【サントリーの志望動機】内定を掴むために必要なポイントを例文付きで解説

はじめに

サントリーは、就活生から圧倒的な人気を誇る企業であり、その志望動機作成には高度な戦略が求められます。

「やってみなはれ」の精神に象徴される独自の企業文化と、酒類、飲料、健康食品、さらにはグローバル展開と、極めて広範な事業領域を持つためです。

本記事では、サントリーが志望動機で何を見ているのか、その核心的な評価軸を徹底解説します。

競合他社との明確な違い、ES通過者の傾向、そして作成時の注意点まで網羅し、あなたの熱意と個性が伝わる志望動機作成を強力にサポートします。

志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう

志望動機の草案が完成した段階で、AIチェッカーを活用することは、文章の品質を客観的に高める上で非常に有効な手段です。

サントリーのような超人気企業では、数多くのESが寄せられるため、誤字脱字や文法的な誤りといった基本的なミスは、それだけで「準備不足」という致命的な印象を与えかねません。

AIは、こうした形式的なエラーを瞬時に検出し、論理構成が破綻していないかを客観的にチェックする上で役立ちます。

しかし、AIのチェックだけに依存してはいけません。

AIは、あなたの経験の独自性や、サントリーの「やってみなはれ」という精神に対する本質的な熱量までは判断できません。

最終チェックで最も重要な観点は、その志望動機が「なぜアサヒやキリンではなく、サントリーなのか」という問いに対し、ウイスキー事業や「水と生きる」という理念など、サントリー独自の魅力とあなたの原体験を、あなた自身の「言葉」で強く結びつけられているかです。

AIを校正ツールとして賢く利用し、最終的な「魂」を込める作業は必ず自分で行ってください。

【サントリーの志望動機】サントリーを知ろう

サントリーの志望動機を作成する上で、まず押さえるべきは、同社が単なる「飲料メーカー」ではなく、「人々の生活文化を創造する企業」であるという全体像です。

その事業領域は、ウイスキー（山崎、響など）やビール（プレミアムモルツ）といった酒類事業から、「伊右衛門」「BOSS」などの清涼飲料事業、さらには「セサミンEX」に代表される健康食品（サントリーウエルネス）事業、外食・花事業にまで及びます。

この多角化の根底には、創業以来の「やってみなはれ」という挑戦の精神が脈々と流れています。

また、2014年の米ビーム社買収により、グローバルなスピリッツ市場でも確固たる地位を築きました。

志望動機では、これらの幅広い事業内容と、「水と生きる」というコーポレートメッセージに象徴される、社会や自然と共生する企業姿勢を深く理解することが不可欠です。

本章では、この独自の企業体を深く知るため、「事業内容」「業績」「企業理念」の3つの側面から、ありきたりではない志望動機を生み出すための土台を固めていきます。

サントリーの事業内容

サントリーの事業ポートフォリオは、日本のメーカーの中でも際立って多角的です。

就活生が理解すべきは、これらが単に多角化しているのではなく、「人々の生活を豊かにする」という一貫した価値観のもと、それぞれが強力なブランド力を持っている点です。

主力事業は大きく「酒類」と「飲料・食品」に分かれます。

酒類事業では、創業事業であるウイスキー（山崎、白州、響など）で国内圧倒的シェアを誇るほか、米ビームサントリー社との連携によりグローバルなスピリッツ（ジン、ウォッカなど）事業を展開しています。

ビール事業（プレミアムモルツなど）も中核の一つです。

飲料・食品事業では、「サントリー天然水」「BOSS」「伊右衛門」など数々のヒットブランドを擁し、特定保健用食品（トクホ）のパイオニアとしても市場を牽引してきました。

さらに、「サントリーウエルネス」が手掛ける健康食品事業（セサミンEXなど）も大きな収益の柱に成長しています。

この「ものづくり」へのこだわりと卓越したブランドマーケティング力こそが、サントリーのビジネスモデルの核心です。

サントリーの業績

企業の業績を分析することは、その企業の戦略と将来性を見極める上で不可欠です。

サントリーグループ（非上場）の業績を理解する上で、最も重要な視点はその「グローバル化の進展」と「高付加価値戦略」です。

特に、2014年の米ビーム社買収は歴史的な転換点であり、これによりサントリーは世界有数のスピリッツメーカーへと飛躍しました。

現在、売上の半分近くを海外が占めるグローバル企業となっています。

国内においても、「プレミアムモルツ」のような高価格帯のビールや、健康志向のトクホ飲料、そして「サントリーウエルネス」の健康食品など、単なる「安さ」ではなく「付加価値」で勝負する戦略が、高い収益性を支えています。

