目次[目次を全て表示する]
コミュニケーション能力を鍛える重要性とは?
就活が始まると、誰もが一度は「コミュニケーション能力(コミュ力)」の壁にぶつかります。
エントリーシート(ES)や面接で必ずと言っていいほど問われるこの力は、多くの学生が「自分には足りないかもしれない」と不安に感じる要素です。
しかし、なぜ企業はここまでコミュ力を重視するのでしょうか。
それは、入社後に仕事を進める上で、あらゆる業務の土台となるスキルだからにほかなりません。
本セクションでは、企業が求めるコミュ力の具体的な中身、それが不足しているとどのような状況に陥るのか、そして採用選考で重視される根本的な理由を深掘りします。
単なる「おしゃべり上手」とは違う、社会で本当に求められる力の正体を探っていきましょう。
社会人が求める“伝える力・聴く力”が評価基準になる理由
多くの就活生が誤解しがちなのですが、企業が求めるコミュニケーション能力とは、決して「誰とでもすぐに打ち解けられる陽気さ」や「弁が立つこと」だけを指しているのではありません。
社会人にとって重要なのは、大きく分けて「伝える力」と「聴く力」の二つです。
まず「伝える力」ですが、これは自分の意見や情報を、相手に正確に理解してもらう力です。
仕事はチームで行うものですから、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)がスムーズにできなければ、プロジェクトは進みません。
次に「聴く力」は、相手の話の意図や背景を正確に汲み取る力です。
顧客のニーズをヒアリングする営業職はもちろん、上司の指示を正しく理解したり、同僚の状況を把握したりする上でも不可欠です。
これら二つの力は、組織内での連携を円滑にし、ミスを防ぎ、最終的には生産性や成果に直結します。
だからこそ、企業は選考段階でこの「伝える力・聴く力」の素養を、学生時代の経験を通じて見極めようとするのです。
コミュニケーション能力が弱いと起こる具体的なデメリット
もし、この「伝える力・聴く力」が弱いまま社会人になると、具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
まず、自分の考えをうまく伝えられないと、会議で意見を求められても的確に回答できず、自分の評価を下げてしまう可能性があります。
また、上司や先輩からの指示を正しく「聴く」ことができないと、意図と違う成果物を出してしまい、「言われたこともできないのか」という残念な評価につながりかねません。
これは本人の能力以前に、認識のズレが原因であるため、非常にもったいない事態です。
さらに、同僚との情報共有がうまくいかないと、チーム全体の作業効率が低下したり、最悪の場合、重大なミスやトラブルに発展したりすることもあります。
顧客対応においても、相手の要望を正確に把握できなければ、クレームの原因にもなるでしょう。
このように、コミュニケーション能力の不足は、個人の評価だけでなく、組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすため、企業は採用時にこの点を非常にシビアに見ているのです。
就活でコミュ力はなぜ重視されるのか?企業の本音
では、改めて「なぜ就活でコミュ力が重視されるのか」について、企業の“本音”に迫ってみましょう。
新卒採用において、企業は学生の「現時点でのスキル」以上に「入社後の成長可能性(ポテンシャル)」を見ています。
専門知識や技術的なスキルは、入社後の研修や実務である程度キャッチアップできます。
しかし、コミュニケーション能力は、その人の思考のクセや行動特性と深く結びついているため、短期間での習得が難しいスキルだと考えられています。
企業側の本音としては、「教えやすい素直な人材」を求めており、その素直さや学習意欲もまた、コミュニケーションの「聴く力」の一部だと捉えられています。
また、どんなに優秀な学生でも、入社すれば必ず「わからないこと」だらけです。
