はじめに
「Campusノート」や「カドケシ」など、誰もが一度は手にしたことのある文具メーカーとして絶大な知名度を誇るコクヨ。
しかし、その実態は「文具」の領域に留まらず、日本の「働く環境」をデザインするオフィス家具・空間構築のリーディングカンパニーでもあります。
就活生からの人気が非常に高いからこそ、「なぜ数あるメーカーの中でコクヨなのか」を明確に示す志望動機が不可欠です。
この記事では、コクヨの事業の全体像から、競合他社との違い、内定者の傾向、具体的な例文まで、選考突破に必要な情報を網羅的に解説します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機の草案が完成したら、提出前の最終確認としてAIチェッカーの活用を推奨します。
AIチェッカーは、自分では見落としがちな誤字脱字や、「ら抜き言葉」のような文法的な誤りを、客観的かつ迅速に検出してくれます。
コクヨのような人気企業の選考では、エントリーシートの細かなミスが「準備不足」や「志望度の低さ」と受け取られかねません。
こうした基礎的な失点を防ぐ上で、AIの校正機能は非常に有効です。
ただし、AIはあくまで文章の体裁を整える補助ツールに過ぎません。
「なぜコクヨの理念に共感するのか」という論理の深さや、自身の経験と「働く・学ぶの未来」をどう結びつけるかという着眼点の妥当性、そして何よりあなたの熱意は、AIには判断できません。
AIによるチェック後、必ず自分の目で「『be Unique.』を体現する人材だと伝わるか」「消費者目線で終わっていないか」を厳しく再読することが、質の高い志望動機を完成させる鍵となります。
【コクヨの志望動機】コクヨを知ろう
コクヨの志望動機を作成する上で、まず「コクヨとは何をしている会社か」という全体像を正確に掴む必要があります。
多くの就活生は「Campusノート」に代表されるステーショナリー(文具)のイメージが強いかもしれませんが、それはコクヨの一側面に過ぎません。
現在のコクヨの収益の柱は、オフィス家具の製造・販売から、クライアント企業の働き方をデザインし、オフィス空間全体を構築・提案する「ワークプレイス事業」(BtoB)です。
つまりコクヨは、「学ぶ環境」(BtoCの文具)と「働く環境」(BtoBのオフィス空間)という、人々の知的生産活動に不可欠な二大領域において、製品(モノ)とサービス(コト)の両面から価値を提供し、社会の未来を創造しようとしている企業なのです。
この「文具」と「オフィス」の両輪を理解することが、企業研究の第一歩となります。
コクヨの事業内容
コクヨの事業内容は、大きく二つのセグメントに分かれています。
就活生が必ず理解すべきは、その収益構造です。
一つ目は「ワークプレイス事業」であり、これがコクヨの売上の大半を占める主力事業です。
具体的には、オフィスデスクやチェアといった家具の製造・販売に留まらず、クライアント企業の経営課題や目指す働き方をヒアリングし、最適なオフィス空間の設計、内装工事、移転、運用までをワンストップで手掛けます。
近年は、コロナ禍を経て多様化する働き方に合わせ、オフィスと自宅、サテライトオフィスなどをシームレスに繋ぐソリューション提案にも注力しています。
二つ目は「ステーショナリー事業」です。
こちらは「Campusノート」や「ドットライナー」など、個人向けの文具や事務用品の製造・販売です。
高いブランド力と安定した収益基盤を持つ一方で、デジタル化の進展に対応し、学習や仕事の効率を高める高付加価値製品の開発にシフトしています。
コクヨは、これら二つの事業のシナジーを追求するビジネスモデルを採っています。
コクヨの業績
企業の将来性や安定性を判断するために、業績の把握は不可欠です。
コクヨの業績は、二つの事業が相互に補完し合い、安定した経営基盤を築いています。
「ステーショナリー事業」が景気の変動を受けにくい安定収益源であるのに対し、「ワークプレイス事業」は企業の設備投資動向に左右されますが、現在の大きな収益柱となっています。
近年は、コロナ禍後のオフィス回帰や、働き方の多様化(ハイブリッドワークなど)に対応するための「オフィスの高機能化・再構築」需要が非常に旺盛であり、ワークプレイス事業が業績を力強く牽引しています。
また、コクヨは中期経営計画において、「『働く』と『学ぶ』の未来をみつける。
」というパーパスを掲げ、既存事業の進化と新規領域の探索を両輪で進めています。
特に、成長ドライバーとして「アジア市場」での事業拡大を明確に位置づけており、国内の安定基盤と海外の成長性を兼ね備えている点が、就活生が注目すべきポイントです。
