【業界研究】テレビ業界はきついのか?理由や向いていない人の特徴を徹底解説!

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はじめに

今回は、華やかなイメージとは裏腹に「きつい」という噂も絶えないテレビ業界について、その実態を徹底的に解説していきます。

エンタメが好き、影響力のある仕事がしたい、そう思ってテレビ業界に興味を持つ学生さんは多いですよね。

この記事を読めば、仕事の具体的な内容から、なぜ「きつい」と言われるのか、そしてどんな人が活躍できるのかまで、丸ごと理解できますよ。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界はきつい?

「テレビ業界=きつい」というイメージ、あなたも持っていませんか?確かに、視聴者に面白い番組を届ける裏側では、時間的にも体力的にもハードな場面が多いのは事実です。

特に制作現場では、放送時間に間に合わせるための厳しい納期や、昼夜逆転も珍しくない不規則なスケジュールが常態化していることもあります。

また、多くの人が関わる共同作業だからこその人間関係の難しさや、視聴率というシビアな結果が求められるプレッシャーも存在します。

こうした側面が「きつい」というイメージを作っているんですね。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界の仕事内容

テレビ番組が私たちの元に届くまでには、非常に多くのステップと、それを支える多様な仕事が存在します。

皆さんが想像する「番組制作」は、その一部に過ぎません。

例えば、どんな番組を作るか企画を練る人、その企画を実現するために予算やスケジュールを管理する人、スポンサーを見つけてくる営業担当、そして実際に撮影や編集を行う技術スタッフなど、役割は多岐にわたります。

また、完成した番組をどの時間帯に放送するかを決める「編成」という重要な仕事もあります。

テレビ業界は、こうした様々な専門スキルを持った人々の連携によって成り立っているのです。

ここでは、その中でも代表的な仕事内容をいくつかピックアップして、具体的にどのような業務を行っているのかを見ていきましょう。

各仕事の繋がりを理解することで、業界全体の姿がより鮮明になるはずです。

番組の「企画・リサーチ」

テレビ業界の仕事のスタート地点とも言えるのが「企画・リサーチ」です。

これは、新しい番組のアイデアを生み出し、そのアイデアが実現可能か、そして視聴者に受け入れられるかを調査する仕事です。

プロデューサーやディレクター、放送作家などが中心となり、「今、世の中は何を求めているか」「どんなタレントを起用すれば面白くなるか」といった議論を重ねます。

企画が通れば、次は徹底的なリサーチが始まります。

例えば、ドキュメンタリー番組であれば関係者への取材交渉、情報番組であれば最新トレンドの調査、クイズ番組であれば問題の作成と事実確認(裏付け)など、番組の根幹となる情報を集める重要な役割です。

地道な作業も多いですが、自分の立てた企画が形になり、多くの人に影響を与える瞬間のやりがいは計り知れません。

世の中の動きに常にアンテナを張り、情報を取捨選択する能力が求められる仕事です。

現場を動かす「制作(撮影・編集)」

企画が決まったら、いよいよ実際の「制作」フェーズに入ります。

ディレクターの指示のもと、アシスタントディレクター(AD)がスケジュール管理やロケ地の手配、出演者との調整など現場のあらゆる雑務を引き受けます。

撮影現場では、カメラマン、音声、照明といった技術スタッフが連携し、最高の映像と音を収録します。

ロケやスタジオ収録が終われば、次は「編集」作業です。

撮影した膨大な素材の中から、ディレクターが意図するストーリーラインに沿って映像を繋ぎ合わせ、テロップ(字幕)やナレーション、BGM(背景音楽)などを加えていきます。

この編集作業(ポストプロダクション)が番組の面白さを大きく左右すると言っても過言ではありません。

限られた時間の中でクオリティの高いものを作り上げるため、深夜までの作業になることも多く、体力と集中力が要求される工程です。

番組を届ける「放送技術・編成」

制作された番組を、実際にお茶の間に届けるための重要な役割を担うのが「放送技術」と「編成」です。

放送技術は、いわゆる「マスターコントロールルーム(主調整室)」と呼ばれる場所で、番組やCMがスケジュール通りに間違いなく放送されるよう、24時間体制で監視・運用する仕事です。

