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はじめに
モルガン・スタンレーは、世界有数の金融サービス企業であり、その卓越したブランド力と専門性から、就活生にとって最難関企業の一つとして知られています。
世界中の資本市場を動かすダイナミックな環境で、最高水準のパフォーマンスが求められる職場です。
この最難関の選考を突破するためには、「なぜ他の投資銀行ではなく、モルガン・スタンレーなのか」という問いに対し、極めて論理的かつ具体的に回答する志望動機が不可欠です。
この記事では、同社の事業戦略や企業文化を徹底的に解剖し、選考突破に必要な実践的知識を網羅的に解説します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機の草案が完成したら、提出前の最終確認としてAIチェッカーの活用を推奨します。
特にモルガン・スタンレーのような外資系投資銀行の選考では、細部への注意力(Attention to detail)が厳しく見られます。
エントリーシートにおける誤字脱字や文法的な誤りは、「準備不足」「注意力の欠如」と見なされ、それだけで致命的な減点対象となり得ます。
AIチェッカーは、こうした基礎的なミスを客観的かつ迅速に検出し、文章の品質を担保する上で非常に有効です。
ただし、AIはあくまで文章の体裁を整える補助ツールに過ぎません。
「なぜモルガン・スタンレーなのか」という論理の深さ、「誠実さ」という企業文化へのフィット感、そして何よりその仕事への熱意は、AIでは判断できません。
AIによる校正後、必ず自分の目で、志望動機の中核となる「あなたの考え」が論理的に伝わるか、厳しい視点で読み返すことが最も重要です。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーを知ろう
モルガン・スタンレーの志望動機を作成する上で、全ての土台となるのが「モルガン・スタンレーとは何をしている会社か」という正確な企業理解です。
同社は、ニューヨークに本拠を置く、世界をリードする金融サービス企業であり、投資銀行業務、証券業務、ウェルス・マネジメント(富裕層向け資産管理)、インベストメント・マネジメント(資産運用)など、多岐にわたる金融サービスをグローバルに提供しています。
日本では、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社(三菱UFJフィナンシャル・グループとの合弁事業)などを通じて、国内外の企業、政府機関、機関投資家、個人に対し、最高水準の金融ソリューションを提供しています。
同社の特徴は、卓越したアイデアや金融技術を追求するだけでなく、「Doing the Right Thing(誠実さ)」や「Putting Clients First(クライアント・ファースト)」といった揺るぎないコア・バリュー(企業理念)を経営の根幹に据えている点です。
志望動機では、この「卓越性」と「誠実さ」の両面を理解していることを示す必要があります。
モルガン・スタンレーの事業内容
モルガン・スタンレーの事業内容を理解する上で、主に3つのセグメントを押さえることが重要です。
第一の柱は「インスティテューショナル・セキュリティーズ(機関投資家向け証券)」部門です。
これは、いわゆる伝統的な投資銀行業務であり、企業のM&Aアドバイザリーや資金調達(株式・債券発行)、セールス&トレーディング(金融商品の売買・仲介)などが含まれます。
グローバルな資本市場の最前線であり、同社の卓越性を示す中核事業です。
第二の柱、そして近年最も戦略的に強化されているのが「ウェルス・マネジメント(富裕層向け資産管理)」部門です。
これは、個人富裕層やファミリーオフィスに対し、長期的な資産運用・管理のコンサルティングを提供するビジネスです。
第三の柱が「インベストメント・マネジメント(資産運用)」部門で、年金基金や政府系ファンドといった機関投資家、および個人投資家から資金を預かり、運用するアセット・マネジメント事業です。
就活生が理解すべきは、不安定な市場動向に左右されやすい投資銀行業務に加え、「ウェルス・マネジメント」や「資産運用」といった安定的な手数料収入を生み出す事業を意図的に拡大することで、経営基盤の安定化を図るビジネスモデルへと進化している点です。
モルガン・スタンレーの業績
企業の将来性や安定性を判断するために、業績の把握は不可欠です。
モルガン・スタンレーの近年の業績は、リーマンショック以降の戦略的転換が功を奏し、高い収益性を維持しています。
その最大の要因は、前述の「事業内容」で触れたビジネスモデルの変革にあります。
かつては市場の変動(ボラティリティ)に業績が左右されやすいセールス&トレーディング部門への依存度が比較的高かった時期もありますが、近年は意識的にそのリスクを低減させてきました。
