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- SIer業界の特徴
- SIer業界の仕事内容
- SIer業界に向いている人
- SIer業界に興味のある人
- SIer業界の業界研究がしたい人
- SIer業界をより詳しく知りたい人
はじめに
SIer業界は近年注目されてはいますが、どのような業界なのか、なかなか明確に説明している記事が多くないのも事実です。
そこで今回はSIer業界の全体について紹介しつつ、大手5社の比較や向いている人の特徴などについて紹介するため、参考にしてください。
SIer業界とは
まずはSIer業界とは何なのかについて理解を深める必要があります。
SIer業界の仕組みやビジネスモデル、市場規模、就職難易度などについて詳しく紹介するため、参考にしてみてください。
・SIer業界の仕組み
・ビジネスモデル
・市場規模
・就職難易度
SIer業界の仕組み
SIer業界は企業や官公庁が求めるシステムを設計・開発し、その後の運用や保守を担う業界です。
主に一次請け、二次請け、三次請けという3つの層に分かれています。
一次請け企業は大手SIerが中心となり、クライアントと直接契約を結び、システムの提案や基本設計を担います。
ここでは顧客のニーズを把握し、課題解決のための全体像を描きます。
二次請け企業はその基本設計を基に詳細設計を行い、具体的なシステム仕様を決定することが仕事です。
この層では設計の正確性や効率性が重視されます。
そして三次請け企業は実際の開発や実装、テスト、さらに納品後の保守業務を担います。
三次請けは技術的な実務能力が重視される一方、一次請けや二次請けではプロジェクトマネジメント能力やクライアントとの調整力が求められます。
このようにSIer業界の仕組みは複数の層が連携してプロジェクトを進めることで成り立ってるのです。
ビジネスモデル
SIer業界のビジネスモデルは顧客企業からシステム構築や運用管理を受託し、その対価を得るという形を基本としています。
製造業や金融業、流通業などの企業が業務効率化や競争力向上を目的にシステム導入を検討するならば、SIer企業はそのニーズに応じたソリューションを提供します。
この過程で重要なのはシステムの導入だけでなく、その後の運用・保守を含めた長期的な関係構築です。
多くのSIer企業はハードウェアやソフトウェアの選定・提供から、カスタマイズ開発、さらにクラウド化支援などの包括的なサービスを展開しています。
このように顧客の業務改善をサポートしつつ、自社の収益基盤を築いています。
市場規模
2022年度におけるSIer業界の市場規模は約6兆734億円に達しました。
これは前年度比で3.3%の増加を示しており、堅調な成長が続いていることがわかります。
この成長の背景にはDXの推進が大きく影響しています。
多くの企業がデジタル技術を活用して業務効率化や新たなビジネスモデルの構築を目指しているため、SIer業界への需要が高まっているのです。
また、クラウドサービスやAIの導入支援といった新しい領域でも成長が期待されています。
一方で、労働人口の減少や技術者不足といった課題もあるため、業界の成長にはこれらの問題に対応する戦略が求められていると言えるでしょう。
就職難易度
SIer業界の就職難易度は比較的高いとされています。
IT業界全体の就職人気が年々高まっているからです。
特に大手SIer企業は多くの就活生にとって魅力的なキャリアパス、そして安定した経営基盤を提供しているため、競争が激しくなっています。
また、SIer業界では高度な専門知識や技術力だけでなく、クライアントの要望を正確に把握し、プロジェクトを成功に導くためのコミュニケーション能力も重視されます。
つまり、就職活動では自己分析を深め、具体的な志望動機や業界研究を基にした説得力あるアピールが求められるのです。
SIer業界の種類
続いて、SIer業界の種類についても紹介します。
SIer業界と言っても、その中にはさらに4つの分類があり、業務内容も異なります。
自分がSIer業界の中でもどのような企業で働きたいと考えているか検討するためにも、ぜひ参考にしてください。
・ユーザー系SIer
・独立系SIer
・メーカー系SIer
・外資系SIer
ユーザー系SIer
ユーザー系SIerは商社、金融、通信、製造など特定の業界に属する企業の情報システム部門が分社化して誕生した企業を指します。
このタイプのSIerは元々の親会社やグループ会社向けに情報システムの設計や運用を行うことを主な業務として発展してきました。