コクヨの企業理念
コクヨが大切にしている価値観は、企業理念である「be Unique.」という言葉に集約されています。
これは、単に「個性的であれ」という意味だけではありません。
「世の中の役に立つ『個』を伸ばし、活かすことで、新たな価値を創造し、社会に貢献し続ける」という強い意志が込められています。
つまり、社員一人ひとりが自らの個性を発揮し、主体的に挑戦することを奨励する企業文化を示しています。
さらに、パーパスとして「『働く』と『学ぶ』の未来をみつける。
/ Find your own tomorrow.」を掲げています。
これは、コクヨが単なるモノづくり企業ではなく、人々の創造性を刺激し、未来の社会における新しい働き方や学び方を提案・実装していく「価値創造企業」であることを宣言するものです。
志望動機にこの理念を活かすには、「理念に共感した」と述べるだけでなく、「私も、学生時代に○○という主体的な挑戦(=Uniqueな経験)を通じて課題を解決した。
貴社でこそ、その個性を活かして『働く・学ぶ』の未来創りに貢献できる」といった形で、自身の経験と理念を具体的に結びつけることが求められます。
【コクヨの志望動機】コクヨが志望動機で見ていること
コクヨのような人気企業の選考において、志望動機は極めて重要な評価項目です。
「コクヨの文具が好きだから」という理由は、応募者のほぼ全員が持っている前提であり、それだけでは評価の対象にすらなりません。
採用担当者が見ているのは、その「好き」という感情の先にある、「なぜ数ある競合(オフィス家具メーカーや文具メーカー)ではなく、コクヨを選んだのか」という論理的な答えです。
具体的には、「文具」だけでなく「ワークプレイス事業」という中核を正確に理解しているか、そしてコクヨが掲げる「be Unique.」という企業理念に、志望者自身の価値観や経験がどれだけ深く共鳴しているか(適性)が問われます。
「働く」「学ぶ」という領域が大きく変化する中で、自らも主体的にその変化を楽しみ、未来を創造していける「将来性」を持っているかどうかが、厳しく見られています。
志望動機で特に重視されるポイント①:「なぜコクヨか」の明確さ(競合比較)
コクヨの選考で最も重視されるのは、「なぜイトーキやオカムラ、プラスではないのか」という問いに対する明確な答えです。
「オフィス空間のデザインがしたい」という動機は、他のオフィス家具メーカーでも実現可能です。
また、「文具で人々の生活を豊かにしたい」という動機は、パイロットや三菱鉛筆でも言えてしまいます。
ここで求められるのは、コクヨ独自の強みと自身の志向性を結びつけることです。
例えば、「『ワークプレイス事業』と『ステーショナリー事業』という、『働く』と『学ぶ』の両輪を持つ貴社だからこそ、シームレスな知的生産環境を提案できる」や、「『be Unique.』という理念のもと、個の創造性を最大限に引き出す空間づくりに挑戦したい」といった、コクヨでなければならない理由を論理的に構築する必要があります。
競合他社との戦略の違いを深く理解した上で、コクヨのどのような独自性に強く惹かれたのかを具体的に説明することが不可欠です。
志望動機で特に重視されるポイント②:「be Unique.」への共感と体現経験
コクヨは企業理念に「be Unique.」を掲げ、社員一人ひとりの「個性」と「主体的な挑戦」を尊重する企業文化を持っています。
そのため、志望動機においても、この価値観への深い共感が求められます。
単に「理念に共感しました」と述べるだけでは全く不十分であり、「あなた自身が『be Unique.』を体現した経験」を具体的に示す必要があります。
例えば、「学生時代に、前例のない課題に対して、自分なりの視点(=Uniqueな視点)で解決策を提案し、周囲を巻き込んで実行した経験」や、「所属するチームの中で、あえて異なる意見を述べ、議論を深めることで、より良い成果に貢献した経験」などです。
「個」を活かしてチームや社会に貢献したエピソードを通じて、自身がコクヨの企業文化にマッチし、入社後も主体的に価値創造できる人材であることを証明することが重要です。
志望動機で特に重視されるポイント③:「働く・学ぶ」への当事者意識と未来志向
コクヨの事業ドメインである「働く」と「学ぶ」は、コロナ禍やデジタル化の進展によって、今まさに歴史的な変革期を迎えています。
採用担当者は、志望者がこの激しい変化を「自分ごと」として捉え、その未来をどうデザインしていきたいかというビジョンを持っているかを重視しています。
「働き方改革に貢献したい」といった抽象的な言葉ではなく、例えば「自分自身がハイブリッドワークを経験し、○○という課題を感じた。
