンサルティング、オズマピーアール、データスタジアム、バックスグループ、博報堂アイ・スタジオ、博報堂メディカル、博報堂DYスポーツマーケティングといった多岐にわたる専門分野を持つ企業まで、幅広い事業領域をカバーしています。
| 博報堂|企業概要 | |
|---|---|
| 社名 | 株式会社博報堂(Hakuhoudou Co., Ltd.) |
| 創業 | 1895年(明治28年) |
| 本社所在地 | 東京都港区赤坂 |
| 特徴 | 「生活者発想」を軸に、広告だけでなく課題解決や価値創造に取り組む総合広告会社。 |
| 代表的な事業 | 広告制作、ブランディング、プロモーションに加え、データ活用や新規事業の共創も展開。 |
「生活者発想」について
博報堂の企業活動の根幹にあるのが「生活者発想」という考え方です。
これは、企業側の視点ではなく、一人ひとりの生活者(=消費者)の視点から物事を捉え、深く考え、提案していく姿勢を意味します。
年齢や性別、職業といった表面的な属性だけでなく、個人の感情や行動、さらには内面にある価値観にまで深く寄り添いながら、商品やサービスのあり方を共に創り上げていくという考え方です。
ターゲットとする客層をただの消費者としてみるのではなく、個々がそれぞれの嗜好や特徴を持つ「生活者」ととらえる「生活者発想」を徹底することで、企業や社会と生活者との間に、より深く、そして持続的なコミュニケーションを築き上げることが可能になります。
広告代理店=ただのCM会社ではない
かつて「広告代理店」と聞くと、テレビCMを作る会社というイメージが一般的だったかもしれません。
しかし、現代の広告代理店の役割は、そのイメージをはるかに超えるほど大きく進化しています。
博報堂は、単に広告を制作するだけでなく、企業の商品開発から、店舗などの空間設計、デジタル技術を駆使した施策、膨大なデータの解析、さらには企業全体の事業戦略の策定まで、包括的に支援する統合ソリューションパートナーとしての役割を担っています。
現代の広告代理店は、単に企業の課題を「伝える」だけでなく、その課題を根本から「つくる」ことまで深く踏み込み、多角的なアプローチでクライアントを支援しています。
競合他社との違い
博報堂が競合他社と一線を画す最大の点は、その根幹にある「生活者発想」という企業理念です。
これは、単に製品やサービスを売る企業側の視点だけでなく、消費者一人ひとりの心の動きや価値観に深く寄り添い、そこから生まれるニーズや課題を発見し、解決策を導き出すことを意味します。
博報堂は、クライアントの課題に対して一方的に解決策を提示するのではなく、クライアントや生活者と共に「問いを立て、共に考え、共に創り上げていく」という、共創型の姿勢を強みとしています。
- 電通
- ADK
- グループ戦略
電通
日本の広告業界において双璧をなす電通と博報堂ですが、そのアプローチには明確な違いがあります。
電通は「クライアント発想」を軸としており、クライアントが抱える課題に対し、迅速かつ効果的な解決策を提案し、実行する力を武器に、国内最大級のマーケティング・広告ネットワークを築き上げてきました。
一方、博報堂は「生活者発想」を掲げ、短期的な成果だけでなく、生活者との長期的な関係構築を重視しています。
これは、生活者の深層心理や行動原理を徹底的に探求し、そこに根ざした持続可能なコミュニケーションを創造することを目指すものです。
したがって、即効性や広範なネットワークにおいては電通が優位に立つ一方、生活者のインサイトを深く掘り下げ、共に価値を創造する「深耕・共創」の領域においては博報堂がその真価を発揮するという構図と言えるでしょう。
ADK
ADK(ADKマーケティング・ソリューションズ)は、デジタル領域やアニメなどのキャラクターコンテンツを活用したプロモーションに特に強みを持つ広告会社です。
デジタル技術の進化と共に、その専門性を高め、オンライン上での顧客体験創出や、キャラクターIP(知的財産)を最大限に活用したマーケティング戦略で実績を上げています。
これに対し、博報堂は「統合マーケティング」を前面に打ち出し、広告、PR、デジタル、イベントなどあらゆるコミュニケーション手法を組み合わせ、クライアントの課題に対して多角的にアプローチします。
ADKがクライアントの要望に対し、よりスリムかつスピーディな対応を目指す「アジャイル」型の運用力を特徴とする一方で、博報堂はより広範な視点から、複雑な課題に対しても包括的なソリューションを提供することを目指しています。
