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【JR系】就職偏差値とは?
JR系における就職偏差値とは、学生からの人気度、選考の難易度、採用倍率、そして入社後の待遇や企業の将来性といった複数の要因を総合的に加味し、その企業の入社難易度を相対的に示した指標です。
特にJR系は、生活に不可欠なインフラを担うという安定性や社会貢献性の高さから、就活生全体から高い人気を集める傾向にあります。
この偏差値は、企業が公式に発表しているものではなく、就職情報サイトや予備校などが独自に算出した目安ですが、志望企業群の難易度を把握し、自身の立ち位置を確認する上で参考になります。
偏差値を上げるためには?
JR系の中でも偏差値が高いとされる企業を目指すには、職種に応じた専門的な準備が不可欠です。
まず技術系(土木、建築、車両、情報通信など)を志望する場合、自身の専門性や研究内容が、その企業のどの事業分野(例:インフラの維持管理、新型車両の開発、DXの推進)で具体的にどう活かせるのかを、論理的に説明できる必要があります。
関連する資格の取得や、自身の研究成果をまとめたポートフォリオの準備も、専門性をアピールする上で有効な手段となります。
一方、事務系総合職の場合は、特定のスキル以上に、JR系が直面する社会課題(例:人口減少、地方創生、脱炭素化)に対する深い洞察と、それらを解決するための自分なりの提案を論理的に構築できるかが問われます。
全職種に共通して、SPIや玉手箱などの筆記試験対策は、高偏差値企業ほど高得点での争いになるため、早期からの対策が必須です。
JR系の就職偏差値ランキング
JR系企業と一口に言っても、その事業規模、歴史的背景、事業展開エリア(全国か、特定の地域か)、そして非鉄道事業の比率によって、就職難易度や学生からの人気は大きく異なります。
本記事で紹介する就職偏差値ランキングは、こうした企業の特性や、実際の採用倍率、内定者の学歴層、待遇や福利厚生の充実度、そして将来性といった複数の観点を総合的に加味して作成された一つの目安です。
AランクからEランクまで分類することで、各企業群が持つ特徴や、選考で求められるレベルの違いを明確に把握できます。
自身の志望する企業がどの位置にあるのか、またどのような対策が必要なのかを考える上で、このランキングを参考にしてください。
【JR系】Aランク(就職偏差値70以上)
【70】JR東海
JR系Aランクには、東海道新幹線を軸に安定した収益を上げる社会インフラの中核企業が位置づけられている。
鉄道という公共性の高いビジネスへの強い使命感や、安全・安定輸送への理解が求められる。
入社対策としては、鉄道業界全体の構造やJR東海の事業戦略を深く研究し、自分の経験と「なぜJR東海なのか」を論理的に結びつけて語れるようにしておく必要がある。
理系はインフラ工学・機械・情報系の専門性、文系は大規模プロジェクトを支える調整力や課題解決力を具体的なエピソードで示すことが重要になる。
【JR系】Bランク(就職偏差値66以上)
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【69】JR東日本
【68】JR西日本 JR総研(鉄道総合技術研究所)
【67】JR九州 ジェイアール東海建設 JR東日本建築設計 ジェイアール東日本企画 アジア航測
【66】JR貨物 日本車輌製造 JRシステム(鉄道情報システム) ジェイアール東海コンサルタンツ
JR系Bランクには、首都圏・関西圏の基幹鉄道会社や、車両メーカー、システム会社、建設・設計などの鉄道ビジネスを支える専門企業が多く含まれている。
いずれも知名度・安定性が高い人気企業であり、事業フィールドも運輸だけでなく不動産・IT・広告など多岐にわたる。
入社を目指す場合は、「地域・路線の特性」「安全・サービス・技術のどこに惹かれているか」といった軸を明確にし、自分が貢献したい領域を具体的に語ることが重要である。
