はじめに
皆さんも日々使っているWebサイトやアプリ。
それらを生み出す「Web業界」に、華やかで成長しているイメージを持っている就活生も多いでしょう。
しかし、同時に「Web業界はきつい」という噂を聞いて、不安になっている人もいるかもしれません。
この記事では、Web業界の実態や「きつい」と言われる本当の理由、そしてどんな人がこの業界に向いているのかを、就活アドバイザーの視点から徹底的に解説していきます。
自分に合う業界かどうか、一緒に見極めていきましょう。
【web業界はきついのか】web業界はきつい?
Web業界が「きつい」と言われる背景には、まず業界の「変化の速さ」があります。
新しい技術やトレンドが次々と生まれ、常に情報をキャッチアップし、学び続ける姿勢が求められます。
また、仕事の成果がアクセス数や売上といった「数字」として明確に出やすいため、成果主義の側面が強く、プレッシャーを感じやすい環境であることも事実です。
しかし、それらは同時に大きな「やりがい」や「自己成長」にも直結します。
一概に「きつい」と片付けるのではなく、その実態を詳しく見ていくことが、業界研究では非常に重要です。
【web業界はきついのか】web業界の仕事内容
一口に「Web業界」と言っても、その仕事内容は非常に多岐にわたります。
皆さんが普段目にするWebサイトやスマートフォンアプリを作る仕事もあれば、それらを多くの人に見てもらうための戦略を考える仕事もあります。
また、面白い記事や動画などのコンテンツを企画・制作する役割や、これら全ての土台となるシステムを開発・運用する専門的な仕事も欠かせません。
Web業界の魅力は、こうした多様な職種が連携し、一つのサービスを生み出している点にあります。
ここでは、代表的な仕事内容を4つに分けて、それぞれ具体的にどのようなことをするのかを解説していきます。
自分の興味や強みがどの分野で活かせるか、想像しながら読み進めてみてください。
Webサイト・アプリ制作
Webサイトやアプリ制作は、Web業界の「ものづくり」を担う中心的な仕事です。
具体的には、Webデザイナーがサイト全体のデザインやレイアウトを考え、コーダーやフロントエンドエンジニアがそのデザインを基に、HTMLやCSS、JavaScriptといった言語を使って実際にWebページとして構築していきます。
この仕事のやりがいは、自分の作ったものが形になり、多くの人々に利用される点にあります。
クライアントの要望をヒアリングし、それをビジュアルや機能として具現化する過程では、デザインスキルだけでなく、コミュニケーション能力も求められます。
常に新しいデザインのトレンドや技術を学び続ける必要があり、知的好奇心が旺盛な人に向いていると言えるでしょう。
ユーザーにとって使いやすい「UI(ユーザーインターフェース)」や快適な「UX(ユーザー体験)」を追求することが、この仕事の重要なミッションです。
Webマーケティング
Webマーケティングは、制作されたWebサイトやサービスに「いかにして多くの人を集め、成果につなげるか」を考える仕事です。
代表的な手法としては、検索エンジンで上位表示させるための「SEO(検索エンジン最適化)」、リスティング広告やディスプレイ広告を運用する「SEM(検索エンジンマーケティング)」、X(旧Twitter)やInstagramなどを活用した「SNSマーケティング」などがあります。
この仕事の最大の特徴は、データに基づいて戦略を立て、改善を繰り返す点です。
アクセス解析ツールを使い、「どのくらいの人がサイトを訪れたか」「どのページがよく見られているか」といったデータを分析し、より効果的な施策を打ち出していきます。
数字で結果が明確に出るため、成果が実感しやすい一方で、市場やトレンドの変化に素早く対応する柔軟性も求められます。
論理的思考力と分析力が活かせる分野です。
Webコンテンツ企画・編集
Webコンテンツ企画・編集は、Webメディアやオウンドメディアなどで発信する記事や動画などのコンテンツを企画し、制作・編集する仕事です。
例えば、「就活市場」のような就活生向けメディアであれば、「就活生が今、何に悩んでいるか」「どんな情報が役立つか」を考え、それを分かりやすい記事や動画にして届けます。
読者のニーズを的確に捉え、心を動かすコンテンツを生み出すことがミッションです。
単に文章を書いたり動画を編集したりするだけでなく、キーワード選定や構成案の作成、ライターやクリエイターへのディレクション(指示出し)なども行います。
情報収集能力や企画力、編集スキルが求められ、自分の作ったコンテンツがSNSで話題になったり、多くの人に読まれたりした時には大きな達成感が得られます。
トレンドに敏感で、発信することが好きな人に向いている仕事です。
システム開発・インフラ構築
システム開発・インフラ構築は、Webサービスやアプリが正しく、そして快適に動作するための「裏側」を支える非常に重要な仕事です。
