はじめに
就活で成功するためには、大学在学時の早い段階から準備を進めておくことが大切です。
しかし、大学でのどんな活動が就職活動にどのように影響するのか、よくわからないという方もいるかもしれません。
そこで今回は、ゼミに焦点を当て、就活への影響や所属することのメリット・デメリット、代わりにアピールポイントとして使える経験について解説します。
ゼミに所属すべきかどうか迷っている方、就活でどのような点をアピールすれば良いか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
【就活でゼミに入ってないと不利?】ゼミに入ってないと不利になるのか
就職活動において、ゼミに関する質問が尋ねられやすいのは事実です。
しかし、大学時代にゼミに所属していなかったとしても、就職活動で明確に不利になることはありません。
エントリーシートでゼミに関する記入欄が存在した場合でも、ゼミに入っていないから選考で弾かれるというような心配をする必要はないでしょう。
詳細は後述しますが、ゼミに関する質問はゼミへの所属そのものより、質問を通じて見てくる学生の内面的な部分を重視しているケースが多く見られます。
言い換えれば、ゼミに所属しているかどうかより、しっかりとアピールポイントを作れているかが重要なのです。
逆にゼミに加入していたとしても、それだけで就職活動がうまくいくわけではありません。
自身の学びや経験をどうやって就職活動に活かすかが重要になってきます。
【就活でゼミに入ってないと不利?】ゼミ欄で採用担当者が知りたいこと
エントリーシートに記入欄が設けられている項目や、面接で質問される内容には採用担当者の意図が隠れています。
エントリーシートのゼミ欄がどういったことを知るために存在しているのかを把握することで、ゼミでの経験をより効果的に就職活動に役立てられるでしょう。
ここからは、ゼミについての質問を通じて採用担当者が特に知りたがっている3つのポイントを解説します。
自身のゼミ経験からどのポイントがアピールできるか、どうすれば採用担当者にわかりやすく伝えられるかを考えてみてください。
ゼミの内容
所属しているゼミの内容も、採用担当者が知りたいポイントのひとつです。
具体的にゼミでどういった内容を学び、どのような経験を積んできたのかを採用担当者にはっきり伝えましょう。
専門性の高い職種では、業務適性を測る際にゼミの内容が重要になってくるケースも存在します。
逆に、自分の専門とは異なる業界や関わりの少ない職種への就職を目指す際は、専門的な用語を避けなるべくわかりやすい言葉で伝えることも大切です。
就職活動に臨む前には、一度自分が学んだことについて整理をしておくと良いでしょう。
価値観や考え方
ゼミに関する質問は、学生の価値観や考え方などの内面を知る目的で尋ねられる場合もあります。
この点については、ゼミの内容そのものより、自分が何を考えどういった経緯でゼミに入ったのかが重要になってくるでしょう。
そのためゼミに関する質問に解答する際は、ゼミの情報だけでなく自身の心情や経緯を織り交ぜることが大切です。
先述したとおり、ゼミの内容について伝えることも大切ですが、ゼミの解説だけに終止していては自己アピールにはなりません。
しっかり自己分析を行い、自分がゼミを選んだ理由を確認しておきましょう。
企業との相性
企業が選考において特に重視するポイントのひとつとして、「学生と企業との相性」が挙げられます。
企業が特に避けたいのは、「入社後の早期退職」です。
そのため、学生の能力の高さだけではなく相性の良さにも注目し、採用の是非を検討するのが一般的です。
ゼミへの所属は、既存の集団の中に入り、ほかの学生や教員と共同して学習・作業を行うという点で、企業への入社と似た部分があります。
モチベーションの所在や他人との付き合い方、ゼミの雰囲気といったポイントは、企業との相性が見えてくる大事な情報となるので、これらも一度整理しておくと良いでしょう。
【就活でゼミに入ってないと不利?】ゼミに入らないメリット
ここまで、ゼミへの所属が就職活動においてメリットになるという点に注目して解説をしてきました。