技術系なら研究内容と鉄道技術への応用可能性、事務系なら街づくりやモビリティの未来像に対する自分なりの提案を準備しておきたい。
【JR系】Cランク(就職偏差値61以上)
【65】ジェイアール東日本都市開発 JR東日本情報システム
【64】JR四国 JR北海道 東京モノレール ビューカード JR東日本ビルディング
【63】JR東日本商事 アトレ ルミネ
【62】日本旅行 新幹線メンテナンス東海 JR西日本電気システム JR九州建設グループ
【61】JR東日本クロスステーション JR西日本商事 JR西日本コミュニケーションズ JR西日本ITソリューションズ 日本機械保線 JR西日本テクノス 九鉄工業
JR系Cランクには、駅ナカ開発や商業施設運営、情報システム、地方JR本体、旅行会社、保守・メンテナンスなどグループ事業を幅広く支える企業が集まっている。
鉄道本体だけでなく、駅ビル・EC・クレジットカード・ITなど生活に密着したサービスを展開している点が特徴である。
選考では、安定志向だけでなく「駅や街をどう変えたいか」「利用者にどんな価値を提供したいか」といった視点を持ち、サービス発想や提案力をアピールすることが求められる。
アルバイトやサークルなどでの接客経験、企画経験を整理し、現場目線とビジネス目線の両方から強みを語れるようにしておくと評価されやすい。
【JR系】Dランク(就職偏差値56以上)
【60】JR九州エージェンシー ジェイアール東海バス JR東日本レンタリース
【59】ジェイアール東海高島屋 ジェイアール東海ホテルズ ジェイアール東海物流 JR西日本アーバン開発 ジェイアール西日本伊勢丹 西日本ジェイアールバス ジェイアール西日本ホテル開発 JR四国不動産開発
【58】JR北海道ソリューションズ 北海道JR都市開発 JR東海リテイリング・プラス JR西日本宮島フェリー JRバス中国 JR九州バス 日本フレートライナー
【57】JR北海道バス JR西日本交通サービス JR四国バス JR四国ホテルズ 日本運輸倉庫 全国通運 キャタピラー九州 JR九州高速船(廃業)
【56】JR北海道フレッシュキヨスク JR北海道ホテルズ JR西日本メンテック 四国キヨスク JR四国ステーション開発 JR九州リテール JR九州ファーストフーズ JR九州リゾート開発 東京セフティ 関西高速鉄道 大阪外環状鉄道 嵯峨野観光鉄道
JR系Dランクには、バス・フェリー・物流・ホテル・百貨店・リテール・不動産開発などの地域密着型・サービス色の強いグループ会社が多い。
現場とお客様に近いポジションが多く、接客・営業・運行管理・施設運営など、実務に直結した働き方が中心となる。
入社対策としては、アルバイトやサークル等での接客経験やチームでの運営経験を棚卸しし、「安全・安心・快適なサービスをどう実現するか」を自分の言葉で語れるようにすることが重要である。
勤務形態や勤務地が幅広くなるケースもあるため、シフト勤務や地方勤務への理解・覚悟を示せると説得力が増す。
【JR系】Eランク(就職偏差値50以上)
【55】JR九州リネン JR九州ファーム JR九州ライフサービス めりけんや ガーラ湯沢スキー場 おおやま夢工房 北海道クリーン・システム
JR系Eランクには、リネンや清掃などのバックヤード業務、農業・飲食・レジャー施設運営といった生活インフラを裏側から支える企業が含まれている。
観光・飲食・リゾート・清掃といった分野で、地域や利用者の日常に近いサービスを提供している点が特徴である。
入社を目指す際は、体力や勤勉さ、コツコツとした作業への適性に加え、「縁の下の力持ち」として人の役に立ちたいという価値観を具体的な経験と結びつけて伝えることが大切である。
企業規模や待遇だけで選ぶのではなく、その地域や事業への共感を示し、長く働きたい理由を丁寧に言語化できると評価につながる。
【JR系】JR系とは?