金融業界では銀行業務を支えるシステムの構築や保守を行い、通信業界では通信ネットワークを管理するシステムを提供しています。
これにより、それぞれの業界の特性や規制に精通している点が大きな強みとなっています。
近年では親会社以外の外部企業へのサービス展開を進めるケースも増加していますが、業界ごとの専門性を活かしたソリューションが中心です。
- NTTデータ
- NTTコミュニケーション
- 伊藤忠テクノソリューションズ
独立系SIer
独立系SIerは親会社やグループ企業を持たず、独自の事業展開を行うSIerを指します。
これらの企業はハードウェアや特定の製品に縛られることがないため、柔軟に顧客の要望に応じたシステムを構築できます。
この自由度の高さが特徴であり、様々な業界や用途に対応したシステム開発を行うことで広い顧客層を持っています。
製造業向けの生産管理システムから、サービス業向けの顧客管理ツールまで、多岐にわたるプロジェクトに携わっていることが特徴です。
多種多様なプロジェクトを経験したい人や新しい技術を学び続けたい人に向いています。
業界や製品に縛られず、幅広い技術や知識を獲得できる環境が整っているため、成長意欲が高い人には非常に魅力的な選択肢です。
- 大塚商会
- オービック
- BIPROGY(旧:日本ユニシス)
メーカー系SIer
メーカー系SIerはハードウェアメーカーが情報システム部門を分社化した企業を指します。
このタイプのSIerは特定のメーカーが開発したハードウェアや製品に最適化されたソフトウェアやシステムを提供することに特化しています。
大手電機メーカー系のSIerでは製造現場で使用される生産管理システムや物流管理システムの構築を手掛けることが多いです。
また、メーカー製品の導入に際して、システム全体を包括的に設計する力が強みです。
- 日立製作所
- 富士通
- 日本電気(NEC)
外資系SIer
外資系SIerは海外の大手IT企業が日本市場向けに設立した法人で、日本企業や政府機関向けにシステム構築やITソリューションを提供しています。
このタイプのSIerはグローバルで展開される最新の技術やソリューションを国内市場に導入する役割を担っています。
クラウドコンピューティングやAI、ビッグデータ解析など、最先端技術を駆使したプロジェクトが多い点が特徴です。
変化の激しい業界で多様なプロジェクトに携わりながら、国際的なネットワークを構築できる環境が整っています。
- 日本オラクル
- 日本IBM
- アクセンチュア
Sier業界の特徴は?
続いて、SIer業界の特徴についても紹介します。
様々な特徴があるSIer業界ですが、多くの企業に当てはまる特徴には以下のようなものが挙げられます。
それぞれ参考にしてみてください。
・顧客システム構築支援
・顧客のニーズに応じたオーダーメイド
・顧客との長期的な関係構築
顧客のシステム構築支援
SIer業界の特徴として、企業や公共機関に対して、ITシステムの設計、開発、運用、保守を一括して行う支援が挙げられます。
SIerはクライアントの業務やニーズを十分に理解した上で、最適なシステムを提案し、その導入をサポートします。
これにより、システムの導入から運用までを包括的に支援することができ、クライアントが抱える問題を効率的に解決する手助けができるのです。
SIerが行うシステム開発にはクライアントの業務フローや業界特有のニーズに合わせたオーダーメイドの設計が求められます。
これにより、既存のパッケージソフトウェアでは対応できない業務に対応したカスタマイズが可能になります。
また、運用や保守のサポートも含まれるため、クライアントはシステム導入後も安定した運用が続けられるよう支援を受けられるのです。
このように、SIerは単なるシステム開発だけでなく、クライアントの課題解決に向けた一貫したサポートを行うことが特徴です。
顧客のニーズに応じたオーダーメイド
SIerはパッケージソフトウェアでは対応できない顧客の業務ニーズに対して独自のシステムを開発することが基本です。
各企業や公共機関が抱える業務プロセスや要求は異なるため、SIerはその企業の具体的な課題に対して、最適なシステム設計を行います。
金融機関や製造業など、業種ごとに特有のシステム要件が存在しますが、SIerはそれに合わせたカスタマイズを行い、業務効率化や生産性向上に寄与するシステムを構築します。
クライアントとの密なコミュニケーションを通じて、必要な機能や仕様を詳細に把握し、それに基づいてシステム開発を行うのです。
オーダーメイドのシステム開発は企業の成長や変化に対応する柔軟性を持つため、長期的な視点での成長を支える要素となります。