グループ戦略
博報堂は、単体で事業を展開するだけでなく、「博報堂DYホールディングス」の一員として、戦略的なグループ連携を推進しています。
このホールディングスには、博報堂を中心に、大広、読売広告社、そして博報堂DYメディアパートナーズの4社が核となり、それぞれの専門性と強みを活かしながら協業しています。
グループ全体としての豊富なリソースを最大限に活用することで、広告、メディア、データ、そして最新のテクノロジーといった多様な要素を統合し、クライアントのビジネス課題や社会が抱える複雑な課題に対して、多角的な視点から“統合ソリューション”を提供しています。
さらに、博報堂DYホールディングスは、単なる既存事業の強化に留まらず、R&D(研究開発)や新規事業の創出、そしてグローバル市場における戦略的な展開にも積極的に注力しており、常に未来を見据えた事業活動を展開しています。
博報堂と博報堂DYパートナーズの違い
博報堂と博報堂DYメディアパートナーズは、日本の広告業界を牽引する存在ですが、役割が異なります。
博報堂は、生活者の視点から課題解決やマーケティング戦略を立案する総合広告会社です。
一方、博報堂DYメディアパートナーズは、メディア戦略を専門とし、最適なメディアプランを構築します。
両社は博報堂DYホールディングスのグループ企業として連携し、クリエイティブ部分を博報堂が、メディア戦略を博報堂DYメディアパートナーズが担当することで、クライアントに統合ソリューションを提供しています。
事業内容
博報堂は、多岐にわたる事業を展開しており、その活動範囲は一般的な広告会社のイメージを大きく超えています。
それゆえに、博報堂がどのような会社なのか理解しづらい人もいるかもしれません。
ここでは、その主要な事業内容について詳しくご紹介します。
以下の情報を参考に、この企業への理解を深めることができるでしょう。
- マーケティング
- クリエイティブ・アクティベーション
- PR
- メディア&コンテンツ
- ブランドコンサルティング
- 事業開発/イノベーション
- テクノロジー・R&D
マーケティング
博報堂のマーケティング事業は、「生活者発想」を核に、企業が抱える課題を解決するための戦略を立案し、実行します。
デジタル化が進む現代において、最新のテクノロジーと生活者への深い洞察力、そしてクリエイティビティを融合させ、マーケティングの変革を支援しています。
具体的には、生活者のインサイトを徹底的に分析し、企業と生活者、社会をつなぐ架け橋となることを目指します。
コンサルティングからコミュニケーション、さらにはリテールDXやコマースDX、データ基盤構築まで、統合的な視点から高品質なソリューションを提供し、クライアントのビジネス成長に貢献しています。
クリエイティブ・アクティベーション
博報堂のクリエイティブ・アクティベーション事業は、広告やプロモーションを通じて生活者の心を動かす、クリエイティブなコミュニケーションを設計・実施します。
単にモノを売るだけでなく、企業の経営課題を解決するため、生活者の深い洞察力と変化への柔軟な対応力を重視します。
テクノロジーの進化に対応し、WebやSNSなどあらゆる接点で「別解」を追求した映像、デザイン、エクスペリエンスを生み出します。
生活者の行動とテクノロジーを組み合わせた統合的なUI/UX設計・開発により、次世代のビジネスを創出します。
国内外の数々の広告賞を受賞するなど、そのクリエイティブなコミュニケーションは高く評価されています。
PR
博報堂のPR事業は、企業やブランドの情報を社会に効果的に伝え、信頼関係を構築する広報活動を展開します。
情報が氾濫する現代で、企業やブランドの情報発信の重要性が高まる中、博報堂はメディア、有識者、インフルエンサー、生活者への深い知見に基づき、評判を高める「マーケティング視点のPR」を提供しています。
さらに、リスク管理やSDGsなど、企業価値向上に不可欠な「コーポレート視点でのPR」も支援します。
デジタル・テクノロジーを活用した広報業務の効率化も推進しており、取材マッチングプラットフォーム『Espresso Hub』の提供やAIを用いた分析など、先進的な取り組みでクライアントをサポートしています。
メディア&コンテンツ
メディア&コンテンツ事業では、情報が溢れる現代において、クライアントのメッセージが最も効果的に生活者に届くよう、最適なメディアプランニングと魅力的なコンテンツ開発を行います。
