はじめに
就職活動の面接対策を進める中で、結論ファーストで話した方が良いというアドバイスを耳にした大学生は多いのではないでしょうか。
しかし、なぜ重要なのか、具体的にどう話せば良いのか、自信を持って説明できる人は意外と少ないものです。
面接という短い時間で、あなたの魅力や考えを的確に伝えるためには、この結論ファーストという話し方が非常に強力な武器になります。
この記事では、結論ファーストの基本から、誰でも簡単に実践できるPREP法というフレームワーク、さらには具体的な例文やテンプレート、活用する上での注意点までを徹底的に解説します。
面接での結論ファーストとは
面接における結論ファーストとは、質問に対してまず答え、つまり結論から話し始めるコミュニケーション手法のことです。
例えば、あなたの長所は何ですかと聞かれた際に、私は学生時代にこんな経験をして、その中でこんな工夫をしました、だから私の長所は〇〇ですと話すのではなく、私の長所は〇〇です。
なぜならと、まず結論を提示してからその理由や具体例を説明していく話し方を指します。
面接官は多くの大学生と短時間で面談するため、分かりやすく、印象に残る伝え方が求められます。
この結論ファーストを徹底するだけで、あなたの話の要点が瞬時に伝わり、論理的で聡明な人物であるという印象を与えることができるのです。
なぜ面接では結論ファーストが必要?
なぜ、多くの就活アドバイスで結論ファーストが推奨されるのでしょうか。
それは、面接官にとっても、そしてあなた自身にとっても大きなメリットがあるからです。
面接は、プレゼンテーションの場です。
あなたという商品を、企業に売り込むための重要な機会と言えます。
聞き手である面接官に、あなたの良さを最も効果的に理解してもらうためには、話の構成を戦略的に組み立てる必要があります。
結論ファーストはそのための最も基本的かつ強力なテクニックなのです。
ここでは、結論ファーストがなぜ必要なのか、その本質的な理由を2つの側面から詳しく解説していきます。
話の内容が伝わりやすくなる
面接官は、一日に何人もの大学生と面接を行っており、一人ひとりの話を集中して聞いています。
しかし、話の結論が最後まで分からないままだと、結局何が言いたいのだろうと考えながら聞くことになり、大きな負担をかけてしまいます。
結論を先に伝えることで、話のゴールが明確になり、面接官はこれから話される内容を予測しながら、安心して聞くことに集中できます。
これにより、あなたの話の理解度が格段に向上するのです。
特に、自己PRや志望動機など、あなたの考えをしっかりと伝えたい場面でこそ、この手法は絶大な効果を発揮します。
要点が明確になることで、あなたの強みや熱意がストレートに伝わり、記憶にも残りやすくなるのです。
考えを整理しやすい
結論ファーストは、実は話し手であるあなた自身にとっても大きなメリットがあります。
それは、話す前に頭の中で考えを整理しやすくなるという点です。
まず結論は何かを考えることで、その回答の軸が定まります。
そして、なぜその結論に至ったのかという理由、その根拠となる具体的なエピソードは何か、というように、話すべき内容が論理的に整理されていきます。
この思考プロセスを経ることで、話が脱線したり、冗長になったりするのを防ぐことができます。
結論から話すという意識を持つだけで、自然と話の構成が組み立てられ、自分でも驚くほどスムーズに、そして説得力を持って話せるようになるのです。
これは、面接本番の緊張した場面でこそ役立つスキルと言えるでしょう。
面接での結論ファーストのメリット
結論ファーストという話し方を身につけることで、あなたは面接において2つの大きなメリットを得ることができます。
それは、あなたの能力を効果的にアピールできるという点と、あなたの人物像を面接官に深く理解してもらえるという点です。
面接は、単に質問に答える場ではありません。
その回答を通して、あなたがいかにその企業で活躍できるポテンシャルを持った人材であるかを伝える必要があります。
結論ファーストは、そのための強力なアピール手法なのです。
ここでは、その具体的なメリットについて、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
論理的思考力をアピール出来る
結論から話し、その後に理由や具体例を筋道立てて説明する姿勢は、あなたが物事を論理的に考える力を持っていることの証明になります。
