就職活動において、志望動機は採用かどうかを左右する非常に重要な要素のひとつです。
「どのような企業に就きたいのか」「その企業でどのように活躍していきたいのか」など、就職活動をするうえで最初に思い描くビジョンが志望動機の一部となります。
しかし、企業に対する熱い気持ちがあっても、伝え方次第では十分に面接官に伝えられない可能性もあるのです。
志望動機の重要性を把握し、志望動機の構成に注意すれば、自分の想いを端的に伝えられるでしょう。
そこで今回は、志望動機が聞かれる理由から締めくくりの重要性や面接時のポイント、志望動機の例文などを紹介していきます。
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【志望動機のテンプレ】志望動機が聞かれる理由
面接官は、応募者一人ひとりの志望動機から「志望度の高さや熱意」「長期的に働いてくれるのか」をチェックします。
志望動機を作成する前に、自己分析や企業研究・業界研究をするのが一般的ですが、それらが徹底されていればいるほど、中身の濃い志望動機になり志望度が高いと評価されるでしょう。
企業にとって、志望度の高さは非常に重要視する部分なのです。
また、内定を出したら辞退せず入社してくれるような人、採用したら長期的に活躍してくれるような人を採用したいと考えています。
「他社ではなく御社が第一志望です」「御社でスキルアップしていきたい」などという気持ちを一貫して伝えることが、最終的な目標である内定を得るコツと言えます。
志望動機の締めくくりは大事!
締めくくりは、志望動機でこれまでに述べてきたことやその人の印象を大きく左右する大切なものです。
締めくくりがすべてというわけではありませんが、どんなに良い内容でも、締めくくりの印象が悪いと全体の印象が薄くなり、面接官に響くことのない残念な志望動機となってしまう可能性が高いです。
たとえば、「頑張ります」のような誰でも言える内容で締めた場合、「入社したい」という熱意はそれほど相手に伝わりません。
そのため、締めくくりの言葉をアレンジして、入社後活躍している姿をイメージさせる必要があります。
入社後のイメージが膨らめば、その企業に必要な人材がどうかも判断しやすくなるため、志望動機を作る際はぜひ意識してみてください。
【志望動機のテンプレ】志望動機の締めくくりで伝えるべき内容
志望動機の締めくくりは、志望動機全体の印象を左右する重要なものということがわかりました。
しかし、何をどのように伝えたら良いのでしょうか。
締めくくりの内容は、抽象的なものではいけません。
たとえば、「貴社の売上アップに努めます」でも締めくくりらしい文章ではありますが、具体的ではないため、志望動機全体の内容がぼやけてしまいます。
面接官の心に響く、印象の良い志望動機にするためには、締めくくりに具体性を持たせることが大切なのです。
ここからは、締めくくりで伝えるべき内容を2つ紹介していきます。
どのように会社に貢献するか
「自分の強みでもある○○を活かし、御社の業務を通して貢献していきたいと考えています」などのように、自分自身の持つスキルや性格、価値観をもとにそれがどのように企業で貢献できるのかを伝えましょう。
具体的に伝えられると、志望度の高さのアピールにもなり、面接官は採用した後をイメージしやすくなります。
また、その人のスキルや性格、価値観も把握できるため、企業にとって必要な人材かどうかを判断しやすくできるのです。
「どのように会社で貢献するのか」を具体的に伝えるには、自分のスキル・性格・価値観・将来のビジョンなどを明確にしておく必要があります。
自己分析や他己分析、企業研究などを徹底的に行い、志望動機の作成に備えることが重要です。
入社後に実現したいこと
自分の経験や価値観をもとに、その企業のリソースを活用して実現したいことを述べると良いでしょう。
たとえば、「御社で○○を目標に活躍していきたいです」では、説得力がないうえに、誰でも言えてしまうような内容です。
しかし、「なぜそれを実現したいのか」を自分の経験や価値観をもとに明確に伝えられれば、企業に対する熱意を十分にアピールできるのです。
このときに、その企業でなければいけない理由も併せて伝えるようにしましょう。
注意点として、同じ業界や職種でも通用する内容にしないことです。
