はじめに
三菱電機は、FAシステムから宇宙開発まで、日本の産業と社会インフラを根幹から支える総合電機メーカーであり、例年多くの就活生が志望する人気企業です。
その技術力の高さと事業領域の広さゆえに、志望動機では「なぜ三菱電機なのか」「入社後に何を成し遂げたいのか」を明確に伝えることが求められます。
本記事では、三菱電機の志望動機を作成するために不可欠な企業研究から、ライバルとなる競合他社との比較、さらにはES通過者の傾向や具体的な例文までを網羅的に解説します。
三菱電機が求める人物像を深く理解し、説得力のある志望動機を構築するための実践的な知識を提供します。
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【三菱電機の志望動機】三菱電機を知ろう
三菱電機の志望動機を作成する上で、最初のステップは徹底した企業研究です。
同社は「総合電機メーカー」と称されますが、その実態は家電などのBtoC製品よりも、ファクトリーオートメーション(FA)機器、昇降機(エレベーター・エスカレーター)、鉄道車両用電機品、人工衛星といったBtoB、すなわち社会インフラや産業の基盤を支える事業に圧倒的な強みを持っています。
この「見えないところで社会を支える」という特性こそが、同社のビジネスモデルの中核です。
志望動機を構築する際は、この事業の公共性や社会貢献性の高さを理解し、「循環型 デジタルエンジニアリング企業」への変革を掲げる現在の経営戦略を踏まえることが、志望動機の土台を強固にします。
三菱電機の事業内容
三菱電機は、非常に多岐にわたる事業領域を持つコングロマリット(複合企業)ですが、その柱は大きく5つのセグメントに分類されます。
就活生が特に理解すべき主力事業は、工場の自動化を実現する「FAシステム事業」、世界トップクラスのシェアを持つ「昇降機事業」、エアコン「霧ヶ峰」や換気扇などを扱う「空調・家電事業」、そして新幹線や在来線のモーターなどを手掛ける「社会インフラ事業」です。
これらに加え、自動車機器や半導体・デバイスなども展開しています。
ビジネスモデルの最大の特徴は、BtoB(企業間取引)ビジネスが中心であり、高い信頼性・安全性が求められるインフラ分野で強固な顧客基盤を築いている点です。
社会や産業の「当たり前」を支える基幹部品やシステムを提供し、長期的な関係性の中で収益を上げる安定性の高い事業構造となっています。
三菱電機の業績
企業の戦略や安定性を把握するために、業績と中期経営計画の確認は不可欠です。
三菱電機は、2024年度(2025年3月期)の連結業績見通しにおいて、売上高5兆5,200億円、営業利益3,900億円と、増収増益を見込んでいます(2024年10月時点修正予想)。
FAシステムや空調事業において一部市場の需要減速が見られるものの、社会インフラ部門やライフ部門(空調・家電など)が堅調に推移し、全体を牽引しています。
現在推進中の中期経営計画(2025年度まで)では、「循環型 デジタルエンジニアリング企業」への変革を掲げ、2025年度に営業利益率8%以上(2024年度見通しは7.1%)という目標を定めています。
過去の品質不正問題の反省を踏まえた経営体質の抜本的な改善と、デジタル技術を活用した事業ポートフォリオの強化が、現在の経営における最重要課題となっています。
三菱電機の企業理念
三菱電機グループは、企業理念として「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します」と掲げています。
これは、同社の根幹にある「技術力」をベースに、単なる製品提供にとどまらず、より良い社会づくりそのものに貢献するという強い意志を示すものです。
志望動機に活かす際は、この「活力とゆとりある社会」という言葉を自分なりに解釈することが鍵となります。
例えば、FAシステムによる生産性の向上(活力)や、快適な空調による生活空間(ゆとり)など、自分が関心を持つ事業分野とこの理念を結びつけることが有効です。
さらに近年は、全社員が自身の仕事の意義を再確認する「マイパーパス」プロジェクトも推進しています。
自身の価値観と、この企業理念のどこが共鳴するのかを具体的に示すことで、単なる憧れではない、深いレベルでの共感をアピールできます。
【三菱電機の志望動機】三菱電機が志望動機で見ていること
三菱電機が新卒採用の志望動機で見ているのは、単なる企業規模やブランドへの憧れではありません。
まず問われるのは、数ある総合電機メーカーの中で「なぜ、三菱電機なのか」を明確に答えられるだけの深い企業理解と熱意です。
これには、FAやインフラといった同社の強みである事業領域への具体的な興味が不可欠です。
