適職診断ツールを用いよう
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製薬業界への適性を診断するためのツールを活用することは、多くの方が抱える「自分の強みが製薬業界で活かせるのか?」「製薬業界の中で、どのような職種が自分に合っているのか?」といった疑問に対し、明確な答えを見つける上で非常に有効な手段となります。
自己分析を深め、自身の特性と業界のニーズを照らし合わせることで、より具体的なキャリアパスを描くことが可能になるでしょう。
はじめに
この記事では製薬業界を目指す方向けに、製薬業界の現状や、職種の紹介、求められる人材など、製薬業界に就職するために知っておくべき情報を具体的に解説しています。
就職活動において最も重要なことの一つは、業界・企業への深い理解です。
それをなくして、企業側に刺さる自己PRや志望理由は作成できません。
特に、人々の健康や命に関わる薬を扱う製薬業界は高い専門性や責任感が求められ、当然ながら業界や仕事内容についての理解も必要です。
まずは、この記事を通して、製薬業界とはどのような業界なのか把握しましょう。
製薬業界とは
製薬業界とは、人々の健康と生命を守るために、医薬品の研究開発、製造、販売、そして情報提供を行う非常に専門性の高い分野です。
この業界は、単に病気を治す薬を提供するだけでなく、病気の予防や診断、さらには生活の質の向上に寄与する医療ソリューション全体を追求しており、社会にとって不可欠な存在です。
・ビジネスモデル
・市場規模
・平均年収
・就職難易度
・製薬業界と医薬品業界の違い
ビジネスモデル
製薬業界のビジネスモデルは、長期的な時間と莫大な投資を要する独自のサイクルで成り立っています。
まず、基礎研究で医薬品候補を発見し、非臨床試験、複数段階の厳格な臨床試験を経て、規制当局からの製造販売承認を目指します。
承認された医薬品は厳格な品質管理のもと製造され、医療機関を通じて患者に届けられます。
MR(医薬情報担当者)による医療従事者への情報提供も不可欠です。
市場導入後も、有効性・安全性に関する継続的な調査(育薬)が行われます。
新薬上市には10年以上の歳月と数百億円から数千億円の研究開発費がかかるため、リスクは高いですが、成功すれば社会に大きな貢献をもたらします。

市場規模
日本の製薬業界の市場規模は、現在約11.3兆円に達しており、これは世界的に見ても非常に大きな規模を誇ります。
この市場を牽引しているのは、特にがん治療薬の分野であり、高齢化社会の進展とともにがん患者数が増加する中で、革新的な治療薬の開発が活発に進められています。
がん治療薬は、その高い有効性と、治療にかかるコストから、市場全体の規模を大きく押し上げる要因となっています。
また、免疫疾患や希少疾患といった分野でも、アンメット・メディカル・ニーズ(まだ有効な治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)に応える新薬の開発が進められており、市場は今後も多様な疾患領域で成長していくと予測されます。
平均年収
製薬業界の平均年収は、一般的に600万円から1000万円以上とされており、これは他の多くの業界と比較しても高い水準にあります。
特に大手製薬企業では、1000万円を超える年収を得る従業員も珍しくありません。
この高収入は、医薬品の研究開発に要する高い専門性や、社会貢献度の高さ、そして新薬開発成功時の莫大な利益などが背景にあります。
また、製薬企業はグローバルに事業を展開している企業が多く、海外での事業展開や研究開発に携わる機会も豊富であり、それに応じた高い報酬が期待できることも特徴です。
就職難易度
このような魅力的な条件から、製薬業界への就職難易度は高い傾向にあります。
安定した企業基盤、社会貢献性の高さ、そして非常に恵まれた待遇は、多くの就職活動を行う学生や転職希望者にとって魅力的な要素であり、結果として競争率が高まる傾向にあります。
特に研究開発職においては、薬学、医学、理学、工学などの高度な専門知識と経験が求められ、修士号や博士号の取得者が優遇されることも少なくありません。
しかし、MR(医薬情報担当者)や製造、品質管理、管理部門など、研究開発以外の職種も多岐にわたるため、自身の専門性や強みを活かせる場を見つけることが重要です。
高い専門性と倫理観が求められる業界ではありますが、それに見合うやりがいとキャリアアップの機会が豊富に提供されています。
製薬業界と医薬品業界の違いは
就職活動を進める中で、製薬業界と医薬品業界という二つの呼び方を耳にし、その違いに疑問を持つ学生もいるかもしれません。
結論から言えば、この二つの言葉は実質的に同じ産業を指すことがほとんどで、明確な区別はありません。
どちらも人々の健康を支える医薬品の研究開発から製造、販売までを行うビジネス全体を意味します。
しかし、言葉のニュアンスには違いがあり、これを理解することは業界構造を把握する上で役立ちます。
製薬業界という場合、特に「薬を製造する」というメーカー機能に焦点が当たります。
すなわち、新薬の研究開発や製造、品質管理を担う製薬メーカーを指すことが多いです。
一方、医薬品業界は、医薬品という製品全体に関わる、より広いビジネスを指す傾向があります。
これには製薬メーカーに加え、病院や薬局に薬を届ける医薬品卸売業、そして実際に薬を販売する薬局やドラッグストアなど、流通に関わる全てのプレイヤーが含まれます。
つまり、メーカーとして薬を創ることに特化したい場合は「製薬」、流通も含めた全体を捉える場合は「医薬品」という言葉が使われることが多いということになります。
製薬業界が取り扱う薬の種類
製薬業界は、人々の健康を守り、生活の質を向上させるために、多種多様な医薬品の研究開発、製造、販売を行っています。
これらの医薬品は、その有効性、安全性、使用方法によって厳密に分類されており、それぞれ異なる規制や流通経路を持っています。
製薬業界への就職を目指すのであれば、以下のような薬の種類についての情報は最低限押さえておきましょう。
・医療用薬品
・要指導医薬品
・一般的医薬品
医療用薬品
まず、医療用医薬品は、その名の通り、医師の処方箋がなければ入手できない医薬品であり、医療機関において医師や薬剤師の専門的な管理のもとで使用されます。
これらの医薬品は、重篤な疾患の治療や、専門的な知識と経験が必要な疾患の管理を目的として開発されており、非常に高い薬効と同時に、副作用のリスクも考慮される必要があります。
そのため、患者さんの症状や体質、併用薬などを総合的に判断した上で、個別に処方されることが義務付けられています。
新薬の多くは、この医療用医薬品として世に送り出され、厳格な臨床試験と国の承認プロセスを経て、その有効性と安全性が確認されてから、初めて患者さんの治療に用いられることになります。
医療現場では、これらの医薬品が適切に使用されるよう、製薬企業から医療従事者への情報提供活動も活発に行われています。
要指導医薬品
