はじめに
「無印良品」を展開する良品計画は、単なる小売企業ではなく、「感じ良い暮らしと社会の実現」という独自の思想(MUJIイズム)を世界中に広める、唯一無二のSPA(製造小売)企業です。
その選考を突破するためには、「なぜ数ある競合(ニトリ、ユニクロなど)ではなく、良品計画なのか」を、この「思想」への深い共感に基づいて論じることが不可欠です。
この記事では、良品計画の志望動機を作成するために必要な企業研究から、同社が推進する「個店経営」や「第二創業」といった戦略を踏まえたアピールポイント、具体的な例文まで、就活アドバイザーの視点から徹底的に解説します。
志望動機が完成したらAIチェッカーを使おう
志望動機を書き上げた後、客観的な視点での推敲は選考突破のために不可欠です。
友人やキャリアセンターの利用も有効ですが、AIチェッカーを活用することで、時間や場所を選ばず迅速に論理構成のチェックを行えます。
AIを活用するメリットは、誤字脱字の修正に留まりません。
良品計画の選考で最も重要なのは、「なぜ無印良品の『思想』に共感するのか」という、理念へのフィット感です。
AIチェッカーは、あなたの経験と、良品計画が掲げる「これでいい」という価値観や「個店経営」といった戦略との結びつきが弱い部分、あるいは「商品が好き」という消費者目線に留まっている箇所を指摘してくれます。
AIを壁打ち相手として利用し、論理的で説得力のある志望動機に磨き上げてください。
【良品計画の志望動機】良品計画を知ろう
良品計画の志望動機を作成する上で、最初のステップは「良品計画(無印良品)がどのような会社か」を正確に理解することです。
「無印良品」は、もともと西友のプライベートブランドとして誕生し、現在は衣料品、生活雑貨、食品から家(MUJI HOUSE)まで、生活の全領域をカバーするSPA(製造小売)企業として、世界30以上の国と地域で展開しています。
その根幹にあるのは、「これがいい」という強い嗜好性ではなく、「これでいい」という理性的満足感を提供するという独自の思想(MUJIイズム)です。
近年は、単に商品を売るだけでなく、「個店経営」を推進し、店舗が地域のコミュニティハブとなる「土着化」にも力を入れています。
この「独自の思想」と「SPAモデル」、そして「グローバルとローカルの両立」が、良品計画を理解する鍵となります。
良品計画の事業内容
良品計画の事業内容は、「無印良品」ブランドによる商品の企画開発・製造・販売、および店舗運営です。
最大の特徴は、企画から販売までを一貫して自社でコントロールする「SPA(製造小売)」モデルを採用している点です。
これにより、「わけあって、安い。
」という理念のもと、高品質で機能的ながらも適正な価格の商品提供を実現しています。
事業の柱は「衣料・雑貨」「生活雑貨」「食品」の3分野であり、日常生活のほぼ全てを網羅する約7,000品目を展開しています。
さらに、単なるモノ売りにとどまらず、カフェ・レストラン「Cafe&Meal MUJI」、ホテル「MUJI HOTEL」、キャンプ場運営、住宅販売「MUJI HOUSE」など、「感じ良い暮らし」という思想を空間や体験として提供する事業も手掛けています。
近年は、地域社会のハブ機能を持つ店舗づくり(「個店経営」)にも注力しており、ビジネスモデルそのものが進化を続けています。
良品計画の業績
企業研究において、業績や中期経営計画の把握は、企業の体力と未来への戦略を知る上で不可欠です。
良品計画は、コロナ禍での一時的な停滞を経て、現在は国内外で再び成長軌道に乗っています。
特に注目すべきは、2024年8月期からスタートした「第二次中期経営計画」です。
この計画では「第二創業」をスローガンに掲げ、2027年8月期に営業収益8,000億円、営業利益880億円(営業利益率11%)という高い目標を設定しています。
この達成に向けた戦略の柱が、「個店経営の推進」「商品開発の抜本的強化」「グローバルでの成長加速」です。