だからこそ貴社の空間提案力を活かして、未来のオフィスはこうあるべきだと考える」といった、自身の原体験に基づいた具体的な問題意識や提案が求められます。
消費者目線ではなく、コクヨというプラットフォームを使って、未来の「働く」「学ぶ」の新しいスタンダードを主体的に創り出したいという強い意志を示すことが、高く評価されるポイントとなります。
【コクヨの志望動機】コクヨの求める人物像
コクヨが求める人物像は、その企業理念「be Unique.」と、パーパス「『働く』と『学ぶ』の未来をみつける。
」に色濃く反映されています。
コクヨは、単に優秀な人材や、製品のファンを求めているのではありません。
変化の激しい時代の中で、既存の枠組みにとらわれず、自らの「個性」を強みとして発揮し、主体的に新しい価値を創造しようとする「挑戦者」を求めています。
同時に、その挑戦は独りよがりであってはならず、常にお客様や社会の課題に寄り添う「ユーザー視点」と、多様な仲間と協働して成果を出す「チームワーク」が土台となります。
志望動機や自己PRでは、自身の経験がこれらの要素(主体性、挑戦意欲、共感力、協働力)とどのように合致するかを、具体的なエピソードで裏付けることが選考突破の鍵となります。
求める人物像①:自らの個性を活かし、主体的に挑戦できる人
コクヨの根幹にあるのは「be Unique.」という理念です。
これは、社員一人ひとりが「自分らしさ」や「独自の視点」を大切にし、それを強みとして発揮することを奨励する文化の表れです。
コクヨが求めるのは、指示されたことを正確にこなす人材ではなく、常に「本当にこのままで良いのか」「もっとこうすれば価値が上がるのではないか」と自ら課題を発見し、主体的に行動を起こせる人材です。
なぜなら、「働く」「学ぶ」の未来というまだ誰も見たことのない答えを創り出すには、前例のないことにも果敢に挑戦するエネルギーが不可欠だからです。
学生時代に、周囲と違う視点を持って新しい提案をしたり、困難な目標に自ら手を挙げて挑戦したりした経験は、この資質をアピールする上で非常に有効です。
求める人物像②:ユーザー(生活者)視点で物事を考え抜ける人
コクヨが提供する価値は、文具であれオフィス空間であれ、常にそれを使う「人」が中心にあります。
そのため、社員には「お客様は何に困っているのか」「どうすればもっと創造的になれるか」「本当に使いやすいか」を、徹底的にユーザーの視点に立って考え抜く姿勢が求められます。
これは、単なる「顧客志向」を超え、ユーザー自身もまだ気づいていない潜在的なニーズを掘り起こし、期待を超える価値を提供するという「共感力」と「洞察力」です。
日頃から周囲の人の言動や社会の変化にアンテナを張り、「なぜ」を繰り返して物事の本質を探究する癖がついている人は、コクヨのモノづくりやコトづくり(空間提案)において高く評価されます。
求める人物像③:論理的思考に基づき、周囲を巻き込める人
コクヨの仕事は、その多くがチームで行われます。
「be Unique.」な個性が集まるからこそ、その個性を束ね、一つの大きな成果に繋げるプロセスが重要になります。
デザイナー、エンジニア、営業、マーケティングなど、異なる専門性を持つメンバーと協働する上で不可欠なのが、論理的思考力とコミュニケーション能力です。
なぜこのデザインが必要なのか、なぜこの戦略が最適なのかを、感覚論ではなく、客観的なデータや根拠に基づいて説明し、周囲を「説得」し「納得」させ、巻き込んでいく力が求められます。
個性を発揮しつつも、独りよがりにならず、チーム全体のパフォーマンスを最大化するために行動できるバランス感覚が重要視されます。
求める人物像④:変化を楽しみ、学び続けられる人
「働く」と「学ぶ」の環境は、デジタル化や社会情勢の変化によって、今後も予測不可能なスピードで変わり続けます。
コクヨは、この「変化」を脅威ではなく「チャンス」と捉え、自らがその変化を先導しようとしています。
そのため、社員にも現状維持に満足せず、常に新しい知識やスキルを貪欲に吸収し、自らも変化し続ける「学習意欲」が求められます。
過去の成功体験にとらわれず、新しいトレンドやテクノロジーに好奇心を持ち、それを自らの仕事に取り入れようとする柔軟な姿勢が不可欠です。
学生時代に、自分の専門外の分野にも積極的に挑戦し、学んだ経験は、この「変化対応力」のアピールに繋がります。
【コクヨの志望動機】コクヨの志望動機に入れ込むべきポイント3選
コクヨの高い選考倍率を突破し、採用担当者の印象に残る志望動機を作成するには、戦略的にアピールポイントを絞り込む必要があります。