JR系とは、一般的に旧国鉄(日本国有鉄道)の分割民営化によって誕生したJR各社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物)および、それらのグループ関連企業群全体を指します。
日本の産業の中では、人々の移動や物流を支える運輸・インフラ業界の中核に位置づけられます。
事業プロセスは、鉄道車両や線路といったインフラを企画・製造(上流)し、それを用いて安全な運行管理やサービス(中流)を提供し、最終的に乗客や荷主という顧客(下流)に価値を届ける流れで成り立っています。
近年は不動産やITなど非鉄道事業も拡大しています。
基本的な仕組み
JR系産業の基本的な仕組みは、「鉄道」という巨大なインフラの構築・維持と、それを利用した「輸送サービス」の提供という二つの側面から成り立っています。
上流工程では、安全な運行の基盤となる鉄道車両の製造や、線路・駅舎・電力・通信設備の設計・建設・保守が行われます。
これには車両メーカーや建設会社、ITシステム会社など、多くの関連企業が関わります。
中流工程が、いわゆるJR各社の本業である鉄道運行事業です。
ダイヤに基づいた列車の運行管理、運転士や車掌によるオペレーション、駅員による顧客対応を通じて、安全かつ正確な輸送サービスを実現します。
下流工程は、この輸送サービスを最終的な顧客である一般の乗客や、荷物を運ぶ企業(荷主)に提供する部分です。
JR系産業の価値は、単に人を運ぶだけでなく、定時性や安全性、快適性を高いレベルで提供し、人々の日常生活や経済活動を根底から支える点にあります。
役割と業務内容
JR系産業が社会で果たす役割は、極めて公共性が高いものです。
最大の役割は、消費者向けの安定的な輸送手段(BtoC)の提供です。
通勤・通学、旅行、出張など、人々の日常的な移動を支え、都市間および地域内の交流を促進します。
また、JR貨物を中心とした物流事業(BtoB)も重要であり、コンテナ輸送などを通じて企業の経済活動や物資の安定供給を支えています。
代表的な業務内容は多岐にわたります。
例えば、安全運行を最前線で支える「運輸部門」(運転士、車掌、駅員)、車両や線路の保守・点検を行う「技術部門」(車両、土木、建築、電気)、そして不動産開発、ITサービス、旅行業、小売業(駅ナカ)など非鉄道事業を推進する部門もあります。
これらが一体となり、社会インフラとしての役割を果たしています。
最新トレンド
JR系産業は今、大きな変革期を迎えています。
最も重要なトレンドの一つが、デジタル化と技術革新の推進です。
例えば、自動運転技術の導入(ドライバレス運転)や、AIを活用した運行管理システムの高度化、ビッグデータを活用したマーケティングや混雑予測などが進んでいます。
これは、労働力不足という社会課題への対応と、サービス向上を両立させるために不可欠です。
また、サステナビリティへの取り組みも加速しています。
CO2排出量が少ない鉄道の優位性を活かしつつ、再生可能エネルギーの導入や、環境に配慮した駅舎の開発(スマートシティ構想)など、脱炭素社会の実現に向けた役割が期待されています。
さらに、地方の人口減少に伴うローカル線の維持問題や、インフラの老朽化対策も、業界全体の大きな課題となっています。
【JR系】職種
JR系企業には、非常に多様な職種が存在し、それぞれが専門性を発揮して鉄道を中心とした巨大なシステムを支えています。
これらの職種は、大きく「総合職(事務系・技術系)」と「専門職(プロフェッショナル採用など)」に分類されます。
総合職は将来の幹部候補として、ジョブローテーションを通じて幅広い部門を経験するのが一般的です。
一方、専門職は特定の分野でスペシャリストとしてキャリアを歩みます。
さらに、総合職の中でも、事業戦略や企画を担う事務系と、インフラや車両を支える技術系に分かれます。
技術系はさらに細分化され、土木、建築、車両、情報通信など、学生時代の専攻が色濃く反映される分野となります。
自身の強みやキャリアプランに応じて、どの系統の職種を目指すかを明確にすることが重要です。
事務系総合職
事務系総合職は、JR各社およびグループ企業の中枢を担う職種であり、将来の経営幹部候補として採用されます。
その業務領域は非常に幅広く、数年単位のジョブローテーションを通じて、様々な部署を経験するのが特徴です。
具体的には、全社の経営戦略を策定する「企画部門」、鉄道事業の収益を最大化する「営業部門」、駅ナカ開発や不動産事業、IT事業などを手掛ける「非鉄道事業部門」のほか、人事、財務、法務、広報といったコーポレート機能も含まれます。
この職種に求められるのは、特定の専門知識以上に、高い論理的思考力、リーダーシップ、そして変化に対応する柔軟性です。
社会インフラを支えるという使命感を持ちつつ、既存の枠にとらわれずに新たな収益源を生み出す発想や、多くの関係者を巻き込みながらプロジェクトを推進する力が試されます。