中期経営計画では「Global One Suntory」を掲げ、グローバルでのシナジー最大化と、サステナビリティ経営のさらなる推進を打ち出しています。

志望動機では、こうした企業の戦略的な方向性を理解し、「ビーム社買収のような果敢な挑戦に将来性を感じ、自身の〇〇の強みをグローバル事業で活かしたい」など、具体的な戦略を踏まえた貢献意欲を示すことが重要です。

サントリーの企業理念

サントリーの企業研究において、その核となるのが創業以来の価値観です。

パーパス（存在意義）として「人と自然と響きあう」を掲げており、これは単なるスローガンではありません。

その根底には、利益を「事業」「社会貢献」「お客様」に還元する「利益三分主義」という考え方があります。

そして、この理念を実践するための行動指針こそが、有名な「やってみなはれ」です。

これは、単に「挑戦しろ」という意味ではなく、常識や前例にとらわれず、自由闊達な風土の中で新しい価値の創造に粘り強く取り組む姿勢そのものを示しています。

また、「水と生きる」というコーポレートメッセージは、事業の恵みの源である「水」を守り育む活動（「天然水の森」など）に象徴される、事業とサステナビリティが不可分であるという強い意志の表れです。

志望動機に活かす際は、「やってみなはれ」という言葉に、自身の「具体的な挑戦経験」を重ね合わせ、「人と自然と響きあう」という理念に、自身の「社会貢献への思い」をリンクさせることが不可欠です。

【サントリーの志望動機】サントリーが志望動機で見ていること

サントリーは日本を代表する超人気企業であり、その選考では、志望動機を通じて「なぜサントリーでなければならないのか」が極めて厳しく問われます。

採用担当者は、応募者の熱意、適性、価値観、成長性を総合的に評価しますが、単なる「お酒が好き」「ブランドが好き」といった消費者目線は一切評価されません。

サントリーが何よりも重視しているのは、応募者が同社のDNAである「やってみなはれ」の精神（挑戦意欲）と、「人と自然と響きあう」というパーパス（価値観）に、心の底から共鳴しているかどうかです。

そして、その価値観を体現しながら、サントリーというフィールドで自ら考え、周囲を巻き込み、情熱を持って最後までやり遂げられる「人間力」を持った人材であるかを見極めようとしています。

本章では、数多くの応募者の中から選ばれるために、サントリーが志望動機で特に重視している3つの核心的ポイントを深掘りします。

「やってみなはれ」精神の体現

サントリーが志望動機で最も重視するポイントは、間違いなく創業精神「やってみなはれ」への共感と、それを実践できるポテンシャルです。

サントリーの歴史は、国産ウイスキーの製造、ビール事業への参入、近年のビーム社買収など、常に「常識への挑戦」と「困難の克服」の連続でした。

このDNAを受け継ぎ、未来の新しい価値を創造できる人材かを厳しく見ています。

採用担当者は、「『やってみなはれ』に共感した」という言葉ではなく、その精神を応募者が過去に「どのように実践」してきたかという具体的なエピソードを求めています。

例えば、学生時代に前例のないことに挑戦したり、高い壁にぶつかりながらも周囲を巻き込んで粘り強く最後までやり遂げたりした経験です。

その挑戦の動機、直面した困難、そしてそれをどう乗り越えたのかというプロセスこそが、あなたの「やってみなはれ」精神を証明する最も強力な証拠となります。

「なぜサントリーか」の熱意と本気度

サントリーは人気企業であるがゆえに、「アサヒでもキリンでも良いのでは？」という疑念を払拭する、「なぜサントリーでなければならないのか」という強い熱意と論理的な根拠が求められます。