その代わりに、「ウェルス・マネジメント」部門と「インベストメント・マネジメント」部門の強化に注力しました。
これらの事業は、顧客から預かる資産残高(AUM)に応じた手数料を収益源とするため、市場の短期的な変動の影響を受けにくく、安定的かつ予測可能な収益(ストック型収益)をもたらします。
中期的な経営戦略においても、この「安定収益基盤の拡大」は最重要課題の一つであり、買収(ETRADEやEaton Vanceの買収など)も積極的に活用しながら、「卓越した投資銀行」と「世界最大級の資産管理会社」という二つの顔を併せ持つ企業へと進化を続けています。
モルガン・スタンレーの企業理念
モルガン・スタンレーが何よりも大切にしている価値観は、グローバルで共有される4つの「コア・バリュー」です。
それは「Putting Clients First(クライアント・ファースト)」「Doing the Right Thing(誠実さ)」「Leading with Exceptional Ideas(卓越したアイデアで主導する)」「Giving Back(社会への貢献)」です。
特に、金融という「信頼」が全てのビジネスにおいて、「Doing the Right Thing(誠実さ)」は、たとえ短期的な利益を失うことになっても、常に正しい行いを優先するという、同社の根幹をなす揺るぎない信念です。
また、最高水準のサービスを提供するための「卓越性」や、地域社会への「貢献」も重視されています。
志望動機にこの理念を活かすには、「理念に共感した」と抽象的に述べるだけでは全く不十分です。
例えば、自身の経験(困難な状況でも正直に行動し、結果としてチームの信頼を得たエピソードなど)を具体的に挙げ、「貴社の『誠実さ』というバリューは、私の行動指針と強く一致する。
高い倫理観が求められる金融の世界でこそ、この強みを活かしてクライアントの信頼に応えたい」といった形で、自身の価値観と企業理念の一致を論理的に説明することが求められます。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーが志望動機で見ていること
モルガン・スタンレーのようなトップティアの投資銀行が志望動機を通じて確認したいのは、単なる入社意欲の高さだけではありません。
「なぜ数ある業界の中で金融なのか」「なぜ他の投資銀行(ゴールドマン・サックス、J.P.モルガンなど)ではなく、モルガン・スタンレーなのか」という問いに対する、極めて論理的で、非の打ち所のない答えです。
採用担当者が見ている評価軸は、第一に「卓越性(Excellence)」への飽くなき追求心と、それを裏付ける過去の「圧倒的な成果」です。
第二に、コア・バリューである「誠実さ(Doing the Right Thing)」を体現できる高い倫理観と人間的信頼性です。
そして第三に、投資銀行特有の激務や高いプレッシャーに耐えうる「圧倒的なタフネス(精神的・知的好奇心)」と「成長性」です。
熱意は大前提として、知性、誠実さ、タフネスの三拍子が揃った人材であるかを厳しく見極めています。
志望動機で特に重視されるポイント①:「なぜモルガン・スタンレーか」の明確な差別化
モルガン・スタンレーの選考で最も重視され、かつ最も難しいのが、「なぜ他の投資銀行(Bulge Bracket)ではないのか」という問いへの回答です。
「M&Aがやりたい」「グローバルな環境で働きたい」という動機は、ゴールドマン・サックス(GS)でもJ.P.モルガン(JPM)でも実現可能です。
ここで求められるのは、モルガン・スタンレー独自の強みや戦略、カルチャーへの深い理解です。
例えば、競合他社と比較した際の「ウェルス・マネジメント部門」への戦略的な注力と、それによる経営の安定性を評価する視点です。
あるいは、GSがトレーディングや自己勘定投資でアグレッシブなイメージを持たれやすいのに対し、MSは「クライアント・ファースト」や「誠実さ」をより強く打ち出す企業文化に惹かれた、といった具体的な比較軸が必要です。
特定のセクター(例:テクノロジーM&A)での卓越した実績や、説明会で感じた「社員の知的な誠実さ」など、あなた自身の言葉で「MSでなければならない理由」を論理的に構築することが不可欠です。
志望動機で特に重視されるポイント②:「卓越性(Excellence)」の証明
モルガン・スタンレーは「Leading with Exceptional Ideas(卓越したアイデアで主導する)」をコア・バリューに掲げる、プロフェッショナル集団です。
社員には常に最高水準のパフォーマンスが求められます。
そのため、採用担当者は、志望者が「卓越性」を追求できるポテンシャルを持っているかを厳しく見極めます。
志望動機や自己PRにおいて、「圧倒的な成果」を出した経験を具体的に示すことが極めて重要です。
