はじめに
企画職を希望する転職者にとって、実務経験はとても大きなアドバンテージになります。
「企画」といってもさまざまな企画がありますし、転職を希望する先がまったく同じ内容ではない場合もあるでしょう。
ただ、ゼロから企画を立ち上げるという難しい業務に携わった経験は、自己PRでは十分なアピール材料です。
ここでは企画職経験者が転職時に自己PRでどうアピールすべきか、そのコツや企業側が見ているポイントなどを徹底解説します。
【企画職経験者の自己PR】企画職経験者の採用の際に企業が見ているポイント
すでに社会人として働く経験をしているわけですから、企業側が人材の採用時にどのような点を見ているかはご存じの方も多いでしょう。
ただ、近年では企業側の採用優先度も微妙に変わってきており、何度も転職を経験している人でもない限り、自身の新卒入社時の感覚はズレてきている可能性があります。
もちろん企業ごとに優先事項や求める人物像は異なりますが、ここでは企業側が企画職経験者を採用するにあたり、最も重視されやすいポイントを紹介します。
自社で活躍できそうか
近年多くの企業が最も重視するのが、自社とのマッチングです。
自社の働き方や雰囲気に合っているかを最も注意深く見ており、相性の良い人材こそ自社で活躍できる期待の大きい人材とみなす傾向があります。
これは昨今の労働者の意識変化や働き方の変化、人的コストが深く関係しています。
ご存知の通り多くの業界で人手不足が続いており、あらゆる企業が優秀な人材獲得に力を入れている分、中途採用にもかなりのコストがかかっているのが実状です。
もし無理に相性の良くない人材を採用してしまうと、結局うまくいかなくなりすぐに転職されてしまう懸念があります。
そうなってはそこまでにかけたコストはすべて無駄になりますし、新たなコストの発生にもつながるため企業にとっては大きな損失なのです。
その結果、現在の中途採用では、まず自社と合うかどうか、そして配属部署の環境と合うかどうかを注視するようになっています。
実績・スキルはあるか
企画職はマニュアルのようなもので技術や知識を学べるものではなく、現場で実践を重ね、多くの失敗を経験してこそ身につけられるスキルが大半です。
転職者の年齢が若ければ社会人としての経験も浅いため、若いほどポテンシャルを考慮してもらえることは確かです。
ただ、中途採用は新卒と比べて即戦力となる人材が求められるため、やはり基本的に企画職として働くうえで必要なスキルは身についているか、実績を上げることができるかが見られることになります。
勤続年数にもよりますが、企画職経験者なら経験の面では一定の評価を得た状態からスタートすることができるため、そこは有利と考えて良いでしょう。
ただし、前職でどのような実務に関わりどのような実績を上げたのか、身についたスキルがあるかどうかは必ず確認されます。
目立った実績がないとそれだけ評価が下げられてしまう懸念がありますので、携わった業務は小規模なものでもすべて洗い出し、資料としてまとめておきましょう。
【企画職経験者の自己PR】企画職の自己PRのコツ
企画職の自己PRでは、自身が企画者として即戦力になり得ることをアピールするのが最大のコツです。
そのためには、これまで携わってきた業務を具体的に相手に伝え、自分にどのような経験とスキルが備わっているか客観的にわかるようにまとめる必要があります。
実績をアピールする
企画経験者にとって実績は最大のアピールポイントです。
これまでどのような実務に携わり、どのような経験をしたのか、どのような成果を得たのかを端的に伝えましょう。
また、実績を出すにあたっては、その成果を得るために発揮した自分の強みもあわせて伝えることが大切です。
たとえば、同じ成果でも、大人数の中で言われ仕事をこなしただけというのと、部分的にでもきちんと役割を担って主導的に動いたのでは雲泥の差です。
年齢や立場によっては全体をまとめるようなポストに就くことはなかった場合もあるでしょうが、どんな仕事にも一人ひとりに責任があります。
それを果たすために自身がどのような強みを発揮したか、わかるように伝えることは重要です。
具体的な数字を用いる
企画職の実績を語るうえでは、企画による集客数や売上、コスト削減率など「数字」を用いることで説得力を得ることができます。
自己PRはあくまで自己申告のため、中にはまったくのでたらめを言う悪質な転職希望者がいることも実際にあります。
企業側もそれは重々承知していますので、転職希望者が言うことをそのまま鵜呑みにすることはありません。
だからこそ、自分がアピールする内容に説得力を持たせるため、具体的なプロジェクトや成果に関する数字を盛り込み、信頼性を上げる必要があります。
そもそも企画は数字が上がってこそ企画ですから、どんな実績にしろ成果をアピールしようとする時に数字なしの話というのはあり得ません。
業務経験のレベル感が伝わるようにする