万が一の放送事故を防ぐ、テレビ局の心臓部とも言えます。

一方、「編成」は、どの時間帯にどの番組を放送するかという「タイムテーブル」を決める仕事です。

視聴率のデータ分析や世の中のトレンドを読み解き、「この時間帯なら主婦層が見ているから情報番組を」「この曜日は若者向けにドラマを」といった戦略を立てます。

局の売上やイメージを左右する非常に重要なポジションであり、企画力だけでなく高度な分析力と判断力が求められます。

局の収益を支える「営業・広報」

テレビ局の主な収入源は、番組の間に流れるCMの広告料です。

この広告枠をスポンサー(企業)に販売するのが「営業」の仕事です。

営業担当者は、広告代理店やスポンサー企業に対し、自社の番組の魅力や視聴者層をアピールし、CMを出稿してもらうよう交渉します。

番組の制作費を稼ぎ出す、局の経営を支える大黒柱です。

一方、「広報」は、自社の番組や取り組みを世の中に広く知ってもらうための仕事です。

プレスリリースの作成・配信、新聞や雑誌の記者向け試写会の開催、公式SNSでの情報発信など、番組の「顔」として情報を届けます。

視聴者に番組を見てもらうための「仕掛け」を作る役割であり、世間の関心を引きつける企画力や、メディア関係者との円滑なコミュニケーション能力が求められます。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界の主な職種

テレビ業界と一口に言っても、そこには非常に多くの職種が存在します。

先ほど紹介した「仕事内容」は、これらの職種の人々が分担・協力して実行しています。

就職活動でテレビ業界を目指す場合、自分がどの「職種」に就きたいのかを明確にすることが非常に重要です。

例えば、番組の全体的な責任者である「プロデューサー」や、現場の指揮官である「ディレクター」、そしてそのサポート役である「AD(アシスタントディレクター)」は、制作現場の代表的な職種です。

また、華やかなイメージのある「アナウンサー」もテレビ局員の一員です。

さらに、カメラや音声、編集などを専門に扱う「技術職」や、営業、編成、広報などを担う「総合職」など、多岐にわたる専門家が集まって一つの組織が成り立っています

自分がどの分野で強みを発揮したいのかを考えながら、各職種への理解を深めていきましょう。

プロデューサー

プロデューサーは、番組制作における最高責任者です。

企画の立ち上げから、予算の管理、スタッフや出演者のキャスティング、スケジュールの全体統括、さらには番組の宣伝戦略まで、プロジェクト全体を俯瞰し、成功に導く役割を担います。

ディレクターが番組の「中身(クオリティ)」に責任を持つのに対し、プロデューサーは番組の「すべて(予算や視聴率、最終的な評価)」に責任を持つと言えるでしょう。

そのため、面白い番組を作るクリエイティブな視点だけでなく、予算内でいかに効率よく制作を進めるかという経営的な視点も同時に求められます。

多くのスタッフをまとめ上げるリーダーシップや、局の上層部やスポンサーと交渉する力も不可欠です。

ADやディレクターとして現場経験を積んだのちに、このポジションに就くのが一般的です。

ディレクター・AD(アシスタントディレクター)

ディレクターは、番組制作の「現場監督」です。

プロデューサーが決定した企画意図に基づき、番組の具体的な演出プランを考え、ロケやスタジオ収録でスタッフに指示を出します。

また、撮影後の編集作業においても中心的な役割を担い、映像の繋ぎ方、テロップの入れ方、音楽の選定など、番組の面白さやクオリティを直接左右する最終的な仕上げを行います。

一方、AD(アシスタントディレクター)は、そのディレクターの補佐役です。

リサーチ、ロケ地の手配、出演者への連絡、撮影許可の申請、弁当の手配、編集の補助など、制作に関わるあらゆる業務をサポートします。

「きつい」と言われるテレビ業界のイメージは、このADの多忙さから来ている側面も強いですが、番組制作の流れをゼロから学ぶことができる最も重要な下積み期間でもあります。

多くのディレクターがこのAD経験を経てステップアップしていきます。

技術職(カメラ・音声・照明など)

