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はじめに
日立システムズは、日立グループの中核を担う大手システムインテグレーター(SIer)であり、ITインフラの構築から運用・保守、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)まで、企業のITライフサイクル全般を支えるサービスを提供しています。
その安定した経営基盤と社会インフラを支えるという重要な役割から、就職活動においても文理を問わず毎年高い人気を集めています。
本記事では、日立システムズの企業研究から、選考を突破するための志望動機の作成法、具体的な例文までを詳細に解説します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機の作成は、自己分析と企業研究の集大成であり、多くの時間と労力を要する作業です。
その努力を結実させるため、提出前の最終チェックとしてAIチェッカーを活用することは非常に有効な手段と言えます。
AIチェッカーは、自分では気づきにくい誤字脱字や不自然な日本語表現といった基本的なミスを発見するだけでなく、文章の論理構成を客観的に評価する上で役立ちます。
特に、志望動機で最も重要な「なぜこの業界なのか」「なぜ競合他社ではなく、日立システムズなのか」という論理の飛躍や矛盾がないかを、第三者の視点で確認できるのは大きな利点です。
また、抽象的な表現が多用されていないか、具体的なエピソードに裏付けられているかをチェックする観点でも活用できます。
ただし、AIはあくまで補助的なツールに過ぎません。
AIが指摘できるのは文章の形式や論理の整合性までであり、志望動機の核となるあなた自身の情熱や、原体験に基づく「熱量」は、AIには書けません。
AIの提案を鵜呑みにするのではなく、最終的には自分の言葉として磨き上げる意識を持ち、自信を持って提出できる完成度を高めるための「壁打ち相手」として賢く利用しましょう。
【日立システムズの志望動機】日立システムズを知ろう
説得力のある志望動機を作成するための第一歩は、対象企業である日立システムズを深く、正確に理解することです。
多くの就活生が「日立グループのIT企業」という漠然としたイメージで捉えがちですが、その実像は「日立製作所」や他のグループ企業とも異なる、明確な役割と強みを持っています。
日立システムズは、単にシステムを開発・納品するだけでなく、その後の運用・保守・監視といった「お客様の日常業務を支え続ける」領域に圧倒的な強みを持つ、ITサービスのプロフェッショナル集団です。
彼らがどのようなビジネスモデルで成長し、どのような価値観(日立アイデンティティ)を大切にし、社会にどう貢献しようとしているのか。
この章では、日立システムズの「事業内容」「業績」「企業理念」という3つの側面から、志望動機の土台となる企業研究の核心に迫ります。
これらの情報をインプットすることで、他の就活生とは一線を画す、深みのある志望動機を作成するための基盤を整えましょう。
日立システムズの事業内容
日立システムズの事業内容を理解する上で最も重要なキーワードは、「ワンストップサービス」です。
彼らのビジネスは、顧客企業の課題解決に向けたコンサルティングやシステムの企画・設計といった上流工程から、実際のシステム構築(インテグレーション)、さらには完成したシステムを24時間365日体制で監視・運用・保守する下流工程まで、ITライフサイクルのすべてをカバーしています。
特に、他の多くのSIerがシステムを「構築」する点に強みを置くのに対し、日立システムズは「システムの企画・設計・構築から運用・保守まで」を一貫して手掛け、特に「運用・保守」の領域で長年のノウハウと国内最大級の体制を誇る点が最大の特色です。
これにより、一度きりの関係ではなく、顧客のビジネスに深く、長く寄り添う「真のパートナー」としての地位を確立しています。
また、近年はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進支援や、日立グループのデジタル基盤「Lumada」を活用したサービス、クラウド導入支援など、時代のニーズに合わせた新しいサービス領域にも注力しています。
日立システムズの業績
企業の業績を分析することは、その企業の現在の健全性と将来性を測るうえで非常に重要です。
日立システムズは、日立グループという強固な経営基盤を持ちながら、安定した成長を継続しています。
彼らの強みは、前述の「ワンストップサービス」、特に運用・保守といった領域から得られる「ストック型ビジネス」にあります。
システム開発のような「フロー型ビジネス」は景気の波に左右されやすいのに対し、運用・保守契約といった「ストック型ビジネス」は継続的かつ安定的な収益をもたらします。
この安定した収益基盤が、日立システムズの堅調な業績を支えています。
