はじめに
近年、企業の採用試験にグループディスカッションを含める企業が増えているのをご存知でしょうか。
グループディスカッション中も、面接官は就活生を常にチェックしているので、グループで課題に取り組みつつ自分を上手にアピールする必要があります。
ここでは、グループディスカッションで最初におこなう自己紹介において、好印象を与えるためのコツや注意点を解説します。
通常の面接での自己紹介とは異なるポイントがあるため、ぜひ参考にしてください。
【グループディスカッション】自己紹介のタイミングは?
グループディスカッションにおいて自己紹介は多くの場合、グループ分けされたあと最初におこなわれます。
1つのグループは5〜6人程度なので、まず誰から自己紹介をするか決めることからスタートです。
張り切って自分からというのも、自己アピールとしてはよいかもしれません。
しかし、グループディスカッションではチームワークや人の意見を聞く力も見られています。
誰かの提案にどんな反応をするか、オリジナリティのあるどんな提案ができるかも重要なポイントとなるでしょう。
誰かがよい提案をしたら、その方法で全員の自己紹介がスムーズに終わるように協力したり、リアクションで盛り上げたりするのもよいかもしれません。
グループの人たちの個性を素早く見極め、必要であればリーダーシップを発揮したり、適度に人に譲ったりして和やかな雰囲気を作り出せるかどうかも選考の基準となります。
【グループディスカッション】自己紹介をする意味
自己紹介で話すことを考える前に、それがグループディスカッションにおいてどんな意味、また目的があるのかを知ることは重要です。
自己紹介の目的は、ただ単に自分の情報を伝え、ほかの人に関する情報を得るというだけではありません。
グループディスカンションで自己紹介をする意味について見ていきましょう。
結束力が高まる
グループディスカッションで自己紹介をする意味の1つは、結束力が高まるということです。
グループ内の人がどこの誰なのかがわかり、名前で呼び合えるようになれば当然チームの距離は一気に縮まります。
さらに、自己紹介にオリジナリティのあるコメントが加われば、名前を覚えやすくなるだけでなく、その人個人の特徴をよく知ることができ、会話をしやすくなり場が和むでしょう。
もし自分が緊張しているなら、そのことを率直に自己紹介で伝えるのもよいかもしれません。
企業の採用試験ですから、ほかの人も全員緊張しているはずです。
みんなも緊張していると確認できれば、結束力はさらに高まり、グループで協力してよいものを作り上げようという雰囲気が生まれます。
発言しやすくなる
自己紹介をするのとしないのでは、グループディスカッションの進み方に大きな差が出ます。
課題を出され、いざディスカッションを始めるというとき、自己紹介もないまま口火を切るのは誰にとっても勇気のいることです。
その点前もって自己紹介をしていれば、最初の一言を発言しやすくなるでしょう。
また、自己紹介の段階で和やかな雰囲気が生まれていれば、最初の一言へのリアクションもしやすく、そのあとの議論も円滑に進みます。
さらに、自己紹介で学部やサークル、趣味などを伝えておけば、分野によってはディスカッション中、ほかの人から発言を求められるかもしれません。
そうすればさらに発言しやすくなり、自然と面接官にアピールすることもできます。
【グループディスカッション】自己紹介をするときのコツ
上述してきたように、グループの結束力を高め、発言しやすくするために大切な自己紹介ですが、グループディスカッションにおいてはどんな自己紹介がふさわしいのでしょうか。
個人や集団面接時の自己紹介とは異なり、グループディスカッションに適した自己紹介をするにはいくつかのコツがあります。
事前に内容を考えておく
いうまでもなく、どんな自己紹介をするかは、事前に考えておく必要があります。
行き当たりばったりで臨むと口ごもってしまったり、沈黙の時間が生まれてしまったり、気まずい雰囲気になってしまうでしょう。
もちろん、グループの人数やディスカッションの指定された時間によって、自己紹介の時間や内容を微調整する必要があるかもしれません。
しかし、前もって十分準備しておけば、それも簡単に対応できるのです。
また、パターンをいくつか考えて臨めば、自己紹介の内容がほかの人とかぶってしまった場合もすぐに別のパターンに変更できます。
さらに、事前に準備して少し練習しておけば、当日はよどみなく余裕と自信をもって発言できるでしょう。
長すぎずシンプルにまとめる
グループディスカッションの自己紹介だけでなく、長すぎる自己紹介はマイナスポイントとなります。