技術職は、テレビ番組の「画」と「音」を作る専門家たちです。

カメラマン(撮影)は、ディレクターの意図を汲み取り、どうすれば被写体が最も魅力的に映るか、どうすれば状況が的確に伝わるかを考えながらカメラを操作します。

音声(ミキサー)は、出演者の声や現場の音をクリアに収録し、時にはBGMや効果音を加えて臨場感を高めます。

照明(ライティング)は、スタジオやロケ地で光を演出し、映像の雰囲気を作り上げます。

これら技術スタッフの専門的なスキルがなければ、番組は成立しません

近年では機材の進化も目覚ましく、常に新しい技術を学び続ける探究心も求められます。

また、編集(エディター)やCGクリエイターなどもこの技術職に含まれることがあり、制作現場のクオリティを支える重要な存在です。

アナウンサー

アナウンサーは、テレビ局の「顔」とも言える職種です。

ニュース番組での原稿読み、情報番組やバラエティ番組での司会進行、スポーツ中継での実況、時には現場でのリポートなど、多岐にわたる役割を担います。

ただ単に「声を出す」仕事ではなく、視聴者に情報を正確かつ分かりやすく伝えるための高度な日本語能力と、瞬時に状況を判断し的確な言葉を選ぶ「アドリブ力」が求められます。

また、番組の雰囲気を和ませたり、議論を活性化させたりするタレント性も重要です。

近年では、アナウンサー自身が取材に出向き、原稿を作成する「記者」としての一面も強まっています。

非常に人気の高い職種であり、入社試験は狭き門ですが、その分、社会的な影響力もやりがいも大きな仕事と言えるでしょう。

総合職(営業・編成・広報・人事など)

テレビ局には、番組制作の第一線以外にも、会社を運営するために欠かせない多くの仕事があります。

それらを担うのが「総合職」です。

例えば「営業」は、スポンサーにCM枠を販売し、局の収益を確保する重要な役割です。

「編成」は、視聴率やトレンドを分析し、番組の放送スケジュールを決定します。

「広報」は、番組や局の活動をPRし、ブランドイメージを高めます。

他にも、新しいビジネスモデルを開発する「事業部」や、社員の採用・育成を行う「人事」、経理や法務など、一般企業と同様のバックオフィス機能も全て含まれます。

これらの部署は、直接的に番組を作るわけではありませんが、制作現場が円滑に、かつ継続的に活動できるよう支える、テレビ局という組織に不可欠な存在です。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界がきついとされる理由

さて、ここまでテレビ業界の仕事内容や職種を見てきましたが、やはり気になるのは「なぜきついと言われるのか」という点ですよね。

華やかな世界の裏側にある厳しい現実は、入社後のミスマッチを防ぐためにも正しく理解しておく必要があります。

その理由は一つではなく、長時間労働や不規則な勤務形態、体力的な負担、精神的なプレッシャー、そして業界特有の慣習など、複合的な要因が絡み合っています。

これらの「きつさ」は、特に番組制作の現場で顕著に見られる傾向があります。

しかし、近年は働き方改革の波も受けて、業界全体で労働環境を改善しようとする動きも出てきています。

ネガティブな側面だけでなく、その変化も含めて客観的に把握することが、業界研究では重要です。

長時間労働と不規則な勤務体系

テレビ業界が「きつい」と言われる最大の理由の一つが、労働時間の長さと勤務の不規則さです。

特に番組制作の現場、とりわけADなどは、放送日(納期)という絶対的な締め切りに追われるため、長時間労働が常態化しやすい環境にあります。

ロケが早朝から深夜に及ぶことも、編集作業が終わらず会社に泊まり込むことも珍しくありません。

また、生放送の番組を担当すれば、その放送時間に合わせて出勤・退勤時間が決まりますし、突発的なニュースや事件・事故が発生すれば、休日であっても緊急で呼び出されることもあります。

カレンダー通りの休みや、決まった時間での勤務を望む人にとっては、この不規則な生活リズム自体が大きな負担となるでしょう。

体力的な負担が大きい

長時間労働に加えて、体力的な負担の大きさも「きつさ」の要因です。

制作現場では、重い撮影機材を運んだり、悪天候の中でロケを強行したり、長時間の立ち仕事や移動が続くことも日常茶飯事です。

ロケハン(ロケーション・ハンティング)のために一日中歩き回ることもありますし、スタジオ収録ではセットの設営や撤収を手伝うこともあります。

AD時代は、こうした体力勝負の業務が非常に多いため、体力に自信がないと厳しいかもしれません。

また、不規則な生活リズムは、睡眠不足や食生活の乱れにも繋がりやすく、自己管理能力が問われる場面も多くあります。

精神的なタフさだけでなく、ベースとなる「体力」が求められる業界であることは間違いありません。

精神的なプレッシャー(視聴率・納期)

