はじめに
将来の就職先のひとつとして、金融業界の企業を狙っている方も多いのではないでしょうか。
金融業界を狙うのは良いことですが、まずは本当に自分に合っている業界なのか正しく見極めなければいけません。
そのために必要なのは、金融業界に関する正確な情報を集めることです。
本記事では、金融業界に向いている人の特徴や具体的な職種など、事前に知っておきたい金融業界の情報を詳しく紹介していきますので、就活のことで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
【金融業界とは?】金融業界とは
金融業界とは、文字通りお金にさまざまな形で関わり、社会を支えていく業界で、主に10個ほどの業種があります。
わかりやすい仕事内容としては、資金が不足し困っている方にお金を貸し、利子を回収することです。
ほかにも、定期的にお金を支払うことで、不慮の事故が起きた際に金額を補償する保険の提案などもあります。
金融業界とひと口にいってもさまざまな業種の選択肢があるため、自分にとってどの業種が合っているのかしっかりと見極めていきましょう。
銀行
金融業界の代表格とも言える「銀行」について詳しくご紹介します。
銀行の主な仕事は、顧客からお金を預かり、預かったお金を資金が不足している方に貸すということです。
ほかにも、振り込みやクレジットカードなどの利用料金を口座振替するといった決済に関わる仕事を担っています。
「お金を貸す融資」「お金を預かる預金」「送金・決済など為替業務」という仕事がメインだと言えるでしょう。
また銀行は、対象先や仕事内容、エリアやスケールなどにより、大きく4つに分けられています。
「メガバンク」「地方銀行」「信用金庫」「信託銀行」の4つです。
銀行とは、人が生活していくうえで、より豊かな暮らしができるように支えていく仕事なのです。
メガバンク
メガバンクとは、1兆ドルを超える総資産を持つ銀行グループとなり、多額の資産や収益規模を持つ銀行グループを指します。
日本では「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャルグループ」 「みずほフィナンシャルグループ」が3大銀行と呼べるでしょう。
これらの3大銀行は、日本のバブル期に吸収・合併を繰り返し大きく成長しました。
メガバンクは巨額の収益を持っているため、大規模な事業や海外進出も積極的に行っているのが特徴です。
日本の経済を左右する大きな影響力を持つため、責任感を持ちまじめに仕事をコツコツとこなしていく能力が必要となります。
また、就活生からの人気も高いため、内定を得るには綿密な準備が必要になるでしょう。
地方銀行
地方銀行とは、各都道府県に本店を構える銀行のことであり、全国地方銀行協会に加盟している銀行のことを指します。
主に小口取引が多く、対象は個人や地元の中小企業、地域の有力企業などがメインです。
地域産業の発展など、地域活性化に貢献していることが主な特徴です。
これらのことから、地方銀行は地域経済を支えるうえで重要な存在だと言えるでしょう。
仕事内容としては、メガバンクと大差はなく主に「預金業務」「貸付業務」「為替業務」の3つとなります。
地元に根付く業務が大半となるため、顧客との密なコミュニケーションが必要です。
そのため、人付き合いが苦にならない方や、長期的な関係構築が得意な方に向いていると言えるでしょう。
信用金庫
信用金庫とは、地域の人が会員となり、その地域の活性化を目的とした協同組織の金融機関となります。
主に個人や地元の中小企業が顧客になり、地域社会の発展に向けて各種業務を進めていくというのが信用金庫の特徴と言えるでしょう。
信用金庫と銀行の違いは、「経済を支えること」か、それとも「地域社会を支えること」かの部分となります。
ほかにも、信用金庫は銀行と違い、非営利法人であることも特徴的です。
仕事内容としては、地方銀行やメガバンクと大差なく、主に「預金業務」「貸付業務」「為替業務」の3つとなります。
地域密着型のサービスを提供しているため、地元愛が強く、地域への貢献がモチベーションにつながる方が向いていると言えます。
信託銀行
信託銀行とは、銀行と同じく「銀行業務」を行いますが、そのほかに「信託業務」「併営業務」を実施している銀行のことを指します。
基本的にお金を取り扱うのが「銀行業務」です。
一方、「信託業務」とは、依頼する方の目的や希望に沿い、資産運用や管理を行うことになります。
また、不動産や有価証券などお金以外の財産的価値のあるものも信託対象です。
「併営業務」には、相続関連業務や証券代行業務、仲介業務などの業務が含まれています。