システムエンジニアやプログラマー(特にバックエンドエンジニア)は、ユーザーの目には直接触れないデータベースの管理や、サーバーサイドのプログラム開発を行います。
例えば、ショッピングサイトでの注文処理や、SNSでのログイン機能などは彼らの仕事の成果です。
また、インフラエンジニアは、それらのシステムが動く土台となるサーバーやネットワークを設計・構築・運用します。
Webサービスを24時間365日安定して動かし続ける責任があり、高い専門知識と技術力が求められます。
問題が発生した際には迅速な対応が必要となるため、論理的思考力と責任感が強い人に向いています。
Web業界の根幹を支える、なくてはならない存在です。
【web業界はきついのか】web業界の主な職種
Web業界の具体的な仕事内容が見えてきたところで、次に「どのような職種」があるのかを詳しく見ていきましょう。
先ほど紹介した仕事内容は、実際には様々な専門職の人々がチームを組んで進めています。
例えば「Webサイト制作」一つとっても、デザインを担当する人、コーディングを担当する人、全体の進行を管理する人がいます。
Web業界は専門分化が進んでいるため、自分の得意分野を活かしてキャリアを築きやすいのが特徴です。
ここでは、新卒採用でも募集が多い代表的な5つの職種を紹介します。
それぞれの役割と求められるスキルを知ることで、自分がどの職種に興味があるのか、より具体的にイメージできるはずです。
自分の強みと照らし合わせながら、将来のキャリアを考えてみましょう。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトやアプリの「見た目」をデザインする職種です。
クライアントの要望やサービスの目的に沿って、ロゴ、バナー、ページ全体のレイアウトなどを制作します。
単に美しく見せるだけでなく、ユーザーが使いやすい「UI(ユーザーインターフェース)」や、快適な「UX(ユーザー体験)」を設計することも重要な役割です。
最近では、FigmaやAdobe XDといったデザインツールを使うことが主流です。
デザインの知識はもちろん、HTMLやCSSといったコーディングの基礎知識もあると、エンジニアとの連携がスムーズになります。
美的センスや創造性が求められると同時に、なぜそのデザインにしたのかを論理的に説明する力も必要です。
自分のデザインが世に出て、多くの人に使われることにやりがいを感じる人に向いています。
Webマーケター
Webマーケターは、Webサイトやサービスへの集客を担当し、最終的には売上や認知度アップにつなげる職種です。
仕事内容は幅広く、検索エンジン対策(SEO)、リスティング広告やSNS広告の運用、SNSアカウントの運営、メールマガジンの配信、アクセス解析など多岐にわたります。
この職種の特徴は、データに基づいて戦略を立てることです。
Google Analyticsなどの分析ツールを駆使し、ユーザーの動きを数値で把握・分析します。
その結果をもとに仮説を立て、施策を実行し、さらに効果測定を行うというサイクル(PDCA)を回し続けます。
論理的思考力と数字に対する強さが求められ、自分の施策によって目に見える成果(アクセス数増加や売上アップなど)が出たときに大きな達成感を得られます。
市場の変化を捉える情報感度も重要です。
Webディレクター
Webディレクターは、Webサイト制作やアプリ開発といったプロジェクト全体の「舵取り役」です。
クライアントの要望をヒアリングして企画を立案し、デザイナーやエンジニア、ライターなどの制作スタッフをまとめてプロジェクトを進行管理します。
主な仕事は、スケジュール管理、品質管理、予算管理です。
クライアントと制作スタッフの間に立ち、円滑なコミュニケーションを促すハブ(中心)的な役割を担います。
特定の専門スキルというよりは、幅広いWeb知識と高いコミュニケーション能力、そしてリーダーシップが求められます。
プロジェクトが無事に完了し、クライアントに喜んでもらえた時や、チームで一体となって目標を達成した時に大きなやりがいを感じる仕事です。
多くの人を巻き込みながら物事を進めるのが得意な人に向いています。
Webエンジニア(プログラマー)
Webエンジニアは、プログラミング言語を用いてWebサイトやシステムを開発・構築する技術職です。
大きく分けて、ユーザーの目に見える部分(ブラウザ側)を担当する「フロントエンドエンジニア」と、サーバー側やデータベースなど裏側の仕組みを担当する「バックエンドエンジニア」がいます。
フロントエンドは、Webデザイナーが作成したデザインを基にHTMLやJavaScriptなどを使って実装します。
バックエンドは、会員登録機能や決済システムなど、Webサービスの「機能」そのものを開発します。
いずれも高い専門性が求められ、常に新しい技術を学び続ける必要があります。
