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はじめに
JPモルガンは、世界最高峰の金融サービスを提供する米国最大の金融機関であり、就活生にとって最も難易度の高い企業の一つです。
その選考を突破するためには、生半可な企業研究や志望動機では通用しません。
この記事では、JPモルガンの志望動機を作成するために不可欠な、グローバル金融市場における同社の立ち位置、各部門の業務内容、そして採用担当者が見ている評価軸を徹底的に解説します。
論理的かつ情熱的な志望動機を構築するための実践的なアドバイスを提供します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機を書き上げた直後は、自分では完璧だと思っていても、客観的に見ると論理の飛躍や伝わりにくい表現が残っているものです。
友人や先輩に見てもらうことも有効ですが、AIチェッカーを活用することで、より迅速かつ多角的な視点から最終確認を行えます。
AIチェッカーを使うべき理由は、誤字脱字の検出だけでなく、「なぜ他の投資銀行ではなくJPモルガンなのか」という比較の視点が明確になっているか、そして「アピールしたい自分の強み」と「JPモルガンが求める人物像」が具体的に結びついているかといった論理構成の妥当性を検証できる点にあります。
特にJPモルガンのようなトップファームの選考では、わずかな論理的欠陥も許されません。
AIを壁打ち相手として活用し、一分の隙もない志望動機に磨き上げてください。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンを知ろう
JPモルガンの志望動機を作成する上で、まず同社がどのような存在かを正確に把握する必要があります。
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーは、200年以上の歴史を持つ、米国最大にして世界有数の総合金融グループです。
その事業は、個人向け銀行業務から、企業のM&Aを助言する投資銀行業務、機関投資家向けのトレーディング業務、富裕層向けの資産管理まで、金融のあらゆる領域を網羅しています。
日本においても、JPモルガン証券株式会社やJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社などが、政府系機関や大手企業、金融機関を主要クライアントとし、グローバルな金融ソリューションを提供しています。
「世界最強」とも評されるその強固な顧客基盤と財務力、そして「一流のビジネスを一流の方法で」実践する企業文化を理解することが、志望動機作成の土台となります。
JPモルガンの事業内容
JPモルガンは、大きく4つの主要な事業部門で構成されていますが、日本の新卒採用において就活生が主に関連するのは「コーポレート&インベストメント・バンク(CIB)」と「アセット&ウェルス・マネジメント(AWM)」の二つです。
CIBの中核をなすのが「投資銀行部門」と「マーケッツ部門」です。
投資銀行部門は、企業のM&Aアドバイザリーや、株式・債券発行による資金調達(キャピタル・マーケット)を支援します。
一方、マーケッツ部門は、機関投資家を相手に株式や債券、為替などの金融商品を売買(トレーディング)し、流動性を提供します。
アセット・マネジメント部門は、年金基金や個人投資家から預かった資産を運用するプロフェッショナル集団です。
これらの部門が、グローバルなネットワークと高度な専門知識を駆使し、クライアントの複雑な財務戦略や運用ニーズに応えることが、JPモルガンのビジネスモデルの根幹です。
各部門が有機的に連携し、総合的な金融ソリューションを提供できる点が最大の強みと言えます。
JPモルガンの業績
JPモルガンは、グローバル金融機関として世界トップクラスの業績を誇ります。
リーマンショックのような金融危機や、近年の不安定な市場環境下においても、その強固な財務基盤と多角化された収益源(投資銀行業務、トレーディング、商業銀行業務、資産運用など)により、競合他社と比較しても安定的に高い収益を上げ続けています。
これは、同社が持つ「バランスシートの強さ」を裏付けるものであり、大規模なM&Aディールや資金調達案件を遂行できる原動力となっています。
中期的な戦略としては、従来の金融サービスにおける優位性を維持しつつ、サステナビリティ(ESG投資)や金融テクノロジー(FinTech)への戦略的投資を加速させています。
