はじめに
就職情報サイト「マイナビ」は、多くの就活生にとって最も身近な企業の一つであり、人材・情報サービス業界のリーディングカンパニーとして高い人気を誇ります。
しかし、その知名度の高さゆえに、選考を突破するためには「なぜ競合他社ではなく、マイナビなのか」を明確に示す、深く掘り下げられた志望動機が不可欠です。
本記事では、マイナビの志望動機を作成するために必要な企業研究、選考で重視されるポイント、競合比較、そして具体的な例文までを網羅的に解説し、あなたの熱意と論理性を伝えるサポートをします。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機の草案が完成した段階で、AIチェッカーを活用することは、文章の品質を客観的に高める上で非常に有効な手段です。
自分では気づきにくい誤字脱字はもちろん、「〜ということができます」「〜と考えます」といった冗長な表現や、論理の飛躍がないかを客観的に検出してくれます。
特にマイナビのように、「人」のキャリアという重要な局面に向き合う企業では、提出する文章の正確性や丁寧さも、候補者の誠実さを測る一つの指標となり得ます。
ただし、AIはあくまで文章の「形式」を整えるサポートツールであり、あなたの「熱意」や「原体験の深さ」そのものを評価するものではありません。
AIチェッカーを活用する際は、文章の伝わりやすさや論理の一貫性が改善されているかという観点で利用してください。
AIの提案を鵜呑みにするのではなく、最終的に自分の言葉で、マイナビへの貢献意欲が具体的に表現できているかを厳しく確認し、ブラッシュアップするための道具として賢く利用することが重要です。
【マイナビの志望動機】マイナビを知ろう
マイナビの志望動機を作成する上で、最も重要な土台となるのが「マイナビ」という企業の実像を正確に理解することです。
多くの就活生は「マイナビ」=「新卒の就職情報サイト」というイメージを強く持っていますが、それはマイナビの事業のほんの一側面に過ぎません。
実際には、新卒採用支援を中核としながらも、転職、アルバイト、進学、ウエディング、ニュース、さらには地方創生支援まで、人々の「人生の転機」に寄り添う多様な情報サービスをワンストップで展開する総合情報サービス企業です。
「人と企業」、あるいは「人と情報」の最適なマッチングを軸に、人々の生涯にわたって価値を提供し続けることを目指し、事業を多角化しています。
この「事業の幅広さ」と「人生への貢献領域の広さ」を深く理解することが、説得力のある志望動機を構築する第一歩となります。
まずは、事業内容、業績、そして企業理念という3つの基本情報から、マイナビの全体像を把握しましょう。
- 事業内容
- 業績
- 企業理念
マイナビの事業内容
マイナビの事業ポートフォリオは、就職情報事業を核としながら、極めて多角的に構成されています。
主力事業はもちろん、就職情報サイト「マイナビ」の運営を中心とした新卒採用支援サービスです。
ここでは、企業に対する採用コンサルティングやイベント(EXPO)の開催、学生に対する情報提供やキャリアサポートなど、新卒採用市場における圧倒的なブランド力と顧客基盤が強みとなっています。
しかし、マイナビの事業はそれだけにとどまりません。
サブ事業として、「マイナビ転職」に代表される転職情報事業、「マイナビバイト」などのアルバイト情報事業、さらには「マイナビ進学」といった進学情報事業も大きな柱となっています。
これらは、学生生活から社会人生活に至るまで、人のライフステージ全般を網羅するサービス展開と言えます。
加えて、ウエディング情報、ニュースメディア運営、人材紹介、地方創生支援など、新たな領域へも積極的に進出しています。
就活生が理解すべきポイントは、各事業が「マイナビ」という強力なブランドの下で有機的に連携し、ユーザーの生涯価値(LTV)を高めるエコシステムを構築している点です。
マイナビの業績
企業の業績を把握することは、その企業の安定性と将来性を測る上で重要です。
マイナビの業績は、コロナ禍での一時的な市場の冷え込みを経てもなお、堅調な成長を続けています。
2024年9月期の売上高は2,000億円を超えるなど、その強固な経営基盤を示しています。
この安定した成長を支えているのは、主力の就職情報事業における高いシェアと収益力です。
就活生が注目すべきは、この「安定した成長基盤」の上で、次なる挑戦を積極的に行っている点です。
例えば、2023年の創業50周年を機に、全社員から事業アイデアを募集する「新領域開発室」を設置するなど、既存事業に安住せず、新規事業の創出に意欲的です。
これは、マイナビが持つ強固な顧客基盤やブランド力を活用し、変化の激しい市場環境に対応し続けようとする姿勢の表れです。
志望動機では、単に「安定しているから」ではなく、この「安定性」と「挑戦性」の両面を理解し、特に後者の「挑戦できる環境」に魅力を感じていると伝えることが有効です。