論理的に物事を考え、コツコツと作業を進めるのが得意な人や、コードを書いて「動くもの」を作ることに喜びを感じる人に向いています。
Web業界のサービスを技術で支える、非常に重要な職種です。
Webライター/編集者
Webライターや編集者は、Webメディアに掲載される記事コンテンツを作成する職種です。
「就活市場」のようなメディアで、読者にとって有益な情報を提供することが主な仕事です。
編集者は、メディア全体の方向性を考え、記事の企画を立て、ライターに執筆を依頼します。
ライターは、その企画意図や構成に沿って、リサーチを行いながら記事を執筆します。
Webライティングでは、読者に分かりやすく伝える文章力はもちろん、検索エンジンで上位表示されるための「SEOライティング」の知識も重要になります。
情報を集めて整理し、自分の言葉で分かりやすく伝えることが好きな人や、トレンドに敏感な人に向いています。
自分の書いた記事が多くの人に読まれ、役立ったと実感できた時にやりがいを感じる仕事です。
【web業界はきついのか】web業界がきついとされる理由
さて、ここからは多くの就活生が気になる「Web業界はきつい」と言われる具体的な理由について、一つひとつ掘り下げていきます。
冒頭でも触れたように、この業界には華やかなイメージとは裏腹に、厳しい側面も確かに存在します。
しかし、その「きつさ」の正体を理解することで、自分に合っているかどうかを冷静に判断する材料になりますし、入社後のギャップを防ぐことにも繋がります。
例えば、業界特有のスピード感や、常に成果を求められる環境などが挙げられます。
これらの特徴は、人によっては「やりがい」と感じる部分でもあります。
なぜ「きつい」と感じる人がいるのか、その背景にある6つの理由を詳しく解説していきます。
変化のスピードが速く、常に勉強が必要
Web業界がきついと言われる最大の理由の一つが、業界全体の変化のスピードが非常に速いことです。
新しい技術、新しいツール、新しいマーケティング手法、競合サービスなどが次々と登場します。
例えば、数年前に主流だったSNSが今は使われなくなったり、昨日までなかった新しいプログラミング言語が注目されたりすることは日常茶飯事です。
そのため、一度スキルを身につけたら安泰ということはなく、常に最新の情報をキャッチアップし、勉強し続ける姿勢が求められます。
業務時間外や休日にも自主的に勉強している人が多いのもこの業界の特徴です。
知的好奇心が旺盛な人にとっては刺激的な環境ですが、安定志向で「言われたことだけをやりたい」という人にとっては、この「学び続ける」環境が「きつい」と感じられる大きな要因になります。
成果(数字)が明確に出るプレッシャー
Web業界の仕事、特にWebマーケティングや広告運用、Webディレクターなどの職種では、仕事の成果が「数字」として非常に明確に出やすい特徴があります。
例えば、Webサイトのアクセス数(PV数)、商品購入や資料請求に至った割合(CVR)、広告のクリック率、売上など、あらゆる行動がデータとして可視化されます。
成果が分かりやすいことは、自分の仕事の貢献度が実感できるというメリットである反面、「数字が伸びない=成果が出ていない」とシビアに評価されるプレッシャーにも繋がります。
目標達成へのプレッシャーが常にかかる環境を「きつい」と感じる人も少なくありません。
数字にこだわり、試行錯誤しながら成果を出すプロセスを楽しめるかどうかが、この業界で活躍するための一つの鍵となります。
納期やスケジュールが厳しい場合がある
特にWeb制作会社やシステム開発会社など、クライアント(顧客)から仕事を受託している企業では、納期やスケジュールが非常に厳しくなることがあります。
「○月○日までにサイトを公開したい」というクライアントの絶対的な要望に応えるため、逆算してタイトなスケジュールが組まれることも珍しくありません。
また、プロジェクト進行中にクライアントから急な仕様変更や追加要望が入ることもあり、その調整に追われることもあります。
決められた納期を守ることは絶対であるため、リリース直前などは業務が集中し、残業が増える原因にもなります。
チームで協力して困難な納期を乗り越えた時の達成感は大きいですが、常に時間に追われるプレッシャーを「きつい」と感じる人も多いでしょう。
業務範囲が広く、マルチタスクになりがち
Web業界、特に成長途中のベンチャー企業やスタートアップ企業では、一人の社員が担う業務範囲が非常に広い傾向にあります。
明確な分業体制が確立されていない場合も多く、例えば「Webマーケター」であっても、簡単なデザイン修正や記事のライティング、時にはクライアントとの折衝まで、職種の垣根を越えて様々な業務をこなさなくてはならない場面があります。
いわゆる「マルチタスク」が日常的になるため、一つの仕事に集中したい人にとってはストレスに感じるかもしれません。
一方で、若いうちから幅広いスキルや経験を積めるチャンスと捉えることもできます。
