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- 公務員向けの就活の軸の作り方
- 面接に向けて対策しておくべきポイント
- 公務員の就活の軸を答える際の注意点
- 公務員志望で面接対策を進めている人
- 就活の軸に不安がある人
- 公務員で好まれる就活の軸を知りたい人
はじめに
就活の軸はぜひ定めておきたいものであり、それは一般企業を受ける場合だけでなく、公務員を目指す場合でも同じです。
今回は、まず「就活の軸とは何なのか」について簡単に説明した後に、公務員を目指す人が就活の軸を設けることで得られるメリットや、どのような回答の構成がおすすめか、より評価されるにはどのようなポイントを意識しなければならないのかについて紹介します。
ぜひ本記事を参考に、質の高い就活の軸を作成し、自分に合った就職先を選定し、選考で聞かれた際もスムーズに答えられるようになっておいてください。
就活の軸とは
まず、就活の軸とは何なのかについて考えてみましょう。
「就活の軸」とは「就活を進める上で絶対に譲れない条件」のことです。
民間企業だけでなく、公務員の面接においてもよく聞かれる質問であるため、公務員の仕事に適した形で、働く上で重視したいことや価値観を伝えられるように準備することが大切です。
ワークライフバランス、給料の高さ、休日の多さ、業務内容、職場の雰囲気、人間関係などが挙げられるでしょう。
公務員と言っても仕事の種類は多岐にわたるため、自分がどのようになりたいのかを明確にする上で、重要な判断基準にもなります。
公務員志望の人が就活の軸を持っておくべき理由
続いて、公務員を目指す人が就活の軸を持っておくべき理由について紹介します。
なぜ就活の軸を明確に定めなければならないのか、理由を理解できていない方も多いでしょう。
以下の2つを読めば納得でき、就活の軸を明確にしようという気になるでしょうから、ぜひ参考にしてみてください。
志望動機に説得力を持たせるため
公務員試験の面接などでは「なぜ公務員を目指すのですか?」という問いが、必ずと言っていいほどあります。
その際、公務員になりたい理由をただ述べて終わりではなく、心に響く志望動機とすると、内定の確率が高まります。
説得力のある志望動機を作成するためには「社会貢献がしたい」「地域のために働きたい」といった抽象的な表現で終わらせるのではなく、自分がどのような価値観を持ち、それに基づいてどのような職種や業務に興味を持ったのかを説明することが重要です。
そのために役立つのが、就活の軸です。
「地域の子どもたちが安心して学べる環境を作りたい」という軸ならば、それに基づいて「教育行政に関わり、学校や地域との連携を強化して、より良い教育環境を提供したい」などと具体的な志望動機を組み立てられます。
このように、自分の価値観を軸として志望動機を構築すれば、他の受験者と差別化を図れる質の高い志望動機が出来上がります。
ミスマッチを防ぐため
仕事を選ぶためにも、就活の軸を持つ必要があります。
公務員と言っても、国家公務員・地方公務員・行政職・技術職・公安職など様々な職種があり、それぞれ求められるスキルや業務内容も異なります。
なんとなく「安定しているから、公務員でいいか」という理由で就活を進めてしまうと、就職した後に「思っていた仕事と違った」「もう辞めたい」などと感じてしまう可能性が高くなります。
このようなミスマッチを防ぐために、自分が働く上で何を重視するのか、何が譲れないのかを整理しておくことで、適切な職種を選べるようになります。
公務員の面接で就活の軸を聞く意図
では公務員の面接において、なぜ人事の担当者は就活の軸を聞いてくるのでしょうか。
もちろん、担当者の価値観や部署によって多少意図が異なる場合や、他に意図が存在する場合もありますが、代表的なものは以下の3つです。
そして、以下の3つは一般企業にも当てはまる可能性が高いため、ぜひとも覚えておきましょう。
応募者の価値観を把握するため
公務員の面接で就活の軸について聞かれる理由の1つとして、価値観を確認しようとしていることが挙げられます。
公務員の仕事は社会のために貢献する役割を担うため、採用側は応募者がどのような考えを持ち、何を大切にして働こうとしているのかを知る必要があります。