テレビ業界は、常に「結果」を求められるシビアな世界です。

その最たるものが「視聴率」です。

どれだけ面白いと信じる番組を作っても、視聴率が取れなければスポンサーがつかず、番組が打ち切りになる可能性もあります。

この数字という明確な結果が、制作者にとって大きなプレッシャーとなります。

また、前述の通り「放送日」という納期は絶対に動かせません。

どんなトラブルがあっても、放送時間までに番組を完成させなければならないというプレッシャーは相当なものです。

さらに、現場では上司や先輩ディレクターからの厳しい指導、出演者や取材先とのデリケートな調整など、人間関係のストレスも発生しやすい環境です。

こうした精神的なタフさが求められる点も、「きつい」と感じる要因でしょう。

厳しい上下関係や業界の慣習

テレビ業界、特に制作現場は、古くから体育会系的な気質が残っていると言われることがあります。

多くのスタッフが連携して一つのものを作り上げるため、トップダウンでの迅速な意思決定や指示系統の明確さが重視されるからです。

そのため、AD時代は先輩や上司の指示に絶対的に従うことが求められる場面も多く、厳しい言葉で指導されることもあるでしょう。

こうした「徒弟制度」のような環境が、人によっては理不尽さや窮屈さを感じる原因になるかもしれません。

もちろん、近年はハラスメントに対する意識も高まり、理不尽な上下関係は改善傾向にありますが、効率とスピードを最優先する現場の雰囲気は依然として存在します。

こうした業界特有の文化に馴染めるかどうかも、向き不向きを左右するポイントです。

下積み期間の長さと給与

テレビ業界でディレクターやプロデューサーといった中心的な役割を担うには、多くの場合、ADとしての長い下積み期間が必要です。

この下積み期間は、前述のような体力的なきつさや長時間労働を伴う一方で、給与面では必ずしも恵まれているとは言えないケースもあります。

特に、キー局(日本テレビやTBSなど)の正社員と、番組制作を専門に行う「制作会社」の社員とでは、待遇面に大きな差があるのが実情です。

多くの番組は制作会社が作っており、就活生の皆さんが「テレビ業界」としてイメージする仕事の多くは、この制作会社が担っています。

華やかなイメージとは裏腹な現実に直面し、「きつい」と感じてしまう人も少なくありません。

テレビ業界の現状・課題

テレビ業界は今、まさに「100年に一度」とも言われる大きな変革期を迎えています。

インターネットやスマートフォンの普及により、人々の時間の使い方が劇的に変化したことが最大の要因です。

かつては「お茶の間の王様」と呼ばれたテレビも、今やYouTubeやNetflixなどの動画配信サービスと、視聴者の可処分時間を奪い合うライバル関係になりました。

これにより、従来のビジネスモデルが揺らぎ、様々な課題が浮き彫りになっています。

ただ「きつい」だけでなく、業界全体が「厳しい」状況に直面しているとも言えます。

しかし、これは同時に、新しいテレビの形を模索するチャンスでもあります。

ここでは、テレビ業界が抱える主な現状と課題について整理していきましょう。

若者のテレビ離れと視聴形態の変化

最も大きな課題として挙げられるのが、特に若年層を中心とした「テレビ離れ」です。

生まれた時からスマートフォンやインターネットが身近にある世代にとって、決まった時間にテレビの前に座って番組を見るという視聴スタイルは、必ずしも主流ではなくなりました。

彼らにとっての「動画」は、YouTubeやSNS上のショート動画が中心であり、リアルタイムでテレビ番組を視聴する習慣が薄れています。

また、TVer(ティーバー)などの見逃し配信サービスの普及により、放送時間に縛られずに番組を見る「タイムシフト視聴」が一般化しました。

これは視聴者の利便性を高めた一方で、リアルタイム視聴率の低下、ひいてはCM広告収入への影響という課題を生んでいます。

広告収入の減少と制作費の削減

テレビ局の主な収益源は、スポンサー企業からのCM広告料です。

しかし、前述のテレビ離れや視聴形態の変化に伴い、テレビCMの影響力が相対的に低下し、広告予算がインターネット広告へシフトする傾向が強まっています。

広告収入が減少すれば、当然ながら番組の制作費にも影響が出ます。

かつてのように潤沢な予算をかけて豪華なセットや大規模な海外ロケを行うことが難しくなり、より低予算で、かつ面白い番組を作るための工夫やアイデアが求められるようになっています。