自分の専門性を深めたいのか、幅広く業務に携わりたいのか、企業規模や社風によっても異なるため、企業研究が重要です。
長時間労働や不規則な勤務になることも
Web業界全体として働き方改革は進んでいますが、企業や職種、時期によっては長時間労働になりやすい側面もあります。
特に「きつい理由3」で挙げたような納期の直前や、Webサービスで予期せぬシステム障害(バグ)が発生した時などは、迅速な対応が求められ、残業や休日出勤が発生することもあります。
インフラエンジニアなどは、サービスを24時間監視する必要があるため、シフト制で夜間勤務(当番制)が発生する場合もあります。
「常にPCやスマートフォンをチェックしていないと不安」といった状態になりやすく、プライベートとの切り替えが難しいと感じる人もいるようです。
もちろん、フレックスタイム制やリモートワークを導入し、柔軟な働き方を推進している企業も多いため、志望企業の労働環境はしっかりと確認する必要があります。
高い専門スキルが求められる
Web業界は、比較的若手でも活躍しやすいイメージがあるかもしれませんが、実際には各職種で高い専門スキルが求められます。
例えば、エンジニアであればプログラミングスキル、デザイナーであればデザインスキルやツールの習熟、マーケターであればデータ分析能力や広告運用の知識が必須です。
これらのスキルは一朝一夕で身につくものではなく、日々の研鑽が必要です。
スキル不足のまま入社してしまうと、周りのレベルの高さについていけなかったり、思うように成果が出せなかったりして、「きつい」と感じてしまうことになります。
新卒採用の場合はポテンシャル重視の側面もありますが、入社後も継続的にスキルアップしていく覚悟が必要です。
専門性を高めていくことに喜びを感じられる人にとっては、非常にやりがいのある環境と言えるでしょう。
web業界の現状・課題
Web業界が「きつい」とされる理由を見てきましたが、業界全体としては現在どのような状況にあり、どんな課題を抱えているのでしょうか。
スマートフォンの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、Webサービスは社会インフラの一部となり、市場規模は拡大を続けています。
その一方で、急速な成長に伴う様々な課題も顕在化しています。
これらの課題は、裏を返せば、これから業界を目指す皆さんにとっては新たなビジネスチャンスや、活躍できる領域が広がっているとも言えます。
ここでは、現在のWeb業界が直面している主な3つの課題について解説します。
業界の「今」を知ることで、就職活動の軸もより明確になるはずです。
人材不足(特に高度IT人材)
現在のWeb業界、ひいてはIT業界全体が抱える最も大きな課題が、深刻な人材不足です。
あらゆる産業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、WebサービスやIT技術を活用したいという企業の需要は爆発的に増えています。
しかし、その需要に対して、システムを開発できるエンジニアや、データを分析できるデータサイエンティスト、AI技術を扱える専門家など、高度なスキルを持つIT人材の供給が全く追いついていないのが現状です。
経済産業省の調査でも、将来的にIT人材が大幅に不足すると予測されています。
この人材不足は、既存の社員の業務負担増加にも繋がり、「きつい」と感じる一因にもなっています。
一方で、新卒の皆さんにとっては、しっかりとスキルを身につければ、若いうちから重要なポジションを任されたり、高い需要の中でキャリアを選びやすかったりするという大きなチャンスでもあります。
技術革新の速さへの対応
「きつい理由」でも挙げた技術革新の速さは、働く個人だけでなく、企業側にとっても大きな課題となっています。
AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)、ブロックチェーンなど、次々と新しい技術が登場し、ビジネスのあり方を根本から変えようとしています。
企業は、これらの新技術をいち早くキャッチアップし、自社のサービスに取り入れたり、新たなビジネスモデルを構築したりしなければ、激しい競争の中で生き残ることができません。
しかし、新技術を使いこなせる人材の育成や、既存システムの刷新には多大なコストと時間がかかります。
この変化のスピードに対応しきれず、技術的な負債(古いシステム)を抱えてしまう企業も少なくありません。
常に変革を求められる厳しさがある業界だと言えます。
セキュリティとプライバシー保護の強化
Webサービスが社会インフラ化するにつれて、企業が取り扱うデータの量と重要性は増大しています。
特に、ECサイトやSNSなどでは、膨大な数の個人情報や決済情報を扱います。
これに伴い、サイバー攻撃による情報漏洩のリスクも高まっており、ひとたび事故が起これば企業の信用は失墜し、経営に甚大なダメージを与えます。