また、現在推進中の中期経営計画では、従来のITインフラ構築・運用といった領域に加え、日立グループのデジタル基盤「Lumada」を活用したDX支援や、サステナビリティ関連のビジネス、グローバル展開の強化を成長戦略の柱として掲げています。
志望動機では、単に「業績が安定している」というだけでなく、その背景にあるビジネスモデルの強みや、未来に向けた戦略(DX、Lumada)への理解を示すことが重要です。
日立システムズの企業理念
日立システムズは、日立グループ共通の企業理念である「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という精神を受け継いでいます。
その上で、日立システムズ独自のミッションとして「真のパートナーとして、お客様のビジネスや社会の持続的な発展に貢献する」ことを掲げています。
ここで重要なのが「真のパートナー」という言葉です。
これは、単に言われた通りのシステムを作る「ベンダー」ではなく、お客様の立場に立ち、一緒になって課題を発見し、解決策を考え、実行し、その後の運用まで責任を持って支え続ける存在になる、という強い意志の表れです。
この理念を実現するための行動指針として、日立グループ共通の価値観である「和(Harmony)」「誠(Sincerity)」「開拓者精神(Pioneering Spirit)」、すなわち「日立アイデンティティ」が定められています。
志望動機でこれらの理念に触れる際は、「理念に共感した」と述べるだけでなく、なぜその理念(特に「真のパートナー」や「誠」)に共感するのかを、自身の具体的な経験(例:チームで信頼関係を築いた経験など)と結びつけて語ることが、説得力を持たせる鍵となります。
【日立システムズの志望動機】日立システムズが志望動機で見ていること
日立システムズの採用選考において、志望動機は応募者の熱意と適性を測るための重要な判断材料です。
特に日立システムズは、日立グループという巨大な看板を背負いつつも、「運用・保守」という地に足の着いた領域で顧客と長期的な関係を築く、独自のポジションを確立しています。
そのため、採用担当者は、応募者がその「日立システムズならではの強み」をどれだけ深く理解しているかを見ています。
単に「IT業界に興味がある」「日立グループだから」といった漠然とした理由ではなく、「なぜ数あるSIerの中で、日立システムズなのか」という問いに対する、応募者自身の明確な答えと、その根拠となる経験を求めています。
この章では、日立システムズが志望動機を通じて特に重視している3つの評価軸について、具体的に解説していきます。
志望動機で特に重視されるポイント① 「なぜSIer」で「なぜ日立システムズ」か
まず採用担当者が見ているのは、応募者がIT業界の構造を理解したうえで、なぜ「SIer(システムインテグレーター)」という業態を選んだのか、その理由の明確さです。
「ITで社会を支えたい」という動機は立派ですが、それだけではWebサービス企業やコンサルティングファームにも当てはまってしまいます。
SIerは、IT技術を駆使して顧客の「課題解決」をオーダーメイドで実現する仕事であることを理解しているかが問われます。
その上で、「なぜ日立システムズか」という問いが続きます。
ここで重要になるのが、日立システムズの「運用・保守」への強みや、「真のパートナー」として「顧客に深く、長く寄り添う」というビジネススタイルへの共感です。
単に「システムを作りたい」という開発志向だけでなく、「作り上げたシステムを、責任を持って支え続けたい」という志向性を持っているかが、他社との差別化において重要なポイントとなります。
志望動機で特に重視されるポイント② 「日立アイデンティティ」へのフィット感
日立システムズは、日立グループの一員として、「和・誠・開拓者精神」という「日立アイデンティティ」を非常に大切にしています。
志望動機や面接で語られるエピソードが、これらの価値観とどれだけマッチしているかは、厳しく見られています。
特に、SIerの仕事は巨大なプロジェクトであり、多くの部署やパートナー企業と連携する「チームプレー」が不可欠です。
そのため、「和(Harmony)」を重んじ、多様な人々と協調して物事を進めた経験が重視されます。
また、顧客と長期的な信頼関係を築くビジネスモデルであるため、「誠(Sincerity)」、すなわち誠実さや責任感の強さを示すエピソードも高く評価されます。
自分の強みをアピールする際、単に「リーダーシップがある」と述べるのではなく、それが日立アイデンティティのどの部分と共鳴するのかを意識して構成することが求められます。
志望動機で特に重視されるポイント③ 入社後の貢献意欲と「自走力」
志望動機は、過去の経験を語るだけでなく、未来へのコミットメントを示す場でもあります。