特に「個店経営」は、店舗(店長)の裁量を大幅に拡大し、地域に密着した商品展開やサービスを主体的に行うもので、良品計画のビジネスモデルを大きく変革する取り組みです。
「第二創業」という変革期にあることを理解し、その変化の担い手になりたいという意欲を示すことが重要です。
良品計画の企業理念
良品計画の企業理念と、その根底にある「MUJIイズム」は、志望動機を作成する上で最も重要な要素です。
企業理念は「感じ良い暮らしと社会の実現」への貢献です。
この理念を実現するための思想が、創業以来変わらずに受け継がれる「MUJIイズム」です。
その核となるのが、「これがいい」というブランド嗜好性ではなく、「これでいい」という理性的満足感を顧客に提供するという考え方です。
これは、「豪華」や「過剰」の対極にある、「簡素」で「本質的」な価値の追求を意味します。
「わけあって、安い。
」という言葉に象徴される、素材の選択、工程の点検、包装の簡略化といったプロセスへのこだわりも、この思想に基づいています。
志望動機では、単に「シンプルが好き」という表層的な理解ではなく、この「思想」そのものに深く共感し、それを社会に広めたいという自身の価値観を明確に結びつけることが不可欠です。
【良品計画の志望動機】良品計画が志望動機で見ていること
良品計画の選考において、志望動機は候補者の価値観が「MUJIイズム」とどれだけ深く共鳴しているかを見極めるための最重要の問いです。
「無印良品の商品が好き」という消費者としての視点ではなく、「なぜ、その思想を自らの手で社会に広めたいのか」という提供者としての視点が厳しく問われます。
その上で、同社が「第二創業」と位置づける変革期において、「個店経営」という新しい仕組みを主体的に担えるか、すなわち「自ら考え行動できる実行力」を持っているかを見ています。
思想への共感という「マインド」と、それを現場で実現する「実行力」。
この両輪が揃っているかが、合否を分ける最大のポイントとなります。
「MUJIイズム」への本質的な共感度
良品計画が志望動機で何よりも重視するのは、「MUJIイズム」への本質的な共感度です。
これは、「商品がおしゃれ」「シンプルで好き」といったファン目線での感想ではありません。
そうではなく、無印良品が掲げる「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的満足感や、「わけあって、安い。
」というプロセス重視の姿勢、「アンチ・ブランド」という思想そのものに、なぜ自分が強く惹かれるのかを説明できるかどうかが問われます。
例えば、「過剰な消費社会に疑問を感じ、本質的で長く使えるモノの価値を見直したい」といった、あなた自身の具体的な価値観や問題意識と、MUJIイズムがどう結びつくのかを、明確に言語化する必要があります。
思想への深い理解こそが、志望動機の核となります。
「個店経営」を担える主体性と泥臭さ
良品計画は現在、「第二次中期経営計画」のもと、「個店経営」を強力に推進しています。
これは、本部主導ではなく、店舗(店長)が地域の経営者として大きな裁量を持ち、その土地のニーズに合わせた商品仕入れやイベント企画、地域貢献活動を行うことを意味します。
そのため、採用担当者は、候補者が「指示待ち」ではなく、自ら課題を発見し、主体的に行動できる人材であるかを厳しく見ています。
学生時代のアルバイトやサークル活動で、自ら問題点を見つけて改善提案を行った経験や、地域活動などで地道な努力を厭わずに成果を出した経験は、この「主体性」や「泥臭さ」をアピールする上で非常に有効です。
「第二創業」を担う挑戦心と変化への適応力
良品計画は現在を「第二創業」と位置づけ、ビジネスモデルの大きな変革に取り組んでいます。
グローバル展開の加速、国内での地域密着(土着化)の推進、「無印良品 500」といった新業態の開発など、常に新しい挑戦を続けています。