自分のことを長々と話せば、聞いている人は飽きてしまいますし、ただ話が長い人、自分の考えをまとめられない人という印象を与えてしまうかもしれません。
また、限られた時間で全員の自己紹介を終え、ディスカッションに移らなければならないのです。
1人が自己紹介の時間を長く使えば、自分本位の人、周りが見えていないといったマイナスの印象も与えます。
最適な自己紹介
前述の件をふまえ、最適な自己紹介とはどんなものかを考えてみましょう。
まずは自己紹介ですから、自分がどこから来た何者なのかを明らかにすることから始まります。
企業によっては自己紹介に含めるべき項目、たとえば出身校や名前、学部などが指定される場合もあるので、指定されたものはきちんと含めるようにしましょう。
長すぎる自己紹介はマイナスイメージを与えるため、自分の基本情報プラス、趣味や意気込みなどオリジナルのコメントを1つ含める程度がおすすめです。
協調性を上げる発言を入れる
グループディスカッションにおける自己紹介では、協調性が上がる発言を含めるのも、重要なポイントです。
先にも述べたように、初対面でグループ分けされたわけですから、当然最初はグループ内の全員が緊張した状態にあります。
そこで、「緊張している」といった内容を自然に自己紹介に含めれば、他の人と感情を共有でき、リラックスした雰囲気を作るだけでなく、好印象を与えられるのです。
また、自分を上手にアピールしつつも、苦手な分野をそれとなく伝えることも協調性を上げるコメントになります。
たとえば、「人前で話すのは苦手ですが」「ついつい喋りすぎてしまうこともありますが」と自分のウィークポイントを伝えておきましょう。
それを克服しつつ頑張りたいという姿勢を伝えることで、他の人の協力を求め、チームワークを高められます。
【グループディスカッション】自己紹介をするときの注意点
グループディスカッションでは、通常の面接時とは異なる注意点があります。
個人面接では、いかに上手に自己PRをするかが重要になりますが、グループディスカッションの場合、そうではありません。
また、限られた時間で全員の自己紹介を終えなければならず、その後の議論の時間を十分取るためにも、内容はシンプルなものにする必要があります。
自己PRはしない
グループディスカッションといっても面接官は一人ひとりを見ており、当然選考の基準ともなるため、どんな自己紹介をするかは重要です。
しかし、自己PRに終始すると、それはマイナスの結果を生んでしまいます。
自己紹介はあくまで自己紹介であり、自己PRではありません。
したがって、自己紹介の意味を正しく認識し、周囲に合わせたコメントをすることが必要です。
自分をアピールすることは、ディスカッション中にもできます。
あくまでグループの雰囲気を和らげたり、結束力を高めたり、議論が円滑に進むための発言であることを念頭に置きつつ話しましょう。
聞いている人がこれから一緒に頑張りたいと思えるような、爽やかなイメージを与えるコメントがグループディスカッションにふさわしい自己紹介です。
話しすぎない
グループディスカッションにおける自己紹介では、話過ぎは禁物です。
長すぎる自己紹介は、結局何を言いたかったのかがぼやけてしまうので、ただ話が長い人といった印象を与えかねません。
そうすると、ディスカッションに移っても、発言の機会を得にくくなるでしょう。
また、事前準備が少なすぎて話が長くなる場合もあります。
自己紹介が回ってきてはじめて話すことを考えるなら、必然的に「えっと」とか「あの」といった無駄な言葉が入り、最悪の場合は黙ってしまうなど、中身のない時間だけが流れてしまうおそれもあります。
シンプルな内容の自己紹介を前もって準備し、短く笑顔で話せば、グループの人たちにも面接官にも好印象を与えられるでしょう。
役割決めをしない
自己紹介で、役割決めをするとはどういうことでしょうか。
たとえば、自分は話すのが苦手なので書記のような仕事を買って出る、リーダーシップを発揮して進行役に立候補するといったことを、自己紹介に含めてしまうことです。
役割決めは、自己紹介ですることではなく、ディスカッションに入る際におこなうものです。
当然役割を決めるという工程も、選考の基準となり、面接官は重要視します。
もし、自己紹介で役割決めをしようとすれば、自己PRをしているか楽をしようとしているか、どちらかの意図があるという印象を与えかねません。
自己紹介では、あくまで自分を紹介することに徹しましょう。
話し方や話の内容が好印象であれば、その後の役割決めでも自分をアピールしやすくなるはずです。
【グループディスカッション】自己紹介の例文を紹介!