業務は日々こなしていますので、単に何も考えず年月だけが過ぎたからといって、それで業務経験を積んだとは言えません。
自発的に仕事に取り組む姿勢を見せるためには、業務で取得した資格や目に見える実績をアピールすることで業務経験の「レベル感」を伝えることが大切です。
単純に「英語ができます」というのと、「TOEICスコア800点をマークしています」というのとではまったく評価が変わるように、誰もが納得できる経験のレベル値を表せることが理想です。
これを提示できると、企業側の採用担当者も自社で通用する人材かどうか判断しやすくなります。
たとえば、すでに市場で一定の評価を得ている商品の企画に携わったとすれば、その企画力レベルは百聞は一見に如かずとなります。
自己分析と他己分析を行う
新卒の就活時にも、自己分析と他己分析を行った経験はあるでしょう。
しかし、転職活動をするときには、再度行うことが重要です。
なぜなら、大学時代には気が付かなかった点や、社会人経験を通じて得た気付きがあるからです。
自分の基本的な部分の変化は少ないですが、社会人としての成長や理想と現実のギャップを経験することで変化が生じることがあります。
新しい自分を知るために、改めて見つめ直してみましょう。
自己分析
自己分析の方法として、マインドマップや自分史の方法があります。
マインドマップは、アイデアや情報を蜘蛛の巣のように広げて思考を整理する方法です。
頭の中の思考を可視化しやすく、深い思考を促すために適した手法で、思いつくことを自由に書き出すので、情報が網羅される特徴があります。
それぞれの項目を深掘りして共通点を見つけることで、長所や短所が明らかになります。
一方、自分史は自分の半生を時系列に沿って、整理・記録する方法です。
幼少期から現在まで年代ごとに区切り、些細なことでも出来事や経験を書き留め、その時の感情や行動の理由も記録します。
全体を俯瞰して共通点をみつけることで、自分の行動パターンや価値観が理解しやすくなります。
つまり、積極的に取り組んだ長所と、できるだけ避けてきた短所が明確になるのです。
このように異なるアプローチの自己分析方法を試して、改めて自己理解を深めてみましょう。
他己分析
他己分析は、他人の目線で客観的な評価や印象を聞き出すことです。
他人の協力が不可欠な分析方法なので、依頼する際には事前準備が重要です。
家族や親友などに依頼しますが、経験や年齢、親密度で偏りがないようにすることで、多様な情報を得られます。
対象により内容が変わったり、曖昧な質問だったりだと、他己分析の良い情報が集まりません。
性格や長所、短所、第一印象、社会人になり変化した印象などが含まれる質問リストを準備しましょう。
質問方法はどんな方法でも良いですが、メールや書面で依頼をすると対面ではないことから率直な意見が集まりやすいです。
他己分析ができたら、その結果を自己分析の結果との違いを比較評価します。
ジョハリの窓という心理学的な分析手法が適しており、分析の結果を公開領域、隠れ領域、盲点領域、未知領域の4つの領域に分けます。
自己分析と他己分析のギャップを知ることで、自己理解を深めるのに役立ちます。
企業研究を行う
企業研究とは、志望業種・職種の個別企業を多角的な視点で分析し、理解を深めることです。
企業研究を行うことで、経営理念や社風、業界トレンドや志望企業の立ち位置を把握できます。
具体的には、コーポレートサイトで事業規模や事業内容、企業理念など基本情報を調べます。
次に会社説明会やOB・OG訪問、インターンシップを通じて、企業の雰囲気をリサーチします。
これらの情報を企業研究ノートとしてまとめ、項目ごとに比較検討しましょう。
企業研究は、企業の理念や戦略に沿った、自己PRでのアピールポイントを選択するのに役立ちます。
さらに、自分のスキルや経験、価値観が企業の求めるものと、ミスマッチがないか確認も出来ます。
【企画職経験者の自己PR】企画職の自己PR例文
それでは企画職の転職で有効となる自己PR文を紹介します。
ここで挙げる例はあくまで例ですので、自身の実績やスキル、前職の事例に沿って文章を構成してください。
企画職といってもさまざまな仕事がありますし、実績のアピールポイントも異なります。
ここではそれぞれの企画職において、最もふさわしい実績や業務に即して評価されやすい内容に絞って例文を構成してみましょう。
例文①
ところが、各部署の担当者や社内SEと仕様の打ち合わせを重ねた際、本当に必要なのはSFAではなくCRMではないかと気付いたのです。
そこで、急遽資料を作成して上層部へ報告・打診を行った結果、私の提案が採択され、最適なCRMの導入を成功させることができました。
その後の調査で営業部門の満足度92%、営業コスト昨対マイナス12%を実現したほか、開発部門や情報システム部、マーケティング部門など複数の部門の業務改善も同時に実現することができました。