このような変化の激しい環境で求められるのは、現状維持に甘んじず、未知の領域にも好奇心を持って飛び込める「挑戦心」と、変化を前向きに楽しめる「適応力」です。
選考では、過去に前例のない取り組みにチャレンジした経験や、困難な状況を乗り越えて新しい価値を生み出した経験などを通じて、自分が「変革の担い手」となれるポテンシャルを持っていることを示す必要があります。
【良品計画の志望動機】良品計画の求める人物像
良品計画が求める人物像は、企業理念である「感じ良い暮らしと社会の実現」と、その根底にある「MUJIイズム」に心から共感していることが大前提です。
その上で、同社が「第二創業」と位置づける変革期を、共に創り上げていくことのできる「主体性」と「実行力」を持った人材を求めています。
「個店経営」の推進という戦略からも明らかなように、自らが経営者意識(当事者意識)を持ち、地域社会や顧客と誠実に向き合い、泥臭い現場仕事も厭わずに最後までやり遂げられる人物こそが、良品計画で活躍できる理想像です。
MUJIイズム(思想)を深く理解し、共感できる人
良品計画で働く上で、最も根本的に求められるのが「MUJIイズム」への深い共感です。
無印良品は、単なる商品を売っているのではなく、「感じ良い暮らし」という思想そのものを提案しています。
したがって、「なぜ、過剰な装飾を排した『簡素』さに価値があるのか」「なぜ、『これでいい』という合理的な満足感が、現代社会に必要なのか」を、自分自身の言葉で語れる必要があります。
この思想は、環境問題(資源の有効活用)や、消費社会へのアンチテーゼにも繋がっています。
自身の価値観や社会への問題意識と、このMUJIイズムが強く共鳴していることを示すことが、第一の条件です。
当事者意識を持ち、主体的に行動できる人
良品計画は「個店経営」を推進しており、これは社員一人ひとりに、特に店長には「経営者」としての視点と行動を求めるものです。
したがって、「指示待ち」の姿勢や「会社にぶら下がる」意識の持ち主は、良品計画のカルチャーとは全く合いません。
アルバニアイトやサークル活動、研究など、どのような場面でも構いません。
自ら課題を発見し(探究)、解決策を考え(共感)、周囲を巻き込んで(誠実)、最後までやり遂げた(実行)経験があるか。
企業理念の行動指針でもあるこれらの要素を、主体的に発揮できる「当事者意識」の高さが厳しく問われます。
地域社会に貢献したいという誠実な想いを持つ人
良品計画は近年、単なる商品の販売拠点としてだけでなく、店舗が地域社会のハブ(土着化)となることを目指しています。
「みんなみの里」の運営や、「つながる市」の開催、廃校の活用など、地域住民と深く関わり、その地域の課題解決に貢献する取り組みを増やしています。
そのため、「地域を元気にしたい」「人と人との繋がりを大切にしたい」という、誠実な想いを持つ人材が求められています。
華やかな企画だけでなく、地元の生産者や行政、NPOと地道な対話を重ね、泥臭く汗をかける姿勢が、これからの良品計画を支える上で不可欠です。
変化を楽しみ、グローバルとローカル両方で活躍できる人
良品計画は「第二創業」の真っ只中にあり、ビジネスは常に変化し、進化しています。
また、事業フィールドは世界30カ国以上に広がる「グローバル」な側面と、日本の各地域に深く根差す「ローカル」な側面の両方を持っています。
こうした環境で求められるのは、変化を恐れるのではなく、むしろ「挑戦の機会」として楽しめる前向きな姿勢です。
そして、グローバルな視野を持ちつつも、足元のローカルな現場で地道な努力を積める、バランス感覚を持った人材が、将来の幹部候補として期待されています。
【良品計画の志望動機】良品計画の志望動機に入れ込むべきポイント3選
良品計画の志望動機を作成する際、多くの就活生が「無印の商品が好き」という理由に留まってしまいがちです。
しかし、採用担当者に「この学生は本質を理解している」と思わせ、他者と差別化するためには、良品計画独自のビジネスモデルと思想に踏み込む必要があります。