志望動機を作成する際は、単に現在の業績が良いというだけでなく、こうした未来への投資姿勢や変化への対応力を理解し、自身がその戦略にどう貢献できるかを具体的に示す視点が重要です。
JPモルガンの企業理念
JPモルガンの企業文化を理解する上で欠かせないのが、「How We Do Business(私たちのビジネスの進め方)」という行動規範です。
その中心には、「First-class business in a first-class way(一流のビジネスを一流の方法で)」という考え方があります。
これは、単に高い収益を上げることだけを目的とせず、常にクライアントの利益を最優先し、最高水準の誠実さ(インテグリティ)と倫理観を持って業務を遂行するという強い意志の表れです。
また、卓越した成果の追求、多様性の尊重、そして説明責任を果たすことも重視されています。
志望動機では、これらの価値観、特に「クライアント・ファースト」や「インテグリティ」に深く共感していることを示す必要があります。
自身の経験の中で、高い倫理観を持ってチームや顧客のために行動したエピソードなどを引き合いに出し、JPモルガンの理念と自身の行動原理が一致していることを論理的に説明することが求められます。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンが志望動機で見ていること
JPモルガンの採用選考、特に投資銀行部門やマーケッツ部門では、志望動機を通じて候補者の根本的な「地頭の良さ」と「人間性」を見極めようとします。
外資系投資銀行の業務は、極めて知的レベルが高く、かつ精神的・肉体的なプレッシャーも強いため、それらに耐えうるポテンシャルが厳しく評価されます。
具体的には、複雑な事象を瞬時に理解し、論理的に分析・説明できる能力が土台として必要です。
その上で、なぜ金融業界なのか、なぜ数ある投資銀行の中でJPモルガンなのかという問いに対し、自分自身の過去の経験に基づいた、一貫性のあるストーリーを構築できているかを見ています。
表面的な憧れではなく、同社のカルチャーへの本質的な理解と、入社後に貢献できるという強い意志が伝わるかが鍵となります。
圧倒的な論理的思考能力(ロジカルシンキング)
JPモルガンが志望動機や面接全体を通して一貫して見ているのは、候補者の「圧倒的な論理的思考能力」です。
金融市場の動向分析、M&Aの戦略立案、複雑な金融商品の設計など、全ての業務は論理の積み重ねで成り立っています。
そのため、志望動機においても、「なぜ」を最低でも5回は繰り返して深掘りし、「なぜ金融か」「なぜ投資銀行か」「なぜJPモルガンか」という問いに、一分の隙もない論理で答えられる必要があります。
例えば、「グローバルに働きたいから」という理由だけでは、「それは商社でもメーカーでも良いのでは?」と即座に看破されます。
金融の機能、投資銀行の役割、そしてJPモルガンの強みを正確に理解した上で、自身の経験や能力が、JPモルガンで成果を出すために最も合理的であるという結論を、面接官が納得する形で提示しなくてはなりません。
知的好奇心と学習意欲(インテレクチュアル・キュリオシティ)
JPモルガンが求めるのは、現時点での金融知識の量よりも、むしろ未知の領域に対する「知的好奇心」と、それを猛烈なスピードで学び続ける「学習意欲」です。
金融の世界は、法律、会計、経済情勢、テクノロジーなど、常に新しい情報や規制が生まれ、変化し続けています。
昨日の常識が今日通用しなくなることも珍しくありません。
そのため、どんなに困難で複雑な課題に直面しても、それを「知的な挑戦」として楽しみ、貪欲に知識を吸収し続けられる姿勢が不可欠です。
志望動機や自己PRにおいて、大学での研究活動や、全くの未経験から何かを習得した経験などを通じて、自分が「知的好奇心」を原動力に高い壁を乗り越えてきた人間であることを具体的に証明することが、極めて重要な評価ポイントとなります。
ストレス耐性とコミットメント(やり抜く力)
外資系投資銀行の業務、特に投資銀行部門は、極めて長時間かつ高密度な労働環境で知られています。
クライアントの重要な経営判断に関わるため、ディールの最中は昼夜を問わず最高品質のアウトプットを求められます。
JPモルガンは、志望動機や面接での受け答えを通じて、候補者がこの強烈なプレッシャー下でもパフォーマンスを発揮し続けられる「ストレス耐性」と、一度引き受けた仕事は何があっても最後までやり遂げるという「コミットメント(やり抜く力)」を持っているかを見極めています。
