はじめに
卒業生に就活についての話を聞くと「自己分析が大切だ」と言われることが多いのではないでしょうか。
しかしながら、企業から分析結果の提出を求められるわけでもないのに、なぜ自己分析が必要なのか疑問に感じるかもしれません。
また「自己分析をしようにも、何から始めれば良いのかわからない」という方もいるでしょう。
そこで今回は、自己分析が就活において重要といわれる理由について解説します。
すぐにできる自己分析のやり方や、自己分析を始めるべきタイミングもあわせてご説明するので、ぜひ参考にしてください。
自己分析とは
そもそも自己分析とは、自分のこれまでの経験や思考にもとづき、自分の能力・性質・価値観・強み・弱み・なりたい将来像を理解することです。
自分がこれまでどんな考え方でどんな行動をしてきたのか、どういった状況でどのような感情を抱いたのかなどを言語化し、そこから自分軸の整理や面接・エントリーシートで語るエピソードを整理します。
自分の魅力をどれだけ効果的に伝えられるかが就活のポイントであるため、自己分析はその下準備とも言えるでしょう。
そのため、自己分析は就職活動の出発点とされ、大学の就職課による就職支援においては、自己分析の指導が初期段階で行われます。
自己分析は就活になぜ重要なのか?
自己分析を行うにあたり、その重要性も理解しておく必要があります。
重要性と目的を理解したうえで取り組むことで、より効率的に的確な分析ができるでしょう。
自己分析が就活において重要だといわれる理由は、大きく3つあります。
それは、自分への理解が深まること、自分に合った企業をスムーズに見つけられること、面接での回答対策にもつながることです。
ここから、これらの理由それぞれについてくわしく説明していきましょう。
自分についての理解が深まる
自己分析は、自分のことを理解するために重要です。
就活では、自分のことをまったく知らない人に対して、自分がどんな人で・何を考えて・どういう個性をもっているのかを具体的に伝えなければなりません。
「自分のことは自分がよくわかっているのだから、簡単だ」と思ってしまう方も多いですが、自分のことを人に伝えるのは案外難しいことです。
いざ明確に伝えようとすると、何から話せば良いのかわからなくなってしまうことも少なくありません。
そこで自己分析によって、自分の性格ややりたいこと、頑張ったこと、強み・弱みなどをはっきりと認識しておくのが重要になります。
また、自分を客観的に整理し、理解することで、就活における自分の軸や方針も決めやすくなるでしょう。
自分に合った企業をスムーズに見つけることができる
自分に合った企業をスムーズに見つけるためにも、自己分析は必要です。
企業選びにおいては、自分が何を重視する人なのか、何に幸せを感じるのか、何が嫌なのかといった自己理解が大切です。
客観的に自分の価値観や考えを把握することで、企業選びの基準が定まり、どのような業界・企業・社風が自分に合っているのかを判断する軸ができます。
自分の指針を決めずに就活を始めてしまうと、すべての企業へ総当たりすることになり、負担が大きくなります。
自分の好きな仕事や環境がはっきりしないままだと、就活を終えたとしても、やりたくない仕事と適さない環境の中で日々過ごすことになりかねません。
自己分析を通して優先すべきポイントが定まれば、志望する企業を絞りやすくなり、効率的に就活を進められるでしょう。
面接での回答対策にもつながる
自己分析は、面接における回答対策にもつながります。
面接では、自己PRや志望動機、長所・短所などについて聞かれます。
その際に十分な自己分析ができていないと曖昧な内容しか伝えられず、面接官の興味を引くのも難しいでしょう。
たとえば面接官に志望動機をたずねられた場合に「社風や企業理念に惹かれたから」という内容だけでは不十分です。
なぜ惹かれたのかという具体的な理由がなければ、企業はあなたが入社後に何をしたいのか判断できません。
面接時の回答内容をより具体化するためには、自己分析によって自分の価値観や大事にしたいものを明らかにしておく必要があります。
自己分析で面接時の回答対策をしておけば、自分の魅力をしっかりと企業に伝えられるでしょう。
すぐにできる自己分析のやり方とは
自己分析が就活において重要だとわかっても、いざ始めようとすると何から手をつけるべきかわからないかもしれません。
就活にあたり、はじめて自己分析をする方がほとんどなので「自分のことを明確に把握する」とは言っても簡単なことではないでしょう。
そこで、以下ではすぐに自分で取り組める自己分析のやり方について解説します。
自己分析のやり方は、1つではありません。
性格診断を利用したり、自分で過去の経験を深掘りしたり、自分について書き出したりするなど、さまざまです。
それぞれのやり方についてくわしく説明するので、自分に合ったものを試してみると良いでしょう。
性格診断をやってみる
性格診断サイトなどを利用して性格診断を行うと、自分について知るきっかけとなるため、自己分析の方法としておすすめです。
性格診断では、質問に答えていくことで、自分の性格・思考・得意・不得意を診断してもらえます。
結果を通して、自分の性格や長所・短所などを再認識できたり、自分について新たな発見を得られたりできるでしょう。
また、自分はこのような性格だからこの職種が向いている、この会社の企業理念は自分の考え方とマッチしている、というように就活の方針を決める際の根拠にもなります。
自分の進みたい方向が明確になれば、自信をもって就活に臨めます。
なお、性格診断はあくまで質問の答えをもとに診断されるものであるため、その結果がすべて正しいとは言えません。
診断結果に対して、納得がいかない場合もあるかもしれません。
しかしながら、自分の意外な一面を知るきっかけや、自分を客観視するための参考としては便利なツールの1つです。
過去を深掘りしてみる
自分の過去を深掘りするというのも、一般的な方法の1つです。