その際、「わからない」と素直に言えるか、適切に質問できるか、周りに助けを求められるかどうかが、成長のスピードを左右します。
企業は、コミュ力を「新しい環境に適応し、周囲と協力しながら成長していける力の証」として見ているのです。
コミュニケーション能力を鍛えるための3つの基本要素
コミュニケーション能力を「鍛えたい」と思っても、漠然としすぎていて何から手をつければいいか分からない、という人も多いでしょう。
コミュ力は、才能ではなく「技術の集合体」です。
分解して理解すれば、誰でも確実に伸ばすことができます。
就活で求められるコミュ力を支えるのは、大きく分けて「聴く力」「伝える力」「共感・リアクション」の3つの要素です。
これらは独立しているのではなく、互いに関連し合っています。
例えば、しっかり「聴く」ことができれば、相手が求める答えを的確に「伝える」ことができ、適切な「リアクション」が信頼関係を築きます。
このセクションでは、これら3つの基本要素をどのように鍛えていくべきか、その具体的な方法と考え方について解説していきます。
まずは自分の強みと弱みがどこにあるのかを意識しながら読み進めてください。
①聴く力を鍛える|相手理解の精度を高める
コミュニケーションにおいて最も重要でありながら、多くの人がおろそかにしがちなのが「聴く力」、すなわち傾聴力です。
人は本能的に「自分が話したい」生き物ですが、相手に「この人は分かってくれる」と感じてもらうには、まずはこちらが深く理解しようと努める姿勢が不可欠です。
聴く力を鍛えるとは、単に相手の話を黙って聞くことではありません。
相手が「何を言っているか(事実)」だけでなく、「なぜそう言っているのか(背景・感情)」まで想像力を働かせ、理解の精度を高めるプロセスを指します。
例えば、面接官の質問の意図を正確に汲み取れなければ、どれだけ流暢に話しても評価にはつながりません。
「学生時代に力を入れたことは?」という質問の裏には、「その経験から何を学び、どう自社で活かせるかを知りたい」という意図が隠されています。
相手の言葉の裏にある“真のニーズ”を掴む訓練を積むことが、聴く力を鍛える第一歩です。
まずは相手の話を遮らず、最後まで真剣に耳を傾けることから始めましょう。
②伝える力を鍛える|結論→理由→具体例の型を使う
「聴く力」で相手の意図を把握したら、次は自分の考えを的確に「伝える力」が求められます。
特に就活の面接やESでは、限られた時間や文字数の中で、自分の強みや考えを論理的に説明しきる必要があります。
ここで絶大な効果を発揮するのが、おなじみの「PREP法(Point:結論 → Reason:理由 → Example:具体例 → Point:結論)」という型です。
就活においては、最後のPointを省略した「結論→理由→具体例」の順番を意識するだけでも、格段に伝わりやすくなります。
多くの学生が陥りがちなのが、時系列でダラダラと話し始めてしまうことです。
例えば「ガクチカ」を聞かれた際に、「私は大学1年生の時に…」とエピソードから入るのではなく、「私の強みは課題解決力です(結論)。
なぜなら、サークル活動で〇〇という課題を解決した経験があるからです(理由)。
具体的には…(具体例)」と組み立てるのです。
この「型」を意識して話す練習を繰り返すだけで、あなたの話は驚くほどクリアになり、「簡潔に物事を説明できる人だ」という評価を得られるようになります。
③共感・リアクションを鍛える|関係構築の“間”を意識する
「聴く力」と「伝える力」は、いわばコミュニケーションの技術的な側面です。
しかし、それだけでは「冷たい」「理屈っぽい」という印象を与えかねません。
そこで重要になるのが、相手との心理的な距離を縮め、スムーズな意思疎通を促す「共感・リアクション」の力です。
これは、会話における「潤滑油」のようなものだと考えてください。
具体的には、相手の話に対して「なるほど」「そうなんですね」といった相槌を打つこと、相手の感情に寄り添う言葉(例:「それは大変でしたね」)をかけること、そして適度な「間」を意識することです。