そのため、堅牢なセキュリティ対策を講じることは企業にとって最重要課題の一つです。
また、世界的に個人情報保護の意識が高まっており、日本でも個人情報保護法が改正されるなど、プライバシー保護に関する法規制も強化されています。
企業は、法律を遵守しながら、いかにデータを安全かつ倫理的に活用していくかという難しい課題に直面しています。
技術力だけでなく、高い倫理観も求められるようになっています。
web業界の今後の動向
様々な課題を抱えつつも、Web業界は今後も私たちの生活やビジネスの中心であり続けることは間違いありません。
むしろ、その重要性はますます高まっていくでしょう。
では、具体的にどのような方向性に進んでいくのでしょうか。
最新の技術トレンドを把握しておくことは、皆さんが将来どの分野でキャリアを築いていきたいかを考える上で非常に重要です。
例えば、最近よく耳にするAI(人工知能)は、Webサービスとどのように結びついていくのでしょうか。
ここでは、Web業界の将来性を左右すると考えられる3つの大きな動向について解説します。
これらのトレンドが、業界の「きつさ」をどう変えていくのか、あるいは新たな「やりがい」を生むのか、想像しながら読んでみてください。
AI(人工知能)のさらなる活用
Web業界の今後の動向として、AI(人工知能)の活用は避けて通れません。
ChatGPTのような生成AIの登場により、文章作成や画像生成、プログラミングコードの生成などが自動化されつつあり、Web制作やコンテンツマーケティングの現場は大きく変わろうとしています。
また、ECサイトでの「おすすめ商品」の表示(レコメンデーション)や、Web広告のターゲティング精度の向上など、AIはすでに多くのWebサービスに組み込まれています。
今後は、AIによるデータ分析がさらに高度化し、よりパーソナライズされた(個人に最適化された)サービスが主流になるでしょう。
AIを使いこなすスキルが、Web業界で働く上で標準的に求められるようになる可能性もあります。
単純作業がAIに代替される一方で、AIを活用した新たなサービスを企画・開発できる人材の価値は一層高まると予想されます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の継続的な進展
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスそのものを変革することです。
コロナ禍を経て、あらゆる業界でDXの必要性が叫ばれており、この流れは今後も加速していきます。
Web業界は、このDXを「支援する側」として中心的な役割を担います。
例えば、これまで対面で行っていた販売活動をECサイトに移行したり、紙の書類で行っていた業務をクラウドシステムで効率化したりするなど、他産業の課題をWeb技術で解決するビジネス(BtoB)の需要がますます高まっています。
これは、Web業界の活躍の場が、従来のWebサービス企業だけでなく、製造業、金融、医療、教育といった様々な分野に広がっていくことを意味します。
Webの専門知識と、他業界の業務知識を併せ持つ人材が重宝されるようになるでしょう。
XaaS(ザース)モデルの普及
「XaaS(ザース)」とは、SaaS(サース:Software as a Service)に代表されるように、あらゆるものをサービスとしてインターネット経由で提供するビジネスモデルの総称です。
従来のようにソフトウェアを買い切る(所有する)のではなく、必要な時に必要なだけ利用料を支払う「サブスクリプションモデル」が主流になっています。
例えば、皆さんが利用するGoogle WorkspaceやMicrosoft 365、あるいはNetflixのような動画配信サービスもこの一種です。
企業にとっては、安定した収益源を確保しやすいメリットがあり、ユーザーにとっては初期費用を抑えて手軽にサービスを利用できるメリットがあります。
今後もこのXaaSモデルはあらゆる分野で普及していくと見られ、Web業界においても、いかにして継続的に利用してもらえる魅力的なサービスを開発・提供し続けるかが、ビジネス成功の鍵となります。
【web業界はきついのか】web業界に向いている人
ここまでWeb業界の仕事内容や「きつい」とされる理由、将来性について解説してきました。
これらを踏まえて、果たして自分はWeb業界に向いているのだろうか?と気になっている人も多いでしょう。
業界の「きつさ」は、見方を変えれば「やりがい」にもなります。
変化の速さや成果主義といった特徴をポジティブに捉えられるかどうかは、適性を判断する上で重要なポイントです。
Web業界でいきいきと活躍している人には、いくつかの共通する特徴があります。
ここでは、Web業界に向いている人の5つの特徴を紹介します。
自分がこれらの特徴に当てはまるかどうか、自己分析と照らし合わせながらチェックしてみてください。