採用担当者は、応募者が「消費者（ファン）」としてではなく、「ビジネスの当事者」としてサントリーを志望しているかを見ています。

この論拠を構築するには、サントリーの「独自性」に着目する必要があります。

例えば、ウイスキー（スピリッツ）事業にかける情熱と、ビームサントリーを核とするグローバル戦略への魅力。

あるいは、「伊右衛門」「BOSS」に代表される卓越したブランドマーケティング力。

または、「水と生きる」に象徴される、事業とサステナビリティ（環境保全）を本気で両立させようとする企業姿勢などです。

競合他社との違いを明確にした上で、サントリーのどの独自性に、自身の価値観や成し遂げたいビジョンが強く結びつくのかを具体的に示す必要があります。

周囲を巻き込む「人間力」と「協調性」

サントリーの仕事は、マーケティング、営業、研究開発、生産など、多様な部門のプロフェッショナルが密接に連携することで成り立っています。

「やってみなはれ」という挑戦も、個人の独りよがりな行動ではなく、チームや組織のサポートがあって初めて実現します。

そのため、個人の能力の高さ以上に、周囲と信頼関係を築き、異なる意見を尊重し、チーム全体を巻き込んで目標に向かえる「人間力」や「協調性」が極めて重視されます。

サントリーは「自由闊達」な社風で知られますが、それは互いへのリスペクトが前提です。

採用担当者は、あなたのエピソードから、困難な状況や意見の対立があった際に、どのように他者と対話し、問題を解決してきたかという「人との関わり方」を見ています。

部活動やアルバイトなどで、チームの目標達成のために調整役やサポート役として貢献した経験も、あなたの「人間力」をアピールする上で非常に有効です。

【サントリーの志望動機】サントリーの求める人物像

サントリーは、「やってみなはれ」の精神と「人と自然と響きあう」というパーパスを、未来に向けて体現・進化させていける人材を強く求めています。

これは単に「挑戦的な人」や「自然が好きな人」を意味するのではありません。

その根底には、高い志と情熱を持ち、常識や前例にとらわれずに新しい価値の創造へ粘り強く挑戦するマインドがあります。

同時に、多様な人々、文化、そして事業の基盤である自然環境を尊重し、誠実に向き合える「人間的な魅力」と「高い倫理観」も不可欠です。

サントリーの選考では、スキルや経験以上に、こうした「マインド」や「スタンス」がサントリーの社風と深く合致しているかが厳しく見極められます。

本章では、サントリーが求める人物像を、その背景にある企業文化と結びつけながら、4つの具体的な側面から深掘りしていきます。

「やってみなはれ」を実践できる挑戦者

サントリーが求める人物像の核は、言うまでもなく創業精神「やってみなはれ」を自ら実践できる挑戦者です。

サントリーの歴史は、ウイスキー事業の開拓、ビール事業への参入、ビーム社の買収など、常に新しい市場や困難な課題に挑み続けてきた歴史そのものです。

このDNAを受け継ぎ、未来のサントリーを創るためには、失敗を恐れず、高い志を持って行動し続けられる人材が不可欠です。

ここで求められるのは、単なる「アイデアマン」ではなく、一度決めたことを最後までやり抜く「執念」や「粘り強さ」です。

常識や前例を疑い、自ら課題を設定し、リスクを取ってでも新しい価値を生み出そうとする主体的な姿勢が求められます。

学生時代に、周囲から「無理だ」と言われたことや、誰もやったことのない新しい取り組みに、自ら手を挙げて挑戦し、試行錯誤しながらも最後までやり遂げた経験を具体的に語ることで、この素養を強くアピールできます。

多様性を尊重し、チームで高め合える人

サントリーは「自由闊達」な社風で知られていますが、それは個々人がバラバラに動くことではありません。

多様なバックグラウンドを持つ仲間を尊重し、チームとして高め合える「人間力」や「協調性」を持つ人が求められます。

「やってみなはれ」という挑戦も、多くの場合、マーケティング、営業、研究、生産といった多様な部門の連携と、チームのサポートがあって初めて実現します。

そのため、自分の意見を主張するだけでなく、他者の意見に真摯に耳を傾ける「傾聴力」、異なる立場の人の間に立って合意形成を図る「調整力」、そして仲間を鼓舞し、チーム全体の士気を高める「ポジティブさ」が不可欠です。

グループワークや部活動などで、価値観の異なるメンバーとどのように信頼関係を築き、議論を重ね、チームとしての成果を最大化したかという経験は、サントリーの組織文化への高い適性を示します。

当事者意識を持ち、主体的に行動できる人

サントリーでは、年次に関わらず若手にも大きな裁量が与えられることが多く、「指示待ち」の人材が活躍できる場はありません。

常に「自分ごと」としての高い当事者意識を持ち、主体的に行動を起こせる人が求められます。

マーケティング担当者であれば「自分がこのブランドを育てる」、営業担当者であれば「自分がお得意様の経営課題を解決する」という強い責任感です。

求められる行動特性は、現状維持に満足せず、常により良い方法はないかを「自ら考え」、課題を発見し、その解決策を「自ら提案・実行」する姿勢です。

そして、一度始めたことは細部にまでこだわり、責任感を持って最後までやり抜く力が問われます。

学生時代の研究やアルバイトなどで、人から言われたことだけをこなすのではなく、自ら問題点を発見し、改善策を考えて実行に移し、結果を出した経験を具体的に記述することが有効です。

