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- 小売業界の現状
- 小売業界の将来性
- 小売業界に向いている・向いていない人の特徴
- 小売業界に行くか悩んでいる人
- 小売業界の業界分析をしたい人
- 小売業界が自分に合っているか確かめたい
はじめに
小売業界を就活の選択肢に入れようかと思っている方は多いはずです。
そこで今回は、小売業界の概要や将来性、どのような仕事内容があるのかについてはもちろん、代表的な企業や働くにあたっての魅力について紹介します。
どのような能力が求められるのか、どのような人が向いているのかについても紹介するため、ぜひ自分が向いている業界であるか確認し、自信が持てた方は小売業界を就活の選択肢に入れてみてください。
【小売業界】小売業界とは
まず、小売業界の業態について紹介します。
小売業界は多岐に渡る業務を行っており、代表的なビジネスモデルには以下の4つが挙げられます。
それぞれの特徴を把握して、自分がどの業態を目指すか検討してみてください。
スーパーマーケット
スーパーマーケットは地域社会に根ざした小売業態の1つで、主に食品を中心に精肉、鮮魚、青果などの生鮮食品から、日常生活に必要な日用品まで幅広い商品を取り扱っています。
スーパーマーケットは主に2種類に分けられ、1つは「総合スーパー」で、もう1つは「専門スーパー」です。
総合スーパーは生鮮食品だけでなく、衣料品や家庭用品などの幅広い商品を取り扱う一方、専門スーパーは鮮魚や青果など特定の分野に特化しているのが特徴です。
スーパーマーケットは消費者の日常生活を支える基盤であり、その役割は今後も拡大していくと考えられます。
- イオン
- セブン&アイ
- イズミ
百貨店
百貨店は衣食住に関わる幅広い分野の商品を取り扱い、上質で高級な商品やサービスを提供することで知られる小売業態です。
高級ブランド品やファッションアイテム、インテリア、食品、さらに贈答品など、生活のあらゆる場面で必要となるものを1つの場所で揃えられるのが百貨店の強みです。
百貨店のもう1つの特徴は顧客サービスの質にあります。
専門スタッフが商品に関する知識を提供できる質の高い接客を通じて、顧客満足度を高めています。
百貨店によっては店舗のデザインや高級感も重視しており、消費者に特別な勾配体験を提供しているのも特徴です。
- 株式会社そごう・西武
- 株式会社三越伊勢丹ホールディングス
- 株式会社高島屋
専門店
専門店はその名のとおり、特定の分野や商品に特化して商品を取り扱う小売業態です。
百貨店やスーパーマーケットと異なり、専門店は1つの分野に集中しているため、特定のニーズを持った消費者に対して深い知識やこだわりの商品を提供できる強みを持っています。
例えば、スポーツ用品店や家電専門店、書店などが代表的な例です。
いずれも取り扱う商品の専門性が高く、スタッフもその分野に関する知識を深く持っていることが多いため、消費者はより的確なアドバイスや情報を得られます。
消費者の趣味や興味に合った商品を提案し、個別対応が可能なため、他の大規模小売店にはない特別なサービスを提供できるのも強みです。
- ニトリホールディングス
- 株式会社良品計画
- 株式会社ABCマート
コンビニ
コンビニエンスストア(コンビニ)は、ご存知の通り現代の生活に欠かせない小売業態の1つで、24時間営業を基本とし、手軽に食品や日用品を購入できる場として広く利用されています。
コンビニは都市部だけでなく地方にも展開しており、「セイコーマート」や「デイリーヤマザキ」のように一部地域にのみ展開しているものを除いて、全国的に展開するチェーン店が主流となっています。
食品や飲料に加えて、雑誌やタバコ、化粧品など、取り扱う商品は幅広く、日常生活で頻繁に利用される商品を多く取り揃えているのが特徴です。
さらに、宅配便の受け取りや公共料金の支払い、ATMの利用といった多様なサービスも提供しており、その利便性の高さから多くの消費者に支持されています。
近年ではコンビニ業界もデジタル化が進んでおり、モバイル決済やセルフレジの導入、またはオンライン注文に対応した新たなサービスが展開されています。
- セブン-イレブン・ジャパン
- ファミリーマート
- ローソン
【小売業界】ビジネスモデル
小売業界のビジネスモデルについても理解を深めておきましょう。
小売業界のビジネスモデルは基本的に卸売業から仕入れた商品を直接消費者、つまりエンドユーザーに販売するという形態です。
小売業者はメーカーや卸売業者から大量に商品を購入し、消費者が購入しやすい形で店舗やオンラインプラットフォームを通じて販売します。
消費者のニーズに応えながら効率的に商品を販売することを目的としています。
【小売業界】市場規模
2025年4月現在、日本の小売業界は堅調な成長を続けており、市場規模も拡大傾向にあります。
経済産業省の商業動態統計によると、2024年上半期(1月〜6月)の小売業販売額は81兆3,890億円で、前年同期比2.7%の増加となりました 。
これを年間ベースに換算すると、約162兆円規模と推計されます。
引用:経済産業省商業動態統計
【小売業界】業態別の市場規模
- 百貨店:前年同期比10.7%増。インバウンド需要の回復や高額品の販売が好調。
- スーパーマーケット:前年同期比3.4%増。食品や日用品の安定した需要が継続。
- コンビニエンスストア:前年同期比1.7%増。店舗数と1店舗あたりの販売額がともに増加。
- ドラッグストア:医薬品や化粧品の需要増加により、販売額が伸長。
- 家電大型専門店:前年同期比1.1%減。生活家電は堅調だが、情報家電の需要が一部減少。
- ホームセンター:前年同期比横ばい。DIY需要の安定が見られる。
【小売業界】小売業界の現状
続いて、小売業界の現状について紹介します。
小売業界全体の流れなどについて理解を深めることができれば、面接で小売業界について質問された際にもスムーズに答えられるようになります。
業界についての理解が深いことを示れば、モチベーションが高い就活生であるとみなされる可能性が高いため、ぜひ把握しておきましょう。
- 回復基調と二極化
- ECの継続的な成長
- 物価上昇の影響
回復基調と二極化
新型コロナウイルスの流行による影響からの回復が進むにつれて、街での人々の流れが戻り、実店舗における売上は持ち直しの動きを見せています。
これはコロナ禍での外出制限の開放からの外出機会の増加、インバウンド需要の好調からの外国人観光客の増加などが背景にあると考えられます。
その一方で、昨今の物価上昇や為替レートの円安傾向といった経済環境の変化を受け、消費者の間では生活節約を重視する志向も依然として根強く残っています。
この結果、消費行動においては、品質や体験価値を重視した比較的高価格帯の商品・サービスと、日常的なコストパフォーマンスを重視した手頃な低価格帯の商品へと需要がはっきりと分かれる「二極化」の傾向がより顕著になっています。
業態・立地・戦略によって明暗が分かれるような状況になってきているのです。
EC(電子商取引)の継続的な成長
インターネットを通じたオンラインショッピングの手軽さや時間・場所を選ばない利便性が、多くの消費者の間で広く深く浸透した結果、EC(電子商取引)の市場規模は継続的に拡大しています。
