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【ES 成果を上げた経験の書き方】就活における成果とは
エントリーシート(ES)で「成果を上げた経験」を書く際、単に行った活動を説明するのではなく、その取り組みがどのような結果を生んだかを具体的に示すことが大切です。
企業がエントリーシートや面接で成果を尋ねるのは、応募者の業績そのものを知りたいからではなく、その実績を通して応募者がどのようなスキルや適性を持ち、企業でどのように貢献できるかを見極めたいからです。
また、もう一つの重要な理由に「ミスマッチの防止」があります。
採用した後で応募者が企業の価値観や文化に合わず、早期退職や転職してしまうと、企業にとっては採用に使った時間やコストが無駄になってしまいます。
ガクチカとの違い
「成果を上げた経験」によく似たテーマとして、エントリーシートでは「ガクチカ(学生時代頑張ったこと)」が挙げられますが、これらには明確な違いがあります。
成果は、具体的な結果や実績に焦点が当てられます。
どのような活動やプロジェクトに取り組み、結果としてどれだけのインパクトを生み出したかが問われます。
たとえば、「チームのリーダーとして売上を30%増加させた」「イベントの参加者を前年の倍に増やした」といった、数値や目に見える変化を伴うエピソードが求められます。
これは、実際の業務においても高い成果を上げられるかどうかを予測する材料となるため、企業にとって非常に重要な情報です。
一方、ガクチカは成果そのものよりも、その過程や取り組み姿勢に重きを置くものです。
ガクチカは、たとえ目に見える成果がなくても、どのような姿勢で挑戦に向き合ったか、困難をどう乗り越えたか、またその経験から何を学び、どのように成長したかをアピールできる場になっています。
【ES 成果を上げた経験の書き方】企業が評価するポイント
エントリーシート(ES)で成果を上げた経験を記述する際には、企業が評価するいくつかの重要なポイントを押さえておくことが必要です。
企業がエントリーシートや面接で成果を尋ねるのは、応募者がこれまでの活動でどのように貢献し、どのように成長してきたかを確認し、それが自社での活躍につながるかを見極めるためです。
以下のポイントを理解し、効果的に記述することが求められます。
ポテンシャルを評価
ポテンシャル評価とは、応募者が自分のスキルや資質を活かして課題をどう解決し、チームや組織にどれだけ貢献できるかを見極めることを指します。
具体的には、応募者が「どのような問題を見つけ、どのように解決に導いたか」「そのためにどんな工夫を凝らし、努力を重ねたか」が評価のポイントです。
たとえば、困難な状況でも冷静に状況を分析し、適切な判断を下したり、リーダーシップを発揮してチームを導いた経験があると、企業はその応募者がポテンシャルを秘めた人材であると判断します。
また、どのような行動をとったかだけでなく、その過程で発揮されたスキルや学びも評価対象となります。
問題解決能力やリーダーシップ、柔軟性といった資質が発揮されていると、企業にとって将来的に成長し、貢献してくれる可能性が高いと考えられます。
そのため、成果だけでなく、その過程での努力や工夫も具体的に記述することが大切です。
マッチ度を評価
次に、企業が評価する重要なポイントは「企業とのマッチ度」です。
企業は応募者が自社の文化や価値観にどの程度合致しているかを確認することで、長期的な雇用関係を築けるかを見極めています。
成果を上げた経験のエピソードからは、その人がどのような価値観を持ち、どのように他者と関わり、どのようなスタンスで仕事に臨むかがうかがえるため、企業とのマッチ度が評価されるのです。
たとえば、チームでプロジェクトを進める際に、自ら積極的に行動し、協力し合う姿勢を見せた経験や、困難な状況に対して柔軟に対応したエピソードは、企業が重視する「協調性」や「柔軟性」といった価値観に合致する可能性が高いでしょう。
また、日本企業は特に「一緒に働きたい人材かどうか」という点を重視する傾向があります。
採用後に組織に溶け込み、企業文化を尊重しながら活躍してくれるかを判断するため、自社の理念や文化とマッチする姿勢をアピールすることが重要です。
文章構成力・情報伝達力を評価
最後に、企業は応募者の文章構成力や情報伝達力を、成果を上げた経験から評価します。
たとえ優れた成果を上げていても、それが相手に伝わらなければ十分な評価にはつながりません。
ビジネスの場では、簡潔で論理的なコミュニケーションが求められるため、ESにおいても「何を」「なぜ」「どうやって」を明確に、順序立てて記述することがポイントとなります。