過去の出来事を深掘りする場合は、高校や大学だけでなく幼少期や小学校、中学校の頃の出来事まで整理します。
ライフステージごとに出来事とモチベーションを振り返ることで、自分の気分がどのように変化するのか可視化できるため、分析の効率が上がります。
また、取り組んだことや頑張ったことといった出来事それぞれに、なぜ自分がそのような行動を取ったのか、なぜそのような感情をもったのか問いかけるのも大切です。
動機を明らかにすることで、出来事だけでなく、そのときの行動や感情についても理解が深まります。
そして、出来事とその動機についての深掘りを、自分の特徴や性格が見えるまで繰り返しましょう。
そうすることで、一貫した自分の性質がわかってきます。
ただし、過去を深掘りする場合は、常に客観的な視点で分析するように気をつけましょう。
過去を振り返る中で自分の世界観に没頭してしまい、客観視できなくなると、自分が伝えたいことと面接官の印象にずれが生じる可能性もあります。
客観的な視点を失わないために、第三者からの意見ももらいながら分析を進めていくのがおすすめです。
自分について書き出してみる
自分の長所や短所など性格的な部分などを思いつく限りで書き出し、リストアップして、そこから掘り下げてみるのも有効な手段と言えます。
たとえば、自分史を作るのもおすすめです。
自分史は、過去の印象に残っている経験や努力を注いだこと、価値観が変化した出来事などを、時系列順に書き出して自分の歴史を作る作業です。
過去の自分が、似たような状況のときにどのような判断をしてきて、その結果となる現在をどう捉えているのかを明確にすることで、自分軸を定めやすくなるでしょう。
ほかに、マインドマップを使うのもおすすめの方法です。
マインドマップとは、自分の頭の中を紙に書いて、派生するものをつなげてマップを作るように思考を広げる方法です。
考えを紙に書き出していくことで、どんなことが好きなのか、どんなことに興味をもちやすいのかなど、自分の思考を整理・発見しやすくなります。
思考を派生していく中で冷静に振り返ると、日頃意識していなかった自分の一面や考え方も見えてきます。
テンプレートツールなどを活用する
自分で自己分析を進めていくのが不安な方は、テンプレートツールなどを活用するのも良いでしょう。
テンプレートツールを使用すれば、用意された項目に沿って入力していくだけで、自己分析をスムーズに進められます。
過去の深掘りや、自分についての書き出しをよりやりやすいように工夫されたツールや、グラフ上に自分の性質を書き表せるテンプレートなど、種類も豊富です。
経験や性格について書き出そうにも「白紙の状態からではどのように書けば良いのかわからない」という方は、利用してみると良いでしょう。
加えて、これらのテンプレートは実際に就活のプロが監修したうえで作成された資料であるため、安心して利用できる点もメリットです。
無料でダウンロードできるテンプレートツールも多く、効率的に的確な自己分析を進められるので、ぜひ試してみてください。
どのテンプレートツールを使うべきかわからないという方は、こちらを活用してはいかがでしょうか。
就活イベント・セミナーを活用する
就活イベントやセミナーなどで、自己分析のサポートをしてくれるサービスやエージェントを利用してみるのもおすすめです。
プロから自己分析の基礎を学び、実際に自己分析を行ってフィードバックも受けられます。
就活の基盤とも言える自己分析の基礎を総合的に学べるため、イベントやセミナーでの経験を活かせば、より魅力的な自己PRの作成などにつなげられるでしょう。
就活イベントやセミナーで実施される自己分析のレクチャー内容は、大きく分けて3つです。
まずは、座学で講義を受講するケースが多く、そこで自己分析の概要やポイント、くわしいやり方などを解説してもらいます。
また、説明を受けながら専用のワークシートなどを使用して、自分のことについて文字に起こし、実際に自己分析を進めていきます。
次に実施するのが、自己分析の発表です。
ワークシートなどを用いて作成した自己分析の結果を参加者同士で共有することで、自分が今後取り組む自己分析の参考にできます。
最後に、ほかの参加者や講師からフィードックを受けます。
第三者からの意見をもらえるため、参考になる部分も多いでしょう。
人に相談して客観的な意見を得る
自分の記憶や感情だけを頼りに自己分析を進めていくと、自分の世界に入り込みすぎて、客観的な視点を損なってしまうおそれがあります。
それを避けるためにも、第三者に相談して、客観的な意見を得るのは大切です。
また、案外自分のことは自分よりも他人が知っているというケースも少なくありません。
たとえば、謙虚な性格の方だと、自分の良いところや強みをなかなか見つけられないこともあるかもしれません。
身近な友人や家族でも良いので、自分以外の人に自分の性格や印象を教えてもらうと、自分が今まで気がつかなかった一面などを知ることができます。
自分が抱いている自分自身の印象と、第三者の印象にずれがないかを確かめる機会にもなるので、より的確に自己分析をすすめるための参考になるでしょう。
就活エージェントに相談
自己分析は自身の強みや弱みを知り、価値観や目標などを明確にすることで、それらを企業選定や面接で活かすための重要なステップです。
しかし、自己分析が初めてであれば、難しさを感じることもあるはずです。
「何が正解なのかがわからない」といった悩みに直面することもあるでしょう。
そこで有効なのは、専門家のアドバイスを受けることです。
それをもとにすることで、自己分析を効果的に進められるようになります。
幅広い経験と知識をもつプロに相談するメリットは、自分の強みや興味にあわせて、マンツーマンの提案をしてくれることです。
経歴や志向をくわしく聞き取ったうえで提案してくれるため、無駄な時間やエネルギーを節約することにもつながります。
結果的に、成功への道がよりスムーズになるでしょう。
就活エージェントについてくわしく知りたい方はこちらからどうぞ。
自己分析はどのタイミングで行う?