ここでは、志望動機に必ず盛り込むべき3つの重要なポイントを解説します。
なぜ「小売業」で「SPA」モデルなのか
まず明確にすべきは、「なぜ他の業界(メーカー、商社、ITなど)ではなく、小売業、特にSPA(製造小売)モデルを選ぶのか」という問いへの答えです。
SPAモデルの最大の特徴は、お客様の声を商品企画にダイレクトに反映できる点と、店舗空間全体でブランドの世界観を表現できる点にあります。
例えば、「メーカーのようにモノを作るだけでなく、お客様の手に渡る最後の瞬間(店舗)まで、責任を持って携わりたい」あるいは「お客様の反応を直接感じ、それをスピーディーに商品開発や売場改善に活かせるSPAの仕組みに魅力を感じる」といった、具体的な動機を自身の経験と結びつけて語ることが重要です。
「これがいい」ではなく「これでいい」という思想への共感
良品計画の志望動機において、これが最も重要かつ決定的な差別化ポイントです。
無印良品が提供する価値は、「これがいい(ブランド性、流行)」ではなく、「これでいい(理性的満足感、本質的価値)」です。
なぜ、あなたがこの独自の思想に強く共感するのかを、自身の価値観や原体験に基づいて説明する必要があります。
例えば、「過剰な消費や、ブランドロゴに依存する価値観に疑問を感じ、自分にとって本当に必要な、質の良いものを長く使うというMUJIの思想に共感する」といった形です。
この哲学的な部分への深い理解が、単なる「無印ファン」との違いを明確にします。
競合他社との比較して優れた点を盛り込む
「なぜ良品計画か」という問いに、最も強力な説得力を持たせる手段が、競合他社との比較です。
この比較を志望動機に盛り込む最大のメリットは、あなたが業界全体(ニトリ、ユニクロ、IKEAなど)を深く研究した上で、明確な意志を持って良品計画を選んだという「志望度の本気度」を採用担当者に示せる点にあります。
採用担当者は、あなたが当然、競合他社も見ていることを理解しています。
その上で、「ニトリの『低価格』やユニクロの『機能性』も魅力的だが、私は無印良品が提供する『思想』や『感じ良い暮らし』という世界観にこそ、社会的な価値を感じる」といった、明確な比較軸に基づいた論理を展開することで、あなたの志望理由は「明確な意志を持った選択」へと昇華されます。
【良品計画の志望動機】競合他社との比較しよう
良品計画の志望動機の解像度を飛躍的に高めるためには、競合他社との比較分析が不可欠です。
「生活雑貨・アパレルSPA」という括りには多くの競合が存在し、それぞれが異なる戦略と強みを持っています。
あなたが「なぜ良品計画を選ぶのか」を論理的に説明することは、「なぜ他の企業ではダメなのか」を裏付けることになり、志望動機の説得力を格段に高めます。
ニトリとの違い
ニトリは、「お、ねだん以上。
」のキャッチコピーで知られる、家具・インテリアSPAの国内最大手です。
最大の強みは、製造から物流、販売までを自社で一貫してコントロールすることによる徹底した「低価格戦略」と、郊外ロードサイドを中心とした大型店舗網です。
良品計画(MUJI)との最大の違いは、提供する価値観にあります。
ニトリが「価格」と「機能性」を最重要視するのに対し、MUJIは「思想(簡素、自然、これでいい)」という哲学的な価値観を商品に乗せています。
また、立地戦略も異なり、MUJIは都市部の駅前や商業施設内、そして近年は「地域密着型」の店舗展開を進めている点も大きな違いです。
ユニクロ(ファーストリテイリング)との違い
ユニクロは、アパレルSPAとして世界トップクラスの企業です。
「LifeWear」というコンセプトを掲げ、機能性(ヒートテックなど)と高品質、ベーシックなデザインを追求している点は、MUJIの衣料品と共通項も多いです。
しかし、決定的な違いは「事業領域」です。
ユニクロが「衣料品」にほぼ特化し、そこに経営資源を集中投下しているのに対し、良品計画は衣料品、生活雑貨、食品、さらには家やホテルまで、「暮らしの全て」を網羅している点が最大の特徴です。