この成長傾向は、アパレルや家電製品だけでなく、これまで実店舗での購入が中心であった食品や日常的な生活必需品といった分野にも顕著に及んでおり、幅広いカテゴリーでEC化が着実に進展しています。
これはコロナにおけるパンデミックを契機に定着や、若年層だけでなく中高年層やシニア層の利用の広がりなどが背景だと考えられます。
こうした市場の変化に対応するため、多くの小売業者は、ECサイトやアプリなどと実店舗の垣根を越えて、顧客に対して一貫性のあるシームレスな購買体験を提供するOMO(Online Merges with Offline)戦略の構築と強化に、より一層注力する動きを見せています。
物価上昇の影響
製品の製造に必要な原材料費、店舗運営や配送に不可欠なエネルギー価格、商品を消費者まで届けるための物流費、そして従業員を雇用するための人件費など、企業活動を取り巻く様々なコストが広範囲にわたって高騰しています。
この直接的な影響により、食品から日用品、サービスに至るまで、多くの商品カテゴリーにおいて値上げの動きが相次いでいる状況です。
小売業者としては、これらのコスト上昇分を吸収しきれず、販売価格に適正に反映させる「価格転嫁」を進めざるを得ない局面にあります。
しかし、値上げが消費者の購買意欲を過度に低下させないよう、そのバランス調整には非常に難しい舵取りが求められています。
具体的な対応策としては、イオンのトップバリューシリーズのような自社企画のプライベートブランド商品の開発や品揃えを強化、集客効果を狙った期間限定のセールや魅力的なキャンペーンを展開したりするなどの企業努力が見られます。
【小売業界】小売業界の課題
現在の日本の小売業界が全体として直面している主な課題、すなわち、今後乗り越えていくべき経営上の問題点や構造的な変化についてご紹介していきます。
ここで触れる小売業界における個別の課題についてより詳しく具体的に掘り下げて解説した記事も別途ご用意しております。
さらに深い情報や具体的な事例、詳細な分析に関心をお持ちの方は、ぜひそちらの関連記事も合わせてご参照いただけますと幸いです。
- 人手不足の進行
- DXの推進
- 業態間の競争激化
- サプライチェーンの課題
人手不足の進行
小売業界における深刻な課題の1つとして人手不足の進行が挙げられます。
労働人口の減少に伴い、小売業界全体で人手不足がかなり深刻です。
特に若年層の減少と高齢化により、従来の労働力確保は難しくなっています。
さらに、小売業界は他の業種と比較して給与や労働条件が厳しい場合が多く、これが離職率の高さや新規の応募者の減少に拍車をかけています。
また、長時間労働や不規則な勤務時間が敬遠される原因となっており、従業員の定着率を向上させるための労働環境改善が急務です。
AIなどの技術を活用した省力化や効率化の導入が試みられてはいますが、導入コストや技術習得の課題も依然として存在します。
人手不足は店舗運営の効率低下や顧客サービスの低下を招き、売り上げにも直接影響を及ぼすため、早急な対策が求められるといえるでしょう。
DXの推進
小売業界において、DXの推進は、業務効率化と顧客体験(CX)向上の観点から課題とされています。
特に大手企業では、POSデータの高度な分析によるマーケティング施策の最適化、ECサイトと実店舗間の在庫情報や顧客情報の一元管理・統合、AIなどを活用した需要予測に基づく在庫管理の最適化といった取り組みが積極的に進められています。
例えばユニクロでは顧客の購買データや行動ログをAIが分析し、需要予測・補充計画に活用も行っています。
しかし、中小規模の事業者においては、DX推進に必要な専門的なIT人材の不足や、システム導入・運用にかかる資金の確保が依然として大きな障壁となっています。
このため、企業規模によってデジタル化への対応スピードに顕著な格差が生じているのが現状です。
業界全体の持続的な成長と競争力維持のためには、DXの恩恵をいかに中小企業も含めた全体へと広く浸透させられるかが、今後の重要な鍵を握っています。
業態間の競争激化
現在の小売業界では、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストアといった、本来は異なる特徴を持っていたはずの複数の業態が、食品や日用品、一部の化粧品や医薬品、さらにはプライベートブランド商品など、共通する商品・サービスを取り扱う領域が拡大しています。
この結果、各業態間の境界線が曖昧になり、それぞれの店舗や企業が独自の強みを打ち出して他社との差別化を図ることがますます困難な状況になっています。
特に、消費者の購入頻度が高く価格に敏感な日常使いの商品カテゴリーにおいては、激しい価格競争や類似した販促キャンペーンの頻発が常態化し、各社の収益性を圧迫する大きな要因となっています。
このような厳しい競争で持続的に成長するためには、単なる安売り競争から脱却し、独自のブランド価値の確立や、顧客にとって魅力的で記憶に残るような購買体験を提供することなど、価格以外の付加価値をいかに創造し、高めていけるかが、各社にとっての重要な経営課題となっています。
利便性×価格×体験のバランス設計も重要になってきます。
サプライチェーンの課題
小売業を取り巻くサプライチェーンは、国内外の様々な要因により多くの課題を抱えています。
国際的には、異常気象などによるグローバルな物流網の混乱・不安定化、歴史的な円安水準による輸入コストの増加、そして世界的なインフレーションに伴う原材料価格の高騰といった外部からの圧力が強まっています。
これらに加え、日本国内では、2024年4月から適用が開始されたトラックドライバーの時間外労働に対する上限規制などに起因する、いわゆる「物流の2024年問題」が深刻化しています。
これにより、輸送能力の低下、ドライバーの深刻な人手不足、そして配送遅延リスクの高まりなどが大きな問題になっています。
こうした困難な状況に直面する中で、小売業者はデータ分析に基づく精度の高い需要予測システムの導入、欠品や過剰在庫をなくすための在庫の管理、そして安定的な商品供給を維持するための物流との連携の強化を通じて、サプライチェーンの効率性を見直し、変化に対応できるレジリエントな体制を構築することが必要です。
POS、在庫管理、物流システムがバラバラで全体最適に至っていない中小企業が多いことも課題です。
【小売業界】小売業界の将来性
続いて、自分が就職することになる小売業界の将来性についても理解を深めておきましょう。
先ほど話した課題や現状についてだけでなく、将来性についても面接で聞かれることがあります。
「自分の将来を考えるため」という目的はもちろんのこと、面接でスムーズに答えられるようになるためにも、小売業界の将来性について考えるための3つのポイントを理解しておきましょう。
- オンラインショッピングの拡大
- ビジネスモデルの変化
- デジタル化・DXによる進化
- 環境・サスティナビリティの対応
- インバウンド需要のさらなる回復・拡大
- 地域密着型・コミュニティ志向の強化
オンラインショッピングの拡大
オンラインショッピングが拡大していることは、小売業界の将来性を考える上で非常に重要なポイントです。
ESサイトの利用が増加し、消費者がオンラインで商品を購入する機会が増えています。
これに対応するために、小売業者はオンラインプラットフォームの強化に力を入れている傾向にあります。
