はじめに
第一生命は、日本を代表する大手生命保険会社の一つであり、その安定した経営基盤と、人々の「一生涯」に寄り添うという社会貢献性の高さから、就職活動において常に高い人気を誇ります。
この高い競争を勝ち抜くためには、「なぜ保険業界なのか」「なぜ他社ではなく第一生命なのか」を明確に示す、深く掘り下げた志望動機が不可欠です。
本記事では、第一生命の徹底的な企業研究から、採用担当者に響く志望動機の作成法、具体的な例文までを詳細に解説します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機は、自己分析と企業研究の集大成であり、その質が選考結果を大きく左右します。
多くの時間をかけて練り上げた志望動機は、提出する前にAIチェッカーを活用し、客観的な視点で最終確認を行うことを強く推奨します。
AIチェッカーは、自分では見落としがちな誤字脱字や不自然な日本語表現といった基本的なミスを発見するだけでなく、文章の「論理構成」の脆弱性をチェックする上で非常に有効です。
特に、志望動機で最も重要な「なぜこの業界なのか」「なぜ競合他社ではなく、第一生命なのか」という論理の飛躍や矛盾がないかを、第三者の視点で確認できるのは大きな利点です。
ただし、AIはあくまであなたの思考を整理し、磨き上げるための補助ツールです。
AIは論理の穴を指摘できても、あなたの原体験に基づく「情熱」や「パーパス」そのものを生み出すことはできません。
AIの提案を参考にしつつも、最終的には自分の言葉で誠実に語りきる。
その「磨き上げ」のプロセスにおいて、AIチェッカーは強力な武器となります。
【第一生命の志望動機】第一生命を知ろう
説得力のある志望動機を作成するための第一歩は、対象企業である第一生命を深く、正確に理解することです。
多くの就活生が「安定した大手金融機関」というイメージで捉えがちですが、その実像は、長い歴史の中で培われた強固な顧客基盤を基に、グローバル展開やデジタル革新といった「挑戦」を続けるダイナミックな企業です。
彼らがどのようなビジネスモデルで成り立ち、どのような未来を描いているのかを知らずして、熱意や適性を伝えることはできません。
この章では、第一生命の「事業内容」「業績」「企業理念」という3つの側面から、志望動機の土台となる企業研究の核心に迫ります。
表面的な理解にとどまらない、深みのある志望動機を作成するための基盤を整えましょう。
第一生命の事業内容
第一生命グループの事業内容は、大きく3つの柱で構成されています。
就活生がまず理解すべき中核事業は、国内の「生命保険事業」です。
全国の「生涯設計プランナー」と呼ばれる営業職員による対面コンサルティングを強みとし、個人および企業の顧客に対して、死亡保障から医療・介護、資産形成まで、人生のあらゆるステージに対応する商品・サービスを提供しています。
しかし、現在の第一生命を支えるもう一つの、そして極めて重要な柱が「海外保険事業」です。
特に、米国の「プロテクティブ生命」やオーストラリアの「TAL」など、積極的なM&Aを通じて海外事業を拡大しており、これがグループ全体の成長を力強く牽引しています。
第三の柱は「資産運用・アセットマネジメント事業」です。
生命保険会社として預かる莫大な顧客資産(保険料)を、長期的な視点で国内外の市場で運用する機関投資家としての側面も持っています。
この「国内」「海外」「資産運用」という3本柱のバランスの取れたポートフォリオこそが、第一生命の強みと安定性の源泉です。
第一生命の業績
企業の業績を分析することは、その企業の「現在の実力」と「将来の方向性」を理解するために不可欠です。
第一生命グループの業績を読み解く鍵は、「事業ポートフォリオの多角化」にあります。
日本の生命保険市場は、少子高齢化や低金利環境の長期化により、国内事業だけでは大きな成長が難しい「成熟市場」です。
この課題に対し、第一生命は早くから海外保険事業のM&Aを積極的に推進してきました。
その結果、近年では、この海外事業がグループ全体の利益の半分近くを生み出す「成長ドライバー」となっています。
また、機関投資家としての「資産運用事業」も、安定した収益基盤に貢献しています。
就活生が注目すべきは、最新の中期経営計画(現在は「Connect 2026」)です。
ここでは、既存事業の深化に加え、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進による顧客体験(CX)の向上や、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に資する新事業の創出を、今後の重要な戦略として掲げています。
第一生命の企業理念