体育会での過酷な練習経験、難易度の高い研究テーマへの長期間の取り組み、あるいはリーダーとしてチームを率いて困難な目標を達成した経験など、自らが逆境や高負荷な環境を乗り越えてきた具体的なエピソードを、説得力を持って語ることが求められます。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンの求める人物像
JPモルガンが求める人物像は、単に学歴が高く、金融知識が豊富な学生ではありません。
それは最低限の前提条件に過ぎません。
同社が真に求めているのは、企業理念である「一流のビジネスを一流の方法で」実践できる、高い倫理観とプロフェッショナリズムを兼ね備えた人材です。
また、外資系投資銀行というと個人主義のイメージが強いかもしれませんが、JPモルガンは特に「チームワーク」を重視する文化を持っています。
複雑なディールは決して一人では完結できず、多様なバックグラウンドを持つメンバーとの協働が不可欠だからです。
個の強さと、チームとしての強さの両方を追求できる人物こそが、JPモルガンで活躍できる理想像です。
オーナーシップ(当事者意識)を持って行動できる人
JPモルガンでは、年次や役職に関わらず、一人ひとりが「オーナーシップ(当事者意識)」を持って仕事に取り組むことが強く求められます。
これは、与えられたタスクをこなすだけでなく、その仕事の目的や、クライアントにとっての価値は何かを常に自ら考え、「自分がこのディールの責任者だ」という気概で行動することを意味します。
たとえアナリスト(新入社員)であっても、資料作成の一部を担う際には、その資料が最終的にCEOへの提案に使われることを意識し、細部にまで責任を持つ姿勢が不可欠です。
学生時代の経験においても、指示待ちではなく、自ら課題を発見し、主体的に周囲を巻き込んで解決に導いた経験を持つ人材は、JPモルガンの文化にフィットすると高く評価されるでしょう。
チームプレイヤーであること(協調性)
外資系投資銀行は「Up or Out(昇進か退職か)」という言葉に象徴されるように、個人間の競争が激しい世界だと思われがちです。
しかし、JPモルガンは競合他社と比較しても、協調性を重んじ、チームとして成果を出すことを重視する企業文化があります。
M&Aや資金調達といった大規模なプロジェクトは、投資銀行部門、マーケッツ部門、リサーチ部門など、多くの専門家が連携しなければ成功しません。
そのため、自分の専門性や意見を明確に主張しつつも、他者の意見に耳を傾け、チーム全体の目標達成のために謙虚に貢献できる「チームプレイヤー」としての資質が厳しく見られます。
個人としての優秀さだけでなく、チームの中でどのような役割を果たしてきたかをアピールすることが重要です。
誠実さ(インテグリティ)を持つ人
JPモルガンが扱うのは、顧客の莫大な資産や、企業の将来を左右する極めて重要な情報です。
ひとたび信用を失えば、ビジネスそのものが成り立たなくなります。
だからこそ、JPモルガンは企業理念の核として「インテグリティ(誠実さ)」を掲げ、全社員に最高水準の倫理観を求めています。
選考においても、候補者がルールや約束事を厳守できるか、困難な状況でも正直で倫理的な判断ができるか、といった人間性の根本的な部分を見ています。
例えば、学生時代の活動で、たとえ自分が不利になる可能性があっても、公正さや正しさを貫いた経験があれば、それはJPモルガンが求める「誠実さ」を体現するエピソードとして高く評価されます。
目先の利益よりも長期的な信頼関係を重視できる人物が求められています。
変化への適応力と柔軟性
金融市場は、世界経済の動向、地政学リスク、規制の変更、テクノロジーの進化など、予測困難な要因によって常に激しく変動しています。
JPモルガンで働くことは、この絶え間ない変化の最前線に身を置くことを意味します。
昨日まで最適とされていた戦略が、今日には陳腐化するかもしれません。
そのため、確立されたやり方に固執せず、新しい情報や環境の変化を敏感に察知し、自らの思考や行動を柔軟に変えていける「適応力」が不可欠です。
選考では、想定外の事態や困難な課題に直面した際に、パニックにならず冷静に状況を分析し、次善の策を講じて乗り越えた経験などを通じて、自身の柔軟性やレジリエンス(回復力)を示すことが求められます。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンの志望動機に入れ込むべきポイント3選
