はじめに
企業の選考に臨む際に、志望動機をどのように書けば良いか迷っている方はいらっしゃいませんか。
採用担当者に評価してもらいやすい志望動機を書くのは、決して簡単なことではありません。
しかし文章を書くのが苦手な方もコツをしっかりつかめば、徐々に良い志望動機を作れるようになります。
特に大切なのは、採用担当者がチェックしたい要素をしっかり満たした文章を作ることです。
今回は、新卒採用向けの志望動機で盛り込むべき6つの要素を紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
【新卒向けの志望動機の考え方】新卒は志望動機が最も重要
中途採用で合否を決めるポイントになるのは、これまでの実績や経験・資格などです。
しかし新卒採用の場合、企業は社会人経験のない大学生や高校生の中から内定者を選ばなければいけません。
そこで企業は、その学生がどれだけ入社後に活躍できそうかを予測して「ポテンシャル採用」を実施します。
ポテンシャル採用で大事なチェックポイントになるのが、「志望度の高さ」「入社にかける熱意」です。
そのため就活生は、提出書類の記入欄の中で、特に志望動機欄を重視して対策をする必要があると言えます。
【新卒向けの志望動機の考え方】企業は志望動機のどこを評価している?
採用担当者は、学生の志望動機を読む際、いったいどのようなポイントを評価しているのでしょうか。
志望動機を考える際、必ず盛り込まなければいけないことは、「企業を志望した理由・きっかけ」です。
しかし、志望動機欄には、志望理由や志望したきっかけのほかにいろいろなことを書かなければなりません。
これから志望動機を考える学生は、企業側の視点を考えて文章を考えると良いでしょう。
以下の項目で、企業が志望動機欄で特に重視してチェックするポイントを紹介します。
志望動機の作成に困っている方は、ぜひ参考になさってください。
「なぜ」を重視している
企業側は、企業の「何に」魅力を感じたかよりも、「なぜ」魅力を感じたかを確認したいと考えています。
入社後のモチベーションに大きく影響するのが、「なぜそこで働きたいと思ったか」だからです。
企業の給与・仕事内容など魅力的に感じたポイントがメインの理由だと、入社後にイメージが違ったときに、早期退職の理由になってしまうこともあります。
逆に「◯◯という仕事がしたい」「仕事を通して◯◯を実現したい」といった理由では、もし厳しい壁に直面しても仕事を続ける動機が失われません。
「なぜ」を示すには、志望動機で述べるメインの志望理由を、「企業が◯◯だから」という企業を主語にした文章にするのではなく、「私は◯◯だと思ったから」と自分を主語にすると良いでしょう。
企業の多くが着目する「なぜ」を、十分に吟味して文章に盛り込んでいきましょう。
やる気を見ている
多くの企業は、志望動機の中で「やる気」を重視しています。
具体的には、「どのようなことであれば努力できるのか」「困難なときもモチベーションを保てるのか」「入社後に何を実現したいのか」といったポイントです。
このポイントをうまく説明するには、過去のエピソードや経験を交えて文章に説得力を持たせる必要があります。
「私は学生時代に◯◯という経験をしたので、入社後もこの気持ちを忘れず努力したい」「私の経験を踏まえ、1人でも多くの方が◯◯できるよう社会貢献したい」といった文章です。
このときに大事になってくるのは自己分析で、自分の過去の経験をしっかり深掘りし、どのエピソードを書けばアピールになるかを考えなければいけません。
文章を書き出す前に、自己分析に時間をかけましょう。
【新卒向けの志望動機の考え方】志望動機に盛り込むべき6要素
続いて、志望動機欄に盛り込むべき6つの要素を紹介します。
以下の項目で紹介する6つの要素は、いずれも「なぜその企業を志望したか」や、「入社にかける熱意・やる気」をアピールするのに大切なポイントです。
ぜひ意識して、以下の要素を盛り込むようにしましょう。
その業界・職種を選んだ理由
まずは、その業界・職種を選んだ理由です。
たとえば、理系の学生が専門分野の研究職に就こうと考えている場合、「自分のこれまでの経験を活かしたい」「今までの知識を活かして研究に貢献したい」など、比較的容易に理由を説明できるでしょう。
しかし、大学で学ぶ分野と就職先の仕事内容が合っていないというケースも少なくありません。
そのような場合、なぜその業界・職種を選んだかしっかり説明できないと、自分のやる気をアピールできないでしょう。
業界・職種を選んだ理由は面接でも聞かれる可能性が高く、本番で質問されたときにどう答えるか考える必要があります。
業界研究をしっかりと行い、その業界でどんな人材が求められるか、どんなスキルが大切かを理解しておきましょう。
その企業を選んだ理由
業界・職種を選んだ理由を説明するだけでは、なぜその企業を志望したか・第一志望に決めたかをアピールできません。
次は、その企業を選んだ理由に踏み込んでいきましょう。
業界・職種を選んだ理由については、他社に当てはまることでも構いません。
しかし、なぜその企業を選んだかについては、過去の経験・エピソードからオリジナルのものを考える必要があります。