「水と生きる」に共感し、誠実に行動できる人

サントリーのパーパス「人と自然と響きあう」、特に「水と生きる」というメッセージに深く共感し、高い倫理観を持って誠実に行動できることは、極めて重要な資質です。

サントリーの事業は、水や農作物といった貴重な自然の恵みの上に成り立っています。

そのため、自然環境への感謝と配慮、社会との共生を何よりも大切にしています。

また、「利益三分主義」に象徴されるように、短期的な利益追求よりも、顧客や社会との長期的な信頼関係を重視する組織風土があります。

したがって、目先の成果や自分の利益だけでなく、社会全体にとって「何が正しいか」を考えられる高い倫理観と、顧客や取引先、仲間に対する「誠実さ」が求められます。

自身の環境問題への関心や、学生生活で「誠実さ」や「利他の精神」を大切にして行動したエピソードを語ることは、サントリーの価値観との一致をアピールする上で有効です。

【サントリーの志望動機】サントリーの志望動機に入れ込むべきポイント3選

サントリーという超人気企業の選考を突破するためには、他の何千もの志望動機の中に埋もれない、熱意と論理性を兼ね備えた「あなただけの理由」が必要です。

単なる「ブランドが好き」という消費者目線から脱却し、サントリーが大切にする「価値観」と「事業戦略」に、あなたの「経験」と「情熱」を深く重ね合わせることが鍵となります。

採用担当者は、あなたがサントリーのDNAを理解し、未来のサントリーを共に創っていける「当事者」であるかを見極めようとしています。

「やってみなはれ」精神と自身の「挑戦経験」

サントリーの志望動機で最も強力なアピールポイントは、同社のDNAである「やってみなはれ」精神に、自身の最も困難だった「挑戦経験」を重ね合わせることです。

サントリーは、常識を打ち破る挑戦を続けてきた企業であり、未来の仲間にもその「挑戦者」としてのマインドを強く求めています。

「共感しました」という言葉だけでは全く響かず、「実践してきました」という具体的な証拠（エピソード）が不可欠です。

学生時代に、周囲の反対や前例のなさにも臆せず、自ら高い目標を掲げて行動を起こし、試行錯誤を繰り返しながらも粘り強く取り組んだ経験を棚卸ししてください。

重要なのは、挑戦の「規模」や「結果」そのものよりも、その過程で「何を考え」「どのような困難に直面し」「どう乗り越え」「何を学んだか」を明確に語ることです。

その学びが、サントリーのフィールドで新しい価値創造にどう活かせるかを論理的に結びつけましょう。

「独自性」への深い理解（事業・理念）

「なぜアサヒでもキリンでもなく、サントリーなのか」という最重要の問いに答えるため、サントリーの「独自性」を深く理解し、それを志望理由の核に据えることが重要です。

例えば、事業面では、他社がビール中心であるのに対し、ウイスキーやスピリッツでグローバルに圧倒的な強みを持つこと。

「伊右衛門」「BOSS」に代表される卓越したブランドマーケティング力。

あるいは、「セサミンEX」など健康食品事業（サントリーウエルネス）という独自の収益基盤を持つことなどが挙げられます。

理念面では、「水と生きる」というメッセージに象徴される、事業とサステナビリティ（水の森活動など）が不可分に結びついている企業姿勢も強力な独自性です。

これらの独自性の中から、自身が最も強く惹かれるポイントを選び出し、「自身の〇〇という経験から、貴社の〇〇という独自性に強く惹かれた」という形で、自身の価値観やビジョンとサントリーの独自性をリンクさせてください。

競合他社との比較して優れた点を盛り込む

「なぜサントリーか」という問いに究極の説D徳力を持たせるのが、競合他社（アサヒ、キリンなど）との比較です。

この比較を盛り込む最大のメリットは、「業界全体を徹底的に研究した上で、明確な意志を持ってサントリーを選んだ」という志望度の高さと本気度を採用担当者に論理的に示せる点です。

また、サントリーのどの点が「優れている」と感じるかを具体的に語ることで、応募者がサントリーの戦略や企業文化の本質を深く理解していることの強力な証明にもなります。

例えば、「アサヒが『スーパードライ』という単一ブランドの強さに特徴があるのに対し、貴社はウイスキーから飲料、健康食品まで多様なポートフォリオを持ち、特に『やってみなはれ』の精神のもと、新しい文化や市場を創造し続ける挑戦的な社風に最も魅力を感じる」といった形です。

