はじめに
近年は学生の就職先としてベンチャー企業の人気が高まっていますが、初任給に関していえばまだまだ大手企業と比べると低いというイメージがあるかもしれません。
しかし、いわゆるメガベンチャーの中には大手企業と比べても遜色のない、場合によってはそれ以上の給与水準にある企業もあります。
ここでは、ベンチャーの中でも特に初任給の高い企業について紹介していきますので、ベンチャー企業への就職を考えている学生はぜひ参考にしてください。
新卒から稼げるベンチャーを紹介
では、初任給が高くて新卒学生でも稼ぐことのできるベンチャー企業とは具体的にどんな会社でしょうか。
1つの基準としては上場企業であること、そして事業規模が数百億円規模と大手企業並みであることも一つの指標となるでしょう。
中でも「ジーニー」「ビズリーチ」「グリー」「CAM」「DeNA」といった企業は初任給の高さに定評があり、新卒からでも大手企業よりたくさん稼ぐことができるので、学生にとっては注目すべき企業と言えるでしょう。
ジーニー
株式会社ジーニーは東京都新宿区に本社を置くマーケティング会社です。
もともとは独立した企業でしたが、2014年にソフトバンクグループと資本業務提携を締結して、現在はソフトバンクグループの一員として事業を展開しています。
海外進出にも積極的であり、シンガポールやベトナム、インドネシアなどに子会社を設立しています。
上場企業であり売上高は140億円、社員数は250名前後で社員の平均年齢はおよそ31歳です。
主な事業内容はWebサイトなどインターネットメディアに掲載される広告の収益最大化です。
ジニーの開発した広告プラットフォーム「GenieeSSP」は非常に人気が高く、アドテクノロジー事業の急激な成長を支えています。
近年は顧客管理ツールやチャット接客ツールの開発にも力を入れています。
初任給は最低でも大手企業並みの25万円、職種によっては40万円となっていて、新卒の平均初任給額は30万円前後です。
ビズリーチ
株式会社ビズリーチは東京都渋谷区に本社を置くインターネットサービス企業です。
2007年に設立されたベンチャー企業であり、2016年には従業員500名前後で売上高も3億円台でしたが、2020年は従業員が1,500名前後、売上高は25億円と大きく業績を伸ばしていることがわかります。
持ち株会社であるビジョナル株式会社は東京証券取引所マザーズに上場しています。
ビズリーチは幅広いインターネットサービスを提供していますが、その中でも事業の柱と言えるのが転職サービスである「ビズリーチ」です。
一般的な転職サービスのビジネスモデルは採用したい企業が費用を支払うことで求職者は無料で利用できるというものですが、ビズリーチは求職者が料金を支払って利用する「ユーザー課金型」の転職サイトとなっています。
一見すると敷居の高いサービスに思えますが、有料ということでほかにはないハイクラスの転職情報を入手することができるため、豊富な選択肢の中から転職先を見つけることができます。
初任給は30万円と高額です。
グリー
グリー(GREE株式会社)は楽天の社員だった田中良和氏が2004年に設立した東京都港区に本社を置くベンチャー企業です。
2020年の売上高は620億円、従業員数は718名で平均年齢は35歳となっています。
グリーは日本を代表するソーシャルネットワークサービス会社であり、事業は多岐に及びますが、その中でも売上の大部分を占めているのはゲーム事業となります。
そもそもグリーのスタートは世界初のソーシャルゲームである「釣り★スタ」の公開であり、その後も「探検ドリランド」や「戦国キングダム」「消滅都市」など数多くの人気ゲームを開発することで1,500万人を超えるユーザーを獲得することに成功しました。
ゲーム事業以外では配信アプリ「REALITY」を使ったライブエンターテインメント事業やネット工広告事業、近年では投資事業にも力を入れています。
グリーの初任給は35万円であり、大手企業の平均初任給である22万円を大きく上回っています。
CAM
株式会社CAMは東京都渋谷区にあるベンチャー企業であり、サイバーエージェントの子会社です。
以前はシーエー・モバイルという社名でしたが、2019年3月に現在の社名に変更しています。
CAMはエンターテインメント事業を軸としたインターネットサービス企業であり、その中心は「デジタル占い事業と」「アーティストファン事業」です。
デジタル占いはゲッターズ飯田氏などの著名な占い師の占いをネット上で利用できるサービスで、特に女性のユーザーから多く利用されています。
もう1つの軸であるアーティストファン事業ではEXILEをはじめとするLDHグループや乃木坂46、HKT48などのファンサイト運営や動画サービス、関連グッズの企画・制作などを行っています。
サイバーエージェントグループということでアメーバブログやABEMAなどのサービスと連携したサービスを提供できるのも大きな特徴です。
CAMの初任給は34万円となっています。
DeNA
DeNAは東京都渋谷区に本社を置くベンチャー企業です。