顧客との長期的な関係構築
SIerはシステム開発が完了した後も、運用や保守を通じてクライアントとの長期的な関係を築くことが多いです。
システム導入後も運用中に発生する問題への対応やシステムのアップデート、機能追加など、継続的なサポートが求められるため、SIerは顧客と密接な関係を維持します。
運用サポートや保守契約が長期間にわたって続くことで、クライアントのシステムが安定的に運用されることを保証でき、クライアントの信頼を得ることができます。
また、システムの進化に伴って新たなニーズや改善点が浮かび上がることがあるため、SIerはその都度システムを改善し、進化させていくことも多いです。
これにより、クライアントは常に最新の技術や機能を享受し、企業の変化に対応した柔軟なシステムを利用し続けることが可能です。
SIerは「システム導入の担当者」ではなく「企業の長期的なITパートナー」として信頼される存在となります。
SIer業界の大手企業5社
続いて、SIer業界の大手企業を5社紹介します。
どのような業務を行っているのか、どのような点に強みを持っており、売り上げがどの程度であるのかなどについて詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてください。
実際にこれらの企業を受けない場合でも、成功している企業について知っておくことは就活において役立つことが多いです。
・日本電気(NEC)
・NTT DATA(NTTデータ)
・野村総合研究所
・オービック
・富士通
日本電気(NEC)
NECは情報通信技術を中心に幅広い事業を展開する総合電機メーカーであり、売上高は3兆3,130億円に達します。
SIerとしての側面も強く、特に顔認証や生体認証技術において高い実績を持ち、国内外で注目を集めています。
公共、金融、通信など多岐にわたる分野でシステム構築やソリューション提供を行い、社会のデジタル化に貢献しています。
また、AIやIoT、5Gなど先端技術の研究開発にも積極的であり、これらを活用した新規事業の創出にも取り組んでいるのも特徴です。
社員教育にも力を入れており、専門性の高い人材育成を推進しています。
NTTDATA(NTTデータ)
NTTデータはNTTグループの中核を担うシステムインテグレーターであり、売上高は業界トップクラスの3兆4,901億円を誇ります。
主な事業領域は官公庁や金融機関向けの大規模システムの構築・運用であり、日本国内のみならず、海外にも積極的に展開しています。
特に、公共分野や金融分野での実績が豊富であり、社会インフラを支える重要な役割を果たしていることが特徴です。
また、近年ではDX支援やクラウドサービスの提供にも注力し、時代のニーズに対応したサービス展開を進めています。
社員数も多く、多様な人材が在籍しており、研修制度やキャリアパスも充実しています。
野村総合研究所(NRI)
野村総合研究所は野村證券から独立して設立されたシンクタンク兼コンサルティングファームであり、売上高は6,460億円を記録しています。
金融業界向けのシステム開発やコンサルティングに強みを持ち、特に証券業界でのシェアが高いです。
また、官公庁や一般企業向けにも幅広いコンサルティングサービスを提供し、経営戦略立案や業務改革支援など多岐にわたる分野で活躍しています。
社員の専門性が高く、プロフェッショナルな人材が多数在籍しており、研修や教育制度も充実しています。
正し、プロジェクトごとに求められる知識やスキルが異なるため、継続的な自己研鑽が必要とされます。
オービック
オービックは独立系のシステムインテグレーターであり、統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」を主力製品としています。
売上高は1,115億円であり、システム構築や運用サービスを一貫して提供するビジネスモデルを特徴としています。
特に中堅企業をターゲットにしたサービスに強みを持ち、クライアントごとのニーズに応じたカスタマイズを柔軟に行える点が特徴です。
オービックの最大の特徴は独立系ならではの自由な経営体制と迅速な意思決定プロセスです。
親会社やグループ企業の制約を受けないため、顧客のニーズや市場の変化に迅速に対応できる体制を整えています。
富士通
富士通は情報通信技術を基盤としたサービスや製品を提供する大手企業であり、売上高は3兆1,765億円を計上しています。
製造業、金融業、流通業など幅広い業界に対して、システム構築やITソリューションを提供し、多様なニーズに応えています。