JPモルガンの志望動機を作成する際、多くの就活生が「グローバルな環境」「高い専門性」といったキーワードを使いがちです。
しかし、それらは他の外資系投資銀行にも共通して言えることであり、JPモルガンでなければならない理由としては不十分です。
採用担当者に「この学生は本気だ」と思わせるためには、より深く、鋭い視点からのアプローチが不可欠です。
ここでは、志望動機に説得力を持たせるために、必ず盛り込むべき3つの重要な論点を解説します。
なぜ「金融業界」で「投資銀行」なのか
まず、志望動機の土台として、「なぜ他の業界(例:コンサル、商社、メーカー)ではなく、金融業界、特に投資銀行業務なのか」を明確に言語化する必要があります。
ここが曖昧だと、その後の全てが説得力を失います。
例えば、「経済の血液」と称される金融の機能に着目し、「企業の成長戦略を財務面からダイナミックに支援することに魅力を感じる」といった説明が考えられます。
あるいは、「M&Aや資金調達という、企業の経営戦略において最も重要な意思決定の瞬間に立ち会いたい」という具体的な動機も有効です。
重要なのは、あなた自身の原体験や問題意識と、投資銀行の機能がどのように結びついているのかを、一貫したストーリーとして説明することです。
なぜ「JPモルガン」でなければならないのか
「投資銀行」を志望する理由が固まったら、次に「なぜ他の投資銀行(ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど)ではなく、JPモルガンを選ぶのか」という最重要の問いに答えなければなりません。
ここで活きてくるのが企業研究です。
例えば、JPモルガンが持つ世界最大級のバランスシート(財務体力)の強さに注目し、「単なるアドバイザーに留まらず、時には自社の信用力も活用してクライアントの大型案件を最後まで支援しきれる点に魅力を感じる」と説明できます。
あるいは、商業銀行部門との連携による強固な顧客基盤や、アセット・マネジメント部門も含めた総合金融グループとしてのシナジーに着目し、「金融のあらゆるソリューションをワンストップで提供できるプラットフォームでこそ、クライアントへの本質的な貢献ができる」と論じることも可能です。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
「なぜJPモルガンか」という問いに、最も強力な説得力を持たせる手段が、競合他社との比較です。
この比較を志望動機に盛り込むことで、採用担当者に対し、あなたが業界全体を深く理解した上で、明確な意志を持ってJPモルガンを選んでいるという「志望度の本気度」をアピールできます。
例えば、「A社(GSなど)はM&Aアドバイザリーに伝統的な強みがあるが、私はJPモルガンが持つ商業銀行由来の安定した顧客基盤と、投資銀行部門が連携する『CIBモデル』にこそ将来性を感じる」といった形です。
重要なのは、他社を不必要に貶めることではなく、客観的な事実(各社の強みや戦略)を比較した結果として、JPモルガンが自身のキャリアビジョンや価値観に最も合致しているという論理を展開することです。
【JPモルガンの志望動機】競合他社との比較しよう
JPモルガンの志望動機の説得力を決定づけるのは、競合他社との明確な比較です。
外資系投資銀行(外銀)と一口に言っても、各社には歴史的背景、強みとする事業領域、そして企業文化に大きな違いがあります。
「どの外銀でも良い」という態度は、選考において最も嫌われます。
ここでは、JPモルガンを志望する上で比較対象となる主要な競合他社を取り上げ、それぞれの違いを明確にするための比較軸を解説します。
ゴールドマン・サックス(GS)との違い
ゴールドマン・サックス(GS)は、JPモルガン(JPM)と並び、世界最高峰の投資銀行として常に比較される存在です。
GSは伝統的にM&Aアドバイザリー業務やトレーディング業務で圧倒的なブランド力と実績を誇り、少数精鋭でアグレッシブなカルチャーを持つとされます。
一方、JPMは、商業銀行(チェース銀行)との合併を経て誕生した経緯から、投資銀行業務だけでなく、商業銀行業務や資産運用、決済業務など、極めて広範な事業領域を持つ世界最大の「総合金融グループ」です。