その上で、企業理念である「活力とゆとりある社会の実現」に本気で共感し、自らもその一員として貢献したいという強い意志を確認しています。
さらに、過去の経験から裏付けられる「誠実さ」や「責任感」、そして「協働して成果を出せるか」といった、同社で長く活躍するための適性や価値観が合致しているかを厳しく評価しています。
志望動機で特に重視されるポイント①
まず重視されるのは、三菱電機の事業内容、特に社会インフラを支えるという使命への深い理解と貢献意欲です。
ES通過者の多くは、「電力システムで人々の生活を守りたい」「FA技術で日本の製造業を強くしたい」といった、具体的な事業領域と社会貢献性を結びつけた動機を語っています。
総合電機メーカーは事業が幅広いため、「社会に貢献したい」というだけでは抽象的すぎます。
三菱電機が強みを持つ、目立たなくとも社会に不可欠な「縁の下の力持ち」としての役割に魅力を感じているかどうかが問われます。
自身の研究内容や学んできた知識・経験が、その事業フィールドでどのように活かせると考えているのか、技術系であればより専門的に、事務系であってもその事業の将来性や課題感を自分なりに考察し、具体的に「何がしたいか」を述べることが極めて重要です。
志望動機で特に重視されるポイント②
次に、競合他社比較を通じた「なぜ三菱電機でなければならないのか」という理由の明確さです。
総合電機メーカーには日立製作所や東芝など、多くのライバルが存在します。
その中で、例えば「ITソリューションに強みを持つ日立」や「エネルギー分野に集中する東芝」と比べ、三菱電機が持つFAや昇降機、空調といった「機器・コンポーネント」の技術的優位性や、それらを組み合わせた総合力に魅力を感じている、といった具体的な比較軸が必要です。
面接では「なぜ他社ではなく当社なのか」という質問が必ずと言っていいほど投げかけられます。
各社の事業ポートフォリオの違いを正確に理解し、三菱電機の独自の立ち位置や強みに惹かれた理由を論理的に説明できることは、企業研究の深さと志望度の高さを示す何よりの証拠となります。
志望動機で特に重視されるポイント③
最後に、企業理念にも通じる「誠実さ」や「やりとげる責任感」です。
三菱電機は、過去の品質不正問題を深く反省し、現在「経営体質改善」を最重要課題の一つとして取り組んでいます。
こうした背景から、採用においても、製品や仕事に対して誠実に向き合い、高い倫理観を持って最後まで責任を全うできる人材であるかを、これまで以上に重視しています。
学生時代の経験において、困難な課題に直面した際に、ごまかさずに真正面から向き合い、地道な努力を重ねて乗り越えたエピソードなどは、この「誠実さ」と「責任感」をアピールする上で非常に有効です。
「信頼」を第一に行動できる人物かどうか、志望動機全体から伝わる人柄や価値観が厳しく見られています。
【三菱電機の志望動機】三菱電機の求める人物像
三菱電機が新卒採用において求める人物像は、同社が現在進めている「循環型 デジタルエンジニアリング企業」への変革を牽引できる人材です。
これは、安定した既存の強みに安住するのではなく、自ら課題を発見し、強い意志を持って行動を起こせるマインドを意味します。
また、同社は伝統的に「組織の三菱」とも言われるように、個人の力だけでなく、多様なバックグラウンドを持つ仲間と協働し、チームとしてより大きな力を生み出すことを重視しています。
そのため、高い専門性を追求する意欲と同時に、周囲を巻き込み、最後までやりとげる責任感が不可欠です。
こうした変革への意志、協働の精神、そして誠実な責任感を兼ね備えた人材が求められています。
求める人物像①:強い意志を持ち、自ら行動する人
三菱電機は今、大きな変革期を迎えています。
デジタル化の推進や新たな事業ポートフォリオの構築など、前例のない課題に直面する中で、指示待ちの姿勢ではなく、自ら「何をすべきか」を考え、主体的に行動できる人材が不可欠です。
採用サイトでも「強い意志を持ち、自ら行動する人」が第一に掲げられています。
これは、単に積極的であるということ以上に、現状の課題を自分事として捉え、改善策を模索し、失敗を恐れずに実行に移せる力を指します。
学生時代の経験で、従来のやり方に疑問を持ち、新しい提案をして周囲を動かした経験や、高い目標に対して自ら計画を立て、粘り強く実行した経験などは、この「主体性」と「行動力」を示す強力なエピソードとなります。
求める人物像②:周囲と協働し、より大きな力を生み出す人
三菱電機の事業は、FA、昇降機、インフラ、宇宙に至るまで、いずれも一つの部署や一人の天才では完結しない壮大なプロジェクトばかりです。
「組織の三菱」という言葉に象徴されるように、研究開発、設計、製造、営業、保守といった多様な部門の専門家が連携して初めて、顧客に価値を提供できます。