日立システムズは、充実した研修制度を持つ一方で、変化の激しいIT業界で活躍し続けるために、社員一人ひとりが「自ら学び、考え、行動する」自走力を求めています。
「会社に教えてもらう」という受け身の姿勢ではなく、「貴社のこの環境を活用して、このようにスキルを習得し、このように貢献したい」という能動的な意欲が重要です。
例えば、「貴社の強みであるクラウド運用技術を早期に習得し、将来的には『真のパートナー』として、お客様のDX推進を運用面からリードしたい」といった、具体的な貢献イメージを示すことが、採用担当者に入社後の活躍を期待させる鍵となります。
学生時代の経験で培った強みを、日立システムズのどのフィールドでどう活かせるかを、論理的に結びつけて説明しましょう。
【日立システムズの志望動機】日立システムズの求める人物像
日立システムズが求める人物像は、日立グループ共通の価値観である「日立アイデンティティ(和・誠・開拓者精神)」を基盤としています。
これは、単なるスローガンではなく、100年以上にわたり受け継がれてきた「日立のDNA」であり、日立システムズで働くうえでの行動の指針となるものです。
彼らが探しているのは、特定のスキルや知識が突出した人材というよりも、これらの価値観に共感し、「真のパートナー」として顧客や社会に誠実に向き合い、チームと共に新しい価値の創造に挑戦できる人材です。
この章では、日立システムズが未来の仲間として求めている人物像を、日立アイデンティティや事業特性と結びつけながら、4つの具体的な側面から詳細に解説していきます。
求める人物像① 開拓者精神(Pioneering Spirit):挑戦し続ける人
「開拓者精神」と聞くと、ゼロから新しい事業を立ち上げるといった派手なイメージを抱くかもしれません。
もちろんそうした挑戦も含まれますが、日立システムズにおける「開拓者精神」は、より日常的な業務の中にも求められています。
例えば、既存のシステム運用業務を「当たり前」とせず、「もっと効率化できないか」「新しい技術(AIやRPA)を活用して自動化できないか」と常に問い続け、改善(Kaizen)を提案・実行する姿勢。
あるいは、顧客のDX推進という未知の課題に対し、前例がなくとも臆せずに学び、解決策を探求する姿勢。
こうした、現状に満足せず、常に変化とイノベーションを追求する「挑戦する心」を持った人材を求めています。
求める人物像② 誠(Sincerity):誠実で、信頼される人
日立システムズのビジネスモデルは、「真のパートナー」として顧客と長期的な関係を築くことが基盤です。
特にシステムの「運用・保守」は、顧客のビジネスの根幹を預かる、極めて責任の重い仕事です。
万が一システム障害が起きた場合、その対応一つで顧客の信頼は大きく左右されます。
ここで不可欠なのが「誠(Sincerity)」、すなわち誠実さです。
困難な状況でも他責にせず、当事者意識を持って最後までやり遂げる責任感。
お客様やチームメンバーに対し、嘘やごまかしのない誠実なコミュニケーションを取る姿勢。
こうした「人としての信頼」こそが、長期的なパートナーシップの土台となります。
日立システムズは、スキル以上に、この誠実さを備えた人材を強く求めています。
求める人物像③ 和(Harmony):チームで成果を出せる人
システムインテグレーションという仕事は、個人の力だけで完結することは決してありません。
大規模なプロジェクトになれば、営業、SE(システムエンジニア)、インフラエンジニア、運用担当、さらには日立グループの他部門やパートナー企業など、数百人が関わることも珍しくありません。
多様なバックグラウンドや専門性を持つメンバーと円滑にコミュニケーションを取り、共通の目標(プロジェクトの成功)に向かって協力することが不可欠です。
ここでいう「和(Harmony)」とは、単に仲良くすることではなく、異なる意見や立場を尊重し、建設的な議論を通じてチームとしての「最適解」を導き出すプロセスを指します。
自分の役割を果たすだけでなく、常にチーム全体の成果を最大化するために行動できる協調性が求められます。
求める人物像④ 主体性(Self-Starter):自ら考え、学び、行動する人
IT業界は技術革新のスピードが非常に速く、昨日までの常識が今日には通用しなくなることも日常茶飯事です。
会社が提供する研修だけで、すべての変化に対応し続けることは不可能です。
日立システムズが求めるのは、「指示待ち」ではなく、自ら課題を発見し、必要な知識やスキルをどん欲に学び、解決に向けて主体的に行動できる「自走力」を持った人材です。
特に、顧客の「真のパートナー」であるためには、顧客以上に顧客の業務や業界トレンドを勉強し、「言われる前に」課題を発見・提案する姿勢が求められます。
学生時代の経験で言えば、自ら目標を設定し、その達成のために主体的に学び、行動した経験が、この資質をアピールする材料となるでしょう。