要指導医薬品は、医療用医薬品として長年使用され、安全性に関する一定のデータが蓄積されたものが、一般の人が手軽に購入できるようになる第一歩として位置づけられています。
しかし、医療用から一般用への移行直後であるため、まだ十分な情報が一般に浸透していない可能性や、使用上の注意点が多岐にわたる可能性があることから、薬剤師による対面での詳細な説明が義務付けられています。
購入者は、薬剤師から薬の成分、効能効果、使用方法、副作用、相互作用などについて十分に説明を受け、理解した上で購入する必要があります。
これにより、誤った使用による健康被害を防ぎ、適切なセルフメディケーションへの移行を促す役割を担っています。
販売方法にも制限があり、インターネット販売などは原則として認められておらず、薬剤師が常駐する薬局などの特定の場所でのみ購入可能です。
一般的医薬品
一般用医薬品は、いわゆる「市販薬」や「OTC医薬品(Over The Counter)」と呼ばれ、処方箋がなくても薬局やドラッグストアで自由に購入できる医薬品です。
これらの医薬品は、比較的安全性が高く、軽い症状の緩和や日常的な体調管理、また病院に行く時間がない場合の一時的な対処など、セルフメディケーションの目的で広く利用されています。
風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、ビタミン剤などが代表的な例として挙げられます。
一般用医薬品は、医療用医薬品と比較して作用が穏やかであるとされている一方で、使用上の注意は必ず守る必要があります。
消費者が自分で適切な医薬品を選択できるよう、パッケージには分かりやすく効能効果、用法用量、使用上の注意などが記載されています。
製薬業界は、これらの一般用医薬品を通じて、国民の健康維持と増進に貢献しています。
製薬業界の業種
製薬業界は、医薬品の研究開発から製造、販売、そしてそれに付随する様々なサービスを提供する企業群によって構成されており、それぞれ異なる役割と専門性を持った企業が存在します。
漠然と「製薬業界に行きたい」と考えるのではなく、自分がどのような分野に適していて、どのような仕事に携わりたいかを明確にする必要があります。
以下で紹介する製薬業界の種類をもとに自分が目指すキャリアに合った業界を見つけましょう。
・新薬メーカー
・ジェネリック医薬品メーカー
・OTC医薬品メーカー
・医薬品開発業務受託機関
・医薬品製造開発支援
・医薬品専門商社
新薬メーカー
まず、新薬メーカーは、製薬業界の中核を成す存在であり、その最大の特徴は、自社でゼロから新しい医薬品を創出することにあります。
具体的には、病気の原因となる分子メカニズムの解明から始まり、数百万にも及ぶ化合物の中から薬の候補となる物質を探索し、厳密な非臨床試験、そして複数の段階にわたる大規模な臨床試験を経て、ようやく国の承認を得て市場に送り出します。
この一連のプロセスは、莫大な研究開発投資と10年以上の長い年月を要することが一般的であり、成功確率は非常に低いものの、新薬が世に出た際には、これまで治療法がなかった病気に光をもたらすなど、計り知れない社会貢献と経済的な成果をもたらします。
新薬メーカーは、研究開発力と革新性が企業の競争力の源泉であり、最先端の科学技術を駆使して、未だ満たされない医療ニーズに応えるべく、日々研究開発に邁進しています。
- 武田薬品工業
- 大塚ホールディングス
- アステラス製薬
ジェネリック医薬品メーカー
次に、ジェネリック医薬品メーカーは、新薬メーカーが開発した医薬品の特許期間が満了した後に、その新薬と全く同じ有効成分、品質、効能、効果を持つ医薬品を製造・販売する企業です。
新薬と比較して研究開発コストが大幅に抑えられるため、より安価な価格で提供できる点が最大の特徴です。
これにより、患者さんの医療費負担を軽減し、医療保険財政の健全化にも貢献しています。
ジェネリック医薬品メーカーは、新薬の特許切れを見据えて、迅速かつ正確に同じ品質の医薬品を製造するための技術力や、効率的な生産体制の確立が重要となります。
また、品質管理体制の徹底や、医療機関への安定供給も重要な役割であり、国民の健康を支える上で不可欠な存在となっています。
- サワイグループホールディングス
- 大塚ホールディングス
- アステラス製薬
OTC医薬品メーカー
OTC医薬品メーカーは、一般用医薬品、すなわち医師の処方箋がなくても、薬局やドラッグストアで消費者が直接購入できる医薬品を製造・販売する企業です。
風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、ビタミン剤などが代表的な製品で、比較的軽度な症状の緩和や、日常的な健康管理、セルフメディケーションの推進に貢献しています。
OTC医薬品メーカーは、消費者が自ら適切に医薬品を選択できるよう、製品の安全性と有効性を確保しつつ、分かりやすい情報提供や、購買意欲を高めるためのマーケティング戦略が重要となります。
また、ドラッグストアやコンビニエンスストアなど、多様な販売チャネルを通じて製品を供給する流通戦略も、企業の成長を左右する重要な要素です。
- 大正製薬ホールディングス
- 第一三共ヘルスケア
- ロート製薬
医薬品開発業務受託機関
医薬品開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)は、製薬企業から医薬品開発における特定の業務を専門的に受託する企業です。
特に、新薬開発の要となる臨床試験(治験)の計画立案、実施、データ収集、解析、そして当局への承認申請といった一連のプロセスを、製薬企業に代わって、あるいは共同で行います。
CROの活用は、製薬企業が自社のリソースを研究開発に集中させ、開発期間の短縮やコスト削減を図る上で不可欠な存在となっています。
CROは、治験の専門知識や規制に関する深い理解、そして臨床試験を円滑に進めるためのネットワークとノウハウを持ち合わせており、医薬品開発の効率化と品質向上に貢献しています。
- IQVIAサービシーズジャパン
- シミックホールディングス
- EPSホールディングス
医薬品製造開発支援
医薬品製造開発支援(CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization)は、製薬企業から医薬品の製造プロセス開発、治験薬の製造、さらには上市後の商業生産まで、製造に関する様々な業務を受託する企業です。
特に、バイオ医薬品のような複雑な製造プロセスを要する医薬品においては、高度な製造技術や設備、品質管理体制が必要不可欠であり、CDMOはその専門性を提供することで製薬企業の負担を軽減し、効率的な医薬品の供給を可能にしています。
CDMOは、新薬開発の初期段階から量産化に至るまで、様々なフェーズで製薬企業を支援し、革新的な医薬品が患者さんのもとに迅速に届けられるよう、その製造面から貢献しています。
- 富士フイルムホールディングス
- AGC
- 日東電工
医薬品専門商社