技術系総合職(土木・建築)
技術系総合職の中でも、土木・建築系は、鉄道インフラの根幹を支える重要な役割を担います。
土木部門は、線路(軌道)、橋梁、トンネル、盛土といった鉄道構造物の設計、建設、維持管理を担当します。
日々の安全運行を守るための点検・保守はもちろん、災害に強いインフラへの改良や、新幹線の延伸プロジェクトなど、大規模な国家プロジェクトに携わることもあります。
一方、建築部門は、駅舎や駅ビル、ホテル、オフィスビルといった関連施設の設計・建設・管理を手掛けます。
単なる建物を造るだけでなく、街づくりや地域の活性化という視点から、魅力ある空間をプロデュースする役割が求められます。
どちらの分野も、人々の生活基盤を文字通り「支える」仕事であり、高度な専門知識と長期的な視点、そして安全に対する強い責任感が不可欠です。
技術系総合職(車両・機械)
車両・機械部門は、JR系の「顔」とも言える鉄道車両のスペシャリストです。
主な業務は、新幹線や在来線車両の開発・設計、製造管理、そして保守です。
新型車両の開発では、安全性や快適性の向上はもちろん、エネルギー効率の改善(省エネ化)や、環境負荷の低減といった時代のニーズに応える技術が求められます。
また、車両は導入して終わりではなく、日々の安全運行を支えるための高度なメンテナンスが不可欠です。
車両基地において、膨大な数の部品で構成される車両の点検・修繕計画を策定し、実行管理するのも重要な役割です。
最先端の技術トレンド(例えば、AIによる故障予知やIoT技術の活用)を常に取り入れながら、数十年先を見据えた車両戦略を考える、ダイナミックな仕事です。
機械工学や電気電子工学の知識が活かせる分野です。
技術系総合職(情報・通信)
近年のJR系において、情報・通信部門の重要性は急速に高まっています。
この職種の役割は、鉄道の安全運行に不可欠な運行管理システム(CTC)や、信号システム、地震検知システムといった基幹インフラの開発・保守・運用です。
わずかなシステム障害も許されない、極めて高い信頼性が求められる領域です。
加えて、JR系が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)の中核も担います。
例えば、SuicaなどのICカードシステムの運用・発展、顧客のビッグデータを活用した新サービスの開発、AIを用いた業務効率化、サイバーセキュリティ対策など、活躍の場は多岐にわたります。
鉄道という伝統的なインフラ産業に、最先端のIT技術を掛け合わせることで、新たな価値を創造する、非常に将来性の高い職種と言えます。
専門職・プロフェッショナル
JR各社では、総合職とは別に、特定の業務領域のスペシャリストとして採用される「専門職」や「プロフェッショナル採用」といった区分を設けている場合があります。
代表的なのが、運輸の最前線を担う運転士や車掌、駅員です。
これらは多くの場合、入社後に専門的な訓練を受け、国家資格(動力車操縦者免許など)を取得して業務に従事します。
また、技術系においても、車両や設備のメンテナンスを専門に行う技能職を募集している場合があります。
これらの職種は、総合職のように幅広いジョブローテーションは行わず、一つの分野で専門性を深めていくキャリアパスが基本です。
日々の安全運行や顧客サービスを最前線で支える、JRシステムに欠かせない存在です。
安定した環境で専門技術を身につけ、社会貢献性の高い仕事に従事したいと考える学生に適しています。
【JR系】SSランクに位置する大手5社の詳細
JR系の中でも、SSランクに位置づけられる企業群は、その事業規模、収益性、技術力、そして社会的な影響力において、他を圧倒する存在です。
これらの企業は、旧国鉄の中でも特に優良な資産を引き継ぎ、日本の経済活動や人々の生活に不可欠な大動脈輸送を担っています。
単なる鉄道会社にとどまらず、駅を中心とした街づくり(不動産開発)や、IT・金融サービスなど、非鉄道事業においても巨大な収益基盤を確立している点が最大の特徴です。
業界の技術革新やビジネスモデルをリードする存在であり、その経営戦略はJR系全体、ひいては日本の産業界にも大きな影響を与えます。
ここでは、その代表格となる5社について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
JR東日本(東日本旅客鉄道)
JR東日本(東日本旅客鉄道)は、首都圏という日本最大の巨大市場を基盤に持つ、JRグループの中核企業です。
最大の強みは、鉄道事業と「生活サービス事業」(非鉄道事業)が両輪となって成長している点です。
山手線をはじめとする高密度の在来線網から得られる安定した運輸収入に加え、Suicaを基軸としたIT・金融サービスや、駅ビル(ルミネ、アトレなど)やオフィスビルの開発といった不動産事業で大きな収益を上げています。