テレビ、新聞、雑誌、ラジオといった従来のマス媒体はもちろんのこと、急速に進化するデジタルメディア(ウェブサイト、SNS、動画プラットフォームなど)を横断的に分析し、ターゲット層のメディア接触状況や情報感度に合わせて最適なメディアミックスを提案します。
また、単に枠を買い取るだけでなく、生活者の興味を引きつける質の高いコンテンツ自体を企画・制作することで、メッセージの浸透力を高めます。
ブランドコンサルティング
博報堂のブランドコンサルティング事業は、企業や商品のブランド価値を高めるため、戦略立案から実行支援までを一貫して行います。
複雑化する経営課題に対し、博報堂は経営者に寄り添い、ブランドパーパス策定からブランド戦略立案、具体的なブランド体験の創造、さらには人材育成や組織改革までをワンストップで提供します。
ブランドの力で企業と生活者をつなぎ、社会の可能性を切り開くことを目指し、顧客から愛され、ステークホルダーから期待されるブランドが生まれる仕組みをデザインすることで、企業の持続的な成長を支援しています。
事業開発/イノベーション
博報堂の事業開発/イノベーション事業は、新たなビジネスモデルやサービスの開発を通じて、企業の成長を支援します。
デジタル社会の変革期において、博報堂はクライアントのイノベーションを「発想」から「実装」までサポートを行なっているのです。
独自のクリエイティビティとプロジェクトデザイン力を活かし、既存の枠にとらわれず、社会に必要とされる新規ビジネスの創出を支援します。
また、博報堂自身もリーダーシップを取り、多様なパートナーと連携して未来のサービスや事業を創造します。
産学官連携の「ミライの事業室」や、起業家を支援する「quantum」などを通じ、継続的に新しい価値を生み出しています。
テクノロジー・R&D
博報堂のテクノロジー・R&D事業は、最新のテクノロジーやデータ分析を活用し、マーケティングやコミュニケーションの革新を追求します。
デジタル化が進む現代において、生成AIを含む様々なテクノロジーをマーケティングに応用すべく研究開発を推進しています。
博報堂DYホールディングス内の「マーケティング・テクノロジー・センター」と「Human-Centered AI Institute(HCAI)」がその中心を担い、データサイエンスの基礎研究からXRなどの先端技術研究、そして人間中心のAI技術開発まで幅広く取り組み、未来のコミュニケーションを創造しています。
職種
博報堂には多岐にわたる専門職種が存在し、それぞれが連携しながらクライアントの課題解決や新たな価値創造に取り組んでいます。
ここでは、主要な職種とその具体的な仕事内容について詳しくご紹介し、どのような仕事が行われているかを理解を深めていきましょう。
その企業の細かな職種について理解することで、自分がその企業でどのような活躍ができるか想定しやすくなります。
- ビジネスプロデュース
- メディアプロデュース
- ストラテジックプランニング
- メディアプランニング
- クリエイティブ
- ビジネスディベロップメント
- 研究開発
- コンテンツプロデュース
- マネジメントプロデュース
- PR
ビジネスプロデュース
ビジネスプロデュース職は、博報堂において、クライアントと博報堂をワンストップでつなぐ重要な役割を担う総合プロデューサーです。
彼らの仕事は、単にクライアントからの依頼を受けるだけでなく、クライアントが抱える表面的な課題の奥にある「真の課題」を深く引き出すことから始まります。
その真の課題を解決するためには、博報堂内外の多様な専門家たち(例えば、マーケティング、クリエイティブ、メディア、デジタル、PRなど)と連携し、最適なチームを編成します。
ビジネスプロデュース職は、このチームを統括し、プロジェクト全体の進行を管理しながら、課題解決に向けた最適なソリューションを導き出すリーダーシップを発揮します。
まさに、仕事全体のプロセスをデザインし、クライアントのビジネスを成功へと導くための指揮官であり、総合的なプロデュース能力が求められる職種です。
メディアプロデュース
メディアプロデュース職は、博報堂において、クライアントとメディア媒体社との重要な橋渡し役を担います。
かつては、テレビCM枠や新聞広告枠といったメディア枠の仕入れが主な役割でしたが、現代においてはその業務範囲が大きく進化しています。