そのため、異なる意見や価値観を持つ仲間を尊重し、円滑なコミュニケーションを取りながら、チームとしての成果を最大化できる「協働力」が極めて重要です。
部活動やサークル、アルバイトなどで、自分の役割を果たしつつ、チーム全体の目標達成のために仲間をサポートし、議論を重ねて一つの成果を導き出した経験は、この「協働の精神」をアピールする上で最適です。
求める人物像③:やりとげる責任感を持つ人
社会インフラや産業基盤を支える三菱電機の製品には、止まることが許されない「高い信頼性」が絶対条件として求められます。
この信頼を担保するのが、現場一人ひとりの「やりとげる責任感」です。
一度引き受けた仕事は、たとえ困難に直面しても、決して途中で投げ出さず、誠実に最後までやり遂げる強い精神力が不可欠です。
これは、近年の品質問題への反省から、より一層強く求められる資質でもあります。
地道な研究活動、長期にわたるアルバローテーションの完遂、あるいは困難な状況下での学業との両立など、困難な状況でも粘り強く継続し、結果を出した経験は、この「責任感」の強さを裏付けるものとなります。
派手な成果である必要はなく、誠実に取り組んだプロセスが評価されます。
求める人物像④:挑戦を続け、変革を牽引する意欲
三菱電機は、その長い歴史の中で培った技術力という強固な基盤を持っていますが、同時にそれに安住せず、常に新しい価値を創造しようと「挑戦を続ける」社風も重視しています。
ES通過者の志望動機にも「挑戦を続ける社風に魅力を感じた」といった言葉が見られます。
これは、デジタル化やカーボンニュートラルといった時代の大きな変化に対し、既存の技術やビジネスモデルをアップデートし、時には破壊してでも、新たなソリューションを生み出そうとする姿勢です。
就活生としては、自身の専門分野や関心領域において、現状に満足せず新しい知識を学び続けた経験や、未知の分野に果敢にチャレンジした経験をアピールすることが、この「挑戦意欲」と「変革への適性」を示すことに繋がります。
【三菱電機の志望動機】三菱電機の志望動機に入れ込むべきポイント3選
三菱電機の志望動機を差別化し、採用担当者の心に響かせるためには、押さえるべき重要なポイントがいくつかあります。
単に「技術力が高いから」というだけでなく、その技術が「社会でどう活かされているか」を深く理解していることを示す必要があります。
具体的には、三菱電機が大切にしている企業理念や、FA・インフラといった得意分野が、自身の価値観や将来やりたいことと、どのようにリンクしているのかを明確に言語化することが求められます。
ここでは、数あるアピールポイントの中でも、特に志望動機の核となり得る3つの重要な要素について解説します。
これらの視点を取り入れることで、志望動機の具体性と説得力が格段に増すはずです。
入れ込むべきポイント①:企業理念「活力とゆとりある社会」への共感
三菱電機の企業理念「たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します」は、志望動機に組み込むべき最も重要な要素の一つです。
ただし、単に「共感しました」と書くだけでは不十分です。
重要なのは、あなた自身が「活力とゆとりある社会」をどう解釈し、それを実現するために三菱電機のどの事業で何をしたいのかを具体的に語ることです。
例えば、「私にとっての『活力ある社会』とは、日本の製造業がFAシステムによって生産性を高め、世界で競争し続けることです。
その一翼を担いたい」あるいは「『ゆとりある社会』とは、快適な空調や昇降機によって、誰もが安全・安心に暮らせる都市インフラが整備されていることです」といった形です。
自分の原体験や問題意識と理念を結びつけることで、志望動機の軸が明確になります。
入れ込むべきポイント②:FA・インフラなど強みを持つ事業への理解
三菱電機の強みは、家電のようなBtoCよりも、FA(ファクトリーオートメーション)、昇降機、電力システム、鉄道車両用電機品といった、社会や産業の基盤を支えるBtoB事業にあります。
志望動機では、これらの「縁の下の力持ち」として高い信頼性を誇る事業への深い理解と興味を示すことが極めて有効です。
例えば、理系学生であれば自身の研究内容が、FAの制御技術やパワー半導体の開発にどう活かせるかを具体的に述べることができます。
事務系学生であっても、「日本の製造業の競争力をFAで支えたい」「世界中の都市インフラ整備に昇降機ビジネスを通じて貢献したい」など、同社の強みを正確に認識した上で、そこで働きたいという熱意を伝えることが、他の就活生との差別化に繋がります。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
志望動機の説得力を格段に高めるのが、客観的な競合他社比較です。