「頑張った」というプロセスだけでは不十分であり、「その結果、どのようなインパクト(例:サークルの大会で全国優勝した、学業でGPAトップ1%に入った、ビジネスコンテストで優勝した)」を客観的な事実や数値で示せるかが問われます。
なぜその高い目標を設定したのか、達成のためにどのような論理的戦略を立て、いかに粘り強く実行したのか。
「卓越性」を追求する自身の価値観と、それを裏付ける実績を示すことが、同社のカルチャーフィットをアピールする鍵となります。
志望動機で特に重視されるポイント③:「誠実さ(Doing the Right Thing)」の体現
「卓越性」や「知性」のアピールに偏り、モルガン・スタンレーが最も重視するコア・バリューの一つである「誠実さ(Doing the Right Thing)」のアピールが疎かになるのは、非常に危険な「落とし穴」です。
金融は「信頼」で成り立つビジネスであり、莫大な金額を扱うプレッシャーの中で、常に法令やルールを遵守し、クライアントの最善の利益を追求できる高い倫理観が絶対条件です。
採用担当者は、候補者が「賢い」だけでなく、「信頼できる」人物かを見ています。
志望動機や面接において、「困難な状況でも正しいと信じる行動を取った経験」や「チーム内での信頼関係構築のために地道な努力をした経験」といったエピソードを準備することが重要です。
「誠実さ」という価値観への深い共感と、それを自身が体現してきた実績を示すことで、単にスキルが高いだけでなく、MSのカルチャーに真にフィットする人材であることを証明できます。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーの求める人物像
モルガン・スタンレーが求める人物像は、そのコア・バリュー(クライアント・ファースト、誠実さ、卓越したアイデア、社会貢献)を高いレベルで体現できるプロフェッショナルです。
同社は、少数精鋭の組織であり、入社直後から世界最高水準の環境で、強烈なプレッシャーと向き合いながら、圧倒的なスピードで成長し、成果を出すことが期待されます。
そのため、表面的なスキルや知識以上に、「知性(Intelligence)」、「誠実さ(Integrity)」、「タフネス(Resilience)」、そして「協働力(Teamwork)」といった、人間としての本質的な資質が厳しく問われます。
これらの要素は、同社の事業特性や組織風土と深く結びついており、志望動機では自身の経験がこれらとどう合致するかを具体的に示すことが求められます。
求める人物像①:卓越した知性と論理的思考力
モルガン・スタンレーが手掛けるM&Aアドバイザリーや市場分析は、極めて複雑な課題を解決する、知的な挑戦の連続です。
クライアント企業の経営層に対し、膨大な情報を分析し、最適な戦略を提案するためには、物事の本質を素早く見抜く「知性」と、非の打ち所のない「論理的思考力」が不可欠です。
「卓越したアイデアで主導する」というバリューの通り、常に知的好奇心を持ち、前例のない問題に対しても粘り強く思考を続け、最適な解を導き出そうとする姿勢が求められます。
学生時代の経験においても、学業や研究、インターンなどで、複雑な問題を論理的に分析し、説得力のある結論を導き出したエピソードは、この資質を証明する強力な材料となります。
求める人物像②:プレッシャー下でも「誠実さ」を貫ける高潔さ
投資銀行の仕事は、莫大な金額と企業の運命を左右する情報を扱います。
そのプレッシャーの中で、短期的な利益の誘惑に負けず、常に法令・規則を遵守し、クライアントの最善の利益のために行動するという「誠実さ(Doing the Right Thing)」は、モルガン・スタンレーが最も重視する資質です。
この「高潔さ(Integrity)」は、同僚や上司、そして何よりもクライアントからの「信頼」を勝ち得るための絶対条件です。
企業文化として、倫理的なジレンマに直面した際に、臆せず疑問を呈し、正しい行動を取ることが奨励されています。
学生時代の経験で、たとえ自分が不利になる可能性があっても、ルールや正義を貫いた経験は、この人物像に強く合致することをアピールできます。
求める人物像③:チーム志向で協働できる「チームプレイヤー」
外資系投資銀行というと「個」の力が強いイメージがあるかもしれませんが、モルガン・スタンレーは「One Firm」という意識のもと、「チームワーク」を非常に重視しています。
一つの大規模なM&Aディールを成功させるためには、投資銀行部門、市場部門、法務、コンプライアンス、さらには海外オフィスまで、多くの専門家が緊密に連携する必要があります。
個人の能力がいかに優れていても、情報を抱え込んだり、他者を尊重しなかったりする人材は評価されません。
自分の知識やスキルをチームに惜しみなく共有し、他者の成功を助け、チーム全体の成果を最大化しようとする「協働力」と「謙虚さ」を持った「チームプレイヤー」こそが求められます。
求める人物像④:圧倒的な「タフネス」と「学習意欲」