「安定しているから」「福利厚生が充実しているから」といった理由ではなく「どのような姿勢で仕事に取り組みたいのか」「どのような価値観を持っているのか」を確認することで、職務の適性を見極めようとしていることが多いです。
また、就活の軸を通じて、応募者が自己分析をどれだけ深めているかも評価のポイントとなります。
しっかりと自己分析を行っている人ほど、自信を持って明確な就活の軸を提示するため「どのくらいやる気を持って自己分析を行い、どのくらいやる気を持って仕事に応募してくれているのか」の判断基準にもなるのです。
公務員の仕事内容への理解度を測るため
就活の軸を聞いてくるもう1つの理由として、応募者が公務員の仕事内容をどれほど理解できているかを確認することも挙げられます。
公務員の仕事は様々であるため、自分の軸に基づいてどのような業務に携わりたいのかを明確にできていなければ、就活の軸も明確になりません。
「安定しているから」「社会貢献ができるから」といった漠然とした理由を述べてくる就活生をふるいにかけることで、業務への解像度が高く、比較的即戦力として働いてくれる可能性の高い人物を採用しようとしています。
公務員の仕事は民間企業とは異なり、金銭的な利益を追求するのではなく、長期的な視点で社会全体の利益を考えることが大切であるため、仕事内容への理解度はさらに厳しくチェックされている可能性が高いのです。
公務員への適性を判断するため
公務員は当然ながら誰でもできる仕事ではありません。
国民の税金が給料である以上、責任感を持って業務に邁進できる人物こそが向いています。
社会貢献への意識や、公共の利益を優先する姿勢が大切です。
そうした要素を備えているかを、就活の軸について尋ねることで確認している場合があります。
「困っている人を支え、地域社会をより良くしたい」という軸を掲げている場合、公務員としての適性があると判断してもらえるでしょう。
「ただなんとなく応募している人物ではないか」「公務員は安定しているから」「消去法として公務員を選んだ」という人ではないかを確認し、その中で優秀な人物を採用しようとしています。
就活の軸の具体例
国家公務員の場合は国全体の政策や制度に関わる視点が求められているため、幅広い視野を持っていることを強調できると良いでしょう。
- 日本の経済成長を支える政策を立案し、国の発展に貢献したい
- 社会全体の公平性を確保する制度を構築し、誰もが安心できる社会を実現したい
- 災害対策や危機管理に携わり、国民の安全を守る仕組みを作りたい
- 国際的な課題に取り組み、日本のプレゼンスを高める外交を推進したい
- 法律の制定改正を通じて、時代に即した制度の整備を行いたい
地方公務員の場合は地域に密着した政策を提供する姿勢や、一人ひとり住民に寄り添った対応を目指すことなどを強調できると良いです。
- 地域の特色を活かした施策を推進し、まちづくりに貢献したい
- 高齢者や子どもが安心して暮らせる福祉環境を整えたい
- 住民の声を行政に反映させ、より良い地域サービスを提供したい
- 防災減災対策を強化し、災害に強い地域社会をつくりたい
- 地域経済を活性化させ、雇用創出や産業振興に貢献したい
- 火災や災害時に迅速に対応し、地域の安全を守りたい
- 救急救命活動を通じて、命を救う仕事に携わりたい
- 防災意識の向上を図る啓発活動に力を入れ、被害を未然に防ぎたい
- チームワークを活かして、住民の安心できる環境を維持したい
- 災害発生時の的確な指揮判断を行い、被害を最小限に抑えたい
- 犯罪の未然防止に努め、安全な地域社会を築きたい
- 被害者に寄り添い、正義を貫く警察官として社会に貢献したい
- 交通安全対策を強化し、事故のない街づくりに取り組みたい
- 地域住民と信頼関係を築き、身近な相談役として問題解決に努めたい
- 法律を正しく運用し、公正で安心できる社会を実現したい
- 地域の健康課題を解決し、すべての住民が安心して暮らせる環境を整えたい
- 感染症の予防や衛生管理を徹底し、公衆衛生の向上に貢献したい
- 食品や生活環境の安全を確保し、住民の健康を守りたい
- 医療機関や福祉施設と連携し、地域医療の充実を図りたい
- 健康づくりの啓発活動を行い、病気を未然に防ぐ取り組みを推進したい
- 子どもたちが安心して学べる教育環境を整えたい