グループディスカッションを行う際は、まず自己紹介を求められる場合があります。
この自己紹介は面接の自己アピールとは違うものなので、冗長だと場をもたつかせてしまいます。
反対に、人によっては緊張で頭が真っ白になる可能性もあるため、失敗しないようあらかじめ話す内容を決めておくのがおすすめです。
人間の話すスピードは1分間で200〜250文字程度であるため、このボリュームを参考に自己紹介を考えてみると良いでしょう。
例文①
私は就活大学工学部の山田一郎と申します。
昔からコンピュータやプログラミングに興味があったため、大学では最新の技術を用いた機械学習について研究しています。
また、ゼミを通して地元のIT企業様と連携しながらプロジェクトを進めており、知見を深めるためにも、パソコンに向かう毎日です。
多忙ではありますが、同時にやりがいも感じていて、就活と両立しながらしっかりと役割を果たすため頑張っています。
今回のグループディスカッションでは、深く充実した議論を交わしていきたいです。
本日はよろしくお願いします。
例文②
私は就活大学文学部の佐藤花子と申します。
大学のサークル活動としてバスケットボールに打ち込んでおり、先日は県内の大会に出場しました。
入賞は逃してしまいましたが、1つの目標に向かって仲間と励まし合いながら努力するという経験は、とてもかけがえのないものだったため、悔しさだけでなく達成感も得られたと思います。
今回のグループディスカッションでは、バスケチームの仲間と培ったチームワークを発揮できればうれしいです。
皆さんと積極的に意見を交わし、良い結論を導きたいです。
本日はよろしくお願いします。
例文③
私は就活大学経済学部の鈴木太郎と申します。
現在居酒屋でアルバイトをしており、笑顔と明るさが自慢です。
もともとコミュニケーションに自信があるほうではなかったのですが、お客様と接する中で人との関わりの楽しさを感じ、今のアルバイト先に出会えて良かったと思っています。
このアルバイト代は海外留学費用にあてる予定なので、最近は英会話の勉強をしながら出発の日を楽しみに待っています。
今回のグループディスカッションでは、テーマについてポジティブに議論を重ねていきたいです。
本日はよろしくお願いします。
【グループディスカッション】評価されるポイントとは?
グループディスカッションの目的は、面接や書類では判断することのできない、就活生の人柄を見ることにあります。
企業によって就活生に期待する能力は違いますが、一般的にはコミュニケーションや積極性を求められるケースが多いです。
それはグループディスカッションも例外ではありません。
そのため、意見をしっかり表明するスキルと、ほかのメンバーと協力するスキルをバランス良く発揮できる学生は、通過しやすいと考えられるでしょう。
自分の意見を主張できている
グループディスカッションの参加人数は少なくとも4人以上、多い企業では8人程度で行います。
はじめてのメンバーの中では緊張する方も多いかもしれませんが、そのような状況でも自分の意見を臆さずに表明できるかが評価のポイントです。
そのため、失敗をおそれることなく、考えたことは積極的に発言していくと良いでしょう。
ただし、発言するタイミングには注意が必要です。
ほかのメンバーが発言しているのに、それをさえぎって自己主張する人は、協調性がないと捉えられて、マイナスイメージになってしまいます。
相手の話を最後まで聞いてから、極力自然な流れで発言するよう心掛けましょう。
また、仮に反対意見を言う場合でも、その人の考えを尊重する姿勢が大切です。
チームワークを発揮できている
グループディスカッションでは、テーマに対する論理的思考力や課題発見力が求められます。
しかし、いくら優れた意見でも、自分1人でアピールするだけでは、グループの意味がありません。
チームワークを大切にしながら、複数人ならではの活発な議論をできる状況が理想です。
そのためにはお互いに協力し合い、メンバーの意見をくんだうえで、自分の考えを述べると良いでしょう。
消極的すぎてはいけませんが、自分勝手になることもなく、常に周りを見ながら話すことが大切です。
なお、場合によっては、ほかのメンバーが議論を乱してしまうことも考えられます。
「自分たちが不利になる」と思って焦るかもしれませんが、そのようなときも感情的にならず、冷静な対処能力を発揮しましょう。
まとめ
グループディスカッションにおける自己紹介で好印象を与えるコツは、通常の面接における自己紹介と大きく違っていることに気づいたのではないでしょうか。
個人の面接とは異なり、グループディスカッションではあらゆる角度から、その人の個性や資質を見られます。
長々話すことは個人の面接でもふさわしくありませんが、グループディスカッションの自己紹介では、自己PRもふさわしくありません。
あくまで、グループの結束力を高め、本番のディスカッションで発言しやすい雰囲気を作れるように意識した、自己紹介を準備しましょう。