はじめに
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就職活動において「学生時代に力を入れたこと」、通称ガクチカの内容は選考において重要視される項目です。
しかし、具体的にどのような内容にすれば企業や採用担当者に好印象を抱いてもらえるのか、分からないままガクチカを考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなガクチカの「チームでの経験」をメインエピソードに据えた場合の書き方を解説します。
また、ガクチカ作成の際の基本的な考え方も載せているので、ぜひ参考にしてみてください。
企業はガクチカで何を見ているのか
そもそも企業は採用活動の際、ガクチカをどのように捉えているのでしょうか。
まず、企業がガクチカで何を見ているのかについて解説していきます。
選考の際に提出するエントリーシートには、ガクチカを記入するよう指示されているものが多く、ここからも企業がガクチカを重視していることが理解できるでしょう。
ここでは、大きく3つの要素に分けて、採用担当者が見ているポイントを紹介します。
以下の点を踏まえ、ガクチカの方向性を考えましょう。
自社が求める人物像と一致しているか
多くの企業は、自社に入って活躍できそうな人材を採用するために、求める人物像を設定しています。
そのため、ガクチカを通して、求める人物像と一致した強みが見受けられるかを確認しているのです。
ガクチカのエピソードには、応募者の持つ特性、強み、性格などがすべて表れます。
企業にとってミスマッチを防ぎ、良い応募者を採用するためには、ガクチカが非常に重要な項目となるでしょう。
また、あまりにも企業の想定している人物像とまったく異なる内容だった場合は、企業分析ができておらず「この人は自社のことをあまり調べていないのかもしれない」と思われる可能性もあります。
入社後のギャップをなくすためにも、事前に企業の情報をよく調べておくことで、より良いガクチカが作成できます。
特にベンチャー企業は会社とのマッチ度を重視する
また、ベンチャー企業、スタートアップ企業などは、会社との相性をより重視する傾向があります。
会社の規模によるものの、多くのベンチャーは会社の雰囲気と個人の所属する部署・チームの雰囲気が一致している場合が多く、部署によって雰囲気が異なるといったことがあまりありません。
そのため大手と異なり、この部署に馴染めなければ違う部署に配置転換といったことができないため、人物像も含めて企業との相性が重要になります。
当然のことながら、社員を一人採用することには膨大なコストがかかっています。
大手に比べ規模の小さいベンチャーなどはとくに、会社に合わずすぐに辞められてしまうと困るので、このマッチ度を重視しているのです。
分かりやすく説明できる力があるか
ガクチカで、応募者の説明力を見ている企業も多く存在します。
なぜなら、ガクチカは基本的にエピソードトークであり、相手と自身との理解に差があるもののため、それを相手に分かるよう書けることは説明する力が強いという証明になるからです。
仕事において、ある物事(相手が顧客の場合はサービスや商材、相手が上司の場合は今自分が取り組んでいるタスクの状況など)を簡潔に、分かりやすく相手に伝えるというスキルは必須と言えます。
多くの人は、どこまでが独りよがりな前提の情報なのか、どこからが相手に必要な情報なのかといった伝える情報の取捨選択が苦手です。
自分の主観的な語り口にならないよう、相手のことを考えた文章を書ける人は、説明力が高く、社会人としても評価されるスキルを持っていると判断されるでしょう。
論理的に考え、書いたり話したりできるか
上記のように説明力を上げるためには、論理的思考力も必要です。
ガクチカによって、論理的思考力を判断する企業は多いでしょう。
情報の取捨選択のほかに、相手に伝わりやすい文章構成で書けているか、意味が破綻している部分はないか、前後の文のつながりに違和感はないかなど文章には論理的思考力を判断する要素が多く存在します。
少ない文字数の中でも伝えたいことが明確に伝わる文章は、論理的に書けている文章であると言えるでしょう。
物事の因果関係を把握・整理し、問題を解決する筋道を立てるスキルは、キャリアアップを目指すうえで必要不可欠な能力です。