この制作費の削減が、現場スタッフの負担増や待遇の悪化に繋がり、「きつい」状況を助長している側面も否定できません。

コンプライアンスの強化と表現の制約

近年、社会全体でコンプライアンス(法令遵守)やハラスメント、人権意識への関心が高まっています。

テレビ業界も例外ではなく、番組内容に対する視聴者の目も非常に厳しくなりました。

かつては許容されていたような過激な演出や、他者を不快にさせる可能性のある表現は、SNSなどですぐに「炎上」し、BPO(放送倫理・番組向上機構)の審議対象となることもあります。

これにより、制作者側は「面白いものを作りたい」という情熱と、「誰かを傷つけないか」「問題にならないか」という自己規制の間で葛藤することになります。

表現の自由度が狭まっていると感じることもあり、これが窮屈さや「作りにくさ」に繋がっているという声もあります。

テレビ業界の今後の動向

厳しい課題に直面しているテレビ業界ですが、決して未来が暗いわけではありません。

むしろ、これまでの枠組みにとらわれない、新しい挑戦が次々と始まっています。

テレビ局が持つ「コンテンツ制作力」や「信頼性」は、他のメディアにはない強力な武器です。

この強みを活かし、インターネットやグローバル市場へと活路を見出そうとしています。

既存の「放送」という形に固執するのではなく、「総合コンテンツ企業」へと変貌を遂げようとしているのです。

就活生の皆さんにとっては、この変革期に立ち会い、新しいテレビの未来を自らの手で作っていけるという、非常にエキサイティングなタイミングであるとも言えます。

ここでは、テレビ業界の今後の主な動向について解説します。

インターネット配信・動画サービスとの連携強化

テレビ業界が今、最も力を入れているのがインターネット分野です。

TVer(ティーバー)に代表される「見逃し配信」は、放送後に番組を視聴するスタイルを定着させ、新たな広告収益源として成長しています。

また、各局が独自の動画配信サービス(FOD、Hulu、Paraviなど)を展開し、過去のドラマやバラエティのアーカイブ、さらには配信オリジナルのコンテンツ制作にも注力しています。

YouTubeに公式チャンネルを開設し、番組の切り抜き動画やスピンオフ企画を配信することも一般的になりました。

放送と配信を連動させ、視聴者との接点を増やすことで、テレビの価値を再定義しようとしています。

コンテンツの海外展開とローカライズ

日本のテレビ番組、特にドラマやアニメ、バラエティ番組の「フォーマット(企画内容)」は、海外でも高く評価されています。

少子高齢化で国内市場の縮小が懸念される中、制作したコンテンツを海外に販売することは、新たな収益の柱として期待されています。

例えば、日本のドラマが海外でリメイクされたり、バラエティ番組の企画フォーマットが世界各国で現地版として制作されたりするケースが増えています。

日本のエンターテインメントを世界に届けるというグローバルな視点を持ったビジネスが、今後ますます重要になっていくでしょう。

リアルイベントやメタバースなど新規事業の開拓

テレビ局は、番組制作で培ったノウハウやブランド力を活かし、放送以外の分野でも事業を拡大しています。

例えば、人気番組と連動した大規模なリアルイベントの開催、アニメやドラマのグッズ開発・販売、さらには映画製作への出資などです。

最近では、メタバース(仮想空間)領域への進出や、教育、不動産といった異業種への投資も活発化しています。

「テレビ局」という枠を超え、人々の生活を豊かにする多様なサービスを提供する「総合エンターテイメント企業」としての側面が強まっていくことが予想されます。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界に向いている人