特に、クラウドサービスやAI、IoT分野での取り組みが活発であり、デジタルビジネスの推進に力を入れているのが特徴です。
また、グローバル展開にも積極的で、世界各地に拠点を持ち、現地企業との協業や現地ニーズに合わせたサービス提供を行っています。
社員の働き方改革やダイバーシティ推進にも注力し、柔軟な働き方や多様な人材の活躍を支援する制度を整備しています。
SIer業界の現状・課題
続いて、SIer業界の現状や課題について理解を深めておきましょう。
現状や課題について理解を深めておけば、それを解決するため、より良くしていくためにはどうすれば良いかについて考えることができます。
つまり、ESや面接において入社後どのように貢献するのかの部分の解像度が高まるため、ぜひ確認しておいて欲しい部分と言えます。
・多重下請け構造
・グローバル性の欠如
・クラウドサービスの普及
多重下請け構造
SIer業界において、多重下請け構造は大きな課題の1つとして長らく指摘されています。
この構造は大手SIerが直接クライアントと契約を結び、その後の開発業務を中小の下請け企業や個人のエンジニアに任せる仕組みを指します。
この構造には業務分担が明確になるという利点もある一方で、複数のレイヤーを経由することで情報伝達の精度が低下したり、開発スピードが遅れるといった問題があるのです。
さらに、中間マージンの発生により、最終的に実務を担当するエンジニアの報酬が減少することも避けられません。
その結果、エンジニアの労働意欲が低下し、人材不足やスキルの質的低下に繋がるリスクも孕んでいます。
また、業務内容が画一化されるため、中小企業やエンジニアが独自の価値を発揮する場が限られることも課題として挙げられます。
グロバル性の欠如
SIer業界は日本特有のビジネスモデルであり、他国には同様の業界が存在しないことが特徴です。
このため、日本国内で発展してきた独自の慣習や構造が国際的なビジネス展開を阻む要因となっています。
多くのSIerは国内市場を主軸としており、グローバル展開における課題に直面しています。
海外のIT市場ではクラウドサービスやプロダクト型のソリューションが主流であり、SIerのプロジェクト型受託開発のビジネスモデルは競争力に欠ける場合があるのです。
この違いは海外展開を目指す日本企業が現地でのニーズに応えるためのノウハウやネットワークの不足を感じる要因となっています。
こうした状況を改善するには、国内市場に依存せず、海外での競争力を高めるための製品開発やマーケティング戦略の強化が求められます。
クラウドサービスの普及
クラウドサービスの普及はSIer業界にとって大きな転換期をもたらしています。
従来のSIerはクライアントごとにシステムをカスタマイズして提供し、その運用や保守で安定した収益を得てきました。
しかし、クラウドサービスの普及により、これらのビジネスモデルが揺らぎつつあります。
クラウドサービスは初期投資が少なく、スケーラビリティや迅速な導入が可能であることから、多くの企業に支持されています。
これにより、SIerが収益源としていたシステム運用や保守業務の需要が減少する可能性があるのです。
また、クラウドベンダーが直接クライアントと契約を結ぶことで、SIerの役割が限定的になる懸念もあります。
ただし、クラウドサービスがすべてのニーズに対応できるわけではなく、複雑な業務フローを持つ企業では依然としてSIerによるカスタマイズが求められる場面も多いです。
そのため、SIerはクラウドサービスの導入支援やハイブリッド型ソリューションの提供など、新しいビジネスモデルを模索する必要があります。
SIer業界の今後の動向
続いて、SIer業界が今後どのようになっていくのかについて紹介します。
就職した場合、少なくとも数年間は働くことになるため、業界の動向について知っておくことは重要です。
あなたのキャリアプランを明確にするためにも、ぜひ確認しておいてください。
・深刻な人手不足
・間省庁や金融機関からの需要増加
・ビジネスモデルの転換
深刻な人手不足
SIer業界における人手不足は今後さらに深刻化すると予想されています。
2023年時点で約45万人のIT人材が不足しており、この数字は2030年までに約79万人に達する見込みです。
この人材不足はシステム開発や運用における需要の増加が背景にあります。
DXの推進に伴い、企業や官公庁を含む多くの組織がITインフラの整備を急いでいます。
しかし、それに対応するスキルを持つエンジニアの育成が追いついていないのが現状です。
