はじめに
これから就職活動に望む就活生の皆さん、自己分析の準備は万全でしょうか。
今回は自己分析における過去の経験の深掘りについて、わかりやすくポイントを絞ってお伝えしていきます。
過去の経験の深掘りとは、自分自身に「なぜ?」「どうして?」を繰り返し投げかけ、自分の本質を見つけていく作業です。
地道な作業とも言えますが、自己分析は就職活動の第一歩となる非常に重要な要素です。
これまで時間をかけて自分の過去を振り返ったことなどない、という人も多くいるかもしれません。
しかし、過去経験の深掘りは、就職活動がきっかけとはいえ自分自身を見つめ直す大変貴重な機会とも言えます。
なぜ必要なのかという理由の把握から掘り下げの仕方まで、この記事を読んでぜひ参考にしてみてください。
【自己分析の深掘り】自己分析とは
そもそも自己分析とは、自分自身の特徴や性格、価値観を客観的に理解することで、自分に合った仕事を見つけやすくするのが目的です。
自分がどんな価値観を持っていて、これまでの人生でどんな経験をしてきたのか、また、さまざまな場面でどんなことを考え、どういった行動をしてきたのかを言語化することは、就活における業界および職種選びの軸となります。
面接においては自己PRの一部として語るエピソードの土台となる部分でもありますので、自己分析の重要性がおわかりいただけるでしょう。
【自己分析の深掘り】自己分析で過去経験を深掘りする理由
自己分析で過去経験を深掘りする理由は以下の通りです。
「自分がどんな人間であるかということを客観的に理解し、自分に合った仕事を見つけやすくする」
会社に入って何がしたいか、どうなりたいかというのは将来への視点ですが、自分という人間の特性を探るには、過去の経験を深掘りするしかありません。
先にも述べた自己分析とは、その大部分が「過去経験の深掘り」によって導き出されるものでもありますので、しっかり過去の自分と向き合い、これまでの自己のストーリーを紡ぎ出してみましょう。
自分の特徴や性格を把握する
自分にはどんな特徴があり、いったいどのような性格なのか、第三者に明確に伝えることはできますか?
「穏やかである」「怒りっぽい」「執着心がある」「マメな性格」「飽きっぽい」など、人の特徴や性格を表す言葉は無数に存在します。
特徴をひと言で表すのは大切ですが、その特徴をさらに深掘りしてみると、自分のモチベーションの源泉がどこにあるのかを把握することができます。
その結果、どんな条件やどんな職種の仕事が自分に向いているのかがなんとなく見えてくるのではないでしょうか。
たとえば、「人と話すのが好き」という人であれば、「営業職」や「販売職」が選択肢に挙がることでしょう。
また、「物事をとことん突き詰めていく」というタイプの人間であれば、「研究職」というカテゴリーも視野に入ることが想像されます。
【自己分析の深掘り】過去経験の深掘りの仕方
では実際に過去経験の深掘りはどのように行えば良いのでしょう。
やみくもに過去を振り返って事象を羅列するだけでは、思い出の棚卸にすぎません。
効果的な過去経験の深掘りの方法は「5W1H」を用いることです。
「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どうやって」を明確にすることで、自分の中で考えが整理され、志望動機につながる過去経験が見つかることでしょう。
①自分史を書いて過去の出来事を事実ベースで整理する
具体的な進め方として、まずは過去の出来事を事実ベースで整理することから始めてみてください。
出来事の大小は問いません。
とにかく量を意識して、自分の人生の節目節目で起こった出来事を、できるだけ数多くピックアップしていきましょう。
ポイントは時系列に書き出していくという点です。
なぜなら、書き出した経験の時代や年代がバラバラだと、一つひとつを深掘りする時に一貫性がなくなってしまう可能性があるからです。
現在の自分から新しい順、または古い順どちらからでもかまいません。
一方向に沿って思い出していきましょう。
書き出していく際、具体的な日付があれば最適ですが、「幼少期」「中学時代」など、おおよその年代がわかれば十分です。
②その出来事に対して「なぜ」を繰り返して心情を突き止める
自分史を書いて過去の出来事を事実ベースで整理できたら、次はそれぞれの出来事に対する深掘りです。
ある事実や出来事が起こった背景とその時の感情、そしてその経験が今の自分にどう活かされているかを意識して、一つひとつの経験を振り返ってみましょう。
その時自分はこう思ったという主観の部分と、周りの人たちはこう思っていたのではないかという客観の視点があればより多面的に分析ができます。
人の性格は積み重ねた経験の累積で決まります。
過去のどんな経験が現在の自分の性格を構成しているのか、改めて考えてみてください。
一つの出来事を深掘りしていくと、現在の自分が無意識に決定していることやあらゆる物事に対するモチベーションの源泉を把握できるようになります。
③自分の特徴や性質が見えるまでなぜを繰り替えす
自分史を書き出し「なぜ」を繰り返す深掘りは、自分の特徴や性格をこれ以上は突き詰めることができないという範囲まで行うことが大切です。
