はじめに
今回は上場について紹介します。
ベンチャー企業は上場を目指すことが多いので、そもそも上場とはなんのことを指していて、どういったメリットがあるのかを解説していきます。
【ベンチャーが上場を目指す理由は?】そもそも上場って?
ベンチャーの目標は、さまざまですが、多くのベンチャーが目指している共通の目標もあります。
それが上場という状態で、今回は、ベンチャーの上場について紹介していきます。
そもそも上場というのは、「証券取引所に企業の株式を公開し、売買が自由に行えるようにすること」を指していて、上場して一人前の会社というイメージを抱いている人も多いのです。
そして、上場企業の割合は全社数の1割程度となっていますので、ある意味では選ばれし存在とも言えるでしょう。
しかし、企業にとって上場は、必ずしもメリットばかりではありませんので、そちらについても頭の片隅に入れておくと良いでしょう。
上場の種類
ここでは上場の種類について紹介します。
上場といえば、東証一部を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、上場というのは東証一部市場に上場することだけを指しているのではありません。
東証二部という市場もありますし、ほかにも新興市場のマザーズ、JASDAQといった存在もあります。
それぞれ市場の特徴が違っているので、どこに上場するかによって意味が異なってきます。
東証一部
東証は、日本で最も有名な取引所になっています。
東京証券取引所の略称になっていますが、東京証券取引所には一部と二部があります。
そして、一部は日本を代表する証券取引所だと言えるでしょう。
この東証一部に上場するということは、それだけ意味のあることです。
日本で最もお金の集まる市場ですし、日本で有名な企業はそのほとんどがここに上場しています。
日経平均という言葉がありますが、これは上場企業225銘柄の平均によって導き出されていますが、そのほとんどが東証一部に該当するのです。
たとえば、三井不動産や日立製作所、東京電力などそうそうたる顔ぶれが揃っています。
ただし、ベンチャー企業がここに上場できるようになるのは、かなり険しい道程だと言えるでしょう。
東証二部
東証二部は、東京証券取引所の二部にあたる市場です。
野球で現わすと、プロ野球チームの二軍に該当する存在だと言えるでしょう。
東証一部ほど活発にお金は動いておらず、中には、あまり知られていない企業も多くあります。
ただし、東証一部に上場するよりも、ずっとその条件が緩いので、東証に上昇するというステータスのために、ここを目指す場合もあるでしょう。
東証二部で出来高の多い一部の企業を確認してみると、バイク王&カンパニー、日本精機などがあります。
マザーズ
マザーズというのは、日本における新興市場を指しています。
つまり、ベンチャーと呼ばれるような企業が多く上場しています。
そのため、東証一部や二部に比べると、玉石混交という場所で、誕生したての頃には、それが問題でトラブルが発生したことも多数ありました。
マザーズ市場で重要視されているのは、安定性よりも、成長性なので、ベンチャー企業という性質を考えれば、マザーズへの上場を目指すのが妥当と言えるのではないでしょうか。
かつてはマザーズ筆頭でもあった、元祖SNSのmixiなども有名です。
さらに、医薬品関連の事業を手掛けているそーせいグループ、アフィリエイトサービスのASPの老舗を運営しているアドウェイズなど、それなりに名の知れた企業もマザーズに上場しています。
JASDAQ
JASDAQもどちらかといえば、マザーズと同じ、新興市場として数えられることが多いです。
そして、JASDAQがマザーズと違うのが、スタンダード市場とグロース市場に分かれているという点となります。
それぞれ毛色の違う企業が存在していて、スタンダードは実績重視です。
そして、グロースは成長性や将来性重視になります。
そのため、マザーズとJASDAQのグロース市場は、かなり似ている存在だと言えるでしょう。
実績重視のスタンダード市場には、かなり有名企業が名を連ねていて、そこはマザーズよりも知名度は高いと言えます。
たとえば、日本マクドナルドホールディングスやワークマン、東映アニメーションもJASDAQです。
ほかにも出前館などなど多くの人が知っている企業もあります。
そんな意味では、ベンチャー企業はJASDAQを目指すのもおすすめです。
【ベンチャーが上場を目指す理由は?】上場のメリット
ここではベンチャー企業が上場をすることによって得られるメリットについて触れてみます。
メリットが明確でなければ、これだけ多くのベンチャーが上場を目指すはずがなく、これを理解しておくことは重要になってくるでしょう。
資金調達がしやすくなる
これは上場の大きなメリットでしょう。
上場をすることによって、資金調達が格段に楽になります。
大きな市場に出すことになりますので、一気に資金が流れ込んでくる可能性があるのです。
ベンチャーが上場することによって、資金調達が容易になり、目指していた分野のビジネスを展開できるということも考えられます。
ただし、最近は資金調達の方法として、仮想通貨やソーシャルレンディング、クラウドファンディングという方法も一般的になってきつつありますので、昔ほど資金調達のメリットは少なくなっているのです。
上場することによって、余計な制約がつきまとうくらいならば、クラウドファンディングやソーシャルレンディングでお金を集めるという企業も多いのです。
社会的信用が得られる
特に、東証の市場に上場する場合には、社会的信用が得られるのが大きいです。
たとえば、東証一部に上場することができれば、かなりの資金流入が見込めるでしょう。
しかし、東証二部に上場しても、そこまでの資金流入は見込めない可能性があります。
それならば、なぜ東証二部に上場するのかというと、それは社会的な信用を得られるからでしょう。
東証と聞くだけで、かなり信頼性をアピールすることができます。
特に東証上場というワードは、年配の人たちにはかなりのアピールになることでしょう。
逆に若い世代の場合は、東証という響きにロマンを感じることは少なく、インフルエンサーのいうことのほうが信頼できるという人も多いです。
知名度が上がる
これも上場の大きなメリットです。
企業の知名度が上がれば、その企業に新たに投資したいという人が現れるかもしれませんし、その企業の商品を買ってもらえる可能性もあります。
ビジネスにおいて、知名度というのはかなり武器になりますので、こちらのメリットも軽視することはできません。
【ベンチャーが上場を目指す理由は?】上場のデメリット
株式上場することによって発生するデメリットを紹介します。
上場準備に費用と時間がかかる
上場準備に費用と時間がかかります。
なんの準備も費用もなく、上場しているのならば、多くの企業がそうするでしょう。
しかし、しっかりと企業を成長させてアピールする必要もありますし、それなりのお金も必要になってくるのです。
合併・買収の可能性が出る
上場することによって、合併や買収の可能性が出てきます。
M&Aという言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
合併されたり、買収されたりすると、今までの方針が一変する可能性があり、働いている社員も何を目指すと良いのかわからなくなってしまうこともあります。
株主が納得する経営をする必要がある
株式市場の上場によって、大きなリスクになる部分です。
現在、ほとんどの企業は株主の利益優先の考え方にコントロールされていると言えるでしょう。
大企業ならばある程度は仕方がないかもしれませんが、これによってベンチャーの機動力が失われてしまうことがありますので、そうなれば仕事が楽しくなくなるかもしれません。
【ベンチャーが上場を目指す理由は?】上場企業に行くメリットは?
上場企業に行くメリットについても確認してみましょう。
親など周囲を安心させることができる
簡単に潰れないですし、内部審査が厳しいためホワイト企業が多いです。
社会的信用がありますので、周囲にステータスをアピールできるというメリットがあるでしょう。
まとめ
ベンチャーが口を揃えて言う上場について理解できたのではないでしょうか。
上場はメリットもありますが、ベンチャーの強みを失わせてしまう可能性もあります。
また、どこの市場に上場するかによってもずいぶん違ってくるでしょう。