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はじめに
就職活動における志望動機は、自分がどのような価値観や考えを持ち、なぜその企業を選んだのかを伝える大切な要素です。
その中で「働きやすさ」を理由に挙げたいと考える学生も多いですが、「甘え」や「逃げ」といった印象を与えないか不安に感じることもあるでしょう。
しかし、伝え方を工夫すれば、「働きやすさ」は十分に説得力のある志望動機になりえます。
本記事では、その考え方や注意点、好印象につながる表現例まで詳しく解説していきます。
「働きやすさ」は志望動機にしてもOK
「働きやすさ」というキーワードを志望動機に盛り込むこと自体は、決して問題ではありません。
近年では、働き方改革やワークライフバランスへの関心が高まり、企業側も働きやすい環境づくりに力を入れています。
そのため、「働きやすさ」を重視することは、ごく自然な価値観のひとつといえるでしょう。
ただし、伝え方によっては「甘え」や「受け身」といった印象を持たれる可能性があるため注意が必要です。
その環境で自分がどのように力を発揮し、成長や貢献につなげていきたいのかまで踏み込んで伝えることが重要です。
「働きやすさ=逃げ」ではない
「働きやすさ」を重視する姿勢は、決して「厳しい環境では働けない」といった逃げの姿勢とは異なります。
むしろ、自分が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を主体的に選び取る、前向きなキャリアの選択といえます。
現在では、企業側も社員が安心して働ける制度や風土を整えることに注力しており、「働きやすさ」を重視する姿勢は共感を得やすくなっています。
ただし、単に「楽をしたい」という印象にならないように、「なぜ自分にとってその環境が必要なのか」「どのようにして成果を出すつもりなのか」を明確に説明することが大切です。
たとえば、「チームでの協働を重視しており、率直な意見交換ができる職場でこそ力を発揮できる」といったように、目的を持って選んでいることが伝われば、好印象につながります。
長く活躍できる人材を企業は求めている
多くの企業は、入社後すぐに辞めてしまう人材よりも、長期的に成長しながら安定して活躍してくれる人を求めています。
人材の定着率が高いほど、教育コストや組織の安定性にもプラスに働くため、採用においては「長く働けるかどうか」が重視される傾向にあります。
そのため、自分に合った環境で働けるかを見極めることは、将来を見据えた合理的な判断であり、決して後ろ向きな理由ではありません。
「働きやすい環境でこそ、自分の力を継続的に発揮し、成果を出し続けられる」という前向きな理由づけがあれば、十分に説得力のある志望動機になります。
企業とのマッチングを意識し、双方にとって良好な関係を築いていきたいという姿勢は、多くの採用担当者にとって歓迎されるものです。
そのまま書くとマイナス評価に繋がる
「働きやすさ」を志望動機に取り入れることは問題ありませんが、そのままストレートに書いてしまうと、かえってマイナスの印象を与える可能性があります。
特に、理由や背景を示さずに「御社は働きやすそうだから志望しました」とだけ述べると、他の企業でも良いのではないかという印象を持たれてしまいます。
企業は「なぜこの会社なのか」「どんな働き方を望み、どう活躍したいのか」という視点を重視しています。
そのため、単なる願望に終わらせず、意欲や適性を伝えられるような工夫が欠かせません。
表現次第で「甘え」「消極的」と受け取られる
「働きやすい環境を求めている」と伝えただけでは、「大変なことから逃げたいのではないか」「厳しい職場ではやっていけないのでは」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。
特に就職活動の場では、前向きな姿勢や成長意欲、チャレンジ精神が重視されるため、表現には細心の注意が必要です。
「働きやすさ」が単に「楽をしたい」という意味に受け取られないようにするためには、自分の考えや目的意識をしっかりと示すことが欠かせません。
たとえば、「社員同士の連携がスムーズな環境でこそ、主体的に提案や改善活動がしやすく、より早く成長できると考えている」といったように、自分の目指す働き方と環境との関係性を明確に伝えることで、前向きな印象を与えることができます。
なぜ「働きやすい」と思ったのかを明確に
企業が「働きやすい」と感じた理由を具体的に伝えることは、志望動機の信頼性や説得力を高めるうえで非常に重要です。
たとえば、「企業説明会でフレックスタイム制度の導入を知り、柔軟な働き方を実現している点に魅力を感じた」や、「社員インタビューから風通しの良い職場であることが伝わってきた」といったように、実際の体験や情報源を明確にすると、企業研究の深さや志望度の高さが伝わります。
さらに、ただ情報を並べるだけでなく、「自分がその環境でどのように働きたいか」「どのように力を発揮したいか」といった展望をセットで語ることで、企業との相性や具体的な貢献意欲を示すことができます。
このように、自分の考えや価値観と企業の環境とを結びつけて丁寧に伝えることが、好印象につながる志望動機のポイントです。