彼らは、単に既存のメディア枠を調達するだけでなく、多様なメディアを組み合わせた戦略的なプランニングにも深く関わっています。
デジタル化の進展によりメディア環境が複雑化する中で、クライアントのメッセージがターゲット層に最も効果的に届くよう、メディア選定から露出方法までを戦略的に設計します。
この職種には、メディアに関する深い知見はもちろんのこと、メディアの可能性を最大限に引き出すためのクリエイティビティと、その計画を確実に実行に移すための実行力の双方が求められます。
ストラテジックプランニング
ストラテジックプランニング職は、博報堂のチームにおいてまさに「頭脳」とも称される重要な役割を担っています。
彼らの仕事は、単に市場や生活者の調査・分析を行うだけに留まりません。
クライアントが抱えるマーケティング上の課題に対し、その本質を深く理解し、解決へと導くための戦略を緻密に考案することが彼らの使命です。
この職種はしばしば「マーケター」とも呼ばれ、クライアントのビジネスを外部の視点から客観的に分析します。
特に、常に生活者の視点を持ち続けることが重視され、その視点から、ブランドと生活者をつなぐ最も効果的なコミュニケーション戦略を見つけ出します。
彼らが立案する戦略は、広告キャンペーンの方向性を決定づける羅針盤となり、クライアントのビジネス成長に大きく貢献します。
メディアプランニング
メディアプランニング職は、博報堂において、広告目標や予算といった多様な制約条件の中で、クライアントの課題解決に最適なメディアプランを提案する専門職です。
彼らの主な役割は、最高の効率と効果を発揮するメディア・プランを見つけ出すことにあります。
近年、データ分析技術の進化により、より精緻なターゲティングが可能となり、またメディア自体もテレビ、新聞といった従来のものからデジタル、SNSなどへと多様化しています。
このような複雑なメディア環境において、メディアプランニング職には、膨大なデータに基づいた深い洞察力と、常に変化するメディアトレンドを捉える高度な専門性が要求されます。
彼らは、どのメディアを、いつ、どのくらいの量で活用すれば、クライアントのメッセージがターゲット層に最も響き、目標達成に貢献できるかを緻密に設計し、提案します。
クリエイティブ
博報堂のクリエイティブ職は、コピーライティングやデザインといった要素を通じて、人々の心を動かすコミュニケーション領域の実務を担う専門家集団です。
彼らは、単に美しいビジュアルや魅力的な言葉を生み出すだけでなく、クライアントの課題解決やブランド価値向上に貢献する、本質的な「アイディア」を形にする役割を担っています。
具体的には、心に響く言葉を生み出すコピーライティング、テレビCMやデジタル動画の企画・演出を行うCMプランニング、消費者の行動を喚起するアクティベーションプランニング、視覚的な表現を追求するデザイン、そしてデジタル空間におけるインタラクティブな体験を設計するインタラクティブプランニングなど、多岐にわたる専門分野のプロフェッショナルたちが集結しています。
ビジネスディベロップメント
ビジネスディベロップメント職は、博報堂において、自身の高度な専門性を活かし、様々なクライアントのために効率的かつ効果的なビジネスを創出する役割を担っています。
彼らの業務は特定のクライアントに限定されるものではありません。
この職種の重要な使命は、博報堂自身、そして博報堂DYメディアパートナーズの新たなビジネス機会や未開拓の市場を発見・開拓することです。
具体的には、既存の強みを発展させたり、新しい製品やサービスを開発したりすることで、会社の新たな「売りもの」を生み出します。
そして、それらの新しいビジネスを通じて、クライアントの事業成長にも貢献していくという、博報堂グループ全体の成長戦略に直結する非常に重要な職種です。
研究開発
研究開発職は、博報堂において、未来の「売りもの」を創造するイノベーター集団であり、博報堂グループ内で唯一「研究員」の肩書きを持つ専門職です。
彼らの役割は、単に既存のビジネスを改善するだけでなく、常に一歩先の未来を見据え、新しい価値や可能性を生み出すことにあります。
具体的には、世の中の真実を深く洞察するレポートの作成や、マーケティング活動を強力にサポートする高度な分析ツールの開発など、多岐にわたる研究開発を行っています。
彼らが創り出す革新的な知見やツールは、博報堂および博報堂DYメディアパートナーズのビジネスを牽引し、クライアントに新たなソリューションを提供する上で不可欠な存在です。
