はじめに
スタートアップ企業は、まだ設立されて間もないところも多く、実際に勤めるとなるとリスクが高いイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
ここでは、なぜリスクが高いのか、働くメリットにはどんなものがあるのか、解説します。
スタートアップ企業が検討の範囲内の場合はぜひ参考にしてみてください。
スタートアップとは?
スタートアップとは、明確な定義は定められていませんが、まだ世の中にないサービスや製品を取り扱う新規事業を行う企業のことです。
設立後2年から3年と若い企業が多く、急成長を遂げる可能性を秘めています。
事業を軌道に乗せる途中ということもあり、企業規模も小さく、従業員数は数百人以下であることがほとんどで、社員が数名しかいないところも珍しくありません。
ただ、実際に手掛けている事業は、既成概念を打ち破るような斬新さがあり、新しい価値を生み出すことで、社会に貢献しています。
また、長期にわたって安定した成長を続けるよりは、短期的で爆発的な成長を目指しており、事業の成功後は会社を売却して次の事業を始める経営者もいるでしょう。
資金調達も、金融機関からの融資もありますが、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資で賄っていることが多いです。
経営陣と社員の間に壁がなく、自由な雰囲気の職場が多いのも、スタートアップの魅力の一つと言えます。
スタートアップで働くことはリスクがある?
スタートアップで、まだどの企業も手掛けたことがない業務を行うのは、とても刺激的でやりがいを感じられることでしょう。
手掛けている事業がヒットすれば、会社が大きく成長していく可能性を秘めており、その場に立ち会えるのはスタートアップで働くことの魅力でもあります。
ただ、スタートアップで働くことにはリスクもつきものです。
一般的な企業ではしなくても良い苦労があるかもしれませんし、まだ手掛けている事業が成功するまでには、会社として安定しない状況が続きます。
誕生したばかりの会社は、まだ企業として当然あるべき制度が整っていないおそれもあるでしょう。
それでも良いという覚悟がないと、スタートアップで働くのは厳しいのではないでしょうか。
スタートアップで働くリスクの要因とは?
スタートアップで働くリスクの要因はどこにあるのでしょうか。
まず挙げられる要因が、新しい事業を始めたばかりで、そのほかの部分にかける資金や時間がないところです。
ですから、社員に対して大企業と同じような待遇を用意できません。
また、大企業と違って経営が安定していないこともリスクの要因になります。
新しい事業がうまくいくかどうかは未知数であり、もし失敗したらほかの事業でリカバリーすることも難しい場合が多いので、最悪の場合は職場を失うかもしれません。
給与・年収が下がるリスク
スタートアップに転職することで、給与や年収が下がる可能性があります。
給与アップ目的の転職には向いていません。
スタートアップは、とにかく新しく始めた事業を成功させるために、そこにほとんどのコストをかけています。
社員に対して支払う基本給やボーナスや福利厚生などを含めた人員コストに割く余裕がないからです。
現職よりも年収が下がってもやりがいのある仕事をしたい方はそれで良いかもしれません。
しかし、スタートアップに転職して、今の生活を維持していけるのかは考えたほうが良いでしょう。
生活レベルを落とさなくても、今までのように貯金などができなくなることも考えられます。
やりがいに見合った年収が得られることを重視するなら、考え直したほうが良いかもしれません。
会社の仕組みが成り立っていない
スタートアップで働くのがリスキーなのは、会社の仕組みがまだきちんと成り立っていないことにも起因します。
スタートアップでは、ほかの何よりも事業を優先させて投資を行うため、福利厚生面や研修制度などの労働環境が整っていないのです。
ですから、今の職場であれば当然認められていた制度がない場合や業務に必要な研修も自腹で受けなければならないということもあるでしょう。
会社が安定してくれば、徐々に会社の仕組みができあがっていくとは考えられますが、それにどれだけの年月がかかるかはわかりません。
また、設立されて間もないため、システム的な部分ができあがっていないことも予想されます。
大手企業と同じような労働環境は望めないと考えておきましょう。
業務の幅が広すぎてハードワークに
スタートアップは最低限の人員しか雇えないため、1人が担当する業務も幅広く、与えられる仕事量も多い傾向があります。
それ自体は、多くの経験を積むことで自分を成長させてくれ、会社から期待されていると感じてモチベーションも上がるかもしれません。
しかし、基本的にハードワークになる可能性が高く、そのような状況下でいつまで頑張り続けられるのかという不安が残ります。
あまりに忙しすぎて体を壊してしまうというおそれも無視できません。
事業が軌道に乗ったら少しは楽になると思っても、その頃はまた新しい事業を立ち上げてそちらで忙しくなることも考えられるのです。
ワークライフバランスをしっかり取りたい方は、もっと自分に向いている企業があるかもしれません。
会社の倒産・事業撤退のリスク
スタートアップが手掛ける新事業が成功すれば企業として大きく成長しますが、その事業が失敗する可能性も大いにあります。
大手企業であれば複数の事業を同時に行っているため、会社全体の業績はほかの事業でどうにかカバーできるでしょう。
しかし、スタートアップ企業ではそれが叶いません。
今手掛けている事業に失敗したら、最悪の場合は倒産や事業撤退などもあり得るのです。
そのため、スタートアップ企業は大変不安定であると言えます。
もちろん大企業にも倒産のリスクはありますが、スタートアップ企業のリスクの大きさとは比べ物になりません。
そして、もし本当にスタートアップ企業が倒産してしまったら、再就職先も自分で見つけなければならないでしょう。
スタートアップで働くメリットはあるのか?