ビジネスの世界では、問題解決や企画立案、顧客への提案など、あらゆる場面でこの論理的思考力が求められます。
面接官は、学生の回答内容そのものだけでなく、その話し方や話の構成から、地頭の良さや思考力を見抜こうとしています。
結論ファーストで回答を組み立てるだけで、特別なアピールをしなくても、私は論理的に物事を考え、分かりやすく伝えることができますというメッセージを発信できるのです。
この姿勢は面接官に知的な印象と信頼感を与え、あなたの評価を大きく高める要因となります。
面接官が具体的にイメージしやすい
結論ファーストで話すことは、面接官があなたの経験や強みを具体的にイメージする手助けになります。
例えば、私の強みは課題解決能力ですと最初に伝えることで、面接官はこれから課題解決能力に関する話が聞けるのだなと心の準備をします。
その上で、具体的なエピソードを聞くことで、あなたがどのような状況で、どのように考え、行動し、結果を出したのかを鮮明に思い描くことができるのです。
この具体的なイメージが、あなたが入社後に活躍する姿を連想させ、採用したいという気持ちを後押しします。
話の全体像が最初から見えているため、エピソードの細部にも集中しやすく、あなたの魅力がより深く伝わるのです。
面接の結論ファーストにはPREP法を使おう
結論ファーストが重要であることは理解できたけれど、いざ実践するとなると難しいと感じるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、PREP法というフレームワークです。
このPREP法は、誰でも簡単に論理的で分かりやすい話の構成を作ることができる、非常に強力なツールです。
この型を意識するだけで、あなたの回答は驚くほど整理され、説得力が増します。
一度身につけてしまえば、自己PRやガクチカ、志望動機など、面接のあらゆる質問に応用することが可能です。
ここでは、このPREP法の具体的な内容と、その活用方法について詳しく解説していきます。

PREP法とは
PREP法とは、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(再結論)という4つの要素の頭文字を取った、話の構成モデルのことです。
この順番に沿って話を展開することで、自然と結論ファーストで、かつ論理的な説明が可能になります。
このフレームは、ビジネスにおける報告やプレゼンテーションでも広く活用されており、汎用性が非常に高いのが特徴です。
面接という短い時間で自分をアピールしなければならない大学生にとって、このPREP法はまさに必須のスキルと言えるでしょう。
まずはこの型を徹底的に体に染み込ませ、どんな質問が来てもPREP法で回答を組み立てられるように練習を重ねることが、面接突破への近道です。
Point(結論)
PREP法の最初のPはPoint、つまり結論です。
質問に対して、まず最も伝えたい答え、話の核となる部分を簡潔に述べます。
例えば、あなたの強みは何ですかという質問であれば、私の強みは〇〇ですと、一言で明確に断言します。
ここでのポイントは、だらだらと前置きをせず、単刀直入に言い切ることです。
この最初の結論が、話全体の方向性を決定づけ、面接官の注意を引きつける役割を果たします。
ここで明確な結論を提示できるかどうかで、その後の話の伝わり方が大きく変わってきます。
まずは、質問の意図を正確に汲み取り、それに対する最も的確な答えは何かを考えることから始めましょう。
Reason(理由)
次のRはReason、理由です。
最初のPointで述べた結論に対して、なぜそう言えるのかという理由や根拠を説明します。
なぜなら、〇〇という考えを持っているからですや、〇〇という経験から、その強みが培われたと考えているからですといった形で、結論を論理的に補強します。
この理由付けがしっかりしていることで、あなたの回答に説得力が生まれます。
単に強みを主張するだけでなく、その背景にあるあなたの価値観や思考プロセスを示すことで、人物像に深みを与えることができます。
ここでは、抽象的な説明になっても構いません。
次の具体例へと繋ぐための、重要な橋渡しの役割を果たす部分です。
Example(具体例)
3つ目のEはExample、具体例です。
Reasonで述べた理由を裏付けるための、具体的なエピソードや事実を話します。
例えば、大学時代の〇〇という活動で、このような課題に直面した際に、私は△△のように考え行動し、結果として□□という成果を出すことができました、といった形です。