エントリーシートでの構成としては、「結論」「動機」「目標と課題」「取り組みと結果」「学び」の順でまとめると、読み手にとってわかりやすくなります。
最初に結論として何を達成したかを示し、その後に行動の動機や目標、課題、具体的なアクションと結果を記載することで、ビジネスにおける論理的な構成が意識できていることを示せます。
また、「定量的なデータ」を用いて結果を伝えることも効果的です。
「売上を20%増加させた」「参加者数を2倍にした」など、数値を示すことで具体的な成果が伝わりやすくなり、企業にとっても応募者の実力がわかりやすくなります。
【ES 成果を上げた経験の書き方】おすすめの構成
エントリーシートで成果を上げた経験を効果的に伝えるには、読み手が理解しやすい構成で記述することが重要です。
企業が成果を通じて見たいのは、応募者の行動や結果だけでなく、その背景や取り組みから得た成長や学びです。
このため、以下のような「結論」「目標」「実際の行動・結果」「経験からの学び」の流れに沿って記述することで、成果とその意義がより明確に伝わります。
結論
最初に記載すべきは「結論」です。
ここでは、自分が何を成し遂げたのか、成果そのものを端的に示します。
企業にとって、最初に結論が示されることで応募者の実績がわかりやすくなり、その後の詳細な説明にスムーズに入れるため、読み手の理解が進みます。
たとえば、「部活動の副部長として新入部員の退部率を40%削減した」や、「アルバイトで新規顧客の集客数を前年比150%に増加させた」など、具体的な成果を一文で簡潔に記載しましょう。
この「結論」部分は、読み手の印象に残りやすくするためにも重要です。
目標
次に、成果を達成するうえでの「目標」や「背景」を記述します。
ここでは、どのような目標を立て、その目標に向かってなぜ取り組んだのか、という動機や背景を明確にします。
企業は応募者が何を目指して行動し、どのような価値観でそれを成し遂げようとしたのかを知ることで、人物像や内面にある情熱を理解しやすくなります。
たとえば、「将棋部で同期が早期に退部するのを見て、退部率の削減を目標に副部長として部員のモチベーション向上に取り組むことを決めた」など、自分が意識した目標や背景を明確に伝えましょう。
目標設定に伴う課題も記載すると、挑戦に対する意識の高さが伝わります。
実際の行動・結果
続いて、「実際にどのような行動を取ったのか」と、その「結果」を具体的に説明します。
この部分がエントリーシートの中心となるため、丁寧に記述することが大切です。
行動を記載する際は、問題解決のためにどのようなステップを踏んだか、思考や工夫が伝わるように、状況に応じた具体的なアクションを順を追って説明します。
また、結果を示す際には、可能な限り「数値」を用いて定量的に記載すると説得力が増します。
たとえば、「部員のモチベーションが低いことが退部率の原因であると考え、部員全員に対して1対1でヒアリングを実施し、部活動における目標意識を共有しました。
その結果、部員の協力体制が強まり、1年間で退部率を40%削減することができました」など、行動から結果までをわかりやすく繋げると、具体的な成果が伝わりやすくなります。
経験からの学び
最後に、その成果を上げた経験を通じて「何を学び、どう成長したか」を記述します。
この部分は、応募者が成果にとどまらず、その経験からどのようなスキルや知見を得て、今後にどのように活かしていきたいかを伝える場です。
企業にとっては、応募者が経験を通じてどのように成長し、今後のキャリアでその学びをどう活かそうと考えているかを知ることで、採用後の活躍を予測する材料になります。
たとえば、「部員のモチベーションに寄り添い、目標を共有することでチーム全体が成果を出せることを学びました。
この経験を通じて、組織での協力や目標達成に向けたサポート力が大切であると実感しました。
貴社でも、チームとして目標に向けて貢献し続けたいと考えています」と記述すると、学びと今後の姿勢が企業に伝わります。
単に成果を述べるだけでなく、それが自分にとってどう意味のある経験だったのかを示すことで、読み手に強い印象を与えられます。
【ES 成果を上げた経験の書き方】高評価につなげるコツ
エントリーシート(ES)で「成果を上げた経験」を書く際、読み手に強い印象を与えるにはいくつかの工夫が必要です。
成果そのものを述べるだけでなく、論理的に整理され、具体性のあるエピソードとして書かれた経験は、企業側からも高く評価されます。
以下に、ESをより効果的に仕上げるための3つのコツを紹介します。
解釈と事実を区別する
ESを書く際には、応募者自身の解釈と事実を明確に区別することが大切です。