ガクチカを書く段階でこのスキルを身につけておくと、社会人になってからも重宝される人材になれるでしょう。
なぜガクチカはチームのエピソードの方が面接官からの印象が良いのか
では、ガクチカの内容はどのようなものでも良いのでしょうか。
実は、高い評価を得られるガクチカには、ある程度のパターンが存在します。
とくにチームのエピソードが盛り込まれたガクチカは、面接官から良い印象を持ってもらえる場合が多く、メリットのあるトピックです。
ほとんどの仕事はチームで取り組むことが多く、学生時代にチームで物事に取り組み、成果を上げた経験がある人は、社会人になってからもチームの一員として仕事に取り組んでいけると判断されます。
つまり、企業側が応募者に対してチームで動く力を前提として求めているため、チームでのエピソードは印象が良くなるのです。
リーダーとしてチームを引っ張った経験でなくても、チームの一員という自覚を持って主体的に物事に取り組んだ成果がある人は、ぜひそのエピソードをガクチカに反映させましょう。
ガクチカに使えるチームのエピソードの探し方
ここまでで、選考でガクチカが重視される理由やなぜチームのエピソードを書くと印象が良いのかなどを説明してきました。
しかし、ガクチカの重要度は分かっても、どのようなエピソードを素材にすれば良いのか分からないという方が多いのではないでしょうか。
ここからは、ガクチカで好印象が得られる、チームでのエピソードの探し方を解説していきます。
自分のエピソードがガクチカに使えるのか不安な方は、以下の点を確認してみましょう。
所属していた組織で自分が一生懸命取り組んだことを探す
まずは、自分が熱意を持って取り組んだエピソードを探しましょう。
サークルやゼミ、アルバイト先など、所属していた組織で自分が一生懸命取り組んだことを思い出し、書き出してみてください。
これは、どんな些細なエピソードでも問題ありません。
とにかく、自分が全力で取り組んだと自信を持って言えることを探してみてください。
大抵の場合、必ずそのエピソード内で誰かからの協力を得ているので、その組織=チームで頑張ったこととしてガクチカに使うことができます。
また、一つだけではなく、複数探しておくことも重要です。
企業によっては別のエピソードの方が好印象になる場合もあり、応募する企業ごとにトピックを変えることも有効な手段となります。
所属していた組織で自分が組織の成果に貢献したことを探す
次に、こちらもどんなに些細なことでも構わないので、自分が組織の成果に貢献したと思えることを探しましょう。
組織の成果に貢献するにあたり、自分一人だけの力では実現できないことが多く、自分の同じ組織のメンバーに対して自らが働きかけたということが多くあります。
能動的にチームに働きかけた経験は、チームの一員という自覚があると判断され、企業側の求める人物像に合致する可能性が高くなるはずです。
この場合も、チームでの取り組みとしてガクチカに使うことができるでしょう。
自分で「組織に貢献しよう」と思っていたことでなくても、結果的に組織のためになる行為ができていたのであれば、そこから膨らませてガクチカを作成することも可能です。
ガクチカを書く際のポイント
ガクチカに書く内容が定まったら、いよいよ執筆に移りましょう。
ここからは、ガクチカを書く際のポイントを紹介していきます。
文を書くことが苦手な方でも、これを読めば面接官に響くガクチカを作成することができるでしょう。
上記で紹介したように、ガクチカに求められるのは「相手に分かりやすく伝えること」「論理的に説明すること」です。
また文字数に制限があるため、簡潔な文章にすることが重要となってきます。
以下のポイントを踏まえて、相手に届くガクチカを作成しましょう。
数字を盛り込む
説得力のある内容にするために、自分の取り組みによる成果を示す際は数字を使うことを意識しましょう。
先述の通り、ガクチカは相手と自分の理解に差があるエピソードトークのため、どうしても主観的な事実になってしまいがちです。
しかし、数字というのは客観的な要素のため、用いることで過不足なく相手に規模感を伝えることができます。
例えば、全国大会で3位に入賞した、売上が10%上がったなど成果の度合いが明確にされることで、どれだけのことを成し遂げたのかが読んだ相手に伝わりやすくなるのです。
ただし、一つひとつの説明にすべて数字を盛り込んでしまうと幼稚な印象を与えかねません。