信託銀行では、顧客から信託してもらうためには信頼が何よりも大切となるため、相手の立場になって考え、悩みや不安に寄り添えるような方が向いていると言えるでしょう。
「誠実な対応ができる」「聞き上手」などの特徴に該当する方なら、内定を得やすいと言えます。
証券
証券会社とは、投資家が株式や投資信託を購入する際の仲介を行うという窓口の役割があります。
株式を購入する人と売却する人を仲介し、仲介手数料をもらうことを「ブローカー業務」と呼び、これが証券会社の大きな収入源となっています。
また、証券会社自身が売買に参加することを「ディーラー業務」と呼び、こちらも大事な収入源のひとつです。
ほかにも、株式を証券会社自身が買い取り、ほかの人に売ることを「アンダーライティング業務」、株式を一時的に預かり購入してくれる人を探して売却することを「セリング業務」と呼びます。
銀行は基本的に預金などを目的に利用されますが、証券会社は資産形成や資産運用などの目的のために利用されます。
保険
保険業の主な役割とは、不測の事態に備えて加入者が定期的に支払うお金をもとに、ほかの加入者が病気になったり死亡したりといった損害を被った際に、経済的な補助として損害額を支払うことです。
保険業では、顧客から集めた資金源を運用することで得られる利益が主な収益源になります。
保険会社には、不測の事態から人々の生活を守り、社会を支えるという大切な役割を持っています。
また、保険には「生命保険」と「損害保険」の2種類があるので、保険業を目指す場合は自分に合うのはどちらなのかを考えておくと良いでしょう。
さらに、あらかじめどのような商材を扱っているのか調べておくことも重要です。
実際に加入してサービス内容を把握するのも、業界研究のやり方のひとつとして有効と言えます。
生命保険
生命保険とは、人が亡くなったときや病気や怪我をした際に、人への損失を補填する保険のことを指します。
加入者全員が公平に保険料を負担し合うことで、不測の事態の際に保険金や給付金を受け取り、自分や家族を守ることができる生活保障の仕組みのひとつです。
これを「相互扶助」と呼び、生命保険は助け合いの仕組みで成り立っています。
1人ではカバーできない不測の事態の際、必要な分のお金を受け取れるということが生命保険の大きな特徴と言えるでしょう。
損害保険
損害保険とは、偶然起きた事故など不測の事態によって生じた損害に対して備えるための保険となります。
生命保険の対象が人である一方で、損害保険の対象は基本的に「物」になります。
「不慮の事故によって他人の所有物を壊してしまった」「自分の所有物が壊れてしまった」といった際の損害を補うものです。
損害保険にはさまざまな種類があり、自動車による人身事故の損害賠償のための自賠責保険、火災保険や地震保険などさまざまあります。
ほかにも、医療・介護保険など幅広い損害をカバーすることが可能です。
クレジットカード
クレジットカード業界は、現金の代わりにカードを使用して決済できるサービスを提供しているのが特徴です。
現在では、成人1人あたりにつき3枚近く所有しているほど幅広く普及しており、クレジットカードがない生活はもはや考えられなくなりました。
決済時に立て替えた金額の数%を加盟店から手数料として回収し、カードを利用した人からは年会費やリボルビング払い手数料などを徴収して利益を得ています。
クレジット業界の主な業務として、自社カードの提携を促す加盟店営業や、入会を希望する人の返済能力があるかを審査する与信管理、債務者に支払いを促す債権管理などが挙げられます。
上記3つは会社の利益を伸ばすことや、クレジットビジネスのリスクを最小限に留めるための重要な業務と言えるでしょう。
信販
信販会社とは、簡単に説明すると「信用供与」を行っている会社のことになります。
信販会社の主なサービス内容としては、購入者の代金を立て替え販売元に支払い、購入者へ支払いを求める「個別信用購入あっせん」などが挙げられます。
ほかには、包括信用購入あっせん、各種融資やローン、保証業務や決済保証などが代表的です。
信販会社の収入源は、加盟店からの手数料やクレジットカードを発行している場合は、キャッシングや年会費といったものになります。
また、クレジットカード会社との違いは「業務範囲」になります。
クレジットカード会社がクレジットカードだけに特化した会社とすれば、信販会社はクレジットカードを含むあらゆる信用取引を行っているといったように、取り扱っている範囲が異なっているのです。
政府系金融機関
政府系金融機関は、一般的な銀行や信用金庫などとは違い、あまり耳にすることがない銀行のひとつです。