また、ユニクロがグローバルスタンダードな店舗運営を徹底するのに対し、MUJIは「個店経営」による地域密着(土着化)を推進するなど、店舗運営の考え方にも違いが見られます。
IKEA(イケア)との違い
IKEAは、スウェーデン発の家具・インテリアSPAのグローバル企業です。
MUJIと同様に、優れたデザイン性と機能性、手頃な価格を両立しています。
IKEAとの違いは、まずデザインの思想です。
IKEAが「北欧デザイン」という明確なスタイルを持つ一方、MUJIは特定のスタイルを持たない「普遍性」や「簡素さ」を追求しています。
また、ビジネスモデルも異なり、IKEAは顧客が自分で組み立てる「フラットパック」方式でコストダウンを実現し、郊外の超大型店舗での体験型ショッピングを提供します。
対してMUJIは、より生活圏に近い立地で、完成品を中心に販売しています。
Francfranc(フランフラン)との違い
Francfrancは、デザイン性を重視したインテリア雑貨・家具を扱うSPA企業です。
MUJIとの違いは、ターゲット層と提供する価値観が明確に異なる点です。
MUJIが「簡素」「自然」「これでいい」という合理的・哲学的な価値観を提供するのに対し、Francfrancは「デザイン性」「装飾性」「トレンド(かわいい、おしゃれ)」といった、感性的な価値を重視しています。
MUJIが「生活に溶け込む」ことを目指すなら、Francfrancは「生活を彩る」ことを目指していると言えます。
思想のMUJIか、感性のFrancfrancか、という明確な比較軸が存在します。
【良品計画の志望動機】良品計画のES通過者の志望動機の共通点
良品計画のES選考を通過する志望動機には、いくつかの明確な共通傾向が見られます。
最も重要なのは、単なる「無印良品ファン」の域を超えている点です。
通過者の多くは、「なぜ『これでいい』という思想が素晴らしいのか」を、自身の消費体験、環境問題への意識、あるいはミニマリズムへの関心といった具体的なエピソードと結びつけて、自分自身の言葉で「思想」として語れています。
また、良品計画が現在推進している「個店経営」や「土着化(地域貢献)」といった戦略的な動きを正確にキャッチアップし、「自分も店舗運営や地域活性化の現場で、主体的に貢献したい」という、「泥臭い現場」への貢献意欲を明確に示せているケースが目立ちます。
思想への共感と、現場で実行する意欲の両方が揃っていることが鍵です。
【良品計画の志望動機】良品計画の志望動機を作成する際の4つの注意点
良品計画の志望動機を作成する際、その独自の思想や戦略を正しく理解していないと、的外れなアピールになりがちです。
「シンプルでおしゃれ」というイメージだけで語ると、選考では全く評価されません。
ここでは、良品計画の選考で特に避けるべき4つの「落とし穴」について、具体的に解説します。
「商品が好き」という消費者(ファン)目線に終始する
「無印良品の商品を愛用しています」「シンプルでおしゃれなデザインが好きです」といった志望動機は、単なる「ファンレター」であり、志望動機としては最も評価が低くなります。
採用担当者が知りたいのは、消費者としての感想ではなく、「提供者(ビジネスパーソン)」としての視点です。
なぜ、その商品が生まれたのか、その裏にある「わけあって、安い。
」という思想(プロセス)を理解しているか。
そして、その思想や商品を、自分がどうやって世の中に広めていきたいのか、という「貢献意欲」が欠けていると、即座に見抜かれます。
「MUJIイズム(思想)」への理解が浅い
「シンプルが好きだから」「ナチュラルな雰囲気がいいから」といった理由は、MUJIイズムの表層しか捉えていません。
良品計画が追求する「簡素」とは、単なるデザインの好みではなく、「過剰な装飾やブランド性を排し、本質的な機能と品質を追求する」という哲学です。