しかし、ゼミに所属しないことによって享受できる独自のメリットも存在します。
そのため、次にご紹介するようなメリットを重視する場合は、あえてゼミに入らないという選択をすることも必要になるでしょう。
「みんなが所属しているから自分も所属する」といったように流れだけで判断せず、自身の将来を見据えたうえでゼミに所属するべきかどうかを考えてみてください。
大学に縛られない生活をできる
ゼミとは専門的な分野について学びを深めていく場なので、勉強の予習や事前準備に一定の時間を割かなければいけません。
また多くのゼミでは、少人数での連携した学習を積極的に推進するため、緊密なコミュニケーションを重視しています。
そのため、授業の時間外に打ち合わせをする、ゼミの仲間や教授と食事会をする、イベントに参加するといった機会も増えるでしょう。
結果として、ゼミに加入すると多くの時間を大学に縛られることになります。
通常の授業で十分だと考えている方や、大学以外での活動により時間を使いたい方にとっては、あえてゼミに所属しないという選択肢も重要になるでしょう。
自分が大学生活で何をしたいかを明確に決めておくと、メリットが判断しやすくなります。
学業の負担を減らすことができる
ゼミではほかの学生や教授とコミュニケーションを深めることも重要な活動ですが、専門分野の学習の方も非常に大事です。
そのため、ゼミに所属している場合と所属していない場合では、勉強の時間・量が変わってきます。
予習や復習の量、レポートの提出頻度などは、ゼミに所属していない場合と比較すると大幅に増えるでしょう。
場合によっては勉強の量が自分のキャパをオーバーし、生活スタイルが崩れてしまう可能性もあります。
無理をしてほかの勉強や活動がおろそかになってしまっては、ゼミに所属したメリットも活かせません。
「学業の負担を増やしたくない」「大学での学業以外を重視している」という方は、ゼミに所属することが自分のためになるかをしっかり考えた方が良いと言えるでしょう。
やりたいことに時間を使える
ここまで解説してきたように、ゼミに所属すると大学に縛られる機会が多くなり、勉強の負担も増加します。
その結果、自由に使える時間は、ゼミに所属していない場合に比べ少なくなるでしょう。
部活動に真剣に取り組んでいる方、難関資格の取得を目指している方、アルバイトで資金を稼ぎたい方などにとっては、ゼミに所属することで目的の達成が難しくなるかもしれません。
自由な時間を犠牲にしてまでもゼミに所属する必要があるかどうか、一度真剣に考える必要があるでしょう。
学生にとって勉強は大切なことですが、貴重な時間を何に使うべきかを最終的に判断するのは自分自身です。
自分のライフスタイルやモチベーション、将来設計などを考慮して時間の使い方を決めましょう。
【就活でゼミに入ってないと不利?】ゼミに入らないデメリット
次は、先ほどとは逆に、ゼミに所属していないことによるデメリットをご紹介します。
今回の解説はゼミと就活の関係に焦点を当てていますが、これらのほかにもゼミに所属しないことによって発生するデメリットは存在するでしょう。
在学中から就職について意識しておくことも大切ですが、どのような大学生活を送りたいか、何を学びたいかといった大学生活の軸となる部分を忘れてはいけません。
より広い視点を持ち、ゼミへの所属が自身にどのような影響を与えるかを考えることが大切です。
就活の情報を得られない場合がある
ゼミには、先輩や教授が持つ就活に関するノウハウが蓄積されています。
そのため、勉強の場であるゼミが、就活対策の場としてもある程度機能しているケースは決して少なくありません。
ゼミに所属しない場合、そういった情報を得る機会を失う可能性があるでしょう。
部活やゼミ以外の活動でも先人のノウハウを知ることはできますが、緊密な関係を築きやすく、真剣の将来のビジョンについて議論しやすいゼミは、特に適した場のひとつです。
就職活動は長期戦であり、継続して積極的に活動することが重要になってきますが、ともに就職活動に臨む仲間が身近にいれば、モチベーションを保ちやすくなるでしょう。
ゼミに所属しない場合、就職活動に関する情報を集めるための場所を、自分の力で見つけなければなりません。