この具体例が、あなたの話にリアリティと信頼性を与える最も重要な部分です。
あなたの強みや考え方が、単なる思い込みではなく、実際の行動に基づいたものであることを証明するのです。
数字などを用いて定量的に示すことができると、より説得力が増します。
あなたのオリジナリティが最も発揮される部分であり、面接官が最も聞きたい部分でもあります。
Point(再結論)
最後のPは再びPoint、再結論です。
話の締めくくりとして、もう一度最初の結論を、少し表現を変えたり、入社後の貢献意欲を付け加えたりして述べます。
以上の経験から、私の強みである〇〇を活かして、貴社に貢献できると確信しております、といった形です。
最初と最後で結論を繰り返すことで、話の要点が面接官の記憶に強く刻み込まれます。
また、話全体が綺麗にまとまり、一貫性のある、引き締まった印象を与えることができます。
この最後のダメ押しが、あなたの熱意を伝え、話の説得力を最大化するのです。
単なる繰り返しではなく、メッセージを強調するための重要な締めくくりと意識しましょう。
面接の結論ファーストの例文
PREP法というフレームワークを理解したところで、次はその具体的な活用方法を例文で確認していきましょう。
理論を学ぶだけでは、なかなか実践的なイメージは掴みにくいものです。
ここでは、多くの大学生が面接で質問されるであろう、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)と自己PRをテーマに、PREP法に沿った回答の例文を作成しました。
この例文の構成を参考に、あなた自身のエピソードに置き換えて、オリジナルの回答を作成する練習をしてみてください。
例文を通じて、結論ファーストで話すことの分かりやすさと説得力を体感できるはずです。
例文1:インターンのガクチカ
(Point:結論)私が学生時代に最も力を注いだことは、ITベンチャーでの長期インターンシップにおける営業活動です。この経験を通じて、主体的に課題を発見し解決する力を身につけました。
(Reason:理由)なぜなら、個人の目標達成はもちろんのこと、チーム全体の成果を最大化するためには、現状に満足せず、常に改善点を見つけ出す姿勢が不可欠だと考えたからです。
(Example:具体例)具体的には、既存の営業リストの成約率が低いという課題に対し、私は自ら顧客分析を行い、新たなターゲット層を提案しました。そして、その層に特化した新しいアプローチ手法を考案し、チームメンバーに共有、実践した結果、チーム全体の月間成約率を15%向上させることに成功しました。
(Point:再結論)この経験から得た主体的な課題解決能力を活かし、入社後も常に当事者意識を持って業務に取り組み、貴社の事業成長に貢献していきたいと考えております。
例文2:サークルの自己PR
(Point:結論)私の強みは、多様な価値観を持つメンバーの意見をまとめ、目標達成に導く調整力です。
(Reason:理由)なぜなら、一つのチームとして大きな成果を出すためには、個々の能力を最大限に引き出しつつ、全員が同じ方向を向いて進むための潤滑油のような存在が不可欠だと考えているからです。
(Example:具体例)私は、所属していた100名規模のダンスサークルで副部長を務めていました。年に一度の発表会に向けて、演目の方向性で複数のチームが対立してしまった際、私は各チームのリーダーから個別にヒアリングを行いました。そして、それぞれの意見の良い部分を組み合わせた新たなコンセプトを提案し、全員が納得するまで粘り強く対話を重ねました。その結果、チームは再び一丸となり、発表会を大成功させることができました。
(Point:再結論)このように、私は異なる意見を調整し、チームを一つにまとめることができます。この強みを活かし、貴社でもチームワークを大切にしながら、プロジェクトの成功に貢献していきたいです。
面接の結論ファーストのテンプレート
結論ファーストとPREP法を、より手軽に、そして確実に実践するために、ここでは汎用的なテンプレートをご紹介します。
面接では、予想外の質問が飛んでくることも少なくありません。
そんな時でも、このテンプレートが頭に入っていれば、慌てずに落ち着いて、論理的な回答を組み立てることができます。
まずはこの型を完全にマスターし、どんな質問に対してもこのテンプレートに当てはめて考える癖をつけましょう。
これができれば、あなたの面接対応力は飛躍的に向上するはずです。