「文具が好き」「空間づくりに興味がある」といった漠然とした動機では、数多の応募者に埋もれてしまいます。
あなたの志望動機に「コクヨでなければならない必然性」と「入社後の活躍イメージ」を具体的に持たせるため、特に重要な3つの視点を解説します。
これらのポイントを意識的に組み込み、「消費者目線」から脱却した、論理的な志望動機を構築してください。
入れ組むべきポイント①:「文具(BtoC)」から「オフィス(BtoB)」への視点
多くの就活生が「Campusノート」などの文具(BtoC)のイメージでコクヨを志望しますが、これは大きな落とし穴です。
コクヨの収益の柱は、あくまで「ワークプレイス事業」(BtoB)です。
志望動機でライバルと差をつけるためには、このBtoB事業、すなわち「企業の働き方をデザインする」ことへの深い理解と関心を示すことが不可欠です。
もちろん文具事業への言及も有効ですが、それは「学ぶ環境」の視点としてです。
「個人の学び」を支える知見を、「組織の働き方」の課題解決にどう活かせるか、といった「文具」と「オフィス」を繋ぐ視点を示すことが重要です。
「働く」という領域の課題解決に、自身の経験や強みをどう活かしたいかを具体的に語ることで、企業研究の深さを示せます。
入れ組むべきポイント②:「be Unique.」と自身の「挑戦経験」の接続
コクヨは企業理念に「be Unique.」を掲げています。
これを単なるスローガンとしてではなく、あなた自身の行動原理と一致していることを証明する必要があります。
志望動機において、「理念に共感した」と述べるだけでなく、それを裏付ける「あなた自身のUniqueな経験」を具体的に盛り込みましょう。
例えば、「前例のない企画に挑戦し、周囲の反対を説得して実行した経験」や、「チームの中であえて異なる視点を提示し、議論を活性化させた経験」などです。
「個」の力を発揮して、周囲や組織に良い影響を与えたエピソードを語ることで、あなたがコクヨの企業文化にマッチし、入社後も主体的に価値創造できる人材であることを強く印象づけられます。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
志望動機の説得力を決定づける上で最も重要なのが、「なぜイトーキやオカムラ、プラスではないのか」という競合比較の視点です。
この比較を志望動機に盛り込む最大のメリットは、あなたの企業研究の深さと、志望の本気度を採用担当者に客観的に証明できる点です。
採用担当者は、「数ある企業を徹底的に比較検討した上で、自社のこの点に強く惹かれて選んでくれた」と感じ、その学生を高く評価します。
例えば、「他社が『高機能な家具(モノ)』に強みを持つ中で、貴社は『文具(BtoC)』と『オフィス(BtoB)』の両輪を持ち、働く・学ぶ『体験全体(コト)』をデザインできる点に唯一無二の魅力を感じる」といった、明確な比較に基づいた志望理由は、抽象的な憧れとは一線を画し、あなたが論理的な思考力を持っていることの強力なアピールにも繋がります。
【コクヨの志望動機】競合他社との比較しよう
コクヨへの志望動機を強固にする上で、競合他社との比較分析は避けて通れません。
「ワークプレイス事業」と「ステーショナリー事業」の両方を手掛けるコクヨですが、それぞれの領域に強力なライバルが存在します。
競合比較を行う目的は、これらの違いを明確にし、その上で「コクヨのどのような独自性」(例:事業ポートフォリオ、ブランド戦略、理念)に自分が強く惹かれているのかを特定し、言語化することです。
この分析を通じて、「コクヨでなければならない理由」をより深く、具体的に構築するための土台としてください。
競合A(株式会社オカムラ)との違い
オカムラは、コクヨと並ぶオフィス家具業界の最大手の一角です。
特に、高機能オフィスチェア(「コンテッサ」や「シルフィー」など)に代表される、高い技術力と優れたデザイン性を誇る「プロダクト(製品)」に圧倒的な強みを持っています。
オフィス空間全体の構築も手掛けますが、その核には「人間工学に基づいた高品質な家具」が存在します。
一方、コクヨも高品質な家具を製造しますが、強みは「文具」から「空間」まで、働く・学ぶ「体験全体」をシームレスに提案できる総合力にあります。
プロダクトの技術力・デザイン性を追求するオカムラか、体験全体のデザインを追求するコクヨか、という戦略の違いを比較すべきです。
競合B(株式会社イトーキ)との違い
イトーキもオフィス家具・空間構築の大手であり、コクヨの強力な競合です。
「明日の『働く』を、デザインする。