知的好奇心が強く、学び続けることが好きな人
Web業界に向いている人の最も重要な素養は、知的好奇心が強く、新しいことを学び続けるのが好きなことです。
「きつい理由」でも述べた通り、この業界は技術やトレンドの移り変わりが非常に激しいため、常に自分をアップデートし続ける必要があります。
昨日まで知らなかった新しいツールや、流行しているデザイン、新しいマーケティング手法などを知ったときに、「面白そう!」「自分でも試してみたい!」とワクワクできる人は、この業界のスピード感を楽しめるでしょう。
逆に、一度覚えたことだけで仕事をしたい、勉強は学生時代で終わり、と考えている人には厳しい環境かもしれません。
自主的に情報収集したり、勉強会に参加したりすることを苦に感じない人、むしろそれを楽しいと感じられる人は、Web業界で大きく成長できる可能性を秘めています。
変化をポジティブに楽しめる人
Web業界は「変化が当たり前」の世界です。
市場のニーズも、使う技術も、競合の状況も、日々刻々と変わっていきます。
そのため、一度決めたやり方やルールに固執せず、状況に応じて柔軟に対応を変えていくことが求められます。
時には、昨日まで進めていた計画が白紙に戻り、全く新しい方針で動き出す、といったことも起こり得ます。
こうした変化を「面倒だ」「不安だ」とネガティブに捉えるのではなく、「新しいことに挑戦できるチャンスだ」とポジティブに楽しめる人は、Web業界に非常に向いています。
決まりきったルーティンワークをこなすよりも、予測不能な状況下で試行錯誤しながら最適解を見つけていくプロセスにやりがいを感じる人にとって、Web業界は刺激に満ちた魅力的な職場となるでしょう。
論理的思考力がある人
Web業界の仕事は、エンジニアリングやマーケティング、デザインに至るまで、論理的思考力(ロジカルシンキング)が求められる場面が非常に多いです。
「なぜこの施策がうまくいったのか」「なぜこのシステムはエラーを起こすのか」「なぜこのデザインがユーザーにとって最適なのか」を、データや根拠に基づいて筋道立てて考える力が不可欠です。
特にWebマーケターやエンジニアは、数字やコードといった論理の積み重ねで仕事が成り立っています。
また、Webディレクターやデザイナーも、クライアントやチームメンバーに企画意図やデザインの根拠を説明する際に、論理的な説明能力が求められます。
感情論ではなく、物事を構造的に捉え、仮説を立てて検証するプロセスが得意な人は、Web業界で高く評価されるでしょう。
チームで協力して物事を進められる人
Web業界の仕事は、パソコンに向かって一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、実際には多くの仕事がチームプレーで成り立っています。
一つのWebサイトやサービスを作るためには、ディレクター、デザイナー、エンジニア、ライター、マーケターなど、異なる専門性を持つメンバーが連携する必要があります。
そのため、自分の意見を的確に伝える力や、相手の意図を正確に汲み取る力、いわゆるコミュニケーション能力や協調性が非常に重要です。
たとえ高い専門スキルを持っていたとしても、チームの和を乱したり、報告・連絡・相談を怠ったりする人は、良い成果を生み出すことができません。
周りのメンバーと積極的にコミュニケーションを取り、お互いの専門性を尊重しながら、一つの目標に向かって協力できる人はWeb業界に向いています。
「ものづくり」や「発信」が好きな人
Web業界の根幹にあるのは、インターネットを通じて「何かを生み出し、届ける」ことです。
それがWebサイトやアプリといった「ものづくり」であれ、記事や動画といった「情報発信」であれ、形のないアイデアを具体的なサービスやコンテンツとして世の中に生み出すことに喜びを感じる人は、この業界に強い適性があります。
例えば、趣味でブログを書いたり、SNSで情報を発信したり、簡単なWebサイトを作ってみたりした経験がある人は、その延長線上にWeb業界の仕事があると言えます。
自分が関わったものがインターネットを通じて世界中の人に見られたり、使われたりすることにやりがいを感じる人、そしてそれに対するユーザーからの反応(良いものも悪いものも)を糧に、さらに良いものを作ろうと改善を続けられる人は、Web業界で働く楽しさを実感できるはずです。
【web業界はきついのか】web業界に向いていない人
一方で、「向いている人」の特徴にあまり当てはまらないと感じた人もいるかもしれません。
Web業界の「きつい」とされる特徴が、自分の価値観や働き方の希望と合わない場合、入社後に苦労してしまう可能性もあります。
大切なのは、業界の良い面だけでなく、自分と合わない可能性のある側面も理解した上で、納得のいく選択をすることです。
無理に自分を業界に合わせる必要はありません。
ここでは、Web業界の特性を踏まえた上で、「もしかしたら向いていないかもしれない」という人の特徴を5つ挙げます。