第一生命が最も大切にしている価値観は、そのミッション(DSR経営)に集約されています。
それは「一生涯のパートナー」という言葉に代表される「お客様第一主義」です。
これは、単に保険商品を販売するのではなく、お客様の人生に寄り添い、安心を提供し続けるという強い意志の表れです。
この理念の根底には、日本初の相互会社(現在は株式会社)として創業して以来の「ご契約者(お客様)とともに歩む」という精神が息づいています。
志望動機でこの理念に触れる際は、「理念に共感しました」と述べるだけでは全く不十分です。
採用担当者が見ているのは、なぜあなたがその「一生涯のパートナー」という言葉に共感するのか、その背景にあるあなた自身の「原体験」です。
例えば、家族や友人との経験を通じて「長期的な信頼関係」の重要性を学んだエピソードや、誰かを「支え続けた」経験と、第一生命の理念を具体的に結びつけることが、志望動機に説得力を持たせる鍵となります。
【第一生命の志望動機】第一生命が志望動機で見ていること
第一生命の採用選考において、志望動機は応募者の「ポテンシャル」と「企業文化へのフィット感」を見極めるための最重要項目の一つです。
生命保険という、人の一生に関わる「目に見えない」金融商品を扱うため、応募者の内面的な資質が厳しく問われます。
採用担当者は、志望動機という限られた文章や対話の中から、単なる「入社したい」という熱意の強さだけでなく、その熱意が「どのような論理と経験に基づいているか」を深く知りたいと考えています。
この章では、第一生命が志望動機を通じて特に重視している3つの評価軸について、具体的に解説していきます。
志望動機で特に重視されるポイント① 「誠実性」と「長期的視点」
生命保険は、契約してから保障が実行されるまでに数十年を要することもある、「長期の信頼」に基づく商品です。
そのため、第一生命が応募者に求める資質の根幹には、「誠実性(Sincerity)」があります。
採用担当者は、応募者が目先の利益や派手な成果に飛びつくタイプではなく、地道な努力を惜しまず、任された責任を最後まで全うできる人物かどうかを見ています。
志望動機で語られるエピソードが、この「誠実性」や「信頼性」を裏付けるものであるかどうかが、厳しくチェックされます。
例えば、チームの中で困難な役割を引き受けた経験や、時間をかけて信頼関係を築いた経験は、この「長期的視点」を持つ人材であることの証明として高く評価されます。
志望動機で特に重視されるポイント② 「なぜ保険」で「なぜ第一生命」か
これは、志望動機における最も基本的な、しかし最も重要な論理的ハードルです。
「人の役に立ちたい」という動機は立派ですが、それだけでは「なぜ、医者や教師ではなく、生命保険なのか」という問いに答えられません。
まず、金融という手段を通じて、特に「万が一のリスク」や「将来への不安」という課題を解決することに、なぜ自分が情熱を感じるのかを明確にする必要があります。
その上で、「なぜ、数ある生保の中で第一生命なのか」という問いが続きます。
ここで、先に述べた企業研究が活きてきます。
第一生命の「具体的な強み」(例:海外事業の成長性、生涯設計プランナーという対面チャネルの強さ、DXへの挑戦)と、あなた自身のキャリアビジョンや原体験とを、論理的に結びつけることが不可欠です。
「第一生命のこの環境でなければ、自分の目標は達成できない」という、必然性を示す必要があります。
志望動機で特に重視されるポイント③ 「貢献意欲」と「当事者意識」
志望動機は、あなたが会社に「何をしてもらいたいか(成長したい、学びたい)」をアピールする場である以上に、あなたが会社に「何をもたらすことができるか(貢献したい)」を示す場です。
「お客様第一主義」を掲げる第一生命は、当然ながら、自己成長への関心よりも、顧客や社会への「貢献意欲」を強く持つ人材を求めます。
学生時代の経験を語る際にも、単に「自分が頑張った」という事実の羅列ではなく、「その行動が、チームや組織、あるいはお客様(アルバTイト先など)に、どのような『価値』をもたらしたか」という視点で語ることが重要です。
課題を「他人事」ではなく「自分ごと」として捉え、主体的に行動した経験(=当事者意識)を示すことで、入社後も「一生涯のパートナー」として顧客のために尽くせる人材であると評価されます。
【第一生命の志望動機】第一生命の求める人物像
第一生命がどのような人材を求めているかを理解することは、志望動機や自己PRを作成するうえで不可欠なプロセスです。
彼らが求めるのは、単に金融の知識が豊富な学生や、弁が立つ学生ではありません。
生命保険という「人の一生」に深く関わる重い責任を担うために必要な、「人間性」と「マインドセット」を重視しています。