さらに、多重下請け構造による低賃金や劣悪な労働環境が若手人材の離職を招いており、結果的に業界全体での労働力不足が加速しています。
この課題を解決するためには、教育機関と連携したITスキル教育の強化や、リモートワークを活用した多様な働き方の導入が求められます。
官公庁や金融機関からの需要増加
官公庁や金融機関におけるSIerへの需要は今後も増加すると見込まれています。
特に官公庁では行政サービスのデジタル化やマイナンバー制度の導入拡大などが背景にあり、大規模なシステム構築が必要とされています。
これらの分野では高度なセキュリティと堅牢なシステムが不可欠であり、その開発や運用を担えるSIerの役割は非常に重要です。
同様に金融機関でも、キャッシュレス化の推進やフィンテックとの連携により、システムの高度化が求められています。
また、金融業界では顧客データのセキュリティが最優先課題となっており、信頼性の高いシステムを構築するSIerの需要はさらに拡大するでしょう。
ビジネスモデルの転換
SIer業界では従来の受託型ビジネスモデルからの転換が進むと予想されています。
これまでのSIerはクライアントの要件に応じたカスタマイズ型システムを提供し、その運用や保守で収益を上げてきました。
しかし、クラウドサービスやAI技術の普及に伴い、このモデルの限界が浮き彫りになりつつあります。
今後の業界ではコンサルティング型のビジネスモデルが重要な位置を占めると考えられています。
AIやビッグデータを活用したサービス提供も増えるでしょう。
これにより、システム開発だけでなく、データ分析や予測モデリングといった付加価値を提供することが求められます。
SIer業界の仕事内容
ではSIer業界の仕事内容にはどのようなものがあるのかについても理解を深めておきましょう。
大きく分けてSIer業界には3つの職種が存在するため、それぞれの業務内容について紹介します。
あなたがどの職種に向いているのか考えながら、参考にしてみてください。
・営業
・企画
・開発
営業
SIer業界における営業職はクライアントとの契約獲得や関係構築を主な仕事としています。
営業担当者はまずクライアントの要望やニーズを理解し、それに最適なシステムソリューションを提案します。
特にSIer業界では単なる製品の販売ではなく、クライアントにとって最も効果的なシステム環境を提供することが必要です。
そのため、営業担当者は自社の技術力やサービスの特徴を十分に把握し、クライアントの業界特性や課題を理解することが重要です。
また、契約に至るまでの交渉や調整も行うため、営業スキルや交渉力が求められます。
営業職はただ契約を取るだけでなく、長期的な関係性を築くことが大切です。
企画
企画職はクライアントからヒアリングしたニーズをもとにシステム全体の構想や設計方針を立案する役割を担います。
まず、クライアントが求めるシステムの要件を詳細に把握し、その要件に沿った最適なシステム設計を行う必要があります。
企画段階ではクライアントの課題や目標に基づいて、システムの機能、規模、予算などを考慮しながら、プロジェクト全体のビジョンを明確に描くことが大切です。
また、システムの進行を管理する責任もあり、設計から開発、運用までの各段階を円滑に進めるための調整役を果たします。
進捗管理や品質管理も重要な役割となり、プロジェクトが遅延しないようにスケジュールを管理し、品質基準に従った作業を行うことが求められます。
開発
開発職はシステム設計書に基づいてプログラミング言語やツールを使用してシステムを開発する役割を担っています。
システム開発の中心となるのがこの職種であり、設計段階で決定された仕様に従い、プログラムコードを書くことが主な仕事です。
開発職はシステムが動作するための詳細な設計を実現し、バグの修正や機能追加を行う重要な役割を持ちます。
開発の際にはプログラミングだけでなく、システムが意図した通りに動作することを確認するためのテストやデバッグ作業も行います。
また、開発職はシステムの保守や運用後の改善を担当することも多く、継続的な改善を行うことが求められます。
特に技術革新が進む業界であるため、新しい技術の習得や適応力も必要とされるでしょう。
専門的な技術スキルを活かし、システム全体の性能や信頼性を向上させるために日々の改善作業に取り組むことが重要です。
SIer業界に向いている人の特徴
続いて、SIer業界に向いている人の特徴についても紹介します。
以下の3つの項目が当てはまる方はSIer業界で活躍できる可能性が高いと言えるでしょう。
一方、1つも当てはまらない場合は、就活本番までに少しでも近づけるように取り組むか、他の業界も検討してみてください。