三菱電機が日立製作所やパナソニック、東芝といった他の総合電機メーカーと比べて何が優れているのか、その独自性を明確に理解している姿勢を示すことは、「深く企業研究をしてきた」という熱意の証となります。
例えば、日立がITソリューション(Lumada)に大きく舵を切っているのに対し、三菱電機はFAや昇降機、空調といった「強い製品(コンポーネント)」を核に、それらをデジタル技術で繋ぎこむ戦略をとっています。
この「現場の機器・ハードウェアへの強さ」こそが同社の優位性であると述べ、「だからこそ、モノづくりに根差した社会貢献がしたい自分は御社を志望する」といった形で、なぜ三菱電機でなければならないのかを論理的に説明できます。
この「なぜ」が明確であるほど、志望動機は強固になります。
【三菱電機の志望動機】競合他社との比較しよう
三菱電機の志望動機を作成する上で、競合他社との比較は避けて通れない、むしろ最も重要なプロセスの一つです。
なぜなら、採用担当者が最も知りたいのは「なぜ日立やパナソニックではなく、三菱電機を選んだのか」という明確な理由だからです。
この問いに答えるためには、各社の強みや戦略、事業ポートフォリオの違いを客観的に把握する必要があります。
例えば、日立製作所のITソリューションへの集中、パナソニックのBtoBソリューション(コネクト)への特化、東芝のエネルギー・インフラへの集中など、各社が異なる戦略をとる中で、三菱電機がどのような立ち位置にいるのかを理解しなければなりません。
ここでは、主要な競合との違いを具体的に整理し、三菱電機の独自性や魅力を浮き彫りにしていきます。
競合A:日立製作所との違い
日立製作所は、三菱電機と同じ総合電機メーカーの枠組みですが、現在の戦略は大きく異なります。
日立の最大の特徴は、ITソリューション基盤「Lumada(ルマーダ)」を核とした「社会イノベーション事業」に全社的に注力している点です。
鉄道やエネルギーといったインフラシステムに、自社の強力なIT・デジタル技術を組み合わせて、コンサルティングから運用までを一気通貫で提供するビジネスモデルへと変貌を遂げています。
一方、三菱電機もデジタル化を推進していますが、強みの源泉はあくまでもFA機器、昇降機、空調といった「ハードウェア(製品)」にあります。
これらの高信頼な機器群をベースにデジタル技術で付加価値を高めるアプローチです。
IT・デジタルコンサルタントとして社会変革を主導したいなら日立、強力な製品技術を核に社会基盤を支えたいなら三菱電機、というキャリアの違いがあります。
競合B:パナソニック ホールディングスとの違い
パナソニック ホールディングスは、グループ再編により事業領域が大きく整理されました。
特にBtoB領域では「パナソニック コネクト」が競合となりますが、その領域はサプライチェーン・マネジメント(旧ブルーヨンダー)や現場のプロセス改善(センシング技術など)に特化しています。
三菱電機と比較すると、パナソニックは「現場のプロセス(コト)」の改善に焦点を当てているのに対し、三菱電機はFA機器やロボットといった「製造ラインそのもの(モノ)」に圧倒的な強みを持っています。
また、パナソニックのBtoC(家電)事業は「くらし事業本部」として独立していますが、三菱電機の空調・家電事業は、そこで培ったモーターやインバーター技術がFAや自動車機器などBtoB事業にも活かされる、技術シナジーの源泉となっている点が異なります。
競合C:東芝との違い
東芝(東芝キヤリア、東芝インフラシステムズなど)は、経営再建の過程で事業の選択と集中を進め、現在はエネルギー、社会インフラ、デバイス(半導体)といった分野に注力しています。
特に発電・送配電といったエネルギーシステムや、上下水道などの公共インフラにおいて、三菱電機と事業領域が重なります。
両社とも高い技術力で社会インフラを支えている点は共通していますが、三菱電機の方がポートフォリオは広範です。
三菱電機は、東芝が手放した昇降機や家電事業、さらにはFAシステムや自動車機器、宇宙関連といった東芝が現在注力していない領域でもトップクラスのシェアを持っています。
インフラ全般に幅広く関わりたいのか、特定のエネルギー・インフラ分野を深掘りしたいのか、という点で比較軸が立つでしょう。
競合D:富士通との違い
富士通は、かつては総合電機メーカーの一角でしたが、現在は事業ポートフォリオを大きく転換し、ITサービス(SIer)およびDX(デジタル・トランスフォーメーション)支援にほぼ特化しています。
もはや「メーカー」というよりは「ITソリューション企業」であり、三菱電機との直接的な競合領域は限定的です。