「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的満足感を顧客に提供するという、消費社会に対する一つの「答え」を提示している企業です。
この哲学的な部分への深い理解と、それに共感する自分自身の価値観を示せなければ、志望動機として成立しません。
競合(ニトリ・ユニクロ)との違いが不明確
「SPAモデルに興味がある」「ベーシックな商品が好き」という理由だけでは、「それならニトリやユニクロでも良いのでは?」という採用担当者の疑問に答えることができません。
ニトリの「低価格・機能性」、ユニクロの「LifeWear(機能性アパレル)」と、良品計画(MUJI)が提供する「思想(感じ良い暮らし)」という価値の違いを、明確に理解し、説明する必要があります。
「なぜ、他のSPAではなく、MUJIの思想(MUJIイズム)を広めたいのか」を、競合との比較の上で論理的に説明することが不可欠です。
「華やかな企画職」志向が透けて見える
「商品開発がしたい」「マーケティングがしたい」といった、本社の華やかな企画職への憧れだけを語るのは非常に危険です。
良品計画は「個店経営」を推進しており、キャリアのスタートは例外なく「店舗運営」です。
店舗こそが顧客との最大の接点であり、MUJIイズムを体現する「現場」であると徹底されています。
地道な品出し、レジ打ち、在庫管理、アルバイト教育、地域との交流といった、泥臭い現場業務への理解と、そこでまず成果を出すという覚悟が感じられなければ、「現場を知らない人間は、良い企画などできるはずがない」と判断されてしまいます。
【良品計画の志望動機】インターンに参加して有利に本選考を進めよう
良品計画の内定獲得を目指す上で、インターンシップへの参加は極めて有効な戦略です。
最大のメリットは、本選考への優遇措置や早期選考に繋がる可能性が高い点です。
良品計画は「MUJIイズム」への共感度、すなわち「カルチャーフィット」を非常に重視するため、インターンというプログラムを通じて、学生の価値観や主体性をじっくりと見極めたいと考えています。
また、それ以上に重要なのが、「企業理解の深化」です。
「感じ良い暮らし」という思想や、「個店経営」という戦略は、外から見ているだけでは理解が難しいものです。
インターンで現役社員と深く対話し、店舗運営のリアルな課題に触れることで、「思想」が「現場」でどう実践されているかを肌で感じることができます。
この経験こそが、志望動機に圧倒的なリアリティと熱量を持たせるための、何物にも代えがたい材料となるでしょう。
【良品計画の志望動機】良品計画の志望動機例文
良品計画の志望動機は、同社の核である「MUJIイズム(思想)」と、自身の経験・価値観を論理的に結びつけることが鍵です。
「個店経営」や「第二創業」といったキーワードも意識し、主体性をアピールすることが重要です。
ここでは、異なる5つのアプローチから、評価されやすい志望動機の構成例を紹介します。
例文①:店舗アルバイト経験(経験ベース)
私は、無印良品の店舗でのアルバイト経験を通じ、「感じ良い暮らし」という思想を「現場」から実現することのやりがいと奥深さを学び、貴社の一員としてその最前線に立ちたいと強く思い、志望いたしました。
アルバイトで働くなかで、単に商品を売るだけでなく、お客様の生活に寄り添った提案や、商品の背景にある「わけあって、安い。
」という思想を伝えることの重要性を実感しました。
特に、店長や社員の方々が「個店経営」を意識し、地域の特性に合わせて主体的に売場レイアウトを変更したり、地元のイベントと連動した企画を考えたりする姿に、大きな刺激を受けました。
私も、自身の気づきを提案し、売場改善に貢献できた経験があります。
貴社でなら、アルバイトで培った現場感覚と主体性を活かし、店舗という「経営の場」で、地域社会の「感じ良い暮らし」の実現に貢献できると確信しています。
例文②:「これでいい」という思想への共感(価値観ベース)