・チームワークが好きな人
・論理的思考能力がある人
・コミュニケーション力がある人
チームワークが好きな人
SIer業界では営業職、企画職、開発職を問わず、チームワークが非常に重要です。
どの職種においても、クライアントとの円滑な関係構築や、プロジェクトの成功には社内外での協力が欠かせません。
営業職ではクライアントとの打ち合わせで得た情報を社内のエンジニアや企画担当者と共有し、プロジェクトを円滑に進めるための調整役を担います。
企画職では、システム全体の構想や設計方針を立案し、関係部署とのコミュニケーションを通じて、プロジェクトの進行をスムーズに進めなければなりません。
開発職ではチーム内での役割分担が重要であり、フロントエンド、バックエンド、データベース設計など、各専門分野の知識を駆使してシステムを構築します。
全職種に共通して言えるのは「個々の業務が他の部署との協力を通じて成り立っている」ということです。
論理的思考能力がある人
SIer業界では特に企画職と開発職において論理的思考能力が求められます。
企画職ではクライアントの要望をただ丸ごと受け入れるだけでなく、課題の本質を見抜き、それに基づいてシステム設計を行う必要があります。
システム全体の構想を立て、進行スケジュールを管理するためには、論理的な思考が不可欠です。
また、開発職ではプログラムコードの作成やシステム設計において、論理的なアプローチが欠かせません。
エラーやバグの修正を行う際も、問題を論理的に分析して原因を突き止め、適切な解決策を見出すことが大切です。
コミュニケーション力がある人
SIer業界では営業職、企画職、開発職を問わず、コミュニケーション能力が非常に重要なスキルです。
営業職ではクライアントとの信頼関係を築くために高いコミュニケーション能力が求められます。
営業担当者はクライアントが抱える課題を正確に理解し、最適なシステムソリューションを提案する必要があります。
企画職はクライアントとの打ち合わせを通じてニーズを把握し、プロジェクトを進めるための具体的な計画を立案することが仕事です。
したがって、コミュニケーション能力が高い人は、SIer業界のどの職種でも活躍しやすいでしょう。
SIer業界での頻出用語
SIer業界での頻出用語についても理解を深めておきましょう。
以下の用語を知っておかないと、面接などで話を振られた際にスムーズに回答できず、業界研究が不足していると思われがちです。
ぜひ質の高いESを作成し、面接での回答のクオリティも高められるよう、確認しておいてください。
・要件定義
・上流/下流工程
・クラウド
要件定義
要件定義とはシステム開発やプロジェクトの初期段階においてクライアントの要求や期待を具体的な形に落とし込む作業を指します。
このプロセスはプロジェクトの成功を左右する重要な工程であり、必要な機能や仕様を正確に定義することで、開発における混乱や不必要な修正を防ぐ上で重要です。
要件定義はクライアントの業務フローや現状の課題を深く理解することから始まり、現状分析や改善目標の設定を通じて、最適なシステムの構想を描いていきます。
この段階ではクライアントと密にコミュニケーションを取り、必要な情報を収集することが求められます。
また、収集した情報をもとに、機能要件や非機能要件を明確にすることも重要です。
機能要件はシステムが具体的に何を実現するのかを示し、非機能要件はセキュリティやパフォーマンス、スケーラビリティといったシステム全体の品質に関する条件を指します。
このように、要件定義はプロジェクト全体の土台を作る重要な工程であり、成功の鍵を握る部分と言えるでしょう。
上流/下流工程
SIer業界ではプロジェクトを効率的に進めるために上流工程と下流工程という概念が用いられます。
上流工程はプロジェクトの初期段階において全体の計画や設計を行う工程を指します。
要件定義や基本設計、プロジェクトマネジメントなどが含まれ、クライアントの期待や目標を明確にし、それを実現するための方針を定めます。
一方、下流工程は上流工程で決定された内容を基に、実際にシステムを構築する段階です。
プログラミングや詳細設計、テスト、運用といった具体的な作業がここに含まれます。
上流工程と下流工程は密接に連携しながら進められる必要があり、どちらの工程もプロジェクトの成功には欠かせません。
クラウド
クラウドとはインターネットを介して必要なリソースやサービスをオンデマンドで利用できる仕組みを指します。
クラウドコンピューティングは従来のオンプレミス型のシステムと比較して、柔軟性やコスト効率の面で大きな利点を持っています。
