はじめに

国内にはさまざまなベンチャー企業があります。
最近では農業ベンチャーにも注目が集まっています。
一方で農業やベンチャー企業には興味があるものの、具体的な事業内容については知らないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、農業ベンチャーの仕事内容や特徴についてご紹介します。
農業ベンチャーの事業例も紹介していますので、一読すれば農業ベンチャーのイメージをつかめるでしょう。
就活の準備を進めている方は、ぜひともこの記事を参考にしてください。
スマート農業とは
農業業界で急速に普及しているスマート農業とは、いったい何なのでしょうか。
ここでは、スタート農業に関して詳しく解説します。
スマート農業の事例
スマート農業は、畑や田んぼの作業をラクにしたり、もっと良いものを作るために、新しい技術を使うことです。
たとえば、ドローンを使って広い畑に農薬をまいたり、肥料をあげたりする農家さんがいます。
これだと、人が歩いてまくよりもずっと早く、均一にできます。
また、センサーを土の中に埋め込んで、水が足りているか、栄養があるかなどを常にチェックすることもできます。
こうすることで、必要な時に必要な分だけ水や肥料をあげられるので、無駄がなくなります。
他にも、ロボットがトマトを収穫したり、牛の健康状態を監視したりするような例もあります。
スマート農業の市場規模
スマート農業の市場規模は、世界中でどんどん大きくなっています。
これは、もっと効率的に、そして少ない人手で農業をしたいというニーズが高まっているからです。
新しい技術を取り入れることで、農業の生産性が上がり、収穫量も増える可能性があります。
特に、日本のように農業をする人が減っていたり、高齢化が進んでいる国では、スマート農業への期待が非常に大きいです。
これからも、IT企業や機械メーカーなど、色々な会社がスマート農業に関わる製品やサービスを開発していくので、市場はさらに拡大していくと予想されています。
スマート農業の将来性
スマート農業の将来は、とても明るいと言われています。
地球の人口が増え続ける中で、食べ物を安定して供給することは大切な課題です。
スマート農業は、限られた土地や水で、より多くの食べ物を作ることを可能にします。
また、経験豊富な農家さんの知識や技術をデータとして蓄積し、若い人たちにも伝えやすくなるという利点もあります。
さらに、AI(人工知能)が発達することで、もっと細かく、そして自動で農作業ができるようになるかもしれません。
農業は、私たちの生活に欠かせないものなので、スマート農業の技術はこれからも進化を続け、食料問題の解決に大きく貢献していくでしょう。
AgriTech(アグリテック)とは?
農業業界で急速に普及しているAgriTechとは、いったい何なのでしょうか。
ここでは、AgriTechに関して詳しく解説します。
Agriculture(農業)×Technology(テクノロジー)の造語
AgriTechは、農業を意味する「アグリカルチャー」と、科学技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた言葉です。
つまり、農業に最先端の技術を取り入れて、もっと効率的に、そして良いものを作るための取り組み全体を指します。
昔ながらの農業のやり方を変えて、最新のIT技術やロボット、人工知能などを活用することで、これまでの農業が抱えていた人手不足や生産性の課題を解決しようとしています。
例えば、ドローンで畑の様子を観察したり、センサーで土の状態を調べたりすることもAgriTechの一部です。
AgriTech市場が急成長している
AgriTechの市場は今、世界中でぐんぐん大きくなっています。
これは、世界中の人口が増え続けていて、もっと多くの食料が必要になっていること、そして、農業をする人が減っていたり、高齢化が進んでいる国が多いことなどが理由です。
少ない人手でも効率よく、そして安定して食料を生産するために、新しい技術への期待が高まっています。
また、気候変動などによって農業が難しくなっている中で、環境に優しく、持続可能な農業を実現するためにもAgriTechが注目されています。
たくさんの会社がこの分野に投資をしていて、これからもますます成長していくと予想されています。
農業ベンチャーの仕事内容
農業ベンチャーの仕事内容を紹介します。
農業ベンチャーに興味がある方は必見です。
研究開発
農業ベンチャーにおける研究開発は、従来の農業が抱える課題を解決し、新しい価値を生み出すための革新的な技術や製品を生み出すことです。
具体的には、AIやIoTなどの最新技術を活用したスマート農業関連の研究、病害に強い・収量が高いといった新品種の開発(育種)、独自の栽培方法・環境制御技術の確立などが含まれます。
例えば、データを活用して最適な肥料や水の量を自動調整するシステムを開発したり、遺伝子編集技術を用いて特定の機能を持つ作物を生み出したりします。