この「バランスシートの強さ」と「多角化された収益基盤」がJPMの最大の特徴であり、GSと比較した際の安定性や、クライアントに提供できるソリューションの幅広さに繋がっています。
モルガン・スタンレー(MS)との違い
モルガン・スタンレー(MS)も、JPM、GSと共に「バルジ・ブラケット(世界トップティアの投資銀行群)」の一角を占めます。
歴史的に、MSはJPM(旧JPモルガン)から分離して誕生した投資銀行です。
MSは近年、「ウェルス・マネジメント(富裕層向け資産管理)」部門をM&Aによって大幅に強化しており、これを収益の安定的な柱に据えています。
JPMもアセット&ウェルス・マネジメント部門を持ちますが、MSの同部門への注力度は際立っています。
一方、JPMの強みは、前述の通り商業銀行機能との連携(CIBモデル)による強固な法人顧客基盤です。
投資銀行部門の強さに加え、MSはウェルス・マネジメント、JPMは商業銀行連携、といった戦略的な重点領域の違いを理解することが重要です。
BofA証券(バンク・オブ・アメリカ)との違い
BofA証券は、バンク・オブ・アメリカ(BofA)グループの証券部門であり、旧メリルリンチを吸収合併して誕生しました。
JPMと同様に、巨大な商業銀行部門をバックに持つ「ユニバーサル・バンク(総合金融機関)」モデルであることが最大の特徴です。
JPMとBofAは、米国における商業銀行業務(リテールバンキング)でも激しく競合しています。
投資銀行業務においても、両社はこの強固な顧客基盤と巨大なバランスシートを武器に、大規模なディールで存在感を発揮します。
JPMを志望する際は、BofAという極めて類似したビジネスモデルを持つ競合の存在を認識した上で、JPMが持つグローバルなネットワークの広さや、特定のプロダクト(例:債券引受)における優位性など、より細かな違いを意識する必要があります。
日系証券会社(野村證券・大和証券)との違い
野村證券や大和証券などの日系トップ証券会社との比較も不可欠です。
日系証券の最大の強みは、日本国内における圧倒的なリテール(個人向け)顧客基盤と、それに基づく国内案件のカバレッジ(網羅性)です。
一方、JPMをはじめとする外資系投資銀行の強みは、グローバルなネットワークを駆使したクロスボーダーM&A(国境を越えた合併・買収)や、最先端の金融工学を用いたプロダクト開発力にあります。
また、企業文化も大きく異なり、外資系は日系に比べて、より成果主義的であり、若いうちから大きな責任を任されるスピード感が早い傾向にあります。
国内の強固な基盤か、グローバルなダイナミズムか、という比較軸は明確に持つべきです。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンのES通過者の志望動機の共通点
JPモルガンのES選考を通過する志望動機には、いくつかの明確な共通点が存在します。
最も重要なのは、「なぜ金融か」「なぜ投資銀行か」「なぜJPモルガンか」という問いに対する答えが、極めて論理的かつ一貫していることです。
通過者の多くは、自身の具体的な経験(例:ゼミでの研究、体育会でのリーダー経験、長期インターンでの課題解決)をフックにし、そこから導き出された自身の強みや価値観が、JPモルガンが求める人物像(論理的思考力、チームワーク、誠実さなど)と完全に一致していることを証明しています。
特に、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった強力な競合他社との違いを明確に理解した上で、JPモルガンの「総合金融グループとしての強み」や「チーム志向のカルチャー」に惹かれたという、解像度の高い志望理由を展開できているケースが目立ちます。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンの志望動機を作成する際の4つの注意点
JPモルガンの志望動機を作成する際、熱意が空回りしてしまったり、企業研究が浅いために的外れなアピールになったりするケースが後を絶ちません。
世界最高峰の金融機関であるからこそ、選考では一切の妥協が許されません。
ここでは、就活生が陥りがちな典型的な失敗例を4つの注意点として解説します。
これらを回避し、志望動機の質を高めましょう。
抽象的な「憧れ」の表明
「グローバルな環境で働きたい」「高い専門性を身につけたい」「若いうちから成長したい」といった志望動機は、JPモルガンの選考において最も評価されない典型例です。