マイナビの企業理念
マイナビの企業理念を理解する上で最も重要なのが、2022年に制定されたパーパス(存在意義)です。
それは、「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。
」という言葉に集約されています。
これは、マイナビが単なる情報マッチングサービスに留まらず、ユーザー一人ひとりが持つ潜在的な可能性を信じ、その未来を切り拓くためのサポートをするという強い意志を示しています。
さらに、このパーパスを実現するためのビジョンとして「決められた選択肢を用意するのではなく、今までの生き方にとらわれない これからの生き方をサポートしつづける」と掲げています。
志望動機を作成する際は、この「可能性と向き合う」という姿勢に、あなたがどれだけ強く共感するかが問われます。
例えば、過去に人の相談に乗り、その人の新たな可能性を引き出した経験などを具体的に結びつけ、「決められた選択肢」以上の価値を提供したいというあなたの価値観が、マイナビの理念と一致していることを示すことが極めて重要です。
【マイナビの志望動機】マイナビが志望動機で見ていること
マイナビが志望動機を通じて確認したいのは、単に「就職活動でお世話になったから」という消費者目線の感想ではありません。
人材・情報サービス業界のリーディングカンパニーとして、候補者が自社のパーパス(存在意義)である「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。
」にどれだけ深く共感しているかを最重要視しています。
その上で、変化の激しい業界環境の中で、自ら考え行動できる「主体性」や、顧客である企業や個人ユーザーの課題に真摯に向き合う「誠実さ」、そして困難な目標に対しても粘り強く取り組む「成長意欲」を有しているかを見極めようとしています。
あなたのこれまでの経験が、マイナビというプラットフォームでどのように活かされ、未来のマイナビを共に創っていけるのか、そのポテンシャルを志望動機から読み取ろうとしています。
ここでは、マイナビが特に重視している3つの評価軸について解説します。
- パーパス(理念)への深い共感と具体性
- 主体性・当事者意識
- 多様な事業領域への理解と貢献意欲
パーパス(理念)への深い共感と具体性
マイナビの選考において、最も核となる評価ポイントは、パーパス「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。
しかし、志望動機で「パーパスに共感しました」と述べるだけでは、全く評価されません。
重要なのは、「なぜ」あなたが「一人ひとりの可能性」に向き合いたいと考えるようになったのか、その動機付けとなったあなた自身の「原体験」を具体的に示すことです。
例えば、サークルの後輩指導でその人の強みを引き出した経験、アルバイト先で顧客の潜在的なニーズに応えて感謝された経験、あるいは友人からキャリア相談を受け、一緒に未来を考えた経験など、「人の可能性を信じ、未来を拓くサポートをすること」にやりがいを感じた瞬間を詳細に語る必要があります。
マイナビは、単なる情報屋ではなく、ユーザーの「これからの生き方」をサポートする伴走者としての役割を目指しています。
あなたがその「伴走者」として、どのように顧客と向き合いたいのか、その具体的なビジョンを原体験と結びつけて提示してください。
主体性・当事者意識
マイナビが手掛ける仕事は、顧客の経営課題(採用)や個人の人生(キャリア)に直結する、非常に責任の重いものです。
これらの課題には決まった「正解」がありません。
そのため、マニュアル通りの対応ではなく、「この顧客の課題を本質的に解決するために、今何をすべきか」を常に自ら考え、行動に移せる「主体性」が不可欠です。
また、マイナビは既存事業の強化だけでなく、新規事業の創出にも積極的であり、社員一人ひとりの「挑戦心」を原動力としています。
志望動機では、学生時代の経験において、指示待ちではなく、自ら問題点を発見し、周囲を巻き込みながら改善策を主導したエピソード(例えば、アルバイト先の業務効率化提案、サークルの新しい企画立案など)を具体的に盛り込むことが求められます。
そのプロセスでどのような困難に直面し、どのように当事者意識を持って乗り越えたのかを明確に記述することで、入社後も主体的に価値を生み出せる人材であることを強くアピールできます。
多様な事業領域への理解と貢献意欲
多くの就活生が「マイナビ=新卒採用支援」というイメージで応募してきます。
その中で、他の候補者と差別化を図るためには、マイナビが持つ事業の「多角性」への深い理解を示すことが重要です。
マイナビは、転職、アルバイト、進学、ウエディング、ニュースメディアなど、非常に幅広い事業領域を持つ総合情報サービス企業です。
選考では、「マイナビ」という一つの側面だけでなく、この企業全体の姿を理解しているかが見られています。