解釈とは、出来事や結果に対する自分の考えや感じたことを指し、事実とはそれが発生した客観的な結果やデータを指します。
たとえば、「部活動でメンバーの協力が得られた」と感じた場合でも、それを解釈として述べるのではなく、「部活動での意識改革により、メンバー全員が毎回のミーティングに参加するようになった」といった事実を明示すると、読み手にも理解しやすくなります。
この区別をすることで、企業側には応募者が冷静に状況を分析し、評価する力があることが伝わります。
ビジネスの現場では、感情や主観に頼らず、物事を客観的に捉える力が求められるため、解釈と事実を分けて書くことで、読み手に対する信頼性も高まります。
また、選考担当者が読み進めやすくなるため、ESの全体的な印象も向上するでしょう。
論理的な文章を作る
エントリーシートでは、応募者の論理的思考力も評価の対象です。
どれだけ優れた成果であっても、それがわかりやすく構成されていなければ、相手にしっかりと伝わりません。
そのため、成果を示すエピソードは「結論→背景→行動→結果」の流れで整理し、読み手がスムーズに理解できる構成にすることがポイントです。
たとえば、「営業インターンで新しい提案を通じて顧客数を増やした」という成果がある場合、まず「新しい提案を実施し、顧客数を前年比で20%増加させた」と結論を述べ、次に「顧客の満足度向上が必要だった」という背景に触れます。
その後で「顧客ニーズを分析し、それに合わせて提案内容を変えた」などの具体的な行動を記述し、最終的な「結果」として、顧客数の増加を数値で示すと論理的に構成された文章となります。
このように、読んで理解しやすい文章構成を心がけることで、企業側に伝わりやすく、好印象を与えることができます。
具体的な数字をエピソードに絡める
企業にとって、成果を定量的に示すことは非常に重要です。
具体的な数字を用いることで、成果の規模やインパクトが一目で伝わり、応募者の実力がよりリアルに感じられます。
たとえば、「チーム全体での売上を増加させた」という表現ではなく、「チーム全体の売上を半年で15%増加させた」と具体的な数字を加えると、実際のインパクトが明確に伝わります。
具体的な数字を使うことにより、ESの内容が説得力を増し、選考担当者にとって応募者がどれだけの成果を実現したかを理解しやすくなります。
また、ビジネスの現場でも結果を数字で示す力は重視されるため、こうした記述を通じて応募者の「結果を重視する姿勢」をアピールできます。
【ES 成果を上げた経験の書き方】NGな事
エントリーシート(ES)で成果を上げた経験を記述する際、企業に好印象を与えるには、避けるべき「NGなこと」にも注意が必要です。
成果を強調しようとしても、内容に信頼性や一貫性が欠けていると、逆に評価を下げてしまうリスクがあります。
以下に、ESで避けるべき「嘘・盛りすぎ」と「一貫性の欠如」について解説します。
嘘・盛りすぎはNG
ESでは、成果をアピールしようとするあまり事実を誇張したり、嘘を交えて記述してしまうと、企業にマイナスの印象を与えてしまいます。
嘘や誇張は面接で深掘りされた際に露呈しやすく、信頼性を損なう大きなリスクが伴います。
特に、選考が進むにつれて面接官から具体的な質問を受ける場面では、話に矛盾が生じると信頼が失われる原因になります。
例えば、「1ヶ月で売上を50%増加させた」といった実績が実際には誇張されている場合、その詳細を質問されたときに答えられず、採用担当者に嘘がばれる可能性が高くなります。
また、実際の企業での業務は信頼関係が基盤となるため、信頼性を欠いた応募者は企業にとってリスクのある人材と見なされがちです。
誇張や嘘を避け、実際の経験に基づいて成果を素直に記述することが重要です。
一貫性が無いのはNG
エントリーシートに記載される内容は、一貫性があることが非常に重要です。
過去の経験や成果を述べる際に、エピソードの中で行動や考えがころころ変わると、読み手に違和感を与えます。
例えば、最初はリーダーシップを発揮しているように見える内容で始まったのに、途中で他者に依存した話に切り替わると、エピソード全体の信頼性が低下します。
また、一貫性のない内容は、応募者が自身の経験や強みを整理できていない印象を与えてしまいます。
ビジネスの現場では、一貫性のある行動や態度が信頼につながり、安定した成果を出すために必要とされるため、採用担当者もこうした点に敏感です。
一貫性を持たせるには、エピソードの中で自身の価値観や信念がぶれないように意識し、同じ姿勢で取り組んだことを強調しましょう。
【ES 成果を上げた経験の書き方】エピソードが無い時は?
