はじめに
ベンチャー企業に就職したい学生の業界選びの指針として、自分が興味を持てるかも大切です。
就職後に業界についてさらに勉強するにしても、営業のプレゼンなどをするにしてもその分野を好きであるほうが有利に働くことは間違いないでしょう。
美容やファッションに興味を持っている学生の中には、美容系ベンチャーに就職したいと考える方も多くいらっしゃいます。
美容業界の現状や特色についてまとめましたので、ぜひ参考になさってください。
【美容系ベンチャーの実態】美容業界の現状
美容系商品は年々進歩しているものの、今も昔も完全な商品が存在しているわけではありません。
誰でも肌がきれいになり副作用の心配がないクリームはありませんし、飲むだけで絶対痩せる薬が存在しない通りです。
そのため、美容系商品ではいかに商品価値を高めるかに多くの企業が重きを置いています。
美容業界で成功を収めたいのなら、広告やブランディングなどについて若いうちから勉強しておくのがおすすめです。
口コミなどで人気が広がることも多い美容系商品・サービスでは、調査・研究・分析といった仕事が得意なことも有利に働きます。
自信のある商品でも売れ行きや評判が良くない場合、レビューやアンケート結果をもとに客観的で冷静な分析をできるかどうかが非常に大切です。
【美容系ベンチャーの実態】美容系ベンチャーの仕事内容
美容系ベンチャーではどのような業種があり、どのような仕事がなされているかを紹介します。
もちろん、設立したばかりの小規模な企業であれば一人の方が複数の仕事をこなす場合も珍しくありません。
自分で起業しようと考える方は、会社経営に関するさまざまなスキルを身につける必要があります。
ある程度成長し軌道に乗った企業に入社する場合には、適性や希望に応じて各部署に配属されることになるでしょう。
その場合でも、他部署の仕事について理解しておくこと・キャリアアップのためにさまざまな経験をすることは大いに価値があります。
企画職
企画職はクリエイティブなイメージがあり、多くの方が志望する職種です。
しかし入社したての若いうちから、いきなり周囲を納得させられるような企画提案ができるわけではありません。
美容業界の現状や自社の抱える課題、競合相手などについて知識を得る必要があります。
企画を立てるうえでどんな調査をしなければならないか・採算計画をどのように立てるかなども経験が求められます。
そのため、最初のうちは上司の指示に従い事務仕事に追われる可能性も少なくありません。
リーダー的な立場に立ち自分で企画を立案できるようになるまで、意欲と研究心を持って仕事に取り組むようにしましょう。
企画のプレゼンに耳を傾けてもらうためには、丁寧な仕事やコミュニケーションを通して周囲の方から信頼される人物になることも大切です。
研究職
調合などで美容品の開発に取り組む研究職を志す理系学生も多くいらっしゃいます。
当然薬学などの知識が必要となるため、この仕事に取り組める人材は限られてくるでしょう。
ベンチャー企業は大手と比べて予算や人員が限られているため、研究者一人ひとりのスキルが非常に重要です。
優秀な学生でも研究者として働いた経験のない方は、大手で経験を積んでから自ら起業する・ベンチャー企業に移籍するといった方法も考えられます。
大手企業に所属している方でも長年一つのテーマを研究し続け、ようやく商品化に成功したという事例は珍しくありません。
研究はどうしても思った通りに成果が出ない時期もあるので、独立志向・上昇志向の強い方もじっくりキャリアを積み上げることが大切です。
営業職
先述した通り美容業界ではブランディング・売り出し方が非常に重要なので、営業職はこの業界の花形であると言えます。
かつてはお客様を直接接客しおすすめの化粧品を売る・化粧の仕方をアドバイスするといった方が重宝されていました。
しかしネットでも美容系商品が売れる現代においては、営業職の方にもより一層多くのスキルが求められています。
ユーザー層に商品・サービスの良さをアピールする能力が問われることはもちろん、広告代理店などとの折衝力も欠かせません。
商品・サービスのメリットをよく理解することも大切で、競合他社についてもよく勉強しておく必要があります。