政府系金融機関とは、経済発展や中小企業の経済活動を支援するため、政府によって設立されています。
そのため、出資金の多くは政府が出しているのが特徴です。
仕事内容については、一般の銀行のように融資業務や地域産業の活性化のサポートなどであり、国民の暮らしをお金の面で支えています。
政府系金融機関に該当する銀行は、沖縄振興開発金融公庫・日本政策金融公庫・日本政策投資銀行・国際協力銀行・商工組合中央金庫の5つのみとなっています。
この5つの銀行は、いずれも独自の目的や役割を持っているので、志望する人は「なぜそこを選ぶのか」を明確にさせておくことが重要と言えるでしょう。
リース
リース業とは、設備や器具などを顧客に対して長期的に貸し出すサービスを行っている企業のことになります。
最近では、車や家電などを購入せずに長期的に借りる人も多いため、「実際に利用したことがある」という方も多いのではないでしょうか。
リース業では、購入した商品を貸し出す際に「リース料」を受け取ることで利益を出しています。
レンタル業とリース業との主な違いは「契約期間」です。
レンタル業が、日単位から週単位、月単位といった契約期間に対して、リース業は数年など年単位となっています。
また、リース業には中途解約のできない「ファイナンス・リース」と、利用者が必要とする期間だけ使用する「オペレーティング・リース」の2種類があります。
アセットマネジメント
アセットマネジメント業界とは、「投資信託」や「投資顧問」により、預かった資産の管理や運用を代行する業界です。
主に、個人や機関投資家からお金を預かり資産運用を行います。
資産を管理し運用する業務を「投資信託」、助言や情報提供をし、サポートすることを「投資顧問」と呼びます。
個人でもできますが、企業一つひとつが資産運用の専門家として顧客にさまざまなサポートを行っているのが特徴です。
アセットマネジメント業は、長期的な利益を上げることを目的とした運用方針を決める「運用部門」、投資家のために資産運用サービスを提案する「営業部門」、主にデータ管理などオペレート業務の「ミドル・バック部門」の3つに分けられています。
不動産金融
不動産分野と金融分野を融合した業界のことを「不動産金融」と呼びます。
土地などを有価証券に変えて資金を調達する「不動産証券化」や、資産価値の高い不動産を所持することで利益を得ています。
また、不動産価値の上昇により利益を得る「不動産投資」も行っており、比較的大きな額が動くため、プレッシャーが大きい分やりがいを感じられる仕事と言えるでしょう。
不動産金融には、主に不動産の証券化などの際に参加者の調整をする「アレンジャー」、資産管理の役割を持つ「アセットマネージャー」、資金を調達する「銀行・機関投資家」といった職種があります。
ほかにも、資産管理をする「プロパティマネージャー」、投資価値を調べる「デューデリジェンス」といった職種もあり、日本経済を回すうえでなくてはならない重要な存在です。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、高い成長が見込まれる未上場企業に対し、出資やビジネス支援といった投資を行う企業のことを指します。
ベンチャーキャピタルは、未成長の企業が将来的に成長してから株式や事業を売却し、売買時の利益であるキャピタルゲインを得ることで収益を得ています。
上場を果たせないベンチャー企業も多く存在するため、ハイリスク・ハイリターンの業界であると言えるでしょう。
また、出資以外にも企業が成長するために、経営コンサルティングを行い企業価値の向上を図る企業も少なくありません。
なお、ベンチャーキャピタルが出資先企業の経営に介入する場合を「ハンズオン」、出資だけを行う方法を「ハンズオフ」と呼びます。
【金融業界とは?】金融業界のベンチャー企業
金融業界におけるベンチャー企業の数はまだ少なく、業務内容も大手企業とは異なる点が特徴と言えるでしょう。
仮想通貨など、これまでにない金融や経済を表すFinTech(フィンテック)において、金融業界におけるベンチャー企業は急成長を遂げています。
ここでは、金融業界のベンチャー企業について有名な企業をいくつかご紹介していきます。
金融業界での就職先は幅広くありますので、就職先を探す際にぜひ参考にしてみてください。
Paidy
決済の分野で事業を行っている、金融業界におけるベンチャー企業のひとつです。
メールアドレスと携帯電話の番号を入力すると、SMSに届く認証コードを入力するだけで買い物が完了する便利なサービスを提供しています。
