はじめに
ベンチャー企業が脚光を浴びる機械も多い最近では、就職先として検討している学生も増えてきました。
特に、これからのエネルギーとして注目を集めている風力発電に関しても、さまざまなベンチャー企業が新たな開発に向けしのぎを削っています。
風力発電は原子力発電の停止によるエネルギー不足の解決策、また地球温暖化への対策としても、政府レベルで推進されている事業分野です。
これからの発展が大きく期待されています。
今回は、風力発電に関する事業を行っているベンチャー企業について、その内容や将来性について詳しくお伝えします。
【風力発電事業を行うベンチャー】どんな事業なの?
風力発電とは?
風を使って風車を回してエネルギーを生み出すというシステムです。
ほかのエネルギーに比べると安全で再生可能エネルギーだといえるので、近年注目を集めています。
エネルギーの出力や化石燃料に比べるとコストもかかることが現在の課題となっています。
これらを補うためにも複数のベンチャー企業で研究や開発が進められている最中です。
たとえば、ベンチャー企業により開発された事業としては、のちに詳しく取り上げる羽のない風車や空飛ぶ風力発電などがあります。
このように、より効率がよく安全な風力発電を開発するためにさまざまなアイデアが形となっています。
風力発電は再生可能エネルギーの1つとして注目されている!
現在主に利用されているエネルギーは、石油や石炭、天然ガスを資源としています。
どれも限りあるエネルギー資源です。
中、化石燃料は電力として使用するにあたり、地球温暖化の原因にもなりうるという問題も指摘されています。
そういった中で、現在注目を集めているのが、風力発電をはじめとする自然エネルギーです。
ほかにも、地熱発電やバイオマス燃料製造などがあげられます。
資源が枯渇する危険もないだけでなく、温暖化の原因になりません。
そのため国をあげて地球に優しいエネルギーとして開発に力を入れています。
具体的にいうと、資源エネルギー庁では、現在の再生可能エネルギーの割合が15%であるのに対し、2030年度には割合を22〜24%する目標が掲げられています。
【風力発電事業を行うベンチャー】仕事内容は?
実際に風力発電に関わる事業を扱っているベンチャー企業では、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
いずれの職種においても、風力発電の設計やエネルギーに関する知識が必要になる仕事が一般的とされています。
さらに、風力発電を推し進めるにあたって、住民や地域関係者との調節をしたり、まちづくりに関わったりする仕事を担う場合もあるでしょう。
開発・研究
どうすればより効率よくエネルギーを生み出せるかという、もっとも根源的な部分に携わるのが開発や研究に関する仕事です。
特に発電事業の設計を行う専門職をエネルギーアーキテクトと呼ぶ場合もあります。
発電機だけでなく、送電線や変電所に関する幅広い設計開発の知識が必要とされます。
なぜなら、発電機は一見羽が回っている単純な仕組みのように思われますが、その中には機械や電気に関する技術がたくさんつまっているからです。
さらに、風力発電に適したエリアを選ぶため、地図データや気候条件について研究することも求められます。
生産管理
生産管理部門では、風力発電の工程における安全性の管理や品質のチェックなどを担当している部署です。
稼働状況を分析し、生産量を調節したり、操業にかかる費用にコストの見直しをしたりすることもあります。
ほかにも、発電所の安全をとりまく環境の整備も重要な役割の1つです。
製造設備管理
エネルギーを生み出す際に起こる不備を実際にメンテナンスする仕事も、風力発電に欠かせない仕事の1つです。
現代では技術の進化により、遠隔システムで状況を把握し、異常が起きた際にすぐに不具合を感知できるシステムも取り入れられています。
そうすることで、大きなトラブルになる前に修理や改善ができ、結果的にコストダウンにもつながるのです。
【風力発電事業を行うベンチャー】ベンチャー企業が関わる事業を紹介
ここでは、実際にベンチャー企業によって開発がされている風力発電に関する事業の例をご紹介します。
どれも、ベンチャー企業ならではの柔軟な発想力を活かした事業です。
興味のある事業や自分の研究に関連のある事業を見つけて、ぜひ就職活動に活かしてみてください。
洋上風力発電
海上での風力発電をする洋上風力発電は騒音問題や建設費の問題への解決策として注目を集めています。