特に店舗販売とオンライン販売を統合するオムニチャネル戦略を採用する傾向が強いです。
顧客がオンラインでもオフラインでも一貫した購買体験を得られるようにすることを目的としています。
例えば、オンラインで商品を注文し、実店舗で受け取る「クリック&コレクト」サービスや、オンラインで購入した商品を店舗で返品交換できるサービスなどがあります。
これにより、顧客の利便性が向上し、売上の向上も期待できるのです。
また、データ分析を活用して顧客の購買行動を理解し、パーソナライズされたマーケティングを実施することも重要です。
オンラインショッピングの拡大は、今後も小売業界の成長を支える重要な要素となるでしょう。
ビジネスモデルの変化
ビジネスモデルが変化していることも、小売業界の将来性を考える上で欠かせないトピックです。
特にSPAとD2Cのビジネスモデルが注目されています。
SPAは企画、製造、販売を一貫して行うビジネスモデルであり、ユニクロやZARAなどが代表的な例です。
中間業者を排除することでコストを削減し、迅速に市場のトレンドに対応できます。
D2Cも、「製造者が直接消費者に商品を販売するモデル」という点では同じです。
中間マージンを削減し、消費者に対して高品質な商品をリーズナブルな価格で提供できます。
両者は非常に似ていますが、端的に違いを説明するとSPAは「商品を効果的に市場に出すこと」を重視しており、D2Cは「ブランドの世界観」を重視しています。
また、SPAは実店舗がメインですが、D2Cは自社ECをメインチャネルとして商品を展開します。
SPAは低価格で市場のトレンドや顧客のニーズに対応できますが、類似品が世に溢れてしまうというデメリットもあります。
一方、D2Cは顧客の声は尊重しつつ、世界観を重視していることが多く、料金もSPAほどは安くないことが多いです。
いずれも「企画から販売まで行う」という点は共通しており、混同されがちで、両者の垣根も徐々に少なくなっていくと考えられています。
しかし、現状は明確な違いが存在するため、面接でSPAとD2Cについて聞かれた際は、両者の違いをわかりやすく説明できるようになっておきましょう。
デジタル化・DXによる進化
小売業界では、DXの推進が、事業運営の効率化と顧客体験(CX)の質的向上を同時に実現する原動力となっています。
具体的には、AI技術を活用し、個々の顧客の購買履歴やオンラインでの行動データ、属性情報などを分析することで、一人ひとりに最適化された商品や情報を推奨する精度が向上しています。
また、ECサイトやモバイルアプリといったオンラインチャネルと、実店舗というオフラインチャネルのデータを統合・連携させ、顧客がいつでもどこでも、チャネルを意識することなく一貫性のあるスムーズな購買体験を得られるOMO(Online Merges with Offline)戦略も強化されています。
これは新しい小売の姿でありどの企業も対応していかなければいけません。
これらの先進的な技術の活用は、売上機会の最大化に貢献するだけでなく、提供するサービスの質そのものを高め、結果として厳しい市場環境における企業の競争力強化に直結しています。
環境・サステナビリティへの対応
近年、気候変動問題や資源枯渇への懸念など、地球環境に対する社会全体の意識が急速に高まっています。
この大きな変化に対応するため、小売業界においてもサステナビリティを経営の重要課題と位置づけ、具体的な取り組みを強化する動きが加速しています。
例えば、環境負荷の少ない素材を使用したエコ商品の開発・販売、使い捨てプラスチック製レジ袋の有料化義務化を契機としたさらなるプラスチック使用量の削減、フードロス削減に向けた取り組み、使用済み容器や衣料品などの店頭回収とリサイクルの促進などが積極的に実施されています。
これらの活動は、地球環境保全に直接的に貢献することはもちろん、環境問題に関心を持つ消費者の共感を呼び、企業イメージやブランド価値を向上させ、企業が社会の一員として果たすべき責任を実践する上でも極めて重要な意味を持っています。
インバウンド需要のさらなる回復・拡大
コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されて以降、日本を訪れる外国人観光客、インバウンドの数は力強く回復しており、今後もさらなる市場の拡大が見込まれています。
2025年4月現在、この回復・拡大基調は、国内の人口減少が進む中で、小売業界にとって非常に重要な成長機会となっています。
消費目的は多様化し、多くの小売企業では、増加する海外からの旅行者を重要なターゲット顧客層と明確に位置づけ、彼らの多様なニーズに応えるための新たなビジネスモデルの構築や、受け入れ体制の整備・サービスの拡充を急いでいます。
具体的には、免税手続きの簡便化や専用カウンターの設置、多言語に対応できるスタッフの配置や翻訳の導入、外国人観光客に人気の高い商品の重点的な品揃え、観光客が訪れる観光地や宿泊施設と連携した効果的なマーケティング活動の強化などが、求められています。
小売業界は大量消費とのセットで語られる機会が多かったですが、現在では持続可能な社会をつくる側としての責任も問われているのです。
地域密着型・コミュニティ志向の強化
全国一律のサービスを提供するだけでなく、それぞれの店舗が立地する「地域」の特性を深く理解し、そこに住む人々との関係性を重視する「地域密着型」の店舗運営や、「コミュニティ志向」の取り組みを強化する動きが小売業界で注目されています。
これは、画一的な品揃えやサービス提供に留まらず、その地域ならではの顧客ニーズやライフスタイルにきめ細かく応える商品・サービスの開発・導入、地元の生産者や商店との連携強化、地域のお祭りやイベントへの積極的な参加・支援などを通じて、顧客との強固で長期的な信頼関係を築き上げていこうとする戦略です。
こうした活動は、短期的な売上向上のみならず、顧客の店舗やブランドに対する愛着や顧客ロイヤリティを高め、地域社会における企業の存在価値そのものを向上させます。
変化の激しい時代においても持続可能で安定した長期的な成長基盤を確立することに繋がると期待されています。
大量消費・大量出店の時代が終わった今の小売業界ではこうした、地域とのつながりが差別化の要因になっているのです。
小売業界のトレンド・ニュース
小売業界のトレンドやニュースについても理解を深めておきましょう。
今後小売業界がどのように展開していくのか、現在は何が注目されているのかなどについて理解しておくことが大切です。
業界知識を深め、志望動機や自己PRにこれらの情報を盛り込んで、モチベーションの高さを強調しましょう。
- オンラインとオフラインの融合
- 環境に配慮した経営
- イマーシブ・リテールの台頭
- サブスクリプション型販売
- AIによるパーソナライズ
- ライブコマース
- コミュニティ主導型リテール
オンラインとオフラインの融合
小売業界ではオンラインとオフラインを掛け合わせたオムニチャネルマーケティングが重要性を増しています。
消費者の購買行動が多様化し、店舗で商品を確認してからオンラインで購入する「ショールーミング」や、オンラインで情報を収集して店舗で購入する「ウェブルーミング」が一般的になりつつあります。
このような行動に対応するため、小売業界はオンラインとオフラインの統合を進めているのです。