他社を不必要に貶めるのではなく、客観的な違いを述べた上で、サントリーの魅力に結びつけることが重要です。

【サントリーの志望動機】競合他社との比較しよう

サントリーの志望動機の説得力を決定づけるのが、競合他社との比較です。

「飲料メーカー」という大きな括りではなく、「なぜサントリーか」を明確にする必要があります。

同じ総合飲料メーカーであっても、アサヒ、キリン、サントリーでは、強みとする事業領域、グローバル戦略、そして何よりも「企業文化」が全く異なります。

採用担当者は、あなたがその「違い」を深く理解した上で、サントリーのどの部分（例えば「やってみなはれ」の社風や、ウイスキー事業へのこだわり）に本気で魅力を感じているのかを知りたがっています。

本章では、主要な競合他社を取り上げ、事業ポートフォリオ（酒類・飲料のバランス）、海外戦略、そして「社風」といった観点から、サントリーの独自性を浮き彫りにするための比較軸を提示します。

①アサヒグループとの違い（事業戦略とブランド）

アサヒグループとサントリーは、国内酒類・飲料市場で激しく競合する最大のライバルですが、その戦略は対照的です。

「スーパードライ」という圧倒的な単一ブランドを中核に据え、そのブランド力を国内外で展開するのがアサヒの基本戦略です。

M&A戦略も、欧州や豪州の「ビール」事業が中心でした。

一方、サントリーの強みは「多様なポートフォリオ」にあります。

ウイスキー（ビームサントリー）、ビール（プレモル）、飲料（BOSS、伊右衛門）、健康食品（ウエルネス）と、収益源が分散・多角化しています。

グローバル戦略も、ビール中心のアサヒに対し、サントリーは「スピリッツ（ウイスキー等）」が中核です。

志望動機では、「スーパードライ」のような絶対的ブランドを持つアサヒに対し、多様なカテゴリーで新しい価値を創造し続けるサントリーの「やってみなはれ」の精神や、ウイスキーという長期的な文化を育てる事業に魅力を感じる、といった差別化が可能です。

②キリンホールディングスとの違い（事業領域と社風）

キリンホールディングスも、ビール（一番搾り）と飲料（午後の紅茶、生茶）を両輪とする総合飲料メーカーですが、サントリーとの決定的な違いは「医薬・バイオ」事業（協和キリン）をグループの大きな柱としている点です。

人々の健康へのアプローチが、サントリーの「健康食品（ウエルネス）」に対し、キリンは「医薬品」という異なる領域に強みを持っています。

一方、サントリーの多角化は、あくまで「生活文化（飲料・酒類・食品・花・外食）」の範疇にあります。

また、社風も異なると言われます。

キリンが比較的「真面目」「論理的」と評されることがあるのに対し、サントリーは「自由闊達」「やってみなはれ」に象徴される、より「人間味」や「情熱」を重視する文化が際立っています。

志望動機では、「医薬」という専門領域に強みを持つキリンに対し、より人々の「生活」や「文化」に密着した分野で、挑戦的な社風のサントリーで新しい価値を生み出したい、といったアピールが可能です。

③コカ・コーラ（ボトラー各社）との違い（メーカーとボトラー）

コカ・コーラグループも強力な競合ですが、そのビジネスモデルはサントリーと根本的に異なります。

就活生が主に接する日本のコカ・コーラ（ボトラー各社）は、厳密には「メーカー」ではなく、米国本社の原液を使って「製造・物流・販売（営業）」を担う「ボトラー（販売会社）」です。

マーケティングやブランド戦略の多くは本社主導であり、ボトラーの強みは、世界最強のブランド力と、自動販売機網など圧倒的な「販売網」にあります。

一方、サントリーは、「ブランド創造（マーケティング・研究開発）」から「製造」「販売（営業）」まで、バリューチェーンのほぼ全てを自社（グループ）で行う「メーカー」です。

営業職であっても、マーケティング部門と連携し、ブランド戦略の立案に関わるチャンスがあります。

志望動機では、最強ブランドの製品を効率的に「売る」ことに強みを持つコカ・コーラに対し、ブランドを「創る・育てる」ところから一気通貫で携われ、「やってみなはれ」の精神で新しい市場を創造できるサントリーのメーカーとしての仕事に魅力を感じる、という明確な差別化が可能です。