【日立システムズの志望動機】日立システムズの志望動機に入れ込むべきポイント3選
日立システムズの志望動機を作成する際、多くの就活生が「日立グループの安定性」や「ITによる社会貢献」といった、やや漠然としたアピールに終始しがちです。
しかし、数多くの志望動機の中で埋もれず、採用担当者に「この学生は深く理解している」と印象付けるためには、より戦略的なアプローチが必要です。
日立システムズ独自の強みと、あなた自身の価値観や経験を、いかに論理的に結びつけるかが鍵となります。
この章では、あなたの志望動機の解像度を格段に上げ、「真のパートナー」として活躍できる人材であることを示すために、必ず盛り込みたい3つの重要なポイントを解説します。
入れ込むべきポイント① 「運用・保守」の強みと「支える」ことへの共感
日立システムズの志望動機で、他の就活生と最も差がつくポイントがここです。
多くの学生が「新しいシステムを『創る』」開発(インテグレーション)に目を向けがちですが、日立システムズの真の強みは、創ったシステムを「安定稼働させ『続ける』」運用・保守のノウハウと国内最大級の体制にあります。
志望動機で、この「運用・保守」の重要性(=社会インフラを止めない責任)を理解していること、そして「攻め」の開発だけでなく、「守り」の運用・保守という仕事を通じて顧客のビジネスを「支える」ことに強いやりがいを感じる、という点をアピールできると、非常に説得力が増します。
「真のパートナー」とは、まさにこの「支え続ける」姿勢の先にあります。
入れ込むべきポイント② 日立グループ(Lumada)とのシナジー
日立システムズは、独立した企業であると同時に、日立グループの一員であるという強力なアドバンテージを持っています。
この点を志望動機に盛り込むことで、企業研究の深さを示せます。
特に注目すべきは、日立グループが全社を挙げて推進するデジタル基盤「Lumada(ルマーダ)」です。
日立製作所の研究所が生み出す最先端のR&D(研究開発)の成果や、Lumadaという強力なデジタルソリューションを、「日立システムズ」という顧客に最も近い「実行部隊」として、日本中の企業や公的機関に届けられるというダイナミズムがあります。
最先端の技術(Lumada)と、顧客の日常業務を支える運用力、この両方を活用できる環境に魅力を感じる、という視点は非常に有効です。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
「なぜ日立システムズなのか」という問いに明確に答えるため、競合他社との比較は不可欠です。
この比較を志望動機に盛り込むことで、採用担当者に対し、「あなたは業界全体を研究したうえで、明確な意志を持って日立システムズを選んだ」という強い志望度(本気度)をアピールできます。
例えば、NTTデータや富士通といった競合SIerと比較した際、日立システムズは日立グループとしてメーカー(ハードウェア)機能も持つ総合力や、「運用・保守」から培われた顧客との長期的な信頼関係に独自の強みがあります。
また、SCSKやCTCといった商社系SIerと比較すれば、日立グループとしての「Lumada」という中核ソリューションを持つ点が異なります。
これらの「日立システムズならではの優位性」を的確に捉え、それが自分の価値観や目標と一致していることを論理的に説明することで、志望動機は格段に説得力を増します。
【日立システムズの志望動機】競合他社との比較しよう
日立システムズの志望動機において、「なぜ他社ではなく日立システムズなのか」を明確にすることは、選考を突破するための最重要課題です。
SIer業界には、メーカー系、ユーザー系、商社系、独立系など、多種多様なプレイヤーが存在し、それぞれに異なる強みや文化があります。
採用担当者は、学生が自社の立ち位置を業界の中で正しく理解し、明確な意志を持って選んでくれているかを見ています。
競合他社と日立システムズを比較分析することは、日立システムズの独自性や優位性を浮き彫りにし、あなたの志望動機に「日立システムズでなければならない理由」という確固たる論理的な背骨を与える作業です。
この章では、主要な競合他S社群を取り上げ、日立システムズとの違いを明確にするための比較軸を解説します。
競合Aとの違い:日立製作所(親会社)
まず比較すべきは、親会社である日立製作所です。
日立製作所は、日立グループ全体の戦略策定、研究開発(R&D)、そして「Lumada」に代表されるグローバルなソリューション開発を牽引する司令塔です。
一方、日立システムズは、日立グループのITセクターにおける「実行部隊」であり、「顧客接点」の最前線です。
特に日本国内のITサービス、インフラ構築、そして日立システムズが最も得意とする「運用・保守」のプロフェッショナル集団として、日立製作所が生み出したソリューションを個別の顧客に最適化し、導入・運用する役割を担います。