オンラインストアと実店舗の在庫を共有するシステムや、店舗で受け取りが可能な「クリック&コレクト」の導入が広がっています。
消費者はオンラインで購入した商品を実店舗で試着したり、受け取ったりできるため、利便性と安心感を得られます。
環境に配慮した経営
小売業界では環境に配慮した経営が重要なテーマとなっています。
持続可能な社会を目指す動きが世界的に広がる中で、エシカル商品や環境負荷を軽減する取り組みを積極的に進めている企業が多いです。
消費者の環境問題への意識も高まる中で、環境に優しい製品やサービスを選ぶ傾向が顕著になっています。
具体的な例として、多くの小売企業がリサイクル素材を使用した商品やプラスチック削減を目的としたパッケージの改善などが挙げられます。
特に大手アパレルブランドなどは回収した古着を再利用して新しい製品を作る「サーキュラーエコノミー」の概念を取り入れるところも多いです。
イマーシブ・リテールの台頭
小売業界ではVR・ARを活用したイマーシブ・リテールが新たなトレンドとして注目されています。
消費者に没入感のある購買体験を提供することで、従来の店舗型販売やオンライン販売にはない価値を生み出しているのです。
特に、若年層を中心に、新しい体験を求める消費者のニーズに応える形で導入が加速しています。
アパレル業界ではARを活用したバーチャル試着サービスが普及しており、消費者は自宅にいながらスマートフォンを使って自分の姿に洋服を試着し、サイズ感やデザインを確認できるECサイトも多いです。
また、家具業界では、AR技術を利用して、自宅の部屋に商品を配置した際のイメージを可視化するサービスが人気を集めています。
これにより、消費者は購入前に商品の適合性を確かめられるため、満足度の向上と返品率の低下が期待されているのです。
サブスクリプション型販売
サブスクリプション型販売は、顧客が定額料金を定期的に支払うことで、特定の商品やサービスを継続的に利用できる権利を得るビジネスモデルです。
企業側にとっては、毎月(または年間など)の安定した財源が見込めるため、収益の予測可能性が高まり、計画的な事業運営が可能になるという大きなメリットがあります。
一方、消費者側にとっては、一度契約すれば都度購入する手間が省け、特定の商品が自動的に届けられたり、サービスをいつでも利用できたりするという利便性があります。
また、単品購入よりも割安な価格設定がされている場合も多く、コストパフォーマンスの面でも魅力となることがあります。
特に、化粧品やサプリメント、食品といった定期的な消費が見込まれる消耗品の分野や、動画・音楽配信サービス、ソフトウェア利用などのデジタルエンタメ・サービス分野において、このサブスクリプションモデルは急速に成長しており、多様な業界で導入が進んでいます。
売って終わりのモデルから、継続的なつながりと体験を重視するビジネスに変化してきているのです。
AIによるパーソナライズ
AI技術を活用したパーソナライズは、現代の小売業において顧客一人ひとりの満足度を高め、エンゲージメントを深めるための鍵となる戦略です。
このアプローチでは、過去の購買データ、ウェブサイト上での閲覧履歴やクリックパターン、検索キーワード、さらに年齢・性別・居住地といった属性情報など、膨大なデータをAIがリアルタイムかつ高度に分析します。
その分析結果に基づき、個々の顧客がその瞬間に最も興味を持つであろう商品、関連性の高い情報、あるいは特別なプロモーションなどを、ECサイト、モバイルアプリ、メールマガジンといった最適なチャネルを通じて、最適なタイミングで提示します。
例えば、通販サイトのAmazonでこの商品を買った人は...が代名詞のように個別最適なサービス・体験を提供しています。
このように、画一的ではない、個人に最適化されたコミュニケーションは、顧客の「自分ごと」として捉えられやすく、結果として購買意欲の刺激、売り上げ向上、そして顧客満足度の向上を通じた長期的なブランドへの信頼と顧客ロイヤルティの獲得に大きく貢献します。
ライブコマース
ライブコマースは、インターネット上でのライブストリーミングと電子商取引を組み合わせた、新しい形態のオンライン販売手法です。
この販売スタイルでは、人気のインフルエンサーや企業の広報担当者、あるいは実店舗の販売スタッフなどが「ライバー」として登場し、ライブ配信を通じて商品の特徴や使い方、コーディネート例などを実演しながら紹介します。
最大の特徴である魅力は、配信中に視聴者がチャット機能などを利用して、リアルタイムで質問をしたり、コメントを送ったり、他の視聴者と感想を共有したりできるという、高いインタラクティブ(双方向)性にあります。
配信者はその場で視聴者の疑問や要望に応えることができ、まるで実店舗で接客を受けているかのような臨場感や一体感を醸成します。
これにより、商品の魅力がより深く伝わり、視聴者の購買意欲を効果的に高め、楽しみながら購入へと導くことが期待されており、特に若年層を中心に急速に普及が進んでいます。
コミュニティ主導型リテール
コミュニティ主導型リテールとは、企業が単に商品やサービスを一方的に提供するのではなく、特定の地域社会や、共通の趣味・関心・価値観を持つ顧客層と、能動的かつ密接に連携し、協働しながら共に価値を創造していくことを目指す小売りのアプローチです。
またSNSやクラウドファンディング、イベントなどを通じて、「共感」や「つながり」を軸にした運営をするのが特徴です。
この考え方に基づいた販売スタイルでは、例えば、コミュニティのメンバーである顧客自身が主体的に参加できるワークショップや体験イベントを企画・開催したり、地域住民や特定の顧客グループの意見・フィードバックを積極的に収集し、それを商品開発や店舗の品揃え、サービスの改善に反映させたりします。
こうした企業と顧客との双方向の関与を通じて、顧客は単なる「消費者」として扱われるのではなく、ブランドや店舗運営に貢献する「パートナー」としての一体感や帰属意識を感じることができます。
これにより、企業と顧客との間に深いエンゲージメントが育まれ、ブランドへの共感や信頼性が向上し、短期的な売上だけでなく、長期的な関係性の構築と顧客基盤の強化に繋がることを目指しています。
この仕組みでは小さな店舗でも、「共感と参加」でファンに支えられるブランドを作れるというメリットもあるため再評価されているのです。
【小売業界】小売業界の職種・仕事内容
続いて、小売業界の仕事内容についても理解を深めましょう。
小売業界の仕事には大きく分けて7種類あり、それぞれが異なる役割を担当します。
基本的には1つの役割に集中して取り組むことが多いですが、複数の役割を同時に担うこともあります。
いずれにせよ、自分がどの仕事に向いているのか理解を深めることは重要ですし、自分以外の職種について何を行っているのか知っておけば、お互いを尊重しながら業務を進められます。
したがって、時間に余裕がある人は、ぜひ自分が目指している職種以外についても確認してみてください。
・販売
・店舗経営
・バイヤー
・店舗開発
・商品開発
・マーケティング
・物流管理
販売
販売の仕事は店頭でお客様に直接商品を販売することです。
主な仕事内容には接客、レジ打ち、品出しなどがあります。
販売スタッフは商品の説明や提案を行い、お客様のニーズに応じた商品を提供することで満足度を高める役割を担っています。