「ほかの企業でも良いのでは」と思われてしまえば、いくら志望度が高くても意味がありません。
そうならないためにも業界内で比較し、その企業にしかない強みや特徴を掴んでおくと良いでしょう。
【志望動機のテンプレ】志望動機の締めくくりの基本ルール
志望動機の締めくくりには、いくつかルールがあります。
たとえば、「前向きな表現を用いる」は基本的なポイントです。
しかし、このルールを意識しているかどうかで、面接官に与える印象が変わってきます。
基本を押さえないと、志望動機全体の印象が悪くなってしまうため注意が必要です。
ここからは、その基本のルール5つを詳しく解説していきます。
締めくくりのポイントをしっかりと押さえて、内容も構成もすばらしい、最大限に自分をアピールできる志望動機を作成していきましょう。
前向きな表現を用いる
先ほども軽く触れましたが、志望動機は必ず前向きな表現で締めくくりましょう。
「未経験で不安ではありますが」など消極的な表現は、自信のなさが伝わってしまいマイナスな印象を与えかねません。
不安に思っていることを正直に伝えるのは悪いことではありませんが、企業は、不安や自信のない人より前向きな人を採用したいと考えます。
少しでもネガティブな表現があると、それまでの内容が良いものであっても、「すぐに挫折してしまいそう」などと就活生に対してネガティブな印象を与えてしまうのです。
「いち早く一人前になれるように」「御社で活躍できるように」「御社に貢献したい」など、採用担当者が聞いて不快にならない前向きな表現を用いると良いでしょう。
定型文は避ける
丁寧な印象を与えるために「よろしくお願いいたします」や「頑張ります」などとつける人がいますが、このような定型文は不要です。
なぜなら、企業に対する熱意が伝わりにくくなるからです。
丁寧な締めくくりが悪いというわけではありませんが、抽象的な表現はありきたりで、印象に残りにくい志望動機になってしまいます。
志望動機は、このような丁寧な表現よりも、志望度の高さをアピールすることが大切です。
そして、周りのライバルと差のある内容にし、「詳しく話を聞きたい」と興味を持ってもらうことで内定に近づくことができるのです。
そのため、誰でも書けるような定型文は避け、具体性のある表現で締めくくると好印象な志望動機になるでしょう。
それまでの内容から飛躍しすぎないようにする
志望動機の締めくくりの部分は、当然ながら志望動機全体のまとめにあたります。
ここが冒頭部分とイコールになっていなければ、「結局何を伝えたかったのか」を理解してもらえず、印象の薄い志望動機になってしまうでしょう。
たとえば「お客様との信頼関係を大切に、より満足してもらえる接客をしていきたい」と言っていたのに、締めくくりでは「自分のスキルや経験を存分に活かし、若手育成や組織のマネジメントとして活躍していきたい」では話に矛盾が生じてしまいます。
これでは説得力がないため、目標である内定も遠のいてしまうでしょう。
そうならないためにも、志望動機の締めくくりでは、冒頭の志望理由とイコールになっている必要があるのです。
具体性を持たせる
締めくくりは、具体的に伝えることが重要です。
たとえば、「○○を目指して頑張っていきたいです」「御社に貢献していきたいです」では、どこか漠然としていて面接官の心に響く可能性は低いでしょう。
しかし、「○○だから○○を目指している」「○○を活かし○○で御社に貢献していきたい」などと話に具体性を持たせられれば、「入社後にどのように活躍していこうとしているのか」をイメージしてもらいやすくなります。
この際、自分の性格や経験をもとに思い描いているキャリアビジョンを伝えると、信ぴょう性が増し好印象ですが、それが現実的かどうかを考える必要があります。
非現実的なものでは信ぴょう性がなく、「口だけなのでは」と悪い印象を与えかねないため注意が必要です。
入社後の活躍イメージができるようにする
採用担当者に入社後の活躍をイメージしてもらうよう、will・can・mustのフレームワークを用いて説明してみましょう。
will(未来)を意味するのは、「働く目的や目標」です。
can(強み)は、「自分の強みはどのような仕事が向いているのか」、must(使命)は、「自分が周囲から求められていることは何か」を意味しています。