創立は1999年、設立者はマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントであった南場智子氏で、現在は代表取締役会長を務めています。
2020年度の売上高は1,370億円、従業員数は2,200人となっており、まさにメガベンチャーという言葉にふさわしい企業と言えるでしょう。
事業内容は多岐にわたりますが、その中でも収益の軸となっているのはゲーム事業です。
DeNAではMobageやYahoo! Mobageといったプラットフォーム上でパソコン向けゲームやモバイル端末向けゲームを多数提供しています。
近年人気のライブストリーミング事業ではアイドルやタレントの配信を楽しむことのできるSHOWROOMや個人で配信できるPocochaなどのコミュニティも提供しています。
このほかにも横浜DeNAベイスターズなどを運営するスポーツ事業、遺伝子検査を自宅で行えるMYCODEやヘルスケアアプリのkencomの提供といったヘルスケア事業、カーシェア事業などにも積極的です。
DeNAの初任給はおよそ35万円です。
初任給を高く設定しているベンチャー企業の狙いとは
ここまで見てきたように、一般的には初任給が低いというイメージのあるベンチャー企業でも、中には初任給を高く設定しているところがあります。
なぜ初任給を高く設定しているのかといえば、やはり一番の理由は優秀な人材を確保したいからです。
ベンチャー企業は大手企業に比べれば知名度が低く、最初から就職先として眼中にないという学生も少なくありません。
また、今現在は順調に業績を伸ばしていたとしても数年先はどうなっているかわからないという不安を持っている学生も多いでしょう。
安定性という面でも大手企業には敵いません。
そういったマイナスイメージを払拭し、優秀な学生からの応募を増やすために初任給を高く設定しているのです。
ただし入社の難易度は高い
初任給が高いことで注目度がアップすれば、当然ながら優秀な学生からの応募も増えるので入社するためのハードルも高いものになります。
たとえばDeNAの例を挙げれば、新卒採用者のおよそ30%が東京大学の出身者となっているので、難易度については大手企業と変わらない、あるいはそれ以上であると言えるかもしれません。
初任給の高いベンチャー企業への就職を目指すのであれば、大手企業と同等の対策が必要になるでしょう。
ベンチャー企業の場合は選考を兼ねた長期インターンシップを実施しているケースも多く見られるので、積極的にインターンシップに参加して仕事に必要な知識やスキルを磨いておくというのも採用を勝ち取るための有効な方法です。
ベンチャー企業で給料を上げる方法
日本の大手企業は一般的に年功序列の給与制度となっているため、長く勤務していれば一定の割合で昇給が得られますが、ベンチャー企業の場合は実力主義の場合がほとんどなので、成果を残さなければいつまでも給料が上がらないということになってしまいます。
これでは、せっかく初任給の高いベンチャー企業に就職することができても意味がありません。
では、ベンチャー企業で給料を上げるにはどうしたら良いのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
昇進する
これはベンチャー企業だけに限ったことではありませんが、昇進して高いポストに就くことができれば給料を上げることができます。
先ほども説明したように、年功序列が一般的な大手企業と違いベンチャー企業の多くは実力主義を採用しているので、仕事で大きな成果を出すことができれば年齢や勤続年数などに関係なく昇進を勝ち取ることができます。
つまり、実力さえあれば入社して数年という短い期間でも部長など重要なポストに就くことが可能なのです。
ただし、すでにメガベンチャーとなっているような企業では競争相手も多く、昇進も簡単なことではありません。
入社してから確実に給料アップを目指すならば、スタートアップして間もない企業に創業時から参画したほうが良いでしょう。
転職する
ベンチャー企業は従業員の数があまり多くないので、入社して間もない時期であっても重要な仕事を任されることも珍しくありませんし、自分の専門外の仕事を任されることもよくあります。
つまり、ベンチャー企業で働くことで大手企業よりも早い時期に幅広い仕事を経験することができるので、結果的に短期間で実践的な知識やスキルを身につけることができるということになります。
20代前半で実践的な知識やスキルを持つ人材というのは貴重であり、企業にとっては喉から手が出るほど貴重な人材です。
「高い給料を払ってもいいから、ぜひとも我が社に欲しい」と考える企業も多く、転職を機に大幅な年収アップを勝ち取ることも可能でしょう。
独立する
給料アップを目指すならば、独立して自分で会社を起ち上げるというのも一つの有力な選択肢です。
分業化されている大手企業ではどちらかといえばスペシャリストが重用される傾向がありますが、少人数のベンチャー企業では専門的な仕事だけでなくさまざまな仕事をこなさなくてはいけないので、ゼネラリストとしての能力が身につきます。
1人で何でもこなせるというという能力は起業にも役立つでしょう。