これらの理由は、JPモルガンでなくとも、他の外資系企業やコンサルティングファームでも実現可能だからです。
採用担当者は、「なぜその環境がJPモルガンでなければならないのか」を知りたがっています。
抽象的な憧れを語るのではなく、JPモルガンの具体的な事業内容や企業文化に踏み込み、自身の経験と結びつけて、「貴社の〇〇という環境で、私の△△という強みを活かしたい」という、具体的かつ論理的な説明が不可欠です。
「なぜJPMか」が不明確
JPモルガンを志望する学生の多くは、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった他の投資銀行も併願しています。
採用担当者はその前提で志望動機を見ています。
したがって、「投資銀行業務に興味がある」という理由だけでは、「GSでもMSでも良いのでは?」という疑問しか残りません。
志望動機では、他社との明確な比較が必須です。
例えば、JPMが持つ「商業銀行部門との連携による安定した顧客基盤」や「世界最大のバランスシート」といった、JPMならではの強みに触れ、なぜその強みが自身のやりたいこと(例:大規模な資金調達支援)に直結するのかを、具体的に説明する必要があります。
自己PRと志望動機が乖離している
志望動機と自己PRの内容に一貫性がないと、候補者の人物像がぼやけ、信頼性が低下します。
例えば、自己PRで「粘り強く一つのことをやり遂げる力」をアピールしているにもかかわらず、志望動機が「変化の激しいマーケッツ業務で短期的な成果を出したい」という内容だと、両者の間に矛盾が生じます。
あるいは、自己PRで「チームの潤滑油としての協調性」を強調しているのに、志望動機では「個人の実力で評価されたい」と述べると、一貫性がありません。
自己PRで示した自身の強みが、志望動機で語る「JPMで成し遂げたいこと」を実現するための原動力として、論理的に繋がっているかを確認してください。
激務への覚悟が感じられない
外資系投資銀行の業務が、精神的にも肉体的にも極めてハードであることは周知の事実です。
採用担当者は、候補者がそのプレッシャーを正しく理解し、それでもなお挑戦したいという本気の覚悟を持っているかを見ています。
「成長したい」という言葉は聞こえが良いですが、それが「楽をして成長したい」という意味に受け取られてはなりません。
むしろ、「困難な環境に身を置き、膨大なインプットとアウトプットを繰り返すことでしか得られない、本質的な成長を求めている」という、タフな環境へのコミットメントを示す必要があります。
学生時代の過酷な経験を乗り越えたエピソードなどを通じて、自身のストレス耐性の高さを暗に示すことも有効です。
【JPモルガンの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
JPモルガンをはじめとする外資系投資銀行の内定獲得を目指す上で、サマー・インターンシップ(ジョブ)への参加は、「必須条件」と言っても過言ではないほど極めて重要です。
多くの外資系投資銀行では、インターン参加者の中から優秀な学生を選抜し、早期に内々定を出す「ジョブ経由採用」が本選考のメインルートとなっているためです。
インターンに参加する最大のメリットは、早期選考の機会を得られることだけではありません。
数日間にわたり、社員と共に実際の業務に近い課題(例:M&Aの提案書作成)に取り組むことで、業務内容や社風への理解が圧倒的に深まります。
また、現場の最前線で働く社員からのフィードバックは、自身の強みや弱みを明確にし、その後の選考対策や志望動機の解像度を飛躍的に高める上で、何物にも代えがたい貴重な経験となります。
【JPモルガンの志望動機】JPモルガンの志望動機例文
JPモルガンの志望動機は、自身の経験と、同社でなければならない理由を、極めて論理的に結びつける必要があります。
ここでは、投資銀行部門(IBD)、マーケッツ部門、リサーチ部門などを想定し、アピールする軸(経験、価値観、スキル)を変えた5つの例文を紹介します。
これらの構成を参考に、あなた自身の言葉で、説得力のある志望動機を構築してください。
例文①:ゼミでのM&A研究(経験ベース・IBD志望)
私が貴社を志望する理由は、ゼミでの企業価値評価の研究を通じ、M&Aが企業の将来を左右する重要な経営戦略であると痛感し、その最前線でクライアントの成長に貢献したいと強く願っているからです。
特に貴社を志望するのは、世界最強の総合金融グループとして、アドバイザリー業務に留まらない実行力に魅力を感じるためです。