医薬品専門商社とは、製薬会社と病院や調剤薬局といった医療機関の間に立ち、医薬品の流通を専門的に担う企業です。
製薬会社が開発・製造した医薬品を医療機関に供給する役割を担い、医薬品の安定供給に不可欠な存在です。
単に医薬品を運ぶだけでなく、医薬品情報の提供や、医療機関の経営課題を解決するためのコンサルティングなども行います。
製薬業界で働く選択肢は、製薬会社だけではありません。
医薬品専門商社は、医療を支える重要な裏方として、社会貢献性の高い仕事に携わることができます。
- メディバルホールディングス
- アルフレッサホールディングス
- スズケン
製薬業界の大手企業5選
製薬業界は、人々の健康と生命に貢献する重要な役割を担っており、その中でも特に大きな影響力を持つのが大手企業です。
ここでは、日本の製薬業界を代表する大手5社について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
自分が関わりたい製薬業界の領域はどの企業に当てはまるのか具体化する参考にしてみてください。
- 武田薬品工業
- 大塚ホールディングス
- アステラス製薬
- 第一三共
- 中外製薬
武田薬品工業
まず、武田薬品工業は、日本を代表する最大手の製薬企業であり、その事業規模は世界トップクラスのスペシャリティファーマとしてグローバルに展開しています。
消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)の4つの主要な疾患領域に特化し、これらの領域で画期的な新薬の研究開発と提供に注力しています。
長年の歴史と伝統に裏打ちされた研究開発力と、積極的なM&A戦略によってポートフォリオを強化し、世界中の患者さんのニーズに応えるための医薬品を創出し続けています。
グローバルな研究開発ネットワークと幅広い販売網を持ち、世界中の医療現場に貢献している点が大きな強みです。
大塚ホールディングス
次に、大塚ホールディングスは、医薬品事業と、独自の「ニュートラシューティカルズ(栄養製品)」事業を両輪として展開する、ユニークな「トータルヘルスケア」ビジネスモデルが特徴です。
医薬品分野では、精神神経領域やがん領域を中心に、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。
一方で、ポカリスエットやカロリーメイトといった一般消費者向けの製品で培ったノウハウを活かし、疾病の予防や健康増進に貢献するニュートラシューティカルズ事業も積極的に推進しています。
医薬品と栄養製品という異なる分野を融合させることで、疾病の治療から予防、さらには健康維持まで、人々の健康全体を包括的にサポートするという独自の企業戦略を展開しており、これが大塚ホールディングスの大きな差別化要因となっています。
アステラス製薬
アステラス製薬は、がん、泌尿器疾患、免疫疾患、腎疾患、神経疾患といった特定の重点領域において、革新的な新薬開発に強みを持つ企業です。
特に、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ治療法が確立されていない疾患に対する医療ニーズ)が高い領域に特化することで、高い専門性と競争力を有しています。
研究開発型の製薬企業として、最先端の科学技術と独自の創薬アプローチを追求し、画期的な治療薬の創出を目指しています。
また、オープンイノベーションを積極的に推進し、国内外の研究機関やバイオベンチャーとの連携を通じて、新たな医薬品の発見と開発を加速させている点も特徴です。
グローバル市場でのプレゼンスも高く、世界中の患者さんに貢献しています。
第一三共
第一三共は、近年特に抗体薬物複合体(ADC)技術を核とした、がん領域における革新的な新薬創出に注力している企業として注目されています。
このADC技術は、特定の分子を標的とする抗体に、がん細胞を殺傷する薬剤を結合させることで、薬剤をがん細胞に選択的に送り届け、副作用を抑えつつ高い治療効果を発揮することを目指すものです。
第一三共はこの分野で世界をリードする企業の一つであり、画期的なADC薬を複数創出し、がん治療に新たな選択肢を提供しています。
また、心臓血管疾患や感染症といった分野でも、既存の医薬品の改善や新たな治療法の開発にも取り組んでおり、多岐にわたる疾患領域で患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献しています。
中外製薬
中外製薬は、スイスの大手製薬企業ロシュ・グループの一員であり、その強みは抗体医薬を中心としたバイオ医薬品領域にあります。
バイオ医薬品は、化学合成によって作られる低分子医薬品とは異なり、細胞や微生物を用いて製造されるタンパク質を主成分とする医薬品であり、特にがんや自己免疫疾患などの分野で高い効果が期待されています。
中外製薬は、ロシュ・グループとの連携を通じて、最先端のバイオテクノロジーとグローバルな研究開発力を融合させ、革新的な抗体医薬や遺伝子治療薬などの創出に積極的に取り組んでいます。
独自の抗体エンジニアリング技術や高い研究開発力は、同社の競争力の源泉となっており、難治性疾患に苦しむ患者さんに新たな希望を提供しています。
製薬業界の注目のベンチャー企業
次に製薬業界の注目ベンチャー企業について紹介していきます。
近年、製薬業界では、革新的な技術や新しい治療法を開発するベンチャー企業が注目を集めています。
これらの企業は、既存の大手製薬会社とは異なるアプローチで、医療の未来を切り開く可能性を秘めています。
難病や未解決の医療課題に挑戦するバイオベンチャーの存在は、就職活動を行う学生にとっても新たな選択肢となっています。
大手企業とは異なるスピード感や、個々の裁量権の大きさが魅力です。
- サンバイオ株式会社
- Heartseed株式会社
- タカラバイオ株式会社
サンバイオ株式会社
サンバイオ株式会社は、脳の疾患に対する細胞治療薬の開発を進めるバイオベンチャーです。
特に、脳梗塞や外傷性脳損傷といった、これまで治療が難しかった分野での再生治療薬の開発で世界的な注目を集めています。
再生医療は、細胞そのものを治療に使うことで、失われた組織や機能を回復させることを目指す、非常に将来性の高い分野です。
サンバイオの技術は、脳神経系の疾患に苦しむ多くの患者に希望をもたらすものとして期待されています。
Heartseed株式会社
Heartseed株式会社は、iPS細胞技術を応用し、重症心不全の治療を目指す慶應義塾大学発のベンチャー企業です。
iPS細胞から作った心筋細胞シートを心臓に移植することで、心臓の機能を回復させる再生医療の臨床開発を進めています。
心不全は、進行すると心臓移植しか治療法がない場合もありますが、この心筋細胞シートが新たな治療の選択肢となることが期待されています。
Heartseedの取り組みは、心臓病治療に革命をもたらす可能性を秘めています。
タカラバイオ株式会社
タカラバイオ株式会社は、遺伝子治療薬やウイルスベクター技術を強みとする企業です。