志望動機では、まず自分がどの領域でキャリアをスタートしたいのかを明確にしつつ、将来的には「新卒採用支援で培った知見を、転職領域や地方創生事業にも活かしていきたい」といった、中長期的な視点での貢献ビジョンを示すことが有効です。
マイナビの多様なアセット(顧客基盤、ブランド力、事業間シナジー)を理解し、その中で自分がどのように専門性を高め、貢献していきたいのかを具体的に語ることで、企業研究の深さと高い志望度を同時に示すことができます。
【マイナビの志望動機】マイナビの求める人物像
マイナビが求める人物像は、同社のパーパス(存在意義)である「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。
」を、現場で実践するために必要な資質と深く連動しています。
それは単一の専門スキルではなく、変化の激しい市場環境の中で、顧客や社会の課題に真摯に向き合い続けるマインドセットが核となります。
具体的には、自ら課題を設定し、当事者意識を持って行動する「主体性」、多様な関係者を尊重し、巻き込みながら事を成す「協調性(つなげる力)」、そして常に新しい知識や価値観を吸収し続ける「成長意欲」が挙げられます。
マイナビという大きなプラットフォームの上で、受け身でサービスを利用するのではなく、「自分ごと」として事業を捉え、新たな価値を創造しようとする積極的な姿勢が求められています。
これらの要素が、マイナビのどのような事業特性や企業文化から求められているのかを、4つの側面から詳しく解説します。
- 当事者意識と主体性を持つ人材
- 「つなげる力」と「巻き込む力」を持つ人材(協調性)
- 変化に対応し、学び続ける人材(成長意欲)
- 誠実さと「感謝と敬意」を持つ人材
当事者意識と主体性を持つ人材
マイナビが求める人物像の第一は、何事も「自分ごと」として捉え、主体的に行動できる人材です。
マイナビのビジネスは、企業や個人の「未来」に関わる重要な意思決定をサポートする仕事であり、顧客の課題は一つとして同じものはありません。
マニュアル通りの対応ではなく、「この顧客の課題を解決するためには何が最適か」を常に当事者意識を持って考え抜く姿勢が不可欠です。
この背景には、人材業界の競争激化があります。
従来の広告掲載モデルだけでは生き残れず、顧客の潜在ニーズを掘り起こし、マイナビの多様なリソースを組み合わせてソリューションを提案する主体性が求められています。
また、新規事業への挑戦も推奨されており、自ら手を挙げ、新しい道を切り拓く「挑戦心」もこの主体性に含まれます。
学生時代の経験で、他人事ではなく「自分ごと」として課題(例えば、サークルの課題やアルバイト先の非効率)に率先して取り組んだ経験を具体的に示すことが重要です。
「つなげる力」と「巻き込む力」を持つ人材(協調性)
マイナビの理念体系には「つなげる力と巻き込む力」という価値観が明確に掲げられています。
これは、マイナビの仕事が個人の力だけでは完結しないことを強く示しています。
例えば、一社の企業の採用課題を解決するためには、営業担当者だけでなく、企画担当、Webディレクター、イベント運営スタッフ、カスタマーサポートなど、社内の多様な専門家と緊密に連携(協働)する必要があります。
マイナビは、個人の力と組織の力を掛け合わせることで、顧客により大きな価値を提供するという企業文化を持っています。
そのため、自分の意見を主張するだけでなく、異なる意見や立場の人々の間に立ち、調整役となり、一つの目標に向かってチームを動かした経験(例えば、学園祭の実行委員会での役割や、グループワークでのリーダーシップ)が高く評価されます。
協調性とは、単に仲が良いことではなく、目標達成のために他者を巻き込める力です。
変化に対応し、学び続ける人材(成長意欲)
マイナビが事業を展開する人材・情報サービス業界は、テクノロジーの進化(AIの活用など)、法改正(労働関連法規)、社会情勢(働き方の多様化、少子化)によって、常に激しい変化にさらされています。
マイナビの仕事は、こうした変化を先取りし、顧客に新しいサービスや価値を提供し続けることです。
そのため、過去の成功体験に安住せず、常に新しい知識やスキルをどん欲に吸収しようとする「学習意欲」が不可欠な行動特性となります。
顧客の課題も日々複雑化しており、それに応えるためには自分自身の専門性を高め続ける必要があります。
重要なのは、「成長させてもらいたい」という受け身の姿勢ではなく、「顧客や社会の変化に対応するために、自ら学び続ける」という能動的な姿勢です。
学生時代に、自分の専門外の分野であっても意欲的に学習した経験や、新しい挑戦を通じて自身をアップデートした経験は、この資質をアピールする上で有効です。
誠実さと「感謝と敬意」を持つ人材
マイナビは、「人」の人生や「企業」の経営という、非常にデリケートで重要な情報を扱うビジネスを展開しています。