また、レジ業務では正確な会計と迅速な対応が求められ、品出しでは商品を適切に陳列し、常に店舗を清潔で魅力的に保つことが重要です。
多くの企業ではまずはじめに販売業務を経験させ、基本的な接客スキルや商品知識を身につけさせられることが一般的です。
しかし、販売の仕事はお客様との直接的なコミュニケーションを通じて、企業の顔としての役割を果たしているため、最初に任されることが多いとはいえ、責任重大であるといえます。
入社後、まずは販売職を任された場合は成長のため、そして企業の評判を保つため、常に成長を目指しながら仕事に取り組みましょう。
店舗経営
店舗経営職は販売スタッフや店舗の売上の管理を行います。
マネージャーや店長と呼ばれるポジションであることが多く、店舗全体の運営を統括します。
スタッフのシフト管理や教育、売上目標の設定と達成、在庫管理、顧客サービスの向上などが仕事です。
店舗運営において実績を上げることで、さらなるキャリアアップも期待できます。
例えば、複数店舗を管理するエリアマネージャーや本社の運営部門への昇進なども考えられます。
ただし、常に店舗の目標達成のために戦略を考え、実行するリーダーシップやスタッフとの円滑なコミュニケーションが重要な仕事です。
時には良い意見だけでなく、マイナスなクレームやフィードバックなどにも真剣に向き合い、サービス改善を図りながら顧客満足度を向上させなければならない仕事です。
バイヤー
バイヤーの仕事は商品の仕入れや買い付けを行うことです。
自社の社風やお客様のニーズに合わせた商品をメーカーや卸売業者から直接仕入れます。
つまり、市場調査やトレンド分析を行い、どのような商品が売れるのかを予測する力が求められます。
例えば、季節ごとの商品の需要や流行を把握し、適切なタイミングで仕入れることで、売上の最大化を図ります。
価格交渉や供給契約の締結も担当し、コストパフォーマンスを考慮しながら品質の高い商品を確保しなければなりません。
また、顧客からのフィードバックをもとに、商品ラインナップを最適化することも仕事の1つといえます。
企業の売上に直結するため、非常に重要な役割が問われる、そしてセンスや経験が重要なポジションといえます。
店舗開発
店舗開発はどこにどのようなお店を建てていくのかを考える仕事です。
これには店舗の立地の選定やコンセプトの策定、設計や施工管理など多岐にわたる業務を行わなければなりません。
立地選定ではどの地域にどのような店舗を展開するかを決定するために、地域の人口動向や競合店の状況、交通アクセスなどの条件を詳しく分析しなければならないのです。
さらに、店舗とコンセプトを明確にし、ターゲットとなる顧客層を絞り込むのも仕事の1つです。
プロジェクト管理スキルや不動産に関する知識が求められる仕事であり、店舗運営の基盤を築く重要な役割を果たしているといえます。
商品開発
商品開発の仕事は顧客のニーズに合わせた新しい商品の企画や開発を行うことです。
特に近年は多くの小売企業がプライベートブランドを立ち上げ、その独自の商品を市場に投入しています。
分かりやすい例で言うならば、ファミリーマートなどのコンビニで売られている、その企業のロゴがパッケージに掲載されているお菓子などが挙げられます。
商品開発の仕事ではまず市場調査を行い、消費者が求めている商品やサービスを特定します。
その後、具体的には商品コンセプトを策定し、デザインや製造方法を決定します。
例えば、近年は健康志向が高まっているため、糖質が低く、タンパク質が高い栄養価のある食品を開発するなど、トレンドに合わせた商品企画が求められます。
製品の試作やテストマーケティングを行い、消費者からのフィードバックを反映して改良をするのも商品開発の仕事です。
想像力と実行力が求められ、消費者の期待に応える製品を生み出し続けなければならない仕事といえます。
マーケティング
マーケティングの業務は他の業界と同じく、広告やイベントの企画を通じて企業の製品やサービスを効果的に市場に送り出すことです。
まず市場調査を行い、競合他社の動向や消費者の嗜好を分析します。
これに基づいて、どのようなプロモーション活動が効果的かを考えるのが仕事です。
例えば、新製品の発売に合わせてキャンペーンを企画したり、SNSを活用した広告戦略を展開したりします。
イベントの企画も非常に重要で、展示会やフェアなどを通じて直接顧客と接触し、製品の魅力をアピールするのも仕事の1つです。
マーケティングの成功は売上の増加だけでなく、長期的なブランド価値の向上にも寄与します。
したがって、マーケティング担当者にはクリエイティブな発想と戦術的な思考が求められるといえます。
物流管理
小売業界における物流管理の仕事は物流や在庫を効率的に管理することです。
商品の入荷から出荷までの全プロセスを監督し、適切な在庫量を維持します。
物流管理者は売上情報をもとに需要を予測し、どのくらいの商品を仕入れるべきかを判断します。
また、在庫の保管方法や配送ルートの最適化を図り、コスト削減と効率化を目指すのも仕事です。
例えば、倉庫内でのピッキング作業は自動化することで作業時間を短縮し、人的ミスを減らすこともできます。
また、在庫管理システムを導入し、リアルタイムで在庫状況を管理し、過剰在庫や欠品を防ぐのも仕事です。
物流管理の仕事は商品の供給チェーン全体を統括する重要な役割になっており、物流管理が優秀な企業は消費者に対する迅速で正確な商品提供を実現しています。
【小売業界】代表的な企業
続いて、小売業界において代表的な企業を3つ紹介します。
いずれも、おそらくこの記事を読んでくれている方のほとんどが名前を聞いたことがあり、さらに利用したことがある企業でしょう。
実際にこれらの企業への就職を目指すかどうかは置いておいて、どのような業績を達成しているのか、どのような企業であるのかについて理解を深めることは就活に役立ちます。
大手企業に関する情報は面接で聞かれる場合もあるので、ぜひ押さえておきましょう。
・ニトリホールディングス
・イオン
・セブン&アイ・ホールディングス
ニトリホールディングス
まずはニトリです。
ニトリは日本の家具・インテリア小売業界において代表的な企業の1つといえます。
2023年・24年には文系就職ランキングで1位に輝いた企業です。
この要因の1つは、新しく採用された総合職社員の転勤を伴わない勤務制度の導入です。
この制度により社員は家族や生活基盤を安定させながらキャリアを積むことができるため、働きやすい環境が整っています。
ブランドとしてはコストパフォーマンスの高い商品を提供することで多くの消費者から支持されている企業です。
また、店舗展開や物流センターの効率化を図ることで、商品供給の迅速化と在庫管理の最適化を実現しています。
このような大企業の成功の背後には、消費者のニーズに応える商品企画力と、社員が働きやすい環境づくりに注力する経営戦略があるということを覚えておきましょう。
イオン
イオンは日本最大級の総合小売企業であり、先進技術を積極的にサービスに取り入れています。
特に注目されているのは国と千葉市が主体となって行っているドローン配送の実証実験への参加です。
この実験により、ドローンを活用した迅速かつ効率的な配送サービスの実現を目指しています。
これにより消費者に対するサービスの質を向上させるとともに、物流コストの削減や環境負荷の軽減にも寄与しています。