常に探求心を持ち、未知の領域を切り拓いていくことが求められる、非常に専門性の高い職種です。
コンテンツプロデュース
コンテンツプロデュース職は、博報堂において、スポーツやエンターテインメントといった、人々の日常に彩りを加える多様なコンテンツを企画・実施する役割を担っています。
彼らは、単に既存のコンテンツを扱うだけでなく、例えば大規模なスポーツイベントの企画・運営、人気キャラクターを活用した商品の開発、あるいは映画製作といった、多岐にわたるプロジェクトを手がけます。
誰もが普段触れている様々なコンテンツの「縁の下の力持ち」として、その制作から流通までを支え、生活者に感動や楽しさを届けることで、社会を豊かにすることに貢献しています。
マネジメントプロデュース
マネジメントプロデュース職は、博報堂および博報堂DYメディアパートナーズにおいて、人事や経理財務といった特定の分野における高度な専門性を駆使し、経営戦略や業務のプランニングを行う重要な役割を担います。
彼らは、単に日々の業務をこなすだけでなく、経営資源や組織運営に関するテーマに対して、専門的な視点から企画・生産を行います。
具体的には、会社全体の方向性を決定づける経営戦略の策定を支援したり、その戦略を円滑に実行するための組織体制を構築したりするなど、博報堂グループ全体の成長と安定を支える不可欠な存在です。
PR
PR職は、クライアントの情報を単なる広告としてではなく、社会が受け取れる「ニュース」へと変換し、広報活動を戦略的に展開します。
彼らの役割は、クライアントの重要なメッセージを、最も効果的なタイミングで、適切なメディアを通じて、どのように生活者へ届けるかを決定することにあります。
この職種には、クライアントの事業やブランドに対する深い理解はもちろんのこと、社会のトレンドや生活者の意識に関する鋭い洞察力、そして情報の正確性と誠実さを徹底する姿勢が求められます。
単なる情報発信に留まらず、社会との良好な関係を築き、クライアントの信頼と評判を高めることに貢献する、非常に専門的かつ影響力の大きい仕事です。
求める人物像
博報堂は、常に変化し続ける社会の中で新たな価値を創造していくために、型にはまらない多様な人材を求めています。
博報堂が公式サイトなどで発信しているメッセージから、どのような人物像を求めているのか、その本質を読み解いていきましょう。
志望企業がどのような人物を求めているか知ることは、その企業への就職を目指す場合には欠かせません。
- 「何者でもないって、最強だ。」
- 個性を武器にチームで共創できる人
- 自分の想いをカタチにできる人
- 等身大の個性を大切にする人
「何者でもないって、最強だ。」
この力強いメッセージには、博報堂が、既存の概念や固定観念に囚われず、常に新しい視点や発想で物事を捉えられる人材を歓迎する姿勢が込められています。
広告業界では、近年の社会の変化や流行の移り変わりに柔軟に対応し、常にサービスや商品を更新し続けなければいけません。
特定の分野や役割に限定されず、「自分はこうあるべきだ」という枠にとらわれない自由な思考こそが、未知の課題に対する画期的なソリューションを生み出す原動力となると考えているのです。
まさに、まだ見ぬ可能性を秘めた、型破りな個性こそが最強の武器となるという、博報堂ならではの採用哲学が表れています。
引用:博報堂新卒採用HP
個性を武器にチームで共創できる人
博報堂では、社員一人ひとりが持つ異なる個性や専門性が、チームで力を合わせる「共創」のプロセスを通じて、これまでにない新しい価値を生み出すことを非常に重視しています。
単にそれぞれの持ち場で仕事をするのではなく、多様なバックグラウンドを持つメンバーが互いの意見を尊重し、刺激し合いながら、一つの目標に向かって協力し合うことができる人材が求められています。
全員が優秀であっても、互いに同じような感性や考え方の持ち主では画期的なアイディアを生むことはできません。
自分の個性を臆することなく発揮し、同時に他者の個性を受け入れ、協調することで、相乗効果を生み出せる力が重要視されているのです。
自分の想いをカタチにできる人
博報堂が求めるのは、単にアイディアを思い描くだけでなく、自身の内に秘めた熱い想いや斬新なアイディアを、具体的なビジネスやクリエイティブとして世の中に送り出し、人々を「あっ」と驚かせることができる実行力を持つ人です。