これらはあくまで一般的な傾向ですので、自分自身を深く知るための一つの材料として参考にしてください。
安定志向で、変化を好まない人
「向いている人」の特徴とは対照的に、安定志向が強く、環境や仕事内容の変化を好まない人は、Web業界のスピード感にストレスを感じやすいかもしれません。
この業界では、会社の事業方針が短期間で変わったり、使っているツールがアップデートされたり、担当する業務内容が変わったりすることが頻繁に起こります。
一度確立されたマニュアルや手順に沿って、着実に仕事を進めたいと考える人にとっては、こうした変化の多さは「きつい」と感じる大きな要因になります。
もちろん、Web業界の中にも比較的安定した業務(例えば、既存システムの保守・運用など)もありますが、業界全体としては「変化し続けること」が前提となっています。
将来にわたって安定した働き方を最優先に考える場合は、他の業界も視野に入れた方が良いかもしれません。
新しいことを学ぶのが苦手・嫌いな人
Web業界は、常に新しい情報や技術を学び続けることが求められる環境です。
「向いている人」でも触れましたが、この「学び続ける姿勢」が持てない、あるいは自主的な勉強や情報収集を「苦痛」だと感じてしまう人は、Web業界で働き続けるのが難しくなる可能性があります。
学生時代の勉強で手一杯で、社会人になったらもう勉強したくない、と考えている場合、Web業界の「常に学ぶ」という文化は大きな負担になるでしょう。
周りの同僚や先輩が業務時間外にもスキルアップのために勉強している中で、自分だけがその流れに乗れないと、徐々にスキル差が開いてしまい、焦りや劣等感を感じてしまうことにも繋がりかねません。
知的好奇心よりも、安定した業務知識で長く働きたい人には、あまり向かない環境と言えます。
ルーティンワークを好む人
Web業界の仕事は、日々状況が変わり、新しい課題に対応することが多いため、毎日決まった手順で行う「ルーティンワーク」が好きな人には、物足りなさやストレスを感じるかもしれません。
もちろん、職種や担当業務によっては(例えば、データ入力や一部の運用保守業務など)定型的な作業もありますが、多くの職種では「昨日と同じこと」を繰り返すだけでは成果が出ません。
常に「どうすればもっと良くなるか」を考え、新しい施策を試したり、業務プロセスを改善したりすることが求められます。
変化や新しい挑戦よりも、決められたルールの中で正確に業務を遂行することにやりがいを感じる人は、事務職や公務員、製造業のライン作業など、より定型化された業務が多い職種の方が適性がある可能性があります。
成果(数字)へのプレッシャーに弱い人
Web業界は、仕事の成果がアクセス数や売上といった「数字」で明確に表れることが多い業界です。
成果が可視化されることはやりがいにも繋がりますが、同時に「数字を達成しなければならない」というプレッシャーに常にさらされることにもなります。
このプレッシャーを「きつい」と感じ、精神的に追い詰められてしまう人もいます。
数字で評価されるよりも、プロセスや努力を重視してほしい、あるいは人々の役に立っているという実感(数字には表れにくい貢献)を大切にしたい、と考える人にとっては、Web業界の成果主義的な側面が合わないかもしれません。
もちろん、企業文化にもよりますが、数字へのこだわりが強い業界であることは理解しておく必要があります。
指示待ちで、受け身な姿勢の人
変化のスピードが速く、前例のない課題に取り組むことも多いWeb業界では、「指示待ち」の姿勢では仕事が進みません。
特にベンチャー企業などでは、手厚い研修や詳細なマニュアルが整備されていないことも多く、自分で考えて動く「主体性」が強く求められます。
「何をすべきか分からないので、指示をください」という姿勢ではなく、「こういう課題があると思うので、このように進めても良いですか?」と自ら提案し、行動できる人が活躍します。
上司や先輩からの具体的な指示がないと動けない人や、自分で判断することに強い不安を感じる人は、Web業界、特にスピード感のある企業では苦労する可能性が高いです。
手厚い研修体制や確立された業務フローを求める場合は、大手企業や、Web業界以外の比較的安定した業界も検討してみると良いでしょう。
web業界に行くためにすべきこと
Web業界の「きつさ」も「やりがい」も理解した上で、「やっぱりWeb業界に挑戦したい!」と決意した皆さんもいるでしょう。
では、実際にWeb業界の内定を勝ち取るためには、学生のうちに何をすべきでしょうか。
この業界は、新卒採用においても「ポテンシャル」だけでなく、「どれだけ本気で業界を目指しているか」「基本的な知識やスキルがあるか」を見られる傾向があります。
特にエンジニアやデザイナー職を目指す場合は、具体的な制作物(ポートフォリオ)が選考で重視されることも少なくありません。
ここでは、Web業界を目指す就活生が今すぐ取り組むべきことを、3つのステップに分けて具体的に解説します。