」というスローガンを掲げ、特に近年は「ABW(Activity Based Working)」という新しい働き方に合わせた空間ソリューションや、IT・DXを活用したワークプレイス提案に非常に積極的です。
コクヨと事業領域や戦略が似ている部分も多いですが、コクヨが「be Unique.」という「個の創造性」に焦点を当てるのに対し、イトーキはより「組織の生産性向上」や「効率的な働き方」といった側面での提案に強みを持つイメージもあります。
また、コクヨが持つ「文具」というBtoC事業は、イトーキにはない大きな違いです。
競合C(プラス株式会社)との違い
プラスは、コクヨと最も事業構造が似ている競合と言えます。
コクヨ同様、「ステーショナリー(文具)」部門と、「ファニチャー(オフィス家具)」部門の両方を手掛けているのが最大の特徴です。
文具では「PLUS」ブランド、オフィス家具では「Garage(ガラージ)」といった個人向け・SOHO向けブランドにも強みを持ちます。
コクヨとの違いは、それぞれの事業の規模感やブランドイメージ、得意とする製品カテゴリー(例:プラスはファイル類やカッター、コクヨはノートや糊など)にあります。
就活生は、両事業を持つ企業として比較した上で、コクヨが持つ「Campus」ブランドの圧倒的な知名度や、「空間提案」におけるソリューションの幅広さといった点に着目すると、違いを明確にしやすいです。
競合D(パイロットコーポレーション・三菱鉛筆)との違い
これらの企業は、「ステーショナリー事業」における競合です。
パイロット(「フリクション」など)や三菱鉛筆(「ジェットストリーム」など)は、「筆記具」というカテゴリーにおいて、圧倒的な技術力とブランド力を持つ「専業メーカー」です。
彼らの戦略は、特定の分野での深い専門性を追求することにあります。
一方、コクヨの文具事業は、「紙製品(ノート、帳票)」や「ファイリング用品」、「糊・ハサミ」などに強みを持ちます。
そして最大の違いは、コクヨは「文具」を単体で売るだけでなく、「ワークプレイス事業」と連携させ、「働く」「学ぶ」というシーン全体をデザインするパーツとして位置づけている点です。
この事業の多角性が、文具専業メーカーとの決定的な差となります。
【コクヨの志望動機】コクヨのES通過者の志望動機の共通点
コクヨのような人気企業のESを通過する志望動機には、いくつかの明確な共通傾向が存在します。
第一に、「文具が好き」という消費者目線で終わっていない点です。
「Campusノート」への愛着から入るとしても、それを「なぜ売れ続けているのか」と分析し、最終的にはコクヨの収益の柱である「ワークプレイス事業」への理解と貢献意欲に結びつけています。
第二に、企業理念である「be Unique.」を表面的な言葉としてではなく、自身の「主体的な挑戦」や「個性的な視点」を示した具体的なエピソードと深くリンクさせ、自身がコクヨの社風にマッチすることを証明できています。
最後に、オカムラやイトーキといった競合他社との違いを明確に意識し、「文具とオフィスの両輪を持つコクヨだからこそ、未来の『働く・学ぶ』をデザインしたい」という、ロジカルで説得力のある志望理由を構築できています。
【コクヨの志望動機】コクヨの志望動機を作成する際の4つの注意点
コクヨへの熱意が強いあまり、志望動機が「消費者目線」や「憧れ」で終わってしまうケースは非常に多く見られます。
人気企業だからこそ、他の就活生と似通った「ありがちな志望動機」は、採用担当者の心に響きません。
ここでは、コクヨの志望動機作成において、特に避けるべき4つの典型的な失敗パターンを解説します。
これらの「落とし穴」を事前に把握し、「ファン」から「ビジネスパートナー」への視点転換を意識した、説得力のある志望動機を完成させてください。
注意点①:「文具が好き」だけで終わってしまう
最も多いNGパターンが、「貴社のCampusノートを学生時代から愛用しており、そのデザインや機能性に惹かれました」といった、製品愛だけで終始する志望動機です。
採用担当者が知りたいのは、あなたの感想ではなく、「ビジネスとしてコクヨにどう貢献できるか」です。
なぜなら、コクヨの売上の大半は「ワークプレイス事業(BtoB)」であり、文具事業(BtoC)はその一部に過ぎないからです。
「好き」という感情を否定する必要はありませんが、それを「なぜ愛され続けているのか」という分析や、「このブランド力を活かして、次は『働く環境』でどう価値を生み出したいか」という、ビジネス視点での貢献意欲に転換する必要があります。
注意点②:「働く・学ぶ」への想いが抽象的
「働き方改革に貢献したい」「未来の学びの場を創りたい」といったフレーズは、それ自体は正しいものの、あまりにも抽象的です。