貴社の強固なバランスシートは、クライアントが大規模な買収に踏み切る際の資金調達(ブリッジローンなど)まで一気通貫で支援することを可能にします。
これは、単なる助言に留まらず、ディールを最後まで完遂させる「実行力」を重視する私自身の信念と一致します。
ゼミで培った財務分析能力と、チームでの議論をリードしてきた経験を活かし、貴社のチームの一員としてクライアントの成功に貢献したいです。
例文②:体育会でのリーダー経験(価値観ベース・IBD志望)
私は、体育会〇〇部で副主将を務めた経験から、個人の力では達成不可能な高い目標に対し、チーム一丸となって挑み、勝利に貢献することに最大のやりがいを感じてきました。
貴社の投資銀行業務は、高度な専門知識を持つ個人の集団でありながら、大規模なディールを成功させるためには部門を超えた「チームワーク」を最重要視する文化があると伺っています。
これは、個々の強みを活かしつつ、常にチーム全体の勝利を最優先してきた私の価値観と深く共鳴します。
また、貴社が「一流のビジネスを一流の方法で」実践するという高い倫理観(インテグリティ)を掲げている点も、部活動で常にフェアプレーを信条としてきた私にとって、強く惹かれる部分です。
私の強みである「目標達成への執着心」と「協調性」を活かし、貴社のチームの一員として貢献したいです。
例文③:データ分析スキル(スキルベース・マーケッツ志望)
私は、大学で培った統計学の知見とデータ分析スキルを活かし、変化の激しい金融市場の最前線でキャリアを築きたいと考え、貴社のマーケッツ部門を志望します。
私はゼミで、時系列データを用いた市場予測モデルの研究に取り組んでおり、膨大な情報から本質的な価値を見出し、論理的な結論を導き出すプロセスに強い関心を持ってきました。
貴社は、グローバルなネットワークと最先端のテクノロジーを駆使し、世界中の機関投資家に対して最適なトレーディング・ソリューションを提供しています。
私の強みである高度な定量的分析能力は、貴社のトレーダーやセールスが、より精度の高い意思決定を行う上で必ず貢献できると確信しています。
常に知的好奇心を持ち、猛烈なスピードで変化する市場を学び続ける貴社の環境で、自身の専門性を高めたいです。
例文④:経済動向への関心(将来ビジョンベース・リサーチ志望)
私が貴社を志望するのは、自身の強みである分析力と知的好奇心を活かし、中立的かつ深い洞察をもって、金融市場の参加者の意思決定を支えるエコノミストとして活躍したいからです。
大学でマクロ経済学を学ぶ中で、一つの金融政策や地政学リスクが、世界経済全体に連鎖的に影響を与える様に強い関心を持ちました。
貴社のリサーチ部門は、グローバルに展開するエコノミストやアナリストが「総智・総力」を結集し、業界で最も信頼されるレポートを発信し続けています。
特定のポジションに偏らず、客観的な分析を貫く貴社の誠実な姿勢に強く共感しています。
ゼミで培った経済モデルの分析能力を基盤に、貴社の一員として、クライアントの長期的な資産形成に貢献する質の高いリサーチを提供したいです。
例文⑤:長期インターンでの課題解決(別角度・全部門共通)
私は、ベンチャー企業での長期インターンシップにおいて、自ら課題を発見し、主体的に周囲を巻き込んで業務改善を成し遂げた経験があります。
この経験から、年次に関わらず「オーナーシップ」を持って仕事に取り組むことの重要性を学びました。
貴社は、若手であっても責任ある仕事を任せ、自ら考えて行動することを奨励する企業文化があると伺っています。
また、貴社がゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった競合と比較しても、商業銀行部門との連携による安定した収益基盤を持ち、より長期的かつ多角的な視点でクライアントと向き合えるプラットフォームである点に強く惹かれています。
インターンで培った課題解決能力と主体性を活かし、貴社のチームの一員として、クライアントの本質的な課題解決に貢献したいです。
【JPモルガンの志望動機】よくある質問
JPモルガンをはじめとする外資系投資銀行の選考は、情報が限られていることもあり、多くの就活生が疑問や不安を抱えています。
ここでは、特に多く寄せられる典型的な質問を取り上げ、就活アドバイザーの視点から的確に回答します。
正しい知識を得て、自信を持って選考に臨んでください。
英語力はどれくらい必要ですか?