三菱電機がFA機器やパワー半導体といった「モノづくり」を事業の核に据えているのに対し、富士通はシステムインテグレーションやコンサルティングといった「サービス」が中心です。
就活生が比較する際は、ハードウェアの技術革新に携わりたいのか(三菱電機)、ソフトウェアやサービスで企業の課題解決をしたいのか(富士通)という、根本的なキャリア志向の違いで判断することになります。
【三菱電機の志望動機】三菱電機のES通過者の志望動機の共通点
三菱電機のESを通過する志望動機には、いくつかの明確な共通点が見られます。
最も重要なのは、「なぜ、三菱電機なのか」という問いに対する答えが、自身の具体的な経験や価値観に基づいて、極めて論理的に記述されている点です。
彼らは、三菱電機が強みを持つFAシステム、社会インフラ、昇降機といった具体的な事業領域を深く理解しています。
その上で、他メガバンクとの違いを明確に認識し、みずほの持つ「銀信証連携の強み」や「顧客と長期的に向き合う姿勢」といった点に、自身の原体験を結びつけて熱意を伝えています。
また、学生時代の経験(ガクチカ)において、主体性やリーダーシップを発揮し、困難な課題を乗り越えたエピソードを盛り込み、みずほが求める「自ら考え、行動・挑戦する人材」であることを示唆しています。
抽象的な憧れではなく、入社後にどう貢献したいかという未来志向のビジョンが具体的に描かれていることも、通過者に共通する特徴です。
- (執筆者注:一部、前回の「みずほ」の内容が混入していたため、三菱電機の内容に修正して執筆します。)
- (修正後)
【三菱電機の志望動機】三菱電機のES通過者の志望動機の共通点
三菱電機のESを通過する志望動機には、いくつかの明確な共通点が見られます。
最も重要なのは、「なぜ、三菱電機なのか」という問いに対する答えが、自身の具体的な経験や価値観に基づいて、極めて論理的に記述されている点です。
彼らは、三菱電機が強みを持つFAシステム、社会インフラ、昇降機といった具体的な事業領域を深く理解しています。
その上で、「社会の当たり前を支えたい」「高い技術力で日本のモノづくりに貢献したい」といった明確な動機を、自身の研究内容や学生時代の経験と結びつけて説得力を持たせています。
また、「挑戦を続ける社風」や「組織で協働する姿勢」への共感を、具体的なエピソードを交えて示すことで、三菱電機が求める人物像との一致をアピールしています。
抽象的な「社会貢献」ではなく、三菱電機のどのフィールドで、どのように活躍したいかというビジョンが具体的に描かれていることが、通過者に共通する特徴です。
【三菱電機の志望動機】三菱電機の志望動機を作成する際の4つの注意点
三菱電機の志望動機は、多くの就活生が悩むポイントであり、同時にライバルと差がつく部分でもあります。
熱意を持って作成したつもりでも、いくつかの「陥りがちなミス」によって、企業研究の浅さや志望度の低さを見抜かれてしまうケースは少なくありません。
特に総合電機メーカーは事業内容が似ているため、他の企業でも通用するような内容になってしまうと、評価は著しく下がります。
また、企業の安定性やブランドイメージといった側面のみを強調することも避けるべきです。
ここでは、三菱電機の志望動機を作成する上で、絶対に避けるべき4つの注意点を具体的に解説し、質の高い志望動機を完成させるための視点を提供します。
注意点①:抽象的な「社会貢献」だけで終わる
三菱電機の事業は社会インフラを支えるものが多く、「社会貢献」を志望動機に据えること自体は間違いではありません。
しかし、「幅広い事業で社会に貢献したい」といった抽象的な表現だけでは、熱意は伝わりません。
採用担当者は、「どの事業」で「どのように」社会貢献したいのか、その具体的なビジョンを知りたいのです。
「FAシステムで製造業の生産性を高め、日本の国際競争力に貢献したい」「電力システム事業で、エネルギーの安定供給という『当たり前』を守りたい」など、同社の強みである具体的な事業領域にまで踏み込み、自身のやりたいことを明確化する必要があります。
なぜその事業に関心を持ったのか、原体験を交えて語れるとさらに説得力が増します。
注意点②:他の総合電機メーカーでも通用する内容になっている
これは、総合電機メーカーの志望動機で最も多い失敗例です。
「高い技術力でモノづくりを支えたい」「グローバルに活躍したい」といった志望動機は、日立製作所やパナソニック、東芝のESにもそのままコピー&ペーストできてしまいます。
採用担当者は、「なぜ、日立や東芝ではなく、三菱電機なのか」を最も知りたいのです。
これを回避するためには、徹底した競合比較が不可欠です。
「ITソリューション中心の日立」や「現場プロセスのパナコネクト」と比べ、三菱電機が持つ「FA機器や昇降機などのハードウェアの強み」に惹かれている、といった具体的な違いを明記し、そこに自身のやりたいことを結びつける必要があります。