「グループの頭脳」としてグローバル戦略に携わりたいなら日立製作所、「顧客に最も近い現場」でITサービスを動かし、支えたいなら日立システムズ、という明確な役割分担があります。
競合Bとの違い:NTTデータ
NTTデータは、国内SIer業界の最大手であり、特に金融分野や官公庁(公共)といった「大規模社会インフラ」のシステム構築において圧倒的な実績と信頼を誇ります。
日立システムズもこれらの分野に強みを持ちますが、NTTデータほどの巨大プロジェクトに特化しているわけではなく、より幅広い業種(製造、流通、サービスなど)の顧客基盤をバランス良く持っています。
また、NTTデータが「システムインテグレーション(構築)」に強みを持つのに対し、日立システムズは「システムマネジメント(運用・保守)」の領域で長年の実績とノウハウを蓄積しており、そのDNAがより色濃いと言えます。
社会インフラへの貢献という点では共通していますが、そのアプローチや得意領域に違いがあります。
競合Cとの違い:富士通(FJJ) / NEC(NES)
富士通やNECは、日立と同じくハードウェア(サーバーやPC)も手掛ける「総合電機メーカー系SIer」という点で、最も近い競合と言えます。
彼らのITサービス部門(富士通JapanやNECソリューションイノベータなど)は、日立システムズと多くの領域で競合します。
両社ともに全国に強力な顧客基盤とサポート網を持っています。
その中での日立システムズの独自性は、やはり日立グループ全体で推進する「Lumada」というデジタルソリューションの有無です。
富士通やNECがそれぞれのDX戦略を推進する中、日立システムズは「Lumada」という強力な共通基盤を武器に、グループ一体となって顧客のDXを支援できる点が、戦略的な違いとなります。
また、日立グループのグローバルなR&Dとの連携も強みと言えるでしょう。
競合Dとの違い:SCSK / CTC(商社系SIer)
SCSK(住友商事系)やCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)といった「商社系SIer」は、特定のメーカーに縛られず、世界中から最適な製品(ハード・ソフト)を調達・組み合わせて顧客に提供する「マルチベンダー」であることに強みがあります。
日立システムズもマルチベンダーとしての機能を持っていますが、商社系SIerとの大きな違いは、自らが「日立」という強力なメーカーグループの一員である点です。
日立製品という強力な軸足を持ちつつ、他社製品も柔軟に取り扱うことができます。
また、SCSKやCTCが「商社」のDNAとして「モノ(製品)を売る」ことに強みを持つのに対し、日立システムズは「コト(運用・保守サービス)」で顧客と長期的な関係を築いてきた歴史があり、その点がビジネスモデルの違いとして表れています。
【日立システムズの志望動機】日立システムズのES通過者の志望動機の共通点
日立システムズのエントリーシート(ES)選考は、日立グループという人気と安定性から、毎年多くの応募者が集まるため、志望動機の内容は厳しくチェックされます。
その中で、選考を通過する学生の志望動機には、いくつかの明確な共通点が見られます。
最も顕著なのは、「日立システムズの独自性」を正しく理解している点です。
具体的には、単なる「日立グループ」というブランド力ではなく、「運用・保守」に強みを持ち、顧客と長期的な関係を築く「真のパートナー」であるというビジネスモデルへの深い共感を示せています。
また、日立アイデンティティ(和・誠・開拓者精神)への表面的な理解にとどまらず、自身の具体的なエピソード(例:チームでの協働経験や、責任感を持って物事を成し遂げた経験)と、これらの価値観を巧みに結びつけ、自身が日立システムズの社風にフィットする人材であることを論理的にアピールできているケースがほとんどです。
【日立システムズの志望動機】日立システムズの志望動機を作成する際の4つの注意点
日立システムズの志望動機を作成する際、その安定したイメージや「日立」というブランド力に惹かれるあまり、企業研究が浅く、本質を捉えきれていない「NGパターン」に陥る就活生が少なくありません。
採用担当者は、数多くの志望動機の中から、自社のビジネスモデルや価値観を本当に理解している学生を見極めようとしています。
この章では、あなたの志望動機が「また同じ内容か」と読み飛ばされてしまわないよう、作成時に特に注意すべき4つのポイントを具体的に解説します。
これらの「落とし穴」を回避し、論理的で説得力のある志望動機を目指しましょう。
注意点① 「日立グループだから」というブランド志向
「日立グループという安定した経営基盤に惹かれた」「日本を代表するHITACHIブランドの一員として働きたい」といった志望動機は、最も避けるべきです。
これは、日立システムズでなくても、日立製作所や他のグループ会社でも言えてしまう内容であり、「なぜ日立システムズなのか」という問いに全く答えられていません。