特に「エキナカ」ビジネスの展開は、他の鉄道会社のモデルとなりました。
近年は、地方創生への取り組みや、水素を活用した次世代エネルギー事業、スタートアップとの連携にも積極的です。
技術開発力も高く、自動運転(ドライバレス運転)の導入など、常に業界の最先端を走るリーディングカンパニーです。
JR東海(東海旅客鉄道)
JR東海(東海旅客鉄道)の最大の特徴は、日本の大動脈である東海道新幹線を運営している点にあります。
東京・名古屋・大阪という三大都市圏を結ぶ東海道新幹線は、ビジネスや観光の基幹インフラであり、圧倒的な収益源となっています。
この新幹線事業が生み出す潤沢なキャッシュフローが、同社の高い収益性と財務の健全性を支えています。
この強みを活かし、現在同社が総力を挙げて取り組んでいるのが、リニア中央新幹線の建設プロジェクトです。
これは、日本の輸送システムを根本から変える可能性を秘めた国家的なプロジェクトであり、同社の技術力と経営体力の象徴とも言えます。
鉄道事業への集中度が高い一方で、名古屋駅周辺の不動産開発や流通業なども手堅く展開しています。
JR西日本(西日本旅客鉄道)
JR西日本(西日本旅客鉄道)は、近畿圏の都市部から中国地方、北陸、九州北部まで、広大なエリアを管轄する企業です。
強みは、京阪神のアーバンネットワークという収益基盤と、山陽新幹線という二つの安定した収益源を持つことです。
これらの鉄道事業を核としながら、JR東日本やJR東海と同様に、駅ビルの開発(ルクア大阪など)や不動産事業、ホテル事業といった非鉄道事業にも注力しています。
特に、地域との連携を重視した事業展開が特徴で、各地の観光資源を活かした列車(例:「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」)の運行や、地域の課題解決に貢献するビジネスを積極的に模索しています。
広大な管内エリアの特性を活かし、多様なニーズに応える柔軟な戦略が求められる企業です。
JR九州(九州旅客鉄道)
JR九州(九州旅客鉄道)は、JRグループの中でも特にユニークな経営戦略で知られる企業です。
鉄道事業が厳しい九州の地において、早くから非鉄道事業の多角化に活路を見出してきました。
「ななつ星in九州」に代表されるD&S(デザイン&ストーリー)列車を次々と生み出し、鉄道を「移動手段」から「旅の目的」へと昇華させた功績は大きいです。
しかし、同社の真の強みは、鉄道事業の赤字を補って余りある非鉄道事業の収益力にあります。
特に不動産事業(マンション分譲、駅ビル開発)やホテル事業、流通・外食事業などで大きな成功を収めており、グループの売上の大半を非鉄道事業が占めるという、他のJRとは一線を画す事業構造を確立しています。
2016年には完全民営化を達成し、鉄道会社の枠を超えた「まちづくり企業」として成長を続けています。
JR貨物(日本貨物鉄道)
JR貨物(日本貨物鉄道)は、JRグループの中で唯一、全国規模で貨物輸送を専門に行う企業です。
旅客鉄道とは異なり、BtoBビジネスが主体となります。
最大の強みは、環境負荷の低い大量輸送を実現できる点です。
トラック輸送に比べ、CO2排出量を大幅に削減できる鉄道貨物輸送は、企業のサステナビリティ(ESG)意識の高まりを背景に、その価値が再評価されています。
特に、長距離輸送においてその優位性が発揮されます。
また、トラックドライバー不足という物流業界の「2024年問題」への対応策としても、鉄道貨物への期待は高まっています。
同社は、鉄道輸送とトラック輸送を組み合わせた「マルチモーダル輸送」の推進や、大規模な物流拠点(貨物ターミナル駅)の再開発(不動産賃貸事業)にも力を入れており、日本の物流インフラを支える重要な役割を担っています。
【JR系】向いている人
JR系産業は、日本の社会インフラを支えるという極めて公共性の高い事業です。
そのため、この業界で活躍するには、特有の素養や志向性が求められます。
まず共通して言えるのは、強い「使命感」や「責任感」です。
人々の生活や経済活動の基盤を預かる仕事であるため、安全・安定輸送を最優先に考える姿勢が不可欠です。
また、事業規模が大きく、関わる人の数も多いため、チームワークを重視できる協調性も重要になります。
さらに、インフラという安定した事業でありながらも、近年はDXや脱炭素化など、大きな変革の波に直面しています。
ここでは、JR系で特に求められる人物像について、具体的な特徴を解説していきます。
社会貢献性・使命感の強い人
JR系の仕事の根幹には、「人々の当たり前の日常を支える」という強い使命感があります。
電車が時間通りに安全に運行すること、荷物が予定通りに届くこと。