研究成果を実証試験で繰り返し検証し、事業化できるレベルまで高めることがミッションです。
最先端の科学的知識と技術を農業の現場に応用し、食料問題や環境問題の解決に貢献する、知的好奇心と探求心が求められる仕事です。
生産技術
生産技術の仕事は、研究開発部門で生まれた技術や製品を、現場で効率的かつ安定的に実装・運用できるようにすることです。
具体的には、栽培マニュアルの作成、生産プロセスの標準化・最適化、生産設備の設計・導入・維持管理などが含まれます。
例えば、垂直農場(植物工場)における光や温度、養分の管理システムを設計・改善したり、ドローンや自動走行農機などのスマート農業機器を現場で使いこなすための技術的なサポートを行ったりします。
また、生産コストの削減や品質の向上を目指し、データ分析に基づいて生産工程の問題点を見つけ出し、PDCAサイクルを回して改善していきます。
エンジニアリングの知識と農業現場の実態を結びつけ、持続可能で高品質な生産体制を築くための重要な役割を担います。
営業・マーケティング
営業・マーケティングは、開発された技術や生産された農産物を市場に届け、事業の収益性を高める役割を果たします。
営業活動としては、農家や農業法人に対して、自社のスマート農業技術やシステムを提案・導入支援したり、企業や小売店、外食産業などに対して高品質な農産物を販売したりします。
マーケティング活動としては、自社製品・技術のブランド戦略の策定、市場調査、Webや展示会などを活用したプロモーション活動を行います。
単にモノを売るだけでなく、顧客である農家の課題を聞き出し、技術で解決するソリューションを提供するコンサルティング的な側面も強いです。
また、消費者に対しては、農産物の新しい価値(安心・安全、機能性など)を効果的に伝え、市場を創造することも求められる、コミュニケーション能力と戦略的思考が鍵となる仕事です。
農業ベンチャーの特徴
国内では分野におけるベンチャー企業も増えていますが、農業ベンチャーにはほかのベンチャー企業とは異なる以下の特徴があります。
・世界でも農業は注目を集めている
・市場に迅速な対応ができる
・人材不足が進行している
ここではそれぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
世界でも農業は注目を集めている!
農業ベンチャーの特徴の1つは世界で注目を集めていることです。
世界では人口増加とともに、食料不足の問題が深刻化しています。
国際連合世界食糧計画による2018年の統計によれば、世界の飢餓人口は8億2,000万人となっております。
つまり9人に1人は、飢餓に直面しているといわれているのです。
食料問題の主な原因は自然災害・極度の貧困、需要と供給のバランスの崩壊です。
日本では少子高齢化が進んでいます。
しかし、一方は2019年の食料自給率は38%となっています。
農業ベンチャーではインターネットやAIを使用した生産の改善により、食料不足や自給率の問題解決にも貢献できるのです。
具体的な方法として、農地を使わない植物工場の利用や農業機械のIT化などがあげられます。
市場に迅速な対応ができる
農業ベンチャーの2つ目の特徴は、市場に迅速な対応ができることです。
農業ビジネスは世界でも大きな注目を集めており、先進国では農業におけるIoTの導入に力を入れています。
たとえばドイツでは植物にバイオテクノロジー、ロボット工学・IT技術を積極的に導入しています。
アメリカでもアグリフードテックに力を入れているのです。
農業ロボットの導入・培養肉や新しい原料を使用した肉の生産、屋内農場の建築・食品以外から精製した、バイオエネルギーの開発などを行っています。
国内でもスマート農業の加速化を政府主体で進めており、他の分野と比較すると農業ベンチャーにはスピード感があります。
求められている技術に対して迅速に対応できるのが魅力です。
人材不足が進行している
農業ベンチャーの3つ目の特徴は人材不足の進行です。
国内では慢性的な人材不足の問題を抱えており、農業従事者の高齢化も進んでいます。
さらに最近ではコロナウイルス感染症のひろがりにより、海外からの実習生も集まらないという問題を抱えています。
農業研究に携わるためには専門知識も必要ですが、人材不足の状態が続いているのです。
ベンチャー企業では農業従事者の環境の改善や、能動的なアプローチによる人材不足の解消を目指しています。
人材不足の状況自体を改善するための方策を提供する企業や、IoTなどの技術を利用して人が従事しなくても農業が進められる環境づくりを目指す企業などもあります。
さまざまなアプローチで、人材不足の状況を改善しようとしているのです。
農業ベンチャーのこれから
農業ベンチャーの将来性は、国内の農業が抱える構造的な課題と、最新技術による革新の融合によって大きく期待されています。