深い知識をつけられる機会を失う
ゼミでは、自身が選考している分野について通常の授業に比べより深く専門的に学べるのが一般的です。
教授や友人など、同じテーマに関心を持つ人々と積極的に議論し、ともに学ぶことで新たな知見が得られる可能性もあるでしょう。
ゼミに所属しない場合、そういった専門性を深める機会を失ってしまいます。
特定のゼミが存在することを理由に大学を選んだケースなどでは、そもそもゼミに加入しないという選択肢自体が存在しないかもしれません。
また、現在の専門と関連性の高い業界・業種への就職を目指す場合は、特にゼミ加入の有無は大きく影響してくるでしょう。
自身が興味のある分野について専門性を深めるという意味でも、就職活動に役立てるという意味でも、ゼミで学ぶ内容は大きな意味を持つのです。
ゼミ欄に記入することができない
就職活動のエントリーシートでは、しばしばゼミについて記入する欄が設けられています。
ゼミに所属していない場合は、そもそもこの欄に記入することができません。
ただし、後述するように、ゼミ欄の回答で期待されているポイントをほかの経験からアピールすることは可能です。
そのため、ゼミ欄に記入できないこと自体は、就職活動において致命的なミスとはなり得ません。
ゼミ欄には素直に「特になし」と記入しましょう。
同様に、面接でゼミについて尋ねられた場合も、ごまかさずに所属していなかった旨を伝えることが大切です。
【就活でゼミに入ってないと不利?】就活での注意点
ここでは、ゼミに入っていない人が就活で気を付けるべき注意点についてご紹介します。
以下の3つのことに注意することで、ゼミに入っていない場合でも、就活で不利にならないように対策を進めることができるでしょう。
ゼミに関する嘘をつかない
ゼミに入ってないのにもかかわらず、ゼミに入っていると嘘をつくことはお勧めしません。
いくらしっかりとエピソードを準備してきたとしても、本当に経験した話でないと想定外の質問に対して適切な回答をすることは難しいでしょう。
また、話している内容に矛盾が生じてしまい、採用担当者に嘘を見抜かれてしまう可能性が高いです。
この質問を通して、企業は物事への取り組み姿勢や価値観といった内面的なことについて知ろうとしており、ゼミに所属していること自体は重要視されていないケースが多いです。
所属していない場合は、ゼロから話を創り出すのではなく、正直にゼミに入っていないことを伝えるようにしましょう。
ゼミに入ってないポジティブな理由を用意する
ゼミに入ってないからと言ってマイナス評価にはなりませんが、なぜゼミに入ってないのかの理由を聞かれることはあるでしょう。
その際に、「必修じゃないから」や「面倒だったから」という理由を伝えてしまうと、やる気がない印象を持たれてしまいます。
そこで、「ゼミ以外に注力したい活動があったから」など、ポジティブな理由を伝えることができると、企業に与える印象が変わります。
また、ゼミに入ってない理由の話から、自分が学生時代に最も力を入れた話にもつなげることができ、アピールをしやすくなるでしょう。
ゼミ以外に力を入れた活動を書く
エントリーシートにゼミの記入欄があるときは、所属していない場合は空欄で構わないという記載があれば、無理に記入する必要はありません。
ただし、その記載がない場合や面接で聞かれた際には、授業での取り組みや課外活動など、できるだけ他に力を入れた内容をアピールするようにしましょう。
何も書かずに提出してしまうと、志望度が高くないと判断されてしまう恐れがありますので、注意しましょう。
【就活でゼミに入ってないと不利?】ゼミに入ってない場合アピールできること
採用担当者にゼミについて質問された際、ゼミに所属していれば自信を持ってアピールでき、好印象を与えられます。
しかし、ゼミに加入していなかったからといって、大きなマイナス評価をつけられるものではありません。
ゼミに関する質問で採用担当者が知りたがっているポイントについてしっかり理解し、それらのポイントをほかの経験からアピールできれば、内定に一歩近づくことができます。