コロナ禍を経て、「働く」「学ぶ」のあり方は劇的に変化しました。
採用担当者は、あなたがこの変化をどう捉え、その中でコクヨが果たすべき役割について、どれだけ「自分ごと」として具体的に考えているかを知りたがっています。
例えば、「自分自身がオンライン授業で感じた課題」や「ハイブリッドワークの難しさ」といった原体験に基づき、「だからこそ、コクヨの○○という強みを活かして、具体的に○○な空間(製品)が必要だと考える」という、解像度の高いビジョンを示す必要があります。
注意点③:競合他社(特にオフィス家具)との違いが不明確
「オフィス空間のデザインを通じて、人々の創造性を高めたい」という志望動機は、オカムラやイトーキ、プラスといった他のオフィス家具メーカーにもそのまま当てはまってしまいます。
これでは、採用担当者に「うちでなくても良いのでは?」という疑念を抱かせます。
志望動機の質を落とす大きな要因は、この競合比較の視点が欠如していることです。
コクヨならではの強み、例えば「『文具』と『オフィス』の両輪を持つ総合力」「『be Unique.』という理念に基づいた空間提案」「『Campus』というBtoCブランドの知見」などに着目し、「他社ではなく、コクヨだからこそ」自分のやりたいことが実現できる、という論理を明確に構築してください。
注意点④:「be Unique.」の理念を誤解している
「be Unique.(個性的であれ)」という理念を、「奇抜なアイデアを出すこと」や「協調性なく自分の意見だけを主張すること」と誤解している志望動機も注意が必要です。
コクヨが求める「Unique」とは、あくまで「世の中の役に立つ」という前提があります。
それは、顧客の課題解決や新しい価値創造に繋がる「主体性」や「独自の視点」を意味します。
また、コクヨの仕事はチームで行われます。
「個」を活かしつつも、いかに「チーム」として多様なメンバーと協働し、成果に繋げていくか、という視点が不可欠です。
自身の「Unique」な経験を語る際も、それがどのように周囲や組織にポジティブな影響を与えたのか、という文脈で説明することが重要です。
【コクヨの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
コクヨのような人気企業の内定獲得を本気で目指すなら、インターンシップへの参加は極めて有効な戦略です。
インターン参加者には、本選KOの早期選考ルートへの案内や、エントリーシート(ES)や一次面接といった一部選考プロセスの免除など、具体的な優遇措置が講じられる可能性が非常に高いです。
しかし、それ以上に得られる最大のメリットは、コクヨのビジネスの「リアル」を体感できることです。
特に、収益の柱である「ワークプレイス事業」が、いかにしてクライアントの課題を抽出し、空間としてデザインしていくのか、そのプロセスを肌で感じることができます。
「文具」と「オフィス」がどう連携しているのか、「be Unique.」という理念が現場でどう実践されているのか。
この「一次情報」に基づいて構築された志望動機は、他の就活生には書けない圧倒的な具体性と熱意を帯び、説得力が飛躍的に高まります。
【コクヨの志望動機】コクヨの志望動機例文
コクヨの選考を突破するためには、あなた自身の経験や価値観に基づいたオリジナルの志望動機が不可欠です。
ここでは、異なる5つのアプローチ(ワークプレイス視点、「be Unique.」共感、専門性、未来ビジョン、競合比較)から作成した志望動機の例文を紹介します。
これらはあくまで「型」であり、丸暗記するためのものではありません。
あなたのアピールしたい軸を明確にし、それがコクヨの事業(働く・学ぶ)や企業理念(be Unique.)といかに深く結びつくかを論理的に再構築するための参考にしてください。
例文①(経験ベース:ワークプレイス視点)
私が貴社を志望する理由は、学生時代の長期インターンシップの経験から、ワーカーの創造性を引き出す「ワークプレイス」の重要性を痛感し、その設計に自ら携わりたいと強く願うからです。
私が参加したベンチャー企業では、フリーアドレス制を導入していたものの、結局は固定席化し、部署間のコミュニケーションが停滞するという課題がありました。
私はこの課題に対し、社員の行動分析とアンケートを基に、集中ブースと雑談エリアのゾーニング見直しを提案・実行し、コミュニケーションの活性化に貢献しました。
この経験から、単におしゃれな空間を作るのではなく、企業の課題とワーカーの行動に基づいた空間設計こそが重要だと学びました。