また、イオンはAIやIoTを活用したスマートストアの開発にも力を入れており、顧客の購買データを分析してパーソナライズされたサービスを提供することを目指しているのも特徴です。
これらの先進技術の導入は消費者にとっても利便性を高め、競争力を維持するために重要な戦略です。
もし面接において@大企業の考え方から学んだこと」などについて聞かれた際は、「イオンが顧客の購買データを分析し、それぞれに適切なサービスを提供すること」などと話しても良いでしょう。
セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングスはセブンイレブンを中心としたコンビニエンスストア事業でナンバーワンのシェアを誇る企業です。
特に高品質なプライベートブランド商品の評価が高く、消費者からの高い支持を集めています。
セブンイレブンは新商品開発において消費者の嗜好や市場のトレンドを敏感に押さえ、常に魅力的な商品を提供し続けています。
また、同グループのイトーヨーカドーなど様々な業態の店舗を全国展開しており、幅広い商品に対応しているのも特徴です。
IT技術を駆使して顧客データの分析を行い、個々の顧客に最適な商品提案を行うなど、デジタルマーケティングに力を入れています。
【小売業界】小売業界の売上ランキング
以下のランキングは小売業界の売り上げランキングです。ぜひ現状を知って就活の参考にしてみてください。
- 1位 セブン&アイ・ホールディングス | 11.47(兆円) | コンビニ(セブン-イレブン)、総合スーパー(イトーヨーカドー)、百貨店など多業態展開。オムニチャネル戦略を強化。
- 2位 イオン | 9.55 (兆円)| 総合スーパー(イオン)、スーパーマーケット(マックスバリュ)、ドラッグストア(ウエルシア)など多様な業態を展開。
- 3位 ファーストリテイリング(ユニクロ) | 2.77 (兆円)| アパレル専門店。海外展開が好調で、特にアジア市場での成長が著しい。
- 4位 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテ) | 1.94 (兆円)| ディスカウントストア。独自の店舗運営と商品展開で若年層を中心に支持を集める。
- 5位 ヤマダホールディングス | 1.59(兆円) | 家電量販店。住宅関連事業やリフォーム事業への進出も進めている。
【小売業界】小売企業で働く魅力
小売業界の代表的な企業について理解ができたところで、続いて小売業界で働く魅力についても理解を深めておきましょう。
以下の2つの魅力が自分にとって魅力的に映るということは、あなたは就職後、やりがいを持って働ける小売業界に向いている人である可能性が高いです。
・お客様の感謝の言葉が直接聞ける
・平日の休みが取れる
お客様の感謝の言葉が直接聞ける
小売業界で働くことの最も大きな魅力は、お客様の感謝の言葉を直接聞けることです。
小売業では日々多くの顧客と対面する機会があり、商品やサービスを通じて顧客満足度を高めることが主な仕事です。
例えば、商品について詳しい説明をしたり、おすすめの商品を提案したりすることで顧客から「ありがとう」や「助かりました」といった感謝の言葉をいただくこともあります。
こうした言葉は仕事のモチベーションを高めるだけでなく、自身の接客スキルやサービス提供の質が評価されていることを実感する瞬間です。
また、お客様とのコミュニケーションを通じてリピーターを増やすことができるとともに、店舗の信頼性や評判を向上させることにもつながります。
このようなやりがいは、小売業界で働く魅力の1つとして代表的なものです。
平日の休みが取れる
後ほど小売業界で働く時の注意事項として土日の休みが取りづらいことを紹介しますが、裏を返すならば、平日の休みが取りやすいということです。
小売りの店舗ではシフト制が一般的であり、土日祝日に出勤し、平日に休みを取ることが多いです。
友人や家族との休日が合わせにくいというデメリットはありますが、混雑することなく映画館やショッピングモールを利用できたり、飲食店では平日限定のお得なランチを食べられたりもします。
また、平日の休みを利用して役所や銀行など平日しか営業していない場所へ行くこともでき、日常生活の様々な手続きをスムーズに行うこともできます。
自分の時間を大切にしたい人は静かな環境で趣味に没頭したり、リラックスしたりするための貴重な時間にもできるでしょう。
このように、シフト制で働くことによって平日の休みが取れるというメリットは非常に大きなものです。
【小売業界】小売業界で働く時の注意事項
続いて、小売業界で働く時の注意事項についても、2つ覚えておきましょう。
以下の2つは小売業界で働く人が不満に思うことが多いポイントです。
もし、以下の2つに強烈な抵抗がある場合は、小売業界以外にも業界を調べてみて就活の選択肢に入れておいた方が良いかもしれません。
・土日の休みが取りずらい
・給料が低い
土日の休みが取りづらい
先ほど平日に休みが取れることをメリットとして紹介しましたが、つまり土日の休みが取りづらいということでもあります。
小売の店舗は多くの場合、週末や祝日にお客様が集中し、売り上げも高まるため、スタッフのフル稼働が求められます。
これにより、土日は確実に休暇を取ることは難しく、家族や友人との予定を合わせることが難しくなってしまいます。
例えば、週末に家族や友人と過ごすことができないため、重要なイベントや行事に参加できない可能性もあり、「子供の運動会に行ってあげられない」と嘆く親御さんも多いです。
したがって、小売業界で働くにあたっては土日に働くことが多くなるということをあらかじめ念頭に置き、平日を有効に活用する工夫をしなければならないということを覚えておきましょう。
給料が低い
残念ながら、小売業は他の業界と比較すると平均年収が低い傾向にあります。
経済産業省のデータによると、小売業界の平均年収は約497万円となっており、他の業界と比較しても低い水準です。
特に忙しい業務を日々こなす小売業の労働者にとって、「これだけ働いているにも関わらず、これだけしかもらえないのか」と不満を感じることも多いです。
体力的に厳しい仕事であることはもちろん、職場によってはクレームが絶えないところもあり、日々精神的にも厳しい仕事をこなしているにも関わらず、給料が低いということはモチベーションの低下にもつながってしまいます。
したがって、「小売業界で働きたいけれども、より多く給料を得たい」という方は早い段階でキャリアアップできるよう、工夫しながら業務に取り組む必要があります。
またこちらの記事には小売業界の注意点なども詳しく書いてあるのでぜひ参考にしてみてください。
【小売業界】小売業界に向いている人
続いて、小売業界に向いている人の特徴についても3つ紹介します。
以下の3つの特徴が当てはまっている人は、小売業界で働くにあたって活躍できる可能性が非常に高いです。
これまでの学生生活やアルバイトを通じて、以下の3つの能力や特徴を発揮した場面や実感した場面がないか考えてみましょう。
・コミュニケーション能力が高い
・流行に敏感
・ストレス耐性がある
コミュニケーション能力が高い
これは皆さん想像がついていることでしょうが、コミュニケーション能力が高い人こそ小売業界に向いているといえます。
小売業は顧客と直接接する機会が非常に多く、初対面の人ともすぐに打ち解けることが求められます。