これらは社会にとって「当たり前」のことですが、その裏には大勢の社員の地道な努力と責任感があります。
例えば、災害発生時にも、インフラ復旧のためにいち早く現場に向かい、昼夜を問わず作業にあたる必要があります。
自分の仕事が社会基盤を支えており、多くの人々の生活に直結しているという自負が、困難な業務を乗り越える原動力となります。
短期的な利益や華やかさだけを求めるのではなく、公共の利益に貢献することにやりがいを感じ、長期的な視点で物事に取り組める人、そして何よりも安全に対する高い意識を持てる人が、この業界には向いています。
チームで物事を進められる人
鉄道システムは、一人の力で動かせるものではありません。
運輸、技術、営業、企画といった多様な部門が、精密な歯車のように連携することで、初めて安全で安定したサービスが提供できます。
例えば、一つの駅ビルを建設するプロジェクトでも、建築部門だけでなく、線路の上空や地下を扱う土木部門、運行への影響を管理する運輸部門、テナントを誘致する営業部門など、数多くの関係者との調整が発生します。
自分の担当業務だけをこなすのではなく、常に全体を見渡し、他部門の立場や状況を理解しながら協力し合う姿勢が不可欠です。
個人の成果を追求するよりも、組織全体の目標達成に向けて、周囲と円滑なコミュニケーションを取り、チームの一員として貢献できる協調性の高い人が求められます。
安定と変革の両方を志向できる人
JR系は、インフラ産業としての「安定性」と、時代の変化に対応するための「変革」という、二つの相反する要素を併せ持つ業界です。
まず大前提として、安全運行という変えてはならない「守り」の部分を徹底できる几帳面さや真面目さが求められます。
日々の地道な点検や、ルールを厳守する姿勢が不可欠です。
一方で、人口減少やライフスタイルの変化、競合他社との競争、デジタル化の進展など、外部環境は激しく変化しています。
こうした変化に対応し、鉄道事業の枠を超えた新しいサービスやビジネスモデルを生み出す「攻め」の姿勢も同時に必要とされます。
伝統や既存のやり方を尊重しつつも、それに安住するのではなく、常により良い方法はないかと問い続け、新しい技術や考え方を積極的に取り入れられる。
そうしたバランス感覚を持った人が、これからのJR系を担う人材として活躍できます。
大規模なプロジェクトに携わりたい人
JR系が手掛ける事業は、その多くが国家規模、あるいは数十年単位の非常にスケールの大きなものです。
例えば、リニア中央新幹線の建設、大規模なターミナル駅の再開発、広域にわたる運行管理システムの刷新など、地図に残る仕事や、社会の仕組みに大きな影響を与えるプロジェクトに携わるチャンスが豊富にあります。
こうしたプロジェクトは、膨大な予算と人員、そして長い期間を要します。
若いうちからこうした大規模なプロジェクトの一員として関わり、専門性を磨きながら、社会に大きなインパクトを与える仕事がしたいと考える人にとって、JR系は非常に魅力的な環境です。
もちろん、その分、背負う責任も大きくなりますが、それをプレッシャーではなく、やりがいとして捉えられる人に向いています。
【JR系】向いていない人
多くの魅力がある一方で、JR系産業の特性が、個人の志向性やキャリアプランと合わない場合もあります。
特に、インフラ企業特有の「安全・安定」を最優先とする文化や、組織の規模の大きさから来る意思決定のプロセスは、人によっては窮屈に感じるかもしれません。
スピード感を持って次々と新しいことを試したい、あるいは個人の裁量で仕事をどんどん進めたいという志向が強い人にとっては、ミスマッチが生じる可能性があります。
また、鉄道という24時間365日動くインフラを支えるため、不規則な勤務形態が求められる職種も存在します。
ここでは、どのような点がJR系と合わない可能性があるのか、具体的な特徴を挙げて解説します。
安全やルールより個人の裁量を優先したい人
JR系において最も重要視される価値観は「安全」です。
人命を預かるインフラ事業であるため、業務遂行においては確立されたルールや手順を厳格に守ることが絶対条件となります。
日々の業務は、細かなマニュアルや規定に基づいて行われ、独創性やスピードよりも、正確性や確実性が優先されます。
もちろん、業務改善の提案は歓迎されますが、根本的なルール変更には慎重な議論と検証が求められます。
そのため、自分の判断で自由に仕事を進めたい、決められた手順に従うのが苦手、あるいはルールを「古い慣習」として軽視しがちな人は、JR系の企業文化に強いストレスを感じる可能性が高いです。
個人の裁量やアイディアを即座に形にしたいという志向が強い場合は、ベンチャー企業など、より変化の速い環境の方が適しているかもしれません。
成果がすぐに形になる仕事をしたい人
JR系が手掛けるプロジェクトは、その多くが極めて長期的なものです。