また、多くの就活生は、業界最大手ではないところを受験することになるでしょう。
「なぜ待遇・報酬が良い業界最大手ではなくうちを選んだのか」と聞かれたときに、納得のいく回答を出せることが大切です。
業界研究・企業研究を並行して進めていき、ライバル企業との違いや、その企業ならではの個性を理解するようにしてください。
就活の軸にマッチしているということ
就活の軸と志望動機がマッチしていると、先述した「その企業を選んだ理由」につなげることができます。
選考活動の後半で重視されるのは、企業と学生がマッチするかどうかです。
自分がその企業にマッチする人材であるとアピールできれば、より志望理由に説得力を与えられ、内定を得られる可能性が高まります。
就活の軸とは、「ものづくりに関わることができる」「仕事を通して自分の◯◯というスキルを成長させられる」など、自身が企業選びで最も大切にしていることです。
志望動機を作る前に就活の軸をしっかり決めておくと、どの企業に出す志望動機でもその軸を中心に文章を考えられます。
また、就活の軸がしっかりと決まっていれば、業界選びや企業選びをしやすくなり、応募企業を絞る作業もしやすくなります。
入社後に実現したいこと
企業側は、「入社後の価値を創出してくれる」「利益に貢献してくれる可能性が高い」学生を採用します。
そのため、志望動機の最後は入社後に実現させたいことを盛り込むと良いでしょう。
たとえば、「◯◯のスキルを活かし、多くの顧客に魅力的な提案ができる営業マンになって活躍したい」といった文章です。
このような文章を書くためには、説明会やOB・OG訪問などで、「その企業の先輩がどのような仕事をしているか」「どのような仕事が評価されているか」を学んでおく必要があります。
現役社員の方がどのように活躍しているのか、要点を整理しながら調べましょう。
面接時も、入社後にどんな活躍をしたいか聞かれることはあります。
そのときにしっかり答えられるよう、事前に準備しておきましょう。
将来的に実現したいこと
入社後に実現したいことと同じ理由で、「将来実現したいこと」を志望動機に盛り込むのもおすすめです。
具体的には、「◯◯の部署でマーケティングの基礎を学び、将来はXXの役職で活躍したい」といった文章が考えられます。
このような文章を盛り込むと、企業に「入社してからのビジョンをしっかり考えられている」「この企業に入社して活躍したいという意気込みがある」といったプラスの評価を得ることにつながります。
明確な目標があることは、入社後にモチベーションを高く持って仕事ができる要因にもなるため、面接官に好印象を与えられる可能性が高いです。
その企業で実現できるキャリアプランについて、自分なりにまとめておきましょう。
ホームページやパンフレットを読むだけでなく、説明会やOB・OG訪問で実際に働いている方の話を聞くことが大切です。
具体的なエピソード
立派な志望動機を述べられたとしても、相手に納得してもらえなければ意味がありません。
特に「◯◯の分野で働きたい」「XXに興味がある」ということを、これまで会ったことのない面接官に伝えるのは難しい作業と言えるでしょう。
説得力に自信がない方は、志望動機が本物であると示せるよう、具体的なエピソードを盛り込むのがおすすめです。
自分の動機が大学生活や日常の経験からきているものであると述べることで、説得力が増します。
ただし、履歴書やエントリーシートの志望動機欄に書ける文字数は、それほど多くありません。
エピソードが文章の大部分を占めてしまうと、自分が言いたい要点がぼやけてしまうおそれがありますので、短い文章でまとめられるエピソードを選ぶようにしましょう。
【新卒向けの志望動機の考え方】PREP法がおすすめ
志望動機を書く際は、「PREP法」という書き方を活用することをおすすめします。
PREP法とは、Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)という流れで書く手法で、最初と最後に結論を持ってくる点が大きな特徴です。
たとえば、「私が貴社を志望したのは~~だからです」と書き始めます。
これにより、文章が論理的であるというイメージを読み手に与えやすくなり、自分の主張したい要点を一目で相手に理解してもらえるようになります。
PREP法は、就職関係の書類全般に使えるテクニックなので、ぜひマスターしておきましょう。
根拠となるエピソードを記載
PREP法では、結論を最初に述べた後、その根拠となるエピソードを記載することになります。
これは、最初に述べた結論に説得力を持たせることが大きな目的であり、誰でもわかりやすいものにしなければいけません。
また、PREP法はPoint(要点)を最初と最後に述べる手法です。
エピソードだけで文章スペースを使ってしまっては、最初と最後の結論を述べられず、結果として何を言いたいかわからなくなってしまいます。
誰が読んでもわかりやすい簡潔なエピソードを書くためには、「具体的な数字(部活の成績など)を出す」「エピソードから得られた成果・経験をメインに書く」などの工夫をすると効果的です。