入社後のイメージは「will」にあたり、canやmustから逆算して考えるのがコツです。
面接官は、戦力となる人材を必要としているので、自分の活躍イメージが十分にできている人を採用したいと考えます。
このフレームワークを活用することで、自分だけではなく面接官も入社後の活躍イメージがしやすくなります。
また、面接時に想定外な質問をされたときでもスムーズに回答できるので、事前に対策しておくと安心です。
【志望動機のテンプレ】志望動機の面接時の締めくくり
志望動機の内容で好印象を与えられても、面接時に伝え方が悪ければマイナスな印象へと変わってしまうでしょう。
面接官に、「実際に会ってみたら印象が違う」と思われてしまえば、最悪の場合、不採用となる可能性があるのです。
そうならないためにも、志望動機の内容だけでなく面接時にも注意する必要があります。
面接時の締めくくりで注意したいポイントは2つあります。
ここからは、その2つの注意点を詳しく解説していきますので、面接に向けて対策していきましょう。
自信を持って話す
面接時に堂々と話せると、面接官に好印象を持たせることができます。
そのため、面接の受け答えの際に「自信を持つこと」は非常に重要なポイントと言えるのです。
「自分にはできない」などマイナスな感情を持ったまま就活を進めても、おおよそうまくいきません。
特に面接時には注意が必要で、おどおどした態度でいると自信のなさが露呈されます。
企業に対する熱意も十分に伝わらず、ネガティブな印象だけを与えてしまうことになるでしょう。
面接時だけ堂々と話そうと思っても、普段の話し方に問題がある場合、修正は難しいです。
自分でも気づけない悪いクセは誰もがひとつは持っているものなので、事前に家族や友達にチェックしてもらうと良いでしょう。
深掘り質問に備える
面接時には、特に締めくくりの部分に対して、具体的なキャリアビジョンについての質問が来る可能性があります。
そのため、事前に自己分析や企業研究・業界研究などは済ませておくようにしましょう。
また、will・can・mustのフレームワークなども行い、どのような質問が来ても堂々と答えられるように準備しておくと安心です。
なお、自分の志望動機を客観視できれば、どのような質問が来そうなのかを把握しやすくなります。
第三者に志望動機を見てもらい、実際に質問してもらえば「深掘り質問」にも備えられます。
この深掘り質問は、「なぜ?」を何度も問いかけることで予想が立てやすくなるため、一度紙に書いて整理しておくことをおすすめします。
面接時に戸惑わないよう、事前に準備しておきましょう。
【志望動機のテンプレ】志望動機のおすすめ構成
志望動機は内容が重要ですが、面接官に十分な熱意を伝えるには構成力も必要です。
志望動機の構成は、大きく4つに分けられています。
この構成に沿っていなければ、高確率で「結局何を言いたいのか」が伝わらない残念な志望動機になってしまうでしょう。
構成が悪いと、いくら内容が良くてもマイナスな印象が強く残り、内定を遠ざけてしまうおそれがあるというわけです。
ここからは、志望動機でおすすめの構成について詳しく解説していきます。
結論
最初に、「御社を志望する理由は○○です」などと結論を述べましょう。
冒頭の結論は、簡潔かつ明確に述べることがポイントです。
理解しやすい志望動機にするために、冒頭部分に結論を述べることは重要で、締めくくりまで後回しにしてしまうと、「何を伝えたいのか」がわかりにくい志望動機となってしまいます。
しかし、冒頭で結論を述べることで、最初の一文で話の大まかな内容が伝わり、その後のエピソードも理解しやすくなるのです。
理由
結論の後は、「なぜなら○○です」と理由を述べましょう。
複数の理由があっても良いですが、多すぎると印象に残りにくい志望動機となってしまうので、おおよそ3つ程度に絞ると良いでしょう。
ただし、この理由がどこの企業でも当てはまるような内容だった場合、「この企業でなくても良いのでは」と判断されてしまうおそれがあるので注意が必要です。
その業界や企業でしか当てはまらない理由を述べることで、熱意が伝わりやすく信ぴょう性のある志望動機になります。
また、理由の部分は業界・企業研究がされているのかが判断される部分でもあるため、その企業にしかない強みや特徴も述べると好印象です。