- 教育の機会を平等に提供し、すべての子どもが成長できる社会をつくりたい
- 学校と地域の連携を強化し、地域ぐるみで子どもを支える体制を築きたい
- 特別支援教育の充実を図り、多様な学びのニーズに対応したい
- 教育政策の立案・実施を通じて、地域の教育の質を向上させたい
公務員の就活の軸を答える際のおすすめ構成
続いて、公務員を目指す人が就活の軸について聞かれた際に、どのような回答をすればよいか、おすすめの構成を紹介します。
以下の構成に沿って作成すれば、スムーズに相手が理解できる質の高い回答を提示できるでしょう。
また、この構成は公務員だけでなく一般企業を受ける方でも応用できるため、一般企業を併願している方も覚えておいてください。
結論
まずは何と言っても最初に結論を述べることが大切です。
志望動機においても、自己PRにおいても、何を聞かれた時でも「とにかく就活では、結論から述べる」と覚えておきましょう。
結論ファーストで端的に意見を述べられる人物は「仕事ができる」と判断してもらえ、評価が高まります。
また、最初に結論を示すことで、その後あなたがどのように話を展開していくのかについても想像してもらえるため、結論を念頭において相手が話を聞いてくれるようになります。
まずは「私が貴庁を志望する理由は〇〇です」などといった形で、一言で結論を述べましょう。
具体的なエピソード
次に、その就活の軸を設定するきっかけとなった具体的な経験を説明しましょう。
自分の価値観がどのように形成されたのかを示すことで、就活の軸が実際の経験に基づいたものであるということを強調できます。
「大学時代に〇〇のボランティアに参加し、地域の課題解決に関わる経験をしました」「〇〇の重要性を実感し、この経験が私の就活の軸につながりました」などと話すと説得力が増します。
エピソードは具体的かつ簡潔にまとめることが大切です。
どのような場面で何を感じ、どのような考えに至ったのかを明確にすることで、自分の価値観や思考を面接官に伝えやすくなるでしょう。
もちろん、面接官はその場に居合わせていた相手ではないため、可能な限り、数字や他の人の意見・感想なども交えて、情景が浮かぶような説明を心がけることも重要です。
軸と志望先の共通点
就活の軸と志望先との共通点を話すことも大切です。
面接官は「なぜこの自治体や省庁を選んだのか」を知りたいと思っているため、応募先の業務と自分の軸がどのように結びついているのかを具体的に説明するように心がけましょう。
「私の就活の軸は地域の防災力を高めることですが、貴庁は〇〇という防災計画を推進しており、価値観が一致しています」などと述べると、理解が深いことをアピールできます。
公務員の業務は多岐にわたるため、面接を受ける自治体や省庁の特徴を事前に調べ、自分の軸とどの部分が共通しているのかを整理しておくことが求められます。
公務員としてどう貢献できるか
就職した後に活躍してくれる人物を採用したいと考えているのは、一般企業だけでなく、公的な自治体も同じです。
就職した後、自分がどのように貢献できるのかを明確に説明しましょう。
「〇〇の強みを活かして〇〇に貢献したい」などといった形で説明することが大切です。
例えば、ボランティア活動で防災リーダーを務めた経験があるならば「住民と行政の橋渡し役として、より実効性のある防災政策の推進に貢献したいと考えています」などと話せば、具体的な貢献イメージを伝えられます。
ただ「努力したい」「頑張りたい」などと述べるのではなく「具体的に、どのように貢献してくれるのかを知りたい」という相手側のニーズを満たしてあげましょう。
公務員の面接に向けて対策しておくべきポイント
続いて、公務員の面接を受けるにあたって対策しておくべきポイントについて紹介します。
以下の3つをしっかりと対策できれば、一気に内定が近づくはずです。
「就活の軸のクオリティを高めるため」という目的を満たすためはもちろんのこと、志望動機や自己PR、ガクチカなどの回答のクオリティも高まることでしょうから、ぜひ入念に取り組んでみてください。
志望先の仕事内容への理解を深める
公務員の仕事は職種や業種によって大きく異なります。
国家公務員と地方公務員では役割が違い、地方公務員の中でも市役所・県庁・警察・消防・教育委員会など、それぞれ業務内容や求められるスキルは変わってきます。