部門や業務内容によって求められるレベルは異なりますが、高い英語力(ビジネスレベル)があった方が有利であることは間違いありません。
特に、マーケッツ部門やリサーチ部門、また投資銀行部門でもクロスボーダー案件に関わる場合、海外オフィスのチームやクライアントとのコミュニケーション(メール、電話会議、資料作成)は日常的に英語で行われます。
ただし、選考段階で完璧な英語力を求めているわけではありません。
それ以上に、論理的思考力やポテンシャル、入社後に猛勉強して習得する意欲が重視されます。
現時点で自信がなくても、学習意欲を強くアピールすることが重要です。
経済学部・金融専攻でないと不利ですか?
全く不利ではありません。
JPモルガンは、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用しています。
実際に、経済学部や商学部だけでなく、法学部、工学部、理学部、文学部、さらには体育会系の学生も多く入社し、活躍しています。
金融の専門知識は、入社後の徹底した研修プログラムで集中的に学ぶことができるため、現時点での知識量は問いません。
むしろ、専攻分野(例:工学部での論理的思考、法学部での緻密な読解力)で培った独自の強みや、知的好奇心の高さをアピールする方が効果的です。
インターン(ジョブ)に参加しないと内定は不可能ですか?
「不可能」ではありませんが、内定への道が非常に厳しくなることは事実です。
前述の通り、JPモルガンを含む多くの外資系投資銀行では、サマー・インターン経由の採用が主流です。
インターンに参加できなかった場合、秋以降に実施される「本選考(秋冬選考)」に応募することになりますが、採用枠はインターン経由よりも大幅に少なくなるのが一般的です。
もしインターン選考に落ちてしまった場合でも、その経験を徹底的に分析し、面接での反省点を活かして本選考に再チャレンジする強い意志が必要です。
「激務」と聞きますが、実態はどうですか?
投資銀行部門(IBD)を中心に、業務量が極めて多く、労働時間が長くなる時期があることは事実です。
特に、M&Aのディールが佳境に入った際や、大型の資金調達案件(IPOなど)の準備中は、深夜や週末に及ぶ作業が発生することも珍しくありません。
これは、クライアントの経営の根幹に関わる重要な仕事を、短期間で最高品質のアウトプットを求められるためです。
ただし、常に激務というわけではなく、プロジェクトの波があります。
JPモルガンも働き方改革を進めており、テクノロジーの活用による効率化や、休暇取得の奨励も行っていますが、生半可な覚悟では務まらない環境であることは理解しておくべきです。
まとめ
JPモルガンの内定を獲得することは、新卒就活における最難関の一つです。
その選考を突破するためには、同社が「一流のビジネスを一流の方法で」実践する、世界最高峰の総合金融グループであることを深く理解する必要があります。
本記事で解説した企業研究、競合比較、そして志望動機作成のポイントを徹底的に実践してください。
「なぜGSやMSではなく、JPモルガンなのか」という問いに、あなた自身の経験に基づいた論理と情熱で答え、知的な挑戦への覚悟を示すことが、内定への唯一の道です。