エピソード
理由の後は、「なぜその企業でなければいけないのか」など、その理由を持つ背景を説明しましょう。
実際に持っているスキルや経験、価値観などを用いて説明すると説得力が増し、高評価につながります。
このエピソードが、ありきたりでその当時の感情も伝わらない内容では、興味が湧かず聞く気になれません。
それを避けるために、話に抑揚をつけることも重要なポイントです。
また、時系列がバラバラにならないよう、話の内容を整理して伝えることも忘れないようにしてください。
締めくくり
エピソードの後は、締めくくりとして志望している趣旨を再度述べましょう。
これにより、志望理由が強調され熱意が伝わりやすくなります。
上記のルールに沿って、自分が企業のためにできることを提示しつつ、「どのように会社に貢献していきたいのか」「入社後に実現したいことは何か」を述べると、面接官に好印象を与えられます。
ここでは、冒頭の結論とイコールになっている必要があるので、最後に見直しを忘れずに行いましょう。
【志望動機のテンプレ】テンプレを紹介
私は○○に、○○という経験をしました。
その中で、○○ということがあり、○○ということを行いました。
そこで私は○○と考え、○○という理念を掲げられている貴社を志望いたしました。
貴社に入社できた際には、○○という経験を活かして○○という部分で貢献したいと考えております。
【志望動機のテンプレ】志望動機の締めくくり方の例文7選
志望動機は、内容も構成も重要だということがわかりました。
しかし、志望理由や自分自身の強みや経験、価値観などが明確であっても、実際に書こうとしたときに「何をどのように書き進めたら良いのだろう」と手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
ここからは、上記の構成をもとに作った2つの例文を紹介していきます。
以下の例文を参考にし、自分の熱意や将来のビジョンなどを十分にアピールできる志望動機を作成していきましょう。
1.どのように企業に貢献するか
なぜなら、私自身のバックグラウンドを活かせると思っているからです。
私は大学で1年間アメリカに留学した経験があります。
最初は簡単な日常会話をすることもままならず、言葉や文化の違いから戸惑うこともありましたが、交流していくうちに多種多様な価値観を学び視野が広がりました。
また、飲食店でのアルバイトの際には、多くの現地の方と関わることで英語力にも自信がつき、人と触れ合うことのすばらしさや大切さを学びました。
貴社に入社した際には、持ち前の語学力と文化が異なる人とでも怖じけずに話せるコミュニケーション能力を用いて目標をクリアし、貴社の発展に貢献していきたいと考えています。
2.入社後に実現したいこと
なぜなら、自分自身の課題把握力の高さを活かしたいと考えたからです。
私は以前、貴社の営業インターンでリーダーを勤めていたことがあります。
リーダーになってからは、自分1人の成果ではなくチーム全体の成果が重要だと考えました。
最初は思うようにいかず、チーム内で成果にバラつきがありましたが、一人ひとりの意見を聞きチーム全体の課題を把握したことで、みんなが積極的に行動でき無事に目標を達成させることができたのです。
この経験から、コミュニケーションの大切さ、支え合い助け合いの大切さをあらためて学びました。
貴社に入社できた暁には、いち早く一人前になり貴社の事業をグロースさせていきたいと考えています。
3.貴社の成長に貢献したい
4.満足のサービスを提供したい
5.仕事に携わりたい
6.ファンを作る一員になりたい
7.自分と仕事の理想を実現できる
おわりに
今回は、志望動機の重要性や聞かれる理由、伝える際のポイント、志望動機のテンプレや例文などを詳しく紹介してきました。
まず、志望動機を作成する前に、志望動機の重要性をしっかりと把握しておきましょう。
また、will・can・mustのフレームワークなどを行うことで、中身の濃い志望動機の作成が叶います。
テンプレや例文を参考にし、これまでの自分の経験や価値観をもとに工夫して作ると良いでしょう。
内定を得るための大事なステップとなるので、ぜひ面接官の心に響く志望動機を完成させてください。