投資銀行の仕事、特にアナリスト(新卒)の時期は、知力・体力ともに極めてハードな「激務」であることは広く知られています。
タイトなデッドライン、深夜に及ぶ作業、クライアントからの厳しい要求といった高いプレッシャーの中で、常に冷静さを保ち、最高のパフォーマンスを発揮し続ける「精神的・肉体的なタフネス(Resilience)」が不可欠です。
また、金融市場、規制、テクノロジーは恐ろしいスピードで進化しています。
昨日の知識が今日通用しない世界で、常にアンテナを張り、新しい情報を貪欲に吸収し続ける「学習意欲」も同様に重要です。
この厳しさを「圧倒的な成長の機会」と前向きに捉えられる人材こそが、生き残るにふさわしいと判断されます。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーの志望動機に入れ込むべきポイント3選
モルガン・スタンレーという世界最高峰の金融機関の選考を突破するためには、他の就活生とは一線を画す、極めて戦略的な志望動機が不可欠です。
「金融業界に興味がある」といった漠然としたレベルでは、数多の優秀な応募者の中に埋もれてしまいます。
採用担当者に「この学生こそが、モルガン・スタンレーの未来を担うにふさわしい」と強く印象付けるために、戦略的に盛り込むべき3つの重要な視点を解説します。
これらのポイントを、あなた自身の具体的な経験と論理的に結びつけることが、内定への鍵となります。
入れ組むべきポイント①:「なぜ金融か」そして「なぜ投資銀行か」
志望動機の大前提として、「なぜ他の業界(コンサル、メーカー、ITなど)ではなく、金融業界なのか」、そして「なぜ金融の中でも、商業銀行や資産運用ではなく、投資銀行(IBDやマーケット)なのか」を明確に言語化する必要があります。
これは、あなたのキャリアに対する「本気度」と「思考の深さ」を示す第一関門です。
例えば、「企業の経営戦略に深く入り込み、M&Aや資金調達という最もクリティカルな局面で貢献したいから(=投資銀行)」や、「グローバルな資本市場のダイナミズムの中心で、最高水準の専門性を最速で身につけたいから(=投資銀行)」といった、投資銀行でなければならない理由を、自身の原体験や強い問題意識と結びつけて、論理的に説明することが求められます。
入れ組むべきポイント②:「なぜモルガン・スタンレーか」の具体性
ポイント①で「投資銀行」を選んだ理由を述べたら、次には「なぜ数ある投資銀行の中で、モルガン・スタンレーなのか」という核心的な問いに答えなければなりません。
ここで、競合他社(GS, JPMなど)との明確な比較が不可欠です。
例えば、モルガン・スタンレーが近年戦略的に強化している「ウェルス・マネジメント事業」による経営の安定性や、それがもたらす「クライアント・ファースト」の徹底した文化に魅力を感じる、という視点です。
あるいは、「Doing the Right Thing(誠実さ)」というコア・バリューに、自身の経験を照らして強く共感し、「卓越性」と「倫理観」を両立できる環境だと確信している、といった具体的なロジックを構築することが重要です。
この「MSならでは」の魅力と、自身の価値観・キャリアプランが完全に一致していることを証明してください。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
志望動機に競合他社との比較を盛り込む最大のメリットは、「あなたの企業研究の圧倒的な深さ」と「志望度の本気度」を採用担当者に客観的に証明できる点です。
外資系投資銀行の採用担当者は、「なぜ、うち(MS)なんだ?」という問いを常に持っています。
そこで、「GSはトレーディング、JPMは総合力に強みがあるが、私はMSの○○という戦略(あるいはカルチャー)に最も惹かれている」と、明確な比較軸を持って論理的に説明できる学生は、「この学生は、入社後もロジカルに物事を分析し、クライアントを説得できる人材だ」と高く評価されます。
表面的な憧れではなく、徹底的な分析に基づいた「選択」であることを示すことが、あなたの「知性」と「熱意」をアピールする最も効果的な手段となります。
【モルガン・スタンレーの志望動機】競合他社との比較しよう
モルガン・スタンレーへの志望動機を強固にする上で、競合他社(いわゆる「バルジ・ブラケット」と呼ばれる大手投資銀行)との比較分析は避けて通れません。
「投資銀行」と一口に言っても、ゴールドマン・サックス(GS)、J.P.モルガン(JPM)など、各社には明確な戦略の違い、強みとする事業領域、そして企業文化の違いが存在します。
この比較を通じて、モルガン・スタンレーが持つ独自のポジションや魅力を客観的に浮き彫りにし、「モルガン・スタンレーでなければならない理由」を論理的に構築することが目的です。
ここでは、代表的な競合他社との「比較の軸」を提示します。
競合A(ゴールドマン・サックス - GS)との違い