④味の素との違い（食品と飲料、研究開発）

味の素は、サントリーと同じく「食」の領域で高いブランド力を持つ企業ですが、そのドメインと強みの源泉が異なります。

味の素は日本を代表する「総合食品メーカー」であり、その強みは「アミノ酸」に関する世界トップクラスの研究開発力にあります。

この技術を基盤に、調味料、冷凍食品、健康食品（アミノバイタルなど）を展開し、BtoBの素材事業も非常に強力です。

一方、サントリーは「飲料・酒類（発酵・蒸溜・健康）」のサイエンスに強みを持ちます。

「セサミン」などのウエルネス事業も独自の研究が基盤です。

ビジネスモデルとしては、サントリーは味の素以上にBtoCの「ブランドマーケティング」の比重が極めて高いのが特徴です。

「アミノ酸」を軸に食の基盤を支える味の素に対し、「飲料・酒類」という人々の「楽しみ」や「文化」に寄り添う分野で、卓越したマーケティング力と「やってみなはれ」の精神で新しい価値を生み出したい、といったアピールが可能です。

【サントリーの志望動機】サントリーのES通過者の志望動機の共通点

サントリーの非常に高い選考倍率を突破するエントリーシート（ES）の志望動機には、いくつかの明確な共通点が存在します。

これらの傾向を分析することは、あなたの志望動機をブラッシュアップする上で非常に有益です。

最大の共通点は、「やってみなはれ」精神への共感を、自身の具体的な「挑戦」のエピソード（多くの場合、困難を伴うもの）で裏付けしている点です。

単なる成功体験ではなく、なぜその挑戦をしたのか、どのような壁があり、どう試行錯誤して乗り越えたのか、そのプロセスや粘り強さが伝わる内容が圧倒的に多いです。

次に、「なぜサントリーか」が明確であること。

競合他社（アサヒ、キリン）との比較を意識し、ウイスキー事業のグローバル戦略、卓越したブランドマーケティング、「水と生きる」という理念など、サントリーの「独自性」に強く惹かれた理由が論理的に述べられています。

総じて、サントリーの価値観（挑戦・協調）と事業戦略への深い理解を示し、「ファン」ではなく「当事者」としての視点で書かれていることが共通しています。

【サントリーの志望動機】サントリーの志望動機を作成する際の4つの注意点

サントリーへの強い憧れやブランドへの好意は、時として志望動機の質を下げてしまう「落とし穴」にもなり得ます。

採用担当者は、何千通ものESの中で、「また同じ内容だ」と感じるものや、「消費者目線」から抜け出せていないものを厳しく見極めています。

「ブランドが好き」という感想、抽象的な「やってみなはれ」への言及、競合他社と変わらない「飲料業界で働きたい」という一般論は、サントリーが求める「当事者意識」や「挑戦者」としてのマインドセットとのズレを感じさせます。

本章では、こうした就活生が陥りがちな4つの典型的な失敗パターンを挙げ、評価を下げる要因と、それを回避するための具体的な改善策を解説します。

「ブランドが好き」「お酒が好き」という消費者目線

「プレミアムモルツが大好きです」「伊右衛門のCMに感動しました」といった理由は、単なる「ファン」の感想であり、「ビジネスの当事者」としてどう貢献したいかという視点が完全に欠落しています。

サントリーを志望する学生のほぼ全員がブランドに好意を持っており、これだけでは全く差別化になりません。

採用担当者が知りたいのは、「なぜそのブランドが好きなのか」ではなく、「なぜそのブランドが成功しているのか（マーケティング、技術など）」を自分なりに分析し、「自分ならその強みを活かして、次にどう貢献できるか」というビジネス視点です。

「『BOSS』のターゲット層に寄り添うマーケティング戦略に感銘を受け、自身の〇〇の経験で培った顧客理解力を活かし、次のヒットブランド創出に貢献したい」といった形で、「好き」を「分析」と「貢献意欲」に変換する必要があります。

「やってみなはれ」への共感が抽象的

「貴社の『やってみなはれ』の精神に共感しました」という一文は、サントリーのESで最も多く見られる表現の一つですが、それだけではその学生が本当に挑戦的な人物なのか、理念を正しく理解しているのかが全く伝わりません。

言葉を暗記しているだけで、具体性がなければESで埋もれてしまいます。

採用担当者は、その精神を「実践」した経験を知りたがっています。

「やってみなはれ」が、困難やリスクを伴う挑戦であり、粘り強さが必要であることを理解しているかを見ています。

これを防ぐには、「私は大学時代、〇〇という前例のない挑戦において、周囲の反対や困難に直面しながらも、〇〇という工夫と粘り強さで乗り越えた経験がある。

この経験から、貴社の『やってみなはれ』の精神を自分も体現できると確信している」といった形で、必ず自身の具体的な「挑戦エピソード」とセットで語ることが不可欠です。

「飲料業界で人々の生活を豊かにしたい」という一般論

「飲料（お酒）は人々の生活に不可欠であり、その豊かさに貢献したい」といった志望理由は、一見聞こえは良いですが、サントリーだけでなく、アサヒ、キリン、コカ・コーラなど、業界内のどの企業にも当てはまってしまいます。