がんや遺伝性疾患など、幅広い分野で遺伝子治療薬の開発を進めています。
遺伝子治療は、病気の原因となる遺伝子そのものに働きかけることで、根本的な治療を目指すものです。
タカラバイオは、この分野で長年の研究実績と高い技術力を持ち、国内外の製薬企業との共同研究も多数手掛けています。
製薬業界の就職ランキング
製薬業界への就職を目指す上で、各企業の売上や年収は重要な指標の一つです。
これらのランキングは、企業の規模や経済的な安定性を示す目安となります。
ここでは、主要な製薬企業のランキングをご紹介します。
・年収ランキング
・売上ランキング
年収ランキング
製薬業界は、全体的に年収が高いことで知られています。
特に大手企業は、研究開発への投資規模が大きく、社員への待遇も手厚い傾向にあります。
以下は、主要な製薬企業の平均年収ランキングです。
- 1位: 中外製薬 - 1,207万円
- 2位: 第一三共 - 1,114万円
- 3位: 武田薬品工業 - 1,097.2万円
- 4位: アステラス製薬 - 1,061.8万円
- 5位: エーザイ - 1,050.2万円
- 6位: 大塚ホールディングス - 1,021万円
- 7位: 小野薬品工業 - 998万円
- 8位: 大日本住友製薬 - 967万円
- 9位: 田辺三菱製薬 - 948万円
- 10位: 協和キリン - 944万円
売上ランキング
企業の売上は、市場における競争力や事業規模を示す重要な指標です。
グローバルな市場で戦う大手製薬会社は、研究開発費が膨大になるため、高い売上が必要となります。
以下は、主要な製薬企業の売上ランキングです。
- 1位: 武田薬品工業 - 4兆2,638億円
- 2位: 大塚ホールディングス - 2兆3,299億円
- 3位: アステラス製薬 - 1兆9,123億円
- 4位: 第一三共 - 1兆6,017億円
- 5位: 中外製薬 - 1兆1,706億円
- 6位: エーザイ - 7,449億円
- 7位: 小野薬品工業 - 3,923億円
- 8位: 協和キリン - 3,844億円
- 9位: 田辺三菱製薬 - 3,584億円
- 10位: 塩野義製薬 - 3,425億円
製薬業界の現状・課題
製薬業界は、人々の健康と生命を守るという重要な使命を担う一方で、常に変化し続ける社会情勢や科学技術の進歩の中で、多くの現状課題に直面しています。
就活においては、自分が志望する業界の現状や課題を知り、それに対する自分の考えなどを持っておくことも大切です。
まずは、以下の現状や課題について自分なりに調べ、考えを深めてみましょう。
- グローバル化の進展
- 新薬開発の高度化と長期化
- ジェネリック医薬品の普及
- 市場の変化と特許の壁
- AI創薬とMRの役割の変化
グローバル化の進展
グローバル化の進展は、製薬業界にとって大きな機会であると同時に、激しい競争をもたらしています。
特に、アジアや中南米といった新興国市場では、経済成長と医療アクセスの改善に伴い、医薬品市場が急速に拡大しています。
これらの市場は、巨大な人口と未だ満たされていない医療ニーズを抱えており、製薬企業にとっては新たな成長の源泉となっています。
しかし、この成長市場を巡って、欧米や日本の大手製薬企業だけでなく、各国のローカル製薬企業も積極的に事業を展開しており、国境を越えた競争は年々激化の一途を辿っています。
これにより、企業はより効率的な研究開発、製造、販売体制の構築が求められるとともに、各国特有の規制や文化、医療システムへの深い理解と適応が不可欠となっています。
新薬開発の高度化と長期化
新薬開発の高度化と長期化は、製薬業界が抱える最も本質的な課題の一つです。
近年、遺伝子治療やmRNAワクチン、細胞治療といった画期的なバイオ医薬品の開発が進展し、これまで治療が困難であった疾患に対する新たな治療選択肢が生まれています。
これらの医薬品は、従来の低分子医薬品と比較して、作用機序が複雑で製造プロセスも高度な技術を要するため、研究開発にはより専門的な知識と最先端の設備、そして膨大な時間と投資が必要となります。
一つの新薬が研究開発段階から市場に登場するまでには、平均で10年以上の歳月と数百億円から数千億円規模の投資が必要とされ、その成功確率は非常に低いのが現状です。
この高い研究開発リスクとコストは、製薬企業の経営を圧迫する要因となっており、より効率的で革新的な創薬プロセスの確立が喫緊の課題となっています。
ジェネリック医薬品の普及
ジェネリック医薬品の普及は、製薬業界のビジネスモデルに大きな影響を与えています。
世界各国で医療費の抑制が重要な政策課題となる中、より安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進が強く推進されています。
ジェネリック医薬品は、新薬の特許期間が満了した後に、同じ有効成分、品質、効能・効果を持つ医薬品として市場に投入され、患者さんの医療費負担を軽減し、医療保険財政の健全化に貢献しています。
しかし、その一方で、先行して開発した新薬メーカーにとっては、特許切れによる独占期間の終了と、ジェネリック医薬品の登場による競争激化が、収益の大きな圧迫要因となっています。
これにより、新薬メーカーは、特許期間中にいかに研究開発投資を回収し、次の革新的な新薬を創出するかに注力するとともに、特許切れ後の収益構造の多様化や、新薬の付加価値を高める戦略が求められています。
市場の変化と特許の壁
新薬開発の高度化と長期化は、同時に開発コストの増大と収益性の課題を生み出しています。
特に、「パテントクリフ」(新薬の特許切れ)は大手製薬メーカーの収益を直撃する大きな課題です。
特許が切れると、安価なジェネリック医薬品が市場に出回り、新薬の売上が急激に落ち込みます。
AI創薬とMRの役割の変化
記事にある「AI創薬」は、単なる未来のトレンドではなく、研究職や開発職の働き方を根本から変える可能性を秘めた「現在の課題」でもあります。
AIの活用は、新薬開発の効率を飛躍的に高める一方で、研究者に求められるスキルセットを変えつつあります。
また、製薬業界の就活で人気が高いMR(医薬情報担当者)も、デジタル化の波で大きな転換期を迎えています。
医師への訪問営業から、オンライン面談やデジタルツールを活用したリモートMRへとシフトしており、コミュニケーション能力だけでなく、ITリテラシーやデータ分析能力が求められるようになっているのです。
製薬業界の将来性
製薬業界は、科学技術の目覚ましい進歩と、変化する医療ニーズに応えるべく、常に進化を続けています。
自分が志望する業界の今後の動向を理解しておくことは、自分のキャリアビジョンを企業が求める人材と一致させたり、適性をアピールするためにも欠かせません。
今後の動向として、特に注目すべきは以下の点です。
・パーソナライズド医療の普及
・AI創薬・デジタル創薬の加速
・M&A・業界再編の加速
パーソナライズド医療の普及
パーソナライズド医療の普及は、製薬業界の将来を大きく変える可能性を秘めています。