第一生命のビジネスは、「誠実さ」を土台とした長期的な信頼関係と、成熟市場の中で新しい価値を生み出す「挑戦」という、両極のバランスの上に成り立っています。
この章では、第一生命が未来の仲間として求めている人物像を、その企業文化や事業特性と結びつけながら、4つの具体的な側面から詳細に解説していきます。
求める人物像① 人に寄り添い、誠実に行動できる人
これは、第一生命で働くうえでの「大前提」となる資質です。
生命保険は、お客様の最もデリケートな情報(家族構成、健康状態、経済状況)に触れる仕事です。
お客様が「この人になら任せられる」と心から信頼してくださらなければ、ビジネスは成立しません。
そのため、第一生命は、他者の痛みを理解できる「共感力」と、倫理観に基づき「誠実」に行動できる人間性を何よりも重視します。
採用選考では、応募者の過去の行動において、自己の利益よりも他者やチームの利益を優先した経験、あるいは困難な状況でも正直で公正な対応を貫いた経験がないかが見られています。
「信頼に足る人物」であること、これが第一の関門です。
求める人物像② 主体的に考え、挑戦し続ける人
「誠実さ」だけでは、現代の第一生命が求める人物像としては不十分です。
国内市場の成熟化、テクノロジーの進化、グローバルな競争など、彼らを取り巻く環境は激変しています。
こうした中で、「前例踏襲」や「指示待ち」の姿勢では、企業は成長できません。
第一生命は、現状に満足せず、自ら課題を発見し、「どうすればもっと良くなるか」を主体的に考え、行動に移せる人材を求めています。
これには「DXの推進」や「海外事業の拡大」といった大きな挑戦も含まれます。
学生時代の経験で、既存のやり方に疑問を持ち、自ら改善策を提案・実行した経験や、未知の分野に臆せず飛び込んだ経験は、この「挑戦するマインド」をアピールする強力な材料となります。
求める人物像③ 困難を乗り越える「粘り強さ」
生命保険の仕事は、決して華やかなことばかりではありません。
営業職であれば、お客様に提案を受け入れていただけない「拒絶」に直面することも日常茶飯事です。
資産運用部門であれば、市場の暴落という強烈なプレッシャーにさらされます。
事務部門であれば、膨大な量の契約や支払いを、絶対にミスなく処理し続ける「忍耐力」が求められます。
第一生命は、こうしたストレスや困難に直面したときに、すぐに諦めたり、他責にしたりせず、「粘り強く」解決策を探し続けられる人材を求めています。
学生時代の部活動、研究、アルバ<b>イトなどで、大きな壁にぶつかり、それをどう乗り越えたかという「レジリエンス(回復力)」の経験は、非常に高く評価されます。
求める人物像④ 多様な仲間と「協働」できる人
第一生命の仕事は、個人の力だけで完結するものではありません。
例えば、一つの新しい保険商品を世に出すためには、商品の設計(アクチュアリー)、営業戦略(マーケティング)、システム開発(IT)、法令遵守(法務)、資産運用(ファイナンス)など、およそ想像しうる全ての専門部署が連携する必要があります。
そのため、「自分の専門分野」だけに閉じこもるのではなく、異なるバックグラウンドを持つ多様な仲間と円滑にコミュニケーションを取り、「チーム」としての成果を最大化しようとする協働意識(チームワーク)が不可欠です。
学生時代のグループワークやサークル活動で、異なる意見をまとめ上げ、一つの目標に向かってチームを牽引、あるいはサポートした経験は、この資質を示す上で非常に有効です。
【第一生命の志望動機】第一生命の志望動機に入れ込むべきポイント3選
第一生命の志望動機を作成するにあたり、数多くの応募者の中から「この学生は違う」と採用担当者に思わせるためには、盛り込むべき戦略的なポイントが3つあります。
単に「お客様に寄り添いたい」という情熱だけでなく、その情熱を「第一生命という企業で、どのようにビジネスとして実現するのか」という、具体的かつ論理的な「設計図」を示すことが求められます。
この章では、あなたの志望動機の説得力を格段に高め、入社後の活躍イメージを具体的に想起させるために、必ず盛り込みたい3つの核心的なポイントを解説します。
入れ込むべきポイント① 「なぜ助けたいか」:原体験と理念の結合
志望動機で最も避けたいのが、「人の役に立ちたい」「社会貢献したい」といった抽象論です。
第一生命の理念「一生涯のパートナー」に共感したと伝えるのであれば、「なぜ、あなたは『一生涯のパートナー』というあり方に、それほどまでに強く共鳴するのか」を説明する、あなただけの「原体験」が不可欠です。
例えば、家族や自身の病気の経験、あるいは、長期にわたるアルバイトやサークル活動での支援経験など、「短期的な関係」ではなく「長期的な信頼関係」の重要性を痛感したエピソードを具体的に盛り込みましょう。