相手が話し終わるか終わらないかのうちに食い気味に話し始めたり、逆に反応が遅すぎたりすると、相手は「本当に聞いてくれているのか?」と不安になります。
特にWeb面接では、対面よりも意識的に大きく頷いたり、表情を豊かにしたり、声のトーンをワントーン上げたりする工夫が、相手に安心感と「話しやすい」という印象を与えます。
この“間”やリアクションを意識するだけで、関係構築のスピードは格段に上がります。
日常でできるコミュニケーション能力の鍛え方【初心者向け】
コミュニケーション能力は、特別なセミナーや高額な講座を受けなければ鍛えられないものではありません。
むしろ、日々の生活の中での小さな意識改革と実践こそが、最も効果的なトレーニングになります。
「いきなり面接で試せと言われても難しい」と感じる人こそ、まずはハードルの低い日常の場面から練習を始めるべきです。
挨拶、買い物、友人や家族との会話など、私たちの周りにはコミュ力を鍛えるチャンスが溢れています。
このセクションでは、就活本番やアルバイト先といった「失敗できない」場所ではなく、日常生活の中で気軽に試せる、初心者向けのトレーニング方法を3つ紹介します。
スポーツ選手が毎日素振りをするように、コミュニケーションも日々の基礎練習が土台を強くします。
短い会話から始める|挨拶+一言キャッチボールの習慣化
コミュニケーションが苦手だと感じる人の多くは、「何を話せばいいか分からない」「会話が続かない」という悩みを抱えています。
そのハードルを一気に下げてくれるのが、「挨拶+一言キャッチボール」の習慣化です。
いきなり深い話や面白い話をする必要は全くありません。
例えば、大学の友人や研究室の仲間、アルバイト先の同僚に会った時、「おはようございます」だけでなく、「おはようございます、今日は寒いですね」「お疲れ様です、その資料、終わりましたか?」といった“プラス一言”を付け加えてみるのです。
相手から返事が来たら、それに対してもう一言返す。
たったこれだけの「短い会話」を意識的に増やすことが、会話への抵抗感を減らすリハビリになります。
重要なのは、完璧な返答を目指さないこと。
「寒いですね」「本当に。
カイロ持ってきました」のような、ごく当たり前のキャッチボールを繰り返すことで、自然と「会話のラリー」を続ける体力がついていきます。
相手の発言を要約して返す“オウム返し+要約”トレーニング
「聴く力」を鍛える実践的なトレーニングとして、非常に強力なのが「オウム返し+要約」です。
これは、相手が話した内容を、そのまま繰り返したり(オウム返し)、少し自分の言葉でまとめ直したり(要約)して相手に返すテクニックです。
例えば、友人が「昨日、バイトでミスしちゃって店長にすごく怒られたんだ」と言ったとします。
この時、「ミスして怒られたんだ」とオウム返しするだけでも、相手は「うん、それでね…」と続きを話しやすくなります。
さらに、「バイトでミスして、店長に厳しく指摘されたんだね。
それは落ち込むね」と、事実の要約に加えて相手の感情に寄り添う一言を添えられれば完璧です。
このトレーニングの利点は二つあります。
一つは、相手が「この人はちゃんと私の話を真剣に聞いてくれている」と安心感や信頼感を抱いてくれること。
もう一つは、自分自身が「相手は何を伝えたかったのか」を頭の中で整理する訓練になることです。
これにより、相手の意図を正確に把握する精度が格段に上がります。
質問力を鍛える|誰でも使える5つの万能質問テンプレ
会話を盛り上げたり、相手の理解を深めたりするために不可欠なのが「質問力」です。
しかし、「何を質問すればいいか分からない」という人も多いでしょう。
そこで、日常の会話で誰でも簡単に使える「万能質問テンプレート」を5つ紹介します。
これらは、相手の話を深掘りするための「型」だと考えてください。
- 1つ目は「それって、具体的にはどういうことですか?」。
抽象的な話を具体的にしてもらう質問です。
- 2つ目は「なぜ、そう思った(した)のですか?」。