複数のサイトで購入しても、1つにまとめてメールなどで支払金額が通知され、翌月に銀行やコンビニにて支払うことが可能です。
なお、「Paidyプラス」になると、分割手数料がゼロである「3回あと払い」や、利用上限金額の確認なども行えるようになります。
アップグレードも、Paidyアプリなら無料で行えることもメリットのひとつと言えるでしょう。
WealthNavi
提供しているサービスの「WealthNavi」は、投資の知識や資産の額に関係なく、資産運用や税金の最適化まですべて任せられるサービスです。
このサービスは、働いている世代の方が豊かな老後を過ごせるよう、資産形成をサポートしていくサービスとなっています。
10万円から始めることが可能であり、毎月の積み立てが1万円であることから、低リスクでの資産運用が可能なことが魅力のひとつです。
また、オンラインにて運用プランの無料診断から口座開設まですべて完結できるのも見逃せないポイントと言えるでしょう。
freee
業務支援の分野で事業を行っているベンチャー企業のひとつで、2012年設立となります。
提供しているサービスである会計ソフト「freee」は、80万件を超えるシェアを誇ります。
インターネットの環境があれば、パソコンやスマホなど媒体を問わず利用可能な点が、クラウドサービスである会計ソフト「freee」の魅力でしょう。
また、帳簿や決算書などを自動で簡単に作成することも可能になっています。
さらに、請求書の発行も銀行口座やクレジットカードなどとの連携により可能なので、非常に汎用性の高いツールと言えるでしょう。
Moneyforward
お金を見える化する「マネーフォワード ME」は、無料で簡単に利用が可能なサービスになっています。
口座を自動でまとめ、家計簿を自動で作成できることが魅力のサービスとなります。
こちらのサービスは、家計や資産を一元管理することにより、資産管理をより容易にすることが可能です。
また、法人向けには経理や人事労務の作業を効率化するサービスプラットフォームを提供しています。
会社経営の現状や課題を解決するため、バックオフィスデータと連携し、リアルタイムで可視化することができるのが特徴です。
justincase
また、保険分野で事業を行っているベンチャー企業のひとつです。
「コロナ助け合い保険」や「歩くとお得保険」など体験を通じて保険に新しい価値を付与していることがサービスの特徴になります。
資本金は、2018年の時点で1億9600万円を超える企業となっています。
サービスとしては、保険加入者が全員健康な場合は保険料がゼロ円であり、最大保険料も500円からといった「わりかんがん保険」など手軽に利用できる保険が豊富です。
また、保険のほかに手持ちのクレジットカードに、どのような保険がついているかを無料でチェック可能な「クレカ付帯保険チェッカー」も便利なサービスとなっています。
bitFlyer
ビットコインの取引量が多いことから流動性が高く、ほかの仮想通貨取引所に比べて各種取引をスムーズに行うことが可能となっています。
これに加え、日本円入金手数料をはじめとして、アカウントの作成や維持手数料に至るまで、あらゆる手数料が無料であることも魅力のひとつと言えるでしょう。
また、12種類の仮想通貨が100円から売買も可能となっています。
パソコンやスマホから操作できるため利便性が高く、時間や場所に左右されず利用できることもポイントです。
毎日忙しいビジネスパーソンでも使いやすいため、今後も利用者が増えていくと予想されています。
【金融業界とは?】金融業界のベンチャー企業の魅力
ここまで、金融業界のベンチャー企業の種類や有名な企業について紹介しました。
次は、ベンチャー企業が持っている魅力について知っていきましょう。
金融業界のベンチャー企業は、従来の安定感のある金融業界に対して、新しくビジネスの幅を広げる一手となりました。
これまでになかった新しいサービスの誕生により、多くの人に認知してもらえるようになり、今後も勢いを増していくとされています。
以下の内容をチェックし、金融業界全体の理解を深めてみてください。
成長性
金融業界のベンチャー企業の魅力として、「成長性」が挙げられます。
多くの金融ベンチャー企業が注力しているFinTechは、市場規模が急速に拡大しています。
また、経済や生活の基盤を新しく変革させる可能性のある金融ベンチャーを政府も後押ししている状態のため、「成長するチャンスが多い」と言えるでしょう。
独自のアイディアや技術をもとに、これまでにないビジネスやサービスを創造していくベンチャー企業には、事業拡大の可能性が秘められています。