私は、「これがいい」という過剰な消費やブランド性に疑問を感じ、「これでいい」という理性的満足感を追求する貴社の思想(MUJIイズム)に深く共感し、志望いたしました。
私は学生時代、環境問題に関心を持ち、自身の生活を見直す中で、多くのモノを所有するのではなく、本当に質が良く、長く使えるモノだけを大切にするミニマリズム的な価値観に至りました。
貴社の商品は、まさにその思想を体現しています。
過剰な装飾を排し、素材や工程にとことんこだわり、本質的な価値を追求する姿勢は、これからの持続可能な社会において不可欠なものだと考えます。
私は、消費者として「選ぶ」側から、貴社の「提供者」として、この素晴らしい思想と商品を世界中に広める一翼を担いたいです。
私の「本質を見極めようとする探究心」を活かし、貴社の理念の普及に貢献したいです。
例文③:建築・空間デザイン専攻(スキルベース)
私は、大学で建築および空間デザインを専攻しており、人々の「暮らし」の器をデザインする中で、貴社が提案する「感じ良い暮らし」という世界観に強く惹かれ、志望いたしました。
私が目指すデザインは、奇抜なものではなく、そこに住まう人の生活に静かに溶け込み、その人らしさを引き出す「余白」のある空間です。
貴社の「MUJI HOUSE」や店舗デザイン、そして個々の商品は、まさにこの「簡素さ」と「普遍性」を高いレベルで実現しています。
また、単に空間をデザインするだけでなく、衣食住の全てを一貫した思想(MUJIイズム)のもとで提案できる貴社のSPAモデルに、他社にはない大きな可能性を感じています。
私の空間構成能力とデザインの知見を活かし、店舗という「暮らしの舞台」を、地域社会と繋がるハブとしてデザインし、貴社の「個店経営」の推進に貢献したいです。
例文④:地域貢献活動(将来ビジョンベース・土着化)
私は、「感じ良い暮らしと社会の実現」という貴社の理念、特に近年注力されている「土着化(地域貢献)」の取り組みに深く共感し、志望いたしました。
私は地方出身であり、大学では地域活性化をテーマにしたNPO活動に参加し、地元の商店街と協力したイベント企画などを行ってきました。
その活動を通じ、地域が持つ独自の魅力と、それを発信する「場」の重要性を痛感しました。
貴社が、「無印良品 500」や「みんなみの里」のように、単に商品を売るだけでなく、店舗そのものが地域のコミュニティハブとなり、地元の生産者や住民と繋がる「個店経営」を推進している点に、私のやりたいことが全て詰まっていると感じました。
私の「地域に入り込み、信頼関係を築く力」を活かし、貴社の店舗を、その地域にとってなくてはならない「暮らしの中心」として育てていきたいです。
例文⑤:グローバルとローカルの両立(別角度のアプローチ)
私は、貴社が「グローバルSPA」として世界中に「MUJIイズム」を広めながら、同時に国内では「ローカル(土着化)」を推進するという、一見相反する戦略を両立させている点に、経営の独自性と将来性を感じ、強く志望いたしました。
私は留学中、現地の「MUJI」が、日本の「簡素で質の高い暮らし」の象徴として、国籍を問わず多くの人々に愛されているのを目の当たりにし、この思想の普遍性を確信しました。
同時に、日本国内では「個店経営」により、画一的ではない、その土地ならではの価値を生み出そうと挑戦しています。
私は、この「グローバルな標準化」と「ローカルな最適化」という両方の視点を持つことが、これからの小売業に不可欠だと考えます。
留学で培った異文化適応力と、国内の現場で泥臭く学ぶ意欲を両立させ、貴社の「第二創業」を支える人材になりたいです。
【良品計画の志望動機】よくある質問
良品計画は、その独自の思想とビジネスモデルから、就活生にとって多くの疑問が浮かぶ企業でもあります。
ここでは、選考に関して特によく寄せられる質問とその回答をまとめ、あなたの企業理解をさらに深めます。
入社後のキャリアパスは?ずっと店舗勤務ですか?
