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はじめに
OB訪問とは、実際に企業で働いている先輩を訪ね、企業の雰囲気や業務内容について情報を得ることです。
知っている先輩がいない場合、時間を割いてまでOB訪問をするのが億劫になるかもしれません。
周囲に聞いても、実施しようと決めている人はそれほど多くはないでしょう。
今回はOB訪問に不安を抱いている就活生に向けて、OB訪問をする意味や具体的な方法をご紹介します。
OB訪問の大まかな流れを把握して、ライバルに差をつけましょう。
OB訪問を行う意味
就活においてOB訪問は必要といわれているものの、何の目的もなく行うのでは意味がありません。
手間や時間をかけた分の成果を得るために、まずはOB訪問の必要性やメリットを押さえてから行動に移しましょう。
実際にOB訪問をした経験のある方に話を聞くと、「OB訪問をして企業に対する理解が深まった」という意見がほとんどです。
「やはりOB訪問をしておけばよかった」と後悔しないよう、具体的にどのようなメリットがあるのかを確認しておきましょう。
働く人の生の声を聞くことができる
OB訪問を行うメリットとしては、希望する企業で実際に働いている人の声を聞けるという点が大きいです。
資料や企業のwebサイトからだけではわかりづらい、社内の雰囲気や仕事のやりがいなどを聞くことができます。
これにより、働くことに対するぼんやりとしたイメージが、はっきりとした形になって見えてくるようになります。
また、説明会では聞きにくい給与や休みのことなども、先輩から詳しく聞けるのもメリットです。
就職後のギャップをなくすうえでも、具体的な福利厚生面は押さえておかなければなりません。
先輩は、当然ながら就活生として面接を受け、内定を獲得した人です。
就活での不安や悩みを相談しやすいこともうれしいメリットといえます。
企業・業界研究につながる
志望する企業の現場を見ることで、企業・業界研究をする際の貴重な材料集めにつながります。
たとえば、業界の規模や今後の発展といった全体像、企業の魅力や求められている人物像などです。
これらは事前に情報をつかむことはできるものの、ギャップが生まれやすい部分でもあります。
そのため、選考が進んでから「思っていたのと違った」と後悔する方も少なくありません。
また、企業研究を深めておけば面接などで自分の熱意をより強くアピールできます。
面接官も自社に強い興味を持っている就活生を採用したいと考えており、さまざまな質問を投げかけてそれぞれが持つ意欲をチェックします。
資料で得た情報から話すのと、実際にOB訪問して得た情報から話すのとでは、説得力が違うはずです。
志望動機や自己PRの材料になる
面接において、志望動機や自己PRのネタになるのも大きなメリットです。
OB訪問を行ったこと自体を企業にアピールし、自身の熱意を伝える方も少なくありません。
ほかの就活生がOB訪問をしていない場合、大きな差をつけることができるでしょう。
また、実際に働いている先輩に志望動機の添削をお願いできればよりブラッシュアップされます。
先輩がどのような志望動機で内定を獲得できたのか、具体的なポイントを聞いてみましょう。
面接官は、就活生の志望動機から自社への志望度の高さを把握します。
経験者からの貴重なアドバイスをヒントに志望動機や自己PRを組み立てれば、選考通過の可能性が高まるため、エントリーシートを持参してOB訪問を行うようにしましょう。
選考の前に人事の人と会うことができる
本番の選考前に、人事の人に会うことができることも大きなメリットです。
挨拶をするのはもちろんのこと、勇気を出して質問できれば、きっと顔を覚えてもらえるでしょう。
少しでも自分の良い印象を残すことができれば、面接などの際にプラスに働きます。
話したことがある人が一人でもいれば、緊張も若干やわらぐはずです。
OB訪問は先輩に個人的に会っているような感覚になりがちですが、実はそうではありません。
企業は採用活動の一環として、OB訪問を受け入れていることがほとんどです。
自分の一挙手一投足が採用担当者の方に筒抜けだと考えておいた方が良いでしょう。
悪いイメージを持たれないよう、できるだけ誠実な行動を心がけてください。
選考が有利になることがある
OB訪問によって、選考が有利に進むケースも少なくありません。
たとえば、先輩から採用担当者の方へOB訪問の報告が行われ、それが良い評価だったとします。
すると、その情報が共有され、評価ポイントがプラスされた状態で面接が始まります。
また面接時に「社員の話で印象に残ったこと」という質問に対し、柔軟な回答をすることも可能です。
OB訪問で聞いた話を絡めて話せば、面接官に好印象を与えることができるでしょう。
なお、失敗談や苦労話は面接官も経験してきた内容であることが多く、面接官の心にも響きます。
失敗したことを今後どのように活かすのかを伝えることができれば高評価につながり、選考通過の可能性がより高まります。
見聞きした情報ではなく、実体験でのエピソードは面接通過の大きなポイントです。
OB訪問はいつから始めるべきか
OB訪問をしようと考えたとき、いつ行えばいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
人によって異なりますが、一般的には就活が本格化する3月から始める方が多いです。
ただし、OB訪問を受け入れる先輩・企業側も、だんだん採用活動が本格化してきて対応が難しくなります。
希望する日時で行うことができず、日程調整に悩むことになるかもしれません。
エントリーシートの作成や説明会などの予定が入ることを考慮し、時間に余裕を持って訪問しましょう。
OB訪問すべき企業は?