自己分析の重要性が理解できても、一体いつから始めれば良いのか迷う方も多いでしょう。
自己分析は就活の基盤となるため、なんとなく早いほうが良いような気はするものの、ゴールがないためどれくらいの時間を設けるべきかもわからないかもしれません。
自己分析を始めたところで時間が足りなければ、内容が十分に練られず、エントリーシートや面接に影響してしまう可能性もあります。
そこで、以下では、就活においてどのタイミングで自己分析を行うべきなのかについて解説します。
自己分析を始める時期がわからない方は、ぜひ参考にしてください。
就活が始まる前
情報が解禁される前の段階で、自己分析を行うのは非常に重要です。
将来の進路やキャリアについて、基本的な方向性を定めるための絶好の機会といえます。
解禁後にどんな企業を志望するかをざっくり決めておくために、ある程度の自己分析は、このタイミングでしっかり済ませておくべきでしょう。
とくにこの時期に考えるべきことといえば、自分がどのようなことに興味や関心をもっているのかを洗い出しておくことです。
それによって強みや弱みが浮かび上がってきて、どの分野に進みたいかなど、将来のビジョンが明確になるからです。
さらに、自己成長のために改善すべき点などを把握することにより、志望する企業や職種に向けて、自分をどのようにアピールするかを考える材料をストックしておけるでしょう。
就活中
いよいよ活動が本格的に始まってからも、自己分析は繰り返し行わなければなりません。
定期的に、自分自身と向き合うことを習慣化すべきでしょう。
その重要性に気づくきっかけは、たとえば業界や企業とのミスマッチを感じたときかもしれません。
面接や企業説明会を通じて、自身と企業の文化や価値観があわないと思うこともあるでしょう。
その場合、自分が求める環境や価値観がどのようなものか、再確認しなければなりません。
あるいは、選考で残念ながら落ちてしまった場合、なぜ選考で失敗したのか、どのスキルや資質が不足しているのかを冷静に振り返りましょう。
いずれにしても、ゴールのない重要なステップなので、場合によっては信頼できる友人や専門家などにアドバイスをもらいながら、ブラッシュアップさせていきましょう。
内定獲得後
自己分析することの目的のひとつは内定を獲得することで、難関を突破して志望している企業へ就職することかもしれません。
しかし、それが達成されたからといって終わりにするのではなく、むしろ内定を手に入れた後こそ、冷静に自分自身と向き合うべきかもしれません。
内定を獲得しても、本当にその企業に就職したいのか、いざ社会人になってから後悔しないよう、自分自身に問いかけてみましょう。
企業の評判や業界のイメージだけでなく、自分のキャリア目標や価値観と企業の文化やビジョンが合致しているかどうかを考えることが重要です。
そうして自己分析のための時間を取ることで、自分の長期的なキャリア目標と企業選択の一致を確認し、入社後の不安を軽減することにもつなげられるからです。
まとめ
ここまで、就活における自己分析について解説しました。
自己分析とは、自分の過去の経験などを振り返り、自分の考え方や価値観を再認識することです。
自分軸を定めて志望する企業を絞る参考になる情報であるため、就活の基盤ともいわれます。
また、自己分析が重要視される理由としては、自分への理解が深まる・自分に適した企業をスムーズに見つけられる・面接での回答対策になるといった点があげられます。
なお、自己分析のやり方は、性格診断やテンプレートツールを利用する方法や、自分で過去を深掘りする方法などさまざまです。
いろいろな方法を試して、できるだけ早い段階から繰り返し自己分析を行えば、エントリーシートや面接での質の高い回答につながるでしょう。