「これからの社会の基盤となるサービスやビジネスを作ろう」と、多くのベンチャー企業が目の前にある仕事に懸命に取り組んでいます。
そのため、金融業界のベンチャー企業の将来性は十分にあると言えるでしょう。
最先端の金融知識の獲得
金融業界の最先端の知識を得たいのであれば、大企業ではなくベンチャー企業への就職を考えると良いでしょう。
ベンチャー企業では、最新の金融知識のほかに、ビッグデータ・AI・ブロックチェーン・IoTといった最先端IT技術に触れることも可能です。
また、金融業界のベンチャー企業は現在急成長を遂げています。
そのため、将来的に必須となる最新の金融知識の黎明期にいられるかもしれません。
送金・決済・仮想通貨などの得られた最新の金融知識は、IT技術と融合すれば新しい価値を創出することが可能になります。
なお、金融業界のベンチャー企業については以下の記事でも詳しく解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
→https://shukatsu-venture.com/article/306014
【金融業界とは?】金融業界の動向
ここまで、金融業界におけるベンチャー企業の魅力や企業の種類などを紹介してきました。
金融業界に進むか決めるうえで大切なことは、これからの金融業界の動向に着目することです。
「将来的に不安がないか」という点は、ほかの業界であっても必ず知っておくべきこととなります。
就活で失敗しないためにも、必ず調べておくことをおすすめします。
それでは、成長を続ける現在の金融業界の動向について、詳しくご紹介していきましょう。
IT化が進んでいる
金融業界では、すでにFinTechのアイディアの考案・実施が進んでいます。
帳票の読み取りの自動化や保険金の見積もりのAI化、決済や送金などの自動化まで、金融業界のIT化の例は挙げれば切りがありません。
また、IoTの普及に伴い膨大な情報が入手可能となります。
しかし、ヒューマンパワーだけでは処理が難しいため、AIによる解析や管理といったことも増えていくでしょう。
ほかにも、IoTにより集められた情報の財務管理、資産運用のサポートがしやすくなります。
たとえば生命保険では、健康管理をリアルタイムに行えるサービスの開発など、IoTで収集したデータを活用した技術革新は順調に進んでいます。
以上のことを踏まえ、金融業界のIT化の勢いは衰えることなく進んでいくと言えるでしょう。
資金運用の難化
2016年頃からのマイナス金利政策の影響により、資金運用は難しくなってしまっているのが現状です。
資金を地域の企業や個人へと流し、経済が滞ることがないように考えられたこの政策により、金融機関は積極的に資金を流動させるようになりました。
しかし、その分顧客に貸し出す際の金利が下がり、利潤が得にくくなったため、資金運用が難しくなってしまったのです。
マイナス金利政策によって、銀行は他企業などへ融資をすることにより、金利収入を増加させることに躍起になっています。
しかし、融資先はある程度限られており、さらに投資資金を回収できないこともあるため、収入を増やすことができず苦しんでいる金融機関も少なくありません。
海外事業の拡大
現状では、金融業界全体で見ると海外市場への進出に意欲的な企業はまだまだ少なく、海外市場への参入などは大手企業に限られています。
海外への進出は消極的で、国内市場に留まる企業も多いです。
しかし、国内市場が飽和状態であることに変わりはないため、海外進出を目指す企業が増加すると考えられています。
これに伴い、ビジネスで使用できるほど英語レベルの高い人材の確保に力を入れる企業も少なくありません。
「自分の英語力を仕事で活かしたい」と考えている就活生にとっては、金融業界に進むのも有効と言えます。
自分が目指す企業が、海外進出をどの程度考えているのか見極めることも、企業とのマッチング度に影響することになるでしょう。
【金融業界とは?】金融業界の職種
金融業界といっても、さまざまな企業があります。
また、業種も職種も豊富で、当然ながら業務内容にはそれぞれ違いがあります。
そのため、仕事のミスマッチを防ぐためにはそれぞれの職種に対して理解を深めることが重要と言えるでしょう。
金融業界にある職種を把握することで、自分に金融業界が向いているかどうかも見えてきます。
ここでは、金融業界の職種について詳しく紹介していますので、ぜひチェックして自分に合った就職先を選ぶようにしましょう。
バックオフィス