この「原体験」と、第一生命の「理念」が論理的に結びついた瞬間、あなたの志望動機は他人には真似できない、血の通った「あなただけの物語」として輝き始めます。
入れ込むべきポイント② 「どう助けたいか」:事業戦略(グローバル・DX)への理解
情熱(原体験)の次に必要なのは、「どうやって実現するか」という「戦略」です。
ここで、企業研究の深さが問われます。
第一生命が今、何に力を入れ、どのような未来を目指しているのか。
その答えは、「グローバル展開(海外保険事業)」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という二大戦略にあります。
もしあなたが国際的な視野や語学力に強みがあるなら、米国のプロテクティブ生命の成功事例などに触れつつ、海外事業に貢献したいというビジョンを語ることができます。
もしあなたがデータ分析やITに興味があるなら、「Connect 2026」といった中期経営計画に触れ、DXを通じてお客様のQOLをどう向上させたいかを具体的に語ることができます。
この視点を持つことで、あなたは「過去」の第一生命ではなく、「未来」の第一生命を共に創る仲間として認識されます。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
これは、あなたの「Why Dai-ichi Life?(なぜ第一生命か)」という問いに、最終的な「論理的なとどめ」を刺すための重要なテクニックです。
この比較分析を志望動機に盛り込むことで、採用担当者に対し、「あなたは業界全体を深く研究し、数ある選択肢の中から『明確な意志』を持って第一生命を選んだ」という、圧倒的な本気度と論理的思考力を示すことができます。
例えば、競合の日本生命や住友生命と比較した際、第一生命がいち早く海外M&Aを成功させ、グローバルな収益基盤を確立した「先見性」と「実行力」に惹かれた、と具体的に指摘します。
あるいは、銀行や証券会社と比較し、「短期的な利益追求」ではなく「数十年単位の『一生涯』という時間軸」で顧客と向き合える生命保険のビジネスモデル、特に第一生命の「お客様第一主義」に魅力を感じると述べる。
この「比較」こそが、あなたの志望理由を「なんとなく」から「必然」へと昇華させます。
【第一生命の志望動機】競合他社との比較しよう
第一生命の志望動機において、「なぜ他社ではなく第一生命なのか」を明確にすることは、選考を突破するための最重要課題です。
生命保険業界には、「4大生保」と呼ばれる強力なライバルが存在し、それぞれに異なる歴史、強み、戦略があります。
採用担当者は、学生がその業界地図を理解したうえで、第一生命の「独自性」や「優位性」を正しく認識しているかを見ています。
単に「大手だから」といった理由ではなく、「競合のA社は〇〇に強みがあるが、自分は第一生命の△△という点にこそ将来性を感じる」といった、具体的な比較軸を持つことが重要です。
この章では、代表的な競合他社を取り上げ、第一生命との違いを明確にするための比較の視点を解説します。
競合Aとの違い:日本生命(ニッセイ)
日本生命(ニッセイ)は、総資産や保険料収入において国内トップを走る、業界の「ガリバー」です。
その最大の強みは、圧倒的な国内基盤とブランド力、そして長い歴史で培われた顧客からの絶大な信頼です。
また、M&Aにおいても、国内のヘルスケア領域(例:ニチイ学館の買収)にも積極的に進出するなど、国内での事業多角化にも意欲的です。
一方、第一生命も巨大な国内基盤を持ちますが、比較の軸としては「海外戦略のスピードと質」が挙げられます。
第一生命は、2015年の米プロテクティブ生命の大型買収を筆頭に、いち早く海外事業を収益の柱として確立することに成功しました。
国内の「王者」としての地位が際立つ日本生命に対し、「グローバルな成長性」で先んじてきたのが第一生命である、という戦略の違いを理解することが重要です。
競合Bとの違い:住友生命
住友生命は、「4大生保」の一角であり、特に「健康増進型保険(インシュアテック)」の分野で、他社に先駆けて「Sumitomo Life Vitality」を導入するなど、ユニークな商品開発力に強みを持つ企業です。
テクノロジーを活用して顧客の「健康」にインセンティブを与えるという、新しい保険の形をリードしてきました。
一方、第一生命も「QOL向上」を掲げ、健康増進には力を入れていますが、住友生命ほど「Vitality」のような特定の尖った商品をブランドの核に据えているわけではありません。
第一生命の強みは、むしろ「海外事業」や「資産運用」といった、よりポートフォリオ全体のバランスの取れた成長戦略にあります。