国内では、農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻で、従来の技術・ノウハウの継承が困難になっています。
また、世界的に見ても気候変動による生産不安定化や、増加する人口への食料安定供給が大きな社会課題です。
こうした課題に対し、農業ベンチャーは、AI、IoT、ロボット技術などを活用したスマート農業を展開し、農業の省力化、生産性の向上、品質の安定化を実現します。
例えば、ドローンによる農薬散布、センサーによる精密な水・肥料管理、自動走行農機など、経験や勘に頼らずデータに基づいた農業を可能にします。
この分野は、日本政府の「みどりの食料システム戦略」でも推進され、SDGsやESG投資との親和性も高いため、国内外の投資家からの注目度も高く、市場は急速に拡大中です。
農業を「儲かる産業」に変え、食の未来を守るという社会貢献性の高い役割を担うため、今後も重要な成長分野として発展が予測されます。
【農業ベンチャーって何してる?】農業ベンチャーのこれから
農業は急速に変化を遂げており、将来性を秘めている分野です。
以前は農協や市場に流通させてから、消費者に届けるのが一般的でした。
しかし最近ではSNSの普及により、効率よく消費者に届けられるようになりました。
農業はさまざまな課題を抱えていますが、AIやIoTを用いることで課題の克服だけではなく、さらなる発展も期待できるでしょう。
農業の将来性は高まっており、企業参入も増加傾向にあります。
農業ベンチャーの中には新しい製品の開発により、急速な進歩を遂げているところがあります。
農業従事者は減少傾向にありますが、農業ベンチャーの担う役割は大きくなっているのです。
ベンチャー企業への就職をお考えの方は、農業ベンチャーへの就活も検討しましょう。
注目されている農業ベンチャー企業10選
日本の農業ベンチャー企業は、食料問題や人手不足といった課題を解決するために、様々な新しい技術を農業に取り入れています。
ここでは、特に注目されている企業を10社ご紹介します。
株式会社AGRI SMILE
株式会社AGRI SMILEは、テクノロジーを使って産地と一緒に農業の未来を作ることを目指しています。
科学技術の力で農業が抱える問題を解決し、長く続けられる農業の実現に取り組んでいます。
具体的には、全国の農業協同組合や企業と協力して、植物の力を引き出すための研究開発や、農作物の成分を分析する技術、そして売れ行きを良くするための支援など、幅広い事業を展開しています。
inaho株式会社
inaho株式会社は、AIとロボットの技術を使い、これからの農業の形を作り出しています。
特に、自動で野菜を収穫するロボットの開発に力を入れており、初期費用やメンテナンス費用がかからず、収穫量に応じて利用料を支払う仕組みでサービスを提供しています。
これは、農家さんが新しい機械を導入する際の負担を減らし、もっと手軽に最新技術を使えるようにするための工夫です。
サグリ株式会社
サグリ株式会社は、地球と人類が共存できる未来を目指し、衛星データと人工知能を使って農地の様子を「見える化」する事業を行っています。
衛星から得られた情報とAIを組み合わせることで、土の状態を細かく分析し、農作業をより効率的に進める手助けをしています。
これにより、農家さんの収入を増やし、環境に良い農業の実現にも貢献しようとしています。
AGRIST株式会社
AGRIST株式会社は、AIを搭載した自動収穫ロボットの開発と全国展開を進めている企業です。
特に、ピーマンなどの収穫ロボットに力を入れており、現場の農家さんと協力しながら、夜間の収穫やロボットの精度の向上に取り組んでいます。
国の地方創生優良事例にも選ばれるなど、その技術と取り組みが高く評価されており、農業現場の課題解決に貢献しています。
株式会社ファームノート
株式会社ファームノートは、牛を飼っている農家さんのためのクラウドサービスを提供しています。
牛の首につけるセンサーやカメラを使って、牛の活動量や健康状態をリアルタイムで把握し、病気の早期発見や繁殖の管理に役立てています。
集まったデータは自動で分かりやすいグラフになるので、農家さんは牛の様子をいつでもどこでも確認でき、より効率的な酪農経営ができるようになります。
株式会社ビビッドガーデン
株式会社ビビッドガーデンは、インターネットを活用して、全国の農家さんと消費者を直接つなぐ「食べチョク」というサービスを運営しています。
生産者さんが丹精込めて作った農作物のこだわりが、消費者にもきちんと伝わるように、オンラインの直売所を通じて流通を効率化しています。
これにより、生産者さんが正当に評価され、消費者は新鮮で安全な農産物を手に入れられるようになります。
株式会社アグリメディア
株式会社アグリメディアは、都市と農村を結びつける新しい農業ビジネスを展開しています。
貸し農園「シェア畑」の運営を通じて、消費者が気軽に農業に触れる機会を作ったり、農業の知識や経験を活かして地域のまちづくりに貢献したりしています。