ほかの業界にも共通しますが、金融業界にも総務・労務・人事・財務・経理などのバックオフィスの職種があります。
バックオフィスの職種は、ほかの職種の人たちを支える非常に重要な役割を持っています。
「総務」は福利厚生の整備、各種書類の作成など社員が居心地良く感じられるよう、さまざまな業務を行う職種です。
また、勤務時間管理などを行う「労務」、採用活動や昇給などに関わる「人事」、法律に特化した「法務」などが存在します。
ほかにも、今後企業が使用するお金に関わる「財務」、企業が使用したお金に関わる「経理」など、バックオフィスの職種は細分化されています。
バックオフィスを目指す場合は、その中でもどの部門に就きたいのかを考えておき、それを面接の場でアピールできるよう、準備しておくと良いでしょう。
専門職
金融業界には、バックオフィスのほかに高度で専門的な知識を取り扱う専門職という職種があります。
経済学や統計学などを踏まえた計算が必要になり、日々の努力が特に求められる職種です。
国家資格などが必要になることも多いため、門戸が狭く感じられますが、資格を持っている分希少価値も高く、高待遇であることの多い職種になります。
また、金融業界は日々目まぐるしく成長していく転換期が訪れています。
そのため、「資格を持っているから大丈夫」といって情報をアップデートできない方では時代に取り残されることになってしまうでしょう。
「金融業界の専門職を目指したい」と考える人は、目指す専門職ではどんな資格が必要なのか、日々情報を仕入れるためのアンテナを張っておくようにしましょう。
エコノミスト
金融業界の専門職である「エコノミスト」は、教育機関や証券会社、シンクタンクなどで経済状況を調査・分析する職種になります。
規模の大きい経済動向を調査し、情報を収集したり分析したりする人のことです。
また、場合によっては海外の調査を行うこともあります。
その後、研究結果を世の中に発信していくこともあるため、影響力の高い仕事と言えるでしょう。
エコノミストになるために必要となる資格は特にありませんが、統計学や経済学の知識があれば多少有利になります。
プライベートバンカー
金融業界の専門職である「プライベートバンカー」は、企業の経営者などを対象とした専属担当者として、資産運用に関してアドバイスを行う職種になります。
顧客との信頼関係が構築できているプライベートバンカーは、顧客から資産運用などといったやりがいのある仕事を任せてもらえることもあり、特に達成感を味わうことができる仕事と言えるでしょう。
しかし、資産状況などプライベートな悩みについて相談する相手となるため、顧客に信頼に足る人物だと思ってもらえるようなコミュニケーション能力が欠かせません。
証券アナリスト
金融業界の専門職である「証券アナリスト」は、銘柄分析といった財務状況や業績状況のデータをもとに、企業の分析することで経済状況を把握します。
主に、調査した企業が投資するに値するかどうかを判断する仕事です。
証券アナリストは基本的に、アセットマネジメント会社や証券会社へ勤めることになります。
また、証券アナリストになるために必要な資格はありませんが、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)を取っておくと業務に必要な知識が得られるためおすすめです。
ファンドマネージャー
金融業界の専門職である「ファンドマネージャー」は、今後の運用方針を決定する役目があります。
そのため、投資信託の運用について、ほかの専門職からの分析結果を集めることが主な仕事です。
取引市場が開く前の早朝から仕事が始まり、多種多様の情報を集め運用についての計画を作るのが特徴になります。
また、ほかの専門職と話し合って投資銘柄を決定し、投資家に投資信託の状況を報告することも重要な仕事のひとつです。
必須の資格はありませんが、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)を取ることをおすすめします。
アクチュアリー
金融業界の専門職である「アクチュアリー」とは、生命保険会社や損害保険会社に勤務し、数理の高度な知識を駆使して仕事を行うため、専門職の中でも特に仕事が難しい職種と言えるでしょう。
保険料率を用いて保険金額を決定することや、収支状況を評価するといった仕事は素人ができるようなものではありません。
なお、アクチュアリーになるためには、必要な勉強期間が8年間と言われている日本アクチュアリー会のアクチュアリー資格試験に合格する必要があります。
営業職
金融業界でもほかの業界と同じように、顧客に金融商品を販売する仕事である営業職があります。