通常の風力発電で問題になりやすい建設場所に関する問題を解決できるでしょう。
海上では陸に比べて大きな風力を持続的に受けられるというメリットもあります。
中、現在急速に風力発電供給量を伸ばしているイギリスでは、この洋上化が推し進められているという背景があります。
同じ島国であり海に四方を囲まれている日本でも、大きな期待を寄せられているといえるでしょう。
ただし、イギリスでは遠浅の海が多く設置が比較的容易であることに比べると、日本の海は水深の深い海が多いという点がネックとなっている現状があります。
そのため、深い沖合でも風力発電を可能にできる浮体式洋上風力発電の研究が盛んに行われています。
空飛ぶ風力発電
空飛ぶ風力発電とは、アメリカのベンチャー企業が開発した新しい風力発電のシステムです。
ヘリウムガスを利用しれ地上約600mの高さに浮上し、安定した強い風を受けることで、発電をする仕組みです。
以前から構想自体はあったものの、ケーブルの材料となる軽くて丈夫な材料が開発されたことをきっかけとして実現にこぎつけました。
従来の風力発電設備に比べて、2倍以上の電力量を発電できます。
また、設置までのコストと時間がかからないことや、据え付けが簡単であることも大きなメリットとしてあげられます。
今後は、災害地域や送電網のない地域などでの活用が期待できるでしょう。
プロペラのない風車
株式会社チャレナジーによって開発されたのが、風車のシンボルともいえるプロペラをとりはらった風力発電システムです。
風車の羽は、折れやすく問題が多い構造をしています。
特に台風などの自然災害の多い日本では、故障が多く、風力発電の普及にとっての大きな障害になっていました。
しかし、空気の流れの中に回転する円筒を置くことで、流れに対して垂直の力が発生する原理を利用し、プロペラのない風車の開発に成功しました。
さらに、従来型のものに比べると、回転数が少なく、騒音も起こりにくいというメリットもあります。
これらの技術は、特にエネルギーの輸送コストがかかりやすい島での活用が期待されており、世界中から注目を集めています。
【風力発電事業を行うベンチャー】風力発電事業の今後
風力発電事業は、地球温暖化への対策や、エネルギー問題の解決策として急成長しており、今後も大きく伸びていくことが予想されています。
政府の目標としては、2050年には30%以上を風力発電でまかなうという計画があります。
そのためには、事業計画認定の取得ペースをあげることや、導入ペースの加速化が必須といえるでしょう。
欧州では、約2000年から20年にわたって風力発電事業を推し進めてきた実績があり、まさに日本だけでなく世界的に見ても注目度の高い産業であるとなっています。
【風力発電事業を行うベンチャー】ほかのエネルギー業界と比較
風力発電は再生可能エネルギーの中でも、未開拓に近く、技術の発展でもっとも急成長を遂げています。
たとえば、震災後には原発が停止され、火力発電のコストが増加するなど電力に関してもさまざまな変化が見られるようになりました。
風力発電と同じ再生エネルギーとして注目されている太陽光発電は、家庭用として広がりを見せてはいますが、蓄電池との併用が不可欠であり、さらに発電効率の向上が期待されています。
一方でガス業界では、液化天然ガスから作られる都市ガスの大手では、海外でエネルギー事業に取り組んでいる会社もあるなど好調であり、今後の伸びも期待できるといえるでしょう。
ほかにも、純国産エネルギーとしての活用が期待されているメタンハイドレードも多くの企業から注目を集めています。
現状では、コストがかかりすぎるので安定生産までには至っていませんが、技術の開発によってこれらが可能になる日もそう遠くないかもしれません。
【風力発電事業を行うベンチャー】まとめ
今回は、風力発電事業に取り組んでいるベンチャー企業についてご紹介しました。
政府の目標や欧州の取り組みからもわかるように、再生可能エネルギーとして今後もますます発展が期待されている分野でもあります。
さらに、首相の発言の中でも2050年までに、温暖化ガスの排出量をゼロにする目標が示されました。
風力や太陽光発電の比率を伸ばすことが急務であるといえるでしょう。
ベンチャー企業でこれらの再生可能エネルギーの開発事業を通して、これからの地球環境や人々の生活をよりよいものに変えていける可能性があります。
ぜひ、これらに向けて意欲的に取り組んでいるベンチャー企業を就職の1つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。