例えば、新しい路線や駅を建設する場合、計画から完成までに10年、20年とかかることも珍しくありません。
また、日々の安全を守る保守業務は、成果が「目に見える形」で現れにくい仕事です。
問題が起こらないのが「当たり前」であり、その地道な努力が称賛される機会は少ないかもしれません。
短期間で成果を出し、すぐに評価や報酬に結びつけたいと考える人にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。
自分の仕事が社会に貢献しているという実感を得るまでに時間がかかることを理解し、目先の成果にとらわれず、長期的な視点でコツコツと努力を続けられる忍耐強さが求められます。
不規則な勤務や転勤を避けたい人
鉄道は24時間365日、人々の生活を支えています。
そのため、職種によっては不規則な勤務が必須となります。
特に、駅員、車掌、運転士といった運輸部門や、夜間に保守作業を行う技術部門では、泊まり勤務や夜間勤務、土日祝日の出勤がローテーションで組まれます。
カレンダー通りの勤務を強く希望する人にとっては、体力的な負担やプライベートとの両立が難しくなる可能性があります。
また、総合職として採用された場合、全国規模での転勤を伴うジョブローテーションが一般的です。
特にJR北海道、東日本、東海、西日本、九州、貨物は管轄エリアが広いため、数年おきに異なる地域へ異動し、様々な経験を積むことがキャリアの一環として組み込まれています。
特定の地域に腰を据えて働きたいという希望が強い人は、その企業の転勤の頻度や範囲を事前に確認する必要があります。
変化のスピードが速い環境を好む人
JR系は巨大な組織であり、長い歴史を持つインフラ企業です。
そのため、新しい物事を決定する際には、安全面への影響、関係各所への調整、法令遵守など、多岐にわたる項目を慎重に検討する必要があります。
結果として、意思決定のプロセスに時間がかかる傾向があります。
ITベンチャー企業のように、トップダウンで即座に方針が変わり、昨日と今日でやることが全く違う、といった環境とは対極にあると言えます。
もちろん、JR系もDXの推進など変革には取り組んでいますが、そのスピードは「慎重かつ着実」なものです。
常に新しい刺激を求め、変化の激しい環境で自分を試したい、スピード感こそが成長の源泉だと考える人にとっては、JR系の組織風土は物足りなく、動きが遅いと感じてしまうかもしれません。
【JR系】内定をもらうためのポイント
JR系企業から内定を獲得するためには、他の業界とは異なる、この業界特有の対策が求められます。
単に「鉄道が好きだから」という理由だけでは、数多くの優秀な学生との競争を勝ち抜くことはできません。
重要なのは、JR系が社会インフラとして背負う「安全」と「安定」への責任の重さを深く理解すること、そしてその上で、自分がどのように貢献できるかを具体的に示すことです。
また、近年のJR系は鉄道事業だけでなく、不動産やIT、エネルギーといった非鉄道事業にも力を入れています。
こうした事業の多角化を踏まえ、広い視野を持って企業研究を行う必要があります。
ここでは、内定を掴むために不可欠な3つのポイントを段階的に解説します。
なぜJR系か、なぜその会社かを徹底的に掘り下げる
選考で最も重要視されるのが、「なぜ他のインフラ(電力、ガス、航空など)ではなく、JR系なのか」、そして「なぜJR他社(例:東日本や東海)ではなく、その会社(例:西日本)を志望するのか」という志望動機の論理性です。
この問いに答えるには、徹底した企業研究が不可欠です。
各社が管轄するエリアの特性、収益構造(鉄道と非鉄道の比率)、強みとする技術や事業(例:JR東日本のSuica戦略、JR東海の高収益な新幹線、JR九州のまちづくり)の違いを明確に理解する必要があります。
その上で、自分の過去の経験や価値観と、その企業が持つ強みやビジョンを具体的に結びつけ、「自分だからこそ、この会社で成し遂げたいことがある」という一貫したストーリーを構築することが求められます。
インターンシップへの参加は、こうした深い理解を得るための最良の機会となります。
「安全」への意識と「誠実さ」をアピールする
JR系の事業は、お客様の命と財産を預かる仕事です。
したがって、採用において「安全」に対する意識の高さと、「誠実さ」「真面目さ」といった人柄は、学歴や能力以上に重視される傾向があります。
学生時代のエピソードを語る際も、単に華々しい成果をアピールするのではなく、困難な課題に対してどのように地道に取り組み、ルールや約束事を守りながら、周囲と協力して乗り越えたかを具体的に伝えることが有効です。
例えば、サークル活動やアルバイトにおいて、当たり前のことを徹底して継続した経験や、チームのために地道な役割を引き受けた経験などは、JR系が求める人物像と合致します。