事業特性上、顧客(企業・ユーザー)からの「信頼」がすべての事業活動の基盤となります。
理念体系に「感謝と敬意」が掲げられているのは、関わるすべての人々に対して誠実であることを何よりも重視する組織風土の表れです。
短期的な売上や成果だけを追うのではなく、顧客にとって本当に価値のあることは何かを「誠実」に考え抜き、長期的な信頼関係を築ける人材が求められています。
また、社内の人間関係においても、互いの立場や専門性を尊重し合う(感謝と敬意)文化が、前述の「つなげる力」や「チームワーク」を生み出す土壌となっています。
学生時代の経験で、地道な約束やルールを誠実に守り続けた経験や、チームメンバーに対して敬意を持って接し、信頼関係を構築した経験などを具体的に語ることが、この人物像との合致を示すことにつながります。
【マイナビの志望動機】マイナビの志望動機に入れ込むべきポイント3選
マイナビの志望動機を、数多くの応募者の中から際立たせ、採用担当者の記憶に残すためには、いくつかの重要な要素を戦略的に盛り込む必要があります。
多くの就活生が利用するサービスであるだけに、「自分も使っていたから」という消費者目線の理由だけでは、志望度の高さは伝わりません。
これら3つのポイントを志望動機に織り交ぜることで、あなたの熱意と他者にはない企業理解の深さを示すことができます。
- パーパス「一人ひとりの可能性と向き合う」への共感と原体験
- 多角的な事業領域と自分の貢献ビジョン
- 競合他社との比較して優れた点を盛り込む
パーパス「一人ひとりの可能性と向き合う」への共感と原体験
マイナビの志望動機を作成する上で、最も重要であり、全ての土台となるのがこのポイントです。
パーパス「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。
」に、あなたがどれだけ深く、そして具体的に共感しているかを示さなくてはなりません。
この共感を示すために不可欠なのが、あなた自身の具体的な「原体験」です。
例えば、人の相談に乗り、その人自身も気づいていなかった強みや新たな選択肢を示したことで、相手の表情が明るくなり感謝された経験。
あるいは、逆にあなたが誰かによって可能性を引き出してもらった経験でも構いません。
「可能性と向き合う」とは具体的にどういう行動かをあなたなりに定義し、それをマイナビの仕事で実践したいという強い意志を示すのです。
マイナビが目指す「未来が見える世界をつくる」という社会的な役割に、あなたが過去の具体的な行動(原体験)によって裏付けられた情熱を持って貢献したい、という論理を構築してください。
多角的な事業領域と自分の貢献ビジョン
マイナビを「新卒採用の会社」としか認識していない志望動機は、企業研究が浅いと判断されるリスクが非常に高いです。
マイナビが持つ「就職」「転職」「アルバイト」「進学」「ウエディング」「地方創生」など、人のライフステージを網羅する事業ポートフォリオを正しく理解していることをアピールしてください。
その上で、自分がまずどの領域でキャリアをスタートしたいのか、そして将来的にはそれらの事業間シナジー(例えば、進学領域で得た学生の動向に関する知見を、就職領域のサービス改善に活かすなど)にどう貢献したいのか、自分なりの貢献ビジョンを語ることが重要です。
新卒採用支援で圧倒的な強みを持つマイナビですが、その強固な顧客基盤やブランド力を活用して、他の領域や新規事業にも積極的に挑戦しているという「企業の全体像」を踏まえた上で、自分の挑戦したいフィールドを明確にすることが、企業研究の深さと広い視野のアピールにつながります。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
人材・情報サービス業界において、マイナビの最大の競合はリクルート(リクナビなど)です。
採用担当者が最も知りたいのは、「なぜリクルートではなく、マイナビなのか」という核心的な問いへの答えです。
この問いに明確に答えるために、競合比較は不可欠です。
競合比較を盛り込む最大のメリットは、あなたの企業選びの「軸」が明確であり、深く考えた上でマイナビを選んでいるという本気度を証明できる点にあります。
例えば、リクルートが「個」の力や「圧倒的当事者意識」を強く打ち出すのに対し、マイナビは理念に「感謝と敬意」「つなげる力」を掲げるなど、組織としての「協調性」や「誠実さ」をより重視する組織風土があるのではないか、といった仮説に基づいた比較が可能です。
あるいは、マイナビの方が新卒領域における学生・企業双方への「伴走型」サポートが手厚いと感じている、など、あなたがマイナビに感じる具体的な「優れた点」を定義し、それが自分の価値観と合致していると説明することが、採用担当者に強く響く鍵となります。
【マイナビの志望動機】競合他社との比較しよう
マイナビへの志望動機を強固なものにするために、競合他社との比較分析は避けて通れないプロセスです。