周りの就活生と差をつけるために、できることから始めてみましょう。
業界・企業研究と職種理解を深める
まずは、Web業界の全体像を正確に把握することから始めましょう。
一口にWeb業界と言っても、企業向け(BtoB)のSaaSを提供している会社、一般消費者向け(BtoC)のメディアやアプリを運営している会社、クライアントのWebサイトを受託制作している会社、Web広告代理店など、ビジネスモデルは様々です。
自分がどの分野に興味があるのかを明確にするために、それぞれの特徴や代表的な企業を調べてみましょう。
また、この記事でも紹介した「職種」についても深く理解することが重要です。
WebディレクターとWebマーケターの違いは何か、フロントエンドエンジニアにはどんなスキルが必要か。
職種理解が曖昧なままでは、説得力のある志望動機は作れません。
業界・企業・職種研究を徹底的に行うことが、Web業界就活の第一歩です。
実際に「作ってみる」経験(ポートフォリオ作成)
Web業界、特にエンジニアやデザイナーなどの技術職を目指す場合、「知識がある」ことよりも「実際に作ったことがある」経験が圧倒的に重視されます。
選考では、自分の作品集である「ポートフォリオ」の提出を求められることがほとんどです。
いきなり凄いものを作る必要はありません。
例えば、プログラミング学習サイトで学んだことを活かして簡単なWebアプリを作ってみる、無料のブログサービスで自分の趣味に関する記事を書いてみる(SEOを意識してみる)、デザインツールを使って架空のWebサイトのデザインカンプを作ってみるなど、まずは手を動かしてみましょう。
こうした「アウトプット」の経験は、スキルアップに繋がるだけでなく、面接で「なぜWeb業界なのか」を語る上で何より強力なアピール材料(=本気度)になります。
長期インターンシップへの参加
Web業界への適性を確かめ、実務スキルを身につける最も効果的な方法が、長期インターンシップに参加することです。
特にベンチャー企業やスタートアップ企業では、インターン生にも裁量権のある仕事を任せてもらえるケースが多く、社員と同じ環境で働く経験は非常に貴重です。
Web業界特有のスピード感や、チームでの働き方、成果を求められる厳しさ(きつさ)と、それを乗り越えた時の達成感(やりがい)を肌で感じることができるでしょう。
そこで得た経験は、自己PRや志望動機を語る上で、他の就活生にはない圧倒的な具体性と説得力を与えてくれます。
また、インターン先で成果を出せば、そのまま内定に繋がる可能性も十分にあります。
学業との両立は大変ですが、本気で目指すならぜひ挑戦してほしいと思います。
適職診断ツールを用いる
ここまでWeb業界について詳しく解説してきましたが、「本当に自分にWeb業界が向いているか、まだ自信が持てない…」と感じている人もいるかもしれません。
自己分析は就職活動の基本ですが、一人で考えていると考えが偏ってしまったり、自分の強みや適性に気づけなかったりすることもあります。
そんな時に役立つのが「適職診断ツール」です。
適職診断ツールは、いくつかの質問に答えるだけで、自分の性格的な傾向や、向いている仕事のタイプを客観的に示してくれます。
Web業界で求められる「論理的思考力」や「変化への対応力」といった素養が自分にあるかどうか、診断結果を一つの参考にしてみるのも良いでしょう。
あくまで診断は参考の一つですが、自分を客観視するきっかけとして、自己分析を深めるために活用してみてください。
【web業界はきついのか】適性がわからないときは
適職診断ツールを使ってみても、まだWeb業界が自分に合うかどうか確信が持てない、という人もいるでしょう。
そんな時は、自己分析をさらに深掘りすることが大切です。
診断結果で示された自分の「強み」や「弱み」が、Web業界の「きつい理由」や「向いている人の特徴」とどう結びつくか、あるいは反発するかを具体的に考えてみましょう。
例えば、「安定志向」という結果が出たなら、なぜ自分は安定を求めるのか、Web業界の変化の速さに本当に耐えられないのか、と自問自答してみるのです。
また、自分一人で悩まず、大学のキャリアセンターの職員や、私たちのような就活アドバイザー、あるいは実際にWeb業界で働いているOB・OGに相談し、客観的な意見をもらうことも非常に有効です。
おわりに
今回は、Web業界が「きつい」と言われる理由から、仕事内容、将来性、向き不向きまで詳しく解説してきました。
確かに、変化の速さや求められるスキルの高さなど、厳しい側面もあります。
しかし、それは同時に、若いうちから成長できる環境や、世の中に大きな影響を与えるサービスを生み出せる「やりがい」にも繋がっています。
大切なのは、イメージだけで判断せず、実態を正しく理解し、自分の価値観と照らし合わせることです。
この記事が、皆さんの納得のいく業界選びの一助となれば幸いです。
応援しています!