良品計画の総合職採用は、全員が店舗運営(店長候補)からキャリアをスタートします。
これは、同社が「個店経営」を推進しており、店舗こそが「MUJIイズム」を体現し、お客様と繋がる最重要の「現場」であると位置づけているためです。
まずは店長として「経営」を学び、成果を出すことが求められます。
その後は、本人の希望と適性、実績に応じて、商品開発(MD)、マーケティング、海外事業、店舗開発、人事・経理、あるいは地域貢献を担う部署など、多様なキャリアパスが開かれています。
現場主義が徹底されており、店舗での経験が全てのキャリアの土台となります。
アパレル・雑貨・食品など、部門別(職種別)の採用ですか?
新卒採用は、基本的に「総合職」としての一括採用です(一部、デザイン専攻などの専門職採用がある場合を除く)。
入社後にまずは店舗運営を経験し、衣料品、生活雑貨、食品という全ての部門の業務(商品管理、売場づくり、接客、在庫管理など)を学びます。
その過程や、定期的なキャリア面談を通じて、本人の適性や希望が考慮され、店長としてのキャリアや、本社の専門部署(例:食品部、生活雑貨部など)への異動が決まっていきます。
特定の分野だけをやりたいというよりは、まずは「無印良品」の経営全体を学びたいという姿勢が求められます。
競合(ニトリ・ユニクロ)と比べた、働く上での一番の違いは何ですか?
最大の違いは、「思想(MUJIイズム)への共感」が業務の根幹にある点です。
ニトリが「低価格・機能」の追求、ユニクロが「LifeWear(機能性アパレル)」の追求という、比較的明確なKPI(重要業績評価指標)を持つのに対し、良品計画は「感じ良い暮らし」という、定性的で哲学的な目標も同時に追求します。
また、「個店経営」と「土着化」の推進により、店舗運営の裁量が非常に大きく、マニュアル通りではない、地域貢献といった「答えのない課題」に取り組む機会が多いことも、他社との大きな違いと言えます。
「第二創業」とは、具体的に何をすることですか?
「第二創業」とは、良品計画が創業以来大切にしてきた「MUJIイズム」という思想の原点は変えずに、ビジネスの「やり方(仕組み)」を時代に合わせて大きく変革していく、という強い意志の表れです。
その最大の柱が、これまでの中央集権的なチェーンストア経営から、店舗(店長)が主役となる「個店経営」への転換です。
これにより、店舗が地域社会のハブとなり、地域住民のニーズに主体的に応えていくことを目指します。
同時に、グローバル展開をさらに加速させ、「グローバル&ローカル」の両輪で成長していく。
これが「第二創業」の具体的な中身です。
まとめ
株式会社良品計画は、「無印良品」というブランドを通じて、「感じ良い暮らし」という思想を世界に提案する、哲学を持った企業です。
その選考を突破する鍵は、この「MUJIイズム」に心から共感していることを、あなた自身の具体的な言葉で示すことです。
そして、「第二創業」と「個店経営」という変革期において、自らが主体的に行動し、泥臭い現場も厭わずに貢献できるという「実行力」をアピールすることが不可欠です。
本記事を参考に、あなたの熱意と思想が伝わる志望動機を完成させてください。