「なぜマイナビでなければならないのか」という問いに、論理的かつ具体的に答えるためには、他社が「何」を提供し、マイナビが「何」を提供しているのか、その戦略や文化の違いを明確に理解する必要があります。
最大の競合であるリクルートはもちろんのこと、転職市場に強みを持つパーソルキャリアや、独自の戦略を打ち出すエン・ジャパンなど、特色ある人材サービス企業との比較も有効です。
比較する軸としては、事業領域のポートフォリオ(多角化の方向性)、主力事業の強み(新卒か転職か)、企業文化(個を重視するか組織を重視するか)、顧客へのアプローチ(営業スタイル)などが考えられます。
これらの比較を通じて、マイナビ独自の立ち位置や魅力を客観的に浮き彫りにし、あなたの志望理由と力強く結びつけていきましょう。
競合A(リクルート)との違い
リクルートは、人材業界のみならず、日本の情報サービス産業全体におけるガリバー的存在です。
マイナビと比較した際、最大の違いは事業領域の圧倒的な広さにあります。
「リクナビ」などの人材領域に加え、「SUUMO(住宅)」「ゼクシィ(ウエディング)」「ホットペッパー(販促・飲食)」など、マイナビ以上に「日常消費」領域まで含めた広範なライフイベント事業を網羅しています。
また、「個の尊重」「圧倒的当事者意識」といった企業文化が色濃く、新規事業提案制度(Ring)に象徴されるように、社員の起業家精神を強く推奨する風土があります。
一方、マイナビも多角化を進めていますが、軸足はあくまで「就職」「転職」「進学」といった「キャリア・学習」領域にあり、その専門性が高いと言えます。
企業文化も、理念に「感謝と敬意」「つなげる力」を掲げるなど、リクルートに比べると「組織」としての協調性や、顧客に寄り添う「誠実さ」を重視する側面があると考えられます。
志望動機では、リクルートの圧倒的な事業領域や個の推進力よりも、マイナビのキャリア領域への専門性や、組織で連携して顧客に向き合う社風に魅力を感じる、といった論理展開が可能です。
競合B(パーソルキャリア)との違い
パーソルキャリアは、「doda(デューダ)」ブランドで知られる転職サービスを中核とする企業です。
新卒採用支援も手掛けていますが、マイナビ(やリクルート)ほどの規模ではありません。
パーソルキャリアの最大の強みは「転職」領域、特にキャリアアドバイザーが介在する「人材紹介(エージェントサービス)」にあります。
また、グループ全体(パーソルホールディングス)としては、人材派遣事業(テンプスタッフ)が非常に大きな柱です。
マイナビと比較した場合、マイナビは「新卒採用支援(マイナビ)」という強力なメディア(プラットフォーム)事業を基盤に多角化しているのに対し、パーソルは「人材紹介」と「人材派遣」という「人」が直接介在するサービスに強い基盤を持っています。
マイナビを志望する際は、パーソルのような「人」介在型の手厚いサポートだけでなく、「マイナビ」という巨大なプラットフォームを通じて、より多くの人や企業に網羅的に影響を与えたい、あるいは新卒からシニアまで幅広いキャリア領域をカバーするマイナビの事業ポートフォリオに魅力を感じる、といった比較軸が考えられます。
競合C(エン・ジャパン)との違い
エン・ジャパンは、「en転職」や若手ハイキャリア向けの「AMBI」などを運営し、独自の戦略で強い存在感を放つ企業です。
規模感ではマイナビやリクルートに及びませんが、その最大の特徴は「入社後活躍」という独自の事業コンセプトにあります。
これは、単に企業と人をマッチングさせて終わりではなく、入社した人がその企業で活躍・定着することまでを重視する姿勢の表れです。
そのために、サイト上での詳細な情報開示(社員のクチコミなど)や、入社後の教育サービス(エンカレッジ)に力を入れています。
マイナビと比較した場合、マイナビももちろん顧客への誠実さや入社後のフォローを重視していますが、エン・ジャパンはそれを事業戦略の「核」に据えている点が異なります。
マイナビを志望する理由としては、エン・ジャパンの「入社後活躍」という特定領域の深掘りも魅力的だが、それ以上にマイナビが持つ「新卒から転職、進学、ウエディング」といった人生のあらゆる転機を網羅する「事業の幅広さ」に、より大きな可能性と貢献の場を感じている、といった説明が可能です。
競合D(その他:学情など)との違い
マイナビの競合は大手だけではありません。
例えば、「学情」は「あさがくナビ」を運営し、新卒採用、特に「20代」や「第二新卒」といった若手層の採用支援に特化している点が最大の特徴です。
大規模な合同企業セミナー「就職博」なども強みとしています。
マイナビ(やリクナビ)が全方位型の巨大プラットフォームであるのに対し、学情は特定のターゲット層にリソースを集中投下する戦略をとっています。
就活生が比較時に注目すべきポイントは、自分が「特定のターゲット層」に対して深く専門的なサービスを提供したいのか、それとも「あらゆる層(新卒、中途、アルバイトなど)」の「あらゆるライフイベント」に関わる巨大なプラットフォームで働きたいのか、という点です。