OB訪問すべきかどうか、まだ悩んでいる人もいるかもしれません。
志望する企業によって、OB訪問すべきかどうかは異なりますが、金融・保険・通信会社・総合商社は必須とされています。
そもそもの倍率が高いため、OB訪問の実施有無で差をつけることが求められます。
また、ベンチャー企業もOB訪問が必要です。
なぜなら、インターネットや四季報などからでは情報を収集しづらいからです。
実際の雰囲気や先輩の話から企業研究をするのが効率的といえます。
OB訪問の流れ
OB訪問を行うことを決めたとき、「何から始めればいいのか」と悩んでしまう方も少なくありません。
事前連絡なしに訪問するのはもちろんマナー違反で、受け入れてくれることはほとんどありません。
社会人として時間を作ってもらわなくてはならず、親しい先輩の場合でもNGとされています。
また、訪問当日だけではなく、事前の準備を怠らないことが成功の秘訣です。
内定獲得に向けて、あらかじめOB訪問の流れをつかんでおきましょう。
OBを見つける
まずはOBを見つけなくては始まりません。
探し方としては二通りあります。
1つは、卒業生名簿やデータベースから探す方法です。
志望する企業に知り合いの先輩がいるという状況は、それほど多くはありません。
学内の就活サポートをしているところで尋ねるほか、Facebookを利用して探すという手もあります。
もう1つの方法は、自分の人脈を使って探し出すことです。
同じゼミやサークルの先輩などに相談し、OBを紹介してもらいましょう。
OBとつながっていればベストですが、そうでなくても先輩経由で友人・知人と幅広く探すことが可能です。
この方法であれば緊張もさほどしなくなるため、OB訪問のハードルが少し下がるかもしれません。
依頼する
OBを無事に見つけることができたら依頼をしましょう。
基本的にはメールか電話で依頼をします。
直接の知り合いである先輩に依頼するのであれば、電話で良いでしょう。
ただし、電話をする時間帯には気をつけなくてはならず、始業前や夜遅い時間帯は避けてください。
一方、よく知った人でない限りはメールをするのが最適です。
いきなり電話でOB訪問をしたいといわれても、相手の方も困ってしまうでしょう。
どういった理由からOB訪問をしたいのかをメールの文面に記載しつつ、さらに何度もやり取りをしなくても済むよう具体的な日時を提示するのがマナーです。
こちらから候補日を複数挙げて選んでもらうか、先輩の都合の良い日を教えてもらいましょう。
準備する
依頼メールを送ったら、すぐ当日の準備に取り掛かります。
先輩に甘えて、下調べも何もせずに訪問するのはNGです。
先輩の企業について、webサイトなどでしっかり調べて理解を深めておきましょう。
聞きたいこと、見て確認しておきたいことがわかるはずです。
また、当日に聞く質問事項を整理しておきますが、このとき5~10個ほど用意するのがベターです。
多すぎると相手も答えにくくなりますし、1つでは少なすぎます。
もし準備を整える間に、先輩から承諾のメールが届いたら、お礼とともに質問内容を書いて返信しましょう。
先輩も、突然質問されるよりは事前に把握しておいた方が考えやすく、時間も無駄になりません。
自分自身が聞き漏らすことも減り、当日の質疑応答がスムーズに進みます。
訪問する
依頼を受けてもらえたら、準備を整えていよいよ訪問です。
事前に決めておいた待ち合わせの場所に行きますが、先輩より早く到着できるように心がけましょう。
またどんなに親しい先輩でも、挨拶・自己紹介は怠ってはいけません。
自分の就活のために時間を割いてくれていることに対し、感謝の気持ちを忘れないでください。
挨拶が済んだら、考えておいた質問事項をもとに、先輩から話を聞いていきます。
気になることがあれば、積極的に掘り下げて質問しましょう。
質問が多いと、それだけ熱意・興味があると好意的に受け取ってもらえます。
給与や休日、残業の多さや職場の人間関係など、面接時には聞けないようなこともOB訪問なら聞きやすいでしょう。
お礼する
訪問が済んだら、社会人としてのマナーとして、当日中か遅くとも翌日にはお礼のメールを送りましょう。
実際に聞かせてもらった話の中から、特に参考になった部分なども交えて書きます。
受けてくれた先輩も、後輩の役に立つのはうれしいものです。
メールをする際は、相手の読みやすさを考えて丁寧に作成しましょう。
句読点の打ち方や改行の位置、誤字脱字がないかなどにも十分注意を払います。
特に、先輩の名前や企業名を間違えるのはNGです。
一呼吸おいて、最初から読み直しておかしいところがないか確認すると良いでしょう。
謙譲語・尊敬語の誤りや、二重敬語はミスがよく起きます。
最初から最後まで失礼のないように注意し、再度確認してから送りましょう。
OB訪問するときの注意点