そのため、面接では「なぜその職種を選んだのですか?」「どのような形で貢献してくれますか?」などといった質問がされます。
これに明確に答えられるようになっておくことが大切です。
公務員は民間企業とは違い、金銭的な利益の追求ではなく、公共の利益を目的とした仕事を行います。
例えば、市役所の行政職を目指すならば「地域の子育て支援に関わり、子育てしやすい環境を整えたい」などと述べると良いですし、防災系の仕事を担当したいならば「災害を通じて地域の人々の安全を守ることにやりがいを感じる」などと述べると良いでしょう。
志望先の地域の魅力や現状を把握する
面接では「なぜこの自治体を選んだのですか?」と聞かれることも多くあります。
公務員であれば、その職種を担当できるならば「どこでも良いんだろうな」と思われないように、その地域の魅力や現状を把握しましょう。
地域によって、それぞれ魅力は異なります。
ある地域は農業が盛んであるものの、高齢化が深刻な問題となっているかもしれませんし、また別の地域は魅力的な観光スポットが多いにもかかわらず、宣伝がうまくいっていないため、観光客が少ないのが課題かもしれません。
このように、あなたが目指している志望先の地域にはどのような魅力があり、現状、どのような課題があるのかを把握すると、その地域を志望した理由を明確に話せます。
また、現状をより改善するためにはどのようにすれば良いのかについても話せると良いです。
「あなたを採用したらどのように貢献してくれますか?」という質問に対しての回答も、よりクリティカルになることでしょう。
課題に向けた今後の取り組みを考える
面接では「志望先の自治体や省庁が抱える課題」についての質問がされることも多く「どのように課題を解決することに貢献してくれますか?」と聞かれることがあります。
これには「地域の現状を把握して、終わり」ではなく、その課題に対して自分なりの意見や取り組みのアイデアを用意しておくことが大切です。
例えば、少子高齢化が進んでいるところならば「若年層の定住率が低い課題があるため、若者が地元に定着できるような住宅支援制度や、地元企業と連携した雇用創出の政策に関心を持っています」などと述べると良いでしょう。
現実的かつ、相手が納得できるような、その地域の課題を解決できる案を提示することで「この人はまだ新卒だけれども、採用したら貢献してくれるだろうな」と期待してもらえます。
公務員向けの就活の軸の例文4選
ここまで紹介した内容を踏まえた上で作成した、公務員を目指す人におすすめの就活の軸の例文を4つ紹介します。
いずれもこの記事で紹介した内容を踏まえた上で作成しているため、おさらいという意味でも参考になるはずです。
地元の活性化に貢献したい
大学進学を機に地元を離れ、東京での生活を経験しましたが、地元と都市部の経済格差や人口減少の進行を実感し、地元を活性化させたいと考えました。
帰省した際に見た商店街のシャッターが増えている光景は、子どもの頃の活気ある街並みとの違いを痛感させました。
そこで、愛する地元の魅力を回復させ、次世代につなげていくために、行政の立場から積極的に政策を打ち出したいと考えています。
入庁後は地域経済の活性化に向けた取り組みに携わる所存です。
地元の特産品や観光資源を活かした地域復興策を推進し、地元企業や商店と連携したイベントの企画・実施を行い、若年層が地元で働きたいと思える環境を整備することに尽力いたします。
人の生活に直接関われる仕事がしたい
大学では地域の高齢者を対象としたボランティア活動に参加し、買い物支援や話し相手として活動しました。
その中で「行政がもっとしっかりしてほしい」という声が多く、特に一人暮らしの高齢者の方が「手続きが煩雑で支援を受けづらい」と話していたことが印象に残っています。
福祉制度が整っていても、それが必要な人に届ける仕組みが不十分では意味がないと感じ、行政の立場から人々の生活に寄り添う仕事がしたいと考えました。
入庁後は福祉分野の業務に携わり、高齢者や障害者の方が必要な支援を適切に受けられるよう、申請手続きの簡素化や周知活動の強化に努めたいと考えています。
市民の生活の基盤を支えたい
大学時代に発生した大型台風の際、地元の道路や公共施設が被害を受け、復旧に多大な時間がかかっていることを知りました。