マイナビを志望する際は、学情のような特化型も一つの選択肢だが、マイナビが持つ圧倒的な顧客基盤(企業数・学生数)と、新卒から始まる長いキャリアジャーニー全体をサポートできる「総合力」に惹かれている、と説明することで、マイナビを選ぶ必然性を示すことができます。
【マイナビの志望動機】マイナビのES通過者の志望動機の共通点
マイナビのエントリーシート(ES)を通過する志望動機には、いくつかの明確な共通傾向が見られます。
最も顕著なのは、「なぜマイナビなのか」という問いに対し、競合他社(特にリクルート)との違いを意識した上で、マイナビ独自の魅力に具体的に言及できている点です。
例えば、マイナビの「一人ひとりの可能性と向き合う」というパーパスや、「感謝と敬意」「つなげる力」といった協調性を重んじる社風への共感を、自身の具体的なエピソードと論理的に結びつけています。
また、「マイナビ(新卒)」という一面的なイメージに留まらず、転職や進学、アルバイトなど他の事業領域にも目を向け、マイナビの「総合力」や「事業の幅広さ」を正しく理解していることが伝わる内容も多いです。
総じて、企業理念への深い共感と、自身の経験に基づいた「主体性」や「チームへの貢献意欲」が、説得力のあるストーリーとして構成されていることがES通過の鍵となっているようです。
【マイナビの志望動機】マイナビの志望動機を作成する際の4つの注意点
マイナビの志望動機を作成する際、熱意が空回りしてしまい、かえって評価を下げてしまうケースが少なくありません。
多くの就活生が日常的に利用するサービスであるだけに、「自分も使っていたから便利だった」という消費者目線の理由に終始してしまうのは、最も典型的な失敗例です。
また、人材業界全体に共通する「人の役に立ちたい」といった抽象的な表現も、マイナビでなければならない理由にはなりません。
大切なのは、マイナビという企業のパーパスや事業の多角性を深く理解し、「ビジネス」として、あるいは「プロフェッショナル」としてどう貢献したいかという視点を持つことです。
ここでは、マイナビの志望動機で陥りがちな4つの注意点を取り上げ、どのように改善すべきかを具体的に解説します。
- 「マイナビを使っていたから」という消費者目線
- 「人の役に立ちたい」という抽象的な動機
- 「新卒(マイナビ)」のイメージに偏った理解
- 志望動機と自己PRのかいり<
「マイナビを使っていたから」という消費者目線
就活生が陥りがちな最も多いミスが、「私自身が就職活動でマイナビを利用し、非常に使いやすかったため、今度は自分がサービスを提供する側に立ちたいと思いました」という志望動機です。
これがNGな理由は、志望動機が「消費者(ユーザー)」の感想に留まっており、「提供者(ビジネスパーソン)」としての視点が決定的に欠けているからです。
採用担当者が知りたいのは、サービスの使い心地ではなく、そのサービスを「どう改善し」「どう企業に提案し」「どう収益を上げ」「どう社会に貢献していくか」を考えられる人材かどうかです。
このミスを改善するには、「なぜ使いやすいと感じたのか」をビジネス視点で一歩深く分析する(例:企業の検索機能の優位性、イベントとの連動性など)。
その上で、「その強みを、今後は企業の採用課題を解決するためにこのように活かしたい」あるいは「ユーザーとして感じたこの改善点を、入社後はこのように変えていきたい」といった、具体的な「貢献」や「変革」の意志にまで踏み込む必要があります。
「人の役に立ちたい」という抽象的な動機
「人の人生の転機に関わり、役に立ちたいと思い、人材業界を志望しました」という書き出しも、非常に多い失敗例です。
この志望動機が評価されないのは、「なぜマイナビなのか」という最も重要な問いに全く答えられていないからです。
「人の役に立ちたい」という動機は、医療、インフラ、教育、メーカーなど、世の中のあらゆる業界・仕事で言えてしまいます。
また、人材業界の中でも、リクルートやパーソルではなく、なぜマイナビを選ぶのかが不明瞭です。
この志望動機の質を高めるには、「なぜ(他の業界ではなく)人材業界」で、「なぜ(競合ではなく)マイナビ」で、「どのように人の役に立ちたい」のか、その全てを具体化する必要があります。
例えば、「大学の後輩のキャリア相談に乗った経験から、人の『可能性』を引き出すことにやりがいを感じた。
貴社の『一人ひとりの可能性と向き合う』というパーパスは、まさに私が実現したいことであり…」といった形で、自身の原体験とマイナビ独自の理念(パーパス)を直結させることが、唯一の改善策となります。
「新卒(マイナビ)」のイメージに偏った理解
就活生にとって最も身近なサービスが「マイナビ(新卒)」であるため、志望動機がその領域に偏ってしまうケースも注意が必要です。