相手の背景にある考え方や動機を引き出します。
- 3つ目は「例えば、どんなことがありましたか?」。
エピソードを聞き出す質問です。
- 4つ目は「一番、印象に残っている(大変だった)ことは何ですか?」。
相手の感情や経験の核心に迫ります。
- 5つ目は「もし〇〇さんだったら、どうしますか?」。
相手の意見を求める質問です。
これらの質問は、面接で逆質問を求められた際にも応用できます。
まずは意識して使ってみることで、自然と会話を深掘りするクセがつき、相手から多様な情報を引き出せるようになります。
就活生がやるべきコミュニケーション能力の鍛え方
日常生活での基礎練習と並行して、就活生は「就活本番」に特化したコミュ力の鍛え方も実践していく必要があります。
日常会話と就活の面接やグループディスカッション(GD)とでは、求められるコミュニケーションの質が異なるからです。
就活の場面では、「時間制限」と「評価される」というプレッシャーの中で、的確に自分を表現し、他者と協働する力が問われます。
日々のトレーニングで培った基礎体力(聴く力・伝える力)を、いかに「就活フォーマット」に落とし込み、実践的なスキルへと昇華させるか。
このセクションでは、自己紹介、面接、GDという就活の3大シーンに焦点を当て、それぞれの場面で効果的にコミュ力を発揮し、評価を高めるための具体的な練習方法を紹介します。
自己紹介・ガクチカを“1分で話す”練習で伝える力を強化
面接で最も多用される「1分で自己紹介(ガクチカ)をお願いします」というお題は、「伝える力」を測る絶好の場です。
この「1分」という時間指定がミソです。
1分は約300文字程度と言われていますが、ダラダラと話せば要領を得ない印象を与え、短すぎれば熱意が足りないと思われかねません。
ここで重要なのは、「1分で“伝える”」のではなく、「1分で“伝わる”」ことです。
そのために、まずは前述した「結論→理由→具体例」の型に沿って、最も伝えたい自分の強みや経験を整理した300文字程度の原稿を作成します。
そして、それをただ暗記するのではなく、ストップウォッチを使い、実際に声に出して「1分」の体感を身体に染み込ませる練習を繰り返してください。
練習する際は、棒読みになることを避け、相手に語りかけるように、重要なキーワード(強みや成果など)を少し強調して話すよう意識しましょう。
この練習は、簡潔に物事をまとめる力と、時間感覚を持って話す力を同時に鍛えることができます。
模擬面接で“間・表情・声のトーン”をフィードバックして鍛える
自己PRやガクチカの原稿が固まっても、それが「伝わる」かどうかは別の問題です。
なぜなら、コミュニケーションは話の内容(言語情報)だけでなく、「間・表情・声のトーン」といった非言語情報(ノンバーバル・コミュニケーション)に大きく左右されるからです。
特に面接のような緊張する場面では、自分では気づかないうちに早口になったり、表情が硬直したり、声が小さくなったりしがちです。
これらを客観的にチェックし、修正するために最も効果的なのが、模擬面接を「録画」することです。
スマートフォンで構いません。
自分の話す姿を録画し、見返してみてください。
「え、自分ってこんな顔で話してるの?」と驚くことも多いはずです。
「うー」「えーと」といった不要な口癖(フィラー)の多さや、視線が泳いでいないか、背筋は伸びているかなどを細かくチェックします。
大学のキャリアセンターや友人に見てもらい、客観的なフィードバックをもらうのも非常に有効です。
グループディスカッションでの発言量と質を両方高める方法
グループディスカッション(GD)は、面接とは異なり、他者との関わりの中でコミュニケーション能力が評価される場です。
ここでは「伝える力」と「聴く力」に加え、「共感・リアクション」の力が試されます。
多くの学生が「発言しなければ」と焦るあまり、人の話を遮って自分の意見ばかり主張したり、逆に圧倒されて一言も話せなかったりします。
GDで評価されるのは、「発言の量」と「発言の質」のバランスです。