例えば、店舗で接客をする際には商品の説明やおすすめの提案を通じて顧客との信頼関係を築かなければなりません。
高い対人能力を持つ人は顧客のニーズを的確に把握し、満足のいくサービスを提供することでリピーターを増やすこともできます。
また、コミュニケーション能力が高い人はチーム内での協力や連携も円滑に進めることができ、複数人で業務に取り組むことが多い小売業において職場の雰囲気をより良くできます。
また、コミュニケーション能力が高い人はクレーム対応や問題解決の場面でも適切な言葉遣いや対応を通じて顧客の信頼を回復することも可能です。
このように、普段の接客だけでなく、同僚とのコミュニケーションやクレームが発生した場合の対処などにもコミュニケーション能力は活用できるため、小売業界で働くにあたっては必要不可欠なスキルであるといえます。
流行に敏感
小売業界で働くにあたっては流行に敏感である必要があります。
消費者の嗜好や市場のトレンドを常に把握し、次に売れる商品を見極めることが求められるからです。
特にファッション業界ではこの傾向が非常に強く、季節ごとにトレンドが変わります。
その流れを先取りし、バイヤーの場合は流行の商品を仕入れる、販売職の場合は最先端の流行アイテムを提案するなどの工夫が求められるのです。
また、流行に敏感な人はSNSやインターネットを活用してリアルタイムで情報を収集し、消費者のニーズに迅速に対応することもできます。
このような人材は企業のマーケティング戦略や商品開発においても貴重な存在となり得ます。
流行を的確に捉えることで競合他社との差別化を図り、消費者の興味を引き付けることができるからです。
したがって、流行に敏感な自信がある人は、自己PRなどで積極的にアピールしましょう。
ストレス耐性がある
小売業界で働くにあたっては、楽しいことばかりではありません。
複雑な顧客対応を任されることもありますし、理不尽なクレームに遭遇することも珍しくありません。
例えば、忙しい時間帯に多くのお客様が一斉に来店した際も迅速に対応しなければなりませんし、理不尽な要求をしてくる、横柄なお客様に対しても毅然とした対応をすることはできますが、怒鳴り返すようなことは基本的に日本では許されていません。
したがって、ストレス耐性があり、プレッシャーの中でも冷静に判断し、効率的に業務をこなすことができる人物が求められていると言えます。
自分なりのリフレッシュ方法を確立しており、良い意味で全てを真面目に受け止めるのではなく、理不尽なことは笑って受け流せるような能力がある人の方が小売業界に向いているといえます。
【小売業界】小売業界に向いていない人
小売業界に向いている人の特徴がわかったところで、反対に小売業界に向いていない人の特徴についても簡単に押さえておきましょう。
もし、全ての要素が当てはまってしまう場合は他の業界も就活の選択肢に入れた方が良いかもしれません。
・体力がない人
・プライベートを優先したい人
・対人関係が苦手な人
体力がない人
体力がない人は小売業界で働くことがなかなか難しいかもしれません。
小売業界の仕事は体力が必須だからです。
お客様への接客や店内を歩き回ること、商品の陳列や在庫の管理など、立ち仕事が多く含まれます。
このような仕事を長時間にわたって行うためには、当然ながら体力が必要です。
また、セールやイベント時は通常よりも忙しくなり、体力をさらに消耗することになります。
体力がない人にとってはこれらの業務は非常に辛く感じることでしょう。
また、体力不足からくる疲労も溜まりやすく、健康に影響を与えるリスクすらあります。
したがって、体力に自信がない人は他の業界や職種を検討するか、就活本番までに体を鍛えておきましょう。
プライベートを優先したい人
プライベートを優先したい人も、小売業界には向いていない可能性が高いです。
小売業界の人手不足が深刻であり、なかなか休みが取りづらい状況です。
特に週末や祝日に営業している店舗が多く、繁忙期には休暇を取得しにくいのが一般的とされています。
営業時間も長いため、シフト制度の勤務が求められることが多く、夜遅くまでの勤務や早朝からの勤務が求められることもあります。
プライベートの時間が制約されることが多く、家族や友人との時間を大切にしたい人にとっては多大なストレスとなる可能性があるでしょう。
仕事とプライベートのバランスを重視する人は、小売業界以外の職種や業界を検討することもおすすめです。
対人関係が苦手な人
対人関係が苦手な人も小売業界には向いていないと言わざるを得ません。
顧客と直接対応して適切なサービスを提供することが求められる業界だからです。
接客や販売業務では様々なタイプの顧客とコミュニケーションを取る必要があり、対人スキルが非常に重要となります。
対人関係が苦手な人にとって、頻繁な顧客対応やチーム内でのコミュニケーションは多大なストレスとなり、モチベーションも高まらないことでしょう。
さらに、クレーム対応や気難しい顧客とのやり取りが発生することも多く、精神的な負担を強く感じることも少なくありません。
対人関係を苦手に感じる人は、就活本番までに多くの人と関わり、克服するか、バックオフィス業務やリモートワークなど、対人関係が少ない職種を検討することをおすすめします。
【小売業界】小売業界で求められるスキル
続いて、小売業界で求められるスキルについても確認しておきましょう。
以下の2つのスキルが当てはまる人は就活本番までにさらに伸ばせるように、自信がない人は早めに改善し、当てはまるように何かしら取り組みを始めてみましょう。
・柔軟性
・コミュニケーションスキル
柔軟性
小売業界では柔軟性が求められます。
季節ごとや曜日ごとに商品販売のスタイルが大きく変化するため、その変化に迅速に対応する能力が重要です。
また、週末や祝日にはお客様の来店が増えるため、スタッフの配置や業務の優先順位を柔軟に調整する必要もあります。
そして何より、お客様からの複雑な要望やクレームにも迅速かつ的確に対応するためには、柔軟な思考と行動が不可欠です。
柔軟性を持つことで顧客満足度を高めるとともに、業務の効率化やトラブルの早期解決も可能になります。
したがって、これまでの学生生活において柔軟性を発揮したエピソードがあるならば、ぜひESや面接でアピールするようにしましょう。
コミュニケーションスキル
先ほども紹介した部分と似ていますが、小売業で働くにあたってはコミュニケーションスキルは必須です。
顧客と直接関わる機会が非常に多い小売業界においては、良好なコミュニケーションが満足度に直結します。
商品についての質問に適切に答え、ニーズに合った提案を行うなど、信頼関係を築くことが重要なのです。
また、フィードバックを積極的に受け入れ、サービス改善に役立てることも欠かせません。
社内外のコミュニケーションも小売業には必須です。
例えば、バイヤーや商品開発部門と連携して商品戦略を立てたり、物流部門と協力して在庫管理を行ったりなど、常に円滑な情報共有と意思疎通が求められます。
接客の場面だけではなく、あらゆる業務において重要な役割を果たすコミュニケーションスキルを持っているかは、小売業界で成功できるかを左右します。
小売業界に行くために覚えておくべき用語
小売業界に就職するにあたって覚えておきたい用語についても紹介します。
以下の3つの用語は、就職してからはもちろんのこと、就活の段階で理解しておいた方がより良い質の高いESを作成できる可能性のある用語です。