また、大手企業では営業職以外はどちらかといえば内向きな仕事が多いですが、ベンチャー企業の場合はエンジニアが営業を兼ねるということもあるので、人脈を作りやすいという特徴もあります。
これまでに培った人脈をもとに固定客を獲得することができれば、業績を安定させることができるでしょう。
社内起業の制度を活用
独立起業するとなるとそれなりの資金や人材を確保しなければなりませんが、20代での企業となると十分な資金や人材を確保することが難しいこともあるでしょう。
サイバーエージェントやDeNAといったメガベンチャーの中には、社内起業制度を採用しているところが多く見られます。
常に成長を求められるベンチャー企業にとって、収益性の期待できる新規事業の創出というのは大きな課題であり、新規事業の育成のための支援を積極的に行っているからです。
このような制度を利用することで資金や人材など必要なリソースについては会社から支援を受けられますし、企業の名前や信用を利用することもできます。
もちろん、事業が成功すれば成果として評価されるわけですから昇進のチャンスも増えますし、給料のアップにもつながります。
ベンチャー企業に向いている人
ここまで見てきてもわかるように、ベンチャー企業は国内の一般的な企業とは異なった特徴を数多く持っています。
そのため、学生によって向き・不向きがはっきりしやすく、安易にベンチャー企業を選んでしまうと「こんなはずではなかったのに・・・」と後悔してしまうこともあるでしょう。
場合によっては早期離職ということにもなりかねません。
では、ベンチャー企業に向いている人は、どのような人なのでしょうか。
詳しく見ていくことにしましょう。
結果へのこだわりがある人
国内には数多くのベンチャー企業があり特徴もさまざまですが、すべてのベンチャーに共通するのは「結果がすべてである」ということです。
資金力の乏しいベンチャー企業の場合、短期間に事業規模を成長させて黒字化することができなければ生き残れません。
とにかく結果にこだわって仕事をすることができる人、結果を出すために自分から動いてチャンスを作り出すことができる人はベンチャー企業に向いているということができるでしょう。
体力のある人
ベンチャー企業にはブラックが多いとよく言われます。
ベンチャー企業の多くは資金的な余裕があまりないので最低限の人数で仕事をこなさなくてはならず、どうしても1人あたりの仕事量が多くなって労働時間も長くなりがちだからです。
もちろん労働時間は短いほうが良いですが、創業して間もないベンチャー企業の場合は長時間働かないと会社の存続自体が危うくなってしまうことも多いため、長時間労働が当たり前という環境にあるのも事実です。
ですから、ベンチャー企業で働くには長時間労働を苦にしないだけの十分な体力が求められます。
同時に忙しい中でも上手に時間のやりくりができ、ワークライフバランスを保てるだけの自己管理能力も求められるでしょう。
起業を考えている人
将来的に起業を考えている人も、ベンチャー企業に向いている人材だと言えるでしょう。
起業するためには本業に関わる知識やスキルを身につけることももちろん大切ですが、業務と並行して電話や来客への対応、新規顧客への営業業務、採用業務など、会社に関わるすべての業務を幅広く行う必要があります。
少人数のベンチャーで働くことで幅広い業務を経験することができるので、起業の際には役立つでしょう。
また、組織がフラットで経営陣と従業員の距離が近いベンチャーでは、経営者のものの考え方というものを身近に感じることができます。
経営者として何をすべきなのか、ノウハウを身につけることができるという意味でも、ベンチャー企業は最適です。
初任給が高い企業を目指す際の注意点
初任給が高いということは就職先を選ぶ際の重要な条件の一つではありますが、初任給が良ければその後もずっと良い給料をもらい続けることができるというわけではありません。
初任給は良くても毎年の昇給率が低くて、その後はほとんど給料が上がらないという可能性もあります。
特にベンチャー企業の場合は実力主義が徹底されているので、十分な成果を出すことができなければ5年後も10年後も1年目とほとんど給料が変わらないということも有り得ます。
ですから、初任給の高い企業を選ぶ際にはその後の賃金モデルというものもしっかりと考慮に入れる必要があるでしょう。
また、福利厚生についてもしっかりと確認しておくことが大切です。
たとえば、初任給が高くても、住宅補助がなければ家賃負担が大きくなりますし、通勤手当がなければ自分で負担しなければなりません。
これでは初任給が良くても、それを十分に実感することが難しくなってしまいます。
まとめ
ここまでベンチャー企業の初任給について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
ベンチャー企業は少数精鋭が基本なので、優秀な人材を確保するために大手企業を大きく上回るような高い初任給を設定しているケースが見られます。
初任給の良い企業に就職したいと考えているならば大手企業だけでなく、ベンチャー企業まで視野を広げて探してみることをおすすめします。
ただし、初任給が良くても、その後の給料を決めるのは仕事の結果がすべてです。