働きやすさの伝え方
「働きやすさ」を志望動機に盛り込む際には、単なる理想や抽象的な言葉で終わらせず、前向きな姿勢や目的意識が伝わるよう工夫することが大切です。
企業にとっても、「働きやすさ」を求める背景が明確であれば、継続的に活躍してくれる人材だと受け取られる可能性が高まります。
そのためには、伝え方の表現を少し工夫し、「なぜ働きやすいと感じたのか」「どのように活躍したいのか」を筋道立てて説明することがポイントです。
ここでは、企業側に好印象を与えやすい3つの伝え方の工夫を紹介します。
「活躍しやすい環境」と言い換える
「働きやすさ」という言葉は便利で使いやすい一方で、人によって捉え方が異なるため、やや曖昧な印象を与えるリスクがあります。
そのため、より明確で前向きな印象を与えられるよう、「活躍しやすい環境」や「自分の強みを発揮できる職場」といった言い換えを用いることが効果的です。
たとえば、「チームワークを重視する企業風土の中で、自分の調整力や周囲を巻き込む力を活かして貢献したい」と表現することで、働きやすさが自己成長や成果につながる前提であることを強調できます。
このように、単なる条件面の話にとどめず、自分の強みや価値観との結びつきを明示することで、主体性のある志望動機として説得力を高めることができます。
「成長環境」をセットで伝える
働きやすい環境を求める理由として、「成長したい」という意欲をセットで伝えると、受け取る側の印象が大きく変わります。
たとえば、「安心して挑戦できる風土があるからこそ、失敗を恐れずに行動でき、自分の成長につなげられる」といったように、働きやすさが成長の土台になっていることを伝えると効果的です。
また、若手のうちから裁量を持たせてもらえる環境や、上司との距離が近い文化などに魅力を感じた点を挙げ、自分がどのようにその中でスキルアップを目指すのかを具体的に述べましょう。
「働きやすさ=成長の後押し」と捉えることで、前向きな印象と熱意を伝えることができます。
「制度」「理念」など具体的な理由と紐づけ
「働きやすさ」という言葉を使う際には、それを裏付ける具体的な要素と結びつけることが重要です。
たとえば、「フレックスタイム制や在宅勤務制度が整っている」「上司との1on1面談が定期的に行われている」といった制度面や、「人を大切にする」という企業理念に共感したといった文化面に言及することで、説得力が増します。
さらに、「自分は自律的に働くことを大切にしており、そのために柔軟な働き方ができる制度に魅力を感じた」といった、自分自身の価値観との接点を示すことがポイントです。
表面的な特徴ではなく、自分の経験や考え方と照らし合わせた上での説明ができれば、より深い志望動機として伝わります。
志望動機の基本構成
「働きやすさ」を含めた志望動機を作成する際も、基本となる構成に沿って書くことが重要です。
採用担当者が読みやすく、納得感を持てる文章に仕上げるためには、要素を順序立てて整理することが欠かせません。
一般的な志望動機の構成は、「結論」→「理由」→「具体的なエピソード」→「入社後の展望」という流れです。
この順序を意識することで、自分の考えや熱意が伝わりやすくなり、「働きやすさ」というテーマも前向きに伝えることができます。
結論
志望動機の冒頭では、まず「なぜその企業を志望するのか」という結論を明確に伝えることが重要です。
最初に結論を提示することで、読み手にインパクトを与えられ、志望動機全体の流れも分かりやすくなります。
ただし、「働きやすそうだから志望した」というような抽象的な表現では説得力に欠けてしまいます。
そのため、「風通しの良い社風の中で自分の強みである調整力を活かせると感じた」や、「挑戦を歓迎する環境で主体的に行動できると確信した」など、前向きで具体的な言い換えが効果的です。
結論部分では、企業の特徴と自分の価値観や目指す働き方がどのように重なるのかを、端的に示すことが好印象につながります。
理由
続いて、その企業を志望する理由をしっかり伝えることが大切です。
このパートでは、企業研究を通じて得た情報や印象をもとに、自分がなぜ「働きやすい」と感じたのか、その背景を具体的に述べましょう。
たとえば、「社員インタビューで上司との距離が近く、相談しやすい雰囲気があると感じ、自分が安心して挑戦できる環境だと思った」といったように、企業の制度や文化と自分の価値観がどのように合致したかを示すと説得力が増します。
また、働きやすさを魅力に感じた理由に、自分の経験や考えを絡めることで、単なる印象ではなく、深い納得感が伝わります。
「なぜそう思ったのか」「自分にとってなぜ大切か」といった視点を盛り込むことが重要です。
具体的なエピソード
理由に説得力を持たせるためには、自分の経験に基づいた具体的なエピソードを盛り込むことが非常に効果的です。
たとえば、「大学のグループワークで発言しづらい雰囲気に苦労し、意見交換が活発に行える環境の大切さを実感した」といったように、働きやすさを重視するに至った背景を明確に伝えることで、単なる理想ではなく現実的な価値観であることが伝わります。
エピソードは、あなた自身の考え方や行動の裏付けとして機能し、読み手に納得感を与える要素になります。