ゴールドマン・サックス(GS)は、モルガン・スタンレーの最大のライバルであり、常に比較対象となります。
伝統的に、GSはトレーディング(市場部門)や自己勘定投資(PI)といった「アグレッシブ」なリスクテイクを伴う事業に強みを持ち、「個」の能力を最大限に発揮するカルチャーが色濃いとされてきました。
一方、モルガン・スタンレーは、M&Aアドバイザリーなど伝統的な投資銀行業務での卓越性を誇るとともに、近年は「ウェルス・マネジメント」部門を戦略的に大きく強化し、より「安定的」な収益基盤の構築へとシフトしています。
「Doing the Right Thing(誠実さ)」や「チームワーク」を前面に打ち出すMSのカルチャーは、GSのイメージとは異なる側面を持ちます。
「攻めのGS」と「安定と卓越性を両立するMS」といった戦略の違いが、就活生にとっての大きな比較ポイントとなります。
競合B(J.P.モルガン - JPM)との違い
J.P.モルガン(JPM)は、世界最大級の金融コングロマリットであり、その最大の特徴は「ユニバーサル・バンク」である点です。
つまり、チェース銀行という巨大な商業銀行部門と、投資銀行部門が融合しており、法人融資からM&A、市場取引、資産管理、リテールバンキングまで、あらゆる金融サービスをワンストップで提供できる「総合力」と「巨大なバランスシート(自己資本)」が圧倒的な強みです。
一方、モルガン・スタンレーは、JPMほどの巨大な商業銀行部門は持たないものの、その分、投資銀行業務、ウェルス・マネジメント、インベストメント・マネジメントという「専門領域」において、極めて高いブランド力と卓越したノウハウを蓄積しています。
「総合力・規模のJPM」か、「専門性・ブランド力のMS」か、という軸で比較することが可能です。
競合C(BofA証券 - BofA)との違い
BofA証券(バンク・オブ・アメリカ)も、JPMと同様に、バンク・オブ・アメリカという米国有数の巨大な商業銀行をバックに持つ「ユニバーサル・バンク」です。
かつての有力な投資銀行であったメリルリンチを買収したことで、投資銀行部門も非常に強力なプレゼンスを持っています。
JPMとの比較と同様に、モルガン・スタンレーとの違いは、その「総合力」と「バランスシートの大きさ」にあります。
商業銀行の広範な顧客基盤を活かし、融資と投資銀行サービスを一体で提供できる点が強みです。
モルガン・スタンレーは、こうしたユニバーサル・バンクとは一線を画し、クライアントとの長期的な関係性や、ウェルス・マネジメントといった分野での専門性を追求する戦略を採っていると整理できます。
競合D(野村證券など日系大手)との違い
野村證券をはじめとする日系の大手証券会社(投資銀行)は、日本国内における圧倒的な顧客基盤(特にリテール網と国内法人カバレッジ)と、規制当局とのリレーションの深さが最大の強みです。
グローバル展開も積極的に進めていますが、モルガン・スタンレーのような生粋のグローバルファームと比較すると、クロスボーダーM&A(国境を越えたM&A)の実績や、グローバルな市場へのアクセス、プロダクトの多様性、そして「報酬体系」において違いがあります。
就活生は、「日本の基盤」を活かしてキャリアを築きたいのか、あるいは「真にグローバルなプラットフォーム」で、世界中のエリートと競争しながら最先端の金融に挑戦したいのか、というキャリア観に基づいて比較検討すべきです。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーのES通過者の志望動機の共通点
モルガン・スタンレーという最難関のESを通過する志望動機には、極めて明確な共通点が存在します。
第一に、「なぜ金融か、なぜ投資銀行か、なぜモルガン・スタンレーか」という問いに対し、競合他社(特にGSやJPM)との戦略・カルチャーの違いを踏まえ、非の打ち所のない完璧なロジックで回答できている点です。
第二に、モルガン・スタンレーが求める「卓越性(Excellence)」を、自身の「圧倒的な成果」(学業、スポーツ、インターンなど)によって具体的に証明し、入社後の活躍を強く予感させています。
最後に、単なる「優秀さ」だけでなく、コア・バリューである「Doing the Right Thing(誠実さ)」への深い共感を、自身の具体的なエピソードと結びつけて語ることで、カルチャーフィットの高さ(=知性と誠実さの両立)をアピールできていることが挙げられます。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーの志望動機を作成する際の4つの注意点
モルガン・スタンレーの選考は、世界中から集まる優秀な学生たちとの熾烈な競争です。
そのため、わずかな準備不足や論理の破綻、あるいは「熱意の空回り」は、即座に見抜かれ、致命的な結果に繋がります。
ここでは、多くの就活生が陥りがちな、志望動機作成における4つの「落とし穴」を具体的に解説します。