頭の中にあるイメージを、企画書やプレゼンテーション、そして実際の広告作品や事業へと落とし込み、現実のものとして形にする力が求められます。
発想すること以上に、それをビジネスとして実現することには様々な困難があります。
そこには、困難な状況でも諦めずに粘り強く取り組む情熱と、具体的な行動を起こす強い意志が不可欠です。
等身大の個性を大切にする人
博報堂は、社員一人ひとりが自分らしさを偽ることなく、ありのままの「等身大の個性」を大切にしながら、いきいきと働くことができる環境を整えています。
社会に出ると、どうしても実際の自分以上に、会社にとって有益な人材であることをアピールしようとしてしまいがちですが、博報堂は型にはめるのではなく、それぞれのユニークな視点や強みが最大限に活かされることを期待しています。
これは、社員が無理なく自分らしくいられることで、創造性が発揮されやすくなると考えているためです。
飾らない自分を大切にし、その個性を仕事に繋げていける人材が、博報堂では高く評価されるでしょう。
働く環境
広告業界のトップランナーである博報堂は、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、多角的な観点から充実した働く環境を提供しています。
就職において職種や業務内容はもちろん、福利厚生や働く環境は安定したキャリアを築く上で非常に重要です。
ここでは、博報堂の働きがいや働きやすさを構成する様々な要素について詳しく見ていきましょう。
- 年収
- 福利厚生
- 残業時間
- 離職率
- 勤続年数
- 選考
年収
博報堂は広告業界でトップレベルの給与水準を誇り、新卒初任給は約24〜25万円と業界平均より高いです。
平均年収は経験や役職により変動しますが、一般的に約700〜1000万円と推定され、成果次第で1000万円超も可能です。
社員の成果は適切に評価され報酬に反映される仕組みがあり、成果主義に基づく公平な評価が行われていると考えられます。
競争力のある給与水準は優秀な人材の確保と維持に繋がり、社員のモチベーションを高め、質の高いサービス提供を支えています。
今後の業界や経済状況により変動の可能性はありますが、現時点では博報堂は魅力的な給与水準を維持すると予想されます。
新卒からベテランまで高い水準の給与を提供し、社員の貢献に応じた報酬体系が、優秀な人材確保と持続的な成長の重要な要素となっています。
福利厚生
博報堂は、社員一人ひとりの働きやすさと生活の安定を重視し、非常に充実した福利厚生制度を提供しています。
社会保険は、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険といった基本的な各種社会保険を完備しており、社員が安心して働ける基盤を整えています。
さらに、住宅手当や家賃補助制度が条件に応じて支給されることで、社員の住居に関する経済的負担を軽減しています。
育児・介護支援制度も手厚く、育児休業や介護休業、短時間勤務制度などが設けられており、仕事と家庭の両立を支援しています。
社員の健康管理にも力を入れており、定期健康診断はもちろんのこと、心の健康をサポートするメンタルヘルスケアも提供しています。
自己啓発支援としては、社員のスキルアップやキャリア形成を促進するための研修制度や資格取得支援があり、学び続ける姿勢を応援しています。
その他にも、快適な食環境を提供する社員食堂や、多様な選択肢から福利厚生を選べるカフェテリアプラン、社員間の交流を深めるための社内イベントなども充実しており、社員の満足度向上に努めています。
残業時間
博報堂の平均残業時間は、プロジェクトの状況や時期、個々の部署によって多少の変動はありますが、一般的な傾向としては月30時間前後とされています。
広告業界は繁忙期には残業が増える傾向があるものの、博報堂では社員の健康とワークライフバランスを重視し、労働時間の管理が徹底されています。
例えば、残業時間が月30時間を超えた場合には、上長との面談が義務付けられるなど、過度な長時間労働を防ぐための具体的な対策が講じられています。
これにより、社員が健全な状態で業務に取り組める環境づくりが進められています。
離職率
博報堂の離職率に関する具体的な公式データは公開されていません。
しかし、広告業界全体と比較すると、比較的低い水準にあると考えられています。
これは、前述したような充実した福利厚生制度や、社員の成長を後押しする企業文化、そして業界トップクラスの報酬水準などが、社員の定着に寄与していると推測されます。