また、経験を語るだけでなく、「その経験を通じて何を学び、今後どう活かしたいと考えているか」まで触れることで、志望動機により深みと一貫性が生まれます。
入社後の展望
最後に、入社後にどのように活躍したいのか、どのようなキャリアを築いていきたいのかという展望を具体的に伝えることが重要です。
ここでは、働きやすい環境を手段として捉え、その環境を活かしてどのように挑戦し、貢献していきたいかを明確に述べましょう。
たとえば、「風通しの良い職場であればこそ、周囲と意見を交わしながら主体的に行動し、○○の分野で成果を出す人材になりたい」といったように、前向きな姿勢を示すことが効果的です。
「働きやすさ」を最終目的にするのではなく、その先にある成長や価値提供まで描くことで、企業側にも熱意と意欲が伝わりやすくなります。
入社後のビジョンを語ることで、志望動機に一貫性と完成度を持たせることができます。
志望動機「働きやすさ」のNG例文
「働きやすさ」を志望動機に含める場合、その伝え方を間違えると、受け手にマイナスな印象を与えてしまうことがあります。
特に、理由が曖昧だったり、自分本位な印象を与える表現になっていると、「企業ならどこでもよいのでは」「成長意欲が低いのでは」と判断されかねません。
ここでは、実際に就活生が使いがちなNG例文を紹介し、なぜそれが望ましくないのか、どのように改善すべきかを具体的に解説していきます。
正しく伝えれば魅力になる「働きやすさ」だからこそ、表現の工夫が欠かせません。
休みが多いから
ノルマがなさそうだから
志望動機「働きやすさ」OK例文
「働きやすさ」を理由に企業を志望することは、決して間違いではありません。
ただし、そのまま伝えるだけでは受け身な印象を与えてしまうため、「なぜそう感じたのか」「その環境でどう活躍したいのか」を明確にすることが大切です。
ここでは、働きやすさを前向きに捉え、自分の価値観や将来の展望と結びつけた志望動機の好例を紹介します。
企業研究を踏まえた具体性や、自身の経験に基づいた背景を含めることで、説得力のある志望理由として成立させることができます。
例文1
例文2
よくある質問
「働きやすさ」を志望動機にする際、どこまで具体的に書くべきか、自分の状況に合わせてどう表現するかなど、迷う場面も多いかと思います。
このセクションでは、就活生から寄せられやすい質問を取り上げ、「働きやすさ」をうまく志望動機として伝えるためのヒントを紹介します。
企業側の視点も踏まえながら、評価されやすい伝え方を意識していきましょう。
「福利厚生が整っている」はどう書けばいい?
「福利厚生が整っている」ことに惹かれた場合は、単に制度の名前を並べるだけでは説得力に欠けるため、自分にとってなぜそれが重要なのか、どのように活かして働きたいのかをあわせて伝えることが大切です。
たとえば、「自己研鑽支援制度を活用して入社後も学び続けたい」「住宅手当があることで生活が安定し、仕事に集中できると感じた」といったように、自分の価値観や働き方との関連性を示すと納得感が生まれます。
また、制度に惹かれた理由だけでなく、それを活かしてどのように成長し、貢献していきたいのかという展望まで伝えると、より前向きな印象になります。
福利厚生の魅力を自分自身の将来像と結びつけて語ることが、評価される志望動機のポイントです。
「人間関係の良さ」は志望動機にできる?
人間関係の良さを志望動機にすることは可能ですが、主観的な印象だけで終わらないように注意が必要です。
「雰囲気が良さそうだったから」という表現では説得力に欠けるため、説明会や座談会、インターンシップなどで得た具体的なエピソードをもとに伝えることが大切です。
たとえば、「座談会で社員の方々が丁寧に対応してくださり、日頃から協力し合う風土があると感じた」など、実際の体験に基づく内容にすると現実味が増します。
さらに、「そのような職場だからこそ、自分の強みである調整力を活かして貢献できると感じた」といったように、自身の価値観や将来の働き方と結びつけることで、より前向きで具体的な志望理由となります。
第一志望ではない場合も「働きやすさ」でいい?
第一志望でなくても、「働きやすさ」を軸に志望理由を組み立てることはまったく問題ありません。
ただし、志望度が低い印象を与えないように、企業ごとの特徴を丁寧に調べて具体的に言及することが大切です。
たとえば、「同業他社と比較して、柔軟な働き方を実現している点に魅力を感じた」「社内のサポート体制が明確で、安心して業務に取り組めると感じた」といったように、相対的な視点を交えて伝えると効果的です。
また、「自分にとって働きやすいとはどういう環境か」「なぜそれが大切なのか」といった自分なりの価値観と結びつけることで、説得力のある志望動機になります。
情報収集の深さと自分の軸の両方を示すことが、好印象につながるポイントです。
まとめ
「働きやすさ」を志望動機に取り入れることは、今の時代に合った自然な考え方です。
ただし、その伝え方には工夫が必要であり、漠然とした印象にならないよう、自分自身の価値観と結びつけることが大切です。
また、企業ごとの環境や制度に対する理解を深め、具体的な魅力を語れるようにすることで、説得力が増します。
本記事を参考に、自分に合った「働きやすさ」の伝え方を見つけ、前向きな志望動機として表現できるよう準備を進めてください。