これらの失敗パターンを事前に認識し、「知性・タフネス・誠実さ」を兼ね備えた、隙のない志望動機を完成させてください。
注意点①:「なぜモルガン・スタンレーか」の欠如
最も多いNGパターンが、「投資銀行でM&Aがしたいから」「グローバルな環境で成長したいから」といった、他の投資銀行(GS, JPMなど)にも当てはまる理由だけで志望動機を構成してしまうことです。
採用担当者は「なぜうち(MS)でなければならないのか」という必然性を知りたがっています。
この問いに答えられない志望動機は、企業研究が浅いと判断され、即座に不合格となります。
MS独自の戦略(例:ウェルス・マネジメントの強化)や、コア・バリュー(例:Doing the Right Thing)に具体的に言及し、「MSでなければならない理由」を明確に打ち出すことが不可欠です。
注意点②:抽象的な「憧れ」や「イメージ」の先行
「ウォール街」「グローバルエリート」「かっこいい」といった、映画やドラマで描かれるような表面的なイメージや「憧れ」に基づいた志望動機は、最も評価されないパターンの一つです。
陥りがちなミスは、投資銀行の仕事の「厳しさ」や「泥臭さ」を理解していないと見なされることです。
実際の業務は、地道なデータ収集、膨大な資料(ピッチブック)作成、深夜に及ぶ分析作業の積み重ねです。
この「厳しさ」を理解した上で、それでも「なぜ挑戦したいのか」を、自身の具体的な経験やキャリアプランと結びつけて論理的に説明しなければ、熱意は空回りしてしまいます。
注意点③:「卓越性」アピールに偏り、「誠実さ」が欠ける
モルガン・スタンレーの選考では、自身の「優秀さ」や「卓越性」をアピールすることが重要です。
しかし、そのアピールに偏りすぎるあまり、もう一つの重要なコア・バリューである「Doing the Right Thing(誠実さ)」への言及が疎かになってしまうケースがあります。
金融ビジネスは「信頼」が全てであり、高い倫理観は知性以上に重要視される資質です。
「自分は優秀だ」というアピールが「傲慢さ」や「個人主義」と受け取られないよう、「誠実さ」や「チームワーク」を体現したエピソードもバランス良く盛り込み、信頼できる人物であることを示す必要があります。
注意点④:「教えてもらう」という受け身の姿勢
「世界最高峰の環境で成長したい」「優秀な社員の皆様から多くを学びたい」といった表現は、一見謙虚に見えますが、外資系投資銀行の選考においては「受け身(Taker)」の姿勢と見なされ、致命的なマイナス評価に繋がります。
企業は学校ではありません。
特にMSのような少数精鋭の組織が新卒に求めているのは、「成長させてもらう」人材ではなく、「自ら学び、盗み、最速で成長し、チームに貢献(Give)できる」人材です。
「私を採用すれば、即戦力として(あるいは早期に)これだけの貢献ができる」という、主体的な「Giver」としての視点を持っていることを明確にアピールしてください。
【モルガン・スタンレーの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
モルガン・スタンレーをはじめとする外資系投資銀行の就職活動において、インターンシップ(特にサマーインターン)への参加は、内定獲得のための「絶対条件」に近いほど極めて重要です。
その理由は、インターンが単なる「職業体験」ではなく、「実質的な本選考プロセス」そのものであるためです。
多くの部門では、インターン期間中のパフォーマンス(分析能力、タフネス、チームワーク、カルチャーフィット)が厳しく評価され、インターン参加者の中から大半の本選考内定者が決定されます。
「早期選考」というレベルではなく、内定への最短・最速、かつ最も確実なルートと言えます。
また、数週間(あるいは数日間)にわたり、現役バンカーと共に働くという高圧的な環境を経験することで、仕事のリアルな厳しさとやりがいを肌で感じることができ、志望動機の解像度(=「なぜMSか」の答え)が飛躍的に高まるという点も、計り知れないメリットです。
【モルガン・スタンレーの志望動機】モルガン・スタンレーの志望動機例文
ここでは、モルガン・スタンレーの選考を突破するために、異なる5つのアプローチから作成した志望動機の例文を紹介します。
重要なのは、これらの例文をそのまま使うことではなく、あなた自身の「卓越性」や「誠実さ」を示す具体的なエピソードを、モルガン・スタンレーのバリューや戦略と論理的に結びつけるための「型」として参考にすることです。
ESはもちろん、面接で「なぜあなたを採用すべきか」を語るための武器としてください。
例文①(経験ベース:卓越性・タフネス)
私が貴社を志望する理由は、自身の「卓越性を追求し、圧倒的な成果を出す」という信念が、貴社のカルチャーと最も強く合致すると確信しているからです。
私は大学の体育会〇〇部で、過去のデータ分析と練習効率の最大化に徹底的に取り組み、チームを全国大会出場に導きました。