注意点③:「若手からの裁量」や「スピード感」を強調しすぎる
ベンチャー企業や一部のIT企業とは異なり、三菱電機は「組織の三菱」とも称されるように、チームワークや緻密なプロセス、そして何よりも「製品の信頼性」を重んじる企業文化があります。
もちろん挑戦は奨励されますが、「若いうちから大きな裁量を持ってスピード感重視で働きたい」といった点を過度に強調すると、同社の社風とミスマッチを起こす可能性を懸念される場合があります。
それよりも、地道な努力を厭わない誠実さ、チームで協働して大きな成果を出すことへのやりがい、高い品質や信頼性を追求する責任感といった側面をアピールする方が、三菱電機が求める人物像と合致しやすい傾向があります。
注意点④:過去の経験の羅列で「貢献」の視点が抜ける
学生時代の経験(ガクチカ)は、自身の強みや人柄を伝える上で重要な要素です。
しかし、志望動機において「研究で〇〇を達成しました」「サークルでリーダーを務めました」といった過去の経験を羅列するだけで終わってしまうと、それは単なる自己PRになってしまいます。
志望動機で求められるのは、その経験を通じて培った強みを、入社後に「どう活かして」「どう貢献」するのかという未来への視点です。
例えば、「研究で培った電力制御の知識を活かし、御社の電力システム事業部で、再生可能エネルギーの安定供給に貢献したい」というように、過去(経験)と未来(貢献)を明確に結びつけることが不可欠です。
経験の自慢話で終わらせず、常に入社後の活躍を採用担当者にイメージさせることを意識してください。
【三菱電機の志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
三菱電機の内定獲得を目指す上で、インターンシップへの参加は極めて有効な戦略となります。
単なる就業体験にとどまらず、本選考において多大なメリットをもたらすからです。
一部のインターン参加者には、通常よりも早い時期に始まる「早期選考」への案内や、本選考の一次面接が免除されるといった優遇措置が期待できます。
内定直結ではない場合でも、インターンでの評価は確実に記録されており、人事担当者に顔と名前を覚えてもらえるため、本選考で有利に働くことは間違いありません。
また、最大のメリットは、社員との交流や実務体験を通じて、職場の雰囲気や事業内容を肌で感じられることです。
この「生きた情報」は、ESや面接で「なぜ三菱電機なのか」を語る上で、他の就活生にはない圧倒的な具体性と熱意の裏付けとなります。
【三菱電機の志望動機】三菱電機の志望動機例文
ここまで解説してきた企業研究やポイントを踏まえ、具体的な志望動機の例文を紹介します。
ただし、これらの例文はあくまで「型」を示すものであり、丸暗記してそのまま使うことは避けてください。
重要なのは、例文の「論理構造」を参考に、あなた自身の経験や価値観、言葉に置き換えて再構築することです。
ここでは、アピールしたい軸(「学生時代の経験」「価値観への共感」「保有スキル」「将来のビジョン」など)に応じた、異なるアプローチの例文を複数提示します。
それぞれの例文が、三菱電機のどのような側面にフォーカスし、自己PRと結びつけているかに注目してください。
あなただけのオリジナルの志望動機を作成するためのヒントとして活用していただければ幸いです。
例文①(経験ベース:研究内容と事業の結びつけ)
私が貴社を志望する理由は、大学で培った電力システム工学の知識を活かし、社会インフラの根幹である電力の安定供給に貢献したいと強く願っているからです。
私は研究室で、再生可能エネルギー導入拡大に伴う電力系統の安定化手法について研究しています。
研究を進める中で、理論の構築だけでなく、それが社会でどう実装され人々の生活を支えているのかを学びたいという思いが強くなりました。
数ある企業の中でも、貴社は発電・送配電システムから、それらを制御する系統監視システムまで、電力インフラの全領域で高い技術力と実績を誇っています。
特に、日立製作所がITソリューションに注力する中、貴社はパワーエレクトロニクス技術という「モノづくり」の核を強みとし続けている点に魅力を感じました。
私の研究で培った系統解析のスキルは、貴社の電力システム事業において、より高度な安定化ソリューションの開発に必ず活かせると確信しています。
貴社でこそ、電力という社会の「当たり前」を技術で支え、「活力とゆとりある社会」の実現に貢献できると考えています。
例文②(価値観ベース:「縁の下の力持ち」への共感)
私は、人々の生活や社会の「当たり前」を、目立たない場所から高い品質で支える仕事に強いやりがいを感じており、貴社の事業内容に深く共感し志望いたしました。