営業企画職において、コスト削減を実現した実績になります。
業務に対して常に問題意識を持ち能動的に行動することで、与えられた仕事以上の成果を得ることができた点は、高い業務遂行能力を有することのアピールになるのです。
例文②
イベントに合わせたブランドコンセプトの立案や限定商品のパッケージデザインに至るまで販売促進活動のすべてに携わったため、詳細なターゲティングと市場ニーズの綿密な調査も実施しました。
ターゲットが若年層ということでSNSとの連動企画も実施し、イベント当日の集客数は昨対比150%という手応えある成果を残すことができたのです。
また、ブランド認知を上げるという目標に対し、営業部門だけでなく開発部門やバックオフィス部門など全社を横断的に連携させるノウハウを構築したことも成果の一つと考えております。
イベント企画職において、集客数を伸ばす成果を得た実績になります。
また、単にイベントの内容を考えるのではなく、イベントを実施することの本質をきちんと理解し、コミュニケーション能力も発揮している点が評価できるポイントです。
例文③
そうした活動で、ニッチでも熱量の高いファン層を獲得すれば事業採算性の高い商品開発が可能であることの裏付けを取り、それらの情報をもとに開発したのがアプリです。
アプリは売上2億に対し1.3億の利益を確保し、結果として高い業績を得ることができました。 商品企画に必要なのは斬新なアイディアはもちろんですが、ネットリサーチやユーザーインタビューなどによる定性・定量両面からの情報収集と分析だと確信しております。
御社は商品企画においてマーケティングに重きを置く方針と伺っておりますので、裏付けある提案を行い、企業貢献できると考えます。
商品企画職において、適切なマーケティングによるリサーチ力を発揮した実績になります。
独りよがりになりがちな商品企画において、市場性を見るという俯瞰的な視点を持っている人材は期待できます。
例文④
その際、製品開発のマンネリ化で、競合他社にシェアを奪われていることに課題を感じました。
そのため、市場ニーズの把握や競合分析を学び専門性を高めたいと考え、商品プランナーの資格を取得しました。
取得した資格を活用し、市場ニーズを把握し分析した結果、製品の質感に市場とのミスマッチがあると判明します。
早速、製造現場で素材を変更する提案を行い、マイナーチェンジとしてリリースする対策を講じました。
このマイナーチェンジで売上が10%向上する結果を得ることになります。
この資格取得で得た知識を活かし、より魅力的な製品開発に貢献できると考えております。
資格で得たスキルを活用したこと、商品開発の成果のことを具体的な事例と数字で表しています。
また、保有資格の中から業務に活かせたものに絞ることで、アピールポイントが明確になり伝わりやすくなっています。
例文⑤
当初、企業情報やIR、プレスリリースを発表するだけで、市場との対話が課題でした。
そのため、自社サービスの魅力を伝えるコンテンツ戦略を企画し実施しました。
営業部門へ製品の魅力やお客様の声の情報の提供を受けて、サイトの刷新を進めました。
その際、Google社の提供する分析ツールを活用し、閲覧数の監視とキーワード分析をして継続的な改善を実施。
想定外のキーワードから市場ニーズが分かり、商品開発にも活用できました。
Web分析を通じた市場ニーズの把握やコンテンツ戦略の企画、継続的な改善が行える人材として貢献したいと考えております。
企画職に求められる分析力とコミュニケーション力を具体的な事例をもとに、明確に示されています。
また、自ら企画した施策も分析して、継続的に業務を遂行する能力も効果的にアピールできています。
【企画職経験者の自己PR】困ったらエージェントに相談してみよう!
企画職への転職活動で困ったことがある場合、エージェントへの相談をおすすめします。
自己PRでは、職務経歴書では伝えきれない実績をアピールすることが重要です。
エージェントは繰り返し行われる面談を通じて、あなたのエピソードから自己PRに活用できる要素や実績を見つけ出し、効果的なアドバイスを提供してくれます。
長年の経験から豊富な知識を活用して、スピード内定に向けたサポートをしてくれるでしょう。
さらに、就職活動全体を通じてのサポートを受けられ、豊富な転職情報も掲載されているため、安心して転職活動に取り組むことができます。
スピード内定をもらいたい方には、エージェントの利用が特におすすめです。
まとめ
企画職経営者で転職を希望する場合、自己PRでアピールすべきポイントはやはり実績です。
企画といってもさまざまな仕事内容がありますが、自身が培ってきた経験や知識、自分にしかできない仕事や強みなども盛り込み、魅力的な自己PRを構築しましょう。
また、近年では企業とのマッチングも重視されていますので、相手企業の研究もしっかり行い、求められる人物に近づくことも大切です。