「商品(健康増進)」で独自色を出す住友生命と、「事業(グローバル)」で成長を図る第一生命、という対比が可能です。
競合Cとの違い:明治安田生命
明治安田生命も「4大生保」の一角として、強固な経営基盤を持っています。
明治安田生命の大きな特徴は、「地域社会への貢献」を強く打ち出している点です。
Jリーグのタイトルスポンサーや、全国各地での「地元の元気プロジェクト」など、地域密着型(コミュニティ・ベース)の活動に非常に力を入れており、それがブランドイメージにも繋がっています。
第一生命ももちろん全国に拠点を持ち、地域貢献活動は行っていますが、明治安田生命ほど「地域密着」を戦略の前面に出しているわけではありません。
第一生命の戦略は、むしろ「DX(デジタル)」や「グローバル」といったキーワードが中心です。
「地域」というキーワードに強烈に惹かれるのであれば明治安田、「グローバル」や「DX」といった変革に惹かれるのであれば第一生命、という比較軸が成り立ちます。
競合Dとの違い:銀行・証券(例:メガバンク、野村證券)
特に総合職(機関職)を志望する場合、「なぜ他の金融機関ではなく、生命保険なのか」という比較は不可欠です。
三菱UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンク、あるいは野村證券といった証券会社も、資産運用やコンサルティングといった面で競合します。
両者の最大の違いは「時間軸」と「目的」です。
銀行や証券のビジネスは、融資や株式売買、M&Aアドバイザリーなど、比較的「短期〜中期」の経済活動や「資産を増やす(攻め)」ことに焦点が当たりがちです。
一方、生命保険は、「数十年単位」の「超長期」で、「万が一に備える(守り)」ことや「資産を確実に承継する」ことを目的とした金融商品です。
第一生命の資産運用(ALM)も、この超長期の「負債(将来の保険金支払い)」を全うするための、極めて安定的・長期的な視点が求められます。
この「時間軸」と「目的」の違いを理解し、なぜ自分が「超長期の守り」の金融に惹かれるのかを語る必要があります。
【第一生命の志望動機】第一生命のES通過者の志望動機の共通点
第一生命の高い競争率を突破し、エントリーシート(ES)を通過する学生の志望動機には、いくつかの明確な共通点が存在します。
それらを分析することで、あなたの志望動機を磨き上げるヒントが見つかります。
最も顕著な共通点は、「なぜ第一生命なのか」という問いに対する「解像度の高さ」です。
彼らは、「大手だから」といった曖Sいな理由ではなく、第一生命の「具体的な戦略(例:海外事業、DX)」や「企業理念(一生涯のパートナー)」を、自身の経験や価値観と強固に結びつけています。
また、生命保険という仕事の「重み」を理解し、「誠実性」や「粘り強さ」といった、同社が求める人物像に合致するエピソードを、具体的に、かつ論理的に記述できている点も共通しています。
単なる「憧れ」ではなく、「貢献できる根拠」が示されているのです。
【第一生命の志望動機】第一生命の志望動機を作成する際の4つの注意点
第一生命の志望動機を作成する際、その熱意とは裏腹に、企業研究の浅さや業界理解のズレによって、かえって評価を下げてしまう「NGパターン」が存在します。
「人の役に立ちたい」という純粋な想いが、なぜか採用担当者に響かない。
それには明確な理由があります。
この章では、あなたの志望動機が「その他大勢」の「準備不足な学生」として埋もれてしまわないよう、作成時に特に注意すべき4つのポイントを具体的に解説します。
これらの「落とし穴」を回避し、論理的で説得力のある志望動機を完成させましょう。
注意点① 「人の役に立ちたい」という抽象論
これは、生命保険業界の志望動機で最も多く、そして最も評価されないNGパターンです。
「人の役に立ちたい」という動機は、医師、教師、消防士、あるいはメーカーの仕事でも同じです。
これでは「なぜ金融なのか」「なぜ生命保険なのか」という問いに全く答えられていません。
採用担当者はこの言葉を「思考停止」のシグナルとして受け取る可能性があります。
この落とし穴を避けるには、「どのように人の役に立ちたいのか」を具体的に掘り下げる必要があります。
「経済的な不安から人々を守るという『金融』の側面から役に立ちたい」「『一生涯』という『超長期』の時間軸で役に立ちたい」といった形で、生命保険のビジネスモデルに即した「役に立ち方」を、あなた自身の言葉で定義し直す必要があります。
注意点② 「安定」や「大手」を志望理由にすること
「貴社は業界トップクラスの大手企業であり、その安定性に惹かれました」といった志望動機は、本音であったとしても、ESに書くべきではありません。