この概念ではユーザーが自らインフラやソフトウェアを保有する必要がなく、プロバイダーが提供するリソースを利用することで、初期投資を抑えつつ、高度な機能を活用できます。
クラウドは大きく分けて3つのサービスモデルに分類されます。
まず、IaaS(Infrastructure as a Service)は仮想サーバーやストレージなどの基盤的なインフラを提供します。
次に、PaaS(Platform as a Service)はアプリケーション開発に必要なプラットフォームを提供し、開発効率を向上させます。
そして、SaaS(Software as a Service)はユーザーがアプリケーションソフトウェアを直接利用できる形態です。
クラウドサービスはビジネスの迅速な展開やスケーラビリティの向上に寄与しており、SIer業界でも重要なトレンドと言えるでしょう。
SIer業界に行くためにすべきこと
続いて、SIer業界に就職するためにはどのような対策をしなければならないのかについても紹介します。
以下の3つはどのような業界の就活対策にも応用できる項目であるため、SIer業界だけを目指している方はもちろん、他の業界を併願している方も参考にしてみてください。
・業界・企業研究をする
・インターンシップに参加する
・OB/OG訪問をする
業界・企業研究をする
業界・企業研究は最も重要なステップの1つです。
他のIT業界と比較しても、SIer業界は独自の構造や働き方を持つため、事前にしっかりとした情報収集が必要です。
まず、SIer業界が提供するサービスやビジネスモデルについて深く理解しましょう。
この記事はもちろん、様々なサイトなどを活用して、しっかりと理解を深めることが重要です。
以下の記事では業界研究や企業研究の方法についてさらに詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
インターンシップに参加する
インターンシップに参加することは、最も抜本的かつ具体的な解決策であると言えるでしょう。
インターンシップでは業務内容や企業の雰囲気を直接体験できるため、インターネット上の情報だけではわからない具体的な知識を得られます。
実際のプロジェクトでチームメンバーとして業務に参加する機会があれば、チームならではの難しさや達成感を実感できるでしょう。
また、インターンシップを通じて自分の適性や興味のある分野を見極めることも可能です。
以下の記事ではインターンシップについてさらに詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
OB/OG訪問をする
OB/OG訪問も非常に重要な情報収集の手段です。
企業の雰囲気や実際の業務内容について、より具体的に知ることができます。
特に現場で働く社員から直接話を聞くことで、公式サイトや採用説明会では得られないリアルな情報を手に入れることができます。
実際のプロジェクトの進め方やクライアントとの関係性について具体的なエピソードを聞くことで、業界全体の理解が深まることでしょう。
また、OB/OG訪問では自分が志望する企業が本当に自分に合っているかを確認する絶好の機会となります。
訪問の際にあらかじめ質問内容を考え、強い興味を持っていることを示して、相手に良い印象を与えましょう。
以下の記事ではさらにOB/OG訪問について詳しく紹介しているため、気になる方は参考にしてみてください。
適職診断ツールを用いよう
ここまでSIer業界について詳しく紹介してきましたが、この記事を読んだだけで自分が本当にSIer業界に向いているか明確に判断できる人は、ほとんどいないはずです。
そこでおすすめなのは、適職診断ツールを用いることです。
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自己分析や他者分析も非常に重要ではあるのですが、どうしても主観が入り込みがちであるため、ツールに判断してもらい、自己分析と共通している点などを軸にして就活を進めることを推奨します。
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おわり
今回はSIer業界の概要について紹介しつつ、どのような仕事を行うのか、向いている人の特徴や頻出用語、内定を獲得するためにはどのような対策をしなければならないのかについて詳しく紹介しました。
SIer業界は非常に人気ですが、しっかりと対策をすれば内定を獲得することは十分に可能です。
ぜひ本記事を参考にさらにSIer業界への理解を深め、内定を獲得できるよう取り組んでみてください。