私は学生時代、大学の学園祭実行委員会で、全体の電源管理とインフラ設営を担当しました。
華やかなステージ企画とは異なり、私たちの仕事は来場者の目には触れません。
しかし、一つの配線ミスが大規模な停電や事故に繋がるため、私たちは半年前から綿密な計画と点検を重ね、当日も裏方として走り回りました。
無事に学園祭が終了し、仲間から「インフラのおかげで成功した」と感謝された時、「当たり前」を守り抜くことの重要性と責任を痛感しました。
貴社は、昇降機、鉄道、電力、FAシステムなど、まさに社会の「当たり前」を支える事業で世界トップクラスのシェアを持っています。
その「見えない強さ」と「高い信頼性」へのこだわりに、私が大切にしてきた価値観との強いつながりを感じました。
入社後は、貴社の社会インフラ事業の一員として、誠実さと責任感を持ち、人々の安全・安心な生活基盤を守ることに貢献したいです。
例文③(スキルベース:FAと情報工学のスキル)
私は、大学で学んだ情報工学の知識と、製造業への強い関心から、貴社のFAシステム事業を強く志望いたします。
私の実家は町工場を営んでおり、幼い頃から職人の技術を見て育ちましたが、同時に人手不足や生産性の課題も目の当たりにしてきました。
大学では情報工学を専攻し、特にデータ分析やAI技術が製造現場をどう変革できるかに関心を持ち、研究しています。
貴社は、シーケンサやサーボモータといったFA機器単体の強さだけでなく、それらをデジタル技術で連携させ、工場全体の最適化を図る「e-F@ctory」というソリューションを展開しています。
これは、ハードウェア(機器)とソフトウェア(情報)の両方に強みを持つ貴社だからこそ実現できる戦略であり、日立や富士通といったIT中心の企業にはない、モノづくりに根差したDXの姿だと感じました。
私のデータ分析スキルを活かし、貴社のFAシステムと顧客の現場データを繋ぎ、日本の製造業の課題解決と「活力ある社会」の実現に貢献したいです。
例文④(将来ビジョンベース:グローバルなインフラ展開)
私は、日本の高い技術力を通じて、新興国の発展に不可欠な社会インフラ整備に貢献したいという夢があり、世界中で都市開発を支える貴社の昇降機事業に魅力を感じ志望しました。
学生時代に東南アジアへ留学した際、急速な経済成長の一方で、都市部の交通渋滞やインフラの未整備が人々の生活の質を妨げている現状を目の当たりにしました。
この経験から、人々の生活動線を支える都市インフラの重要性を痛感しました。
貴社は、世界トップクラスの技術力を持つ昇降機事業を軸に、アジアや中東など成長著しい市場で、現地のニーズに合わせた製品供給と高品質な保守サービスを展開しています。
単に製品を売るだけでなく、「安全・安心・快適」という価値を長期的に提供し続ける姿勢に深く共感しました。
私は語学力と、異文化の中で培った課題発見力を活かし、貴社のグローバルスタッフとして、各国の都市開発プロジェクトに携わり、世界中の人々の「ゆとりある社会」の実現に貢献したいと考えています。
例文⑤(別角度のアプローチ:企業理念と品質への姿勢)
私が貴社を志望する最大の理由は、「たゆまぬ技術革新」と「社会への責任」という二つの側面を追求し続ける姿勢に、技術者として強く惹かれたためです。
私は大学のロボットコンテストサークルで、機体の設計を担当しました。
大会で勝つためには革新的な機構が必要ですが、同時に競技中に絶対に故障しない「信頼性」が求められます。
私は、新しい挑戦と地道な信頼性向上の両立に苦心しながらも、チームで議論を重ね、最後までやり遂げた経験に大きな誇りを持っています。
貴社は、FAや宇宙開発など最先端の技術革新を続ける一方で、近年、品質問題を真摯に受け止め、全社を挙げて経営体質の改善とガバナンス強化に取り組まれています。
この「失敗から学び、より強固な信頼を築こうとする誠実な姿勢」に、私がサークル活動で学んだ「技術者の責任」と通じるものを感じました。
貴社でこそ、挑戦と誠実さを両立させ、人々の「活力とゆとりある社会」に貢献できると確信しています。
【三菱電機の志望動機】よくある質問
三菱電機の選考を目指す就活生から寄せられる質問は、多岐にわたります。
企業の将来性や社風といった基本的な疑問から、選考プロセスにおける具体的な不安まで、その内容は様々です。
特に、総合電機メーカーならではの職種の幅広さや、過去の報道に関するデリケートな問題など、直接は聞きにくいと感じている方も多いかもしれません。
ここでは、そうした就活生が抱きがちな典型的な疑問を取り上げ、就活アドバイザーとしての視点から、実情を踏まえた的確な回答を提示します。
選考に臨む上での不安を解消し、自信を持ってチャレンジするための一助としてください。
質問①:理系ですが、専門外の分野でも応募できますか?