面接での受け答えや態度においても、奇をてらう必要はなく、質問の意図を正確に汲み取り、正直かつ論理的に回答する姿勢が好印象を与えます。
自身の専門性と入社後のビジョンを結びつける
JR系は、事務系から技術系まで幅広い専門家集団によって成り立っています。
選考では、学生が持つ専門性が、入社後にどう活かせるかを具体的に見られます。
技術系であれば、自身の研究内容や専攻分野が、JR系のどの部門(土木、建築、車両、情報など)の課題解決にどう貢献できるかを明確に説明できなければなりません。
事務系であっても、例えば「データ分析のスキルを活かして、非鉄道事業のマーケティングに貢献したい」あるいは「地域活性化に関する研究を活かし、沿線のまちづくりに携わりたい」といった、具体的な入社後のビジョンを示すことが重要です。
そのためには、企業研究を通じて、その会社が今どのような技術的・経営的課題を抱えているのかを把握し、自分のスキルや経験をその解決策として提示する準備が必要です。
【JR系】よくある質問
JR系の就職活動を進めるにあたり、多くの学生が共通の疑問や不安を抱えています。
例えば、技術系以外の文系学生でも活躍の場があるのか、鉄道に関する専門知識(いわゆる「鉄道マニア」的な知識)は必要なのか、といった質問は非常によく寄せられます。
また、インフラ企業ならではの企業文化や働き方についても、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。
このセクションでは、そうしたJR系を目指す就活生から寄せられる代表的な質問を取り上げ、就活アドバイザーの視点から明確に回答していきます。
企業研究を深める一助としてください。
文系でも活躍できますか? 非鉄道事業の割合は?
結論から言えば、文系学生が活躍できるフィールドは非常に多岐にわたります。
JR系は鉄道会社であると同時に、日本有数のデベロッパー(不動産開発)であり、大規模なリテーラー(小売業)でもあります。
JR東日本やJR九州のように、売上の半分以上を非鉄道事業が占める企業も存在するなど、各社とも「まちづくり」やITサービス、エネルギー事業などに注力しています。
事務系総合職として入社した場合、こうした非鉄道事業の企画・開発や、全社の経営戦略、人事、財務といったコーポレート部門で活躍することが期待されます。
もちろん、鉄道の運行に関わる営業戦略や広報なども文系出身者が多く活躍する分野です。
理系の専門知識がなくても、論理的思考力や企画力、調整能力を活かして、インフラビジネスの根幹を担うことができます。
鉄道に詳しくないと不利になりますか?
鉄道が好きであることは、志望動機の一つとして全く問題ありません。
しかし、いわゆる「鉄道ファン」としての知識(例:車両の型式や特定の路線に詳しいなど)が、選考で有利になることは基本的にありません。
むしろ、企業側が求めているのは、鉄道を「趣味」としてではなく、「ビジネス」あるいは「社会インフラ」として捉えられる視点です。
なぜその企業が安定した収益を上げているのか、どのような経営課題を抱えているのか、そして社会にどのような価値を提供しているのか。
こうした産業としての鉄道への理解の方が遥かに重要です。
面接で趣味の知識を披露するよりも、その企業のIR情報(投資家向け情報)を読み込み、経営戦略について自分の意見を述べられる方が、よほど高く評価されます。
入社後に必要な専門知識は、研修で一から学べるため、現時点での知識量は不問です。
体育会系でないと厳しいですか? 企業文化は?
JR系は、安全を第一に、多くの部門が連携して業務を遂行する組織です。
そのため、上下関係やルールを重んじ、チームワークを大切にする文化が根付いています。
こうした側面が「体育会系」と表現されることもありますが、実際には「真面目で誠実」な人柄が最も重視されます。
体育会系出身者が持つ「規律正しさ」や「忍耐強さ」が、安全を守る業務と親和性が高いのは事実ですが、文化系サークルや学術研究で培われる「論理的思考力」や「探究心」も同様に高く評価されます。
企業文化としては、巨大な組織であるため、意思決定には慎重なプロセスが求められる傾向があります。
しかし、近年はDX推進や新規事業開発のために、若手の柔軟な発想を取り入れようとする動きも活発化しており、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。
まとめ
JR系産業は、日本の「当たり前」を支えるという強い使命感と、社会基盤を創り上げるダイナミズムを併せ持つ、非常に魅力的な業界です。
就職偏差値はあくまで一つの目安に過ぎません。
大切なのは、各社の事業内容や役割、そして安全への重い責任を深く理解することです。
本記事で得た知識をもとに、なぜ自分がJR系で働きたいのかを徹底的に掘り下げ、自信を持って選考に臨んでください。
皆さんの挑戦を応援しています。