これは、「あなたは会社に何をもたらしてくれますか?」という問いに対し、「私は安定が欲しいです」と答えているのと同じであり、コミュニケーションが成立していません。
応募者の動機が「自己の安定」にあると判断された場合、「挑戦」や「顧客への貢献」といった、会社が求めるマインドセットと真逆であると見なされます。
第一生命は、成熟した国内市場で「DX」や「グローバル」といった「挑戦」を続けている企業です。
安定性を「挑戦するための基盤」と捉え直し、「貴社の安定した基盤があるからこそ、私は〇〇という新しい挑戦に貢献したい」といった、前向きな論理展開に切り替えるべきです。
注意点③ 「なぜ第一生命か」が不明確(競合他社との比較不足)
「生命保険の『相互扶助』の精神に共感しました」「『一生涯』お客様に寄り添う仕事がしたいです」といった志望動機は、それ自体は立派ですが、日本生命でも住友生命でも、明治安田生命でも言えてしまう内容です。
採用担当者は、何百枚ものESを読む中で、この「どの会社にも出せる、使い回しの志望動機」に最も敏感です。
これは、企業研究を怠っている、あるいは第一生命への志望度が低いことの証左と見なされます。
このミスを防ぐには、第一生命の「独自性」に言及することが不可欠です。
「貴社の強みである『海外事業の成長性』に惹かれた」「『Connect 2026』で示されたDX戦略に、自分の〇〇という強みを活かしたい」といった、具体的な固有名詞を盛り込むことで、初めて「あなただけの志望動機」になります。
注意点④ 「金融」のドライな側面しか見ていないこと
これは、特に経済学部や商学部の学生が陥りがちな注意点です。
「貴社の莫大な資産を運用するアセットマネジメント業務に惹かれた」「アクチュアリーとして数理モデルを構築したい」といったアピールは、専門性の高さを示せます。
しかし、それが行き過ぎると、「なぜ銀行や証券、資産運用会社ではなく、『生命保険』なのか」が不明確になります。
生命保険会社が運用する資産は、「お客様からお預かりした、将来の万が一に備えるためのお金」であり、極めて公共性の高いものです。
第一生命は「お客様第一主義」を掲げる企業です。
金融のダイナミズムや数理的な面白さだけに言及し、その原資がどこから来て、何のために使われるのかという「お客様」や「保障」への視点が欠けていると、企業理念とのミスマッチを疑われます。
【第一生命の志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
第一生命のような人気企業の内定獲得を目指すうえで、インターンシップへの参加は、単に「有利になる」というレベルを超え、極めて重要な戦略となります。
その最大のメリットは、採用ホームページや説明会では決して得られない、「生」の企業文化や仕事のリアリティを肌で感じられる点にあります。
生命保険という仕事の「重み」や、「お客様第一主義」が現場でどのように実践されているのか、また「和・誠・開拓者精神」といった価値観が、社員の方々のどのような行動に表れているのかを直接知ることは、企業とのミスマッチを防ぐうえで何よりも重要です。
さらに、インターンシップで得た「一次情報」や具体的な業務体験は、志望動機に圧倒的な具体性と説得力をもたらします。
もちろん、インターンシップでの高いパフォーマンスや熱意が評価されれば、早期選考への案内や本選考プロセスの一部免除といった、直接的な優遇措置に繋がる可能性も高く、積極的に挑戦する価値があります。
【第一生命の志望動機】第一生命の志望動機例文
第一生命の志望動機を作成する際、自分のどの経験を、第一生命のどの側面に結びつけるべきか、悩む方も多いでしょう。
ここでは、アプローチの異なる5つの志望動機例文を紹介します。
例えば、「お客様第一主義」という価値観に共感したパターン、グローバル戦略という「将来性」に着目したパターン、あるいは「粘り強さ」といった自身の「強み」を軸にしたパターンなどです。
これらの例文は、あくまで論理構成やキーワードの使い方の参考です。
丸写しは絶対にせず、あなた自身のオリジナルの経験と言葉で、第一生命への熱意と貢献意欲を伝えるためのヒントとして活用してください。
例文①(経験ベース:「お客様第一主義」への共感)
私が貴社を志望する理由は、「一生涯のパートナー」としてお客様に寄り添い続けるという貴社の「お客様第一主義」の姿勢に、自身の経験から深く共感しているからです。
私は学生時代、地域の学習塾で講師のアルバ<b>イトをしており、当初はマニュアル通りに勉強を「教える」ことだけが仕事だと考えていました。
しかし、ある成績の伸び悩む生徒と面談を重ねるうち、課題が勉強法ではなく、将来への漠然とした「不安」にあることに気づきました。