OB訪問は、ただ行えば良いというものではありません。
ここまで解説してきたように、先輩や企業に対して失礼のないように気をつける必要があります。
就活生はまだ学生ですが、社会人としてのマナーをきちんと身につけておかなくてはいけません。
特にマナーや言葉遣いを重視する企業の場合、常識のない振る舞いや間違った敬語などは大きな減点対象となります。
OB訪問をスムーズに進めるために、ここからは具体的な注意点について解説していくのでぜひ参考にしてください。
身だしなみやマナーを守る
特に大切なのは、社会人としてのマナーを守ることです。
代表的なマナーとしては、時間を厳守する、挨拶を忘れないなどがあります。
最低限のマナーすらできていない人と一緒に働きたいという人はほとんどいません。
学生気分でOB訪問をするのはマイナス評価にしかならないため、社会人の心構えがあることをアピールしましょう。
服装は、清潔感のあるきちんとしたものにしましょう。
指定がない場合は、リクルートスーツにするのがおすすめです。
訪問する企業が私服勤務だったとしても、授業を受けるときのようなラフな格好ではいけません。
最低でもオフィスカジュアルにして、飾りや色使いなど細部にも気を配りましょう。
また、髪型をチェックしておくのも重要です。
男女問わず、清潔感を意識した髪型にしておくようにしましょう。
事前に聞きたいことをまとめておく
OB訪問をスムーズに進めて効率的に情報を得るために、事前に聞きたいことをまとめておきましょう。
就活は、エントリーシートの作成や説明会の参加など、OB訪問のほかにもやらなければならないことがたくさんあります。
どんなに忙しいからといって、OB訪問の準備を怠るのはおすすめできません。
準備を怠ったばかり、当日になって焦っているようでは相手も不安になってしまうでしょう。
あらかじめ先輩に聞きたいことをリスト化しておけば、聞き忘れることがないほか、相手に与える印象も良くなります。
「事前準備ができる人」は、大手企業・中小企業問わずほとんどの企業で重宝されます。
急がば回れの気持ちで、準備を丁寧に進めていきましょう。
先輩のツテがなく不安な就活生向け
「OB訪問をした方が選考に有利なのはよくわかったけれど、知り合いがいなくて不安」という人もいるでしょう。
近年は特に、コロナ禍のために人脈を広げる機会が減っている状況です。
そのため、先輩のツテがなく不安を感じている就活生はとても多いのです。
大学のキャリアセンターなどを頼って訪問できたとしても、よく知りもしない先輩ではうまく話せないかもしれません。
そういった場合におすすめなのが、手軽に使えるOB訪問アプリです。
OB訪問アプリを入れる
OB訪問アプリとは、OB訪問をしたい学生と社会人を簡単にマッチングさせる便利なアプリです。
在籍している大学から、自分の志望している企業に就職した人がいない場合途方に暮れてしまうでしょう。
運良く見つけたとしても、今まで交流したこともないのに依頼をするのは心苦しいものです。
このOB訪問アプリを使えば、同じ出身大学ではない社会人とも気軽に連絡を取ることができます。
アプリに登録している社会人は、基本的にOB訪問を快く思ってくれている人ばかりです。
また、企業も商社や金融、不動産など充実しています。
ベンチャー企業から大手企業まで幅広くカバーしているため、自分の積極性を発揮してどんどん訪問を依頼していきましょう。
アプリを使用するときの注意点
OB訪問アプリを使用するときには、自分のプロフィール欄を充実させることが重要です。
OB訪問を受け入れてくれる登録者・企業は、自分のことをまったく知りません。
ネット上で行われるやり取りであるため、より確度が高い情報を伝える必要があります。
自分を偽るプロフィールを載せるのはもちろん、曖昧な情報を記載しないように気をつけてください。
また、やり取りにはそれなりの時間と手間がかかります。
日程調整がうまくいかないと、何度も連絡を取ることになり、実際の訪問日がだいぶ先になってしまうおそれがあります。
なお、アプリによって利用層や機能面などの特徴が異なるので、自分に適したものを見つけておきましょう。
知らない人とマッチングするアプリの性質上、犯罪に巻き込まれないよう特に女性は注意が必要です。
おわりに
今回は、やるべきかどうかで迷いがちなOB訪問について解説しました。
OB訪問をすることによって得られるメリットは多く、複数のOBと会う就活生も少なくありません。
今回ご紹介した流れを押さえて準備を整え、より有利に選考を進めてください。
ただし、OBや採用担当者の方に悪い印象を与えてしまわないように、身だしなみやマナー、言葉遣いには十分気をつける必要があります。
また、どうしてもOBが見つからない場合、OB訪問アプリの活用も検討してみてください。