はじめに
ベンチャー企業に興味を持ち、就職したいと考えても、不安になるのが、将来的にも生き残っていく企業かという点です。
大手企業や中小企業であっても倒産することもある不安定な時代であることは紛れもない事実です。
もっとも、ベンチャー企業の場合、時代や環境を問わず、新しいビジネスが受け入れられずに倒産してしまうケースもあります。
ベンチャー企業の生存率はどのくらいなのか、生き残るベンチャーの特徴・見分け方について解説していきます。
【ベンチャーの生存率とは】気になるベンチャー企業の生存率とは?
大手企業の場合、倒産する確率はゼロとは言えなくても稀であり、金融機関の支援が受けられたり、国内、海外の企業が買収するなどして、経営者が変わったり、ある程度の形を変えても存続するのが一般的です。
これに対して日本の99%余りを占める中小企業はどうでしょうか。
中小企業庁のデータによれば、創業5年での中小企業の生存率は約40%です。
逆にいうと、創業から5年の間に約60%の中小企業が倒産しているということになります。
では、ベンチャー企業の場合はどうでしょうか。
日経ビジネスの調査によれば、5年後の生存率はなんと15%にすぎません。
中小企業に比べても圧倒的に低く、起業してから5年の間に85%は消えているということになります。
10年後の生存率は6.3%、20年後となれば、0.3%しかありません。
20年後なんてと思うかもしれませんが、22歳で就職したとしても、20年後はまだ42歳です。
子育てやマイホームの購入など一番お金がかかる時期かもしれません。
そこに至るまでの段階で、就職したベンチャー企業が潰れてしまっては人生計画も狂ってしまうことでしょう。
【ベンチャーの生存率とは】成長を続け、生き残るベンチャーを見極めるポイント
ベンチャーの生存率が低いといっても、生き残っている企業があるのも事実です。
中にはメガベンチャーと呼ばれ、一部上場企業になるなど、大手企業と比肩するレベルまで成長した企業もいくつもあります。
では、成長を続け、生き残るベンチャーを見極めるポイントはどんな点でしょうか。
「事業の将来性」、「安心できる出資元かどうか」、「オフィスの移転状況」、「競合が少ない」がポイントになります。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
事業の将来性
事業の将来性、すなわち、将来性の高い事業であるかはベンチャー企業生き残りの重要なポイントの一つです。
ビジネスモデルや事業内容が安定していて、利益を生み続けやすいものか、それとも短期的な利益しか生まないのかを見極めることが必要になります。
もっとも、これは学生さんレベルでは極めて難しい作業です。
学生さんのレベルでわかりやすく例えるならば、歌手や芸人がいきなり人気が出た後、その後も継続的に活躍していけるのか、それとも一発屋で終わるのかを見極めるということです。
ベンチャー企業が生み出す商品やサービスが、今の時代だけでなく、将来的にも必要になるものかどうかが一つのポイントとなります。
そして、一時的な人気に甘んじず、その後も改良を加えたり、新たな価値を加えて継続したり、進化させていけるかも重要になります。
安心できる出資元かどうか
ベンチャー企業の創業にあたっては、自治体や政府系金融機関などの創業者支援融資などを受けているケースもありますが、通常の借り入れは難しく、銀行などの金融機関からの融資はほとんど断られるのが現実です。
そのため、多くのベンチャー企業が創業者のポケットマネー的な自己資金に留まっています。
1,000万円程の資本金があれば、事前準備を行い、自分の夢の実現のために資金を貯め、それなりに覚悟を持っていると見ることもできます。
一方、最低資本金制度が撤廃されたことから、1円起業をしているところは極めて不安です。
また、資本金が数百万円程度あったとしても、親戚や知人などからかき集めているケースや知人に借りたお金を当てているケースも少なくありません。
創業者がかき集めた、わずかな自己資金のところは資金繰りがショートしやすく、直接的な倒産の原因になりやすいです。
優良なベンチャーキャピタルから出資を受けているかどうかが、将来性があるベンチャー企業の見極めポイントです。
オフィスの移転状況