たとえば、過去に人助けをした経験があったとします。
その経験を持って自分は思いやりがある人間だ、とするのはいささか表面的であると言えるかもしれません。
「人助けをしたのは電車の中で、はじめは周囲の目が気になってなかなか勇気が出せなかった。しかし、過去に自分も同じように公衆の面前で困ったことがあった時に助けてもらったことがあり、無意識に体が動いた」といった具合に、過去のさらに過去の経験をひもづけて自身の感情や行動の背景までを深掘りすると、周りの人のために行動ができる人という性格に深みが出すこともできるのです。
【自己分析の深掘り】深掘りの具体例
では、実際に自己分析の深掘りはどこまで行えば良いのでしょう。
目安としては1つの出来事、経験に対して5回は「なぜ」を繰り返し、深掘りをしていくことをおすすめします。
過去の経験はあなたが感じて、行動した結果生まれたものです。
そこには必ずそう感じて行動した「理由」があるのではないでしょうか。
具体例として、「小学校時代に1番楽しかった出来事」「中学校時代に好きだった科目」「高校時代に困難だったこと」の3つの例を挙げて紹介します。
小学校時代に1番楽しかった出来事は何か?またなぜそう思うのか
なぜかというと、普段は学校という決まった環境の中でさまざまな学びを得るわけですが、遠足は自分が知らない世界を知ることができるという点から、私の探求心を奮わせました。
普段は話をする機会のないクラスメイトとコミュニケーションのきっかけが得られることも、いろいろな人と仲良くなりたいという私の潜在的な欲求を刺激しました。
遠足に行った当日の夜には、両親にその日の出来事や自身が感じたことを嬉々として話したことをよく覚えています。
「遠足のしおり」に、当日に感じたことなどを事細かく書き込んでいたことからも、当時から自身の感情を客観的および俯瞰的に眺めることを自然に行うことができていたのかもしれません。
中学校時代はなんの科目が好きだったか
なぜなら、勉強した時間がそのまま結果に反映される可能性が高い科目であるからです。
歴史の問題ではとにかく暗記すればするだけ自分の引き出しの知識が増え、テストに臨む前段階でどんどん自信がついていくことに満足感を覚えました。
一方、数学や国語などの科目に比べ、社会は答えが決まっていて、回答を導き出す方法は直線的であると捉えられがちです。
しかし、回答に至るまでのインプットの仕方を私は徹底的に工夫しました。
今となっては科学的に論ぜられることすらある、リズムに合わせて年号を覚える方法や単語の頭文字だけを抜き出して意味のある言葉に並べ替える方法などです。
暗記という単純な作業を効率化することで、その成果が何倍にもなるという点も、私が社会が好きだったもう1つの理由です。
高校時代に困難だったことは何か
人よりも運動神経が良く、1年の時から公式戦にも出場する機会が幾度とあり、自分でも満足のいく成績を収めることが多かったと記憶しています。
しかし、学年が上がるにつれて自己の成績だけでは評価もされず、試合にも勝てない日々が続く苦難に直面しました。
キャプテンとしてチーム全体を任されたことでその責任感の重さに心が潰されそうになりました。
チームメイトからの信頼の獲得と、適材適所で人を活かすことがこれほどまでに難しいものかということを痛感したのです。
当初はすべて自分で解決しようとする考えしかなかったのですが、チームメイトを信じることと困った時には周りに相談しても良いんだということを学び、結果、全国大会に出場することができたのは私の誇りです。
【自己分析の深掘り】1人でやるのではなく、周囲に協力してもらおう!
自己分析の深掘りは、とことん自分自身に「なぜ?」「どうして?」を突き詰めて徹底的に深掘りしていくことが大切だとこれまで述べてきました。
しかし、自分一人では記憶に曖昧な点があったり、なかなか客観的な視点で見られなかったりということも多いのではないでしょうか。
そんな時は積極的に周りの人の意見を聞いていることをおすすめします。
両親や兄弟といった身内だけではなく、大学の先輩や後輩、ゼミの教授、高校や中学時代の恩師、アルバイト先の同僚など、できるだけ立場や年齢、距離感の異なるさまざまな人を対象とするのがポイントです。
さらに、自己分析に行き詰まった際には新卒エージェントを活用するのも一手です。
もしどのエージェントが良いかわからない場合は、就活市場エージェントを活用してみてください。
まとめ
さて、これまで過去経験の深掘りについての目的および方法を、具体例を挙げてお伝えしてきました。
実際に取り組むための心の準備はできたでしょうか。
一定の取り組み方やポイントがあるといっても決して身構える必要はありません。
過去を深掘りする自己分析は、結局自分自身を知ることに尽きます。
そして、答えはすべて自分の中に存在します。
これほどまでに自分自身と真剣に向き合うことは、就活という機会があったからこそという捉え方もできるでしょう。
過去の深掘りは就活の第一歩です。
ぜひ納得のいくまで自分という人間を因数分解して、これだ!といった人間性と特徴をあらわにしてみてください。
その答えが出た時、あなたが今後の人生で本当にやりたいことが見えてくるはずです。