もっともアピールしたい事柄に、数字を使うようにしましょう。
一文は簡潔に
読みにくいガクチカは、基本的な文章力がないと判断されてしまい、最後まで読んでもらえないことがあります。
採用担当者は一日に大量のエントリーシートを確認するため、一枚に割く時間が少なく、丁寧に読んでもらえるケースは稀です。
そのため、簡潔で読みやすい文章にすることを徹底しましょう。
相手が読みやすく、理解しやすい文章を書くためには、まず一文を簡潔に書くことを意識します。
一文につき、意味が一つになるように心がけましょう。
読点の位置にも気を配ると、より見やすく頭に入りやすい文章になります。
読みやすい文章を書く訓練には、雑誌や新聞記事などを読むことも効果的です。
プロの書く文を参考にしながら、少しずつ文章を書く練習をしてみましょう。
独自の用語を使わない
繰り返しではありますが、ガクチカは個人的な話を相手に伝えなくてはならないため、気を抜くとすぐに独りよがりな内容になりやすいものです。
例えば、店舗運営で使うアルバイト独自の用語などは、ガクチカに使わないようにしてください。
誰が見ても理解できるような言い回しに置き換えることを意識してみましょう。
自分でもうまく理解できていない内容は、省いておくことも重要です。
よく分かっていないことを書いてしまうと、面接で指摘された際に自らの首を絞めることになりかねません。
「分かりにくい用語だから説明も書こう」と、用語の説明に文字数を割くのも避けた方が得策です。
ガクチカの文字数は限られているため、アピールしたいこと以外の部分に文字数を使ってしまうのは、非常にもったいないので辞めましょう。
企業・業界の求める人物像からアピールしたい強みや人柄を逆算して内容を考える
企業は、自社の求める人物像と応募者の合致をガクチカで確認しています。
そのため、必ず業界や企業の求める人物像を把握しておきましょう。
研究が十分であれば、調べた情報からその企業の求める人物像の要素に合わせたエピソードを軸に、ガクチカを作成していきます。
例えば、課題解決力をアピールしたいのであれば、店舗の課題を解決したエピソードを用いる、リーダーシップや周囲を巻き込む力をアピールしたいのであれば、アルバイトの先頭に立って周りに働きかけを行ったエピソードを書くといったやり方です。
受ける企業ごとに、エピソードを変えても構いません。
しかし、基本的に自分の軸、指針から大きく外れることのない企業を受けることがミスマッチを回避するために重要です。
ベンチャー人事に刺さるガクチカの構成
以上が、基本的なガクチカにおける注意点です。
ここからは、ガクチカの内容をより重視するベンチャー企業の人事に、評価されやすいガクチカの構成を紹介します。
前に述べたように、ベンチャーはその規模感から企業との相性を大手よりも重視する傾向があります。
ガクチカの構成を整えることで、ベンチャー企業への印象をぐっと上げることができるのでぜひ参考にしてください。
もちろん、ほかの企業の場合もこの構成は有効です。
受ける企業によって少し手直しをしつつ、紹介する流れに沿ってガクチカを作成してみましょう。
結論
ガクチカでまず重要なのは、結論を最初に述べることです。
どういった規模感のどんな組織で何に取り組み、どんな成果を出したかを一文で簡潔に述べましょう。
多くの文章を読む採用担当者の目を引くためには、最初の文章で惹きつける必要があるのです。
インパクトのある出だしは、それ以降の文を読ませる力があります。
ただし、内容を盛って書いたり、その後の展開と関係のないことを書いたりするのはNGです。
数字などの客観的な要素をここに書くことも有効なので、積極的に使いましょう。
動機
結論を示した後は、そもそもなぜそれに取り組もうと思ったのかという動機を伝えましょう。
ここは、自身の人間性を表現できる部分と言えます。
ガクチカをただの事実の羅列でなく、人柄が伝わってくるようなものにするために重要な部分です。
ベンチャーでは、この動機の部分も注視しています。
モチベーションとなるものが企業の方向性と合致しているかどうかは、少人数でチームとして動くベンチャーにとって重要な要素です。
ベンチャーを志望する場合は、企業研究を徹底してから動機の書き方を考えましょう。
目標や課題
次に、そのエピソードにおける目標や課題を説明します。