例えば、「私は就職活動支援に強い関心があり、新卒採用で圧倒的なシェアを持つ貴社で、学生と企業のマッチングに貢献したいです」という志望動機です。
これは一見悪くありませんが、マイナビの「一部分」しか見ていないと判断されるリスクがあります。
マイナビは(本記事で何度も解説した通り)転職、アルバイト、進学、ウエディングなど、人のライフステージ全体を支える総合情報サービス企業です。
新卒領域「だけ」に固執する志望動機は、企業理解が浅い、あるいは視野が狭いと見なされかねません。
改善策としては、新卒領域を志望する理由を明確にしつつも、「新卒で関わった学生が、将来的には転職サービス(マイナビ転職)を利用するかもしれない。
そうした長期的な視点で、顧客のキャリア全体をサポートできる貴社の事業の幅広さに魅力を感じている」といった、事業の多角性やシナジーを理解している視点を加えることです。
志望動機と自己PRのかいり
エントリーシートや面接は、志望動機、自己PR、学生時代に力を入れたことなど、すべての項目が連携して「あなた」という一人の人物像を伝えるものです。
ここで注意すべきは、志望動機と自己PRの内容が乖離(かいり)してしまうことです。
例えば、志望動機ではマイナビの「つなげる力と巻き込む力」という価値観に共感し、「チームで働くこと」の重要性を熱く語っているにもかかわらず、自己PRでは「個人競技のスポーツで、一人で黙々と努力して成果を出した」というエピソードだけを強調していると、採用担当者は「この人は本当にチームで協働できるのか?」と強い疑問を持ちます。
自己PRが個人での努力だとしても、その中で「どのようにコーチや仲間と関わったか」「チーム全体の目標(練習の雰囲気作りなど)にどう貢献したか」といった「他者との関わり」の視点を意図的に盛り込むべきです。
志望動機で示す「マイナビでやりたいこと(価値観)」と、自己PRで示す「あなたの強み(行動特性)」が、論理的に繋がっている状態を必ず目指してください。
【マイナビの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
マイナビの本選考を有利に進める上で、インターンシップへの参加は極めて有効な戦略となります。
マイナビは、営業同行プログラム、新規事業立案ワーク、エンジニア向けハッカソンなど、職種やテーマ別に多種多様なインターンを実施しており、これらに参加することで得られるメリットは計り知れません。
最大のメリットは、インターン参加者限定の早期選考や特別選考ルートに招待される可能性が非常に高いことです。
インターンでのパフォーマンスや意欲が現場社員に評価されれば、通常よりも短いプロセスで内定に近づくことができます。
また、選考上の直接的な優遇措置以上に、「マイナビの社風」を肌で感じられる点も重要です。
理念に掲げる「つなげる力」や「感謝と敬意」が、現場でどのように実践されているのかを体感することは、志望動機の具体性や説得力を格段に増す材料となります。
現場の第一線で活躍する社員から直接フィードバックをもらうことで、自己分析が深まり、マイナビが求める人物像との合致度を客観的に高めることも可能です。
【マイナビの志望動機】マイナビの志望動機例文
ここまで、マイナビの志望動機を作成するための企業研究、競合比較、注意点などを詳細に解説してきました。
最後に、これらの重要なポイントを踏まえた具体的な志望動機例文を、アプローチの軸が異なる5つのパターンで紹介します。
提示するのは、「経験ベース(人の可能性を引き出した経験)」、「価値観ベース(理念への共感)」、「スキルベース(課題解決力)」、「将来ビジョンベース(多角的なキャリア)」、「別角度(競合比較)」といったバリエーションです。
これらの例文は、あくまで論理構成や表現の仕方を学ぶための参考です。
決して丸暗記するのではなく、あなた自身の具体的なエピソードや熱意ある言葉に置き換え、オリジナルの志望動機を完成させるための「型」として活用してください。
例文①(経験ベース:人の可能性を引き出した経験)
例文②(価値観ベース:理念への共感)
例文③(スキルベース:課題解決力)
例文④(将来ビジョンベース:多角的なキャリア)
例文⑤(別角度のアプローチ:競合比較)
【マイナビの志望動機】よくある質問
マイナビの選考を目指すにあたり、多くの就活生が共通の疑問や不安を抱えています。
例えば、「人材業界は激務というイメージがあるが、実際の働き方はどうなのか」「営業職のノルマは厳しいのか」「リクルートとの具体的な社風の違いは何か」など、企業の採用ページだけでは分かりにくいリアルな情報への関心は高いです。
これらの疑問は、志望動機を固めたり、入社後のミスマッチを防いだりする上で非常に重要です。
ここでは、就活アドバイザーの視点から、マイナビの選考に関して特に多く寄せられる4つの質問に、率直かつ的確に回答していきます。
質問①:「リクルート」との一番の違い(社風や働き方)は?