貴社が、「文具」で培った「個」の知見と、「オフィス」で培った「組織」の知見を融合させ、クライアントの潜在的な課題から空間をデザインする点に強い魅力を感じています。
私の強みである「観察力」と「課題解決力」を活かし、貴社で未来の「働く」をデザインしたいです。
例文②(価値観ベース:「be Unique.」共感)
貴社の「be Unique.」という企業理念に深く共感し、志望いたしました。
私は、この理念を「自らの個性を強みとして、主体的に価値創造に挑戦すること」と解釈しています。
私は学生時代、所属するアカペラサークルで、前例のなかった「オリジナル曲のみ」のライブを企画しました。
当初は「誰も知らない曲では集客できない」と反対意見も多くありましたが、私は「自分たちにしかできない表現で勝負すべきだ」とメンバーを説得し、SNSでの発信方法や構成を徹底的に工夫しました。
結果として、ライブは満席となり、「個性を貫くこと」がチームの新たな強みとなることを証明できました。
貴社が、単なるモノづくりに留まらず、社員一人ひとりの「Unique」な視点を尊重し、「働く」「学ぶ」の未来という答えのない問いに挑戦し続ける姿勢は、まさに私が理想とする働き方です。
貴社で私の「挑戦する個性」を発揮し、世の中に新たな価値を問いかける仕事に貢献したいです。
例文③(スキルベース:デザイン・建築系)
私は大学で建築デザインを専攻しており、そこで学んだ「人の行動を誘発する空間設計」の知見を、貴社のワークプレイス事業で活かしたいと考え、志望いたしました。
私の研究テーマは、空間の「余白」や「動線」が、人々の偶発的なコミュニケーションにどう影響するかです。
単に美しい空間(モノ)を作るだけでなく、そこで人々がどう活動し、どう感じるか(コト)をデザインすることに強い関心があります。
貴社が、オフィス家具の提供に留まらず、クライアントの働き方そのものをコンサルティングし、ワーカーの創造性を最大化する「体験」をデザインしている点に、他のオフィス家具メーカーにはない強い魅力を感じています。
私の専門性である「空間が人に与える影響」への知見を活かし、貴社で「be Unique.」な働き方を実現する、機能的かつ創造的なオフィス空間の創出に貢献したいです。
例文④(将来ビジョンベース:「学び」の未来)
私は、塾講師のアルバイト経験から「学び」の環境が持つ力に魅了され、未来の教育空間をデザインしたいという強いビジョンを持っています。
私が勤務する塾では、コロナ禍を経てオンラインと対面のハイブリッド型指導が定着しましたが、生徒の集中力維持や「アナログで書く」ことの重要性など、新たな課題も浮き彫りになりました。
貴社が、「Campusノート」という「学ぶ」のスタンダードを支え続けてきた知見と、「ワークプレイス」で培った最先端の空間構築ノウハウの両方を持っている点に、唯一無二の可能性を感じています。
デジタルとアナログが融合する未来の「学びの場」において、貴社であれば、生徒の主体性を引き出す文具(モノ)と、集中と交流を両立させる空間(コト)をシームレスに提案できると確信しています。
貴社で、私の現場での課題意識を活かし、次世代の「学ぶ」の未来を創造したいです。
例文⑤(別角度のアプローチ:競合比較)
数あるメーカーの中で私が貴社を強く志望する理由は、その独自の事業ポートフォリオにあります。
オフィス家具業界において、オカムラ様やイトーキ様が「高機能なプロダクト(モノ)」に強みを持つ一方、貴社は「『働く』と『学ぶ』」という、人の知的生産活動の根幹を事業ドメインとしている点に大きな違いを感じます。
特に、ステーショナリー事業で培った「個」のユーザー(BtoC)への深い理解と、ワークプレイス事業で培った「組織」(BtoB)へのソリューション力、この両輪を持つ企業は他にありません。
私は、これからの「働く」「学ぶ」の未来をデザインするには、この「個」と「組織」の両面からのアプローチが不可欠だと考えます。
貴社でこそ、この唯一無二の「総合力」を武器に、競合他社には真似できない、本質的な価値提案に挑戦できると信じています。
【コクヨの志望動機】よくある質問
ここでは、コクヨの選考を目指す就活生の皆さんから多く寄せられる、典型的な質問とその回答をまとめます。
「文具」と「オフィス」という二つの顔を持つコクヨならではの疑問や不安を解消し、自信を持って選考に臨むための一助としてください。
ただし、採用方針や制度は年度によって変更される可能性があります。
最終的な確認は、必ずコクヨの公式採用情報で行うようにしてください。
質問①:「文具」と「オフィス」、どちらの事業に関心があるべきですか?