以下では、ゼミに入っていない場合にアピールポイントとして活用できる経験や活動を5つピックアップしています。
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
部活
ゼミに所属することは、自分が勉強に対する真摯な姿勢を持っていることを示す際に役立ちます。
一方の部活では、勉強が運動やそのほかの活動に変わりますが、力を入れて真剣に取り組んでいることを示せる点は同様です。
むしろ、学生の多くが取り組むゼミでの勉強より、個人のやりたいことが明確に反映される部活の方が、独自性をアピールできる場合もあるかもしれません。
部活動に力を入れて取り組んだ経験は、面接の際に自身の個性や性格を伝えるアピールポイントとして役に立つでしょう。
大会の成績や受賞歴だけでなく、部活における自身の心情やモチベーションを言語化しておくことをおすすめします。
インターンシップ
社員に混ざって働くタイプのインターンシップでは、学生に不足しがちな社会経験が積めるでしょう。
説明会タイプのインターンシップであっても、企業研究を積極的に進めていることが示せます。
大学での勉強内容は企業での業務に直接つながらないことも多く、そういった場合は即戦力となるスキルや社会経験の方が重視されるケースも少なくありません。
実際、インターンシップを採用の必須条件と設定している企業も一定数存在します。
そのため、インターンシップでしっかり情報や学びが得られていれば、ゼミでの経験に引けを取らないアピールポイントとして活用できるでしょう。
サークル
これは、複数の部署やチームが連携してプロジェクトを進めていく企業活動と共通点を持つ構造です。
そのため、自分がサークル内でどのような立場にあり、どのような活動をしていたのかをアピールすれば、就職活動においても評価されやすいでしょう。
サークル活動をアピールする際には、部活の場合と同様に、自身の内面についても伝えることが大切です。
自分の心情について細かく、言及することで個性や考え方がアピールできます。
なお、活動の方向性や組織の構造はサークルによって差があるため、どういった点がアピールに使えるかあらかじめ考えておきましょう。
資格取得
選考の過程で重視される資格は業界や業種によって異なりますが、秘書検定や簿記などの資格はアピールポイントとして活用しやすいでしょう。
客観的にわかりやすく自分の強みを示せるため、内面を伝えるタイプのアピールポイントとは異なる方向性で役立ちます。
また、試験に合格して資格を取得すれば、アピールポイントが増えるという高揚感を明確に感じられるため、勉強のモチベーションも維持しやすいでしょう。
ただし、英語検定5級のように、少し勉強をすれば誰でも取れるような資格や、実用性が低いとみなされる資格についてはあまり評価されないため注意しましょう。
留学
内面的な部分としては、留学を決めた動機で個性や考え方を、留学計画の立案と実施で行動力や決断力がアピールできるでしょう。
また留学先の経験は、コミュニケーション能力や問題解決能力などをアピールするのに役立ちます。
グローバル化が進んでいる現代においては、留学によって身につけた語学スキルも重要なアピールポイントのひとつです。
アピールポイントとして活用する際は、留学しようと思った理由を明確に伝えるようにしましょう。
ただし、部活やサークル、資格取得などに比べると、行動に移すまでの準備に時間がかかります。スケジュールの調整や費用の工面なども必要になるので、ゼミへの所属も含めて早い段階から行動を始めることが大切です。
まとめ
採用担当者は、ゼミに関する質問から学生の価値観や企業との相性を知ろうとしているため、ゼミへの所属を必須と考える方も少なくありません。
しかし、ゼミに所属していなかった場合でも、部活やサークル、資格の取得や留学経験などで同様のアピールが可能です。
ゼミに入らないことにもメリットは存在するため、就職だけでなく自身のライフスタイルや学校で学びたいことも考慮し、所属するかどうかを決めると良いでしょう。
もちろん所属するかどうかだけでなく、どこに所属するかも重要なので、早い段階から情報を集めておくことをおすすめします。