なお、エピソードを書き上げたときは、キャリアセンターや就活エージェントなどに添削を依頼すると、具体的な改善点がわかるためおすすめです。
入社への意気込みを記載
PREP法では、文章の最後にもう一度最初に述べた結論を書くことになります。
しかし、単に最初の文章を繰り返せば良いというわけではありません。
最初の結論を、入社への意気込みがよく伝わる形で言い換える必要があります。
そのためには、「入社後にどのように貢献していきたいか」を書くと効果的です。
たとえば、「私が貴社を志望したのは◯◯の良さをより多くの方に知ってもらいたいから」と書いた場合、最後の結論を「入社できたら私の強みである◯◯を活かし、魅力的なプレゼンテーションを展開して一件でも多くの契約を取れるようになりたい」などと結ぶことができます。
このように文章の最後で入社後のことを書くようにして、自分の熱意をアピールしましょう。
【新卒向けの志望動機の考え方】志望動機例文3選
次に、新卒の方が企業に提出する志望動機の例文を3パターン紹介します。
IT業界・コンサルティング業界・不動産業界の例文になっていますが、基本的な文章構成は別の業界でも同じです。
「PREP法を意識し結論ファーストで文章を構成すること」「具体的なエピソードをわかりやすく盛り込むこと」「最後に入社後の意気込みを示すこと」などを意識しましょう。
自分で書いた文章が、相手から見て読みやすいかどうか判断するのは難しいものです。
文章を書いた後は友人やキャリアアドバイザーの方に読んでもらい、わかりにくいところがないか確認してみると良いでしょう。
IT業界
大学入学を機に一人暮らしをして家族と離れてから、私は自宅での過ごし方が大きく変わりました。
スマートフォンがあるおかげで困ったときにすぐに何か調べられたり、アニメや漫画などの娯楽を楽しんだりできたことが、1人でいる時間を充実させられた理由だと思っています。
私も新しいITサービスを開発する仕事に携わり、より多くの方に利便性やエンターテイメントを提供したいと考え、貴社を志望しました。
そのために、2年生になってからスクールに入学し、プログラミングの勉強を続けています。
入社後は大学時代から学んできたプログラミングスキルを活かし、丁寧な仕事で貴社に貢献したいと考えています。
コンサルティング業界
これまでずっとこの地方で育ってきた私としては、子どもの頃に近所にあった地元の企業がなくなっていくことに寂しさを覚えます。
時代の変化により、力のない企業がなくなっていくのはある程度仕方ないことでも、実際には優れた魅力があるのに事業を終えてしまう企業があるのは残念で仕方ありません。
貴社は、地域密着の中小企業支援で実績が多く、私の「地元の企業を支えたい」という就活の軸とマッチしていると思いました。
もし内定をいただけたら、◯◯部で鍛えた体力を活かして毎日目の前にある仕事に取り組み、クライアントの信頼を得られるよう努めていきたいと考えています。
不動産業界
不動産営業は、金額の大きな取引になることが多いと考えています。
人の一生を左右するマイホームや、利益率の高い投資用物件の取引なら、数百万~数千万円ものといった利益も生み出せます。
私は大学時代◯◯部に所属しており、未経験からキャプテンになるまで努力を積んできました。
常に高い目標を設定することは、自分ががんばるための大きなモチベーションで、貴社の掲げる「日々成長」という理念に強く共感を覚えます。
貴社に入社した際には、大学時代に◯◯部で毎日練習に励んできた気持ちを忘れず、自分のスキルを磨いていく所存です。
将来は注文住宅の営業を担当し、お客様が喜んでくれるような提案をして貴社の売上アップにつなげたいと考えています。
【新卒向けの志望動機の考え方】志望動機は自分で考えた方が良い
志望動機を作る際に、テンプレートを参考にすることはできますが、最終的には自分でオリジナルのものを考えるようにしてください。
そのまま真似たものではほかの学生と被ってしまうことが多く、良い印象を与えられない可能性があります。
特に応募者が殺到する大企業だと、採用担当者は何百枚以上もの書類に目を通さなければいけません。
そのような中、パッと見て興味を惹かれない学生の志望動機は深く読まれず、書類審査で落とされてしまうので、オリジナルの志望動機を作るようにしてください。
【新卒向けの志望動機の考え方】就活エージェントを活用するのもおすすめ
志望動機のことで迷ったときは、優良企業の紹介やES添削、面接対策など、内定獲得までを徹底的にサポートしてくれる就活エージェントを活用してはいかがでしょうか。
特におすすめの就活エージェントサイトはこちらなので、気になる方はぜひアクセスしてみてください。
まとめ
新卒のポテンシャル採用では、やる気や志望度をアピールできる志望動機が非常に重要です。
面接でも、志望動機について深掘りの質問をされる可能性は非常に高いと言えるでしょう。
業界研究と自己分析に時間をかけ、企業ごとにオリジナルの文章を書けるようにしてください。
何度か文章を書いているうちに、短くわかりやすい文章を書くためのコツも学べます。
そして志望動機を書いた後は、キャリアアドバイザーなど信頼できる方に文章を添削してもらい、内容をブラッシュアップしましょう。