その際、職員の方々が迅速に対応し、避難所の運営や復興支援を行っている姿に強く感銘を受けました。
ライフラインの復旧や災害対応は市民の生活を守る上で不可欠な業務であり、その重要性を肌で感じました。
そして、私も公務員として、災害時だけでなく日常生活を支えるインフラ整備や防災対策に携わりたいと考えるようになりました。
入庁後はインフラ整備や老朽化した公共施設の改修、災害時の避難体制の強化に取り組み、市民の方々が安心して暮らせる環境を整える所存です。
日本の社会課題の解決に取り組みたい
大学時代、貧困問題に関心を持ち、子ども食堂の運営に携わりました。
経済的に厳しい状況にある家庭の子どもたちが食事を通じて笑顔になる姿を見る一方で、根本的な解決には行政の支援が不可欠であると考えました。
そして、社会課題に対して行政の立場からアプローチし、より多くの人に支援が行き届く仕組みを作りたいと考えるようになりました。
入庁後は福祉や教育政策の分野に携わり、支援が必要な人々に適切なサポートを届ける政策を推進します。
経済的に厳しい家庭の子どもが安心して学べる環境を整えるための教育支援制度の充実や、生活困窮者支援の強化を進める所存です。
公務員で評価される就活の軸を作る際の注意点
続いて、公務員を目指す人が評価されやすい就活の軸を作るための注意点について紹介します。
以下の注意点を意識せずに就活の軸を作成してしまうと、マイナスな印象を与えてしまう可能性があります。
ぜひ以下の3点を意識しながら取り組んでみてください。
民間企業にも当てはまる軸は避ける
民間企業にも当てはまるような軸は、可能な限り避けた方が良いです。
公務員の面接では「なぜ民間企業ではなく、公務員なのか?」という点にフォーカスして聞かれることがあるため、民間企業でも当てはまるような軸を語ってしまうと、良い印象は与えられません。
「地域の住民と密接に関わりながら行政サービスを提供し、暮らしの基盤を支えたい」などといった軸ならば、非常に印象が良いです。
一方で「安定した環境で長く働きたい」「やりがいがあるところで働きたい」などといった「それはどこでも当てはまるのではないか?」と思うような回答だけは避けましょう。
まず第1ステップとして「民間企業には当てはまらないような軸」にして、第2ステップとして「可能であれば、その団体・自治体にしか当てはまらないような軸」にするという段階で設定すると良いでしょう。
公務員の待遇面を軸に設定しない
公務員を選ぶ理由のメインは「待遇」である人も多いでしょう。
よほどのことがない限り、首を切られることはありませんし、景気が悪く、生きづらい時代において、公務員の待遇の良さを理由に選んだ人は多いはずです。
しかし、それを大っぴらにアピールするのはあまり良くありません。
当然、人事の担当者は、あなたが応募してきた理由の1つに「待遇の良さ」が含まれていることはわかっています。
しかし、それを堂々とアピールするようなことをしてしまうと「常識がない」「建前と本音を使い分けられない」と思われてしまいます。
そこで「自分がどのような仕事を通じて社会に貢献したいのか」など、意義が感じられる話題をメインとして話すことを心がけましょう。
1つの仕事に偏りすぎた軸にしない
1つの仕事に偏りすぎた軸にしてしまうと、配属が変わることがある、公務員という職種に向いていないと判断されてしまうこともあります。
「絶対にこの仕事がしたい」「定年までひたすらこの仕事だけを頑張って貢献したい」などと述べてしまうと「配置転換があった時にやる気を失ってしまうのではないか?」と思われてしまいます。
「子育て支援だけをしたいと思っています」「私の人生の使命は、この市の子育て支援を活性化させることです」とまで言ってしまうと「他の部署に回されたら、果たしてやる気を保てるのだろうか?」と心配されてしまうことでしょう。
1つの仕事に焦点を当てることは悪くありませんが「行き過ぎ」にならないよう、心がけてください。
公務員の面接におけるNG例文3選
続いて、公務員の面接におけるNG例文を3つ紹介します。
以下のような回答をしてしまうとマイナスな印象を与えてしまう可能性が高いため、ぜひ確認しておいてください。
また、なぜNGなのかについての解説も添えておくため、ぜひ読んでいただきたいところです。