これは、従来の「万人向けの薬」という考え方から一歩進んで、個々の患者さんの遺伝子情報(ゲノム解析)や、病気に関連する生体内の目印(バイオマーカー)などを詳細に解析し、その患者さんにとって最も効果が高く、かつ副作用のリスクが低い最適な医薬品や治療法を提供するというアプローチです。
がん治療の分野では既に、特定の遺伝子変異を持つ患者さんにのみ効果を発揮する分子標的薬が登場しており、これにより治療効果の向上と不要な副作用の回避が可能となっています。
今後は、さらに多くの疾患領域でパーソナライズド医療が適用されることで、個別最適化された治療が標準となることが予想されます。
製薬企業は、診断薬の開発企業や医療機関と連携し、患者さんの遺伝子情報に基づいた医薬品の開発と提供体制の構築を加速させていくことでしょう。
AI創薬・デジタル創薬の加速
AI創薬・デジタル創薬の加速は、新薬開発のプロセスに革命をもたらす重要な動向です。
人工知能(AI)や機械学習といったデジタル技術を創薬プロセスに活用することで、これまでの作業を効率化し、より有効な化合物を短時間で特定することが可能になります。
また、臨床試験の設計においても、AIが過去のデータや患者情報を分析することで、より効率的かつ正確な試験デザインを提案し、精度を向上させることができます。
これにより、新薬開発にかかる期間の短縮と、莫大な研究開発コストの削減が期待されています。
さらに、仮想空間でのシミュレーションを通じて、動物実験やヒトでの臨床試験の一部を代替することも視野に入っており、倫理的な課題の解決にも貢献する可能性があります。
多くの製薬企業がAIベンチャーとの提携や自社でのAI開発に力を入れており、この分野は今後も急速に発展していくことでしょう。
M&A・業界再編の加速
M&A・業界再編の加速は、製薬業界における構造的な変化として今後も活発化すると予想されます。
新薬開発には巨額の投資と高いリスクが伴うため、企業はこれらのリスクを分散し、効率的にパイプライン(開発中の新薬候補)を拡充するために、他の企業を買収したり、事業統合を行ったりすることが多くあります。
特に、特定の疾患領域に特化したバイオベンチャーが持つ革新的な技術や、将来有望な新薬候補の獲得を目的としたM&Aが増加する傾向にあります。
また、開発コストの増大や特許切れによる収益減、そしてグローバルな競争激化といった外部環境の変化も、企業の合併・買収を促す要因となっています。
これにより、業界全体の集約が進み、より大規模で多角的な事業展開を行うメガファーマが誕生する一方で、特定のニッチな分野で高い専門性を持つ企業が連携を強化するなど、多様な形で業界の再編が進んでいくと考えられます。
この動きは、企業の競争力強化だけでなく、新たな治療法の開発や医療イノベーションの加速にも寄与すると期待されています。
製薬業界の職種・仕事内容
製薬業界は、医薬品の研究開発から製造、販売、そしてそれに付随する様々な業務に至るまで、非常に多様な職種と専門性を持つ人材によって支えられています。
それぞれの職種が密接に連携し、医薬品が患者さんのもとに安全かつ確実に届けられるように努めています。
自分がどのような仕事をしたいのか以下の職種の紹介を参考に、イメージしてみましょう。
・研究職
・開発職
・営業職(MR)
・マーケティング職
・品質管理職
・薬事職
研究職
まず、研究職は、製薬業界のまさに「源流」となる職種です。
彼らは、未だ有効な治療法が見つかっていない難病や、既存の治療法では十分な効果が得られない疾患に対し、その根本的な原因を解明することからスタートします。
生命科学や化学、薬学、医学といった幅広い知識を駆使し、新しい治療ターゲットの探索、膨大な数の化合物の中から薬の候補となる新規物質の合成、そしてそれらの物質が持つ薬効や毒性を評価するためのスクリーニングなどを行います。
研究職の仕事は、長期にわたる忍耐と、失敗を恐れない探求心、そして何よりも「新薬の種」を発見するという情熱が求められます。
彼らの地道な努力が、未来の医療を切り拓く第一歩となるのです。
開発職
開発職は、研究職によって見出された有望な候補化合物を、実際に医薬品として患者さんのもとに届けるための橋渡し役を担います。
その主要な業務は、ヒトでの有効性や安全性を確認するための「臨床試験(治験)」の計画と実施です。
開発職は、治験のプロトコル(実施計画書)を作成し、医療機関との連携、被験者の募集、データの収集・管理、そして得られたデータの統計解析など、多岐にわたる業務を遂行します。
また、治験で得られた膨大なデータを基に、厚生労働省などの規制当局への製造販売承認申請資料を作成し、その審査に対応することも重要な役割です。
彼らは、科学的な知識だけでなく、倫理的な配慮や、国内外の規制に関する深い理解が求められ、新薬が世に出るまでの最後の砦となる責任重大な職務です。
営業職(MR)
営業職(MR:Medical Representative)は、製薬企業の「顔」として、医師や薬剤師、看護師といった医療関係者を定期的に訪問し、自社医薬品に関する正確かつ最新の情報を提供する役割を担います。
単に医薬品を販売するだけでなく、その効能、用法・用量、副作用、相互作用など、医薬品の適正使用に必要な情報を提供することで、患者さんの治療に貢献します。
また、医療現場からのフィードバックを収集し、それを社内の研究開発部門やマーケティング部門に伝えることで、新薬開発や製品改善に役立てるという重要な役割も果たします。
医療従事者との信頼関係を築き、医薬品に関する深い知識とコミュニケーション能力、そして高い倫理観が求められる職種です。
マーケティング職
マーケティング職は、医薬品が患者さんや医療従事者に適切に認知され、必要とする人々に届けられるように戦略を立案し、実行する職種です。
具体的には、市場調査を通じて医療ニーズや競合製品の動向を分析し、自社医薬品の強みや差別化要因を明確にします。
その上で、製品のブランド戦略を立案し、どのようなメッセージで、どのようなチャネルを通じて情報を発信していくかを決定します。
プロモーション活動の企画・実施もマーケティング職の重要な業務であり、学会での情報発信、医療従事者向けの資材作成、デジタルツールを活用した情報提供など、多角的なアプローチで医薬品の価値を最大化することを目指します。
科学的な視点とビジネス感覚を兼ね備え、医薬品の価値を最大限に引き出す戦略家としての役割を担います。
品質管理職
品質管理職は、医薬品の「安全と信頼」を担保する、極めて重要な職種です。
彼らは、医薬品の製造プロセス全体を通じて、厳格な品質基準が遵守されているかを徹底的に管理・監督します。
具体的には、医薬品の原料が適切に受け入れられ、規格に合致しているかの試験から始まり、製造工程における中間製品の検査、そして最終製品が規定された品質基準を満たしているかの試験・検査を行います。
また、製造設備の衛生管理や、環境のモニタリング、品質に関する文書管理なども業務に含まれます。