それでは、スタートアップで働くのはリスクが大きすぎてメリットはないのでしょうか。
もちろん、そういったことはなく、スタートアップで働くメリットもきちんとあります。
大手企業では任される仕事はほんの一部ですが、スタートアップで幅広い業務を経験でき、その経験はとても価値のあるものです。
また、スタートアップはこれから発展が期待される企業であり、企業の成長とともに自分自身も大きく成長させられるチャンスにも恵まれていると言えるでしょう。
業務の裁量権が大きい
スタートアップは、まだその体制がきちんと整備されていません。
確かに、それは企業として未発達であることの現れであり良くない点でもありますが、社員に与えられる業務上の裁量権が大きくなるというメリットもあります。
スタートアップはまだ体制を整えている最中なので、1人が担当する業務の幅が広く、自分で考えて動く場面がとても多いのです。
指示がない中手探りで動くのは困難なことでもありますが、一つのことに固執することなく幅広く取り組める場合がたくさんあります。
業績を上げるためであれば、いろいろなことにチャレンジできるのです。
手厚いサポートを受けながら業務を進めたい方にはつらいかもしれませんが、先のことを見通して考える判断力が身につくでしょう。
成長機会が多いと言える
スタートアップは業務内容が幅広く、まだ生まれたばかりの若い会社であることが多いです。
ですから、事業を成功させるだけでなく、会社そのものも同時に成長させていかなければなりません。
会社がどんどん成長していくところを見れば、自分の仕事にやりがいも感じられるでしょう。
幅広い業務をこなせば仕事のスキルが上がりますが、スタートアップで成長するのはスキルだけではありません。
今まで経験したことのなかった仕事をこなし会社の成長を見届けることで、人間的に成長する機会も多く設けられているのです。
大手企業ではすでにすべてがお膳立てされたうえでの業務が中心ですが、スタートアップではそうはいきません。
そういった厳しさも自分を育ててくれるでしょう。
こんな人にスタートアップは向いている
スタートアップに向いている人には以下のような特徴があります。
まずは、チャレンジ精神が旺盛な人です。
リスクを避けるよりも新しいことがやりたい方には、おすすめな職場環境と言えます。
現状に満足できず、さらに上を目指していきたいというガッツの持ち主は、自分の実力を試してみると良いでしょう。
また、自身をさらに成長させたいという意欲の持ち主も、スタートアップに向いています。
スタートアップには、成長の場がたくさん用意されているからです。
リスクよりも挑戦することに重きを置いている人
スタートアップは確かに不安定ではありますが、これまでになかった新しい事業を世の中に発信することに携われる点がやりがいと言えます。
その事業が成功すれば、社会に大きな衝撃を与え、新しい価値観が生まれるでしょう。
安定よりもリスクを取ってでも、新しいことに挑戦したという方には、スタートアップが向いていると言えます。
大手企業では挑戦的な業務に関わるチャンスは少ないですが、スタートアップではほとんどの業務がチャレンジにつながるのです。
その分大手企業は安定していて、スタートアップはまだ本当に成功できるかはわかりません。
挑戦することが大好きな人、今まで携わったことのない業務にモチベーションを感じる方は、ぜひスタートアップにチャレンジしましょう。
成長意欲が高く向上心ある人
スタートアップは、企業全体が成長している最中です。
それは、そこでの働き手にとっても成長する機会が多い環境であることを意味しています。
さまざまなことを吸収して自分を成長させたいという意欲がある方は、スタートアップに対する適性があると言えるでしょう。
また、スタートアップには、会社の成長と同時に自分を成長させたいという向上心を持った人がたくさん集まっています。
向上心あふれる仲間との出会いも、必ず自分を成長させる糧となるはずです。
ただし、割り切って仕事をするタイプの方は、周囲とのテンションの違いに戸惑うかもしれません。
自分を成長させることであれば意欲的に挑戦し、常に向上心を持って働ける方は、スタートアップでも十分活躍できるでしょう。
まとめ
スタートアップ企業は、今まさに成長している途中であり、今までになかった事業を展開している若い企業です。
会社としてまだ成熟していない分、体制や福利厚生の面でのリスクは無視できません。
社員は少数精鋭であるため、激務が予想されます。
しかし、新しいことに挑戦して、自分を成長させたいという向上心がある方には、ぴったりの職場と言えるでしょう。
なぜなら、会社とともに自分自身を成長させる機会が、スタートアップにはたくさんあるからです。