そこで私は、担当の垣根を越えて、彼の興味や悩みに「誠実」に耳を傾け、一緒に進路を考える「パートナー」として伴走しました。
結果、彼は「不安が確信に変わった」と前向きになり、成績も向上しました。
この経験から、人の「不安」に寄り添い、長期的な信頼関係の中で「安心」を提供する仕事に就きたいと強く願うようになりました。
貴社の「生涯設計プランナー」を支え、お客様の人生に「一生涯」寄り添う貴社のビジネスモデルこそ、私が最も価値を発揮できる場所だと確信しています。
例文②(価値観ベース:「誠実性」と「粘り強さ」)
私は、生命保険という「人の一生」に関わる重い責任を担う仕事には、何よりも「誠実さ」と「粘り強さ」が不可欠だと考えています。
私は大学時代、体育会〇〇部の主務として、部員と大学側との間に立ち、練習環境の改善交渉を担当しました。
当初、大学側は予算不足を理由に要望を取り合ってくれませんでしたが、私は諦めませんでした。
「なぜ」必要なのかを客観的に示すため、過去3年間の備品破損データを分析し、具体的な費用対効果を算出した改善提案書を作成しました。
何度も足を運び、「誠実」に対話を重ねた結果、最終的に予算が承認され、部員が安全に練習できる環境を整えることができました。
この経験から、困難な状況でも他責にせず、粘り強く課題解決に取り組むことの重要性を学びました。
貴社で働く上でも、お客様や社会からの「信頼」という重い責任を背負い、いかなる困難にも「誠実」に粘り強く向き合い、「一生涯のパートナー」としての責務を全うしたいです。
例文③(スキルベース:データ分析×DX)
私は、データ分析のスキルを用いて、お客様のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献したいと考え、貴社を志望いたします。
大学のゼミでは、統計学と機械学習を専攻し、人々の健康行動データを分析することで、特定の疾患リスクを予測するモデル構築に挑戦しました。
この研究を通じて、データが「未来のリスクを可視化」し、人々の「より良い選択」をサポートする強力なツールであることを実感しました。
貴社は、「Connect 2026」という中期経営計画において、DXを重要な柱と位置づけ、デジタル技術を活用したお客様のCX(顧客体験)向上や、健康増進サービスの開発に注力されています。
他社と比較しても、貴社が持つ膨大な顧客データと、QOL向上という明確なミッションを掛け合わせることで、保険の「保障」機能を超えた、新しい価値を生み出せる可能性に強く惹かれています。
研究で培ったデータ分析能力と論理的思考力を活かし、貴社のDX戦略を推進する一員として貢献したいです。
例文④(将来ビジョンベース:グローバル戦略への貢献)
私が貴社を強く志望する理由は、国内市場に安住せず、積極的にグローバル展開を推進する「開拓者精神」に、自身のキャリアビジョンが強く重なるからです。
私は学生時代、〇〇(国名)への留学経験を通じて、急速に経済成長する現地の熱気と、一方で未整備な社会保障制度という「格差」を目の当たりにしました。
この経験から、日本の高い金融ノウハウ、特に「相互扶助」の精神に基づく生命保険の仕組みこそ、新興国の持続的な発展に貢献できると確信しました。
貴社は、米国のプロテクティブ生命の買収成功に代表されるように、競合他社に先駆けて海外事業を収益の柱として確立しており、その戦略性と実行力に感銘を受けています。
私は、留学で培った異文化理解力と、困難な状況でも主体的に行動する「粘り強さ」を活かし、まずは国内で保険ビジネスの基盤を徹底的に学び、将来的には貴社のグローバル部門で、世界中の人々に「安心」を届けるという挑戦に貢献したいです。
例文⑤(別角度のアプローチ:資産運用×社会的責任)
私は、金融の専門性を「社会の安定」という長期的かつ大きな目的のために使いたいと考え、貴社を志望いたします。
大学で金融工学を学ぶ中で、短期的な利益を追求する金融(投機)と、社会基盤を支える金融(投資)の違いを意識するようになりました。
特に、生命保険会社が、お客様からお預かりした「将来の安心」という重い責任を背負いながら、数十年単位の「超長期」の視点で資産を運用する「機関投資家」としての役割に、強い社会的意義を感じています。
貴社は、国内最大級の機関投資家として、ESG投資にも積極的に取り組んでおり、単なるリターン追求ではなく、運用を通じて社会課題の解決にも貢献する姿勢に深く共感します。
私は、金融工学で培った論理的分析能力とリスク管理の知識を活かし、貴社の資産運用部門で、「お客様第一主義」を「運用」という側面から支え、貴社の「一生涯のパートナー」としての使命を全うすることに貢献したいです。