金融業界について基本的なことが学べるため、新人が配属されることの多い部署です。
営業のスタイルは2種類あり、顧客に直接販売する「直接営業」と、委任契約した代理店に販売してもらう「間接営業」があります。
また、金融業界の営業では、企業を対象とした「ホールセール」と個人を対象とする「リテール営業」の2つがあります。
同じ営業職ではありますが、取り扱う額が大きくやりがいのある「ホールセール」と、コミュニケーションが必要で信頼関係が重要となる「リテール営業」というように、仕事内容はまったく異なるのです。
そのため、自分に向いているのはどちらなのか見極めておきましょう。
事務職
金融事務とも呼ばれる金融業界の事務職は、窓口などで行う顧客対応、必要な文書やデータの作成、備品管理など縁の下の力持ち的な役割があります。
ほかの職種の方の仕事が潤滑に回るよう、常に頭を使って働くことが必要となる職種と言えるでしょう。
また、営業職の方に提出する契約書類の作成、社内の統括部署への申請業務なども請け負います。
金融事務では、単純作業だけでなく、資産運用・為替・各種金融商品などについての専門知識が必要であり、継続的な勉強が欠かせません。
また、最近はAIなどの発達により、事務職単体での需要は少なくなっています。
事務職として働くためには、ほかのスキルなど付加価値をつけることが必要となってきます。
【金融業界とは?】金融業界に向いている人
金融業界とは、企業により業種もまったく異なり、1つの企業の中でも専門職や事務職、営業職などさまざまな職種の人が働いています。
そのため、金融業界を目指したいと考えていても、「自分に向いているのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、金融業界に業種問わず向いている特徴をご紹介していくため、金融業界に興味のある方は参考にしてみてください。
自分の自己分析と照らし合わせて、確認することで企業とのミスマッチを減らすことが可能になります。
細部にまで気を遣える
最初にご紹介する金融業界に向いている人の特徴とは、細部にまで気を遣えることになります。
金融業界では、お客様の大切な資産であるお金を預かるからこそ、正確で丁寧な業務を行わなければなりません。
そのため小さなミスにも素早く気づくことのできる、細やかな気配りができる人材が金融業界では重宝されるのです。
お客様からの信頼は、築き上げるまでは時間がかかります。
さらに、小さなミス1つでそれまで長年積み上げてきた信頼が崩れてしまうことも少なくありません。
どんなに小額な取引の相手であっても、長い目で見ると大きな損失につながってしまうため、顧客への態度や気配りが変わらないように気をつける心がけが必要となってくるでしょう。
責任感がある
次にご紹介する金融業界に向いている人の特徴とは、責任感があることです。
どんな業界でも大切なことではありますが、金融業界ではお客様の資産を預かっている立場であるため、特に自分の仕事に対しての責任感を求められる傾向にあります。
自分の判断次第で、お客様の資産が失われることになってしまう可能性があるからです。
取り扱っている数字を帳簿上の表面的なものではなく、背景に「お客様の存在する大切な資産がある」という認識を持つことが重要です。
自分の判断や決定に責任を持つためにも、決定を裏付けられる判断材料をしっかりと提示する必要があります。
そのためにも、日々情報を仕入れてアップデートしていき、経験を積むことが重要と言えるでしょう。
積極性がある
3つ目にご紹介する金融業界に向いている人の特徴とは、積極性があることになります。
特に新卒時は営業職に配属されることも多く、自分から積極的にアプローチをかけていくことのできる人は結果を残しやすいです。
専門性が高く、経済や統計学といった知識が必要なため、向上心があり積極的に新しい知識やスキルを手に入れていくことが重要となるでしょう。
また、金融業界は特に変化が激しいため、自ら積極的に情報を集めて最先端の知識を得ていかなければやっていけなくなります。
何事にも積極的に行動していく判断力と行動力がなければ、金融業界で働いていくことは厳しいと言わざるを得ないでしょう。
常にアンテナを張り続け、好奇心や探究心が強く積極的学ぶ姿勢を持てる人に向いていると言えます。
提案力がある
最後にご紹介する金融業界に向いている人の特徴とは、提案力があることです。
自社商品の良さを伝える提案力とともに、相手の立場になって考え、ニーズに合ったものを提供できるようなスキルが必要とされます。