具体的には、全試合の映像分析から相手の弱点を特定し、それに基づくロジカルな戦略をチームに提案・浸透させました。
このプロセスで培った、高いプレッシャー下でも論理的に思考し、目標達成までやり抜く「タフネス」は、投資銀行の業務、特にM&Aという企業の最重要局面を支える上で不可欠な資質だと考えます。
数ある投資銀行の中でも、「Leading with Exceptional Ideas」を掲げ、常に最高水準のソリューションを追求する貴社でこそ、私のこの強みを最大限に発揮し、クライアントの成功に貢献できると強く信じています。
例文②(価値観ベース:誠実さ・Doing the Right Thing)
私が貴社を強く志望するのは、その卓越した実績に加え、何よりも「Doing the Right Thing(誠実さ)」というコア・バリューを経営の根幹に据えている点に、深く共感するからです。
私は学生時代、ゼミの代表として論文集の編纂を担当しました。
その過程で、一部のメンバーによるデータ引用の不備(ルール違反)を発見しましたが、私は締切が迫る中でも妥協せず、彼らと粘り強く対話し、全データの再検証を行いました。
この行動は、短期的な効率は犠牲にしましたが、結果として論文集の品質と信頼性を担保し、チームからの長期的な信頼を得ることに繋がりました。
金融という「信頼」が全てのビジネスにおいて、貴社が貫く「高い倫理観」こそが、真のクライアント・ファーストを実現する基盤だと考えます。
貴社で、私の「誠実さ」を強みとし、信頼されるバンカーとしてクライアントと社会に貢献したいです。
例文③(スキルベース:金融工学・クオンツ)
(※マーケット部門やクオンツ職向け) 私は、大学院で培った金融工学とデータサイエンスの専門知識を、貴社のグローバルなプラットフォームで活かし、市場の非効率性を捉える最先端のトレーディング戦略開発に貢献したいと考え、志望いたしました。
研究では、機械学習を用いた高頻度データの分析を通じて、ボラティリティ予測モデルの精度向上に取り組んでいます。
貴社が、卓越したクオンツ(数理分析)チームと最先端のITインフラを有し、「Leading with Exceptional Ideas」を体現する革新的な金融商品の開発をリードし続けている点に、研究者として強い魅力を感じています。
数ある投資銀行の中でも、特に貴社のリスク管理の精緻さと、グローバルな市場部門との連携の強さに惹かれます。
私の数理的スキルと「知的好奇心」を活かし、貴社のマーケット部門の収益性向上に即戦力として貢献したいです。
例文④(将来ビジョンベース:M&A・日本企業支援)
私が貴社を志望する理由は、「日本企業のグローバル競争力強化」を、M&Aアドバイザリーという最もインパクトの大きい形で支援したいという強い想いがあるからです。
留学中に、日本製品の品質の高さを実感する一方で、多くの日本企業が海外市場での戦略的展開に苦戦している現状を目の当たりにし、この課題解決に貢献したいと考えるようになりました。
数ある投資銀行の中でも、貴社はクロスボーダーM&Aにおいて世界トップクラスの実績と、グローバルなネットワークを有しています。
また、三菱UFJフィナンシャル・グループとの強固な連携により、日本企業の特性やニーズを深く理解した上で、最適なソリューションを提供できる唯一無二のプラットフォームを持つと認識しています。
貴社で、私の「卓越性」への追求心と「タフネス」を武器に、日本企業の未来を創るディールに携わりたいです。
例文⑤(別角度:ウェルス・マネジメントへの着目)
私は、貴社が近年戦略的に注力している「ウェルス・マネジメント」部門に強い将来性と魅力を感じ、志望いたしました。
多くの競合他社が投資銀行業務のボラティリティに左右される中、貴社はいち早くウェルス・マネジメント事業の強化(ETRADEやEaton Vanceの買収など)を進め、安定的かつ高品質な収益基盤を確立しました。
この戦略的先見性は、「クライアント・ファースト」を長期的に実現するための賢明な判断だと考えます。
私は、アルバートのリーダー経験を通じて、個々のニーズを深くヒアリングし、長期的な信頼関係を築くことにやりがいを感じてきました。
貴社の強固なプラットフォームと「誠実さ」というバリューのもと、私の傾聴力と分析力を活かし、お客様の資産を次世代に繋ぐ、真に信頼されるアドバイザーとして貢献したいです。
【モルガン・スタンレーの志望動機】よくある質問
ここでは、モルガン・スタンレーの選考を目指す就活生の皆さんから多く寄せられる、外資系投資銀行ならではの疑問や不安に回答します。
選考は情報戦でもあります。
リアルな情報を掴み、万全の準備で臨んでください。
ただし、採用方針や社風は常に進化しています。
インターンシップやOB・OG訪問を通じて、あなた自身の目で確かめることが最も重要です。
質問①:英語力はどれくらい必要ですか?