農業の持つ可能性を広げ、多くの人が「農」に親しめるような事業を幅広く展開している企業です。
株式会社農業総合研究所
株式会社農業総合研究所は、IT技術を使いながら、新しい農産物の流通の仕組みを作り出している企業です。
社長自身が農産物の生産や販売を経験していることから、農家さんが作った新鮮な農作物を、より効率的に消費者に届けるための流通ルートを構築しています。
これにより、農家さんの手元に届くお金を増やし、消費者はより新鮮なものを手に入れられるようにすることを目指しています。
HarvestX株式会社
HarvestX株式会社は、植物工場での作業を助けるロボットやAI技術の開発に力を入れています。
特に、自動で花の受粉や野菜の収穫を行うロボットを開発しており、これによって、植物工場での生産効率を大きく高めることを目指しています。
将来的に、これらの技術が農業の持続可能性や生産性の向上に大きく貢献することが期待されています。
株式会社マイファーム
株式会社マイファームは、「自産自消」をコンセプトに、都市で農業を体験できる農園の運営や、農業を学びたい人のための学校を展開しています。
農業を通じて食の大切さを伝え、都市と農村の交流を深めることを目指しています。
また、農産物の加工や販売なども手がけ、農業を様々な形で楽しむ機会を提供することで、農業の活性化に貢献しています。
農業系ベンチャーに転職する際のポイント
農業系ベンチャーに転職する際のポイントは、どのような部分にあるのでしょうか。
ここでは、農業系ベンチャーに転職する際のポイントを紹介します。
転職のプロに相談してみる
農業ベンチャーへの転職を検討する際は、転職エージェントやキャリアコンサルタントといった転職のプロに相談することが極めて有効です。
特に、アグリテックやベンチャー企業に特化したエージェントは、業界の最新動向、各企業の具体的な事業フェーズ、求めている人材像など、個人では得にくい深い情報を持っています。
彼らは、あなたのこれまでのキャリアやスキルを客観的に評価し、どのベンチャーが最も成長機会を与えてくれるか、また、企業文化が合うかといった相性も含めて適切なアドバイスを提供してくれます。
また、入社後のミスマッチを防ぐため、企業のリアルな労働環境や経営状況について踏み込んだ情報提供を期待できるため、成功確率を高める上で欠かせない手段です。
自分がどの企業で最も高く評価されるか知る
転職活動では、単に「興味がある企業」に応募するのではなく、「自分のスキルと経験が企業の成長に最も貢献し、結果として自分自身の市場価値も最大化される企業」を見極めることが重要です。
特にベンチャー企業は、即戦力としての貢献度を重視します。
例えば、ITスキルやデータ分析能力はスマート農業ベンチャーで、生産管理の経験は植物工場ベンチャーで高く評価されるでしょう。
自分の強みが、その企業の現在の課題解決や事業拡大に直結するかを分析し、評価ポイントを明確にした上で応募することで、内定を得やすくなります。
また、入社後の裁量権や報酬にも直結するため、自己分析と企業分析を徹底し、自分の価値が最大化する場所を見つけることが成功の鍵です。
非公開求人からも転職先を探す
農業ベンチャー、特に成長著しいスタートアップ企業の中には、事業戦略上の機密性や、応募殺到による選考工数増加を防ぐ目的から、一般には公開されない「非公開求人」を通じて人材を採用するケースが多くあります。
これらの求人は、役員クラスや新規事業の立ち上げメンバーといった重要なポジションであることが多く、公開求人よりも待遇や裁量権が良い傾向があります。
非公開求人情報を得るためには、転職エージェントへの登録が必須となります。
優良なベンチャー企業ほど非公開で採用を進める傾向にあるため、エージェントを活用して非公開求人を含む幅広い選択肢の中から、自身のキャリアアップに繋がる最適な転職先を探すことが極めて重要です。
就活エージェントに相談する
就活で少しでも困ったことがあれば、就活エージェントに相談してみると良いでしょう。
就活のプロであるアドバイザーが一人一人に合った方法で選考対策をしてくれます。
具体的には、本番さながらの模擬面接をしてもらうことができたり、自分に合った企業探しのサポートをしてもらうことができます。
登録や利用は無料なので、少しでも就活で困ったことがあれば、就活エージェントに相談してみましょう。
まとめ
農業ベンチャーとはIoT技術を用いて、農業に関する研究をしている企業のことです。
以前は気候や天候といった不確実な環境の中で育てていましたが、IoTの導入により効率のよい生産も可能になりました。
国内にはさまざまな農業ベンチャーがあります。
特徴や得意分野は各企業で異なるため、ビジョンや経営理論をチェックしておくのがよいでしょう。
農業ベンチャーの主な仕事は研究開発・生産技術、営業・マーケティングです。
各企業によって力を入れている分野は異なります。
志望を考える際には、事前に確認しておきましょう。