この目標設定や生じていた課題が明確でないと、なぜその取り組みを行ったのか、読んだ相手が妥当性を判断できなくなってしまうので必ず書きましょう。
また、チームで取り組んだ経験を書く場合、チームでの目標・課題と個人で設定した目標・課題にズレがないかも重要です。
チームと個人の目標がズレてしまっていると、独りよがりで空回りしている印象を与えかねません。
組織の一員として、組織に貢献できるような目標設定になっているかどうかを必ず確認しましょう。
取り組み
次の段落で、具体的にどのようなことに取り組んだのかを書いていきます。
この項目では、自分なりにどういった工夫を凝らし、どのように課題を解決したのかを書きましょう。
もし文字数が許すなら、取り組みを続けていく中で起きた大変な出来事などを盛り込むと、内容にメリハリがつき、印象に残りやすいガクチカになります。
また具体性、オリジナル性のある内容にすることを心がけると、周りの応募者と差をつけられるでしょう。
そういった内容を書くためには、自分の経験をできる限り丁寧に深堀りしておくことが重要です。
結果
取り組みにより、どのような成果が出たのかを記載します。
この部分は、数字を用いて分かりやすくすることを意識しましょう。
また、必ずしも優勝などの華々しい功績である必要はありません。
課題に対し、何かしらコミットした成果が出ていれば、ガクチカの内容としては十分です。
逆に言えば、前に述べている目標や課題が解決されていない、成果が出ていないというケースはあまり良いとは言えません。
ガクチカは自分の魅力をアピールできるものなので、あまり芳しくない内容を記載するのは避けましょう。
学び
最後に、一連の活動を通じ、どのような学びを得たのかを簡潔に書きましょう。
この部分は、志望する企業の業務と関連する内容や企業が求める人物像に即したものにすることで、採用担当者からの印象を上げることができます。
もし文字数が足りない場合は、この部分はカットしても構いません。
ガクチカは自己PRに比べ、人柄やモチベーションなどの内面性をアピールする項目です。
可能な限り、仕事への姿勢につながる学びを書き、企業との相性の良さをアピールして印象アップを狙いましょう。
チームでのエピソードを用いたガクチカの例文
ガクチカの書き方について、理解できたかと思います。
とはいえ、まだどのように書けばいいのか、イメージが掴みづらいという方もいるでしょう。
今までのポイントを踏まえたガクチカの例文を掲載しますので、ぜひご覧ください。
文字数の想定は400字程度、内容はサッカーサークルでのエピソードです。
この例文を参考にしながら、自分のガクチカを書いてみましょう。
基本的な構成は、ゼミ活動やアルバイトでも同様です。
ポイントを踏まえて、自分なりのアレンジをしてみると良いかもしれません。
サッカーサークルのエピソードを用いた例文
当時のチームは、メンバー全員のモチベーションが低く、試合での連敗が続いている状態でした。
そこでまず、一見無謀とも思える「リーグ優勝」を目標に据え、それを現実的に可能にするための行動を始めました。
目標を定めることで、達成するための具体的な行動を起こしやすくなり、結果が伴うことで一人ひとりの意識も変わるだろうと考えたからです。
まず、メンバーからのヒアリングと試合映像の確認による敗因の分析を行い、改善点を明らかにしたうえで練習内容を改善していきました。
最初は反対意見もあったものの、今まで重視してこなかった筋トレの実施や戦術理解を深めるためのミーティングの実施などを重ね、少しずつ試合での勝利が増えていくと部員の顔にもやる気が出てきたことが分かりました。
その結果、合計得点数は昨年の3倍以上になり、最終的にリーグ優勝を果たすことができました。
この経験から学んだことは、チームでの目標設定と個人に具体的なタスクを課すことの重要性です。
まとめ
チームでの経験を使ったガクチカの書き方について、理解できたのではないでしょうか。
組織を動かす、組織のために動くといった経験は、とくに会社が一丸となって動くことが多いベンチャーには好印象に働きます。
ベンチャーを志望する方は、積極的にチームでのエピソードを使用しましょう。
自身の経験にあまりそういったエピソードがないという方は、今一度自己分析をやり直してみてもいいかもしれません。
深掘りすることで、近しい経験を見つけてガクチカに反映してみましょう。