質を高めるには、単なる思いつきではなく、議論の目的に沿った論理的な意見(例えば、現状分析、課題特定、解決策の提案など)を述べることが必要です。
一方、量(貢献度)を高めるには、自分が発言するだけでなく、他者の意見を「聴く」姿勢が重要です。
「〇〇さんの意見、いいですね。
具体的にはどういうことですか?」と深掘りしたり、「AさんとBさんの意見をまとめると、こういうことですよね」と議論を整理したりする「ファシリテーション」的な関わり方も、立派な貢献であり、高いコミュ力評価につながります。
コミュニケーション能力を鍛える具体的トレーニング方法
これまでに紹介した基本要素や日常での鍛え方に加え、コミュニケーション能力をより専門的かつ効率的に高めるための具体的なトレーニング方法も存在します。
特に、就活の選考が進むと、より「ロジカルに(論理的に)説明する力」や、面接官とのアイスブレイクで求められる「雑談力」、さらには相手の真意を読み取る「非言語コミュニケーション」の理解など、一歩進んだスキルが求められるようになります。
これらのスキルは、一朝一夕では身につきませんが、正しいフレームワーク(型)を知り、意識的に練習を重ねることで、確実に習得が可能です。
このセクションでは、あなたの「伝え方」と「受け取り方」を劇的に改善する、3つの具体的なトレーニング方法を掘り下げて解説します。
ロジカルに話すためのPREP・DESC・STARフレームワーク
「伝える力」を鍛える上で最強の武器となるのが、思考を整理し、論理的に伝えるための「フレームワーク(型)」です。
すでにお伝えしたPREP法(結論→理由→具体例→結論)は、自己PRや志望動機を簡潔に述べる際に万能です。
これに加えて、就活生がぜひ習得したいのが「DESC(デスク)法」と「STAR(スター)法」です。
DESC法は、相手に何かを提案したり、要求したりする際に使う型で、「Describe(描写する)」「Explain(説明する)」「Suggest(提案する)」「Choose(選択する)」の頭文字です。
例えば、アルバイトのシフト変更をお願いする際などに応用できます。
STAR法は、主にガクチカなど過去の行動経験を説明するのに適しています。
「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の順に話すことで、聞いている側は情景を具体的にイメージできます。
これらのフレームワークは、単なる暗記ではなく、自分のエピソードを実際に当てはめて書き出し、声に出して練習することで初めて「使える」武器になります。
雑談力を鍛える“話題ストック術”と“広げ方のコツ”
面接の冒頭や、GDのアイスブレイクで意外と重要になるのが「雑談力」です。
雑談は、本題に入る前の「場を温める」役割や、相手との心理的な距離を縮める効果があります。
しかし、何を話せばいいか分からず、沈黙が続いて気まずい思いをしたことがある人も多いでしょう。
雑談力を鍛えるコツは二つあります。
一つは「話題ストック術」です。
日頃からニュースアプリや新聞で、当たり障りのない話題(天気、季節の行事、スポーツ、最近流行の食べ物など)を仕入れておくクセをつけましょう。
政治や宗教、個人のプライバシーに関わる話題は避けるのがマナーです。
もう一つのコツは「広げ方」です。
話題を振ったら、相手の反応に「共感」し、「質問」で返すことを意識します。
例えば、「最近、〇〇が流行っているそうですね」と振り、相手が「知ってます」と答えたら、「もう試されましたか?」「どう思われますか?」と相手が話しやすいようにパスを出すのです。
雑談は「オチ」をつける必要はなく、心地よいキャッチボールが続くことが目的なのです。
相手の心理を読む|非言語コミュニケーションの鍛え方
私たちは、言葉(言語情報)だけでコミュニケーションを取っているわけではありません。
むしろ、メラビアンの法則によれば、感情を伝える上では「視覚情報(表情、視線、態度)」や「聴覚情報(声のトーン、速さ)」といった非言語情報(ノンバーバル・コミュニケーション)の方が大きな影響を与えるとも言われています。