ここまでテレビ業界の「きつさ」と、それを乗り越えた先にある「やりがい」、そして業界の「未来」についてお話ししてきました。

厳しい側面があるのは事実ですが、それでもこの業界でしか得られない興奮や達成感が存在します。

では、一体どのような人がこの業界で活躍できるのでしょうか。

それは、単に「テレビが好き」というだけでは不十分かもしれません。

不規則でハードな環境を乗り越えられるだけの強い動機と、それに伴う資質が必要です。

もしあなたが、ここで紹介する特徴に当てはまるなら、テレビ業界はあなたにとって「きつい」だけの場所ではなく、最高の自己実現の舞台になる可能性があります。

自分自身の性格や価値観と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

エンターテインメントへの情熱がある人

何よりもまず、「人を驚かせたい」「楽しませたい」「感動させたい」という、エンターテインメントに対する純粋で強い情熱が不可欠です。

テレビ業界の仕事は、地道で泥臭い作業の連続です。

その先にいる視聴者の笑顔や反響を想像できるからこそ、ハードな制作過程も乗り越えられます。

「自分が面白いと思うものを世に問いたい」「自分の作ったもので誰かの心を動かしたい」という熱い想いは、この仕事の最大の原動力となります。

単なる「テレビ好き」を超えた、「作り手」としての情熱があるかどうかが、まず問われるでしょう。

体力と精神的なタフさがある人

これは「きついとされる理由」の裏返しでもありますが、やはり体力と精神的なタフさは必須の資質です。

不規則な勤務や長時間労働が続いても、体調を崩さずパフォーマンスを維持できる自己管理能力と基礎体力が求められます。

また、視聴率のプレッシャー、厳しい納期、現場での人間関係など、様々なストレスがかかる場面でも、気持ちを切り替えて前向きに取り組める精神的な強さが必要です。

困難な状況でも「なんとかなる」「なんとかする」と考えられるポジティブさと粘り強さが、この業界で長く活躍するための鍵となります。

好奇心旺盛で情報収集が好きな人

テレビ番組のネタは、世の中のあらゆる事象が対象となります。

政治経済から最新の流行、グルメ、スポーツ、歴史、科学まで、幅広いジャンルへのアンテナが求められます。

「これは面白い!」「これってどうなってるの?」と、常に世の中の動きに好奇心を持ち、フットワーク軽く情報を集められる人は、企画のアイデア出しやリサーチ業務で大きな強みを発揮します。

知らないことを知るのを楽しむ探究心や、トレンドを敏感に察知する能力は、視聴者の心を掴む番組作りに直結する大切なスキルです。

コミュニケーション能力が高い人

テレビ番組制作は、膨大な数のスタッフとの共同作業です。

プロデューサー、ディレクター、技術スタッフ、出演者、取材先、営業担当など、様々な立場の人と円滑に意思疎通を図り、一つのゴールに向かってチームをまとめるコミュニケーション能力が極めて重要です。

特にADは、多くの人の間に立って調整役を担うことが求められます。

相手の意図を正確に汲み取り、自分の考えを分かりやすく伝える力はもちろん、時には難しい交渉をまとめたり、現場の雰囲気を盛り上げたりする「人間力」も試されます。

柔軟な発想力と臨機応変な対応力がある人

テレビ制作の現場では、予期せぬトラブルがつきものです。

予定していたロケ地が使えなくなったり、出演者が急に来られなくなったり、天候に左右されることもあります。

そんな時、慌てずに代替案を考え、即座に対応できる「臨機応G変な対応力」が非常に重要です。

また、既存の枠にとらわれない「柔軟な発想力」も求められます。

「どうすればもっと面白くなるか」「この予算内で何ができるか」と、制約がある中で最大限のパフォーマンスを発揮するためのクリエイティビティが、番組のクオリティを左右します。

【テレビ業界はきついのか】テレビ業界に向いていない人

一方で、テレビ業界の「きつさ」が、どうしても自分の価値観や特性と合わないという人もいるでしょう。

それは優劣の問題ではなく、単に「向き不向き」の問題です。

もし「向いていない人」の特徴に多く当てはまるのであれば、無理にテレビ業界を目指すよりも、他の業界で自分の強みを活かす方が、あなた自身が幸せに働ける可能性が高いかもしれません。

