はじめに
大企業や歴史の長い企業ではなく、ベンチャー企業への就職を志望する学生が増えています。
新しいビジネスにチャレンジする面白さ、年齢や経験に関係なくアイデアと能力で勝負できることなどが、ベンチャーの魅力です。
しかし、能力主義で勢いのあるベンチャーで自分が本当にやっていけるのかどうか、不安を感じている方も少なくないでしょう。
この記事では、ベンチャー企業の教育体制や研修制度について解説していますので、入社後のイメージを膨らませてみてください。
【ベンチャーの研修制度】研修制度ってある?
大手企業などは、新入社員の研修制度があることがほとんどです。
短くても数週間〜1ヶ月、中には数ヶ月〜半年という長い期間をかけて、新入社員研修を実施する企業もあります。
一方で、ベンチャーの場合は研修制度が整っていないことの方が多いです。
たとえ研修という扱いになっていても期間は明確に設けられておらず、机上のレクチャーではなく現場で学ぶことが多いという特徴もあります。
ベンチャーの研修は、いわゆるOJT(On the Job Training)というもので、実務に携わりながら教育するやり方なのです。
いきなり現場に入ることに不安を感じるかもしれませんが、最初から即戦力としてバリバリ活躍することを求められているわけではないので、そこは心配ありません。
人材不足
ベンチャーで、研修制度があまり充実していない理由の一つは人材不足です。
まだ成長過程にあるベンチャーは少ない人数で仕事をこなしており、複数の役割を兼務している社員も多いです。
大手企業には総務部や人事部に複数の社員が所属しているので、新入社員研修に人員を割くことができます。
しかしベンチャーの場合は、総務部や人事部がない企業や、部署があっても研修に専念できる人員までは確保できないケースも少なくありません。
また、ベンチャーにとっては新入社員も貴重な戦力であり、簡単な仕事だけでもできるだけ早く任せたいという実情があります。
ベンチャーの研修がOJTで行われるのは、人材不足という事情もありますが、新入社員に対する歓迎と期待の表れでもあるのです。
時間不足
現場の人材が不足しているベンチャーでは、少ない人数で日々の仕事をこなしています。
また、ベンチャーは成長過程であるがゆえに、ときには短納期の依頼に応じたり、キャパシティ以上のプロジェクトにチャレンジしたりすることもあります。
これから事業を大きくして飛躍しようとしているベンチャーにとって、人と時間はとても貴重です。
そのため、新入社員の研修に使う時間がもったいないと考えるベンチャー企業は多いと考えられます。
わざわざ時間と人員を確保して机上のレクチャーを行うよりも、現場で教える方が社員のタイムロスが少ないのです。
新入社員も入社後すぐに上司や先輩社員の名前を覚えることができ、会社の雰囲気に慣れて仕事の流れを掴むのも早くなるでしょう。
【ベンチャーの研修制度】研修制度がないメリット
ベンチャーでは研修制度を設けていない企業が多いため、不安を感じる学生も少なくないでしょう。
確かに、たとえ短い期間でも研修を受けてから働き始める方が、安心感は大きいかもしれません。
しかし、研修制度がないからこそ得られるメリットがあるのも事実です。
ここでは、研修制度がないことのメリットを2つご紹介し、具体的に解説していきます。
とくにベンチャーを志望している学生にとっては魅力的に感じる部分だと思うので、ぜひ前向きに捉えてみてください。
早期に現場に出られる
研修制度がないことによって、入社してすぐに現場に出て即戦力として働くことができます。
即戦力といっても、いきなりすべてを丸投げされるわけではないので安心してください。
最初は雑務などをこなしながら先輩とペアで動くことが多く、先輩とのコミュニケーションを通じて本格的な実務を学んでいきます。
また、早期に現場に出ることは、先輩や上司の名前を早く覚えて会社に馴染めるメリットもあります。
先輩の仕事を間近で見ながら来客や電話の応対にも携わっているうちに、クライアントの名前も覚えられるでしょう。
長期間の研修で万全の準備をしても、現場の実務に慣れるまでには時間がかかります。
その点においても、社会人として一歩リードできるはずです。
型にはまらない働き方ができる
新入社員研修では、社会人としての心得や話し方から始まり、仕事のやり方や流れを細かく教わります。
そして現場に出たら教わった通りに仕事をして、自分なりのやり方や能力は後から身につけたり発揮したりすることが多いです。
しかし研修がない場合は、最初から自分の得意な能力を発揮して、型にはまらない働き方ができます。
模範的なやり方をレクチャーされていないので、指摘を受けることは増えるかもしれません。
しかし、それはたとえ型どおりでなかったとしても、早い段階から個々の能力が認められやすい環境でもあるのです。
一律的な働き方が評価されるのではなく自分らしさを出せる環境は、ベンチャー志望の学生にとって非常に楽しく、魅力的に感じることでしょう。
【ベンチャーの研修制度】研修制度がないデメリット
ここまで研修制度がないことのメリットをご紹介してきましたが、やはりデメリットも存在します。