医薬品は、その品質が患者さんの健康に直結するため、品質管理職には高い専門知識と、妥協を許さない厳格な姿勢、そして細部にまで気を配る注意力が必要とされます。
薬事職
薬事職は、医薬品に関する国内外の複雑な法規制を遵守し、新薬の承認取得から上市後の維持管理まで、あらゆる法的手続きを担当する職種です。
厚生労働省などの規制当局に対し、新薬の製造販売承認申請資料を作成・提出し、その後の照会事項への対応を行います。
このプロセスは非常に専門的で、科学的データと法的要件を正確に理解し、適切に表現する能力が求められます。
また、医薬品の製造・販売に関する法令改正の動向を常に把握し、社内の関連部門に情報を提供することで、企業活動が常に法規制に準拠していることを確認します。
薬事職は、製薬企業が医薬品を合法的に製造・販売するために不可欠な存在であり、高度な専門知識と、高い倫理観、そして国内外の規制当局との円滑なコミュニケーション能力が求められます。
製薬業界の魅力・やりがい
製薬業界は、単なるビジネスの場というだけでなく、人々の生活に深く関わり、大きな影響を与える魅力とやりがいに満ちた分野です。
改めて、自分が志望する業界の魅力ややりがいを知ることで志望度の高さが伝わるような志望動機作成にも繋がるでしょう。
また、業界のやりがいや魅力をさらに知るためにはOB・OG訪問などもおすすめです。
・社会貢献性が高い
・安定性が高い
・グローバルに活躍できる可能性がある
社会貢献性が高い
製薬業界で働くことの最も大きな魅力は、その社会貢献性の高さにあります。
この業界で働く人々は、病気に苦しむ患者さんの健康と命を支え、日々の生活の質を向上させるという、非常に崇高な使命を担っています。
新しい医薬品が開発され、それが実際に患者さんの治療に役立ち、症状が改善したり、あるいは完治したりする瞬間に立ち会うことは、何物にも代えがたい大きなやりがいにつながります。
たとえ直接患者さんと接する機会が少ない研究開発職や製造職であっても、自分たちの手が生み出した医薬品が、世界中のどこかで誰かの命を救い、笑顔を取り戻していると実感できることは、日々の業務への大きなモチベーションとなるでしょう。
社会に必要不可欠な医薬品を世に送り出すことで、人々の健康という普遍的な願いに貢献できる喜びは、製薬業界ならではの特別な魅力です。
安定性が高い
製薬業界は、一般的に安定性が高い業界として知られています。
その理由の一つは、医薬品が人々の生活にとって不可欠なものであり、景気変動の影響を受けにくいという特性があるからです。
病気は景気の良し悪しに関わらず発生するため、医薬品の需要は常に安定しています。
また、新薬の研究開発には膨大な時間と費用、そして高度な専門知識が必要となるため、新規参入の障壁が非常に高く、既存の製薬企業は比較的安定した経営基盤を築いています。
さらに、医薬品の製造や品質管理には厳格な規制が設けられており、これもまた参入障壁を高める要因となっています。
このような背景から、製薬業界の企業は長期的な視点での事業展開が可能であり、従業員にとっても安心してキャリアを築ける環境が提供されていると言えるでしょう。
グローバルに活躍できる可能性がある
製薬業界は、その性質上、グローバルに活躍できる可能性が非常に高い分野です。
病気は国境を選ばず、世界中の人々が健康問題を抱えています。
そのため、多くの製薬企業は日本だけでなく、世界各地に研究開発拠点や製造工場、販売網を展開しており、国際的なビジネスモデルを構築しています。
これにより、従業員は海外の同僚と協力してプロジェクトを進めたり、国際学会で最新の研究成果を発表したり、あるいは海外赴任の機会を得て異文化の中で働く経験を積んだりすることが可能です。
国際的なチームの一員として、多様なバックグラウンドを持つ人々と協業し、世界中の患者さんの健康に貢献できることは、自身の視野を広げ、キャリアを豊かにする貴重な機会となるでしょう。
グローバルな環境で自身の能力を最大限に発揮したいと考える方にとって、製薬業界は魅力的な選択肢となるはずです。
製薬業界に就職する際に注意すべきこと
製薬業界は、人々の健康と命を支える非常にやりがいのある業界です。
しかし、その特殊性ゆえに、就職活動を行う上で事前に理解しておくべきポイントがいくつか存在します。
入社後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、業界特有の働き方や企業の特性をしっかりと把握しておくことが重要です。
ここでは、製薬業界への就職を検討する際に、特に注意してほしい3つのポイントについて解説していきます。
・各企業の注力分野と製品を理解する
・継続的な学習が必要となる
・転勤の可能性がある
各企業の注力分野と製品を理解する
製薬会社は、それぞれ得意とする治療領域や研究開発分野を持っています。
たとえば、「がん治療薬に強みを持つ企業」「中枢神経系の薬に特化している企業」「再生医療に注力している企業」など、その方向性は様々です。
企業の注力分野を理解することは、あなたが本当に興味を持てる仕事と出会うために不可欠です。
例えば、がん領域に貢献したいという強い思いがあるなら、その分野に力を入れている企業に絞って企業研究を進めるべきです。
企業のウェブサイトやIR情報、ニュースリリースなどを活用し、どの製品が主力で、どの分野のパイプライン(開発中の新薬)を多く持っているのかを事前に調べておきましょう。
継続的な学習が必要となる
医薬品業界は、日々新しい病気の研究や治療法の開発が進む、変化の激しい業界です。
新しい医薬品が次々と開発されるため、常に最新の医療情報や科学知識を学び続ける必要があります。
この継続的な学習がなければ、医療従事者や研究者と対等なコミュニケーションを取ることはできません。
特に、MR(医薬情報担当者)や研究職、開発職といった職種は、入社後も専門的な知識を習得し続けなければなりません。
学ぶことが好きで、知的好奇心が高い人にとって、製薬業界は大きなやりがいを感じられる場所です。
転勤の可能性がある
製薬業界の中でも、特にメーカーは全国転勤が前提となっていることが多いです。
MR(医薬情報担当者)職の場合、3年から5年といった比較的短いスパンで勤務地が変わることが一般的です。
担当する病院や地域が変われば、そこで働く医師や医療従事者との関係をゼロから構築していく必要があります。
研究職や開発職も、研究施設の移転やプロジェクトの都合で転勤となるケースがあります。
もし、特定の地域で腰を据えて働きたいと考えている場合は、地域限定採用や転勤が少ない企業を視野に入れるなど、事前に企業の採用条件をしっかりと確認することが大切です。
製薬業界に向いている人の特徴
ここでは、製薬業界に向いている人の特徴について解説します。
製薬業界は専門性や正確性が求められ、人々の生活に大きな影響を与えています。
そのため、どのような人材が求められるのか事前に把握し、自分がそれに適した人間であることを具体的にアピールする準備が必要になります。
以下の特徴を自分と照らし合わせながら考えてみましょう。