入社後のミスマッチは、あなたにとっても企業にとっても不幸なことです。

憧れだけで判断せず、自分の本質的な適性を見極めるために、これらの特徴も冷静にチェックしてみてください。

ルーティンワークを好む人

テレビ業界の仕事、特に制作現場は、毎日が変化の連続です。

昨日決まったことが今日覆ることも、突然のロケや泊まり込みが発生することも日常茶飯事です。

そのため、毎日決まった時間に出社し、決まった業務をこなし、定時に帰るという安定したルーティンワークを好む人には、非常にストレスの多い環境と感じるでしょう。

予測不能な事態や変化を楽しむくらいの気構えがないと、心身ともに疲弊してしまう可能性があります。

安定性や規則性をキャリアの軸に置く人には、向いていないかもしれません。

プライベートの時間を最優先したい人

もちろん仕事とプライベートのバランスは重要ですが、テレビ業界では、時として仕事の優先順位が極めて高くなる場面があります。

特にキャリアの初期段階であるAD時代は、自分の時間を確保することが難しい時期が続くかもしれません。

趣味や友人との時間、恋愛などを何よりも大切にし、「仕事のためにプライベートを犠牲にはしたくない」という価値観を強く持っている人は、この業界の働き方に葛藤を覚える可能性が高いです。

仕事に没頭する時期があっても良いと考えられるかどうか、自問してみる必要があるでしょう。

プレッシャーに弱い人

前述の通り、テレビ業界は「視聴率」や「納期」といった、明確な結果と締め切りに常に追われる仕事です。

また、多くの人が関わるプロジェクトであるため、自分のミスが全体に与える影響も大きくなります。

こうした重圧の中で成果を出すことが求められるため、プレッシャーを感じやすく、精神的に落ち込みやすい人には厳しい環境かもしれません。

失敗を恐れすぎたり、他人の評価を気にしすぎたりすると、本来の力を発揮できなくなる恐れがあります。

ある程度の「鈍感力」も必要な仕事です。

体力に自信がない人

精神的なタフさと同様に、基礎的な体力も非常に重要です。

重い機材の運搬、長時間の立ち仕事、不規則な生活リズムによる睡眠不足など、身体的な負荷がかかる場面が多々あります。

もちろん、スポーツ選手並みの体力が求められるわけではありませんが、体力的な限界が仕事のパフォーマンスに直結しやすい業界であることは事実です。

もともと体力がなく、疲れやすい自覚がある人は、この「きつさ」がキャリアを続ける上での大きな障壁になる可能性があります。

協調作業や自己主張が苦手な人

テレビ番組はチームで作るものです。

一人で黙々と作業を進めたいタイプの人には、常に他者との連携や調整が求められるこの仕事は向いていないかもしれません。

かといって、ただ周りに合わせているだけでも務まりません。

会議の場では、若手であっても「自分はこう思う」「こうした方が面白い」と、自分の意見をはっきりと主張することが求められます。

周囲と協調しながらも、自分の軸を持って主体的に動くことが苦手な人は、チームの中で埋もれてしまう可能性があります。

テレビ業界に行くためにすべきこと

テレビ業界が自分に向いているかもしれない、挑戦してみたい。

そう感じたなら、次はいよいよ具体的な準備を始める番です。

テレビ業界、特にキー局や大手制作会社は、就活生からの人気が非常に高く、競争率も激しいことで知られています。

憧れや「テレビが好き」という気持ちだけでは、内定を勝ち取るのは難しいでしょう。

なぜこの業界なのか、なぜこの会社なのか、そして入社して何を成し遂げたいのか。

それを明確に伝えるための準備が不可欠です。

「きつい」と理解した上で、それでも挑戦したいという熱意を、具体的な行動で示していく必要があります。

ここでは、選考を突破するために最低限やっておくべきことを、ステップごとに解説します。

徹底的な業界研究と企業研究

まずは、テレビ業界の「今」を徹底的に知ることから始めましょう。

この記事で解説したようなビジネスモデルの変化、各局が抱える課題、そして今後の動向について、自分自身でさらに深く掘り下げてください。

新聞のメディア欄や業界専門誌、各局のIR情報(投資家向け情報)なども参考になります。

その上で、「なぜ他のメディア(新聞、出版、Web)ではなくテレビなのか」を明確に言語化できるようにしましょう。

さらに重要なのが企業研究です。

キー局(日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東)それぞれに、得意なジャンル(ドラマ、バラエティ、報道など)や社風、経営戦略に違いがあります。