美容商品は他社製品との差がどこにあるのか見えにくい場合も多いので、いかに独自の強みを打ち出せるか考えていきましょう。
事務職
美容系ベンチャー企業でも、経理や人事・総務など事務仕事に従事する職員は当然求められています。
他部署の方が気持ちよく働けるよう、あらゆる面からサポートする仕事です。
他の方が用事を頼む際、安心して声を掛けてもらえるような存在になることを目指しましょう。
特に給与計算など、お金に関する業務は正確さと信用が求められます。
決算期や給料の締め日前など、事務仕事が多くなる時期はかなり残業が多くなる傾向になるのも事務職の特徴です。
入社後は1年の仕事のサイクルを覚え、プライベートを含め上手なスケジュール管理ができるようになりましょう。
事務でも労務・経理など特定分野で社労士・簿記などの資格を取得し経験を積めば、十分キャリアアップを目指せます。
【美容系ベンチャーの実態】美容系ベンチャーの特徴
続いて、美容系ベンチャー企業の実態について見ていきましょう。
ニーズが落ちにくい業界とはいえ、ビジネスを取り巻く環境は年々変化しています。
美容業界に勤める方も、時代の流れに敏感に対応していかなければならないことは変わりません。
競争相手が非常に多い業界でもあるため、独自性をいかに打ち出すか・どのような付加価値をアピールするかが非常に重要です。
現在美容系ベンチャーで働いている方の中にも、ブランディングで頭を悩ませている方は多くいらっしゃいます。
海外ブランドとの競争
現在の美容業界は、国内だけでなく海外ブランドとも闘わなければならない状況に立たされています。
一般消費者の方も、Webを通して海外ブランドの情報を手軽に仕入れられる時代になりました。
商品によっては通販サイトで海外ブランドを購入するほうが安い場合すらあることも、競争が激化している要因です。
海外ブランドの商品を日本に広め、多くの利益を出している卸売企業もあります。
最近は海外ブランドとの競争も意識し、「日本人の肌に合わせて開発」「安心の国産」など国内ブランドの価値を高める宣伝をしているブランドも多いです。
今後も海外ブランドとの競争が少なくなる可能性は低いので、いかに海外有名ブランドとも戦えるブランド力をつけるか考える必要があります。
柔軟性を持っている
夏は日焼け止め用品の需要が上がり冬は乾燥対策コスメの需要が上がるなど、美容系商品は時期によってニーズが変わるのが当たり前です。
そのため美容ブランドは時期に合わせて顧客のニーズに応えるラインナップを揃え、売れ時を逃さず売り出していく必要に迫られています。
当然、美容業界に勤める社員も時期ごとに変わるニーズに敏感である必要があります。
コスメはもちろん、ファッションなどの情報もアンテナを広げてキャッチしていくようにしましょう。
特に営業系・企画系の職種の方は、こうした情報をあらゆる媒体から得ていくことが大切です。
オフの日も美容・ファッション雑誌を読む際やショッピングをする際、得られた情報を仕事へつなげる意識を持つようにしましょう。
【美容系ベンチャーの実態】美容系ベンチャーの事業例
最後に、国内の美容系ベンチャーがどんな事業を行っているかを簡単に紹介します。
取り上げるのは「株式会社サティス製薬」「株式会社ディール」「株式会社LIFE CREATE」「株式会社WSP」「株式会社バルクオム」という5社です。
起業しようという方だけでなく、美容系ベンチャーに就職したいと考えている方も実際の成功事例について勉強しておくことには大きな意味があります。
以下で紹介する企業が好調な理由は何か、どんなニーズに目をつけてきたかをチェックしましょう。
株式会社サティス製薬
1999年に設立した株式会社サティス製薬は、「1人でも多くの女性に正しいきれいを」というコンセプトを掲げています。
しかし自社ブランドの製品を作るのではなく、OEM(original equipment manufacturer、他社ブランドの製品を製造する)に特化して営業してきました。
基礎研究・原料開発から評価試験・マーケティングまで一貫して行う体制を整えています。
小ロット・低コストで小規模な販売を行いつつ処方改良し、顧客満足度をスピーディーに高める独自手法「アジャイル開発プロジェクト」に取り組んできました。