これでは「なぜサントリーか」という最も重要な問いに答えられておらず、企業研究が浅いと判断されます。

採用担当者は、「飲料業界」という広い括りではなく、「サントリー」という特定の企業でなければならない「決定的な理由」を求めています。

これを回避するには、競合他社との比較を行い、サントリーの「独自性」に焦点を当てる必要があります。

「飲料業界の中でも、特に貴社のウイスキー事業のように数十年単位で文化を育てる事業に携わりたい」あるいは「『水と生きる』という理念のもと、事業と環境保全を両立させる貴社の姿勢に強く惹かれた」など、「サントリーでしかできないこと」を明確に打ち出してください。

「安定」や「福利厚生」を志望理由の主軸にする

サントリーが日本を代表する優良企業であり、安定性や福利厚生が充実していることは事実です。

しかし、それを志望理由の「主軸」に据えることは、サントリーが求める「挑戦者（やってみなはれ）」の人物像と真っ向から対立するため、絶対に避けるべきです。

採用担当者から見れば、「安定した環境で守られたい」という受け身の姿勢は、「リスクを取ってでも新しい価値を生み出す」というサントリーのDNAと相容れません。

「挑戦」よりも「安定」を求める人材は、サントリーの社風には合わないと判断される可能性が極めて高いです。

もし安定性に魅力を感じている場合でも、それはESには書かず、あくまで「挑戦するための土台」として心に留めておくべきです。

志望動機では、徹頭徹尾、自身の「挑戦意欲」や「貢献意欲」をアピールすることに集中してください。

【サントリーの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう

サントリーのような超人気企業を本気で目指すならば、インターンシップへの参加は、内定獲得に向けた最も有効かつ強力な戦略です。

最大のメリットは、参加者限定の「早期選考」ルートに案内される可能性が非常に高い点です。

本選考よりも早い時期に、場合によっては一部選考プロセスが免除された形で選考が進むため、一般応募に比べて圧倒的に有利なポジションを得ることができます。

また、ESや説明会では決して分からない、「やってみなはれ」のリアルな社風や、社員の方々の「人間的魅力」を肌で感じられることも大きな価値です。

インターンでの実体験（例：グループワークで社員から受けたフィードバック、感じたチームの雰囲気）は、「なぜサントリーか」という志望動機に他の誰にも真似できないリアリティと熱意を加えてくれます。

企業理解を深め、ミスマッチを防ぐという意味でも、インターンへの応募は必須と言えるでしょう。

【サントリーの志望動機】サントリーの志望動機例文

サントリーの志望動機は、「やってみなはれ」精神や「人と自然と響きあう」という理念、そしてウイスキーやマーケティングといった独自の強みを、いかに自身の経験と結びつけるかが鍵となります。

ここでは、あなたの強みや経験に応じて使い分けられるよう、5つの異なるアプローチに基づいた志望動機例文を紹介します。

例えば、困難な挑戦を乗り越えた「経験（やってみなはれ）ベース」、ブランドマーケティングへの関心を軸にした「将来ビジョンベース」、ウイスキーなど特定事業への情熱を語る「事業理解ベース」、チームでの貢献をアピールする「価値観（協調性）ベース」などです。