採用担当者は、ブランド力に惹かれる「お客様」ではなく、日立システムズの「固有の事業」、すなわちITインフラの運用・保守といった「縁の下の力持ち」の役割に魅力を感じ、そこで貢献したいという「当事者」を求めています。
ブランド志向の志望動機は、企業研究が浅いことの裏返しと見なされてしまいます。
注意点② 「新しいシステム開発」への偏った関心
「ITの力で新しいサービスを創造したい」「最先端のAI開発に携わりたい」といった「華やかな開発」への関心だけをアピールするのも注意が必要です。
もちろん日立システムズにもそうした仕事はありますが、同社の最大の強みであり、事業の中核は「運用・保守」という、既存のシステムを24時間365日支え続ける、地道で責任の重い領域にあります。
この「守り」の重要性を理解せず、「攻め」の開発のことばかり語ってしまうと、「当社のビジネスモデルとミスマッチかもしれない」と判断される危険性があります。
開発への意欲を語る場合でも、「開発したシステムを、その後の運用まで責任を持って見届け、真のパートナーとして支え続けたい」といった、運用・保守へのリスペクトをにじませることが重要です。
注意点③ 「社会貢献」という言葉の抽象的な使い方
「ITを通じて、広く社会に貢献したい」という志望動機は、それ自体は立派ですが、あまりにも抽象的すぎます。
SIer業界の企業であれば、程度の差こそあれ、すべてが社会貢献に繋がっています。
採用担当者が知りたいのは、「具体的に、どのような形で社会に貢献したいのか」です。
日立システムズの貢献の形は、主に「社会インフラや企業活動の『安定稼働』を支える」というものです。
この「安定を支える」という貢献の仕方に、あなた自身のどのような経験や価値観が共鳴するのかを具体的に語らなければ、「他のSIerでも良いのでは?」という印象を拭えません。
注意点④ 「学びたい」という受け身の姿勢
「貴社には充実した研修制度があると伺いました。
その環境で多くのスキルを学び、成長したいです」といった、「教えてほしい」「学ばせてもらいたい」という受け身の姿勢は、志望動機としては不適切です。
企業は「学校」ではなく、プロフェッショナルとして価値(バリュー)を生み出す場です。
もちろん成長は重要ですが、それはあくまで「会社に貢献する」ための手段に過ぎません。
この落とし穴を避けるには、「貴社の〇〇という強み(例:運用ノウハウ、Lumada)を『主体的に』吸収し、それを活かして、〇〇という形でお客様や会社に『貢献』したい」という、能動的な論理展開に切り替える必要があります。
「成長したい」ではなく、「貢献するために成長する」という意志を示すことが不可欠です。
【日立システムズの志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
日立システムズへの入社を強く希望する場合、インターンシップへの参加は極めて有効な戦略となります。
その最大のメリットは、採用ホームページや説明会だけでは決して得られない、日立システムズの「リアルな業務」と「社風」を肌で感じられる点にあります。
特に、同社の強みである「運用・保守」の現場や、「真のパートナー」として顧客とどう向き合っているのかを具体的に知ることは、企業とのミスマッチを防ぐうえで非常に重要です。
また、「和・誠・開拓者精神」といった日立アイデンティティが、現場の社員によってどのように実践されているかを直接見ることで、志望動機に圧倒的な具体性と説得力を持たせることができます。
もちろん、インターンシップでの高いパフォーマンスや熱意が評価されれば、早期選考への案内や本選考の一部が免除されるといった、直接的な優遇措置につながる可能性も高く、積極的に挑戦する価値があります。
【日立システムズの志望動機】日立システムズの志望動機例文
日立システムズの志望動機を作成する際、自分のどの強みや経験を、日立システムズのどの側面に結びつけるべきか、悩む方も多いでしょう。
ここでは、アプローチの異なる5つの志望動機例文を紹介します。
例えば、日立システムズの「支える」という側面にフォーカスした経験ベースのパターン、日立アイデンティティという「価値観」に共感したパターン、専門「スキル」を活かすパターンなどです。
これらの例文は、あくまで論理構成やキーワードの使い方の参考です。
丸写しは絶対にせず、あなた自身のオリジナルの経験と言葉で、日立システムズへの熱意と貢献意欲を伝えるためのヒントとして活用してください。
例文①(経験ベース:「支える」ことのやりがい)
私が貴社を志望する理由は、ITの力で社会インフラや企業の活動を「支え続ける」という仕事に、最も強いやりがいを感じるからです。
私は学生時代、大学の生協学生委員会に所属し、新入生向けのPCや教材のセットアップサポートを担当しました。