「どの局で、どんな番組を作りたいのか」を具体的に語れるよう、各局の番組を徹底的に視聴・分析し、自分の言葉で説明できるように準備してください。

インターンシップやアルバイトでの実務経験

テレビ業界を目指す上で、インターンシップやアルバイト(特にADのバイトなど)で、実際の制作現場を経験しておくことは非常に大きな強みになります。

この記事で読んだ「きつさ」を、肌で感じることができるからです。

その経験を通じて、「それでも自分はこの仕事がしたい」と確信できれば、それは何よりも強い志望動機になります。

逆に「自分には合わない」と判断できれば、早期に軌道修正することもできます。

現場の空気を知っている学生は、採用担当者からも「覚悟がある」と評価されやすい傾向にあります。

募集は夏や冬に限らず行われることもあるため、志望する企業の採用ページはこまめにチェックしましょう。

伝わる志望動機と自己PRの準備

激しい競争を勝ち抜くためには、「あなたでなければならない理由」を採用担当者に納得してもらう必要があります。

志望動機では、「テレビが好き」という受け身の理由ではなく、「テレビのこういう課題を、自分のこんな強みを活かして解決したい」「こんな新しい番組企画を実現したい」といった、具体的かつ未来志向の熱意を伝えましょう。

自己PRでは、学生時代の経験(サークル、アルバイト、留学など何でも構いません)から、テレビ業界で求められる「体力」「精神的タフさ」「コミュニケーション能力」「発想力」などに繋がるエピソードを具体的に語れるように整理してください。

「きつい」業界で活躍できる根拠を、自らの経験をもって示すことが重要です。

適職診断ツールを用いる

ここまで読んでみて、「テレビ業界に興味はあるけれど、本当に自分に『向いている人』の特徴があるのか分からない…」と不安に感じた人もいるかもしれません。

特に、精神的なタフさやコミュニケーション能力といった内面的な適性は、自分では客観的に判断しにくいものですよね。

そんな時に役立つのが、「適職診断ツール」です。

就活市場にも様々な診断ツールがありますが、これらを利用することで、自分では気づかなかった強みや、潜在的な価値観を可視化することができます。

例えば、いくつかの質問に答えるだけで、「変化への対応力」や「ストレス耐性」、「リーダーシップ」といった項目がスコア化されるものもあります。

テレビ業界が求める資質と、自分の診断結果を照らし合わせることで、「自分は意外とプレッシャーに強いタイプかもしれない」といった新たな発見に繋がるかもしれません。

【テレビ業界はきついのか】適性がわからないときは

適職診断ツールを使ってみたものの、それでもまだテレビ業界が自分に合うのか確信が持てない、という人もいるでしょう。

そんな時は、自己分析をさらに深掘りする必要があります。

まずは、なぜ自分がテレビ業界に惹かれるのか、その「動機」を徹底的に掘り下げてみてください。

「華やかだから」といった表面的な理由ではなく、「世の中に影響を与えたいから」「チームで一つのものを作る達成感を味わいたいから」といった、あなたの根源的な欲求まで突き詰めてみましょう。

その上で、過去の経験を振り返り、「きつい」と感じたけれど乗り越えられた経験(部活の厳しい練習、受験勉強など)を思い出してください。

その時、何があなたの支えになったのかを分析することで、テレビ業界の「きつさ」を乗り越えられるかどうかのヒントが見つかるはずです。

OB・OG訪問で現場の生の声を聞くのも、適性を判断する上で非常に有効な手段ですよ。

おわりに

今回は、「テレビ業界はきついのか?」という疑問に、仕事内容から業界の未来、向き不向きまで、多角的に切り込んで解説してきました。

確かに、テレビ業界はハードな側面も多く、生半可な気持ちでは続かない厳しい世界です。

しかし、それ以上に、自分の手掛けたものが世の中に発信され、多くの人の心を動かす瞬間に立ち会える、他では味わえない大きなやりがいと魅力がある業界でもあります。

この記事を読んで、「きつい」部分も全て理解した上で、それでも挑戦したいという熱い想いが湧いてきたなら、ぜひその覚悟を持って選考に臨んでください。

あなたの情熱が、テレビの新しい未来を作る力になることを願っています。

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