面接官が口では「リラックスしてください」と言っていても、腕組みをしていたり、視線を合わせてくれなかったりしたら、学生は緊張しますよね。
この非言語情報を「読み解く」力を鍛えることで、相手の真意や感情をより深く理解できるようになります。
また、同時に「自分が」相手にどのような非言語メッセージを送っているかを意識することも重要です。
例えば、面接で話す内容がいかに素晴らしくても、猫背でボソボソと話していては、自信がないように見えてしまいます。
背筋を伸ばし、相手の目(Web面接ならカメラ)を見て、ハキハキと話す。
こうした「非言語」のコントロールを意識して練習することが、あなたの「伝えたい」という熱意を正しく届けることにつながります。
コミュニケーション能力を鍛えるおすすめ本・アプリ・診断
コミュニケーション能力は日々の実践で鍛えられるものですが、時には専門家の知見や客観的なフィードバックを得ることで、成長が加速することがあります。
特に「自分のコミュ力の何が課題なのか分からない」「どういう練習法が合っているのか知りたい」という人は、体系的に学べる書籍や、手軽に練習できるアプリ、そして自分の現在地を知るための診断ツールを活用するのが近道です。
世の中にはコミュ力に関する情報が溢れていますが、大切なのは「今の自分に必要な情報」を見極めること。
このセクションでは、就活生がゼロから始めても迷わないよう、具体的なツールの選び方から活用法までを、厳選してご紹介します。
初心者に最適なコミュ力向上本の選び方とおすすめ3選
コミュ力に関する本は星の数ほどありますが、初心者がいきなり難解な心理学書やビジネスマナーの本を読んでも、挫折してしまう可能性が高いです。
就活生が最初に手に取るべき本の選び方は、「すぐに実践できる具体的なテクニック」が書かれているか、そして「自分の悩みに合っているか」の2点です。
例えば、「人前で話すのが苦手」ならプレゼンやスピーチの本、「会話が続かない」なら雑談や傾聴の本を選ぶべきです。
ここでは、特に就活生におすすめの3冊(※具体的な書名はあえて挙げず、傾向を示します)を紹介します。
1冊目は、「伝え方」の基本的な型(PREP法など)を分かりやすく解説したベストセラー本。
2冊目は、「聴き方」に焦点を当て、相手に信頼される傾聴の技術を学べる本。
3冊目は、元アナウンサーなどが書いた「声のトーンや表情」といった非言語コミュニケーションの重要性を説く本です。
書店で実際に手に取り、自分が「これならできそう」と感じる、読みやすいものから始めてみましょう。
毎日続けやすいコミュニケーション能力トレーニングアプリ
書籍でインプットした知識をアウトプットし、習慣化するためには、スマートフォンのアプリを活用するのも非常に有効です。
コミュ力トレーニングアプリには様々な種類があります。
例えば、AI(人工知能)を相手に面接の練習ができるアプリは、時間や場所を選ばず、何度でも「1分で自己紹介」などの練習ができます。
AIがあなたの話す速度や声のトーン、表情まで分析し、客観的なフィードバックをくれるものもあります。
また、毎日異なる「お題」が出され、それについて数分間のスピーチを録音・録画し、自分で聞き返したり、他のユーザーと共有してフィードバックをもらえたりするアプリも「伝える力」の向上に役立ちます。
アプリの良い点は、ゲーム感覚で「継続しやすい」ことです。
毎日5分でもいいので、歯磨きのように習慣化することで、人前で話すことへの抵抗感を着実に減らしていくことができます。
あなたの課題を特定する“コミュ力診断ツール”の活用法
「自分のコミュ力が客観的にどのレベルなのか知りたい」「鍛えるべき弱点が分からない」という人には、「コミュ力診断ツール」の活用をおすすめします。
これらは、Web上で簡単な質問に答えていくだけで、あなたのコミュニケーションの傾向(例えば、「聴く力は高いが、伝える力が弱い」「論理的思考は得意だが、共感力が不足しがち」など)を分析してくれるものです。