結論から言うと、どちらか一方への強い関心でも問題ありませんが、両事業の関連性を理解していることが望ましいです。
コクヨの強みは、この二つの事業が「働く」「学ぶ」という共通のドメインで連携し、シナジーを生み出せる点にあります。
例えば、文具事業で得た「個人の使いやすさ」の知見が、オフィス家具の開発に活かされることもあります。
志望動機では、自分が特に関心のある事業(例:ワークプレイス事業)を軸にしつつも、もう一方の事業が会社全体の戦略の中でどういう意味を持つのかを理解していると示すと、企業研究の深さをアピールできます。
入社後の配属は希望通りになるとは限らないため、根底にある「働く・学ぶの未来を創る」というパーパスへの共感が最も重要です。
質問②:デザイン系学部でなくても、商品企画や空間デザイン職は可能ですか?
職種によります。
いわゆる「デザイナー職」として、製品の形状やグラフィックを専門に描くポジションは、美術系大学やデザイン系の専門スキルを持つ学生が対象となる場合が多いです。
しかし、総合職(ビジネス職)として採用された場合、商品企画(マーケティング)や、空間デザインのプロジェクトマネジメント・営業(ワークプレイス事業)といった形で、間接的に企画やデザインに関わるチャンスは十分にあります。
大切なのは、「自分はデザイナーではないから」と諦めるのではなく、総合職として「どのように『be Unique.』な価値を企画・提案したいか」を具体的に語ることです。
募集要項をよく確認し、自分がどのフィールドで強みを発揮したいかを明確にしましょう。
質問③:「be Unique.」が求められますが、社風は体育会系ですか?
「be Unique.」は「個性の尊重」であり、一般的にイメージされる「体育会系」の上下関係や画一的な行動を求めるものとは異なります。
むしろ、多様な価値観を持つ社員が、自らの考えを論理的に主張し、議論することを奨励する、風通しの良い企業文化を目指しています。
ただし、勘違いしてはならないのは、コクヨはメーカーであり、「モノづくり・コトづくり」への情熱や、目標達成へのコミットメント(やりきる力)は非常に強く求められるという点です。
その意味での「熱量」や「主体性」は、体育会で培われる強みと共通する部分もあるため、体育会出身者も多く活躍していますが、それが必須条件では決してありません。
質問④:転勤や異動(ジョブローテーション)はありますか?
総合職として採用された場合、ジョブローテーションは積極的に行われます。
コクヨでは、社員が多様な経験を積むことで視野を広げ、キャリアを自律的に築いていくことを推奨しています。
例えば、営業を経験した後にマーケティングや商品企画部門へ異動したり、ステーショナリー事業とワークプレイス事業を両方経験したり、といったキャリアパスが考えられます。
勤務地についても、国内の主要拠点(特に東京・大阪)間での異動や、担当クライアントによっては全国への出張があります。
また、将来的には海外(特にアジア)へ赴任するチャンスも増えています。
様々な環境で新しい挑戦をしたいという柔軟な姿勢が求められます。
まとめ
コクヨの志望動機で選考を突破するためには、「Campusノートが好き」という消費者目線から脱却し、同社の収益の柱である「ワークプレイス事業」への深い理解を示すことが不可欠です。
「なぜオカムラやイトーキではないのか」。
その答えは、コクヨが持つ「文具」と「オフィス」の両輪、そして「be Unique.」という理念に、あなたの具体的な経験と「働く・学ぶの未来」へのビジョンを、どれだけ論理的に結びつけられるかにかかっています。
本記事で得た知識を土台に、あなた自身の言葉で、コクヨの未来を共に創りたいという熱意を伝えてください。