エントリーシート(ES)で「成果を上げた経験」を記述しようとしても、自分にはそのようなエピソードがないと感じることがあるかもしれません。
しかし、こうした場合でもあきらめる必要はありません。
多くの人が「特別な成果がない」と感じますが、実は工夫次第で自分の強みや成長を表現できるエピソードを発見したり、これから新たに作ったりすることが可能です。
以下に、エピソードがないと感じるときに試すべき3つの方法を紹介します。
過去経験を深掘りしてみる
まず最初に、過去の経験を丁寧に振り返り、深掘りしてみましょう。
普段の出来事が成果に感じられないのは、表面的な見方をしているだけで、実は自分では気づいていない意義のある経験が隠れている可能性があるためです。
アルバイトや部活動、学業やボランティアといった日常の経験を一つひとつ思い出し、それらにおける小さな成果や工夫、周囲への影響などを考えてみると良いでしょう。
例えば、アルバイトで「接客を工夫したことでリピーターが増えた」「限られた時間で業務をこなす工夫をした」など、小さな改善や成功体験も、深掘りすることで大きな成果として語ることができます。
また、成果が数値として残らない場合でも、困難な状況にどう向き合い、何を学び取ったかを整理してみると、自分の成長や学びのエピソードとして活用できるでしょう。
周りの人に聞いてみよう
自分では気づきにくい成長や成果を発見するために、周りの人に自身のエピソードを聞いてみることも効果的です。
友人や家族、同僚や先輩など、自分の行動や努力を見てきた人たちは、第三者視点であなたの成長や成果を捉えているため、新たな視点を提供してくれることが多いです。
自分では「当たり前」と感じていたことでも、周囲から見ると「特別な努力」や「貢献」だと評価されることがあります。
たとえば、部活動の仲間やアルバイト先の同僚から「あなたがリーダーとしてチームをまとめてくれた」「率先して提案してくれたおかげで、皆が協力的になれた」といった意見をもらえるかもしれません。
自分では見落としていた視点で成果を再認識できるため、エピソードを考える上でのヒントになります。
これから経験を作ってみる
もし本当に成果を示すエピソードが見つからない場合は、これから経験を作るという方法もあります。
特に就職活動を控えている時期であれば、積極的に新しい挑戦に取り組むことで、成果を得られる可能性が高まります。
ボランティア活動やインターンシップ、資格の取得、サークル活動の立ち上げなど、何か一つ新しいことに取り組むことで、成果を生む経験を得やすくなります。
例えば、地域のボランティア活動に参加して運営に貢献したり、自分の興味に基づいたSNSアカウントを運営してフォロワー数を増やしたりするなど、小さな取り組みでも続けることで成果を生むことができます。
こうした新しい経験は、就職活動においても自ら学びを深め、スキルを向上させようとする姿勢を示す良いアピールポイントとなるため、積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。
【ES 成果を上げた経験の書き方】ES作成に自信が無い時は?
まず、ESの基本的な構成をしっかりと押さえましょう。
「結論」「目標」「行動と結果」「学び」という順番で構成すると、読みやすく伝わりやすい文章になります。
自信がない場合でも、基本に沿って書くことで、文章が論理的になり、読み手に与える印象が格段に良くなります。
また、友人や家族、就職活動のアドバイザーなど、第三者にESをチェックしてもらうと良いでしょう。
特に、ESの内容を自分で客観的に判断するのが難しいと感じる場合、第三者の意見を聞くことで、自分の強みやアピールポイントがより明確に見えてきます。
また、周りの人のフィードバックをもらうことで、新しい気づきを得ることも多く、内容に深みが出やすくなります。
さらに、過去の自分を見つめ直し、「できていること」「成果を出したこと」にフォーカスする視点も役立ちます。
ES作成が進まないときは、基本に忠実であること、他者の意見を取り入れること、そして自分の成果を認めることを意識しましょう。
【ES 成果を上げた経験の書き方】まとめ
エントリーシート(ES)で「成果を上げた経験」を効果的に伝えるには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
まず、応募者が行動した結果を客観的に示し、企業側が読み取りやすい構成で記述することが求められます。
「結論」「目標」「実際の行動・結果」「学び」という構成を活用することで、成果をアピールする文章が論理的で分かりやすくなります。
また、信頼性と一貫性が評価の鍵です。
事実と解釈を明確に区別し、嘘や誇張を避けて書くことで、読み手に信頼感を与えられます。
一貫性のない内容や、盛りすぎたエピソードはかえって逆効果となるため、自然体で誠実に書くことが肝心です。
さらに、具体的な数字を用いることで、成果のインパクトがわかりやすくなり、企業にとっての応募者の実力をよりリアルに感じてもらうことができます。