社員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整っていると言えるでしょう。
勤続年数
博報堂の選考は多段階で、学生の多面的な能力と適性を慎重に見極めます。
まず、3月上旬締め切りのエントリーと並行して適性検査(WEB)を提出し、書類選考が行われます。
通過者は約1,700人と狭き門です。
3月中旬に結果発表後、一次面接へ。
オンライン形式が多く、学生1名に対し社員2名が面接官で約20分間、人柄や潜在能力を見られます。
通過者は約700人です。
続く二次選考は、グループディスカッション(オンラインまたは対面)で協調性、論理的思考力、コミュニケーション能力が試され、別途テストセンターでの受検も必要です。
通過者は約250人。
最終面接は対面形式で、学生1名に対し社員3名程度の面接官が約30分間、個性や志望度、入社後のビジョンを深く問います。
相互理解が重視され、内々定は例年5月下旬頃から通知されます。
競合他社
博報堂は、常に変化し続ける広告業界において、多様な強みを持つ企業群と競い合っています。
ここでは、博報堂が特に意識する代表的な競合他社について、それぞれの特徴と博報堂との違いを詳しくご紹介します。
競合他社との比較を通して、より企業への理解を深めることにも繋がります。
- 電通
- ADK
- サイバーエージェント
電通
電通は、日本国内において圧倒的な規模を誇る最大手の広告会社です。
彼らの最大の強みは、「クライアント発想」を軸とした課題解決力と、その広範なネットワークによる市場での圧倒的なシェアにあります。
クライアントのビジネス課題をいち早く理解し、その解決に向けてスピーディーかつ大規模なキャンペーンを展開する実行力は、他社の追随を許しません。
一方、博報堂は「生活者発想」を企業理念に掲げ、クライアントの要望に応えるだけでなく、その先にいる生活者一人ひとりの心の動きや潜在的なニーズを深く洞察することで、新たな価値を創造するアプローチで差別化を図っています。
電通が「即効性と網羅性」に強みを持つならば、博報堂は「深掘りされたインサイトと共創」に重きを置いていると言えるでしょう。
ADK
ADKは、博報堂に次ぐ業界第3位の地位を占める総合広告会社です。
彼らの特筆すべき強みは、アニメやキャラクターコンテンツとの連携力にあります。
特に、東映アニメーションとの長年にわたる強固な関係性を活かし、「ドラゴンボール」や「ワンピース」といった世界的に人気の高い知的財産(IP)を通じたプロモーション展開を非常に得意としています。
これらの人気コンテンツを活用することで、ターゲット層に深くリーチし、高いエンゲージメントを生み出すことが可能です。
博報堂が幅広い領域での統合的なソリューション提供を目指すのに対し、ADKは特定のコンテンツ領域における深い専門性と実行力で独自のポジションを築いています。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、近年急速に存在感を高めている、インターネット広告市場で国内トップクラスのシェアを持つデジタル領域特化型の総合代理店です。
彼らの強みは、運用型広告やSNSマーケティング、そして高度なアドテクノロジー(広告技術)の開発といったデジタル領域における専門性と実行力にあります。
オンライン上でのデータ分析に基づいた精緻なターゲティングや効果測定は、その大きな特徴です。
さらに、自社で運営するABEMA TVやゲーム事業も展開しており、単なる広告代理店に留まらず、「広告×メディア×テック」を融合させた独自のビジネスモデルを確立しています。
これは、従来の広告代理店の枠を超え、デジタルシフトが進む現代において新たな競合として博報堂が常に意識する存在となっています。
手がけた代表例
博報堂がこれまで手がけてきた数々のプロジェクトは、同社の核となる「生活者発想」を基盤とし、単なる広告制作の枠を超えて、社会に新たな価値を創造してきた事例ばかりです。
就活において気になる企業の手がけた製品やサービスについての確認は欠かせません。
ここでは、その中でも特に注目すべき代表例をいくつかご紹介します。
- キリンビール 晴れ風
- 丸亀製麺 うどーなつ
- 日清食品 完全メシ
キリンビール 晴れ風