面接で話を振られた際に答えられないと困る用語でもあるため、ぜひ覚えておいてください。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、企業がユーザーとの接点となる様々なチャネルを連携させ、シームレスにアプローチする戦略を指します。
従来、店舗での販売やオンラインストアでの販売は別々に運営されていることが一般的でしたが、消費者の購買行動が複雑化する中で、オンラインとオフラインを統合する必要性が高まっています。
この戦略を採用することで、顧客はどのチャネルを利用しても統一された購買体験を得られるのです。
オンラインストアで商品を購入し、店舗で受け取る「クリック&コレクト」や、店舗で商品を確認した後にオンラインで購入する「ショールーミング」などが「オムニチャネル戦略」の一例です。
このような戦略は顧客の利便性を高めるだけでなく、企業にとっても在庫管理や販売データの一元化を実現するメリットがあります。
マーチャンダイジング(MD)
マーチャンダイジング(MD)とは小売業において消費者のニーズに応じた商品を適切な価格、数量、タイミングで提供する企業活動を指します。
この概念は店舗運営や商品企画の基盤となるものであり、消費者が満足する商品ラインアップを構築するために欠かせない要素です。
マーチャンダイジングには、まず消費者の購買傾向を分析する段階があります。
地域の特性や季節ごとの需要、競合他社の動向などを考慮しながら、どのような商品を仕入れるべきかを決定します。
その後、仕入れた商品の価格設定や陳列方法を検討し、販売計画を立てるという流れです。
この一連のプロセスは消費者の満足度向上と企業の利益最大化を目指すものであり、店舗運営の要とも言えます。
NB・PB
NB(ナショナルブランド)とPB(プライベートブランド)は、小売業界でよく使われる用語であり、それぞれ商品の企画や販売主体に基づいた分類を指します。
NBは大手メーカーが企画・製造し、全国規模で展開されるブランド商品を意味します。
一方、PBは小売業者が独自に企画・販売する商品を指す言葉です。
NBの商品は、広く認知されていることが強みです。
飲料や菓子、日用品など、CMや広告で頻繁に目にする商品は、消費者にとって馴染み深いものが多く、一定の品質が保証されています。
一方で、PBの商品は小売業者が自らのブランド力を活かし、消費者ニーズに応じた商品を提供する点が特徴です。
イオン系列が提供する「トップバリュー」など低価格帯の食品はPBの代表例です。
【小売業界】小売業界で実際に働くには
ここまで読んで小売業界で働きたいとモチベーションが高まってきた人も多いでしょう。
そこで早速、就活の対策を始めたいところですが、まず何から始めれば良いのかわからないという方も多いはずです。
そこで、ひとまずは以下の3つの分析を行ってみましょう。
まず自分について分析し、その後業界、そして入りたい企業について分析するという作業です。
・自己分析
・業界研究
・企業研究
自己分析
就活においては1にも2にも自己分析をしっかりすることが重要です。
自己分析を通じて自分の強みや弱み、価値観や働く上で重視するポイントを明確にできるからです。
例えば、あなたがどのような環境で最もパフォーマンスを発揮できるのか、どのような仕事にやりがいを感じるかを深く理解することで、志望動機や自己PRに役立てられます。
自己分析が不十分だと適切な企業選びや職種選びができず、就職活動がうまく進まない可能性があります。
自分の過去の経験や実績を振り返り、それらから得られたスキルや知識を整理してみましょう。
また、友人や家族、キャリアカウンセラーなど、第三者からのフィードバックを受け、客観的な視点を取り入れ、自分がどのような人材か企業からはどのように映る人材であるかを確認してみましょう。
業界研究
続いて、小売業界についての分析を行いましょう。
小売業界全体の課題や将来性を理解するために、業界の動向や市場規模について詳しく調べることが大切です。
本記事でも軽く紹介はしていますが、この記事を読むだけでは不十分です。
就活系の記事だけでなく、経済新聞や専門書などを活用して、小売業界はどのようなものであるか、最新のトレンドには何が挙げられるのかについて理解を深めましょう。
業界分析をしっかりと行うことで、自分が本当に小売業界で働きたいと断言できるのか判断できますし、就活対策にもなります。
面接においては、業界分析をしっかり行っているか確認するために、業界の将来性などについての知識を問われることも多いです。
予想外の質問にも対応できるよう、業界分析はしっかり行いましょう。
企業分析
就活を成功させるためには、業界を分析するだけでは不十分です。
なぜならば、小売業界には無数の企業があり、その中でなぜその企業を選んだのか説明できなければモチベーションをアピールできないからです。
小売業界では企業ごとに扱う商品の幅や社風、経営戦略などが異なります。
企業分析を通じてどのようなスキルが求められているのか、どのような価値観で営業しているのかについて確認しましょう。
これらを理解できれば、入社後にどのようなキャリアを歩めるのか、どのように成長できるのか見極めることも可能です。
企業の公式サイトや採用ページはもちろん、口コミや企業の説明会、インターンなどを活用して企業についての理解を深めることが大切です。
そして、自分の長所や特徴などと企業の求めている人物像が合致しているところを積極的にアピールすることで内定に近づけます。
適職診断ツールを用いる
「自分は小売業界に向いているのだろうか」「小売業界の中で自分の強みを活かせる職種は何だろうか」と悩んでいる人も多いでしょう。
このような方には、適職診断ツールを利用することをおすすめします。
弊社が提供している適職診断ツールは、就活のプロが選定した質問にLINEで答えるだけでスムーズに自分の適職を判断できます。
自己分析などに役立てることもできるため、就活に取り組む人にはぜひ一度利用してもらいたいサービスです。
完全無料で利用できるため、気になる方はぜひ以下のリンクから登録してみてください。
エージェントを活用しよう
今回は小売業界について詳しく紹介しましたが、志望動機や自己PRの作り方、面接対策などについては紹介しきれていません。
そこでおすすめなのが無料の就活エージェント、ジョブコミットを利用することです。
ジョブコミットなら就活相談はもちろん、ESの添削や面接練習なども行えます。
また、おすすめの企業の紹介などもしてくれるため、内定獲得に近づきます。
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まとめ
今回は、小売業界について概要から将来性、求められる能力や向いている人の特徴などについて紹介しました。
小売業界は土日に休めないなどのデメリットもありますが、お客様と接する機会が多く、やりがいを感じられるだけでなく、平日に休めることが多いため、自分の時間を満喫できることの多い業界です。
ぜひ本記事を読んで小売業界に強い魅力を感じた方は、就活の選択肢に入れてみてください。
ベンチャー就活ナビでは志望動機の作成方法や、自己PRが思いつかない時の対策についても紹介しているため、時間のある方はぜひ対策を行いたいトピックに関する記事を、他にも読んでみてください。