特に保険の営業の場合、目に見えるものを提供するものではないため、自社企業の保険に加入することで得られるメリットをいかに提案できるかがカギになると言えるでしょう。
冷静な分析力や論理的な思考から、お客様が納得できるような高い提案力を身につけましょう。
また就活では、自分の提案力をアピールできるような経験を話せるよう、事前に準備しておくことが大切です。
そのため、自分をうまくアピールするためにもしっかりとした自己分析が必要となります。
【金融業界とは?】金融業界に就職するためにするべきこと
ここまで読んできた人は、金融業界についての知識も増えたことで詳しくなり、なかには「就職先の候補に加えた」という人もいるのではないでしょうか。
金融業界は特に業種や職種も多いため、金融業界で就職するためは、多くの情報を集めることが何よりも重要となってきます。
ここでは、金融業界へ就職するためにするべきことを詳しくご紹介します。
どれも大事なポイントとなっていますので、金融業界へ興味のある人はぜひチェックしてみてください。
どのような採用枠があるのかを調べる
漠然と金融業界に進みたいと考えている人は、初めに気になる企業にどのような採用枠があるのかを調べておきましょう。
同じ職種であっても、企業により必要な資格や経験は変わってくるため、より自分に合った企業を選ぶことが重要です。
特に職種にこだわりがなく、金融業界に就きたいのであれば、総合職だけではなく専門職採用など、自分の強みを活かすことのできる採用コースに応募すれば就活を有利に進められます。
また、自分の強みを知るために自己分析を丁寧に行っておく必要もあるでしょう。
マインドマップや自分史など、自分に合った自己分析の方法を使って自己理解を深めておくと良いでしょう。
もしうまくいかなかった場合は、就活エージェントなどのプロを頼ることもおすすめです。
説明会やインターンに参加する
説明会やインターンへ参加するのも有効です。
業界理解や企業理解を深めたいと考えている人は、積極的に参加しましょう。
実際に気になる企業の説明会などに参加して、リアルな情報を集めることは、ネットの中で行う情報収集よりも大切になります。
特に企業の雰囲気はネットだけではわかりづらいので、事前に説明会やインターンに参加してたしかめておくことが重要です。
仕事を長く続けるために必要なことは、自分に合った業種や職種を選ぶことも大事ですが、企業の雰囲気やどのような経営方針であるかということも大切になります。
自分に合わない社風の企業を選んだせいで早期退職になってしまうともったいないため、気になるものがあれば参加してみましょう。
多くの社員に会う
時間に余裕がある人は、気になる企業の社員に直接会って話を聞きましょう。
社員に会うことで、自分のやりたいことがその企業でできるのか、働く環境はどうかなどネットでは把握できない生の声を聞くことができます。
このことは、企業とのミスマッチを減らすことができる重要な作業です。
なるべく多くの社員の方に会うことで、その企業の全体像が徐々に明確になっていきます。
また、いろいろな職種の人に実際に会ってみると、自分が興味のある仕事がほかに見つかる可能性もあります。
自分が目指すべき方向が変わることは決して悪いことではないため、早めに自分の就活の軸を見つけられるよう、積極的にコンタクトを取って面談の機会を作ってもらうようにしてください。
アピールできる経験を積む
金融業界は安定したイメージもあり、高待遇なことも多いため、多くの就活生に人気の業界です。
そのため、単に入社する意欲を伝えても、採用してもらえる可能性は低いと言えます。
志望する企業の内定を得るためには、資格を取得したりインターンに参加したりすることで自分に付加価値をつけ、面接で話す内容を充実させておくことがおすすめです。
ただ自分ががんばったことをアピールするのではなく、志望する企業にとって「魅力的だ」と感じてもらえるような経験を話すことが重要になります。
アピールできるような経験を積んでおくことは、就職活動のピークではなかなかできないため、就活の初期段階で無理なく取り組んでいくことをおすすめします。
【金融業界とは?】おわりに
金融業界は、預金や資産運用といったさまざまなサービスで私たちの生活と密接に関わり、支えてくれています。
普段はあまり意識することはないかもしれませんが、数多くの企業が存在し、それぞれの役目を果たしています。
金融業界に興味を持ったのであれば、早めに情報を集めて、自分に合った企業・職種を決めることが重要です。
自己分析を行うほか、志望先の企業の社員に生の声を聞くなどして、自分に適した企業を見つけてみてください。