テンプレート
このテンプレートは、PREP法をよりシンプルな言葉で表現したものです。
この〇〇や△△、□□の部分に、質問内容やあなた自身のエピソードを当てはめるだけで、誰でも簡単に論理的な回答を作成することができます。
まずはこの基本の型を何度も繰り返し練習し、自分のものにしてください。
他の内容にも応用できる
この結論ファーストとPREP法に基づくテンプレートの素晴らしい点は、その汎用性の高さにあります。
自己PRやガクチカはもちろんのこと、志望動機、長所短所、さらには逆質問に対する回答など、面接におけるあらゆる質問に応用することが可能です。
例えば、志望動機であれば、私が貴社を志望する理由は〇〇ですと結論から始め、その理由と、その根拠となる自身の経験や考えを続けることができます。
逆質問への回答であれば、私の質問の意図は〇〇です、なぜなら〜と、質問の背景を論理的に説明できます。
この型を一つ身につけておくだけで、あなたの回答の質は全体的に向上し、一貫して論理的な人物であるという印象を与えることができるのです。
面接で結論ファーストを使う際の注意点
結論ファーストとPREP法は非常に強力なテクニックですが、使い方を誤るとかえって逆効果になってしまう可能性もあります。
まさに諸刃の剣と言えるでしょう。
この手法を効果的に活用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
ただ型に当てはめて話すだけでは、表面的な、中身のない回答だと思われかねません。
ここでは、結論ファーストを実践する上で、特に気をつけるべき3つのポイントについて解説します。
これらの注意点を意識することで、あなたの結論ファーストはより洗練され、面接官の心に響くものになるでしょう。
中身が薄いとそれが際立ってしまう
結論ファーストで話すと、話の骨格が非常にはっきりとします。
これは分かりやすいというメリットがある一方で、話の中身、特に根拠となる具体例が薄いと、その内容の乏しさが際立ってしまうというデメリットもあります。
結論は立派なのに、それを支える理由やエピソードが曖昧だったり、誰でも言えるような一般論だったりすると、説得力がなく、かえって悪い印象を与えてしまいます。
この手法を使う大前提として、自己分析と企業研究を徹底的に行い、話の核となるエピソードを深く掘り下げておく必要があります。
結論が先に来るからこそ、その結論を揺るぎないものにするための、質の高い根拠を準備しておくことが何よりも重要です。
最後の結論は伝え方を変える
PREP法の最後のPoint(再結論)は、最初の結論を繰り返す部分ですが、全く同じ言葉をそのまま繰り返すのは避けましょう。
同じことを二度言うと、聞いている面接官はくどいと感じたり、語彙力がないのではないかという印象を持ったりする可能性があります。
最後は、最初の結論をより力強く、あるいは入社後の意欲と結びつけるなど、少し表現を工夫することがポイントです。
例えば、だから私の強みは〇〇ですと繰り返すのではなく、この〇〇という強みを活かし、貴社の△△という分野で貢献したいですと締めくくることで、話が未来につながり、より前向きな印象を残すことができます。
繰り返しの中にも、新鮮さを感じさせる小さな工夫を心がけましょう。
長々と話さない
結論ファーストやPREP法を意識するあまり、一つ一つの要素を完璧に話そうとして、結果的に話全体が長くなってしまうのは本末転倒です。
面接での1つの回答は、基本的に1分程度で簡潔にまとめるのが理想とされています。
PREP法はあくまでも分かりやすく伝えるためのフレームワークであり、冗長に話すためのものではありません。
特に、具体例の部分は詳細に話したくなる気持ちも分かりますが、要点を絞り、最も伝えたい核心部分だけを話すようにしましょう。
常に簡潔さを心がけ、時間内に要点を的確に伝える練習を重ねることが大切です。
話が長いと、要点をまとめる能力が低いと判断されかねないので注意が必要です。
おわりに
面接における結論ファーストの重要性から、PREP法という具体的な実践方法、そして例文や注意点まで、網羅的に解説してきました。
最初は難しく感じるかもしれませんが、意識して練習を重ねれば、誰でも必ず身につけることができるスキルです。
この論理的な話し方は、面接だけでなく、入社後の社会人生活においても、あなたの大きな武器となるでしょう。
この記事で学んだことを活用し、自信を持って面接に臨んでください。