これは、マイナビを志望する就活生から最も多く寄せられる質問の一つです。
両社は最大のライバルですが、社風には明確な違いがあると言われています。
一般的に、リクルートは「個」の能力や「圧倒的当事者意識」を非常に重視し、新規事業提案制度(Ring)に象徴されるように、社内起業家精神が旺盛な文化だとされます。
一方、マイナビももちろん主体性や挑戦心は求められますが、企業理念に「感謝と敬意」「つなげる力と巻き込む力」を掲げている通り、リクルートと比較すると「組織」としての協調性や「チームワーク」を重視する傾向があると言われます。
新人教育においても、手厚い研修やOJTでじっくり育てる風土があると評されることも多いです。
どちらが良い悪いではなく、あなたが「個」として鋭く挑戦したいのか、「組織」の一員として協調しながら成果を出したいのか、自身の価値観と照らし合わせて判断することが重要です。
質問②:営業職のノルマは厳しいですか?
人材業界の営業職に対して、「ノルマが厳しそう」というイメージを持つ就活生は多いです。
結論から言えば、企業である以上、営業目標(ノルマ)は明確に存在します。
これはマイナビに限らず、リクルートでも他のいかなる企業でも同様です。
マイナビは、新卒採用支援や転職支援など、企業の経営に直結する重要なサービスを提供しており、その対価として収益を上げています。
社員はその収益目標に対して責任を持ちます。
ただし、その目標達成のプロセスにおいて、マイナビは「チーム」で達成しようとする意識が比較的強いと言われます。
個人の成果だけでなく、チーム全体での目標達成や、顧客への誠実な対応プロセスも評価の対象となる傾向があります。
単に数字だけを追求するのではなく、顧客の課題解決に真摯に取り組んだ結果として目標を達成する、という姿勢が求められると理解しておくと良いでしょう。
質問③:「マイナビ(新卒)」以外の事業部に配属されることもありますか?
その可能性は十分にあります。
多くの就活生が「マイナビ(新卒)」の身近なイメージから応募しますが、マイナビは(本記事で何度も解説したように)転職、アルバイト、進学、ウエディング、地方創生、人材紹介など、非常に多岐にわたる事業を運営しています。
総合職として採用された場合、最終的な配属先は、本人の適性、希望、そして各事業部のニーズを総合的に勘案して決定されます。
もし新卒採用支援事業を強く希望する場合は、「なぜ他の領域(例:転職)ではなく、新卒領域なのか」を明確に説明できる必要があります。
同時に、「もし他の事業部に配属されたとしても、そこで経験を積み、将来的には〇〇という形で全社に貢献したい」といった、キャリアの柔軟性や多角的な視点を持っていることをアピールできると、むしろ視野の広さとして評価が高まる可能性があります。
質問④:入社までに必要なスキルや資格はありますか?
応募段階で必須となる特定のスキルや資格は、原則として定められていません。
もちろん、営業職で地方勤務の可能性がある場合は運転免許、あるいは基本的なPCスキル(Word, Excel, PowerPoint)などは、あるに越したことはありません。
しかし、マイナビがそれ以上に重視しているのは、あなたの「ポテンシャル」と「マインドセット」です。
具体的には、求める人物像で挙げた「主体性」「協調性(つなげる力)」「成長意欲」「誠実さ(感謝と敬意)」などです。
入社後に必要な専門知識や営業スキルは、充実した研修制度でしっかりと学ぶことができます。
入社までに準備すべきこととしては、特定の資格取得に走るよりも、学生時代にしかできない経験(学業、部活、アルバイトなど)に全力で打ち込み、そこで「主体的に課題を解決した経験」や「チームに貢献した経験」を積み、それを自分の言葉で語れるように深く整理しておくことの方が、選考においてははるかに重要です。
まとめ
マイナビの志望動機を作成する鍵は、「マイナビ(新卒)」という一面的な理解を超え、人のライフステージ全体を支える「総合情報サービス企業」としての全体像を掴むことです。
その上で、パーパス「一人ひとりの可能性と向き合う」に、あなたの具体的な原体験を重ね合わせ、「なぜリクルートではないのか」を明確に語ることが重要です。
本記事で解説した企業研究と自己分析を武器に、あなたの熱意と論理性を兼ね備えた志望動機を完成させてください。