単独企業でブランドシェアを拡大するより、多くのブランドを共に創り上げることがコンセプト実現につながるという理念を持っている会社です。
スキンケア用品・石鹸・ヘアケア用品など、幅広いジャンルの商品で実績を積み重ねています。
株式会社ディール
株式会社ディールは2017年設立と、ここで紹介する企業の中でもとりわけ急成長を遂げてきた歴史の浅いベンチャー企業です。
美容系の商品は多くがECサイトで販売されていますが、ディールはこうした「D2C」業界の企業をサポートするサービスを提供してきました。
特に2019年からは、「ECキャスティング」という事業を中心に事業展開しています。
審査に合格したインフルエンサーを多数会員登録しておき、モニター・モデルとしてさまざまなECサイトで活動してもらうビジネスモデルです。
このビジネスモデルはインフルエンサーを起用して商品を売り込みたい企業側はもちろん、インスタなどを通してインフルエンサーになりたいと考えている若い女性にもメリットがあります。
株式会社LIFE CREATE
2008年に設立された株式会社LIFE CREATEは、女性向けのホットヨガスタジオ「loIve」(ロイブ)という事業を中心に成長を続けてきました。
女性目線で使いやすいスタジオ、多彩なプログラムなどで多くの女性から支持されています。
サーフボードの上でバランスを取り体幹を鍛える「サーフエクササイズ」、ピラティス、チームコーチングでダイエットをサポートする「BeTeam」といった事業も手がけてきました。
「自分を愛し、輝く女性を創る」という企業理念を掲げているため、社内でも女性が活躍するための環境を整えています。
こうした事業の成功から、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021」で 企業部門(300名以上1,000名未満の部)第1位受賞という実績を残している企業です。
株式会社WSP
1994年設立の株式会社WSPはもともと真珠の卸売をしていた企業であり、現在も真珠を軸にした事業を手がけています。
ネックレス・ピアスといった宝飾品の取り扱いも当然行っていますが、真珠成分を配合した美容品販売や真珠サプリメントの開発も行っているのが特徴です。
真珠の主な成分はカルシウム結晶ですが、そのほかにアミノ酸なども含まれており美容・健康にも効果があると言われてきました。
株式会社WSPはその真珠を活かし、「真珠肌」(まだまはだ)という基礎化粧品や「PEARLDAYs」というヘアケア・ボディケアブランドを展開しています。
15年以上真珠一筋で研究・商品開発を続けてきた点は、美容・健康事業に携わる同業他社にはない非常に大きな強みです。
株式会社バルクオム
株式会社バルクオムは、容器の中身という意味がある英語「BULK」・男性を意味するフランス語の「HOMME」を組み合わせた珍しい名前で営業しています。
会社名・ブランド名通り中身で勝負する男性向け化粧品として、化粧水などを安定性あるパウチ容器でパッケージングしているところが大きな特色です。
メンズスキンケアのベーシックを提供することをコンセプトにしており、スキンケアにこだわりたい男性から多くの支持を得てきました。
男性用コスメを扱う企業は多いですが、コンセプト・パッケージ・ブランディングなどすべてにおいて男性を意識している点が非常にユニークです。
代表の野口卓也氏は1989年生まれと非常に若く、今後は世界のメンズコスメ市場を見据えています。
【美容系ベンチャーの実態】まとめ
美容系ベンチャー企業の実態について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
ファッションや美容は時代が進んでもニーズがなくなることはないため、商品の売り出し方などで次々と新しい企業が成功を収めている分野です。
自分のセンスや能力で成功をつかみ取りたい方にとって、非常に魅力的な業界の一つと言えるでしょう。
就職活動で美容に関する仕事をしたいと考えている方は、ぜひ業界研究やインターン参加を進めていくことをおすすめします。