・粘り強さがある人
・柔軟性がある人
・知的好奇心が強い人
粘り強さがある人
製薬業界で活躍するためには、粘り強さが非常に重要な資質となります。
なぜなら、新しい医薬品の開発は、まさに気の遠くなるような時間と莫大な投資を必要とするからです。
一つの新薬が世に出るまでには、一般的に10年以上の歳月と数百億円、時にはそれ以上の費用がかかると言われています。
この長い道のりの間には、数え切れないほどの失敗や困難な壁にぶつかることが当たり前です。
期待通りの結果が出ない実験、予期せぬ副作用の発見、あるいは臨床試験の途中で開発が中止になるケースも少なくありません。
それでも諦めずに、何度も試行錯誤を繰り返し、失敗から学び、解決策を探し続ける精神力が求められます。
目標達成に向けて、長期的な視点を持ち、困難に直面しても挫けずに、地道な努力を積み重ねられる人が、この業界で大きな成果を生み出すことができるでしょう。
柔軟性がある人
製薬業界は、柔軟性を持つ人にとって非常に適した環境です。
医療や製薬を取り巻く環境は、驚くべきスピードで常に変化しています。
遺伝子治療やAI創薬といった科学技術の目覚ましい進歩、各国で頻繁に行われる法改正、そしてパンデミックのような予期せぬ社会情勢の変化など、外部要因は枚挙にいとまがありません。
このような変化の激しい状況において、従来のやり方や固定観念に縛られることなく、新しい情報や技術を積極的に取り入れ、自身の考え方やアプローチを柔軟に調整できる能力が求められます。
予期せぬ事態が発生した際に、迅速に状況を判断し、最適な解決策を見つけ出す適応力も不可欠です。
変化を恐れず、むしろそれを成長の機会と捉え、常に学び、進化し続けられる人が、製薬業界の最前線で活躍できるでしょう。
知的好奇心が強い人
製薬業界で成功するためには、強い知的好奇心が不可欠です。
この業界は、常に最先端の科学技術と知識が求められる分野であり、既存の常識を打ち破るような革新的な発見が日々求められています。
特に研究開発職においては、まだ誰も解明していない病気のメカニズムや、未知の物質の可能性を探求しようとする強い知的好奇心が、新薬創出の原動力となります。
なぜこうなるのか、もっと良い方法はないのか、といった問いを常に持ち続け、粘り強く探求し続ける姿勢が不可欠です。
また、医学、薬学、生物学、化学、情報科学など、幅広い分野の知識を吸収し、それを自分の専門分野と結びつけて新しい発想を生み出す能力も重要です。
知的な探求を楽しみ、自ら学び続ける意欲のある人が、製薬業界において新しい価値を創造し、患者さんの未来を切り拓くことができるでしょう。
製薬業界に向いていない人の特徴
製薬業界は、人々の健康と生命を守るという社会的意義と公共性が極めて高い業界です。
この業界への就職を目指す就活生は、自身の適性や価値観が、製薬企業で求められる仕事と合致しているかを見極めることが成功の鍵となります。
新薬開発から製造、そして医療現場への情報提供に至るまで、すべての業務で高い倫理観と科学的厳密性が要求されるため、一般的な企業とは異なる特殊な資質が必要です。
ここでは、製薬業界の厳しい環境や独特な文化に適応しづらい、向いていない人の具体的な特徴を解説します。
こちらを参考にし、ご自身のキャリアの適性を客観的に判断し、今後の企業選びや自己PRの方向性を定めるための参考にしてください。
・正確性が欠如している人
・学習意欲が低い人
・変化を嫌う人
正確性が欠如している人
医薬品の取り扱いは、人命に直接関わるため、極めて高い正確性が求められます。
わずかなミスが、患者の健康や命に関わる重大な結果を招きかねません。
そのため、研究、開発、製造、品質管理といった製薬業界のあらゆる業務において、細部への注意力と徹底した確認作業を厭わない姿勢が不可欠です。
データ入力の誤りや実験操作のわずかな手順のミスも、最終的な製品の安全性や有効性に影響を及ぼします。
また、薬事法をはじめとする法令遵守が厳しく求められるため、ルールやガイドラインを軽視したり、責任感が薄く安易な判断を下したりする人は、この業界には向きません。
常に緊張感を持って業務に臨み、緻密さを追求できる人でなければ、業界で長期的に活躍することは難しいでしょう。
学習意欲が低い人
医療や科学技術は日進月歩で進化しており、製薬業界も例外ではありません。
昨日の常識が今日には通用しなくなることも珍しくありません。
研究者や開発担当者はもちろん、MRや管理部門の社員も含め、常に新しい知識を学び続ける意欲が強く求められます。
具体的には、最新の医学知識や創薬技術、国の薬事規制や薬価制度の改正情報など、広範な知識を継続的にアップデートしていく必要があります。
特に近年は、デジタル技術の導入が加速しており、これらの新しい技術に対する関心や学習意欲が低いと、業務の遂行が困難になるだけでなく、企業のイノベーションにも貢献できません。
自己成長への投資を惜しまず、知的好奇心を持って専門性を高めていける人こそが、この業界で長く活躍できるでしょう。
変化を嫌う人
製薬業界は、一見安定しているように見えますが、実は常に大きな変化にさらされている業界です。
特に、日本の医療費抑制策や薬価制度の頻繁な改定は、製薬企業の収益構造や営業戦略に直接的な影響を与えます。
また、新薬開発においては、技術的なブレイクスルーや競合他社の動向、グローバル市場のニーズの変化などに対応し続ける必要があります。
企業は生き残るために、組織再編やM&A、事業の撤退・集中を積極的に行っており、社員には変化への柔軟な対応力が求められます。
過去のやり方や成功体験に固執し、新しいチャレンジや異動などの変化を嫌う人は、業界のダイナミズムに適応できず、キャリアパスを描くのが難しくなるでしょう。
製薬業界を目指すうえで覚えておくべき用語
製薬業界には、業界特有の専門用語が数多く存在します。
これらの用語を事前に理解しておくことは、企業研究や面接で役立つだけでなく、入社後の業務をスムーズに進める上でも不可欠です。
ここでは、特に重要な3つの用語を解説します。
・ジェネリック医薬品
・OTC医薬品
・バイオ医薬品
ジェネリック医薬品(後発医薬品)
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発品)の特許期間が切れた後に、同じ有効成分で製造・販売される医薬品のことです。
新薬は開発に莫大な費用と時間がかかりますが、ジェネリック医薬品は開発費用が抑えられるため、安価で提供されます。
これにより、患者さんの医療費負担を軽減し、医療財政の改善にも貢献しています。
OTC医薬品(一般用医薬品)
OTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のことを指します。
「Over The Counter」の略で、カウンター越しに薬を販売するという意味合いからこの名称が使われています。
風邪薬や解熱鎮痛剤、胃腸薬などがこれに該当します。