オフィスの移転歴は成功の軌跡と考えることも可能です。
より広いオフィスに移転している場合は、事業拡大によって人手が増え成長している証拠だからです。
ですが、縮小移転はマイナス要素となります。
逆に狭いオフィスに移転している場合は、固定費を下げざるを得ない状況に陥っているので気を付けたほうが良いです。
もっとも、ベンチャー企業の住所や所在するビルの名称を見ることやオフィス移転の変遷も含めた沿革を見て、拡大移転なのか縮小移転なのかを判別するのは難しいものがあります。
この点、最初の所在地から都心の一等地のオフィスに移転しているからといって、成長企業とみなすのは危険です。
なぜなら、レンタルオフィスなど、デスク一つのスペースでも所在地として表示できるからです。
どのくらいの規模かは、実際に見てみないと不安な要素になります。
競合が少ない
これまでにない商品や技術の開発や新たなサービスの提供で知名度を上げ、売上を伸ばして一人勝ちしているようなベンチャー企業で、かつ、今後も継続的な需要が見込めるのであれば生き残る確率は高いです。
これに対して、似たような商品やサービスがある分野に進出したケースは、他社との競争に負けるおそれがあります。
また、最初は新しいものを打ち出したものの、それがヒットしたことから、類似商品やサービスを提供する企業が続々と出てきているようなケースで、その後に独自性が生み出せないと、やはりライバルとの競争に敗れるかもしれません。
競合が多い市場は他社に顧客が流れやすく、価格競争になりやすいため、生き残りが大変になるからです。
もし潰れそうなベンチャーに入ってしまった場合に得られるものとは?
成長を続け、生き残るベンチャーを見極めるポイントを紹介してきましたが、現実には見極めるのはなかなか難しいものです。
専門家でもわからないケースも多いのが現実です。
面接の時点では活気があったベンチャー企業が、入社後に雲行きが怪しくなるケースも少なくありません。
もし潰れそうなベンチャーに入ってしまった場合、失うものしかないのかといえば、決して無駄な時間だとは言えません。
当事者意識を持ってできることは何でもやり、なんとか状況を打破しようとするマインドセットが得られます。
その後に安定した企業に就職したとしても、自分が仕事で辛くなることや壁にぶち当たることは必ずと言って良いほど訪れるので、どこで仕事をするうえでも役に立つ精神力や乗り越える力が得られます。
会社が潰れる心配無く安心してベンチャーで働きたいあなたにおすすめ!メガベンチャーという選択肢
ベンチャーで働きたい、でも、会社が潰れるのは困るし、知名度の低いベンチャー企業の情報は得にくく、生き残れる企業かどうか見極めるのは難しいという方には、メガベンチャーという選択肢もあります。
潰れる心配をせずに、安心してベンチャーで働きたい方には、メガベンチャーがおすすめです。
メガベンチャーのほとんどは一部上場を果たすなど、大手企業に引けを取らないほど成長しています。
創業からの年数も15年、20年を超えているメガベンチャーが多く、20年後のベンチャー企業生存率0.3%の心配も乗り越えた企業です。
メガベンチャーであれば、若いうちから裁量を持って働ける・成長速度が速いといったベンチャーの良いところと、知名度が高い、潰れにくいといった大手企業としての良いところの双方を兼ね備えているため安心して働くことができます。
ただ、大きなハードルが待ち構えている点は覚悟しなくてはなりません。
人気が高く、選考に通るための競争率も高く、選考基準も独特かつシビアなので、就活対策が欠かせません。
まとめ
ベンチャー企業の生存率を見ると、中小企業に比べても低く、不安になる方も多いことでしょう。
もっとも、一概に数字が当てはまるとはいず、企業規模・財務状況・ビジネスモデルなどによっても異なるため、企業研究が非常に重要になります。
事業の将来性があるか、安心できる出資元かどうか、オフィスの拡大移転はしているか、競合が少ないかといったポイントから、成長を続け、生き残るベンチャーを見極めることが大切です。
とはいえ、見極めは難しいのも事実です。
もし潰れそうなベンチャーに入ってしまった場合にも、得られるものはあると覚悟して臨むか、会社が潰れる心配なく安心して働けるメガベンチャーを志願する選択肢もあります。