キリンビールが17年ぶりに満を持して市場に送り出した新スタンダードビール「晴れ風」は、博報堂が商品開発の初期段階から深く関わり、その後のコミュニケーション戦略までを一貫して担当した一大プロジェクトです。
博報堂は、「これが、これからのキリンビール。」という印象的なコピーのもと、ターゲットとなる生活者への綿密なインタビューを重ねることで、彼らの潜在的なニーズやビールの飲用シーンにおけるインサイトを深く掘り下げました。
この「生活者発想」に基づき、テレビCM、店頭POP、デジタル広告など、多岐にわたる施策を緻密に連携させて展開しました。
その結果、「晴れ風」は発売からわずか約3カ月で年間販売目標の7割を突破するという驚異的な成功を収め、最終的には当初の目標を130%以上も上回る販売実績を達成しました。
これは、単なる広告キャンペーンに留まらず、商品そのものの価値と生活者の心を深く結びつけた、博報堂の総合的なプロデュース力の賜物と言えるでしょう。
丸亀製麺 うどーなつ
「うどん」と「ドーナツ」という、一見すると異色の組み合わせから生まれた新しいカテゴリーの商品「丸亀うどーなつ」。
この斬新なプロジェクトにおいても、博報堂は商品開発の非常に早い段階から関与しました。
博報堂は、このユニークな商品を生活者にどのように届けるかを戦略的に考え、発売に先駆けて、話題性を創出するための施策を次々と実行しました。
特に、期間限定のPOP UPストアやキッチンカーでの無料サンプリングは大きな注目を集め、SNSを中心に口コミが広がるきっかけとなりました。
その結果、「丸亀うどーなつ」は発売からわずか6日間で100万食を突破する大ヒットを記録し、その年のヒット商品番付にも選出されるなど、食のトレンドを牽引する存在となりました。
これは、生活者の好奇心を刺激し、新しい食体験を提案することで市場を創造した、博報堂の企画力と実行力が凝縮された成功事例と言えるでしょう。
日清食品 完全メシ
日清食品が提唱する新しい健康系食品ブランド「完全メシ」は、33種類の栄養素と「おいしさ」の完璧なバランスを追求した画期的な商品です。
博報堂は、この「完全メシ」のプロジェクトにおいても、商品発売前の戦略立案から、消費者の心を掴むテレビCMの制作に至るまで、幅広い領域を担当しました。
特に、通販番組形式を採用したテレビCMは、そのユニークさとメッセージの分かりやすさで強いインパクトを与え、多くの生活者の関心を引きつけました。
その結果、「完全メシ」は発売から約5カ月で500万食を突破し、2025年時点では累計出荷数3,900万食を超えるなど、健康系食品の市場において新たなコンセプトを確立し、広く受け入れられています。
これは、単なる栄養食品としてではなく、「おいしさ」と「健康」を両立させるという生活者のニーズに寄り添い、効果的なコミュニケーションで市場を切り拓いた博報堂の成果と言えるでしょう。
採用難易度
博報堂の採用は、広告業界の中でも特に高い難易度を誇ることで知られています。
その競争率は非常に高く、毎年数万人規模の学生がプレエントリーするのに対し、最終的に内定を獲得できるのはごく一部に限られます。
具体的な倍率は100倍を優に超えるとも言われており、非常に狭き門であることがうかがえます。
博報堂は公式には学歴フィルターがないとされていますが、実際に選考に臨む学生の多くは高学歴層であり、その中で抜きん出るためには、単に学力だけでなく、博報堂が求める「生活者発想」に基づいた高い発想力や、多様な人々と協力して新しい価値を生み出すための優れた対話力が不可欠です。
選考プロセスは非常に多角的で、エントリーシート、面接、グループディスカッションなど、各ステップで学生の個性、思考力、コミュニケーション能力が厳しく評価されます。
そのため、選考を突破するためには、徹底した自己分析を通じて自身の強みや博報堂への熱意を明確にし、さらに企業研究を深めて博報堂の理念や事業内容を深く理解しておくことが何よりも重要となります。
入念な準備と、自身の魅力を最大限に伝える努力が求められるでしょう。
おわりに
博報堂は広告業界でありながら、様々な事業を手掛けているためどのような企業なのか理解しづらいかもしれません。
しかし、時代の変化に対応し、広告のあり方から社会に大きな影響を与える企業であるといえるでしょう。
この記事では博報堂の事業内容や具体的な職種だけでなく、どのような人材が求められているかなどを解説してきました。
博報堂という企業が気になった方は、ぜひ実際に企業説明会などに参加することでより理解を深めることができるでしょう。