結論から言うと、「ネイティブレベル、あるいはビジネスで全く不自由しないレベル」が強く推奨されます。
特に投資銀行部門(IBD)やマーケット部門では、入社直後から海外オフィス(ニューヨーク、ロンドン、香港など)との電話会議、英語での膨大な資料(レポート、契約書)の読解・作成が日常業務となります。
TOEICのスコアはあくまで参考指標であり、「英語で思考し、議論し、説得できる」実践的なスピーキング・ライティング能力が選考(面接)でも見られます。
「英語はできて当たり前」という環境で、英語力そのものではなく、英語を使って「何を語るか(=論理性)」が問われると覚悟してください。
質問②:学部・学科による有利不利はありますか?
「決定的な有利不利はない」というのが答えです。
経済学部、商学部、法学部、あるいは理系の金融工学専攻などが有利に見えるかもしれませんが、実際には文学部、理工学部、体育会、芸術系など、極めて多様なバックグラウンドを持つ人材が採用されています。
モルガン・スタンレーが見ているのは、学部名という「ラベル」ではなく、あなたがそのフィールドで「圧倒的な成果(卓越性)」を出してきたか、「論理的思考力」を培ってきたか、そして「タフネス」を持っているか、という本質的な資質です。
どの学部にいても、そこでトップクラスの成果を出し、知性を磨いてきたことを証明できれば、スタートラインに立てます。
質問③:激務と聞くが、実際はどれくらいですか?
「激務であることは覚悟すべき」です。
特に、投資銀行部門(IBD)のアナリスト(新卒)の時期は、M&Aディールや資金調達のデッドラインに追われ、深夜や週末の勤務も常態化しやすい環境です。
ただし、これは無駄な長時間労働ではなく、「クライアントの要求」と「市場のスピード」に応えるために必要な、極めて密度の濃い仕事の結果です。
近年は、同社も働き方改革やメンタルヘルスケア、若手の保護(例:土日の一定時間の休息確保)を進めていますが、「タフネス」が選考で最重要視される資質の一つであることに変わりはありません。
その厳しさの対価として、「圧倒的な成長スピード」と「やりがい」、そして「報酬」が得られるトレードオフを理解しているかが問われます。
質問④:「Up or Out」の文化は本当ですか?
かつての外資系金融で言われたような、「昇進(Up)できなければ、解雇(Out)される」という露骨な文化は、現在のモルガン・スタンレーには当てはまりません。
同社は「Doing the Right Thing」や「Giving Back」といったバリューを重視し、社員の長期的なキャリア形成やウェルビーイングにも配 慮しています。
しかし、「パフォーマンス(成果)」が厳しく評価される「実力主義」の環境であることは紛れもない事実です。
「Up or Out」というよりは、「成果を出せない(あるいはカルチャーに合わない)人材が、自ら次のキャリアを選んでいく(あるいは、そう促される)」という形に近いと言えます。
常に成長し、貢献し続けることが求められる、厳しくも公正な環境です。
まとめ
モルガン・スタンレーは、卓越した知性、圧倒的なタフネス、そして何よりも高い「誠実さ(Doing the Right Thing)」というコア・バリューを体現できる人材を求める、世界最高峰の金融機関です。
その最難関の選考を突破するためには、「なぜGSやJPMではなく、MSなのか」という問いに対し、完璧なロジックと、あなた自身の具体的な経験(卓越性の証明・誠実さの証明)を交えて回答することが不可欠です。
本記事で得た知識を土台に、徹底的な自己分析と企業研究を重ね、あなたの「知性」と「誠実さ」を、自信を持ってアピールしてください。