セルフメディケーション(自分自身の健康は自分で守るという考え方)の推進に重要な役割を担っています。
バイオ医薬品
バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えや細胞培養技術など、バイオテクノロジーを用いて作られる医薬品のことを言います。
従来の化学合成によって作られる医薬品とは異なり、生物の細胞や組織を利用して作られるため、より複雑で大きな分子構造を持つのが特徴です。
抗体医薬などがその代表例であり、がんや自己免疫疾患など、従来の医薬品では治療が難しかった病気の治療に大きな効果を発揮することが期待されています。
製薬業界と親和性の高い業界3選
製薬業界を第一志望とする就活生の皆様にとって、併願先の選定は重要な戦略の一つです。
製薬業界で培われる専門性、論理的思考力、緻密な実験・分析スキルは、他の多くの業界でも高く評価されます。
ここでは、特に製薬業界と高い親和性を持ち、皆様が持つバックグラウンドや専門知識を活かしやすい業界3選をご紹介します。
これらの業界を併願先にすることで、就職活動の選択肢を広げるとともに、業界横断的な視点を持つことができ、結果的に製薬業界の面接でも多角的な視点を持っていることをアピールできるでしょう。
ご自身の専攻分野や研究内容を最大限に活かし、キャリアを構築できる業界を見つけてください。
・化学メーカー業界
・電子機器メーカー業界
・インフラ業界
化学メーカー業界
製薬業界と化学メーカー業界は、最も親和性が高い業界の一つです。
特に研究開発職を志望する学生にとって、有機合成化学、高分子化学、分析化学といった製薬の基礎研究で必要とされる技術・知識が、そのまま活かせます。
化学メーカーは、医薬品の原料となる医薬中間体や、カプセル・錠剤の製造に必要な機能性材料、手術用糸やカテーテルなどの医療材料分野を持つ企業も多く存在します。
また、化学メーカーの製造技術や生産技術は、製薬メーカーの原薬生産やプロセス開発と共通する部分が非常に大きいです。
広範囲な製品群を扱うため、一つの新薬開発に依存せず、安定した事業基盤を持つ企業が多いことも魅力の一つです。
研究室での合成スキルや分析機器の操作経験は、化学メーカーでのキャリアにおいても非常に高く評価されます。
電子機器メーカー業界
意外に思われるかもしれませんが、電子機器メーカー業界の特定の部門は、製薬業界と深い関わりがあり、親和性が高いです。
特に、医療機器や分析機器の開発・製造部門です。
製薬の研究開発や品質管理では、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)や質量分析装置といった高度な分析機器が不可欠であり、これらを開発・製造しているのが電子機器メーカーです。
また、手術支援ロボットや画像診断装置などの医療機器分野に注力する大手メーカーも増えており、機械工学、電気電子工学、情報科学といった専攻分野を持つ学生が活躍できる場が豊富にあります。
製薬業界のデジタル化(DX)の進展に伴い、AIやデータ解析技術を搭載した機器やシステムの開発需要が高まっており、技術力の高い電子機器メーカーへの注目度も上がっています。
インフラ業界
インフラ業界、特に電力、ガス、鉄道といった大規模な企業群は、安定性と企業規模の大きさという点で、製薬業界の大手企業と共通する特徴を持ちます。
専攻分野が製薬の専門分野に直結しない学生、あるいは大学院卒の高度な技術・分析能力を持つ学生の併願先として適しています。
インフラ企業では、生産技術、設備管理、プロジェクト管理、経営企画といった部門で、理系学生が培った論理的思考力や問題解決能力が非常に高く評価されます。
また、大規模な組織で働くことの安定性と社会貢献度の高さも魅力です。
研究職にこだわらず、理系のバックグラウンドを活かして事業全体を支える管理部門や技術部門で活躍したいと考える就活生にとって、インフラ業界は非常に有力な併願先となり得ます。
製薬業界に行くためにすべきこと
製薬業界へのキャリアを目指す上で、成功への道を切り拓くためには、戦略的な準備と行動が不可欠です。
以下に、そのために具体的にすべきことを詳しく解説します。
就職活動として、何から始めるべきか分からないという人も多いかもしれませんが、以下の内容を参考に一つずつ着実に進めることで、納得のいく内定獲得に近づくでしょう。
・業界・企業研究をする
・インターンシップに参加する
・OB/OG訪問をする
業界・企業研究をする
製薬業界への就職・転職では、業界・企業研究が不可欠です。
製薬業界には多様な職種とビジネスモデルがあり、各企業は異なる強みや専門領域、社風を持っています。
新薬開発、ジェネリック医薬品、OTC医薬品など、企業の特性は様々です。
業界全体の動向に加え、志望企業の開発・販売医薬品、研究開発パイプライン、企業理念、文化を深く理解することが求められます。
IR情報、プレスリリース、年次報告書、採用サイトなどを丹念に読み込み、企業の「違い」と「強み」を把握しましょう。
これにより、自身の興味や適性に合う企業を見つけ、面接で企業理解度や熱意を効果的にアピールできます。
企業の社会貢献性や求める人材像といった本質的な部分まで理解を深めることが、成功への第一歩となります。
インターンシップに参加する
製薬業界を深く理解するには、インターンシップが有効です。
ネット情報や説明会では得られない、実際の業務内容や企業の雰囲気、社員の働き方を肌で感じられます。
研究開発、MR、品質管理など多様な部門で実施され、自身の興味のある職種のリアリティを体験する絶好の機会です。
業務理解だけでなく、社員との交流を通じて企業文化や人間関係、チームの雰囲気を知ることは企業選びで重要です。
与えられた課題に取り組む中でスキルや適性を客観的に評価でき、本選考で優遇されるケースもあります。
積極的に参加し、疑問点を質問し、得られた情報を就職活動に最大限に活かすことが重要です。
OB/OG訪問をする
OB/OG訪問は、他の就活生との差別化を図り、企業の深い情報を得る上で非常に有効な手段です。
公式情報では得られない社員の生の声や、現場のやりがい、苦労話、社内の雰囲気、キャリアパスなど、貴重な情報を直接聞くことができます。
これにより、具体的なキャリアプランを描き、企業理解度を飛躍的に高めることが可能です。
また、将来のネットワーク構築にも繋がります。
訪問時は質問を準備し、相手の時間を尊重する姿勢が重要です。
得られた情報は、面接での企業理解度のアピールや、志望動機を説得力のあるものにする強力な材料となるでしょう。
おわりに
この記事では、製薬業界の特徴から求められる人材、就職活動としてやるべきことなどを解説してきました。
人々の健康に必要不可欠で、時代や技術の進歩とともに発展し続ける製薬業界は非常にやりがいを感じることができる業界です。
それゆえに、どのように就活を進めるべきか迷う方も多いかもしれませんが、この記事で紹介した内容を参考に、自分の能力をどのように製薬業界で活かすことができるか考えることから始めてみましょう。