公務員の安定性という条件面を押し出した例文
現代は非常に景気が悪く、数年間で職を失ってしまうことも珍しくありません。
しかし、公務員という立場であれば、堅実に真面目に仕事に取り組んでいれば、よほどのことがなければ職を失うことはありません。
私は6人兄弟の長男であり、家族に食事を食べさせるという責任を背負っています。
そのような立場で仕事を失ってしまうわけにはいかないため、公務員という立場で長く働きたいと考えています。
入庁を果たした際には少しでも早く昇進を果たし、家族に楽をさせてあげるためにも、毎日全力で仕事に取り組みたいと考えています。
公務員ならではの理由が入っていない例文
私はこれまでの人生において、常に人の役に立つことを大切にしてきました。
例えば、大学ではゴミ拾いのボランティアに参加し、地域のゴミを減らすことで景観を美しくしました。
その結果、国内外の旅行客が観光を楽しんでいる姿を見て、非常にやりがいを感じました。
このように、私は人の役に立つことに強いやりがいを感じるため、公務員として長く働きたいと考えています。
人の役に立ち続けることは自分の人生における目標の達成にもつながりますし、それが公務員の仕事を全うすることにもなると考えています。
キャリアアドバイザー 木下恵利

「人の役に立ちたい」としか話しておらず、結局「どのような業務を行うのか」が分かりません。「民間企業でも良いのでは?」と思われてしまうでしょう。
問題点は2つあり「民間企業でも当てはまるような、曖昧な目標であること」「結局、何がしたい・できるのかが伝わってこないこと」です。
記事中でも説明したように、公務員試験においても、一般企業の試験においても「活躍できる人物」が採用されやすい傾向にあります。
そのため「どのように貢献するのか」をもう少し具体的に説明しましょう。
自分がその業務に携わりたいと思った根拠がない例文
子育て支援は少子高齢化という現代の問題を解決するために、非常に重要な施策であると考えています。
現在、少子高齢化が進んでおり、労働力が低下しているため、国民全体への負担が大きく増えています。
このままではさらに経済的に苦しむ家庭が増え、経済的な豊かさだけでなく、心の豊かさまで日本人が失ってしまうと考えています。
子育て支援を積極的に行い、誰もが子育てをしやすい環境を作ることで、10年後・20年後の労働力低下を防ぎ、日本の衰退を防ぐことこそ、私の使命であると考えています。
入庁後は子育て支援の金銭的なサポートや自治体の取り組み、イベント実施などを通じて、子育てしやすい環境を整え、貢献したいと考えています。
キャリアアドバイザー 木下恵利

嘘をついているわけではありませんし、実際に「少子高齢化」は日本の大きな問題です。
しかし「なぜこの人が少子高齢化を解決したいと思ったのか?」について、実体験が全くありません。ただ「新聞を読んで」「ニュースを見て」聞きかじった情報だけで話しているように感じられます。
この人が実際に肌で体感した、少子高齢化が問題であると実感した経験、つまり自分が居合わせた出来事について話す必要があります。
また、もし実体験がなかったとしても「ただ学んだ内容を、そのまま話しているだけ」に見えるため、臨場感や具体性を意識して書くと良いでしょう。
まとめ
今回は公務員を目指す方向けに「就活の軸を定める方法」「定めなければならない理由」「おすすめの構成や例文」などについて紹介しました。
就活の軸を定めることは適した職場環境を選ぶためにも大切ですし、面接で聞かれた際にスムーズに答えられるようになるため、非常に欠かせない対策であると言えます。
ぜひ本記事で紹介した内容を踏まえた上で、入念な対策を行い、自信を持って答えられるようになっておきましょう。

キャリアアドバイザー 木下恵利
モチベーションが高いことは分かりますし「家族を支えるため」という立派な意気込みで応募してきていることは悪くはありません。
しかし、「安定性」や「待遇」をメインに話してしまっているため「どのように貢献してくれるのか」が伝わりません。
「正直すぎる人物だな」と思われてしまいます。
「全く触れてはいけない」というわけではありませんが、もう少し安定性や待遇に関する話は減らして「自分が何の仕事をして、どのように貢献するのか」を話すことを心がけましょう。