当初はPCの使い方を「教える」ことだけが役割だと考えていましたが、ある時、PCの不具合で途方に暮れていた学生に対し、粘り強く原因を特定し、無事にデータを復旧できたことがありました。
その学生から「あなたのおかげで、諦めかけていたレポートが提出できる」と心から感謝された経験は、「最前線で活躍する」こと以上に、「当たり前の日常を『守る』」ことの重要性と喜びに気づかせてくれました。
貴社は、「運用・保守」に圧倒的な強みを持ち、24時間365日、お客様のビジネスを止めないという強い使命感で社会を支えています。
この「縁の下の力持ち」としての役割こそ、私が最も貢献したいフィールドです。
サポート業務で培った「相手の不安に寄り添う傾聴力」と「粘り強く解決策を探る力」を活かし、「真のパートナー」としてお客様の「当たり前」を守り続けたいです。
例文②(価値観ベース:「日立アイデンティティ」への共感)
貴社を志望する理由は、日立アイデンティティ、特に「和(Harmony)」と「誠(Sincerity)」という価値観が、私が仕事を通じて最も大切にしたいと考える価値観と完全に一致しているからです。
私は大学で、異なる専攻の学生5名とチームを組み、共同研究プロジェクトに取り組みました。
専門知識も考え方も異なるメンバーの意見はまとまらず、当初、研究は停滞しました。
私はその状況を打開するため、自ら議事録係と進行役を買って出て、各メンバーの意見を「誠実」に傾聴し、論点を整理することで、共通の目標を見出すことに注力しました。
結果、多様な視点が融合した独創的な研究成果をまとめることができ、「和」の力でこそ、個人の総和以上の成果が生まれることを実感しました。
貴社のSIerとしての仕事は、まさに多様な専門家が「和」の精神で結束し、「誠」の心でお客様と向き合うことで成り立つものだと理解しています。
私の「異なる意見を束ね、信頼関係を構築する力」を活かし、チームの一員として、そして「真のパートナー」として、お客様の課題解決に貢献したいです。
例文③(スキルベース:情報系専攻×インフラ)
私は大学で情報工学を専攻し、特にクラウドコンピューティングとネットワークセキュリティの分野を学んできました。
その専門知識を、社会インフラの「安定稼働」という最も重要な領域で活かしたいと考え、貴社を志望いたします。
私の研究テーマは、ハイブリッドクラウド環境におけるセキュリティ脅威のリアルタイム検知手法です。
この研究を通じて、どれだけ優れたアプリケーションも、それを支えるインフラの「安全性」と「信頼性」がなければ成り立たないことを痛感しました。
貴社は、日立グループという強固な基盤を持ちながら、国内最大級の運用・保守体制と、マルチクラウドの高度なノウハウを両立させています。
特に、貴社が誇るデータセンターや統合監視基盤(COMSCIA)は、まさに私の研究で目指した「安全で信頼できるITインフラ」の具現化であると感じました。
研究で培ったセキュリティに関する専門知識と論理的思考力を活かし、貴社のインフラエンジニアとして、お客様のDX推進を「守り」の側面から力強くサポートし、日本社会の「当たり前」を支える一員となりたいです。
例文④(将来ビジョンベース:「Lumada」×地方創生)
私は、貴社が日立グループのデジタル基盤「Lumada」を活用し、日本全国の顧客のDX推進を支援している点に、大きな将来性を感じ志望いたしました。
私は地方出身者として、都市部とのデジタル格差や地域産業の衰退に強い問題意識を持っています。
この課題を解決するには、ITの力が不可欠ですが、多くの地方企業や自治体は、ノウハウや人材不足に悩んでいます。
貴社は、日立製作所の最先端技術(Lumada)と、全国に広がる強固な顧客基盤・サポート体制の両方を併せ持っています。
これは、最先端のソリューションを、日本の「すみずみ」まで、「運用・保守」という手触り感のあるサポートと共に届けることができる、他に類を見ない強みです。
私は学生時代、地域のNPO活動で培った「異なる世代の人々と信頼関係を築く対話力」を活かし、貴社の営業またはSEとして、地方のお客様の「真のパートナー」となりたいです。
Lumadaという強力な武器を携え、お客様の業務に寄り添いながら、地域社会の持続的な発展に貢献することが私の目標です。
例文⑤(別角度:BPO・業務改善への着目)
私が貴社を志望する理由は、システム開発やインフラ運用だけでなく、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を通じて、お客様の「業務そのもの」の変革まで踏み込んでいる点に、SIerとしての深い価値を感じるからです。
私は大学時代、飲食店でのアルバイトで、非効率な在庫管理やシフト作成プロセスを目の当たりにしました。
そこで私は、自らExcelマクロを学び、簡易的な管理ツールを作成・提案し、作業時間を月間20時間削減することに成功しました。