研修制度を設けていないベンチャーに就職して活躍したいのであれば、そのデメリットをどうやって乗り越えるかも重要になってくるでしょう。
そこで、研修がないことによって想定されるデメリットを2つ挙げて解説します。
内容を読んだうえで、そのデメリットが自身にとって許容できるものなのか、やはり研修制度があった方が安心なのか、判断の指標にしてみてください。
最初は失敗が多い
研修がないということは、何もわからない状態で現場に出るということなので、当然失敗は多くなります。
少なからず実務に携わっている以上、その失敗が企業の評価に影響を及ぼす可能性があるため、注意されたり叱られたりすることも多くなります。
たとえば言葉遣い一つをとっても、新入社員の研修制度があれば、尊敬語と謙譲語の使い方から丁寧に教えてくれる企業も少なくありません。
しかし研修制度がなければ、最初から社会人として最低限のレベルをクリアした状態が求められ、失敗すると「それは失礼な言い方だ」と指摘されることになります。
「何も教わっていないのに、注意されるのは不本意だ」というメンタルは、研修制度のないベンチャーでは通用しにくいといえるでしょう。
同期とのコミュニケーションの機会が少ない
新入社員研修は、同期社員が一堂に集まり交流を深める絶好の機会となります。
正式な配属が決まった後は同期と交流する機会が減るので、研修期間は大変貴重です。
仲の良い同期は、仕事がつらくなったときはもちろん、プライベートで悩んでいるときにも心強い存在になります。
しかし研修期間がないと、同期と仲良くなる機会がないまま現場の仕事が始まるので、同期と交流して仲良くなる機会は減ってしまいます。
これは、長い社会人生活を考えるとデメリットの一つといえるかもしれません。
ただ、同期との交流が少なくなる一方で、先輩との交流は深くなります。
社会人の人間関係は年齢差よりもフィーリングや共通の話題が重要になるので、大きな問題ではないと考えることもできるでしょう。
【ベンチャーの研修制度】研修制度がなくても失敗しないために
研修制度がないことのデメリットとして、最初は失敗が多くなるという点を挙げました。
周囲は失敗も織り込み済みなので、「失敗したくない」と気負いすぎる必要はありません。
しかし、おそらくほとんどの方が「できれば失敗したくない」と思っていることでしょう。
そこで、研修制度がなくても失敗しないために心がけておきたいことをご紹介します。
ご紹介する2つのポイントを押さえておけば、失敗を最少減に抑えつつ、たとえ失敗しても糧にできるはずです。
主体的に質問する
研修制度を設けていないベンチャーの先輩は、「新入社員は、最初は何もわからない」ということをしっかり理解しています。
なぜなら、かつては自分自身も「何もわからない新入社員」だった経験があるからです。
何もわからない状態で現場にデビューする不安も、先輩社員は知っています。
そのため、研修制度がない会社ほど、新入社員の質問に丁寧に答えてくれる傾向があります。
ぜひ知らないことを恥ずかしがらず、わからないことは何でも質問する姿勢で臨んでください。
逆に、質問せずに失敗を繰り返す方が「向上心がない」と思われてしまいます。
自分に足りない点が明確でないときにも、「もっとこうした方が良いと思うところはありますか?」と質問してみると良いでしょう。
ポジティブ思考を持つ
社会人として働き始めた後、最初の失敗で自信をなくしてしまい、「自分には向いていない」と思ってしまう人は多いです。
とくに研修制度のないベンチャーに就職すると、どうしても最初のうちに失敗したり指摘されたりすることが多くなるので、気持ちが折れやすいかもしれません。
しかし、そのような心配は無用です。
最初は誰でも失敗するものですし、研修制度がないのであれば、なおさら失敗は当たり前だといえます。
たとえ失敗をしても引きずらず、自信をなくさずに「よし、次に活かそう!」というポジティブ思考は、ベンチャーで活躍していくためには非常に大事な能力です。
また、同じ失敗を繰り返さないためにも、わからないことは何度でも聞く姿勢を大切にしてください。
【ベンチャーの研修制度】研修制度があるベンチャーを見つけるためには
ここまで研修制度がないことのメリットや、デメリットについては対処法を含めてご紹介してきましたが、「やっぱり研修がないと不安」と思う方も少なくないでしょう。
ベンチャーに就職したいけれど研修がないことが大きなネックになっているのであれば、しっかりとした研修制度があるベンチャーも一定数存在しているので、的を絞って探してみてください。
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まとめ
ベンチャー企業への就職は、自分の可能性を試したい・自分の能力で未来を切り拓きたい学生にとって、とても魅力的なものです。
その一方で、ベンチャーは社内の教育制度や研修制度が整っておらず、ファーストステップからシビアなところもあるので、少し注意が必要かもしれません。
しかし視点を変えれば、それもベンチャーの面白さであるといえます。
研修制度があるベンチャーも増えていますし、失敗をおそれず成長する意欲があれば、楽しく乗り越えることができるでしょう。