就活情報サイトや、一部の転職サイトが無料で提供していることが多いです。
診断結果に一喜一憂することが目的ではありません。
大切なのは、診断結果を「自己分析の材料」として使い、「自分はまず、相手の話を遮らずに聞く練習から始めよう」といった具体的な行動目標に落とし込むことです。
自分のクセや弱点を客観的に把握することは、やみくもに努力するよりも遥かに効率的にコミュ力を伸ばすための第一歩となります。
まとめ|コミュニケーション能力は“鍛えれば伸びる”スキル
ここまで、コミュニケーション能力の重要性から、具体的な鍛え方までを解説してきました。
就活を前に「自分はコミュ力がないからダメだ」と諦めかけている人もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。
コミュニケーション能力は、生まれ持った才能ではなく、正しい知識と適切なトレーニングによって“鍛えれば必ず伸びる”後天的なスキルです。
大切なのは、自分の現在地を正しく知り、小さな一歩を踏み出す勇気を持つこと。
この最終セクションでは、皆さんが今日から実践できるコミュ力向上のための心構えと、就活で差をつけるための核心を、改めてお伝えします。
あなたの努力は、就活だけでなく、その後の社会人生活すべてを支える財産になります。
まずは日常の小さな会話から始めるのが成功の近道
コミュ力を鍛えようと意気込み、いきなり高い目標を掲げる必要はありません。
むしろ、「面接で完璧に話そう」と力みすぎることは、逆効果になりかねません。
最も重要で、かつ効果的なのは、日常生活での小さな成功体験を積むことです。
これまで紹介した「挨拶+一言」でもいいですし、コンビニの店員さんに「ありがとうございます」と目を見て伝えることでも構いません。
あるいは、家族や友人の話を、いつもより少し真剣に「聴いて」みることから始めてもいいでしょう。
「あ、今の会話、少し弾んだかも」「相手が笑顔になってくれた」という小さな手応えが、次のステップに進むための自信となります。
就活本番という「試合」で力を発揮するためにも、まずは日々の「練習」である日常会話を大切にすること。
それが、コミュ力向上の最も確実な近道です。
就活では「聴く力・伝える力・共感」の3軸を磨くと差がつく
就活の選考において、他の学生と差がつくポイントはどこでしょうか。
それは、前述した「聴く力」「伝える力」「共感(リアクション)」の3つの基本要素がいかにバランス良く磨かれているか、という点に尽きます。
流暢に「伝える力」だけがあっても、面接官の質問の意図を「聴く力」がなければ、的外れな回答になってしまいます。
「共感」の姿勢がなく、自分の話ばかりしていては、GDでチームを機能させることはできません。
企業が見ているのは、この3軸の総合力です。
特に、多くの学生が「伝える力」の練習に偏りがちな中で、相手の意図を正確に汲み取る「聴く力」や、相手に安心感を与える「共感」の姿勢を意識的に示すことができれば、それだけで「この人は周囲と協調しながら仕事を進められそうだ」という高い評価につながります。
自分の強みと弱みを分析し、この3軸をバランス良く鍛えていきましょう。
継続的な練習でコミュ力は確実に成長する
最後に、コミュニケーション能力は「スキル」であると同時に「習慣」でもあります。
自転車の乗り方と同じで、一度コツを掴んで身体で覚えてしまえば、そう簡単には忘れません。
しかし、そのコツを掴むまでには、転ぶことを恐れずに何度もペダルを漕ぐ「継続的な練習」が不可欠です。
今日この瞬間から、意識を変えることができます。
次の会話から、相手の目を見て話す。
相手の話を最後まで遮らずに聞く。
結論から話すことを試みる。
その小さな「意識」の積み重ねが、1ヶ月後、3ヶ月後には、自分でも驚くほどの大きな「成長」となって返ってきます。
コミュ力は、就活を乗り切るためだけの一時的なテクニックではありません。
あなたの人生を豊かにする一生モノのスキルです。
ぜひ、楽しみながら鍛えていってください。