この経験から、ITはシステムを導入して終わりではなく、「業務プロセスに組み込まれて」初めて価値を生むことを学びました。
貴社は、ITインフラの運用・保守で培った「業務を熟知する力」を活かし、BPOサービスを展開することで、お客様がコア業務に集中できる環境を創り出しています。
私の「課題を発見し、業務プロセスの視点から改善を提案・実行する力」を活かし、貴社のBPO事業、あるいは運用・保守の現場で、お客様の「真のパートナー」として業務効率化に貢献したいです。
【日立システムズの志望動機】よくある質問
日立システムズは、日立グループの中核IT企業として高い人気を誇る一方、「日立製作所」との違いや、文系学生の活躍の場など、就活生の皆さんから多くの疑問が寄せられます。
この章では、就活アドバイザーとして数多くの相談を受けてきた中で、日立システムズの選考に関して特によくある質問を4つピックアップしました。
これらの疑問にQ&A形式で明確にお答えし、皆さんの不安を解消することで、自信を持って選考に臨むための準備を整えましょう。
質問① 「日立製作所」と「日立システムズ」の違いがよく分かりません。
これは非常に重要な質問です。
最も大きな違いは「役割」です。
日立製作所は、日立グループ全体の「司令塔」であり、「研究開発(R&D)」や「グローバル戦略」、そして「Lumada」のようなソリューションの「企画・開発」をリードします。
一方、日立システムズは、ITサービス分野における「実行部隊」であり、特に「顧客接点」の最前線です。
日立製作所が生み出したソリューションや、他社の優れた製品を組み合わせ、日本国内の顧客(企業、官公庁など)に「最適化」して導入(インテグレーション)し、その後の「運用・保守」までをワンストップで担います。
より上流の戦略やR&Dに携わりたいなら日立製作所、よりお客様に近い現場で、ITサービスを「支え続ける」プロになりたいなら日立システムズ、というキャリアイメージの違いがあります。
質問② 文系出身で、プログラミング経験がなくてもSEになれますか?
はい、全く問題ありません。
日立システムズは、文系・理系を問わず、毎年多くの新卒を採用しており、入社者の半数近くが文系出身者である年もあります。
その理由は、SEの仕事はプログラミングだけではないからです。
お客様が「何に困っているのか」を正確にヒアリングする「コミュニケーション能力」、課題を整理し、解決策を考える「論理的思考力」、そしてプロジェクトを円滑に進める「チームワーク(和)」が、技術以上に重要視されます。
必要なITスキルやプログラミング知識は、入社後の非常に充実した新入社員研修(数ヶ月単位)で基礎から徹底的に学ぶことができます。
学生時代の経験よりも、入社後に学び続ける「主体性」や「開拓者精神」の方が大切です。
質問③ 実際の社風や働き方はどのような感じですか?
日立システムズは、日立グループという巨大組織の一員であるため、「安定」と「コンプライアンス遵守」の意識が非常に高い、堅実な社風がベースにあります。
日立アイデンティティの「和(Harmony)」が示す通り、協調性を重んじ、真面目で誠実な社員が多いとされています。
一方で、近年は「働き方改革」にも積極的に取り組んでおり、テレワークの推進やフレックスタイム制度の導入、有給休暇の取得促進など、ワークライフバランスの向上にも力を入れています。
SIer業界全体としてプロジェクトの繁忙期はありますが、大企業ならではの福利厚生や制度の充実は、大きな魅力の一つと言えるでしょう。
質問④ グローバルに活躍するチャンスはありますか?
はい、チャンスはあります。
日立システムズの主な事業基盤は日本国内ですが、東南アジアやインドを中心に海外拠点を持ち、日系企業の海外進出支援や、現地のITサービス需要に応えるビジネスも展開しています。
また、日立グループ全体が「Lumada」を軸にグローバル化を加速しているため、日立製作所や海外のグループ会社と連携するプロジェクトに参画する機会も増えています。
もちろん、新卒入社後すぐに海外駐在となるケースは稀ですが、語学力やグローバルな視点を持ち、「開拓者精神」を発揮して手を挙げ続ければ、若いうちからグローバルな舞台で活躍できる可能性は十分にあります。
まとめ
日立システムズの内定を獲得するためには、「日立グループ」という大きな看板の奥にある、「日立システムズならではの独自性」を深く理解することが不可欠です。
それは、最先端のIT技術を駆使しつつも、「運用・保守」という地道な領域で顧客に深く、長く寄り添い、社会インフラの「当たり前」を支え続ける「真のパートナー」としての姿です。
本記事で解説した企業研究、競合比較、そして「和・誠・開拓者精神」といった日立アイデンティティへの共感を、あなた自身の具体的な経験と結びつけ、「あなたこそが、日立システムズの未来を支える仲間だ」と採用担当者に確信させる、説得力のある志望動機を完成させてください。