これらはあくまで論理構成の「型」です。

例文をそのまま流用するのではなく、必ずあなた自身の具体的なエピソードと言葉に置き換え、オリジナリティのある志望動機を完成させてください。

例文①（経験ベース：「やってみなはれ」の実践）

例文②（価値観ベース：「人と自然と響きあう」）

例文③（スキルベース：マーケティング・ブランド構築）

例文④（将来ビジョンベース：グローバル・ウイスキー事業）

例文⑤（別角度のアプローチ：健康食品・ウエルネス事業）

【サントリーの志望動機】よくある質問

サントリーは就活生からの人気が非常に高く、その選考や働き方については多くの疑問が寄せられます。

「『やってみなはれ』の社風は本当か」「学歴フィルターは存在するのか」「お酒が飲めないと不利なのか」といった点は、志望動機を固める上での不安材料にもなり得ます。

これらの典型的な疑問を解消しておくことは、自信を持って選考に臨み、入社後のミスマッチを防ぐためにも重要です。

本章では、就活生の皆さんが抱きがちなこれらの疑問や不安に対し、就活アドバイザーの視点から、採用の実態や企業文化を踏まえて的確に回答していきます。

Q1. サントリーに学歴フィルターはありますか？

結論から申し上げますと、明確な学歴フィルターは存在しないと考えられますが、結果として高学歴層の学生が非常に多く集まるのが実態です。

サントリーは全就活生の中でもトップクラスの人気企業であり、地頭や主体性のレベルが高い高学歴層の学生が、その「やってみなはれ」という挑戦的な社風に惹かれて数多く応募してきます。

そのため、競争が極めて激しくなるのが実情です。

サントリーの選考は、ESや面接での深掘りが非常に鋭く、「なぜサントリーか」「学生時代に何を考え、どう挑戦したか」を論理的に、かつ情熱的に語る必要があり、この「思考体力」が問われます。

しかし、大学名だけで合否が決まることは決してありません。

学歴に自信がなくても、「やってみなはれ」を体現した圧倒的なエピソードと、サントリーへの深い企業研究、そして「人間的魅力」を面接で示すことができれば、内定のチャンスは十分にあります。

Q2. お酒が飲めない（または弱くても）不利になりますか？

結論として、全く不利になりません。

サントリーの事業は、酒類（アルコール）だけではないからです。

売上の約半分は「伊右衛門」「BOSS」などの清涼飲料や、「セサミン」などの健康食品であり、これらの分野で活躍する社員も多数います。

また、サントリーは多様な価値観を尊重する企業であり、「お酒が飲めること」が採用基準になることはあり得ません。

社員の中にも、体質的にお酒が飲めない人や、飲まない主義の人は多く在籍しています。

採用担当者が見ているのは「お酒が飲めるか」ではなく、「お酒や飲料がもたらす『豊かな時間』や『文化』に興味があるか」です。

お酒が飲めなくても、「なぜ人々がお酒を飲むのか」「どのようなシーンで楽しまれるのか」を想像し、その価値を創造する仕事に情熱を持てるかどうかが重要です。

Q3. 「やってみなはれ」の社風は本当ですか？ 激務ではないですか？

「やってみなはれ」の精神（挑戦を奨励し、自由闊達に議論する社風）は、間違いなくサントリーの根幹にある文化です。

若手であっても、筋の通った提案であれば「やってみろ」と背中を押す風土があることは、多くの社員が証言しています。

ただし、これは「楽な仕事」を意味しません。

「やってみなはれ」を実践するには、生半可な努力では認められないのも事実です。

新しい価値を生み出すためには、徹底的な準備、情熱、そして最後までやり抜く粘り強さが求められるため、仕事に対する「熱量」や「コミットメント」は非常に高いレベルを要求されます。

部署や時期にもよりますが、「激務」というよりは「仕事に熱中」している社員が多いと表現する方が実態に近いでしょう。

「挑戦」と「情熱」を「激務」と捉えるか「やりがい」と捉えるかが、応募者との相性を見極めるポイントになります。

Q4. 勤務地（配属先）はどのように決まりますか？

サントリーの配属は、本人の希望、適性、そして各部門のニーズを総合的に勘案して決定されます。

応募時に「ビジネス部門（営業、マーケティングなど）」「生産研究部門」といった大枠でのコース別採用を行っており、特に理系（生産研究）は専門性とのマッチングが重視されます。

サントリーは「人を育てる」意識が強く、ジョブローテーション（部署異動）も活発に行われるため、入社時の希望がすぐに叶わなくても、様々な部署を経験しながらキャリアを築いていくのが一般的です。

「やってみなはれ」の精神で、「どこで働くか」よりも「そこで何に挑戦するか」を重視する人材が求められます。

総合職採用であるため、勤務地は全国・海外どこにでも可能性があると理解しておくべきです。

営業であれば全国の支社、生産研究であれば工場や研究所（多くは郊外）が主な勤務地となります。

まとめ

サントリーの志望動機を作成するには、「やってみなはれ」の精神と「人と自然と響きあう」というパーパスへの深い理解が不可欠です。

単なる「ブランド好き」の消費者目線を脱却し、競合他社との違いを明確にした上で、あなたの「挑戦経験」と「人間的魅力」を熱く語ってください。

サントリーの「独自性」とあなたの「個性」が響きあった時、初めて採用担当者の心を動かす志望動機が完成します。

本記事が、その一助となれば幸いです。