応募可能です。
三菱電機は、技術系採用において「オープンコース」「職種確約コース」「事業確約コース」など多様な入り口を設けています。
自身の専門性と直結する職種や事業を選ぶ「確約コース」がある一方で、「オープンコース」では、入社後の研修や配属面談を通じて、自身の適性や希望と会社のニーズをマッチングさせて配属先が決定します。
もちろん、学生時代の専門性は大きな武器になりますが、それ以上に、新しい分野であっても貪欲に学び、挑戦する意欲や、技術者としての基礎的な素養(論理的思考力や課題解決能力)が重視されます。
専門外の分野を志望する場合は、「なぜその分野に興味を持ったのか」という動機と、自身の専門性をその分野でどう応用できると考えているのかを、論理的に説明できるように準備しておくことが重要です。
質問②:「オープンコース」と「職種/事業確約コース」は併願できますか?
いいえ、原則としてこれらのコースを併願することはできません。
エントリーシート提出時に、いずれか一つのコースを選択する必要があります。
そのため、自身のキャリアプランや適性を深く見つめ直すことが求められます。
「オープンコース」は、幅広い可能性の中で自身のキャリアを模索したい人に向いています。
一方、「職種確約コース」や「事業確約コース」は、「FAの制御設計がしたい」「昇降機の開発に携わりたい」といった明確な希望があり、その分野の専門性を早期から高めたいと考えている人に最適です。
どちらが優れているということではなく、自身の志向に合ったコースを選択することが、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
質問③:過去の品質不正問題について、面接で触れるべきですか?
この問題は非常にデリケートですが、避けて通る必要はありません。
むしろ、この問題を認識した上で、それでもなぜ三菱電機を志望するのかを語ることは、企業理解の深さと志望度の高さを示すことに繋がります。
ただし、批判的な視点や表面的な同情は禁物です。
触れる場合は、「御社が現在、経営体質改善やガバナンス強化に全社を挙げて取り組んでいる事実を理解している」という前置きの上で、「だからこそ、自分も『誠実さ』や『高い倫理観』を強みとして、御社の信頼回復と未来のモノづくりに貢献したい」といった、前向きで建設的な動機に結びつけることが重要です。
この問題への言及は、あなたが「誠実さ」や「責任感」という価値観をいかに重視しているかをアピールする機会にもなり得ます。
質問④:面接で特に見られているポイントは何ですか?
三菱電機の面接で一貫して見られているのは、「なぜ、三菱電機なのか」という志望動機の「深さ」と「本気度」です。
これは、ESに書かれた内容を、自分の言葉で、熱意を持って語れるかどうかに集約されます。
特に、日立製作所やパナソニックといった他の総合電機メーカーとの違いを明確に理解し、FAやインフラといった三菱電機の強みに、自身の経験をどう結びつけているかが重要視されます。
また、求める人物像である「主体性」「協働力」「責任感」が、学生時代の具体的なエピソード(ガクチカ)を通じて一貫して示されているかも評価の大きなポイントです。
論理的に話す力はもちろんですが、同時に「誠実さ」や「真面目さ」といった人柄が、対話全体を通じて見られています。
まとめ
三菱電機の志望動機を作成することは、自己分析と企業研究の集大成です。
本記事で解説した通り、三菱電機の事業特性、中期経営計画、そしてFAやインフラといった「社会を支える」ビジネスモデルの真髄を理解することが不可欠です。
重要なのは、抽象的な理念への共感にとどまらず、競合他社との明確な違いを認識し、「なぜ、三菱電機でなければならないのか」を自分の経験と言葉で語り切ることです。
あなたの持つ主体性や誠実さが、三菱電機の求める人物像とどう合致するのかを具体的に示し、説得力のある志望動機を完成させてください。
万全の準備が、あなたの熱意を伝える最強の武器となります。