【第一生命の志望動機】よくある質問
第一生命の選考は、金融業界の中でも特に「人」を見ると言われており、就活生の皆さんからは、そのカルチャーや働き方について多くの質問が寄せられます。
「体育会系ですか?」「文系でも大丈夫?」といった不安は、多くの人が共通して抱くものです。
この章では、就活アドバイザーとして数多くの相談を受けてきた中で、第一生命の選考に関して特によくある質問を4つピックアップしました。
これらの疑問にQ&A形式で明確にお答えし、皆さんの不安を解消することで、自信を持って選考に臨むための準備を整えましょう。
質問① 「機関職」と「地域職」、「基幹職」と「総合職」など、違いがよく分かりません。
これは非常に重要な違いであり、あなたのキャリアプランに直結します。
第一生命の「基幹職」(いわゆる総合職)は、「Kikan-shoku(機関職)」と「Chiiki-shoku(地域職)」に大きく分かれます。
「Kikan-shoku」は、転居を伴う転勤があり、将来的にグループ全体の経営幹部候補として、国内外の幅広いフィールド(例:企画、資産運用、海外事業、営業管理)でキャリアを積むコースです。
一方、「Chiiki-shoku」は、原則として転居を伴う転勤がなく、特定の地域に根ざして、お客様に最も近い営業の第一線や、支社の管理業務などで専門性を高めていくコースです。
どちらが優れているかではなく、あなたの「働き方」の志向によって選ぶべき道が異なります。
質問② 金融や保険の知識が全くない、文系学部生でも不利になりませんか?
全く不利になりません。
むしろ、第一生命は毎年、文系・理系を問わず、多様な学部から多くの学生を採用しています。
採用選考で重視されるのは、現時点での「金融知識の量」ではなく、入社後に学ぶ「意欲」と、「誠実性」「粘り強さ」「チームワーク」といった、同社が求める「人物像」に合致しているかどうかです。
生命保険や金融の専門知識は、入社後に非常に手厚い研修制度が用意されているため、そこでゼロから学ぶことが前提とされています。
知識がないことを恐れる必要は全くなく、むしろ、あなたの専攻(例:文学部での読解力、法学部での論理的思考力)で培ったポータブルスキルが、どう仕事に活かせるかをアピールする方が重要です。
質問③ 「生涯設計プランナー」(営業職)の仕事がメインですか? 営業に自信がありません。
これはよくある誤解の一つです。
「生涯設計プランナー」は、第一生命の対面チャネルの最前線を担う、非常に重要な営業職員の方々です。
しかし、新卒で「基幹職」として入社する学生が、このプランナー職そのものになるわけでは(基本的には)ありません。
基幹職の仕事は、これらのプランナーの方々を「支え、導く」ことです。
例えば、営業所に配属され、プランナーの採用・育成、営業戦略の立案、マネジメントを担う「オフィス長」候補としてのキャリアや、本社で新しい商品を企画したり、資産を運用したり、DXを推進したりといった、「営業のバックアップ」や「全社戦略」を担う仕事がメインです。
営業に自信がなくても、その「営業」を支える多様な仕事があることを理解してください。
質問④ 業界全体に「体育会系」や「古い」イメージがあるのですが、実際の社風はどうですか?
生命保険業界、特に国内の大手企業には、歴史が長い分、「伝統的」で「堅実(硬い)」、あるいは「上下関係が厳しい」といったイメージがあるのは事実です。
第一生命も、「誠実性」や「信頼」を第一とする企業文化であり、コンプライアンス(法令遵守)や礼儀は非常に重視されます。
その意味での「堅実さ」はあります。
しかし、一方で、「Connect 2026」といった中期経営計画を掲げ、「DXの推進」「グローバル化」「働き方改革」といった「変革」に、今まさに全社を挙げて取り組んでいる最中です。
「伝統」と「革新」が共存しているのが、現在のリアルな姿と言えるでしょう。
古い体質を「変えていく」側に回りたいという「挑戦心」を持つ人にとっては、むしろチャンスの多い環境とも言えます。
まとめ
第一生命の内定を獲得するためには、「大手金融機関だから」という安定志向の「憧れ」ではなく、「なぜ、この会社でなければならないのか」という「必然性」を、あなた自身の言葉で論理的に示す必要があります。
それは、第一生命が「一生涯のパートナー」という理念を掲げ、「海外事業」や「DX」といった分野で挑戦を続ける、その「今」と「未来」を深く理解することから始まります。
本記事で解説した企業研究、競行比較、そして志望動機作成のポイントと注意点を参考に、あなた自身の「誠実さ」や「粘り強さ」を証明する具体的なエピソードと、第一生命の理念や戦略を強固に結びつけ、採用担当者の心を動かす志望動機を完成させてください。